JP4201916B2 - 光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体及びその製造方法、並びに該化合物を配位子とするロジウム金属錯体 - Google Patents

光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体及びその製造方法、並びに該化合物を配位子とするロジウム金属錯体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不斉水素化反応の不斉触媒の配位子として有用な光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体及びその製造方法、並びに不斉水素化反応の不斉触媒として有用な該光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体を配位子とするロジウム金属錯体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
新しいキラルなホスフィン配位子の開発研究は、金属触媒を用いる不斉合成反応の研究を大きく発展させ、ここ30年の間に急速に発展した。それらの配位子は、不斉中心が炭素骨格上にあり、リン原子を持ち、リン原子上には2個のアリール基を持つものが大部分である。その一方で、ジアルキル、トリアルキル基を持つP−キラルホスフィン配位子は合成が困難なためあまり研究されてこなかった。
【0003】
最近、本研究者らは、いろいろなα,β−不飽和αアミノ酸とそれらのエステルを効率的に不斉水素化することができる下記一般式(3);
【0004】
【化3】
Figure 0004201916
【0005】
(式中、Rは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ter-ブチル基、1,1-ジエチルプロピル基又は1−アダマソチルを示す。)で表されるp−キラルなトリアルキル基を持つ1,2−ビス(アルキルメチルホスフィノ)エタンを提案した(J.Am.Chem.Soc.1998,120,1635 〜1636頁)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、更に、不斉水素化反応の不斉触媒の配位子について有用な光学活性なホスフィン配位子の開示が望まれている。
【0007】
従って、本発明の目的は、不斉水素化反応の遷移金属触媒の配位子として有用な光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体及びその製造方法、並びに不斉水素化反応の不斉触媒として有用な該化合物を配位子とするロジウム金属錯体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記一般式(1);
【0009】
【化4】
Figure 0004201916
【0010】
(式中、R1 は直鎖状又は分岐状の炭素数2〜6のアルキル基を示し、アスタリスクは不斉リン原子を示す。)で表わされる光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、下記一般式(2);
【0012】
【化5】
Figure 0004201916
【0013】
(式中、R1 は前記と同義。)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンを光学活性なジベンゾイル酒石酸により光学分割した後、還元剤により還元する前記の光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記一般式(1)で表される光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体を配位子とするロジウム金属錯体を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(1)で表される光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の式中、R1 は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜6のアルキル基であり、具体的には、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソヘプチル基、n−ヘプチル基、イソヘキシル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0016】
この一般式(1)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の具体的な化合物を例示すると、(R,R)−1,2−ビス(エチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(エチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(n−プロピルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(n−プロピルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(イソブチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(イソブチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(n−ブチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(n−ブチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(sec−ブチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(sec−ブチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(tert−ブチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(tert−ブチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(イソヘプチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(イソヘプチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(n−ヘプチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(n−ヘプチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(イソヘキシルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(イソヘキシルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(n−ヘキシルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(n−ヘキシルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(シクロペンチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(シクロペンチルメチルホスフィノ)ベンゼン、(R,R)−1,2−ビス(シクロヘキシルメチルホスフィノ)ベンゼン、(S,S)−1,2−ビス(シクロヘキシルメチルホスフィノ)ベンゼン等が挙げられる。
【0017】
次いで、本発明の製造方法について説明する。
本発明の一般式(1)で表される光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の製造方法は、例えば、一般式(2)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンを光学活性なジベンゾイル酒石酸を用いて光学分割して、光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンを得る第1工程、次いで、得られた光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンを還元剤により還元処理して目的とする一般式(1)で表される光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体を得る第2工程からなるものである。
【0018】
(第1工程)
第1工程において、原料となる一般式(2)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンの式中、R1 は、一般式(1)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の式中のR1 に相当する基である。かかる一般式(2)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンは、公知の方法で製造され、例えば、下記反応式(I);
【0019】
【化6】
Figure 0004201916
【0020】
(式中、R1 は前記と同義。)に従って、容易に得ることができる。
【0021】
すなわち、1,2−ビス(ホスフィノ)ベンゼン(化合物(4))は、溶媒中、n−ブチルリチウム、ヨウ化メチルの存在下、−78℃〜室温の温度でメチル化され、1,2−ビス(メチルホスフィノ)ベンゼン(化合物(5))となる。次いで、反応容器に化合物(5)とエチルエーテル及びn−ブチルリチウムを仕込み、更に臭化アルキルを徐々に滴下し、−10〜0℃の温度範囲で数時間反応させて1,2−ビス(アルキルメチルホスフィノ)ベンゼン(一般式(6))を得る。次いで、一般式(6)の化合物をメタノールに溶解し、0℃の温度で過酸化水素と数時間反応させて1,2−ビス(アルキルメチルホスフィノイル)ベンゼンのラセミ体、すなわち、一般式(7)のrac体と一般式(8)のmeso体の混合物を得る。なお、一般式(7)及び一般式(8)を便宜上、一般式(2)として表すことにする。
【0022】
一般式(2)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンの光学分割剤として用いる光学活性なジベンゾイル酒石酸は、(−)体,(+)体のいずれでも使用することができ、その使用量は、一般式(2)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンに対して、通常0.5〜1.2倍モル、好ましくは1.0倍モル程度である。
【0023】
分割溶媒としては、一般式(2)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンとジベンゾイル酒石酸を溶解することができ、これらの化合物に対して不活性で、かつジアステレオマー塩を析出することができるものであれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メチルブチルエーテル、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、これらの混合物等が挙げられる。これらの有機溶媒は水を含有していてもよい。
【0024】
第1工程の操作は、上記した溶媒に一般式(2)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンと所望の光学活性なジベンゾイル酒石酸とを溶解することによって、難溶性のジアステレオマー塩を析出させる。この際、(−)−ジベンゾイル酒石酸を光学分割剤として用いた場合、(−)−(S,S)−1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンと難溶性のジアステレオマー塩を形成して析出する。一方、(+)−ジベンゾイル酒石酸を光学分割剤として用いた場合、(+)−(R,R)−1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンと難溶性のジアステレオマー塩を形成して析出する。
【0025】
難溶性のジアステレオマー塩を析出させる温度は、使用する溶媒の凝固点から沸点の範囲であり、通常0〜100℃の範囲である。難溶性のジアステレオマー塩の結晶は、濾過、遠心分離等の通常の固液分離法により容易に反応系から分離することができる。こうして得られたジアステレオマー塩は、水性溶媒中又は疎水性−水性溶媒中で酸又はアルカリで処理し、ジアステレオマー塩を分解することにより(−)−(S,S)−1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼン又は(+)−(R,R)−1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンを得ることができる。また、本発明では、所望により再結晶法により精製することができる。
【0026】
(第2工程)
第2工程は、上記で得られた(−)−(S,S)−1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼン又は(+)−(R,R)−1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンと還元剤とを反応させて、目的とする一般式(1)で表される光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体を得る工程である。かかる反応は、(+)−(R,R)−1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンを還元処理すると(S,S)体が得られ、一方、(−)−(S,S)−1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンを還元処理すると(R,R)体が得られる。
【0027】
還元剤としては、特に限定されないが、一般にシラン化合物が用いられる。シラン化合物としては、例えば、トリクロロシラン、ジクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、フェニルメチルクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、フェニルシラン等が挙げられ、この中、フェニルシランが好ましく用いられる。
【0028】
光学活性な1,2−ビスホスフィノイルベンゼンに対する還元剤の添加量は、通常5〜10倍モルである。反応温度は、通常105〜110℃であり、反応時間は、通常3〜24時間、好ましくは4〜10時間である。かくして、まったくラセミ化することなく不斉を維持したまま、光学純度の高い一般式(1)で表される光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体が得られる。
【0029】
本発明の一般式(1)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体は、配位子として、遷移金属と共に錯体を形成することができる。錯体を形成することができる遷移金属としては、例えば、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、ニッケル等が挙げられ、好ましくはロジウム金属である。一般式(1)で表される光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体を配位子としてロジウム金属と共に錯体を形成させる方法としては、例えば、実験化学講座 第4版(日本化学会編、丸善株式会社発行 第18巻 327〜353頁)に記載されている方法に従えばよく、例えば、本発明の光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体と、ビス(シクロオクタン−1,5−ジエン)ロジウムテトラフルオロホウ酸塩と反応させることにより、ロジウム錯体を製造することができる。
【0030】
得られるロジウム錯体を具体的に例示すると、Rh((S,S)−(1))Cl、Rh((S,S)−(1))Br、Rh((S,S)−(1))I、[Rh((S,S)−(1))(cod)]BF4 、[Rh((S,S)−(1))(cod)]ClO4 、[Rh((S,S)−(1))(cod)]PF6 、[Rh((S,S)−(1))(cod)]BPh4 、[Rh((S,S)−(1))(nbd)]BF4 、[Rh((S,S)−(1))(ndb)]ClO4 、[Rh((S,S)−(1))(ndb)]PF6 、[Rh((S,S)−(1))(ndb)]BPh4 、Rh((R,R)−(1))Cl、Rh((R,R)−(1))Br、Rh((R,R)−(1))I、[Rh((R,R)−(1))(cod)]BF4 、[Rh((R,R)−(1))(cod)]ClO4 、[Rh((R,R)−(1))(cod)]PF6 、[Rh((R,R)−(1))(cod)]BPh4 、[Rh((R,R)−(1))(nbd)]BF4 、[Rh((R,R)−(1))(ndb)]ClO4 、[Rh((R,R)−(1))(ndb)]PF6 、[Rh((R,R)−(1))(ndb)]BPh4 等が挙げられ、本発明では[Rh((S,S)−(1))(cod)]BF4 が好ましい。なお、上記のロジウム錯体中の(1)は、一般式(1)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体、codは、1,5−シクロオクタジエン、nbdは、ノルボルナジエン、Phはフェニルを示す。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
参考例
(第1工程の原料となる(R,R)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノイル)ベンゼンの合成)
反応容器に1,2−ビス(メチルホスフィノ)ベンゼン10.5g(61.7mモル)とn−ブチルリチウム82.23ml(120.5mモル)及びエチルエーテル30mlを仕込み、次いで2−ブロモプロパン11.7ml(125mモル)を除々に滴下し、−10℃で2時間反応させた。反応終了後、常法によって処理し、生成物である1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼンを蒸留(沸点110℃/0.4mmHg)によって単離した(12.4g;収率79%)。
【0032】
次いで得られた1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼン8.5g(46.6mモル)、30%過酸化水素水溶液24ml(200mモル)及びメタノール30mlを加えて、0℃で1時間反応させて、1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノイル)ベンゼンの両ラセミ体とメソ体の混合物13.3gを得、酢酸エチル溶媒中で再結晶して1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノイル)ベンゼンのラセミ体1.5g(収率11%)を得た。
【0033】
実施例1
(第1工程)
参考例で得られた1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノイル)ベンゼンのラセミ体1.5g(5.24mモル)と(+)−ジベンゾイル酒石酸1.97g(5.24mモル)及び酢酸エチル35mlとを仕込み、難溶性のジアステレオマー塩を析出させ析出物を採取した。次いで、採取した析出物を酢酸エチル中で結晶物を仕込み、1MのNaOHを加えて、(R,R)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノイル)ベンゼン543mg(光学純度99%、収率35%)を得た。以下に同定データを示す。
【0034】
融点;209〜210℃
[α]27 D +10.2( c 1.00,CHCl3)
1H NMR (400 MHZ ,CDCl3,δ);
0.96(dd ,J HP=16.6 ,7.3 Hz,6H),1.33(dd,J HP=16.6,7.1 Hz,6H)
1.87(d,JHP=12.9 Hz,6H),2.64-2.80(m,2H),7.59-7.65(m,2H),8.04(br s,2H)
13C NMR (100 MHZ,CDCl3, δ) ;15.1(d,Jcp=5.0Hz),16.3(d,Jcp=68.6Hz),28.9(d,Jcp=72.0Hz),130.7,130.8,133.6
31P NMR(160MHz,CDCl3, δ);48.0
IR(KBr);2970,2880,1300,1190,1170,1120,890
FAB MS;287(M+ +H,100)
【0035】
元素分析;
実測値;C;58.78%、H;8.44%
計算値;C14242 2
C;58.73%、H;8.45%
【0036】
X線解析
orthorhomic space group 212121,a=11.509(5),Å,b=16.319(3) ,Å,c=8.505(2),Å,v=1597.4(7), Å3,z=4, dcalc =1.190gcm-3,F(000)=616,μ(Mo,Kα)=2.66cm-1, λ(Mo,,Kα)=0.71070 Å,2555reflection measured,2440observed(I>3.00σ(I)),163variable,R=0.034,Rw=0.050,GOF1.11
measured,2440observed(I>3.00σI)),I26variable,R=0.0880,Rw=0.107,GOF2.23.Flack parameter=0.089(10)
【0037】
(第2工程;(S,S)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼンの合成)
第1工程で得られた(R,R)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノイル)ベンゼン94.5mg(0.33mモル)と還元剤のフェニルシラン0.5ml(5.26mモル)を反応容器に仕込み、6時間、110℃で反応させて(S,S)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼン91.5mg(光学純度97%)を得た。
【0038】
実施例2
(ロジウム錯体の合成)
実施例1で得られた(S,S)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼン200mg(0.75mモル)と[Rh(COD)2 ]BF4 304mg(0.75mモル)とを1時間、−20℃で反応させた後、テトラヒドラフラン(−20〜−10℃)で再結晶処理して(S,S)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼンロジウム錯体を得、X線により解析を行って、(S,S)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼンロジウム錯体であることを確認した。以下に同定データを示す。
【0039】
2236BF4 2 Rh;分子量552.18
orthorhomic space groupC2221,a=13.35(1),Å,b=16.84(1),Å,c=10.975(3), Å,v=2467(2), Å,z=4,dcalc=1.486g cm-3,F(000)=1136, μ(Mo,Kα)=8.57cm-1, λ(Mo,,Kα)=0.71070 Å,1159reflection measured,1157observed(I>1.00σ(I)),I26variable,R=0.0880,Rw=0.107,GOF2.23.
【0040】
<不斉水素化反応の触媒としての評価>
実施例2で得られた(S,S)−1,2−ビス(イソプロピルメチルホスフィノ)ベンゼンロジウム錯体を下記反応式(II)のデヒドロアミノ酸メチルエステルの不斉水素化触媒としてその触媒能を評価した。
【0041】
【化7】
Figure 0004201916
【0042】
式中、R2 、R3 及びR4 は表1の通りであり、番号6と番号7のR2 とR3 はこれが結合する炭素と共に炭素数6又は炭素数5の飽和単環を形成することを意味する。なお、反応は、一般式(9)で表されるα−アミノ酸メチルエステルに対して触媒を0.2モル%加えて、水素ガスで反応系内を加圧し、0℃で20〜180分反応させた後、得られた一般式(10)で表される化合物の光学純度を求めた。その結果を表1に示した。なお、光学純度は、HPLC(Daicel Chiralcel OJ,OD-H)又はGC(Chromapack's Chriral-L-Val Column)で定量分析して求めた。また、それぞれの化合物の絶対配置はHPLC、GCの溶出順序を文献値(J.Am.Chem.Chem.Soc.,1998,120,1635 )と比較して求めた。
【0043】
【表1】
Figure 0004201916
【0044】
【発明の効果】
本発明は、不斉水素化反応の遷移金属触媒配位子として有用な新規な光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体を提供するものであり、当該化合物を配位子としたロジウム金属錯体は、不斉水素化反応の不斉触媒として極めて有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1);
    Figure 0004201916
    (式中、R1 は直鎖状又は分岐状の炭素数2〜6のアルキル基を示し、アスタリスクは不斉リン原子を示す。)で表わされることを特徴とする光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体。
  2. 下記一般式(2);
    Figure 0004201916
    (式中、R1 は前記と同義。)で表される1,2−ビス(ジアルキルホスフィノイル)ベンゼンを光学活性なジベンゾイル酒石酸により光学分割した後、還元剤により還元することを特徴とする請求項1記載の光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の製造方法。
  3. 前記還元剤が、フェニルシランである請求項2記載の光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体の製造方法。
  4. 請求項1記載の光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体を配位子とすることを特徴とするロジウム金属錯体。
JP12826699A 1999-05-10 1999-05-10 光学活性な1,2−ビス(ジアルキルホスフィノ)ベンゼン誘導体及びその製造方法、並びに該化合物を配位子とするロジウム金属錯体 Expired - Lifetime JP4201916B2 (ja)

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