JP2004292434A - 光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 プロキラルなカルボニル化合物を不斉水素化し、対応する光学活性アルコールを高い鏡像体過剰率で、かつ高収率に工業的に有利に製造する方法を提供する。
【解決手段】 プロキラルなカルボニル化合物を不斉水素化して光学活性アルコールを得る際に、ロジウム錯体あるいはその塩、特定の光学活性ジホスフィン、特定の光学活性ジアミンの存在下において、塩基を添加せずに水素添加することを特徴とする光学活性アルコールの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 プロキラルなカルボニル化合物を不斉水素化して光学活性アルコールを得る際に、ロジウム錯体あるいはその塩、特定の光学活性ジホスフィン、特定の光学活性ジアミンの存在下において、塩基を添加せずに水素添加することを特徴とする光学活性アルコールの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プロキラルなカルボニル化合物を不斉水素化して光学活性アルコールを製造方法に関する。
本発明方法の目的化合物である光学活性アルコールは種々の医薬や農薬の原料・中間体として有用である。
光学活性アルコールを得る方法として、プロキラルなカルボニル化合物を不斉金属錯体触媒の存在下で不斉水素化する方法がある。特許文献1には、遷移金属触媒、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物などの塩基、及び光学活性含窒素化合物の存在下でカルボニル化合物を不斉水素化する方法が開示されている。特許文献2には、特定の光学活性ホスフィンと特定の光学活性ジアミンが配位したルテニウム錯体を触媒として使用し、カルボニル化合物を水素化する方法が開示されている。しかしながら、カルボニル化合物や触媒によっては、塩基を添加することにより、反応の進行を抑制することや、得られる光学活性アルコールの鏡像体過剰率の低下を引き起こすこともあった。また、カルボニル化合物によっては、特許文献2に記載されている特定の光学活性ホスフィンと特定の光学活性ジアミンが配位したルテニウム錯体を使用した場合でも、満足する鏡像体過剰率を有するアルコールが得られないことがあった。
非特許文献1には、プロキラルなカルボニル化合物を、特定の光学活性(ヒドロキシアルキルフェロセニル)ホスフィンを配位したロジウム錯体の存在下に水素化する方法が開示されている。しかしながら、カルボニル化合物によっては、満足する鏡像体過剰率を有するアルコールが得られないことがあった。
医薬の原料・中間体として有用な光学活性アルコールの一つとして、光学活性3−キヌクリジノールがある。特許文献3には、3−キヌクリジノンおよびそのルイス酸との付加物、およびこれらに対応する特定の第三および第四塩からなる化合物から選んだキヌクリジノン誘導体を、キラルなジホスフィンを有するロジウム、イリジウムまたはルテニウム錯体の存在下に水素化する方法が開示されている。しかしながら、3−キヌクリジノンを不斉水素化した場合は、得られる光学活性3−キヌクリジノールの鏡像体過剰率が20%以下と極めて低かった。3−キヌクリジノンの第三および第四塩では鏡像体過剰率は向上するが、三級塩化や四級塩化、さらに水素化後に3−キヌクリジノール遊離体にする煩雑な工程が必要であった。いずれも、工業的に満足のできる方法ではなかった。
特開平8−225466号公報
特開平11−189600号公報
特開平9−194480号公報
Tetrahedron Lett., 48, 4351(1976)
本発明が解決しようとする課題は、プロキラルなカルボニル化合物を不斉水素化し、対応する光学活性アルコールを高い鏡像体過剰率で、かつ高収率に工業的に有利に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、プロキラルなカルボニル化合物を不斉水素化して光学活性アルコールを得る際に、ロジウム錯体あるいはその塩、光学活性ジホスフィン及び光学活性ジアミンの存在下において、塩基を添加せずに水素添加することにより、所望する鏡像体の含有率の高い光学活性アルコールを得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するための第1の発明は、プロキラルなカルボニル化合物を不斉水素化して光学活性アルコールを得る際に、ロジウム錯体あるいはその塩、一般式(1)
上記課題を解決するための第2の発明は、上記第1の発明であって、光学活性ジホスフィン配位子が、一般式(3)
上記課題を解決するための第3の発明は、上記第1あるいは第2の発明であって、プロキラルなカルボニル化合物が3−キヌクリジノンであることを特徴とするものである。
本発明によれば、プロキラルなカルボニル化合物から、高収率かつ高い鏡像体過 剰率で対応する光学活性アルコールを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における、プロキラルなカルボニル化合物としては、2−ブタノン、3−メチル−2−ブタノン、シクロヘキシルメチルケトン、4−アミノ−2−ブタノン、3−アセチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアミノアセトンなどカルボニル基に置換基を有していてもよい飽和炭化水素基が結合したプロキラルなケトン;メチルベンジルケトン、アセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、3’−アミノアセトフェノン、2−アセチルナフタレン、2−アセチルフラン、3−アセチルピリジンなどカルボニル基に置換基を有していてもよい飽和炭化水素基および、置換基を有していてもよい芳香族単環または多環式基あるいはヘテロ芳香族単環または多環式基など不飽和炭化水素基が結合したプロキラルなケトン;2−ベンゾイルナフタレン、1−イソキノリニルフェニルケトンなどカルボニル基に置換基を有していてもよい芳香族単環または多環式基あるいはヘテロ芳香族単環または多環式基など不飽和炭化水素基が結合したプロキラルなケトン;2−メチルシクロヘキサノン、β−テトラロン、2,3−ジヒドロ−1H−キノリン−4−オン、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−4−オン、3−キヌクリジノンなど置換基を有してもよいプロキラルな環状ケトンなどを挙げることができる。置換基としては、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、カルボニル基、アミド基などが例示できる。
使用するロジウム錯体あるいは塩については、光学活性ジホスフィン及び光学活性ジアミンが容易に配位子置換できる構造の化合物であれば、特に制限はない。例えば、クロロ(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、ブロモ(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、ヨード(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、クロロ(シクロオクタジエン)(ピペリジン)ロジウム(I)、クロロ(シクロオクタジエン)(p−トルイジン)ロジウム(I)、クロロ(ノルボルナジエン)ロジウム(I)ダイマー、アセタト(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、L-マンデレート(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、ジクロロテトラエチレンニロジウム(I)、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレートなどが挙げられる。ロジウムの原子価は、配位子の種類及び溶媒等の外的条件により変化するために、原子状態から種々のイオンの価数までとり得る。具体的には0〜+3であり、水素化反応における触媒調製段階において、ロジウムの原子価が+1であることが望ましい。
前記一般式(1)で示される光学活性ジホスフィン中のリン原子に結合するR1、R2、R3及びR4としては、互いに独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などを挙げることができる。フェロセン骨格内のシクロペンタジエニル基に結合するR5及びR6としては、互いに独立に、水素原子、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基;ビニル基などのアリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、2−メチルフェニル基などのアリール基;2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシエチル基、(1R)−1−ヒドロキシエチル基、(1S)−1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、(1R)−1−ヒドロキシプロピル基、(1S)−1−ヒドロキシプロピル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、1−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、(1R)−1−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、(1S)−1−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−メトキシエチル基、1−メトキシエチル基、(1R)−1−メトキシエチル基、2−アセチルエチル基、1−アセチルエチル基、(1R)−1−アセチルエチル基、(1S)−1−アセチルエチル基、1−フェニルヒドロキシメチル基、(1R)−1−フェニルヒドロキシメチル基、(1S)−1−フェニルヒドロキシメチル基、アセチル基、アセトアミド基などの置換基として水酸基、アミノ基、アルコキシ基、カルボニル基、アミド基を有する炭化水素基を挙げることができる。
前記一般式(1)で表される光学活性ジホスフィンとしては、(R)−1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニルエタン、(S)−1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニルエタン、(S)−1−[(R)−1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エタノール(以下、「(S,R)−BPPFOH」と略称する)、(R)−1−[(S)−1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エタノール(以下、「(R,S)−BPPFOH」と略称する)、(S)−N,N−ジメチル−1−[(R)−1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン(以下、「(S,R)−BPPFA」と略称する)、(R)−N,N−ジメチル−1−[(S)−1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン(以下、「(R,S)−BPPFA」と略称する)などを挙げることができる。好ましくは、(S,R)−BPPFOH、(R,S)−BPPFOH、(S,R)−BPPFA、(R,S)−BPPFAなど、R5あるいはR6が不斉中心を有する基である一般式(1)で示される光学活性ジホスフィンである。さらに好ましくは、(S,R)−BPPFOH、(R,S)−BPPFOHなど、一般式(3)もしくは(4)で示される光学活性ジホスフィンである。
前記一般式(2)で示される光学活性ジアミンとしては、(1S,2S)−DPEN:(1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン、(1R,2R)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン(以下、「(1R,2R)−DPEN」と略称する)、(1S,2S)−1,2−シクロヘキサンジアミン、(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジアミン、(2S,3S)−2,3−ブタンジアミン、(2R,3R)−2,3−ブタンジアミン、(2S)−1,1−ビス(p−メトキシフェニル)−2−イソプロピル−1,2−エタンジアミン(以下、「(S)−DAIPEN」と略称する)、(2R)−1,1−ビス(p−メトキシフェニル)−2−イソプロピル−1,2−エタンジアミン(以下、「(R)−DAIPEN」と略称する)、(2S)−1,1−ビスナフチル−2−メチル−1,2−エタンジアミン、(2R)−1,1−ビスナフチル−2−メチル−1,2−エタンジアミン、(1S,2S)−TsDPEN:N−(p−トルエンスルホニル)−(1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン、N−(p−トルエンスルホニル)−(1R,2R)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン(以下、「(1R,2R)−TsDPEN」と略称する)などを挙げることができる。より好ましくは、光学活性DPEN、光学活性DAIPEN、もしくは光学活性TsDPENである。
ロジウム錯体あるいはその塩の使用量は、カルボニル化合物や触媒の種類によって異なるが、カルボニル化合物に対して、通常、1/50〜1/10000倍モル、好ましくは、1/500〜1/2000倍モルである。1/10000倍モル未満では反応が極めて遅くなり未反応のカルボニル化合物が残存し易くなるので好ましくない。1/50倍モルを越えて使用しても、特段の効果は見られず、経済的に不利なので好ましくない。
前記一般式(1)で表される光学活性ジホスフィンの使用量は、ロジウムに対して、1.0〜1.5倍モルであることが望ましい。1.0倍モル未満では、得られる光学活性アルコールの鏡像体過剰率が著しく低下する。1.5倍モルを超えて使用すると、触媒の反応性を低下させるので好ましくない。
前記一般式(2)で表される光学活性ジアミンの使用量は、ロジウムに対して0.5〜2.0倍モルであることが望ましい。0.5倍モル未満では、得られる光学活性アルコールの光学収率が著しく低下する。2.0倍モルを超えて使用すると、触媒の反応性を著しく低下させるので好ましくない。
不斉水素化反応に使用する溶媒は、カルボニル化合物及び触媒を可溶化するものであれば、特に制限はない。その具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンのような脂肪族及び芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル及びラクトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのようなカルボキサミド及びラクタム類である。これらの溶媒は単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することもできる。基質が液体でかつ、触媒を可溶化するものであれば、溶媒を使用しなくてもよい。
溶媒の使用量は、カルボニル化合物に対して1/10〜10000重量倍であるが、好ましくは1/10〜100倍重量である。溶媒の使用量がカルボニル化合物に対して1/10未満の場合は、カルボニル化合物を溶解するのに不十分で反応性を著しく低下させるので好ましくない。カルボニル化合物に対して、溶媒を10000重量倍を越えて使用しても特段の効果は見られず、経済的に不利なので好ましくない。
水素圧は、0.1〜20MPaまで使用可能であるが、好ましくは0.5〜10MPaが望ましい。水素圧が0.1MPa未満の場合は、反応が極めて遅くなり未反応のカルボニル化合物が残存し易くなるので好ましくない。水素圧が20MPaを超えて使用しても特段の効果は認められず、経済的に不利であるので好ましくない。
反応温度は、通常−50℃〜100℃まで使用可能であるが、好ましくは10〜40℃である。温度が−50℃未満の場合は、反応が極めて遅くなり未反応のカルボニル化合物が残存し易くなるので好ましくない。温度が100℃を越えると、錯体触媒の安定性が著しく低下し、得られる光学活性アルコールの鏡像体過剰率が低下するので好ましくない。
反応終了後は、溶媒抽出、蒸留、再結晶、クロマトグラフィーなど通常の有機合成化学的手法により、単離・精製を行い、目的物を得ることができる。目的物の構造は、1H−NMR、旋光度測定、高速液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフなどの公知の分析手段によって決定することができる。
次に、実施例を示し、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
窒素ガスで置換したグローブボックス内で触媒溶液を調製して、水素化反応に使用した。
水素化反応でのカルボニル化合物の転化率は、ガスクロマトグラフで決定した。得られる光学活性アルコールの鏡像体過剰率(%ee)は、高速液体クロマトグラフで決定した。
試験管にクロロ(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー4.9mg、(S,R)−BPPFOH13.2mg、(1R,2R)−DPEN4.5mgをエタノール2mLに溶解し、触媒溶液を調製した。つづいて、別の試験管に3−キヌクリジノン500mgをエタノール8mLに溶解し、基質溶液を調製した。2つの溶液を混合し、内容積200mLのステンレス製耐圧反応容器内に入れ、水素を水素圧3.5MPaとなるように導入し、30℃で16時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、溶媒を留去した。残渣10mgをメタノール1mLに溶解し、ガスクロマトグラフにより分析したところ、転化率は100%であった。反応液の残渣を無水酪酸と反応させて、3−キヌクリジノール酪酸エステルに変換後、高速液体クロマトグラフにより分析したところ、R−3−キヌクリジノールが鏡像体過剰率68.9%eeで生成していた。
(S,R)−BPPFOH及び(1R,2R)DPENに代えて(R,S)−BPPFOH及び(1S,2S)−DPENを使用した以外は、実施例1と同様に処理した。転化率100%、鏡像体過剰率68.0%eeでS−3−キヌクリジノールが得られた。
(S,R)−BPPFOHに代えて(R,S)−BPPFOHを、3−キヌクリジノン500mgに代えてアセトフェノン480mgを使用した以外は、実施例1と同様に処理した。添加率100%、鏡像体過剰率72.1%eeで(R)−1−フェニルエタノールが得られた。
(S,R)−BPPFOHに代えて(R,S)−BPPFOHを、3−キヌクリジノン500mgに代えてピルビン酸メチル408mgを使用した、実施例1と同様に処理した。添加率100%、鏡像体過剰率93.5%eeで(R)−乳酸メチルが得られた。
試験管にクロロ(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー4.9mg、(S)−1,1’−ビスナフチル−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィン)(以下、「(S)−BINAP」と略称する)13.9mgをTHF2mLに溶解し、触媒溶液を調製した。つづいて、別の試験管に3−キヌクリジノン250mgをエタノール8mLに溶解し、基質溶液を調製した。2つの溶液を混合し、内容積200mLのステンレス製耐圧反応容器内に入れ、水素を水素圧3.5MPaとなるように導入し、30℃で20時間攪拌した。以降、実施例1と同様に処理した。転化率79%、鏡像体過剰率5.6%eeで、R−3−キヌクリジノールが得られた。
試験管にクロロ(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー4.9mg、(S)−BINAP13.9mg、(1R,2R)−DPEN4.7mgをTHF2mLに溶解し、触媒溶液を調製した。別の試験管に3−キヌクリジノン250mgをエタノール8mLに溶解し、基質溶液を調製した。2つの溶液を混合し、内容積200mLのステンレス製耐圧反応容器内に入れ、水素を水素圧3.5MPaとなるように導入し、30℃で20時間攪拌した。以降、実施例1と同様に処理した。転化率21%、鏡像体過剰率5.2%eeで、R−3−キヌクリジノールが得られた。
試験管にクロロ(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー2.5mg、(S,R)−BPPFOH6.6mgをエタノール2mLに溶解し、触媒溶液を調製した。別の試験管に3−キヌクリジノン313mgをエタノール8mLに溶解し、基質溶液を調製した。2つの溶液を混合し、内容積200mLのステンレス製耐圧反応容器内に入れ、水素を水素圧3.5MPaとなるように導入し、30℃で16時間攪拌した。以降、実施例1と同様に処理した。転化率95%、鏡像体過剰率31.6%eeで、R−3−キヌクリジノールが得られた。
試験管にクロロ(シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー4.9mg、(S,R)−BPPFOH13.2mg、(1R、2R)−DPEN4.5mgをエタノール2mLに溶解し、触媒溶液を調製した。別の試験管に3−キヌクリジノン313mg及びt−ブトキシカリウム112mgをエタノール8mLに溶解し、基質溶液を調製した。2つの溶液を混合し、内容積200mLのステンレス製耐圧反応容器内に入れ、水素を水素圧3.5MPaとなるように導入し、30℃で16時間攪拌した。以降、実施例1と同様に処理した。転化率100%、鏡像体過剰率12.1%で、R−3−キヌクリジノールが得られた。
試験管にジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー6.1mg、(S,R)−BPPFOH13.2mg、(1R、2R)−DPEN4.5mgをエタノール2mLに溶解し、触媒溶液を調製した。別の試験管に3−キヌクリジノン500mgをエタノール8mLに溶解し、基質溶液を調製した。2つの溶液を混合し、内容積200mLのステンレス製耐圧反応容器内に入れ、水素を水素圧3.5MPaとなるように導入し、30℃で14時間攪拌した。以降、実施例1と同様に処理した。転化率8%、鏡像体過剰率22.2%eeで、R−3−キヌクリジノールが得られた。
試験管にジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー6.1mg、(R,S)−BPPFOH13.2mg、(1S、2S)−DPEN4.5mgをエタノール2mLに溶解し、触媒溶液を調製した。別の試験管に3−キヌクリジノン250mgとt−ブトキシカリウム112mgをエタノール8mLに溶解し、基質溶液を調製した。2つの溶液を混合し、内容積200mLのステンレス製耐圧反応容器内に入れ、水素を水素圧3.5MPaとなるように導入し、30℃で3日間攪拌した。以降、実施例1と同様に処理した。転化率98%、鏡像体過剰率9.0%eeで、S−3−キヌクリジノールが得られた。
上記の結果を、表1にまとめた。比較例4から、塩基を添加するにより、得られる光学活性アルコールの鏡像体過剰率が低いことは明らかである。また、比較例5および6から、光学活性ホスフィン、光学活性ジアミン、ルテニウム錯体触媒の存在下で水素化した場合は、極めて反応が遅く、得られる光学活性アルコールの鏡像体過剰率も低いことは明らかである。
本発明によれば、プロキラルなカルボニル化合物から、高収率かつ高い鏡像体過剰率で対応する光学活性アルコールを有用に製造することができる。
Claims (3)
- プロキラルなカルボニル化合物を不斉水素化して光学活性アルコールを得る際に、ロジウム錯体あるいはその塩、一般式(1)
- プロキラルなカルボニル化合物が3−キヌクリジノンであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学活性アルコールの製造方法。
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