JP3437623B2 - ルテニウム−ヨード−光学活性ホスフィン錯体の製法、およびこの錯体を用いた光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製法 - Google Patents

ルテニウム−ヨード−光学活性ホスフィン錯体の製法、およびこの錯体を用いた光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製法

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JP3437623B2 JP01311594A JP1311594A JP3437623B2 JP 3437623 B2 JP3437623 B2 JP 3437623B2 JP 01311594 A JP01311594 A JP 01311594A JP 1311594 A JP1311594 A JP 1311594A JP 3437623 B2 JP3437623 B2 JP 3437623B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なルテニウム−ヨ
ード−光学活性ホスフィン錯体の製法に関し、さらに詳
細には、各種の有機合成反応、特に不斉水素化反応等の
触媒として用いられる上記錯体の製法、およびこれを用
いる、ポリマー原料、医薬の合成原料あるいは液晶材料
等の有機合成化学工業における中間体として有用な光学
活性4−メチル−2−オキセタノンを製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、多くの遷移金属錯体が有機合成反
応の触媒として使用されている。 特にルテニウム金属
と光学活性な第三級ホスフィンによる金属錯体は、不斉
水素化反応の触媒として良く知られており、例えば、
2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナ
フチルや2,2'−ジメチル−6,6'−ビス(ジフェニル
ホスフィノ)−1,1'−ビフェニルのような光学活性な
第三級ホスフィンを配位子としたルテニウム−光学活性
ホスフィン錯体として、次のようなものが知られてい
る。
【0003】 RuxyClz(第三級ホスフィン)2
(A)p [式中、Aは第三級アミンを示し、yが0のとき、xは
2、zは4、pは1を示し、yが1のとき、xは1、z
は1、pは0を示す] (特開昭61−63690号公報、特開昭63−135
397号公報) [RuHr(第三級ホスフィン)m]Tn [式中、TはClO4、BF4、PF6を示し、rが0の
とき、mは1、n は2を示し、rが1のとき、mは
2、nは1を示す] (特開昭63−41487号公報、特開昭63−145
492号公報)
【0004】 [RuXa(Q)b(第三級ホスフィ
ン)]Yc [式中、Xはハロゲン原子を示し、Qは置換基を有して
いてもよいベンゼンまたはアセトニトリルを示し、Yは
ハロゲン原子、ClO4、PF6、BPh4(ここでPh
はフェニル基を示す。以下同様)またはBF4を示し、
Qが置換基を有していてもよいベンゼンの場合、a、b
及びcはいずれも1を示し、Qがアセトニトリルの場
合、aが0のとき、bは4、cは2を示し、aが1のと
き、bは2、cは1を示す。 尚、Qが置換基を有する
ベンゼンのうちp−シメンであり、X及びLがヨウ素原
子である場合は、a、b及びcがいずれも1であるほ
か、aが1、bが1、cが3であってもよい] (特開平2−191289号公報、特開平5−1116
39号公報)
【0005】 (第三級ホスフィン)wRu(OCO
R’)(OCOR”) [式中、R’およびR”は低級アルキル基、ハロゲン化
低級アルキル基、低級アルキル置換基を有してもよいフ
ェニル基、α−アミノアルキル基またはα−アミノフェ
ニルアルキル基を示すか、あるいはR’とR”が一緒に
なってアルキレン基を形成し、wは1または2を示す] (特開昭62−265293号公報、特開昭63−14
5291号公報)
【0006】 RuJ2(第三級ホスフィン) [式中、Jは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示
す] (R.Noyori et al., J.Am.Chem.Soc., Vol.109, No.19,
pp.5856-5859 (1987)) RuG2(第三級ホスフィ
ン) [式中、Gはアリル基又はメタリル基を示す] (J.P.Genet et al., Tetrahedron:Asymmetry, Vol.2,
No.7, pp.555-567(1991))
【0007】しかし、これらのルテニウム−光学活性ホ
スフィン錯体を用いても、対象とする反応または反応基
質によっては、触媒活性や不斉収率が不十分である等、
実際の工業化に当たっては問題がある場合があった。
【0008】一方、4−メチル−2−オキセタノン
(「β−ブチロラクトン」または「β−メチル−β−プ
ロピオラクトン」とも言う)は、従来より、ポリマー原
料等に用いられているが、近年になって、N.タナハシ
ら(N.Tanahashi et al., Macromolecules, Vol.24, p
p.5732-5733 (1991) )が報告しているように、特にそ
の光学活性体が有用であるとして注目されている。
【0009】光学活性な4−メチル−2−オキセタノン
の製法としては、次のような方法が報告されている。 (a) クロトン酸に臭化水素酸を付加して得られる3
−ブロモ酪酸を、光学活性なナフチルエチルアミンを用
いて光学分割し、次いで環化する方法(J.ReidShelton
et al., Polymer Letters, Vol.9, pp.173-178 (1971)
及び T.Satoet al., Tetrahedron Lett.,Vol.21, pp.33
77-3380 (1980))。 (b) 光学活性な3−ヒドロキシ酪酸にトリエチルオ
ルト酢酸を反応させて光学活性な2−エトキシ−2,6
−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−オンを得、これ
を熱分解する方法(A.Griesbeck et al., Helv. Chim.
Acta, Vol.70, pp.1320-1325 (1987) 及び R.Breitschu
h et al., Chimia, Vol.44, pp.216-218 (1990))。
【0010】(c) 光学活性な3−ヒドロキシ酪酸エ
ステルをメタンスルホニルクロリドと反応させて水酸基
をメシル化した後、得られたエステルを加水分解し、次
いで炭酸水素ナトリウムで縮合環化する方法(Y.Zhang
et al., Macromolecules, Vol.23, pp.3206-3212 (199
0))。更に、前記したルテニウム−光学活性ホスフィン
錯体を用いた例として次のような方法も報告されてい
る。
【0011】(d) 4−メチレン−2−オキセタノン
を、塩化メチレンまたはテトラヒドロフランのような非
プロトン性溶媒中で、[RuCl[(S)−もしくは
(R)−BINAP](ベンゼン)]Cl、または、R
2Cl4[(S)−もしくは(R)−BINAP]
2(NEt3)[ここで、BINAPは2,2'−ビス(ジ
フェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチルを示し、E
tはエチル基を示す]を触媒として不斉水素化する方法
(T.Ohta et al., J. CHEM. SOC., CHEM. COMMUN., pp.
1725-1726 (1992))。
【0012】しかしながら、これらの方法はそれぞれ次
のような問題点を有していた。すなわち、(a)の方法
は、光学分割剤として特殊な光学活性アミンを原料化合
物と等モル必要とし、また、不要な鏡像体が目的物と等
モル副生するので、無駄が多く経済的に有利な方法では
ない。
【0013】また、(b)及び(c)の方法は、原料化
合物である光学活性な3−ヒドロキシ酪酸またはそのエ
ステルの合成が容易ではない。 すなわち、微生物が産
生する光学活性なポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを
熱分解するか、あるいは、ラセミ体の4−メチル−2−
オキセタノンをアルコーリシス反応によってアセト酢酸
エステルに導いた後不斉還元を行う必要があり、工程数
が多く操作が煩雑である。
【0014】(d)の方法は、上述した(a)〜(c)
の方法の問題点の多くを解決してはいるが、まだいくつ
かの問題点を抱えている。 すなわち、触媒活性が低
く、反応時間が長い。さらに、得られる生成物の光学純
度が70〜92%e.e.と低く、工業的に十分満足のい
く方法ではなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、触媒活性が高く、かつ、不斉反応における高い不斉
収率、すなわち、光学純度が高い生成物を得ることがで
きる触媒を提供し、さらに、この触媒を用いて、ポリマ
ー原料等として有用な光学活性4−メチル−2−オキセ
タノンを、短時間で効率よく、しかも高い光学純度のも
のを製造する方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行なった結果、比較的簡単
な方法によって得られる新規なルテニウム−ヨード−光
学活性ホスフィン錯体は極めて高い触媒活性を有し、不
斉合成触媒として広く用いることができること、およ
び、特にこれを4−メチレン−2−オキセタノンの不斉
水素化反応の触媒に用いれば、短時間で効率よく、高い
光学純度の光学活性4−メチル−2−オキセタノンを製
造できることを見出し、本発明を完成した。
【0017】すなわち、本発明の目的は、次の式(1) Ru2Cl4(CBP)2NEt3 (1) [式中、Etはエチル基を示し、CBPは式(2)
【化5】 (ここで、R1はアリール基または炭素数3〜8のシク
ロアルキル基を示す)または式(3)
【化6】 (ここで、R2はアリール基または炭素数3〜8のシク
ロアルキル基を、R3はメチル基またはメトキシ基を示
し、R4は水素原子、メチル基またはメトキシ基を、R5
は水素原子、メチル基、メトキシ基またはジ低級アルキ
ル置換アミノ基を示すか、R3とR4が一緒になって隣接
するフェニル基とともにテトラヒドロナフチル基を形成
する)で示される光学活性な第三級ホスフィンを示す]
で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を、無
機ヨウ化物と反応させることを特徴とする新規なルテニ
ウム−ヨード−光学活性ホスフィン錯体の製法を提供す
ることである。また、本発明の別の目的は、上記ルテニ
ウム−ヨード−光学活性ホスフィン錯体を触媒として用
い、4−メチレン−2−オキセタノンを不斉水素化する
光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製法を提供す
ることである。
【0018】本発明のルテニウム−ヨード−光学活性ホ
スフィン錯体(以下、「Ru−I−(CBP)」と略記
する)は、窒素等の不活性ガスで置換を行った反応容器
中に、上記ルテニウム−ホスフィン錯体(1)、無機ヨ
ウ化物および相間移動触媒を入れ、疎水性有機溶媒およ
び水を加えて攪拌反応することによって、容易に得るこ
とができる。
【0019】Ru−I−(CBP)を製造するための原
料である、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体(1)
において、CBPが式(2)で表される配位子(以下、
「R1−BINAP」と略称する)である場合、R1で表
されるアリール基とは、フェニル基ならびにp−置換フ
ェニル基、m−置換フェニル基およびm−ジ置換フェニ
ル基のような置換基を有するフェニル基を意味し、フェ
ニル基に置換してもよい置換基とは、メチル基、ter
t−ブチル基のような低級アルキル基(「低級」とは炭
素数1〜4の直鎖または分岐鎖を意味する)、メトキシ
基および塩素原子を挙げることができる。 また、R1
表される炭素数3〜8のアルキル基としては、特にシク
ロペンチル基およびシクロヘキシル基が好ましい。
【0020】また、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯
体(1)において、CBPが式(3)で表される配位子
(以下、「BIPHEP」と略称する)である場合、R
2で表されるアリール基とは、フェニル基並びにp−置
換フェニル基、m−置換フェニル基及びm−ジ置換フェ
ニル基のような置換基を有するフェニル基を意味し、フ
ェニル基に置換してもよい置換基とは、メチル基、te
rt−ブチル基のような低級アルキル基、メトキシ基及
び塩素原子を挙げることができる。 また、R1 で表され
る炭素数3〜8のアルキル基では、特にシクロヘキシル
基が好ましい。また、R5がジ低級アルキル置換アミノ
基である場合の、低級アルキル基とは、炭素数1〜4の
直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
【0021】このルテニウム−光学活性ホスフィン錯体
(1)において、R1−BINAPで表される第三級ホ
スフィンの具体例としては、次のものを挙げることがで
きる。 (尚、いずれの第三級ホスフィンも(R)体及
び(S)体が存在するがその表記は省略した。 以下同
じ)
【0022】(ア)2,2'−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)−1,1'−ビナフチル(以下、単に「BINAP」
と略記する) (イ)2,2'−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−
1,1'−ビナフチル(以下、「Tol−BINAP」と
略記する) (ウ)2,2'−ビス[ジ−(p−tert−ブチルフェ
ニル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル(以下、「t
−Bu−BINAP」と略記する) (エ)2,2'−ビス(ジ−m−トリルホスフィノ)−
1,1'−ビナフチル(以下、「m−Tol−BINA
P」と略記する)
【0023】(オ)2,2'−ビス[ジ−(3,5−ジメ
チルフェニル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル(以
下、「DM−BINAP」と略記する) (カ)2,2'−ビス[ジ−(3,5−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル(以
下、「DtBu−BINAP」と略記する) (キ)2,2'−ビス[ジ−(p−メトキシフェニル)ホ
スフィノ]−1,1'−ビナフチル(以下、「Metho
xy−BINAP」と略記する) (ク)2,2'−ビス[ジ−(p−クロロフェニル)ホス
フィノ]−1,1'−ビナフチル(以下、「p−Cl−B
INAP」と略記する) (ケ)2,2'−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)−
1,1'−ビナフチル(以下、「CpBINAP」と略記
する) (コ)2,2'−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−
1,1'−ビナフチル(以下、「CyBINAP」と略記
する)
【0024】これらの第三級ホスフィンは、特開昭61
−63690号公報、特開平3−20290号公報、特
開平3−255090号公報、特開平1−68386号
公報または特開平4−74192号公報に記載されてい
る方法によって調製することができる。
【0025】また、BIPHEPで表される第三級ホス
フィンの具体例としては、次のものを挙げることができ
る。 (サ)2,2'−ジメチル−6,6'−ビス(ジフェニルホ
スフィノ)−1,1'−ビフェニル(以下、「BIPHE
MP」と略記する) (シ)2,2'−ジメチル−6,6'−ビス(ジシクロヘキ
シルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(以下、「BI
CHEP」と略記する) (ス)2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,
5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビ
ナフチル(以下、「OcHBINAP」と略記する)
【0026】(セ)2,2'−ジメチル−4,4'−ビス
(ジメチルアミノ)−6,6'−ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)−1,1'−ビフェニル (ソ)2,2',4,4'−テトラメチル−6,6'−ビス
(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル (タ)2,2'−ジメトキシ−6,6'−ビス(ジフェニル
ホスフィノ)−1,1'−ビフェニル (チ)2,2',3,3'−テトラメトキシ−6,6'−ビス
(ジフェニルホスフィノ) −1,1'−ビフェニル
【0027】(ツ)2,2',4,4'−テトラメチル−3,
3'−ジメトキシ−6,6'−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)−1,1'−ビフェニル (テ)2,2'−ジメチル−6,6'−ビス(ジ−p−トリ
ルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル (ト)2,2'−ジメチル−6,6'−ビス[ジ−(p−t
ert−ブチルフェニル)ホスフィノ]−1,1'−ビフ
ェニル (ナ)2,2',4,4'−テトラメチル−3,3'−ジメト
キシ−6,6'−ビス[ジ−(p−メトキシフェニル)ホ
スフィノ]−1,1'−ビフェニル
【0028】これらの第三級ホスフィンは、特開昭63
−135397号公報、特開平3−275691号公
報、特開平4−139140号公報、R.Schmid et al.,
Helv.Chim. Acta, Vol.74, pp.370-389(1991) 、R.Sch
mid et al., Helv.Chim.Acta,Vol.71, pp.897-929(198
8) またはN.Yamamoto et al., Chem.Pharm.Bull., Vol.
39 (4) pp.1085-1087(1991)に記載されている方法によ
って調製することができる。
【0029】ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体
(1)において、CBPがR1−BINAPで表される
化合物は、例えばT.イカリヤら(T.Ikariya et al.,
J.Chem.Soc.,Chem.Commun., pp.922-924 (1985))また
は特開昭61−63690号公報に記載の方法により得
ることができる。
【0030】すなわち、塩化ルテニウムとシクロオクタ
−1,5−ジエン(以下、「COD」と略記する)とを
エタノール溶媒中で反応させて得られる[RuCl
2(COD)]q(qは自然数を示す)1モルを、更に、
トリエチルアミンの存在下、トルエンまたはエタノール
等の溶媒中で、R1−BINAP 0.95〜1.2モルと
加熱反応させることにより製造される。
【0031】また、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯
体(1)において、CBPがBIPHEPで表される化
合物は、特開昭63−135397号公報に記載の方法
によって得ることができる。
【0032】このようにして得られるルテニウム−ホス
フィン錯体(1)の具体例としては次のものを挙げるこ
とができる。
【0033】Ru2Cl4(BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(Tol−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(t−Bu−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(m−Tol−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(DM−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(DtBu−BINAP)2NEt3
【0034】Ru2Cl4(Methoxy−BINA
P)2NEt3 Ru2Cl4(p−Cl−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(CpBINAP)2NEt3 Ru2Cl4(CyBINAP)2NEt3 Ru2Cl4(BIPHEMP)2NEt3 Ru2Cl4(BICHEP)2NEt3 Ru2Cl4(OcHBINAP)2NEt3
【0035】一方、Ru−I−(CBP)を製造するた
めの原料である、無機ヨウ化物としては、例えば、ヨウ
化ナトリウム(以下、「NaI」と記載する)やヨウ化
カリウム(以下、「KI」と記載する)のようなアルカ
リ金属のヨウ化物、ヨウ化カルシウムのようなアルカリ
土類金属のヨウ化物、ヨウ化銀のようなその他の金属の
ヨウ化物等が挙げられるが、特にNaIおよびKIが好
ましい。
【0036】この無機ヨウ化物の使用量は、ルテニウム
−ホスフィン錯体(1)に対しかなり過剰に用いること
が好ましい。 具体的には、ルテニウム−ホスフィン錯
体(1)1モルに対し、約4〜100モルの範囲とする
のがよく、特に好ましくは約10〜50モルの範囲とす
るとよい。
【0037】また、本発明方法によってRu−I−(C
BP)を製造するためには、相間移動触媒を用いること
が好ましい。 この相間移動触媒としては、水相および
疎水性有機溶媒相の間を往復することによりヨウ素置換
反応を促進する触媒であれば特に限定されず、例えば、
次式(4) R6789+- (4) (式中、R6、R7、R8およびR9は各々炭素数1〜20
のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、
+はアンモニウムイオンまたはホスホニウムイオンを
示し、Y-はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、
ヨウ素イオン、ヒドロキシイオンまたは過塩素酸イオン
を示す)で表される触媒が使用される。
【0038】具体的には、フッ化テトラメチルアンモニ
ウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラ
−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニ
ウム、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化テ
トラ−n−ブチルアンモニウム、塩化トリ−n−オクチ
ルメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモ
ニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベ
ンジルトリ−n−プロピルアンモニウム、塩化ベンジル
トリ−n−ブチルアンモニウム、塩化フェニルトリメチ
ルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化
テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピル
アンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、
【0039】臭化テトラ−n−ペンチルアンモニウム、
臭化テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、臭化テトラ−
n−ヘプチルアンモニウム、臭化テトラ−n−オクチル
アンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、
臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルト
リメチルアンモニウム、臭化セチルジメチルエチルアン
モニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化
ベンジルトリエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチル
アンモニウム、ヨウ化テトラ−n−プロピルアンモニウ
ム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化テ
トラ−n−ヘキシルアンモニウム、ヨウ化エチルトリメ
チルアンモニウム、ヨウ化エチルトリ−n−プロピルア
ンモニウム、ヨウ化メチルトリ−n−ブチルアンモニウ
ム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、
【0040】ヨウ化フェニルトリメチルアンモニウム、
水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、過塩素酸テト
ラ−n−ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリフェニ
ルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭
化テトラ−n−ブチルホスホニウム、臭化エチルトリフ
ェニルホスホニウム、臭化n−ブチルトリフェニルホス
ホニウム、臭化n−プロピルトリフェニルホスホニウ
ム、臭化n−ペンチルトリフェニルホスホニウム、臭化
n−ヘプチルトリフェニルホスホニウム、臭化セチルト
リフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニ
ウム、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化
テトラフェニルホスホニウムなどを例示することができ
るが、特に、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、
臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム(以下、「(C4
94NBr」と記載する)、臭化テトラ−n−ブチル
ホスホニウムを使用するのが好ましい。
【0041】相間移動触媒の使用量は、通常の触媒量で
あれば特に限定されることはなく、例えば、ルテニウム
−ホスフィン錯体(1)1モルに対し、約0.0001
〜0.2モルの範囲とするのがよく、特に好ましくは約
0.05〜0.1モルの範囲とするとよい。
【0042】ルテニウム−ホスフィン錯体(1)と無機
ヨウ素化合物の反応において用いられる溶媒としては、
疎水性有機溶媒と水の混合溶媒を挙げることができ、好
ましい疎水性有機溶媒としては、例えば、塩化メチレ
ン、臭化メチレン、トルエン、酢酸エチル等が挙げら
れ、特に塩化メチレンが好ましい。
【0043】本発明のRu−I−(CBP)を製造する
ための反応温度は、約0〜110℃、特に好ましくは室
温であり、また、反応時間は約3〜48時間、特に好ま
しくは約24時間とするとよい。
【0044】反応終了後、疎水性有機溶媒相を取り出
し、溶媒を留去、乾燥等の方法により精製すれば、目的
とするRu−I−(CBP)を得ることができる。
【0045】このようにして得られるRu−I−(CB
P)は、化合物(1)の塩素原子の一部または全部がヨ
ウ素原子に置き換わり、かつ、トリエチルアミンの大部
分が外れた構造を有する錯体であると推定される。すな
わち、本発明の錯体の最低限の構成要素であるルテニウ
ム、ヨウ素および光学活性第三級ホスフィンから成る式
で示せば、次のものを具体例として挙げることができ
る。 尚、上記Ru−I−(CBP)は、用いるルテニ
ウム−光学活性ホスフィン錯体(1)の絶対配置によ
り、(R)体または(S)体のいずれかとして得られる
が、その表示は省略した。
【0046】Ru−I−(BINAP) Ru−I−(Tol−BINAP) Ru−I−(t−Bu−BINAP) Ru−I−(m−Tol−BINAP) Ru−I−(DM−BINAP) Ru−I−(DtBu−BINAP)
【0047】Ru−I−(Methoxy−BINA
P) Ru−I−(p−Cl−BINAP) Ru−I−(CpBINAP) Ru−I−(CyBINAP) Ru−I−(BIPHEMP) Ru−I−(BICHEP) Ru−I−(OcHBINAP)
【0048】斯くして得られる本発明のRu−I−(C
BP)は、極めて高い触媒活性を有し、不斉合成用触媒
として広く用いることができる化合物である。特にこの
化合物を4−メチレン−2−オキセタノンの不斉水素化
反応の触媒に用いれば、短時間で効率よく、高い光学純
度の光学活性4−メチル−2−オキセタノンを製造でき
る。
【0049】本発明のRu−I−(CBP)を用いて光
学活性4−メチル−2−オキセタノンを製造するには、
例えば、耐圧容器に窒素雰囲気下、上記したRu−I−
(CBP)、原料化合物である4−メチレン−2−オキ
セタノンおよび溶媒を加えて、水素雰囲気下で不斉水素
化を行えばよい。
【0050】この方法において原料化合物として用いら
れる4−メチレン−2−オキセタノンは、例えば、R.
J.クレメンスらが報告した方法(R.J.Clemens et al.,
Chem.Rev., Vol.86, pp.241-318 (1986))によって、
酢酸または無水酢酸を熱分解することによって容易に合
成により得ることができるものである。
【0051】不斉水素化触媒であるRu−I−(CB
P)は、(R)体または(S)体のいずれかを選択する
ことにより、所望する絶対配置の4−メチル−2−オキ
セタノンを得ることができる。
【0052】また、光学活性4−メチル−2−オキセタ
ノンの製造を有利に実施するには、Ru−I−(CB
P)が、金属ルテニウムと光学活性ホスフィンのモル比
が1:1〜1:0.95の割合で調製されたものを用い
るとよい。 通常の不斉反応では、ルテニウム1当量に
対し、光学活性ホスフィン配位子を約1.05〜1.2当
量用いて得られる錯体を使用するが、光学活性4−メチ
ル−2−オキセタノンの製造ではこれを1当量以内に抑
えたものを用いることによって、副反応である4−メチ
レン−2−オキセタノンの重合反応を防ぐことができ
る。 尚、光学活性ホスフィン配位子が0.95当量より
少ないと、金属ルテニウムが過剰になり、不経済とな
る。
【0053】触媒であるRu−I−(CBP)の使用量
は、原料化合物である4−メチレン−2−オキセタノン
1モルに対して約0.0001モル〜0.01モルの範
囲、特に好ましくは、約0.0002モル〜0.001モ
ルの範囲とするとよい。触媒が0.0001モルより少
ない量では触媒としての効果を充分奏さず、また、0.
01モルより多い量では不経済となる。
【0054】溶媒としては、通常の不斉水素化に使用さ
れる溶媒であれば特に限定されないが、具体的には、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン等の直鎖状または環状エーテル類、塩化メチレン、
臭化メチレン、ジクロロエタン等の有機ハロゲン化物、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン等
のケトン類、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、酢
酸エチル、酢酸ブチル、3−ヒドロキシ酪酸メチル等の
エステル類、トルエン、ベンゼン等の芳香族化合物、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、tert−
ブチルアルコール、1,3−ブタンジオール等のアルコ
ール類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0055】不斉水素化の反応温度、反応時間は、触媒
の種類やその他の反応条件により異なるが、通常、室温
〜100℃、特に好ましくは約30℃〜60℃の温度
で、約0.5〜15時間反応させるとよい。また、水素
圧は、約5〜150kg/cm2 、特に好ましくは約5
0〜100kg/cm2とするとよい。
【0056】反応終了後、溶媒留去、蒸留等の方法によ
り反応生成物を精製することにより目的とする光学活性
4−メチル−2−オキセタノンを得ることができる。
【0057】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらになんら制約される
ものではない。
【0058】尚、以下の実施例において、得られた化合
物の物性の測定には、次の機器を用いた。 分 解 温 度: 熱重量測定装置(TGA)/TGA50
(株式会社 島津製作所製) 元素分析値 : 2400 CHN Elemental
Analyzer(パーキン エルマー社製)31 P−NMRスペクトル: AM−400型装置(ブル
ッカー社製) 外部標準物質; 85%リン酸 溶 媒 ; テトラヒドロフランd8
【0059】実 施 例 1 Ru−I−[(S)−Tol−BINAP]の製造:予
め窒素置換した300ml容量の反応容器に、Ru2
4[(S)−Tol−BINAP]2NEt3 0.57
g(0.632mmol)、NaI 0.95g(6.34
mmol)、(C494NBr 2.0mg(0.006
3mmol)、塩化メチレン 50mlおよび蒸留水 2
0mlを入れ、室温で44時間攪拌した。 反応後、塩
化メチレン層を注射器で採取し、塩化メチレンを減圧留
去した後、得られた錯体を50℃で4時間減圧乾燥し
て、標題の黒紫色の錯体を0.65g(ヨウ素が取り込
まれた量から計算した収率99%)得た。
【0060】得られたRu−I−[(S)−Tol−B
INAP]の物性値は次の通りであった。 分 解 温 度: 353℃ 元素分析値 : C 57.97%, H 4.69%31 P−NMRスペクトル: 図 1
【0061】実 施 例 2 Ru−I−[(S)−Tol−BINAP]の製造:予
め窒素置換した300ml容量の反応容器に、Ru2
4[(S)−Tol−BINAP]2NEt3 1.43
g(1.59mmol)、KI 2.58g(15.54m
mol)、(C494NBr 5.1mg(0.016m
mol)、塩化メチレン 40mlおよび蒸留水 20m
lを入れ、室温で16時間攪拌した。実施例1と同様に
処理して、標題の黒紫色の錯体を1.49g(ヨウ素が
取り込まれた量から計算した収率91%)得た。
【0062】実 施 例 3 Ru−I−[(S)−BINAP]の製造:予め窒素置
換した300ml容量の反応容器に、Ru2Cl
4[(S)−BINAP]2NEt3 0.88g(1.04
mmol)、NaI 1.56g(10.40mmo
l)、(C494NBr 3.3mg(0.0103mm
ol)、塩化メチレン 50mlおよび蒸留水 20ml
を入れ、室温で16時間攪拌した。 実施例1と同様に
処理して、標題の黒紫色の錯体を1.00g(ヨウ素が
取り込まれた量から計算した収率98%)得た。
【0063】得られたRu−I−[(S)−BINA
P]の物性値は以下の通りであった。 分 解 温 度: 333℃ 元素分析値 : C 55.91%, H 3.98%31 P−NMRスペクトル: 図 2
【0064】実 施 例 4 Ru−I−[(R)−p−Cl−BINAP]の製造:
予め窒素置換した300ml容量の反応容器に、Ru2
Cl4[(R)−p−Cl−BINAP]2NEt3 0.
52g(0.26mmol)、NaI 0.79g(5.2
6mmol)、(C494NBr 1.0mg(0.00
3mmol)、塩化メチレン 20mlおよび蒸留水 8
mlを入れ、室温で16時間攪拌した。実施例1と同様
に処理して、標題の黒紫色の錯体を0.51g(ヨウ素
が取り込まれた量から計算した収率88%)得た。
【0065】得られたRu−I−[(R)−p−Cl−
BINAP]の物性値は以下の通りであった。 分 解 温 度: 343℃ 元素分析値 : C 50.34%, H 2.91%31 P−NMRスペクトル: 図 3
【0066】実 施 例 5 Ru−I−[(S)−OcHBINAP]の製造:予め
窒素置換した300ml容量の反応容器に、Ru2Cl4
[(S)−OcHBINAP]2NEt3 1.36g
(0.795mmol)、NaI 2.38g(15.9m
mol)、(C494NBr 3.2mg(0.01mm
ol)、塩化メチレン 50mlおよび蒸留水 20ml
を入れ、室温で16時間攪拌した。実施例1と同様に処
理して、標題の黒紫色の錯体を1.56g(ヨウ素が取
り込まれた量から計算した収率99%)得た。
【0067】得られたRu−I−[(S)−OcHBI
NAP]の物性値は以下の通りであった。 分 解 温 度: 333℃ 元素分析値 : C 58.03%, H 5.28%31 P−NMRスペクトル: 図 4
【0068】実 施 例 6 Ru−I−[(R)−t−Bu−BINAP]の製造:
予め窒素置換した300ml容量の反応容器に、Ru2
Cl4[(R)−t−Bu−BINAP]2NEt3 0.
142g(0.067mmol)、NaI 0.2g(1.
3mmol)、(C494NBr 0.2mg(0.00
07mmol)、塩化メチレン 6mlおよび蒸留水 2
mlを入れ、室温で16時間攪拌した。実施例1と同様
に処理して、標題の黒紫色の錯体を0.143g(ヨウ
素が取り込まれた量から計算した収率90%)得た。
【0069】実 施 例 7 (R)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:100
ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気
下、実施例1で得たRu−I−[(S)−Tol−BI
NAP] 20.3mg(0.02mmol)を秤り取
り、テトラヒドロフラン 35mlを加えて溶解した。
これに4−メチレン−2−オキセタノン5.0g(59.
5mmol)を入れ、水素圧90kg/cm2、反応温
度50℃で3時間撹拌した。 得られた反応液をクライ
ゼンフラスコを用いて蒸留し、沸点71℃〜73℃/2
9mmHgの留分4.71g(収率:90%)を得た。
【0070】生成物は、ガスクロマトグラフィーによる
標品との比較分析の結果、4−メチル−2−オキセタノ
ンであることが確認され、また、ダイセル化学工業株式
会社製光学活性カラム(CHIRALCEL OA)を
用いた高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、
このものは(R)体で光学純度は93.9%e.e.であ
ることが確認された。
【0071】実 施 例 8 (R)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:100
ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気
下、実施例2で得たRu−I−[(S)−Tol−BI
NAP] 30.7mg(0.03mmol)を秤り取
り、テトラヒドロフラン35mlを加えて溶解した。
これに4−メチレン−2−オキセタノン 5.0g(5
9.5mmol)を入れ、水素圧90kg/cm2、反応
温度50℃で7時間撹拌し、実施例7と同様に蒸留して
留分4.60g(収率:88%)を得た。
【0072】実施例7と同様に分析した結果、このもの
は(R)−4−メチル−2−オキセタノンで光学純度は
93.1%e.e.であることが確認された。
【0073】実 施 例 9 (R)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:100
ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気
下、実施例3で得たRu−I−[(S)−BINAP]
58.1mg(0.06mmol)を秤り取り、テトラ
ヒドロフラン35mlを加えて溶解した。 これに4−
メチレン−2−オキセタノン 5.0g(59.4mmo
l)を入れ、水素圧90kg/cm2、反応温度50℃
で18.5時間撹拌し、実施例7と同様に蒸留して留分
4.50g(収率:88%)を得た。
【0074】実施例7と同様に分析した結果、このもの
は(R)−4−メチル−2−オキセタノンで光学純度は
94.1%e.e.であることが確認された。
【0075】実 施 例 10 (R)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:100
ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気
下、実施例1で得たRu−I−[(S)−Tol−BI
NAP] 30.8mg(0.03mmol)を秤り取
り、トルエン35mlを加えて溶解した。 これに4−
メチレン−2−オキセタノン 5.1g(60.2mmo
l)を入れ、水素圧90kg/cm2 、反応温度50℃
で20時間撹拌し、実施例7と同様に蒸留して留分3.
84g(収率:76%)を得た。
【0076】実施例7と同様に分析した結果、このもの
は(R)−4−メチル−2−オキセタノンで光学純度は
91.5%e.e.であることが確認された。
【0077】実 施 例 11 (R)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:100
ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気
下、実施例1で得たRu−I−[(S)−Tol−BI
NAP] 61.5mg(0.06mmol)を秤り取
り、酢酸エチル 35mlを加えて溶解した。 これに4
−メチレン−2−オキセタノン 5.2g(61.7mm
ol)を入れ、水素圧90kg/cm2、反応温度50
℃で3時間撹拌し、実施例7と同様に蒸留して留分4.
98g(収率:94%)を得た。
【0078】実施例7と同様に分析した結果、このもの
は(R)−4−メチル−2−オキセタノンで光学純度は
93.8%e.e.であることが確認された。
【0079】実 施 例 12 (R)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:100
ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気
下、実施例1で得たRu−I−[(S)−Tol−BI
NAP] 61.5mg(0.06mmol)を秤り取
り、テトラヒドロフラン32mlおよびメタノール3m
lを加えて溶解した。 これに4−メチレン−2−オキ
セタノン5.2g(61.7mmol)を入れ、水素圧9
0kg/cm2、反応温度50℃で18時間撹拌し、実
施例7と同様に蒸留し、留分4.41g(収率:84.6
%)を得た。
【0080】実施例7と同様に分析した結果、このもの
は(R)−4−メチル−2−オキセタノンで光学純度は
92.6%e.e.であることが確認された。
【0081】実 施 例 13 (R)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:100
ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気
下、実施例1で得たRu−I−[(S)−Tol−BI
NAP] 61.5mg(0.06mmol)を秤り取
り、酢酸エチル 35mlを加えて溶解した。 これに4
−メチレン−2−オキセタノン 5.2g(61.7mm
ol)を入れ、水素圧90kg/cm2、反応温度50
℃で3時間撹拌し、実施例7と同様に蒸留して留分4.
98g(収率:94%)を得た。
【0082】実施例7と同様に分析した結果、このもの
は(R)−4−メチル−2−オキセタノンで光学純度は
93.8%e.e.であることが確認された。
【0083】実 施 例 14 (S)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:実施例
4で得たRu−I−[(R)−p−Cl−BINAP]
55.8mg(0.05mmol)、4−メチレン−2
−オキセタノン 4.2g(50.0mmol)およびテ
トラヒドロフラン 28mlを用い、その他の条件は実
施例7と同様にして(S)−4−メチル−2−オキセタ
ノン 3.42g(収率80%)を得た。 このものの光
学純度は93.8%e.e.であった。
【0084】実 施 例 15 (R)−4−メチル−2−オキセタノンの製造:実施例
5で得たRu−I−[(S)−OcHBINAP] 4
9.3mg(0.05mmol)、4−メチレン−2−オ
キセタノン 4.2g(50.0mmol)およびテトラ
ヒドロフラン 28mlを用い、その他の条件は実施例
7と同様にして(R)−4−メチル−2−オキセタノン
1.89g(収率44%)を得た。 このものの光学純
度は93.2%e.e.であった。
【0085】比 較 例 1 ヨウ素原子で置換するかわりに、臭素原子で置換したル
テニウム−ブロム−光学活性ホスフィン錯体を製造し、
これを触媒として用いて光学活性4−メチル−2−オキ
セタノンを製造した。すなわち、実施例1に準じて、予
め窒素置換した300ml容量の反応容器に、Ru2
4[(S)−Tol−BINAP]2NEt3 3.22
g(3.57mmol)、NaBr 3.70g(35.9
6mmol)、(C494NBr 12.0mg(0.0
3mmol)、塩化メチレン 100mlおよび蒸留水
80mlを入れ、室温で16時間攪拌し、ルテニウム−
ブロム−光学活性ホスフィン錯体(以下、「Ru−Br
−[(S)−Tol−BINAP]」と略記する)を
2.64g(臭素が取り込まれた量から計算した収率9
8%)得た。
【0086】この錯体Ru−Br−[(S)−Tol−
BINAP] 55.9mg(0.06mmol)を秤り
取り、実施例7に準じて、これを窒素雰囲気下、100
ml容量のステンレス製オートクレーブに入れ、テトラ
ヒドロフラン 35mlを加えて溶解し、4−メチレン
−2−オキセタノン 5.1g(60.0mmol)を入
れ、水素圧90kg/cm2、反応温度50℃で18時
間撹拌し、(R)−4−メチル−2−オキセタノン 4.
70g(収率92%)を得た。 このものの光学純度は
92.4%e.e.であった。
【0087】以上の結果より、本発明の錯体Ru−I−
[(S)−Tol−BINAP]を触媒として用いた実
施例7の方が、臭素原子を置換したRu−Br−
[(S)−Tol−BINAP]を触媒として用いた比
較例1よりも、はるかに短い反応時間で反応を終了する
ことができ、また、光学純度の高い生成物を得ることが
できることが明らかである。
【0088】比 較 例 2 従来より知られているハロゲン原子を配位したルテニウ
ム−ホスフィン錯体の製法に準じて、ヨウ素を配位した
錯体RuI2[(S)−Tol−BINAP]を製造
し、これを触媒として用いて光学活性4−メチル−2−
オキセタノンを製造した。
【0089】すなわち、野依らの方法(R.Noyori et a
l., J. Am. Chem. Soc., Vol.109, No,19, pp.5856-585
8 (1987))に準じて、予め窒素置換した300ml容量
の反応容器に、[(S)−Tol−BINAP]Ru
(OCOCH32 2.36g(2.60mmol)、ヨ
ウ化水素を57重量%含有する水溶液 5.85g(ヨウ
化水素換算量26.07mmol)、塩化メチレン 50
mlおよびメタノール50mlを入れ、室温で1時間攪
拌した。 溶媒を減圧留去した後、得られた錯体をさら
に50℃で4時間減圧乾燥してRuI2[(S)−To
l−BINAP] 2.64g(収率98%)を得た。
【0090】この錯体30.8mg(0.03mmol)
を秤量し、実施例7に準じて、これを窒素雰囲気下、1
00ml容量のステンレス製オートクレーブに入れ、テ
トラヒドロフラン 35mlを加えて溶解し、4−メチ
レン−2−オキセタノン 5.3g(62.6mmol)
を入れ、水素圧90kg/cm2、反応温度50℃で2
0時間撹拌し、(R)−4−メチル−2−オキセタノン
4.30g(収率80%)を得た。 このものの光学純
度は92.0%e.e.であった。
【0091】以上の結果より、本発明の錯体Ru−I−
[(S)−Tol−BINAP]を触媒として用いた実
施例7の方が、従来より知られているハロゲン原子を配
位したルテニウム−ホスフィン錯体の製法に準じて得ら
れるRuI2[(S)−Tol−BINAP]を触媒と
して用いた比較例2よりも、はるかに短い反応時間で反
応を終了することができ、また、光学純度の高い生成物
を得ることができることが明らかである。
【0092】
【発明の効果】本発明の製法によって得られるルテニウ
ム−ヨード−光学活性ホスフィン錯体は、極めて高い触
媒活性を有し、かつ、不斉反応における高い不斉収率、
すなわち、光学純度が高い生成物を得ることができるた
め、経済的に有利な不斉合成用触媒として広く用いるこ
とができるものである。特に、この錯体を触媒として用
いて、4−メチレン−2−オキセタノンを不斉水素化す
ることにより、ポリマー原料等として有用な光学活性4
−メチル−2−オキセタノンを、短時間で効率よく、し
かも高い光学純度のものとして得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得たRu−I−[(S)−Tol
−BINAP]の31 P−NMRスペクトルを示す図面。
【図2】 実施例3で得たRu−I−[(S)−BIN
AP]の31P−NMRスペクトルを示す図面。
【図3】 実施例4で得たRu−I−[(R)−p−C
l−BINAP]の 31P−NMRスペクトルを示す図
面。
【図4】 実施例5で得たRu−I−[(S)−OcH
BINAP]の31P−NMRスペクトルを示す図面。 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 明夫 神奈川県平塚市西八幡1丁目4番11号 高砂香料工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 萩原 利光 神奈川県平塚市西八幡1丁目4番11号 高砂香料工業株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平5−255142(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) Ru2Cl4(CBP)2NEt3 (1) [式中、Etはエチル基を示し、CBPは式(2) 【化1】 (ここでR1はアリール基または炭素数3〜8のシクロ
    アルキル基を示す)または式(3) 【化2】 (ここで、R2はアリール基または炭素数3〜8のシク
    ロアルキル基を、R3はメチル基またはメトキシ基を示
    し、R4は水素原子、メチル基またはメトキシ基を、R5
    は水素原子、メチル基、メトキシ基またはジ低級アルキ
    ル置換アミノ基を示すか、R3とR4が一緒になって隣接
    するフェニル基とともにテトラヒドロナフチル基を形成
    する)で示される光学活性な第三級ホスフィンを示す]
    で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を、無
    機ヨウ化物と反応させることを特徴とする、新規なルテ
    ニウム−ヨード−光学活性ホスフィン錯体の製法。
  2. 【請求項2】 4−メチレン−2−オキセタノンを不斉
    水素化し光学活性4−メチル−2−オキセタノンを製造
    する方法において、触媒として、式(1) Ru2Cl4(CBP)2NEt3 (1) [式中、Etはエチル基を示し、CBPは式(2) 【化3】 (ここでR1はアリール基または炭素数3〜8のシクロ
    アルキル基を示す)または式(3) 【化4】 (ここで、R2はアリール基または炭素数3〜8のシク
    ロアルキル基を、R3はメチル基またはメトキシ基を示
    し、R4は水素原子、メチル基またはメトキシ基を、R5
    は水素原子、メチル基、メトキシ基またはジ低級アルキ
    ル置換アミノ基を示すか、R3とR4が一緒になって隣接
    するフェニル基とともにテトラヒドロナフチル基を形成
    する)で示される光学活性な第三級ホスフィンを示す]
    で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を、無
    機ヨウ化物と反応させることによって得られる、ルテニ
    ウム−ヨード−光学活性ホスフィン錯体を用いることを
    特徴とする光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製
    法。
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