JP2004292571A - 水系インク - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録用色素として、特に耐水性に優れ、更に耐光性、樹脂との相溶性に優れたインクジェット用途に好適な色素、これを用いて耐光性、保存安定性に優れた性能を示すインクジェット記録用水系インクを提供することであり、特にインクジェット記録方式のインクとして高品位で滲みのない画像形成が可能で、記録画像も耐水性に優れた特性を有する、優れた水系インクを提供することである。
【解決手段】少なくとも水に不溶の色素、水、樹脂を主成分としエマルションを形成しているインクジェット記録用水系インクにおいて、一般式(1)で表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも水に不溶の色素、水、樹脂を主成分としエマルションを形成しているインクジェット記録用水系インクにおいて、一般式(1)で表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
アントラピリドン化合物を含有するインクジェット記録用式のインクに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、インクジェット記録方式の記録用インクとしては水系インクが用いられている。水系インクは、基本的に色素、水及び有機溶剤から構成され、臭気、人体及び周辺環境への安全性を配慮して、水を主溶媒とするインクとなっている。また、色素としては、一般的には酸性染料、塩基性染料、反応性染料、および直接染料等の水溶性染料が使用されている。
インクジェット記録用インク及び色素に関しては、以下に示す様々な要求特性、すなわち、
(1)インクの粘度、表面張力、比電導度、密度、pH等の物性値が適当であること、
(2)インクの長期保存安定性が良好であること、
(3)溶解成分の溶解安定性が高く、ノズルを目詰まりさせないこと、
(4)被記録材での速乾性が良好であること、
(5)記録画像が鮮明であり、耐光性、耐水性が良好であること、
が挙げられるが、現状では、全ての特性を満足するに至っていない。
【0003】
特に、通常使用されている水系インクの場合、水溶性染料を使用しているために、記録画像に水が掛かった場合、染料が溶出し、記録画像が滲んだり、消失してしまうなど耐水性に大きな問題がある。従って、現在、耐水性向上に注力した様々な検討がなされている。
例えば、顔料または油溶性染料を色素として用いるインクや、水溶性染料を用いた水性インクに有機溶剤や樹脂等を添加する方法等の検討がされている。しかし、顔料を用いた場合には、分散安定性が悪く保存安定性が不良であったり、ノズルの目詰まりを引き起こす等の問題があった。油溶性染料を用いた場合には有機溶剤を用いているため、臭気等の環境衛生等に問題があったり、インクの滲みが大きく画像品位の低下を招くなどの問題があった。
また、添加剤を加えたインクの場合でも、保存安定性が不良であったり、ノズルの目詰まり、あるいはインクが高粘度化しインクの飛翔が悪い等の問題もあった。
【0004】
一方、特許文献1に、染料または顔料によって着色されたポリエステル樹脂を分散質とする水系分散体を用いるインクが記載されている。しかしながら、顔料については、依然として前記の問題が残されており、染料についても樹脂との相溶性が悪いため、インク中に析出物が現れ、保存安定性が不良となり、ノズルの目詰まりを引き起こす等の問題を依然として抱えている。
以上のように、特にインクジェット記録方式に用いられるインクの諸特性は、色素固有の特性に影響されるところが大きく、前記の諸要求特性を満たす色素の創出が極めて重要である。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−340835号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機溶媒への溶解性が高く、耐水性に優れ、さらに耐光性、樹脂との相溶性に優れた色素、並びにこれを用いた、耐水性、耐光性、かつ保存安定性に優れたインクジェット記録方式に最適のマゼンタ色系のインクジェット記録用水系インクを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、一般式(1)で表される化合物が、上記目的に適う色素であることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は、次の通りである。
▲1▼ 少なくとも水に不溶の色素、水および樹脂を主成分とし、エマルションを形成しているインクジェット記録用水系インクにおいて、色素として一般式(1)(化3)で表されるアントラピリドン系化合物を1種以上含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク
【0009】
【化3】
【0010】
[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を表し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換または無置換のアルキル基を表し、R5は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を表す。]
▲2▼ 一般式(1)において、R2、およびR3が、それぞれ独立に、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基である▲1▼記載のインクジェット記録用水系インク。
▲3▼ 1種以上の一般式(1)(化4)で表されるアントラピリドン系化合物で着色された樹脂微粒子
【0011】
【化4】
【0012】
[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を表し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換または無置換のアルキル基を表し、R5は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を表す。]
▲4▼ ▲3▼記載の着色された樹脂微粒子を水媒体中に分散してなる分散体。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくとも水に不溶の色素、水および樹脂を主成分としエマルションを形成しているインクジェット記録用水系インクにおいて、水に不溶の色素が前記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のマゼンタ色系色素であるインクジェット用インク、ならびに該化合物で着色された樹脂微粒子、さらには該着色樹脂微粒子を水媒体に分散させた分散体である。
本発明に係る色素、即ち、本発明のインクジェット記録用水系インクに好ましく用いられる色素は、一般式(1)で表される化合物から選ばれるマゼンタ色系色素[以下、インクジェット記録用色素ともいう]である。
【0014】
一般式(1)で表される化合物において、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を表し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換または無置換のアルキル基を表し、R5は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を表す。
【0015】
一般式(1)のR1〜R5における置換または無置換のアルキル基のうち、無置換のアルキル基とは、総炭素数1〜20の直鎖、分岐、または、環状のアルキル基のことを指す。その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、sec−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、1,2,3−トリメチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,3,3−トリメチルブチル基、2,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−1−メチルブチル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−エチル−3−メチルブチル基、2−エチル−1−メチルブチル基、2−エチル−3−メチルブチル基、1−n−プロピルブチル基、1−iso−プロピルブチル基、1−iso−プロピル−2−メチルプロピル基、メチルシクロヘキシル基、n−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,2−ジメチルヘキシル基、1,3−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3,5−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、4,5−ジメチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基 4−エチルヘキシル基、1−n−プロピルペンチル基、2−n−プロピルペンチル基、1−iso−プロピルペンチル基、2−iso−プロピルペンチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1−エチル−3−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、2−エチル−1−メチルペンチル基、2−エチル−2−メチルペンチル基、2−エチル−3−メチルペンチル基、2−エチル−4−メチルペンチル基、3−エチル−1−メチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、3−エチル−3−メチルペンチル基、3−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,2−トリメチルペンチル基、1,1,3−トリメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1,2,2−トリメチルペンチル基、1,2,3−トリメチルペンチル基、1,2,4−トリメチルペンチル基、1,3,4−トリメチルペンチル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、1,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,3−トリメチルペンチル基、3,3,4−トリメチルペンチル基、1,4,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、3,4,4−トリメチルペンチル基、1−n−ブチルブチル基、1−iso−ブチルブチル基、1−sec−ブチルブチル基、1−tert−ブチルブチル基、2−tert−ブチルブチル基、1−n−プロピル−1−メチルブチル基、1−n−プロピル−2−メチルブチル基、1−n−プロピル−3−メチルブチル基、1−iso−プロピル−1−メチルブチル基、1−iso−プロピル−2−メチルブチル基、1−iso−プロピル−3−メチルブチル基、1,1−ジエチルブチル基、1,2−ジエチルブチル基、1−エチル−1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−1,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2,3−ジメチルブチル基、2−エチル−1,1−ジメチルブチル基、2−エチル−1,2−ジメチルブチル基、2−エチル−1,3−ジメチルブチル基、2−エチル−2,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルシクロヘキシル基、1,3−ジメチルシクロヘキシル基、1,4−ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0016】
一般式(1)のR1〜R5における置換または無置換のアルキル基のうち、置換のアルキル基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基などの置換基で置換された総炭素数1〜20の直鎖、分岐、または、環状のアルキル基などが挙げられるが、置換基はこれらに限定されるわけではない。
【0017】
ハロゲン原子で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロエチル基、クロロエチル基、ブロモエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラクロロエチル基、ヘキサフルオロ−iso−プロピル基、クロロオクチル基、クロロエチルヘキシル基、フルオロドデシル基、クロロオクタデシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0018】
ヒドロキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ジヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ジヒドロキシプロピル基、トリヒドロキシプロピル基、ヒドロキシオクチル基、エチルヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシオクタデシル基などが挙げられる。しかし、これらに限定されるわけではない。
【0019】
シアノ基で置換されたアルキル基の具体例としては、シアノメチル基、シアノエチル基、ジシアノエチル基、シアノプロピル基、ジシアノプロピル基、トリシアノプロピル基、シアノオクチル基、シアノエチルヘキシル基、シアノドデシル基、シアノオクタデシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0020】
アルコキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペントキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペントキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、ペントキシプロピル基、ヘキシルオキシプロピル基、シクロヘキシルオキシプロピル基、メトキシエトキシプロピル基、メトキシオクチル基、エチルメトキシヘキシル基、エトキシドデシル基、メトキシオクタデシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0021】
アリールオキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、フェノキシメチル基、メチルフェノキシメチル基、フェノキシエチル基、メチルフェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、メチルフェノキシプロピル基、フェノキシオクチル基、3−フェノキシ−2−エチルヘキシル基、フェノキシドデシル基、フェノキシオクタデシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0022】
アリール基で置換されたアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基の総炭素数7〜20のアラルキル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
一般式(1)のR1〜R3おける置換または無置換のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基、5−メチル−2−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、7−メチル−2−ナフチル基、8−メチル−2−ナフチル基、2−エチル−1−ナフチル基などの炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が置換したアリール基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,6−ジメトキシフェニル基、2,3,4−トリメトキシフェニル基、2,3,5−トリメトキシフェニル基、2,3,6−トリメトキシフェニル基、2,4,5−トリメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、ブトキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、3−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、5−メトキシ−1−ナフチル基、6−メトキシ−1−ナフチル基、7−メトキシ−1−ナフチル基、8−メトキシ−1−ナフチル基、1−メトキシ−2−ナフチル基、3−メトキシ−2−ナフチル基、4−メトキシ−2−ナフチル基、5−メトキシ−2−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、8−メトキシ−2−ナフチル基、2−エトキシ−1−ナフチル基などの炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基が置換したアリール基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、ヨードフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などのハロゲン原子が置換したアリール基、トリフルオロメチルフェニル基等のハロゲン化アルキル基が置換したアリール基、N−メチルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N−フェニル−N−メチルアミノフェニル基、N−トリル−N−エチルアミノフェニル基、N−クロロフェニル−N−シクロヘキシルアミノフェニル基、N,N−ジトリルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、N−(n−オクチル)アミノフェニル基、N,N−ジ(n−オクチル)アミノフェニル基、N−(2−エチルヘキシル)アミノフェニル基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノフェニル基、N,N−ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)アミノフェニル基、N−ドデシルアミノフェニル基、N,N−ジドデシルアミノフェニル基、N−オクタデシルアミノフェニル基、N,N−ジオクタデシルアミノフェニル基などのN−モノ置換アミノ置換アリール基、および、N,N−ジ置換アミノアリール基が挙げられ、他にメチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、メチルチオナフチル基、フェニルチオフェニル基などのアルキルチオアリール基、アリールチオアリール基などが挙げられる。その他の置換アリールの例としては、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、シアノフェニル基、ジシアノフェニル基、ジニトロクロロフェニル基、ジニトロブロモフェニル基、ジニトロヨウドフェニル基、ジニトロシアノフェニル基、ニトロジクロロフェニル基、ニトロジブロモフェニル基、ニトロジシアノフェニル基、フェニルアゾフェニル基、フェニルアゾナフチル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】
一般式(1)のR4におけるハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0025】
本発明の一般式(1)で表される化合物のうち、好ましいものとしては、化合物の油溶性および耐水性の観点から、一般式(1)のR2、R3のうちの少なくとも一方が、炭素数が8以上のアルキル基であるもの、または、置換基として炭素数が8以上のアルキル基を有するアリール基であるものが挙げられる。また、より好ましいものとしては、一般式(1)のR2、R3のいずれもが、炭素数が8以上のアルキル基であるもの、または、一般式(1)のR2、R3のうちの少なくとも一方が、置換基として炭素数が8以上のアルキル基を2つ以上有するアリール基であるものが挙げられる。
【0026】
一般式(1)で表される化合物の具体例を第1表(表1〜表3)に示す。第1表中のR1〜R5は、一般式(1)のR1〜R5に対応するものとする。なお、一般式(1)で表される化合物は第1表の化合物に限定されるものではない。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
本発明の一般式(1)で表される化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法で製造することができる。
一般式(2)で表されるアントラキノン化合物、一般式(3)で表されるカルボン酸、および、TiCl4を、ピリジンとトルエンの混合溶媒中に装入後、加熱撹拌し、一般式(2)と一般式(3)の化合物を縮合させ、一般式(4)で表されるアントラピリドン化合物を合成する。貧溶媒に排出するなどの方法で一般式(4)で表される化合物を取り出したのち、一般式(4)で表される化合物、一般式(5)で表されるアミン、および、CuClを、ピリジン中に装入後、加熱撹拌し、一般式(6)で表されるアントラピリドン化合物を合成する。次いで、貧溶媒に排出するなどの方法で一般式(6)で表される化合物を取り出したのち、一般式(6)で表される化合物、一般式(7)で表されるハロゲン化化合物、および、炭酸カリウムをN,N−ジメチルホルムアミド中に装入後、加熱撹拌し、一般式(1)で表される化合物を合成する。その後、貧溶媒に排出し、洗浄、乾燥するなどの方法により、一般式(1)で表される化合物を単離することが出来る。
【0031】
【化5】
【0032】
[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を表し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換または無置換のアルキル基を表し、R5は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を表す。]
このようにして得られたアントラピリドン化合物は、色素として、色相が鮮明で、耐水性に優れ、有機溶媒への溶解性が高く、かつ保存安定性に優れている。
【0033】
本発明で用いる一般式(1)で表される化合物は、各種インク、特にインクジェット記録方式用の色素として有用である。該色素はそのままでも使用可能であるが、特にインクジェット記録方式用の色素として用いる場合、色素中に含まれる無機物等による記録装置の吐出ノズルの目詰まりを防止するために、例えば、イオン交換樹脂や限外濾過による脱塩処理や、その他の脱塩処理方法等により、あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製を行ってもよい。
【0034】
本発明のインクジェット記録用インクは、一般式(1)で表される色素、水、樹脂を主成分とするものであり、乳化工程において一般式(1)で表される色素により着色された樹脂微粒子が分散したエマルションの形態のインクである。また、本発明のインクジェット記録用インクには、必要に応じて、有機溶剤、添加剤等を配合していてもよい。一般式(1)で表される色素は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよく、また、その他の構造の異なった色素を混合してもよい。
【0035】
本発明のインクジェット記録用インクにおいて、着色樹脂微粒子を構成する樹脂としては、その表面にイオン性基を有するものであれば良く、例えば、ポリエステル系樹脂、ビニル重合体、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリウレタン系樹脂等の様々な樹脂を用いることができる。
【0036】
ポリエステル系樹脂としては、多価カルボン酸類と多価アルコール類から構成され、単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。多価カルボン酸類としては、特に限定されるものではなく、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フマ−ル酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等で示される芳香族多価カルボン酸、芳香族オキシカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸等が挙げられ、これらは金属塩、アンモニウム塩等としても使用できる
多価アルコール類としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエルスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、ビスフェノールA、ラクトン系ポリエステルポリオール類等で示される脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類、芳香族多価アルコール類等が挙げられる。また、前記の多価カルボン酸類と多価アルコール類との単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させたポリエステル樹脂は、通常知られている末端封止可能な化合物を用いて、高分子鎖の末端の極性基を封止したものを使用することもできる。
【0037】
ビニル重合体、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等の樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、以下に挙げる重合性単量体から得られるものが挙げられる。
【0038】
この重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル系芳香族炭化水素、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシルアクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等等の(メタ)アクリル酸エステル系、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、(メタ)アクリルアミド、N−置換マレイミド、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、ビニルケトン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等の単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。
【0039】
ポリウレタン系樹脂としては、イソシアネート類とイソシアネート類と反応し得る官能基を有する化合物から構成され、単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。
【0040】
イソシアネート類としては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α、α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン等の脂肪族ポリイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマ酸ジイソシアネート、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,1,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,1,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、ノルボルナンビス(イソシアナトメチル)等の脂環族ポリイソシアネート、
フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピレンフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4−4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4−メチル−ジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、フェニルイソシアナトメチルイソシアネート、フェニルイソシアナトエチルエチルイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ベンゾフェノンジイソシアネート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ジベンゾフランジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、ジクロロカルバゾールジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオプロピルジイソシアネート、ジシクロヘキシルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート等の含硫脂肪族イソシアネート、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4、4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族スルフィド系イソシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネート等の脂肪族ジスルフィド系イソシアネート、
ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族スルホン系イソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル等のスルホン酸エステル系イソシアネート、4−メチル−4’−イソシアネート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネート等の芳香族スルホン酸アミド、チオフェン−2,5−ジイソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナトメチル等の含硫複素環化合物等が挙げられる。
【0041】
前記イソシアネート類と反応し得る官能基を有する化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグリコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレンエーテルグリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5,2,1,02,6 ]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4,3,0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカンジオール、ビシクロ[4,3,0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカン−エタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5,3,1,1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール、
ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトレヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガオール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールS等の芳香族ポリオール、ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フランジメタノールの他にシュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、ピロメリット酸等の有機酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキシドや、プロピレンオキシド等アルキレンオキシドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとアルキレンオキシドとの付加反応生成物、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、及びこれらのカプロラクトン変性品、
2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3ーメルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルフォン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
【0042】
この他、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、α,α’−メチレンビス(2ークロルアニリン)3,3’−ジクロル−α,α’−ビフェニルアミン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、N−メチル−3,3’−ジアミノプロピルアミン、ノルボルネンジアミン等のポリアミノ化合物、ポリチオール化合物、セリン、リシン、ヒスチジン、等のα−アミノ酸、更にこれら上記の活性水素化合物のハロゲン置換体も使用することが出来る。これらはそれぞれ単独で用いることも、また2種類以上混合して用いても良い。これらの樹脂は、単独あるいは2種類以上混合させて用いることもできるが、なんらこれらに限定されるものではない。
【0043】
また、これらの樹脂は、その表面にイオン性基を含有することによって優れた水分散性を発現する。
このようなイオン性基としてはスルホン酸基、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基もしくはこれらのアルカリ金属塩基やアンモニウム塩基、または第1級〜第3級アミン基等を例示することができ、カルボン酸アルカリ金属塩基、カルボン酸アンモニウム塩基、スルホン酸アルカリ金属塩基およびスルホン酸アンモニウム塩基が好ましく、特にスルホン酸アルカリ金属塩基およびスルホン酸アンモニウム塩基が水分散安定性の点で好ましい。イオン性基の導入は、樹脂合成時にイオン性基を有する単量体を添加すればよい。
【0044】
例えば、ポリエステル系樹脂にイオン性基としてカルボン酸アルカリ金属塩基またはカルボン酸アンモニウム塩基を導入する場合には、ポリエステルの重合末期にトリメリット酸等の多価カルボン酸を系内に導入することにより、樹脂末端にカルボキシル基を付加し、さらにこれをアンモニア、水酸化ナトリウム等にて中和することによりカルボン酸塩の基に交換する方法を用いることができる。
【0045】
また、ポリエステル系樹脂微粒子にイオン性基としてスルホン酸アルカリ金属塩基またはスルホン酸アンモニウム塩基を導入する場合には、スルホン酸アルカリ金属塩基またはスルホン酸アンモニウム塩基を有するモノまたはジカルボン酸を系内に導入することにより、これらのイオン性基をポリエステル樹脂に導入することができる。塩としては、アンモニウム系イオン、Li、Na、K、Mg、Ca、Cu、Fe等が挙げられ、特に好ましいものはKまたはNaである。
【0046】
本発明のインクジェット記録用インクは、
▲1▼前記の重合性単量体にインクジェット記録用色素を溶解あるいは分散させた後、乳化重合を行い、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行う方法、
▲2▼重合を行い前記の樹脂を得た後、インクジェット記録用色素を直接添加し、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行う方法、
▲3▼水溶性有機溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)や通常知られている造膜助剤(例えば、テキサノール、N,N−ジメチルピロリドン等)にインクジェット記録用色素を溶解あるいは分散させたものを、重合を行った前記の樹脂に加え、また、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行い、さらに必要に応じて水溶性有機溶媒を留去する方法、
▲4▼水不溶性有機溶媒(例えば、トルエン等)にインクジェット記録用色素を溶解あるいは分散させたものを、重合を行った前記の樹脂に加え、また、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行い、さらに必要に応じて水不溶性有機溶媒を留去する方法、
あるいは、▲5▼前記の樹脂の水系分散体を得た後、インクジェット記録用色素を加えて、高温処理を行う高温染色法、等によって製造される。
【0047】
なお、製造に際しては、不溶物を除去するため、メンブランフィルター等の微小孔径のフィルターで濾過することもある。
乳化して得られた水系分散体中の着色樹脂微粒子は、平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましく、さらに0.05〜0.8μmであることが特に好ましい。平均粒径が小さすぎると画像濃度の低下や耐水性の低下を引き起こす可能性があり、また、大きすぎるとインク中における分散安定性が低下して沈降物が生じ保存安定性が悪くなる問題や、ノズルの目詰まり等の問題を引き起こす可能性がある。
【0048】
着色樹脂微粒子中の色素の含有量は、用途、目的、色素の種類、インク組成、インクの印字濃度、目詰まり性にもよるが、樹脂中に、1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%である。インク用色素の含有量が少ないと十分な記録画像を得ようとした際、多量のインクを必要とし、記録装置の印字ヘッドや記録紙に負荷がかかる。また、色素の含有量が多いと色素が樹脂粒子から析出し易くなりインク中に析出物を生じ、印字ヘッドの目詰まり等を引き起こす。
【0049】
また、本発明のインクジェット記録用インクには、インクの色調を調製するために、その他の色素や、インク特性を損なわない程度に、公知の染料や顔料をエマルジョンあるいは微分散状態に処理したものを添加しても差し支えない。また、インク中の着色樹脂微粒子の含有量は1〜50重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0050】
本発明のインクには、必要に応じて、インクの保湿性、表面張力、粘度、乾燥速度等を調整するために、水溶性有機溶媒を含有させてもよい。
水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、チオグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、グリセリン等を用いることができる。これらの水溶性有機溶媒を含有させる場合には、インク全量に対して1〜30重量%含有させることが好ましい。
【0051】
また、インクの保存安定性を向上させるためにインクのpHを7〜10に調整することが好ましい。pH調整剤としては、NaHCO3 、Na2 B4 O7 、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
【0052】
さらにまた、本発明のインクには、従来使用されている種々の添加剤を必要に応じて加えることができる。例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、分散安定剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、マスキング剤、防かび剤、防腐剤、粘度調節剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗値調整剤、近赤外線吸収剤、浸透剤等の添加剤が挙げられる。
【0053】
前記成分から構成される本発明のインクは、インクジェット記録方式のインクとして使用する以外に、筆記用具等のインクとしても使用可能であり、記録特性、保存安定性、被記録材への定着性、記録画像の鮮明性、耐光性、耐水性等に優れたものである。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は重量部を示す。
実施例1
・式(8)(化6)で表される中間体の合成例
フラスコ中に1―アミノ−4−ブロモ−2−メチルアントラキノン3.2部、ブタン酸0.9部、ピリジン20部、および、トルエン20部を装入し、撹拌した。そこにTiCl4を7部、滴下装入し、装入後加熱し、110℃くらいで撹拌した。2時間後加熱を止め室温まで冷却した。ここにメタノール20部と水200部を装入すると結晶が析出した。1時間撹拌後、濾過して結晶を取り出し、この結晶を水で洗浄したのち乾燥し、式(8)で表される中間体を3.5部得た(収率94%)。
【0055】
【化6】
【0056】
・化合物No.1の合成例
式(8)で表される中間体4.0部、n−オクタデシルアミン2.7部、ピリジン50部、および、CuClを0.2部、フラスコ中に装入し、100〜110℃で14時間撹拌した。室温まで冷却後、氷水中に排出し、析出した結晶を水洗、乾燥し、第1表中の化合物No.1を6.0部得た(収率98%)。得られた化合物は元素分析およびFD−MS分析により確認した。各物性を評価した。
【0057】
着色樹脂微粒子分散液(A)の製造例
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブ中に、ジメチルテレフタレート180部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル10部、エチレングリコール130部、トリシクロデカンジメタノール25部、テトラブトキシチタネート0.1部を装入し、180〜220℃で約3時間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、反応混合物を240℃まで加熱した後、オートクレーブ内の圧力を10mmHgまでゆっくりと下げ、1時間反応を続けた。オートクレーブ内の圧力を大気圧まで戻し、共重合ポリエステル樹脂を得た。次に、得られたポリエステル樹脂100部、メチルエチルケトン150部、テトラヒドロフラン150部、および、第1表の化合物No.1を10部混合した後、水600部を添加し、さらに混合した。この混合物を0.8ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、加熱して溶剤を留去させた。冷却後、水を加えて固形分濃度を20重量%とし、着色樹脂微粒子分散液(A)を得た。分散液中に分散している微小樹脂粒子は、平均粒径0.2μmを有するマゼンタ色に着色された樹脂の微小粒子であった。
【0058】
特性の評価
該着色樹脂微粒子分散液(A)にグリセリンおよび水を添加し、固形分15重量%を含有する水系インクを得た。この水系インクを用い、ピエゾ方式インクジェットプリンター用インクカートリッジに充填し、同方式プリンターにより印字及び画像記録を行い、下記の項目について試験を行った。その結果を第2表(表4)に示す。
【0059】
なお、各試験項目の評価基準は下記の通りである。
(A)乳化評価:エマルションインク作製時における乳化の状況を目視にて評価した。
(B)画像評価:普通紙に画像を形成させ、滲み状態を目視により判定した。
【0060】
(C)画像記録濃度評価:画像記録された普通紙を、反射濃度計(マクベス社製)を用い、記録濃度(OD値)を測定し、画像記録濃度評価を行った。
(D)耐水性評価:試験の画像記録された普通紙の印字部分を、水に漬ける前と水に漬けて自然乾燥後の印字濃度(OD値)を反射濃度計で測定し、OD1を比較して耐水性評価を行った。
OD1=(水に漬けて自然乾燥後のOD値)/(水に漬ける前のOD値)× 100[%]
(E)耐光性評価:キセノンフェードメーター(スガ試験機社製)を用い、照射前と100時間照射した後の印字濃度(OD値)を測定し、OD2を比較して耐光性評価を行った。
OD2=(照射後のOD値)/(照射前のOD値)×100[%]
(F)インクの保存安定性評価:水系インクの保存安定性(40℃、1ヶ月間保存)を評価するため、保存した後の水系インクの状態を目視にて観察し、また上記プリンターで長時間連続記録して、目詰まりの有無を観察した。
【0061】
実施例2
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブ中に、ジメチルテレフタレート 150部、ジメチルイソフタレート 50部、5ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル5部、エチレングリコール 150部、ネオペンチルグリコール 250部、テトラブトキシチタネート 0.1部を装入し、180〜220℃で約3時間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、反応混合物を240℃まで加熱した後、オートクレーブ内の圧力を10mmHgまでゆっくりと下げ、1時間反応を続けた。オートクレーブ内の圧力を大気圧までもどし、共重合ポリエステル樹脂を得た。
次に、得られたポリエステル樹脂100部、メチルエチルケトン150部、テトラヒドロフラン150部、第1表の化合物No.1を10部混合した後、水600部を添加し、さらに混合した。この混合物を0.8ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、加熱して溶剤を留去させた。冷却後、水を加えて固形分濃度を20重量%とし、着色樹脂微粒子分散液(B)を得た。分散液中に分散している微小樹脂粒子は平均粒径0.3μmを有するマゼンタ色に着色された樹脂の微小粒子であった。
該着色樹脂微粒子分散液にグリセリンおよび水を添加し、固形分15重量%を含有する水系インクを得た。実施例1と同様にインク特性の評価を行った結果を第2表(表4)に示す。
【0062】
実施例3〜15
第1表記載のインクジェット記録用色素を用い、実施例1あるいは2の方法でインクを作製し、該インク特性の評価を行い、その結果を、第2表に示した。なお、第2表(表4)中の「インク製造法」は実施例1、2のいずれかの方法を示す。
【0063】
【表4】
【0064】
本発明のインクジェット記録用色素を用いた全ての水系インクは、特に耐水性に優れ、長期に渡る保存安定性に優れたものであった。また、記録画像においても良好で滲みもなく、耐光性に優れたものであった。
【0065】
比較例1
第1表の化合物No.1の化合物に代え、C.I.Solvent Red 3を用いた以外は、実施例1の方法でインク化を試みたところ、乳化が困難でありインク化できなかった。
【0066】
比較例2
第1表の化合物No.1の化合物に代え、C.I.Disperse Red9を用いた以外は、実施例1の方法でインク化を試みたところ、乳化が困難でありインク化できなかった。
【0067】
【発明の効果】
本発明に係るマゼンタ色系色素は、特に耐水性に優れており、更に、耐光性、樹脂との相溶性に優れ、インクジェット記録用水系インク用に好適である。更に、これらの色素を用いて得られる本発明のインクジェット記録用水系インクは、耐光性、保存安定性に優れた性能を示す。特にインクジェット記録方式の水系インクとして使用する場合、水に不溶の該マゼンタ色系色素、水および樹脂を少なくとも主成分とし、エマルションを形成してなるインク組成物を用いて、高品位で滲みのない画像を形成可能となり、記録画像も耐水性に優れた特性を有する。
すなわち、本発明は、高品位の画像を与えるインクジェット記録用水系インク、これに用いる耐光性、保存安定性に優れたマゼンタ色系色素およびこの色素を用いた樹脂微粒子、並びにこの微粒子を水に分散した分散体を提供することが出来る。
【発明の属する技術分野】
アントラピリドン化合物を含有するインクジェット記録用式のインクに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、インクジェット記録方式の記録用インクとしては水系インクが用いられている。水系インクは、基本的に色素、水及び有機溶剤から構成され、臭気、人体及び周辺環境への安全性を配慮して、水を主溶媒とするインクとなっている。また、色素としては、一般的には酸性染料、塩基性染料、反応性染料、および直接染料等の水溶性染料が使用されている。
インクジェット記録用インク及び色素に関しては、以下に示す様々な要求特性、すなわち、
(1)インクの粘度、表面張力、比電導度、密度、pH等の物性値が適当であること、
(2)インクの長期保存安定性が良好であること、
(3)溶解成分の溶解安定性が高く、ノズルを目詰まりさせないこと、
(4)被記録材での速乾性が良好であること、
(5)記録画像が鮮明であり、耐光性、耐水性が良好であること、
が挙げられるが、現状では、全ての特性を満足するに至っていない。
【0003】
特に、通常使用されている水系インクの場合、水溶性染料を使用しているために、記録画像に水が掛かった場合、染料が溶出し、記録画像が滲んだり、消失してしまうなど耐水性に大きな問題がある。従って、現在、耐水性向上に注力した様々な検討がなされている。
例えば、顔料または油溶性染料を色素として用いるインクや、水溶性染料を用いた水性インクに有機溶剤や樹脂等を添加する方法等の検討がされている。しかし、顔料を用いた場合には、分散安定性が悪く保存安定性が不良であったり、ノズルの目詰まりを引き起こす等の問題があった。油溶性染料を用いた場合には有機溶剤を用いているため、臭気等の環境衛生等に問題があったり、インクの滲みが大きく画像品位の低下を招くなどの問題があった。
また、添加剤を加えたインクの場合でも、保存安定性が不良であったり、ノズルの目詰まり、あるいはインクが高粘度化しインクの飛翔が悪い等の問題もあった。
【0004】
一方、特許文献1に、染料または顔料によって着色されたポリエステル樹脂を分散質とする水系分散体を用いるインクが記載されている。しかしながら、顔料については、依然として前記の問題が残されており、染料についても樹脂との相溶性が悪いため、インク中に析出物が現れ、保存安定性が不良となり、ノズルの目詰まりを引き起こす等の問題を依然として抱えている。
以上のように、特にインクジェット記録方式に用いられるインクの諸特性は、色素固有の特性に影響されるところが大きく、前記の諸要求特性を満たす色素の創出が極めて重要である。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−340835号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機溶媒への溶解性が高く、耐水性に優れ、さらに耐光性、樹脂との相溶性に優れた色素、並びにこれを用いた、耐水性、耐光性、かつ保存安定性に優れたインクジェット記録方式に最適のマゼンタ色系のインクジェット記録用水系インクを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、一般式(1)で表される化合物が、上記目的に適う色素であることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は、次の通りである。
▲1▼ 少なくとも水に不溶の色素、水および樹脂を主成分とし、エマルションを形成しているインクジェット記録用水系インクにおいて、色素として一般式(1)(化3)で表されるアントラピリドン系化合物を1種以上含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク
【0009】
【化3】
【0010】
[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を表し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換または無置換のアルキル基を表し、R5は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を表す。]
▲2▼ 一般式(1)において、R2、およびR3が、それぞれ独立に、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基である▲1▼記載のインクジェット記録用水系インク。
▲3▼ 1種以上の一般式(1)(化4)で表されるアントラピリドン系化合物で着色された樹脂微粒子
【0011】
【化4】
【0012】
[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を表し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換または無置換のアルキル基を表し、R5は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を表す。]
▲4▼ ▲3▼記載の着色された樹脂微粒子を水媒体中に分散してなる分散体。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくとも水に不溶の色素、水および樹脂を主成分としエマルションを形成しているインクジェット記録用水系インクにおいて、水に不溶の色素が前記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のマゼンタ色系色素であるインクジェット用インク、ならびに該化合物で着色された樹脂微粒子、さらには該着色樹脂微粒子を水媒体に分散させた分散体である。
本発明に係る色素、即ち、本発明のインクジェット記録用水系インクに好ましく用いられる色素は、一般式(1)で表される化合物から選ばれるマゼンタ色系色素[以下、インクジェット記録用色素ともいう]である。
【0014】
一般式(1)で表される化合物において、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を表し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換または無置換のアルキル基を表し、R5は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を表す。
【0015】
一般式(1)のR1〜R5における置換または無置換のアルキル基のうち、無置換のアルキル基とは、総炭素数1〜20の直鎖、分岐、または、環状のアルキル基のことを指す。その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、sec−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、1,2,3−トリメチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,3,3−トリメチルブチル基、2,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−1−メチルブチル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−エチル−3−メチルブチル基、2−エチル−1−メチルブチル基、2−エチル−3−メチルブチル基、1−n−プロピルブチル基、1−iso−プロピルブチル基、1−iso−プロピル−2−メチルプロピル基、メチルシクロヘキシル基、n−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,2−ジメチルヘキシル基、1,3−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3,5−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、4,5−ジメチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基 4−エチルヘキシル基、1−n−プロピルペンチル基、2−n−プロピルペンチル基、1−iso−プロピルペンチル基、2−iso−プロピルペンチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1−エチル−3−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、2−エチル−1−メチルペンチル基、2−エチル−2−メチルペンチル基、2−エチル−3−メチルペンチル基、2−エチル−4−メチルペンチル基、3−エチル−1−メチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、3−エチル−3−メチルペンチル基、3−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,2−トリメチルペンチル基、1,1,3−トリメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1,2,2−トリメチルペンチル基、1,2,3−トリメチルペンチル基、1,2,4−トリメチルペンチル基、1,3,4−トリメチルペンチル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、1,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,3−トリメチルペンチル基、3,3,4−トリメチルペンチル基、1,4,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、3,4,4−トリメチルペンチル基、1−n−ブチルブチル基、1−iso−ブチルブチル基、1−sec−ブチルブチル基、1−tert−ブチルブチル基、2−tert−ブチルブチル基、1−n−プロピル−1−メチルブチル基、1−n−プロピル−2−メチルブチル基、1−n−プロピル−3−メチルブチル基、1−iso−プロピル−1−メチルブチル基、1−iso−プロピル−2−メチルブチル基、1−iso−プロピル−3−メチルブチル基、1,1−ジエチルブチル基、1,2−ジエチルブチル基、1−エチル−1,2−ジメチルブチル基、1−エチル−1,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2,3−ジメチルブチル基、2−エチル−1,1−ジメチルブチル基、2−エチル−1,2−ジメチルブチル基、2−エチル−1,3−ジメチルブチル基、2−エチル−2,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルシクロヘキシル基、1,3−ジメチルシクロヘキシル基、1,4−ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0016】
一般式(1)のR1〜R5における置換または無置換のアルキル基のうち、置換のアルキル基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基などの置換基で置換された総炭素数1〜20の直鎖、分岐、または、環状のアルキル基などが挙げられるが、置換基はこれらに限定されるわけではない。
【0017】
ハロゲン原子で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロエチル基、クロロエチル基、ブロモエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラクロロエチル基、ヘキサフルオロ−iso−プロピル基、クロロオクチル基、クロロエチルヘキシル基、フルオロドデシル基、クロロオクタデシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0018】
ヒドロキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ジヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ジヒドロキシプロピル基、トリヒドロキシプロピル基、ヒドロキシオクチル基、エチルヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシオクタデシル基などが挙げられる。しかし、これらに限定されるわけではない。
【0019】
シアノ基で置換されたアルキル基の具体例としては、シアノメチル基、シアノエチル基、ジシアノエチル基、シアノプロピル基、ジシアノプロピル基、トリシアノプロピル基、シアノオクチル基、シアノエチルヘキシル基、シアノドデシル基、シアノオクタデシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0020】
アルコキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペントキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペントキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、ペントキシプロピル基、ヘキシルオキシプロピル基、シクロヘキシルオキシプロピル基、メトキシエトキシプロピル基、メトキシオクチル基、エチルメトキシヘキシル基、エトキシドデシル基、メトキシオクタデシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0021】
アリールオキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、フェノキシメチル基、メチルフェノキシメチル基、フェノキシエチル基、メチルフェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、メチルフェノキシプロピル基、フェノキシオクチル基、3−フェノキシ−2−エチルヘキシル基、フェノキシドデシル基、フェノキシオクタデシル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0022】
アリール基で置換されたアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基の総炭素数7〜20のアラルキル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
一般式(1)のR1〜R3おける置換または無置換のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基、5−メチル−2−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、7−メチル−2−ナフチル基、8−メチル−2−ナフチル基、2−エチル−1−ナフチル基などの炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が置換したアリール基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,6−ジメトキシフェニル基、2,3,4−トリメトキシフェニル基、2,3,5−トリメトキシフェニル基、2,3,6−トリメトキシフェニル基、2,4,5−トリメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基、ブトキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、3−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、5−メトキシ−1−ナフチル基、6−メトキシ−1−ナフチル基、7−メトキシ−1−ナフチル基、8−メトキシ−1−ナフチル基、1−メトキシ−2−ナフチル基、3−メトキシ−2−ナフチル基、4−メトキシ−2−ナフチル基、5−メトキシ−2−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、8−メトキシ−2−ナフチル基、2−エトキシ−1−ナフチル基などの炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基が置換したアリール基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、ヨードフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などのハロゲン原子が置換したアリール基、トリフルオロメチルフェニル基等のハロゲン化アルキル基が置換したアリール基、N−メチルアミノフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、N−エチルアミノフェニル基、N,N−ジエチルアミノフェニル基、N−フェニル−N−メチルアミノフェニル基、N−トリル−N−エチルアミノフェニル基、N−クロロフェニル−N−シクロヘキシルアミノフェニル基、N,N−ジトリルアミノフェニル基、N,N−ジプロピルアミノフェニル基、N−(n−オクチル)アミノフェニル基、N,N−ジ(n−オクチル)アミノフェニル基、N−(2−エチルヘキシル)アミノフェニル基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノフェニル基、N,N−ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)アミノフェニル基、N−ドデシルアミノフェニル基、N,N−ジドデシルアミノフェニル基、N−オクタデシルアミノフェニル基、N,N−ジオクタデシルアミノフェニル基などのN−モノ置換アミノ置換アリール基、および、N,N−ジ置換アミノアリール基が挙げられ、他にメチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、メチルチオナフチル基、フェニルチオフェニル基などのアルキルチオアリール基、アリールチオアリール基などが挙げられる。その他の置換アリールの例としては、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、シアノフェニル基、ジシアノフェニル基、ジニトロクロロフェニル基、ジニトロブロモフェニル基、ジニトロヨウドフェニル基、ジニトロシアノフェニル基、ニトロジクロロフェニル基、ニトロジブロモフェニル基、ニトロジシアノフェニル基、フェニルアゾフェニル基、フェニルアゾナフチル基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】
一般式(1)のR4におけるハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0025】
本発明の一般式(1)で表される化合物のうち、好ましいものとしては、化合物の油溶性および耐水性の観点から、一般式(1)のR2、R3のうちの少なくとも一方が、炭素数が8以上のアルキル基であるもの、または、置換基として炭素数が8以上のアルキル基を有するアリール基であるものが挙げられる。また、より好ましいものとしては、一般式(1)のR2、R3のいずれもが、炭素数が8以上のアルキル基であるもの、または、一般式(1)のR2、R3のうちの少なくとも一方が、置換基として炭素数が8以上のアルキル基を2つ以上有するアリール基であるものが挙げられる。
【0026】
一般式(1)で表される化合物の具体例を第1表(表1〜表3)に示す。第1表中のR1〜R5は、一般式(1)のR1〜R5に対応するものとする。なお、一般式(1)で表される化合物は第1表の化合物に限定されるものではない。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
本発明の一般式(1)で表される化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法で製造することができる。
一般式(2)で表されるアントラキノン化合物、一般式(3)で表されるカルボン酸、および、TiCl4を、ピリジンとトルエンの混合溶媒中に装入後、加熱撹拌し、一般式(2)と一般式(3)の化合物を縮合させ、一般式(4)で表されるアントラピリドン化合物を合成する。貧溶媒に排出するなどの方法で一般式(4)で表される化合物を取り出したのち、一般式(4)で表される化合物、一般式(5)で表されるアミン、および、CuClを、ピリジン中に装入後、加熱撹拌し、一般式(6)で表されるアントラピリドン化合物を合成する。次いで、貧溶媒に排出するなどの方法で一般式(6)で表される化合物を取り出したのち、一般式(6)で表される化合物、一般式(7)で表されるハロゲン化化合物、および、炭酸カリウムをN,N−ジメチルホルムアミド中に装入後、加熱撹拌し、一般式(1)で表される化合物を合成する。その後、貧溶媒に排出し、洗浄、乾燥するなどの方法により、一般式(1)で表される化合物を単離することが出来る。
【0031】
【化5】
【0032】
[式中、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、または、置換または無置換のアリール基を表し、R4は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換または無置換のアルキル基を表し、R5は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基を表す。]
このようにして得られたアントラピリドン化合物は、色素として、色相が鮮明で、耐水性に優れ、有機溶媒への溶解性が高く、かつ保存安定性に優れている。
【0033】
本発明で用いる一般式(1)で表される化合物は、各種インク、特にインクジェット記録方式用の色素として有用である。該色素はそのままでも使用可能であるが、特にインクジェット記録方式用の色素として用いる場合、色素中に含まれる無機物等による記録装置の吐出ノズルの目詰まりを防止するために、例えば、イオン交換樹脂や限外濾過による脱塩処理や、その他の脱塩処理方法等により、あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製を行ってもよい。
【0034】
本発明のインクジェット記録用インクは、一般式(1)で表される色素、水、樹脂を主成分とするものであり、乳化工程において一般式(1)で表される色素により着色された樹脂微粒子が分散したエマルションの形態のインクである。また、本発明のインクジェット記録用インクには、必要に応じて、有機溶剤、添加剤等を配合していてもよい。一般式(1)で表される色素は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよく、また、その他の構造の異なった色素を混合してもよい。
【0035】
本発明のインクジェット記録用インクにおいて、着色樹脂微粒子を構成する樹脂としては、その表面にイオン性基を有するものであれば良く、例えば、ポリエステル系樹脂、ビニル重合体、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリウレタン系樹脂等の様々な樹脂を用いることができる。
【0036】
ポリエステル系樹脂としては、多価カルボン酸類と多価アルコール類から構成され、単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。多価カルボン酸類としては、特に限定されるものではなく、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フマ−ル酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等で示される芳香族多価カルボン酸、芳香族オキシカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸等が挙げられ、これらは金属塩、アンモニウム塩等としても使用できる
多価アルコール類としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエルスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、ビスフェノールA、ラクトン系ポリエステルポリオール類等で示される脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類、芳香族多価アルコール類等が挙げられる。また、前記の多価カルボン酸類と多価アルコール類との単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させたポリエステル樹脂は、通常知られている末端封止可能な化合物を用いて、高分子鎖の末端の極性基を封止したものを使用することもできる。
【0037】
ビニル重合体、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等の樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、以下に挙げる重合性単量体から得られるものが挙げられる。
【0038】
この重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル系芳香族炭化水素、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシルアクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等等の(メタ)アクリル酸エステル系、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、(メタ)アクリルアミド、N−置換マレイミド、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、ビニルケトン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等の単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。
【0039】
ポリウレタン系樹脂としては、イソシアネート類とイソシアネート類と反応し得る官能基を有する化合物から構成され、単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。
【0040】
イソシアネート類としては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α、α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン等の脂肪族ポリイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマ酸ジイソシアネート、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,1,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,1,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、ノルボルナンビス(イソシアナトメチル)等の脂環族ポリイソシアネート、
フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピレンフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4−4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4−メチル−ジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、フェニルイソシアナトメチルイソシアネート、フェニルイソシアナトエチルエチルイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ベンゾフェノンジイソシアネート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ジベンゾフランジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、ジクロロカルバゾールジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオプロピルジイソシアネート、ジシクロヘキシルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート等の含硫脂肪族イソシアネート、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4、4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族スルフィド系イソシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネート等の脂肪族ジスルフィド系イソシアネート、
ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族スルホン系イソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル等のスルホン酸エステル系イソシアネート、4−メチル−4’−イソシアネート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネート等の芳香族スルホン酸アミド、チオフェン−2,5−ジイソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナトメチル等の含硫複素環化合物等が挙げられる。
【0041】
前記イソシアネート類と反応し得る官能基を有する化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグリコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレンエーテルグリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5,2,1,02,6 ]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4,3,0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカンジオール、ビシクロ[4,3,0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカン−エタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5,3,1,1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール、
ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトレヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガオール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールS等の芳香族ポリオール、ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フランジメタノールの他にシュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、ピロメリット酸等の有機酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキシドや、プロピレンオキシド等アルキレンオキシドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとアルキレンオキシドとの付加反応生成物、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、及びこれらのカプロラクトン変性品、
2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3ーメルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルフォン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
【0042】
この他、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、α,α’−メチレンビス(2ークロルアニリン)3,3’−ジクロル−α,α’−ビフェニルアミン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、N−メチル−3,3’−ジアミノプロピルアミン、ノルボルネンジアミン等のポリアミノ化合物、ポリチオール化合物、セリン、リシン、ヒスチジン、等のα−アミノ酸、更にこれら上記の活性水素化合物のハロゲン置換体も使用することが出来る。これらはそれぞれ単独で用いることも、また2種類以上混合して用いても良い。これらの樹脂は、単独あるいは2種類以上混合させて用いることもできるが、なんらこれらに限定されるものではない。
【0043】
また、これらの樹脂は、その表面にイオン性基を含有することによって優れた水分散性を発現する。
このようなイオン性基としてはスルホン酸基、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基もしくはこれらのアルカリ金属塩基やアンモニウム塩基、または第1級〜第3級アミン基等を例示することができ、カルボン酸アルカリ金属塩基、カルボン酸アンモニウム塩基、スルホン酸アルカリ金属塩基およびスルホン酸アンモニウム塩基が好ましく、特にスルホン酸アルカリ金属塩基およびスルホン酸アンモニウム塩基が水分散安定性の点で好ましい。イオン性基の導入は、樹脂合成時にイオン性基を有する単量体を添加すればよい。
【0044】
例えば、ポリエステル系樹脂にイオン性基としてカルボン酸アルカリ金属塩基またはカルボン酸アンモニウム塩基を導入する場合には、ポリエステルの重合末期にトリメリット酸等の多価カルボン酸を系内に導入することにより、樹脂末端にカルボキシル基を付加し、さらにこれをアンモニア、水酸化ナトリウム等にて中和することによりカルボン酸塩の基に交換する方法を用いることができる。
【0045】
また、ポリエステル系樹脂微粒子にイオン性基としてスルホン酸アルカリ金属塩基またはスルホン酸アンモニウム塩基を導入する場合には、スルホン酸アルカリ金属塩基またはスルホン酸アンモニウム塩基を有するモノまたはジカルボン酸を系内に導入することにより、これらのイオン性基をポリエステル樹脂に導入することができる。塩としては、アンモニウム系イオン、Li、Na、K、Mg、Ca、Cu、Fe等が挙げられ、特に好ましいものはKまたはNaである。
【0046】
本発明のインクジェット記録用インクは、
▲1▼前記の重合性単量体にインクジェット記録用色素を溶解あるいは分散させた後、乳化重合を行い、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行う方法、
▲2▼重合を行い前記の樹脂を得た後、インクジェット記録用色素を直接添加し、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行う方法、
▲3▼水溶性有機溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)や通常知られている造膜助剤(例えば、テキサノール、N,N−ジメチルピロリドン等)にインクジェット記録用色素を溶解あるいは分散させたものを、重合を行った前記の樹脂に加え、また、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行い、さらに必要に応じて水溶性有機溶媒を留去する方法、
▲4▼水不溶性有機溶媒(例えば、トルエン等)にインクジェット記録用色素を溶解あるいは分散させたものを、重合を行った前記の樹脂に加え、また、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行い、さらに必要に応じて水不溶性有機溶媒を留去する方法、
あるいは、▲5▼前記の樹脂の水系分散体を得た後、インクジェット記録用色素を加えて、高温処理を行う高温染色法、等によって製造される。
【0047】
なお、製造に際しては、不溶物を除去するため、メンブランフィルター等の微小孔径のフィルターで濾過することもある。
乳化して得られた水系分散体中の着色樹脂微粒子は、平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましく、さらに0.05〜0.8μmであることが特に好ましい。平均粒径が小さすぎると画像濃度の低下や耐水性の低下を引き起こす可能性があり、また、大きすぎるとインク中における分散安定性が低下して沈降物が生じ保存安定性が悪くなる問題や、ノズルの目詰まり等の問題を引き起こす可能性がある。
【0048】
着色樹脂微粒子中の色素の含有量は、用途、目的、色素の種類、インク組成、インクの印字濃度、目詰まり性にもよるが、樹脂中に、1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%である。インク用色素の含有量が少ないと十分な記録画像を得ようとした際、多量のインクを必要とし、記録装置の印字ヘッドや記録紙に負荷がかかる。また、色素の含有量が多いと色素が樹脂粒子から析出し易くなりインク中に析出物を生じ、印字ヘッドの目詰まり等を引き起こす。
【0049】
また、本発明のインクジェット記録用インクには、インクの色調を調製するために、その他の色素や、インク特性を損なわない程度に、公知の染料や顔料をエマルジョンあるいは微分散状態に処理したものを添加しても差し支えない。また、インク中の着色樹脂微粒子の含有量は1〜50重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0050】
本発明のインクには、必要に応じて、インクの保湿性、表面張力、粘度、乾燥速度等を調整するために、水溶性有機溶媒を含有させてもよい。
水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、チオグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、グリセリン等を用いることができる。これらの水溶性有機溶媒を含有させる場合には、インク全量に対して1〜30重量%含有させることが好ましい。
【0051】
また、インクの保存安定性を向上させるためにインクのpHを7〜10に調整することが好ましい。pH調整剤としては、NaHCO3 、Na2 B4 O7 、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
【0052】
さらにまた、本発明のインクには、従来使用されている種々の添加剤を必要に応じて加えることができる。例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、分散安定剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、マスキング剤、防かび剤、防腐剤、粘度調節剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗値調整剤、近赤外線吸収剤、浸透剤等の添加剤が挙げられる。
【0053】
前記成分から構成される本発明のインクは、インクジェット記録方式のインクとして使用する以外に、筆記用具等のインクとしても使用可能であり、記録特性、保存安定性、被記録材への定着性、記録画像の鮮明性、耐光性、耐水性等に優れたものである。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は重量部を示す。
実施例1
・式(8)(化6)で表される中間体の合成例
フラスコ中に1―アミノ−4−ブロモ−2−メチルアントラキノン3.2部、ブタン酸0.9部、ピリジン20部、および、トルエン20部を装入し、撹拌した。そこにTiCl4を7部、滴下装入し、装入後加熱し、110℃くらいで撹拌した。2時間後加熱を止め室温まで冷却した。ここにメタノール20部と水200部を装入すると結晶が析出した。1時間撹拌後、濾過して結晶を取り出し、この結晶を水で洗浄したのち乾燥し、式(8)で表される中間体を3.5部得た(収率94%)。
【0055】
【化6】
【0056】
・化合物No.1の合成例
式(8)で表される中間体4.0部、n−オクタデシルアミン2.7部、ピリジン50部、および、CuClを0.2部、フラスコ中に装入し、100〜110℃で14時間撹拌した。室温まで冷却後、氷水中に排出し、析出した結晶を水洗、乾燥し、第1表中の化合物No.1を6.0部得た(収率98%)。得られた化合物は元素分析およびFD−MS分析により確認した。各物性を評価した。
【0057】
着色樹脂微粒子分散液(A)の製造例
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブ中に、ジメチルテレフタレート180部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル10部、エチレングリコール130部、トリシクロデカンジメタノール25部、テトラブトキシチタネート0.1部を装入し、180〜220℃で約3時間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、反応混合物を240℃まで加熱した後、オートクレーブ内の圧力を10mmHgまでゆっくりと下げ、1時間反応を続けた。オートクレーブ内の圧力を大気圧まで戻し、共重合ポリエステル樹脂を得た。次に、得られたポリエステル樹脂100部、メチルエチルケトン150部、テトラヒドロフラン150部、および、第1表の化合物No.1を10部混合した後、水600部を添加し、さらに混合した。この混合物を0.8ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、加熱して溶剤を留去させた。冷却後、水を加えて固形分濃度を20重量%とし、着色樹脂微粒子分散液(A)を得た。分散液中に分散している微小樹脂粒子は、平均粒径0.2μmを有するマゼンタ色に着色された樹脂の微小粒子であった。
【0058】
特性の評価
該着色樹脂微粒子分散液(A)にグリセリンおよび水を添加し、固形分15重量%を含有する水系インクを得た。この水系インクを用い、ピエゾ方式インクジェットプリンター用インクカートリッジに充填し、同方式プリンターにより印字及び画像記録を行い、下記の項目について試験を行った。その結果を第2表(表4)に示す。
【0059】
なお、各試験項目の評価基準は下記の通りである。
(A)乳化評価:エマルションインク作製時における乳化の状況を目視にて評価した。
(B)画像評価:普通紙に画像を形成させ、滲み状態を目視により判定した。
【0060】
(C)画像記録濃度評価:画像記録された普通紙を、反射濃度計(マクベス社製)を用い、記録濃度(OD値)を測定し、画像記録濃度評価を行った。
(D)耐水性評価:試験の画像記録された普通紙の印字部分を、水に漬ける前と水に漬けて自然乾燥後の印字濃度(OD値)を反射濃度計で測定し、OD1を比較して耐水性評価を行った。
OD1=(水に漬けて自然乾燥後のOD値)/(水に漬ける前のOD値)× 100[%]
(E)耐光性評価:キセノンフェードメーター(スガ試験機社製)を用い、照射前と100時間照射した後の印字濃度(OD値)を測定し、OD2を比較して耐光性評価を行った。
OD2=(照射後のOD値)/(照射前のOD値)×100[%]
(F)インクの保存安定性評価:水系インクの保存安定性(40℃、1ヶ月間保存)を評価するため、保存した後の水系インクの状態を目視にて観察し、また上記プリンターで長時間連続記録して、目詰まりの有無を観察した。
【0061】
実施例2
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブ中に、ジメチルテレフタレート 150部、ジメチルイソフタレート 50部、5ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル5部、エチレングリコール 150部、ネオペンチルグリコール 250部、テトラブトキシチタネート 0.1部を装入し、180〜220℃で約3時間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、反応混合物を240℃まで加熱した後、オートクレーブ内の圧力を10mmHgまでゆっくりと下げ、1時間反応を続けた。オートクレーブ内の圧力を大気圧までもどし、共重合ポリエステル樹脂を得た。
次に、得られたポリエステル樹脂100部、メチルエチルケトン150部、テトラヒドロフラン150部、第1表の化合物No.1を10部混合した後、水600部を添加し、さらに混合した。この混合物を0.8ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、加熱して溶剤を留去させた。冷却後、水を加えて固形分濃度を20重量%とし、着色樹脂微粒子分散液(B)を得た。分散液中に分散している微小樹脂粒子は平均粒径0.3μmを有するマゼンタ色に着色された樹脂の微小粒子であった。
該着色樹脂微粒子分散液にグリセリンおよび水を添加し、固形分15重量%を含有する水系インクを得た。実施例1と同様にインク特性の評価を行った結果を第2表(表4)に示す。
【0062】
実施例3〜15
第1表記載のインクジェット記録用色素を用い、実施例1あるいは2の方法でインクを作製し、該インク特性の評価を行い、その結果を、第2表に示した。なお、第2表(表4)中の「インク製造法」は実施例1、2のいずれかの方法を示す。
【0063】
【表4】
【0064】
本発明のインクジェット記録用色素を用いた全ての水系インクは、特に耐水性に優れ、長期に渡る保存安定性に優れたものであった。また、記録画像においても良好で滲みもなく、耐光性に優れたものであった。
【0065】
比較例1
第1表の化合物No.1の化合物に代え、C.I.Solvent Red 3を用いた以外は、実施例1の方法でインク化を試みたところ、乳化が困難でありインク化できなかった。
【0066】
比較例2
第1表の化合物No.1の化合物に代え、C.I.Disperse Red9を用いた以外は、実施例1の方法でインク化を試みたところ、乳化が困難でありインク化できなかった。
【0067】
【発明の効果】
本発明に係るマゼンタ色系色素は、特に耐水性に優れており、更に、耐光性、樹脂との相溶性に優れ、インクジェット記録用水系インク用に好適である。更に、これらの色素を用いて得られる本発明のインクジェット記録用水系インクは、耐光性、保存安定性に優れた性能を示す。特にインクジェット記録方式の水系インクとして使用する場合、水に不溶の該マゼンタ色系色素、水および樹脂を少なくとも主成分とし、エマルションを形成してなるインク組成物を用いて、高品位で滲みのない画像を形成可能となり、記録画像も耐水性に優れた特性を有する。
すなわち、本発明は、高品位の画像を与えるインクジェット記録用水系インク、これに用いる耐光性、保存安定性に優れたマゼンタ色系色素およびこの色素を用いた樹脂微粒子、並びにこの微粒子を水に分散した分散体を提供することが出来る。
Claims (4)
- 一般式(1)において、R2、およびR3が、それぞれ独立に、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基である請求項1記載のインクジェット記録用水系インク。
- 請求項3記載の着色された樹脂微粒子を水媒体中に分散してなる分散体。
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Cited By (3)
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JP2005146002A (ja) * | 2003-11-11 | 2005-06-09 | Konica Minolta Holdings Inc | 着色組成物、着色微粒子分散物、インクジェット用インク及びインクジェット記録方法 |
WO2011077751A1 (ja) * | 2009-12-25 | 2011-06-30 | キヤノン株式会社 | 中枢神経系組織標識用組成物、中枢神経系組織の標識方法、及び中枢神経系組織標識用組成物を用いたスクリーニング方法 |
JP2013047336A (ja) * | 2011-07-27 | 2013-03-07 | Canon Inc | 顔料分散体、該顔料分散体を用いたカラーフィルター用レジスト組成物及びインク組成物 |
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2003
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