JP3159661B2 - 光学活性アルコール類の製造方法 - Google Patents

光学活性アルコール類の製造方法

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JP3159661B2
JP3159661B2 JP03824197A JP3824197A JP3159661B2 JP 3159661 B2 JP3159661 B2 JP 3159661B2 JP 03824197 A JP03824197 A JP 03824197A JP 3824197 A JP3824197 A JP 3824197A JP 3159661 B2 JP3159661 B2 JP 3159661B2
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隆雄 碇屋
和彦 松村
昌平 橋口
良治 野依
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  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、光学活性
アルコール類の製造方法に関するものである。さらに詳
しくはこの出願の発明は、医薬品および生理活性物質の
合成中間体や、液晶材料等の各種用途において有用な分
子中にアセチレン結合を持つ光学活性アルコール類の実
用性に優れた新しい製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、多くの遷移金属錯体が有機金
属反応の触媒として使用されており、特に、貴金属錯体
は、高価であるが、活性が高く安定で取扱いが容易であ
るため、これを触媒として使用する多くの合成反応が開
発され、とりわけ不斉錯体触媒を用いる不斉合成反応の
進展は目覚ましく、これまでの手段では効率の悪い有機
合成反応の高効率化を実現した報告が数多くなされてい
る。
【0003】その中でも、とりわけ、光学活性なホスフ
ィン配位子をもつ不斉金属錯体を触媒とする不斉反応は
非常に多く開発され、工業化されているものもある(As
ymmetric Catalysis in Organic Synthesis,Ed., R.Noy
ori (1994))。ルテニウム、ロジウム、イリジウ
ム等の遷移金属に光学活性な窒素化合物を配位させた錯
体には、カルボニル化合物の不斉還元による光学活性ア
ルコールへの不斉合成反応の触媒として優れた性能を有
するものが多く、この触媒の性能を高めるために、これ
までに特殊な構造の光学活性な窒素化合物が数多く開発
されてきた(Chem.Rev.,Vol.92,1051−1069
頁(1992))。
【0004】例えば、(1)Tetrahedron Asymmetry ,
Vol . 6,705−718頁(1995)に記載されて
いる光学活性な1,2−ジフェニル−エチレンジアミン
類又はシクロヘキシルジアミン類を配位子とするロジウ
ム−ジアミン錯体、(2)Tetrahedron ,Vol.50,4
347−4354頁(1994)に記載されている光学
活性なビスアリールイミノシクロヘキサン類を配位子と
するルテニウム−イミド錯体、(3)特開昭62−28
1861及び特開昭63−119465に記載されてい
るピリジン類を配位子とするイリジウム−ピリジン錯
体、(4)特開昭62−273990に記載されている
光学活性な1,2−ジフェニルエチレンジアミン類又は
シクロヘキシルジアミン類を配位子とするイリジウム−
ジアミン錯体などが報告されている。
【0005】しかし、これらの錯体を用いる従来の方法
においては、対象とする反応またはその反応基質によっ
て触媒活性、持続性、不斉収率が不十分である等の実際
の工業化に当たっては問題のある場合があった。一方、
光学活性2級アルコール類、とりわけ分子中にアセチレ
ン結合を持つ光学活性プロパルギルアルコール類等は医
薬、液晶化合物、天然物合成の不斉合成等において有用
な中間体である。従来より、これら化合物を製造する方
法としては、1)リパーゼなど酵素を用いてラセミ体の
アルコールを光学分割する方法や、2)光学活性な還元
試薬や金属水素化物、あるいは光学活性な配位子の存在
下にボランを用いてカルボニル化合物を不斉還元する方
法などが知られている。例えば1)の方法においては
(1)Tetrahedron Asymmetry ,Vol.7,1485−1
488頁(1996)、(2)J.Am.Chem.Soc., 612
9−6139頁(1991)、(3)特開平3−259
094に記載されているリパーゼによるラセミ体のアル
コールの光学分割による方法などが知られている。また
2)の方法においては(1)J.Am.Chem.Soc., 8339
−8341頁(1977)、(2)J.Am.Chem.Soc., 6
717−6725頁(1984)に記載されている光学
活性な金属水素化物を用いる方法、(3)Tetrahedron
,Vol.40,1371−1380頁(198
4)、(4)J.Org.Chem. ,2379−2386頁(1
992)に記載されている光学活性な還元試薬を用いる
方法、(5)J.Org.Chem. ,3214−3217頁(1
996)に記載されている光学活性な配位子の存在下に
ボランを用いてカルボニル化合物を化学量論的に不斉還
元する方法などが一般的な方法として知られている。ま
た、触媒的に不斉還元する方法としては(6)J.Am.Che
m.Soc.,10938−10939頁(1996)に記載
されている光学活性なオキサザボロリジン触媒の存在下
にカテコールボランを用いて還元する方法が知られてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
酵素を用いる方法は比較的高い光学純度のアルコール類
を得ることができるものの反応基質の種類に制約があ
り、しかも得られるアルコール類の絶対配置も特定のも
のに限られるという欠点がある。また、カルボニル化合
物を化学量論的に不斉還元する方法は基質や反応によっ
て反応速度や立体選択性の面で満足できない場合があ
り、しかも反応基質に対して当量以上の光学活性な反応
剤や還元剤を用いる必要があること、反応後中和処理が
必要であることなど光学活性アルコール類の大量合成方
法として実用的でないという欠点をもっている。
【0007】このため、従来より、光学活性アルコール
類を製造するための一般性の高い、しかも高活性な触媒
を用いての新しい合成方法の実現が望まれていた。そこ
で、この出願の発明は、医薬、生理活性物質等の合成中
間体として重要な分子中にアセチレン結合を持つ光学活
性アルコール類の、触媒的不斉還元法による高効率な製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するも
のとして、この出願の発明は、アセチレン結合を持つカ
ルボニル化合物を、遷移金属錯体と塩基と光学活性含窒
素化合物の三成分からなる触媒、あるいはあらかじめ遷
移金属錯体と光学活性含窒素化合物から合成した不斉金
属錯体と塩基の二成分からなる触媒、もしくはあらかじ
め遷移金属錯体と光学活性含窒素化合物および塩基とか
ら形成される不斉金属錯体のみからなる触媒を使用し
て、水素供与性の有機または無機化合物の存在下に、水
素移動型不斉還元してアセチレン結合を持つ光学活性ア
ルコール類を製造することを特徴とする光学活性アルコ
ール類の製造方法を提供する。
【0009】さらにこの発明は、上記方法において次の
一般式(I)
【0010】
【化3】
【0011】(式中R1 ,R2 は、同じかもしくは異な
る基であり、置換基を有してもよい芳香族単環または芳
香族多環式炭化水素基、置換基を有していてもよい飽和
あるいは不飽和の鎖状または環状炭化水素基、もしくは
置換基を有していてもよい飽和あるいは不飽和の鎖状ま
たは環状炭化水素基および芳香族単環または芳香族多環
式炭化水素基から選択される1種以上の置換基を有する
シリル基、または異種原子を含む複素単環または複素多
環式基を示す。)で表されるカルボニル化合物を遷移金
属錯体と塩基と光学活性含窒素化合物の三成分系触媒の
存在下、あるいはこれら光学活性含窒素化合物を配位子
とする不斉金属錯体と塩基とからなる二成分系触媒の存
在下、または遷移金属錯体とこれら光学活性含窒素化合
物および塩基とから形成される不斉金属錯体のみからな
る触媒の存在下に、水素源となりうる有機または無機化
合物の存在下に不斉還元し、一般式(II)
【0012】
【化4】
【0013】(R1 およびR2 は上記と同じ有機基を示
す)で表される光学活性アルコール類を製造することを
特徴とする光学活性アルコール類の製造方法を提供す
る。そしてまた、この発明は、その触媒構成成分である
上記の遷移金属錯体が第VIII族の遷移金属、光学活性化
合物を不斉配位子とする金属錯体であることや、含窒素
光学活性化合物が光学活性アミン誘導体であることなど
をその態様の一つとしている。
【0014】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴を持つ光学活性アルコール類の製造方法を提供す
るものであるが、以下にさらに詳しく発明の実施の形態
について説明する。まず、この発明の原料であるカルボ
ニル化合物は、一般式(I)で表わされるものがその代
表例であるが、必ずしもこれに限定されるものではな
い。一般式(I)に沿って説明すると、式中のR1 およ
びR2 は、各々、同じかもしくは別異に置換基を有して
もよい芳香族単環または芳香族多環式炭化水素基、置換
基を有していてもよい飽和あるいは不飽和の鎖状または
環状炭化水素基、もしくは置換基を有していてもよい飽
和あるいは不飽和の鎖状または環状炭化水素基、および
芳香族単環または芳香族多環式炭化水素基から選択され
る1種以上の置換基を有するシリル基、または窒素、酸
素、硫黄原子等異種原子を含む複素単環または複素多環
式基であり、具体的にはR1 としては、フェニル、2−
メチルフェニル、2−エチルフェニル、2−イソプロピ
ルフェニル、2−tert−ブチルフェニル、2−メト
キシフェニル、2−クロロフェニル、2−ビニルフェニ
ル、3−メチルフェニル、3−エチルフェニル、3−イ
ソプロピルフェニル、3−メトキシフェニル、3−クロ
ロフェニル、3−ビニルフェニル、4−メチルフェニ
ル、4−エチルフェニル、4−イソプロピルフェニル、
4−tert−ブチルフェニル、4−ビニルフェニル、
クメニル、メシチル、キシリル、1−ナフチル、2−ナ
フチル、アントリル、フェナントリル、インデニル基等
の芳香族単環または多環式基、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ベンジル
等のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シク
ロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、ビ
ニル、アリルなどの不飽和炭化水素基、トリメチルシリ
ル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチ
ルシリル、トリペンチルシリル、トリヘキシルシリル、
トリヘプチルシリル、トリベンジルシリル、tert−
ブチルジメチルシリル等のアルキル基、あるいは、ジメ
チルビニルシリル、アリルジメチルシリル等の不飽和炭
化水素基、またはトリフェニルシリル、ジフェニルメチ
ルシリル等の芳香族基等々で置換されたシリル基、チエ
ニル、フリル、ピラニル、キサンテニル、ピリジル、ピ
ロリル、イミダゾリニル、インドリル、カルバゾイル、
フェナントロニリル等のヘテロ単環または多環式基、フ
ェロセニル基等が例示できる。
【0015】これらの例のように、置換基としては各種
任意のものを有していてもよく、アルキル、アルケニ
ル、シクロアルキル、シクロアルケニル等の炭化水素
基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、
カルボキシル基、エステル基等の含酸素基、ニトロ基、
シアノ基等々であってよい。さらにR2 は前記R1 と同
じ基であってもよく、特に、置換基を有していてもよい
飽和あるいは不飽和の鎖状、環状炭化水素基、芳香族炭
化水素基または複素環基であってよく、例えばメチル、
エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプ
チル等のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、
シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル
基、ベンジル、ビニル、アリルなどの不飽和炭化水素基
等を好例として例示することができる。さらにβ位に官
能基を有する例えばβ−ケト酸誘導体なども例示でき
る。
【0016】そして、この発明では、前記の遷移金属錯
体と塩基及び光学活性アミン誘導体の三成分からなる還
元触媒のうち、遷移金属錯体は、各種の遷移金属錯体が
配位子を持つものとして使用される。特に好適には、例
えば、次の一般式(III) MXm n (III) (Mは鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの
第VIII族の遷移金属であり、Xは水素、ハロゲン原子、
カルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、Yは中
性配位子である芳香族化合物やオレフィン化合物配位子
を示す。m、nは整数を示す)で表すことができる遷移
金属錯体を、塩基として、一般式(IV) M1 Z (IV) (M1はアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を示
し、Zはヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、
ナフチル基を示す。)で表される金属塩あるいは4級ア
ンモニウム塩と光学活性アミン誘導体とともに使用して
還元触媒を構成したものが例示される。一般式(III)で
示される遷移金属錯体におけるMは、鉄、コバルト、ニ
ッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウ
ム、パラジウム、白金などの第VIII族の遷移金属である
ことが好ましいが、さらにはルテニウムが望ましいもの
の一つである。
【0017】さらにこの発明で用いることができる中性
配位子である芳香族化合物は一般式(V)で表すことが
できる単環式芳香族化合物がその好適なものとして例示
される。
【0018】
【化5】
【0019】この式(V)においては、R3 〜R8 は同
じかもしくは異なる置換基からなり、水素、飽和あるい
は不飽和炭化水素基、アリル基、異原子を含む官能基を
示すことができる。例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘ
キシル、ヘプチル等のアルキル基、シクロプロピル、シ
クロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシク
ロアルキル基、ベンジル、ビニル、アリルなどの不飽和
炭化水素等の基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アル
コキシカルボニル基等の異原子を含む官能基を示すこと
ができる。置換基はその数は1〜6の任意の数であり、
場所は任意の場所を選ぶことができる。
【0020】前記の第VIII族の遷移金属錯体の使用量は
反応容器、形式あるいは経済性によっても異なるが、反
応基質であるカルボニル化合物に対してモル比で1/1
0〜1/100,000用いることができ、好ましくは
1/100〜1/5,000の範囲とする。また、この
発明に用いられる一般式(IV)として前記のとおりM1
Zで示される塩基において、M1はアルカリ金属あるい
はアルカリ土類金属であり、Zはヒドロキシ基あるいは
アルコキシ基、メルカプト基、ナフチル基を示し、具体
的にはKOH、KOCH3 、KOCH(CH3)2 、KC
108 、LiOH、LiOCH3 、LiOCH(CH3)
2 、NaOH、NaOCH3 、NaOCH(CH3)2
NaC108 、NaOH、NaOCH3 、NaOCH
(CH3)2 等が例示される。さらに塩基としては、4級
アンモニウム塩も利用できる。
【0021】これらの塩基の使用量は、第VIII族遷移金
属錯体に対して0.5〜50当量であり好ましくは2〜
10当量である。この発明で用いる光学活性アミン化合
物については、たとえば一般式(VI)
【0022】
【化6】
【0023】(R9 ,R10,R15,R16は、水素あるい
は飽和あるいは不飽和炭化水素基、アリール基、ウレタ
ン基、およびスルフォニル基のうちの1種であり、
11,R12,R13,R14はこれら置換基が結合している
炭素が不斉中心となるように、同じかもしくは異なる基
であり、水素あるいはアルキル基、芳香族単環または多
環式基、飽和あるいは不飽和の炭化水素基、または環式
炭化水素基を示す。)で表わされる光学活性ジアミン化
合物である。このような化合物として、例えば光学活性
な1,2−ジフェニルエチレンジアミン、1,2−シク
ロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘプタンジアミ
ン、2,3−ジメチルブタンジアミン、1−メチル−
2,2−ジフェニルエチレンジアミン、1−イソブチル
−2,2−ジフェニルエチレンジアミン、1−イソプロ
ピル−2,2−ジフェニルエチレンジアンミン、1−メ
チル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジ
アミン、1−イソブチル−2,2−ジ(p−メトキシフ
ェニル)エチレンジアミン、1−イソプロピル−2,2
−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−
ベンジル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレ
ンジアミン、1−メチル−2,2−ジナフチルエチレン
ジアミン、1−イソブチル−2,2−ジナフチルエチレ
ンジアミン、1−イソプロピル−2,2−ジナフチルエ
チレンジアミン、などの光学活性ジアミン化合物および
9 ないしR15の置換基のうち1つないし2つともスル
フォニル基、アシル基あるいはウレタン基である光学活
性ジアミン化合物を例示することができる。好ましくは
スルフォニル基を一つ有する光学活性ジアミン化合物を
用いることができる。さらに用いることのできる光学活
性ジアミンは、例示した光学活性エチレンジアミン誘導
体に限るものでなく、光学活性プロパンジアミン、ブタ
ンジアミン、フェニレンジアミン誘導体等も用いること
ができる。
【0024】光学活性アミン化合物としては、次の一般
式(VII)で表される光学活性アミノアルコール化合物を
用いることができる。
【0025】
【化7】
【0026】この式(VII)においては、R17,R18は少
なくても1つが水素基であり残りの1つは水素あるいは
飽和あるいは不飽和炭化水素基、アリル基、ウレタン
基、スルフォニル基であり、R19〜R22はこれら置換基
が結合している炭素が不斉中心となるように同じかもし
くは異なる基であり、水素あるいはアルキル基、芳香族
単環または多環式基、飽和あるいは不飽和の炭化水素
基、または環式炭化水素基であり、R23は水素あるいは
アルキル基、芳香族単環または多環式基、飽和あるいは
不飽和の炭化水素基、または環式炭化水素基を示す。さ
らに、R19とR20のいずれか一つの基とR21とR22のい
ずれか一つの基とが結合して環を形成してもよいし、R
17とR18のいずれか一つの基とR20とR21のいずれか一
つの基とが結合して環を形成してもよい。具体的には実
施例に示す光学活性アミノアルコール類を用いることが
できる。さらに光学活性アミン化合物としては、次の一
般式(VIII)で表されるアミノホスフィン化合物を用い
ることができる。
【0027】
【化8】
【0028】ここでR24,R25は、水素あるいは飽和あ
るいは不飽和炭化水素基、アリル基、ウレタン基、スル
フォニル基、またはアシル基であり、(CR2 26)nはこ
れら置換基が結合している炭素が不斉中心となるように
同じかもしくは異なる基であり、水素あるいはアルキル
基、芳香族単環または多環式基、飽和あるいは不飽和の
炭化水素基、または環式炭化水素基であり、R27,R28
は水素あるいは飽和あるいは不飽和炭化水素基、または
アリル基を示す。
【0029】これら光学活性アミン化合物の使用量は遷
移金属錯体に対し、0.5〜20当量で、好ましくは1
〜2当量の範囲である。また、前記のアレーン基を持つ
遷移金属錯体と前記した光学活性アミン誘導体とから形
成される不斉金属錯体と塩基からなる還元触媒を用いて
も以上と全く同じ効果が得られる。この不斉金属錯体
は、例えばAの一般式(IX) MX1 p YL (IX) (Mは鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの
第VIII族の遷移金属であり、X1はハロゲン原子、カル
ボキシル基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基、Yは
中性配位子である芳香族化合物やオレフィン化合物配位
子を示し、Lは光学活性アミン誘導体を示す。pは1ま
たは2を示す)で表すことができる不斉金属錯体を、前
記の一般式(III)(MおよびX、Yは上記と同じ金属お
よび有機基を示す)で表される遷移金属錯体と一般式
(VI)(R9 ,R10,R15,R16およびR11,R12,R
13,R14は上記と同じ有機基を示す)、一般式(VII)
(R17,R18,R23およびR19,R 20,R21,R22は上
記と同じ有機基を示す)、一般式(VIII)(R24
25,R 27,R28およびR26は上記と同じ有機基を示
す)等で表される光学活性アミン誘導体とから合成され
る錯体を不斉金属錯体として用いることができる。
【0030】さらに、前記のアレーン基を持つ遷移金属
錯体と前記した光学活性アミン誘導体および塩基とから
合成した不斉金属錯体のみを還元触媒として用いても全
く同じ効果が得られる。この場合の不斉金属錯体は、例
えば次の一般式(X) MHq YL (X) (Mは鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの
第VIII族の遷移金属であり、Yは中性配位子である芳香
族化合物やオレフィン化合物配位子を示し、Lは光学活
性アミン誘導体を示す。qは0または1を示す)で表す
ことができる不斉金属錯体を、前記の一般式(III)(M
およびX、Yは上記と同じ金属および有機基を示す)で
表される遷移金属錯体と一般式(VI)(R9 ,R10,R
15,R16およびR11,R12,R13,R 14は上記と同じ有
機基を示す)、一般式(VII)(R17,R18,R23および
19,R20,R21,R22は上記と同じ有機基を示す)、
一般式(VIII)(R24,R25,R27,R28およびR26
上記と同じ有機基を示す)等で表される光学活性アミン
誘導体、および前記の一般式(IV)(MおよびZは上記
と同じ金属および有機基を示す)で表される塩基とから
合成された錯体を不斉金属錯体として用いることができ
る。
【0031】この発明において不斉還元反応が円滑に進
行し、高い不斉収率を達成するためには、前記の一般式
(III)で示される遷移金属錯体と一般式(IV)で示され
る塩基と光学活性アミン誘導体の三成分を触媒として使
用する場合、あるいは、前記の一般式(IX)で示される
不斉金属錯体と一般式(IV)で示される塩基の二成分を
触媒として使用する場合のいずれにおいても、その三成
分、あるいは二成分はいずれも必要不可欠な成分であ
り、1成分たりとも不足すると充分な反応活性で高い光
学純度のアルコール体は得られない。また、前記の一般
式(X)で示される不斉金属錯体の場合には、それ自身
不斉還元触媒として用いることができ、還元反応におい
て塩基を必要としない利点がある。
【0032】さらに、この発明における水素移動型不斉
還元による光学活性アルコール類の製造法に用いる水素
供与性の有機または無機化合物は、熱的作用によって、
あるいは触媒作用によって水素を供与することのできる
化合物を意味している。このような水素供与性の化合物
については特にその種類に限定はないが、好適なものと
しては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールな
どのアルコール化合物、ギ酸およびその塩、例えばアミ
ンの組み合わせからなるもの、テトラリンやデカリン等
の部分的に飽和炭素結合を持つ不飽和炭化水素や複素環
化合物、ヒドロキノンあるいは亜リン酸等がある。なか
でもアルコール系溶媒が好適であり、より好ましくは2
−プロパノールが例示される。用いる水素源となる水素
供与性化合物の量は反応基質の溶解度および経済性によ
り判断される。通常、基質濃度は、基質の種類によって
は0.1〜30重量%で用いることができるが、好まし
くは0.1〜10重量%で用いることが望ましい。な
お、ギ酸およびギ酸とアミンの組み合わせからなるもの
を水素源として用いる場合は、溶媒を用いなくてもよい
し、用いる場合はトルエン、キシレン等の芳香族化合
物、ジクロロメタン等ハロゲン化物、THF、DMS
O、DMFあるいはアセトニトリル等の有機化合物を用
いることができる。
【0033】この発明では、水素加圧は本質的に必要と
されていないが、反応基質によっては水素加圧してもよ
い。ただ、水素加圧する場合でも、本触媒系が極めて高
活性であることから1気圧で十分であるが、反応速度、
反応選択性および経済性を考慮すると1〜100気圧の
範囲で、好ましくは3〜50気圧の範囲が望ましいが、
プロセス全体の経済性を考慮して10気圧以下でも高い
活性を維持することも可能である。
【0034】反応温度は経済性を考慮して−20度から
100度で行うことが好ましいが25〜40度の室温付
近で反応を実施することができる。反応時間は反応基質
濃度、温度、圧力等の反応条件によって異なるが数分か
ら100時間で反応は完結する。
【0035】
【実施例】以下実施例を示し、さらに詳しくこの発明方
法について説明するが、この発明はこれら実施例に限定
されるものではない。なお、代表例として用いる反応基
質、遷移金属錯体、および不斉配位子としての光学活性
アミン化合物については表1、表2および表3にまとめ
て例示した。
【0036】又、本実施例中で用いる略号は次の通りで
ある。 η:不飽和配位子のうちで、金属と結合している炭素原
子の数を表わすのに用い、ヘキサハプト(金属と炭素原
子が6個結合したもの)はη6 と表わす。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】また、機器分析は次の表4の各機種によっ
た。
【0041】
【表4】
【0042】得られた光学活性プロパルギルアルコール
類の絶対配置は施光度、HPLCにより決定した。な
お、一般式(IX)および(X)で示される不斉金属錯体
については、その代表的な合成法を以下に参考例として
例示するが、必ずしもこれに限定されるものではない。参考例1 RuCl[(1S,2S)−p−TsNCH(C
6 5 )CH(C6 5 )NH2 ](η6 −p−cymen
e)(クロロ((1S,2S)−N−p−トルエンスル
ホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)(η6
−p−シメン)ルテニウム)の合成;あらかじめ、真空
乾燥、アルゴン置換したシュレンク反応器に、[RuC
2(η6 −p−cymene)]2 (テトラクロロビス(η
6 −p−シメン)二ルテニウム)1.53g(2.5m
mol)と(1S,2S)−p−TsNHCH(C6
5 )CH(C6 5 )NH2 ((1S,2S)−N−p
−トルエンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジ
アミン)1.83g(5.0mmol)及びトリエチル
アミン1.4mL(10mmol)を2−プロパノール
50mLで溶解する。反応液を80℃で一時間攪拌した
後、濃縮して得られた結晶を濾別し、少量の水で結晶を
洗浄し、減圧下で乾燥して、2.99gのオレンジ色の
結晶を得た。収率は94%である。
【0043】
【表5】
【0044】参考例2 RuCl[(1S,2S)−p−TsNCH(C
6 5 )CH(C6 5 )NH2 ](η6 −mesitylen
e)(クロロ((1S,2S)−N−p−トルエンスル
ホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)(η6
−メシチレン)ルテニウム)の合成;[RuCl2 (η
6 −p−cymene)]2 (テトラクロロビス(η6 −p−
シメン)二ルテニウム)の代わりに[RuCl2 (η6
−mesitylene)]2 (テトラクロロビス(η6 −メシチ
レン)二ルテニウム)を用いて、RuCl[(1S,2
S)−p−TsNCH(C6 5 )CH(C6 5 )N
2 ](η6 −p−cymene)(クロロ((1S,2S)
−N−p−トルエンスルホニル−1,2−ジフェニルエ
チレンジアミン)(η6 −p−シメン)ルテニウム)の
合成の場合と同様に操作して上記の錯体をオレンジ色の
結晶として得た。収率は64%である。
【0045】
【表6】
【0046】参考例3 Ru[(1S,2S)−p−TsNCH(C6 5 )C
H(C6 5 )NH](η6 −p−cymene)(((1
S,2S)−N−p−トルエンスルホニル−1,2−ジ
フェニルエチレンジアミン)(η6 −p−シメン)ルテ
ニウム)の合成;あらかじめ、真空乾燥、アルゴン置換
したシュレンク反応器に、[RuCl2(η6 −p−cym
ene)]2 (テトラクロロビス(η6 −p−シメン)二
ルテニウム)306.2mg(0.5mmol)と(1
S,2S)−p−TsNHCH(C6 5 )CH(C6
5 )NH2 ((1S,2S)−N−p−トルエンスル
ホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)36
6.4mg(1.0mmol)及び水酸化カリウム40
0mg(7.1mmol)を塩化メチレン7mLで溶解
する。反応液を室温で5分間攪拌した後、反応液に水7
mlを加えることにより、反応液の色がオレンジから深
紫へと変化した。有機層を分離し、水7mLで洗浄し
た。水素化カルシウムで乾燥し、溶媒を留去した後、減
圧下で乾燥して、522mgの深紫色の結晶を得た。収
率は87%である。
【0047】
【表7】
【0048】参考例4 Ru[(1S,2S)−p−TsNCH(C6 5 )C
H(C6 5 )NH](η6 −mesitylene)((1S,
2S)−N−p−トルエンスルホニル−1,2−ジフェ
ニルエチレンジアミン)(η6 −メシチレン)ルテニウ
ム)の合成;[RuCl2 (η6 −p−cymene)]
2 (テトラクロロビス(η6 −p−シメン)二ルテニウ
ム)の代わりに[RuCl2 (η6 −mesitylene)]2
(テトラクロロビス(η6 −メシチレン)二ルテニウ
ム)を用いて、Ru[(1S,2S)−p−TsNCH
(C6 5 )CH(C6 5 )NH](η6 −p−cyme
ne)(((1S,2S)−N−p−トルエンスルホニル
−1,2−ジフェニルエチレンジアミン)(η6 −p−
シメン)ルテニウム)の合成の場合と同様に操作して上
記の錯体を紫色の結晶として得た。収率は80%であ
る。
【0049】
【表8】
【0050】実施例1 凍結脱気した乾燥2−プロパノール5mLに、光学活性
ジアミン(1S,2S)−p−TsNHCH(C
6 5 )CH(C6 5 )NH2 ((1S,2S)−N
−p−トルエンスルフォニル−1,2−ジフェニルエチ
レンジアミン)1.83mg(5.0μmol)と、ル
テニウムアレーン錯体[RuCl2 (η6 −mesitylen
e)]2 (テトラクロロビス(η6 −メシチレン)二ル
テニウム)1.46mg(10.0μmol)を加え
て、アルゴン下28℃で20分攪拌したのち、凍結脱気
した乾燥2−プロパノール5mL、脱気蒸留した4−フ
ェニル−3−ブチン−2−オン144mg(1.0mm
ol)、0.4Mの水酸化カリウム2−プロパノール溶
液27.5μL(11.0μmol)の順に加えて18
時間攪拌した。反応終了後、2−プロパノールを減圧留
去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;酢酸エ
チル:ヘキサン=1:3)にて精製して無色のオイル状
の(S)−4−フェニル−3−ブチン−2−オール13
2mgを得た。収率は90%である。
【0051】[α]D 23=−35.0°(c=1.0
0,クロロホルム) 得られた(S)−4−フェニル−3−ブチン−2−オー
ルを高速液体クロマトグラフィーにて分析を行った結
果、光学純度は97%eeであった。 <高速液体クロマトグラフィー分析条件> カラム:Chiralcel OD (ダイセル化学工業株式会社製) 展開溶媒:2−プロパノール:ヘキサン=20:80 液量:0.5mL/分 保持時間:(S)−4−フェニル−3−ブチン−2−オール 19.5分 (R)−4−フェニル−3−ブチン−2−オール 11.8分実施例2〜5 実施例1の方法に準じて、反応基質として表1に示すケ
トン類に対して表2に示すルテニウムアレーン錯体、表
3に示す光学活性配位子、反応時間の反応条件下にて反
応を行い、それぞれ対応する光学活性2級アルコールを
高収率で得た。表9にまとめてその結果を示した。
【0052】
【表9】
【0053】実施例6 凍結脱気した乾燥2−プロパノール25mLに、光学活
性ルテニウム錯体RuCl(η6 −mesitylene)[(1
S,2S)−p−TsNCH(C6 5 )CH(C6
5 )NH2 ](クロロ((1S,2S)−N−p−トル
エンスルフォニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミ
ン)(η6 −メシチレン)ルテニウム)15.6mg
(25.0μmol)を加えて、アルゴン下28℃で2
0分攪拌したのち、凍結脱気した乾燥2−プロパノール
25mL、脱気蒸留した1−フェニル−1−ペンチン−
4−オン791mg(5.0mmol)、0.4Mの水
酸化カリウム2−プロパノール溶液125.0μL(5
0.0μmol)の順に加えて12時間攪拌した。反応
終了後、2−プロパノールを減圧留去し、シリカゲルク
ロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチル:ヘキサン=
1:3)にて精製して無色のオイル状の(S)−1−フ
ェニル−1−ペンチン−3−オール777mgを得た。
収率は97%である。
【0054】[α]D 23=−20.5°(c=2.0
5,ジエチルエーテル) 得られた(S)−1−フェニル−1−ペンチン−3−オ
ールを高速液体クロマトグラフィーにて分析を行った結
果、光学純度は97%eeであった。 <高速液体クロマトグラフィー分析条件> カラム:Chiralcel OD (ダイセル化学工業株式会社製) 展開溶媒:2−プロパノール:ヘキサン=10:90 液量:0.5mL/分 保持時間:(S)−1−フェニル−1−ペンチン−3−オール 27.8分 (R)−1−フェニル−1−ペンチン−3−オール 14.4分実施例7〜14 実施例6の方法に準じて、反応基質として表1に示すケ
トン類に対して表2に示す光学活性ルテニウム錯体、反
応時間の反応条件下にて反応を行い、それぞれ対応する
光学活性2級アルコールを高収率で得た。表10にまと
めてその結果を示した。
【0055】
【表10】
【0056】実施例15 脱気蒸留した4−(トリメチルシリル)−3−ブチン−
2−オン701mg(5.0mmol)凍結脱気した乾
燥2−プロパノール50mL溶液に、光学活性ルテニウ
ム錯体Ru(η6 −p−cymene)[(1S,2S)−p
−TsNCH(C6 5 )CH(C6 5 )NH]
(((1S,2S)−N−p−トルエンスルフォニル−
1,2−ジフェニルエチレンジアミン)(η6 −p−シ
メン)ルテニウム)15.6mg(25.0μmol)
を加えて、アルゴン下28℃で12時間攪拌した。反応
終了後、2−プロパノールを減圧留去し、シリカゲルク
ロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチル:ヘキサン=
1:6)にて精製して無色のオイル状の(S)−4−
(トリメチルシリル)−3−ブチン−2−オール704
mgを得た。収率は100%である。
【0057】[α]D 23=−27.6°(c=2.9
7,クロロホルム) 得られた(S)−4−(トリメチルシリル)−3−ブチ
ン−2−オールを(S)−2−(3,5−ジニトロベン
ゾイロキシ)−4−(トリメチルシリル)−3−ブチン
に変換した後、高速液体クロマトグラフィーにて分析を
行った結果、光学純度は98%eeであった。 <高速液体クロマトグラフィー分析条件> カラム:Chiralcel OD−H(ダイセル化学工業株式会
社製) 展開溶媒:2−プロパノール:ヘキサン=5:95 液量:0.5mL/分 に示す光学活性ルテニウム錯体、反応時間の反応条件下
にて反応を行い、それぞれ対応する光学活性2級アルコ
ールを高収率で得た。表11にまとめてその結果を示し
た。
【0058】
【表11】
【0059】実施例23 (S)−N−ベンジロキシカルボニル−4−アミノ−1
−フェニル−1−ペンチン−3−オン(98.4%e
e)307mg(1.0mmol)の凍結脱気した乾燥
2−プロパノール10mL溶液に、光学活性ルテニウム
錯体Ru(η6 −p−cymene)[(1R,2R)−p−
TsNCH(C6 5 )CH(C6 5 )NH]
(((1R,2R)−N−p−トルエンスルフォニル−
1,2−ジフェニルエチレンジアミン)(η6 −p−シ
メン)ルテニウム)6.0mg(10.0μmol)を
加えて、アルゴン下28℃で2時間攪拌した。反応終了
後、2−プロパノールを減圧留去し、シリカゲルクロマ
トグラフィー(溶離液;酢酸エチル:ヘキサン=1:
3)にて精製して(3S,4S):(3R,4R):
(3R,4S):(3S,4R)=97.2:0.0:
1.4:1.4の異性体比のN−ベンジロキシカルボニ
ル−4−アミノ−1−フェニル−1−ペンチン−3−オ
ール309mgを得た。この粗成物をジエチルエーテル
−ヘキサンから再結晶して、白色結晶の(3S,4S)
−Nーベンジロキシカルボニル−4−アミノ−1−フェ
ニル−1−ペンチン−3−オールを270mg得た。収
率は87%であった。
【0060】
【表12】
【0061】得られた(3S,4S)−Nーベンジロキ
シカルボニル−4−アミノ−1−フェニル−1−ペンチ
ン−3−オールを高速液体クロマトグラフィーにて分析
を行った結果、光学純度は>99%eeであった。 <高速液体クロマトグラフィー分析条件> カラム:Chiralpak AS−Chiralpak AD×2(ダイセ
ル化学工業株式会社製) 展開溶媒:2−プロパノール:ヘキサン=10:90 液量:0.5mL/分 実施例24 光学活性ルテニウム錯体Ru(η6 −p−cymene)
[(1R,2R)−p−TsNCH(C6 5 )CH
(C6 5 )NH](((1R,2R)−N−p−トル
エンスルフォニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミ
ン)(η6 −p−シメン)ルテニウム)6.0mg(1
0.0μmol)の代わりに、光学活性ルテニウム錯体
Ru(η6 −p−cymene)[(1S,2S)−p−Ts
NCH(C6 5 )CH(C6 5 )NH](((1
S,2S)−N−p−トルエンスルフォニル−1,2−
ジフェニルエチレンジアミン)(η6 −p−シメン)ル
テニウム)12.0mg(20.0μmol)を用いて
実施例23と同様に操作して(3S,4S):(3R,
4R):(3R,4S):(3S,4R)=1.6:
1.1:97.3:0.0の異性体比のN−ベンジロキ
シカルボニル−4−アミノ−1−フェニル−1−ペンチ
ン−3−オール307mgを得た。この粗成物を酢酸エ
チル−ヘキサンから再結晶して白色結晶の(3R,4
S)−Nーベンジロキシカルボニル−4−アミノ−1−
フェニル−1−ペンチン−3−オールを250mg得
た。収率は81%であった。
【0062】
【表13】
【0063】得られた(3R,4S)−N−ベンジロキ
シカルボニル−4−アミノ−1−フェニル−1−ペンチ
ン−3−オールを高速液体クロマトグラフィーにて実施
例23と同様の条件で分析を行った結果、光学純度は>
99%eeであった。
【0064】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
り高い合成収率で、しかも高い光学純度の光学活性アル
コール類が製造可能とされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 29/136 C07C 29/136 33/042 33/042 271/18 271/18 C07F 7/08 C07F 7/08 A C07M 7:00 (72)発明者 碇屋 隆雄 愛知県名古屋市千種区汁谷町8−1 茶 屋ヶ坂コータース907 (72)発明者 松村 和彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字下鴨田 50−1 オークコートS203 (72)発明者 橋口 昌平 大阪府豊中市中桜塚1丁目10番17号 (72)発明者 野依 良治 愛知県日進市梅森町新田135−417 (56)参考文献 特開 平8−225466(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセチレン結合を持つカルボニル化合物
    を、遷移金属錯体と塩基と光学活性含窒素化合物の三成
    分系触媒の存在下、あるいはこれら光学活性含窒素化合
    物を配位子とする不斉金属錯体と塩基とからなる二成分
    系触媒の存在下、または遷移金属錯体とこれら光学活性
    含窒素化合物および塩基とから形成される不斉金属錯体
    のみからなる触媒の存在下に、水素供与性の有機または
    無機化合物の存在下に水素移動型不斉還元してアセチレ
    ン結合を持つ光学活性アルコール類を製造することを特
    徴とする光学活性アルコール類の製造方法。
  2. 【請求項2】 次の一般式(I) 【化1】 (式中R1 ,R2 は、同じかもしくは異なる基であり、
    置換基を有してもよい芳香族単環または芳香族多環式炭
    化水素基、置換基を有していてもよい飽和あるいは不飽
    和の鎖状または環状炭化水素基、もしくは置換基を有し
    ていてもよい飽和あるいは不飽和の鎖状または環状炭化
    水素基および芳香族単環または芳香族多環式炭化水素基
    から選択される1種以上の置換基を有するシリル基、ま
    たは異種原子を含む複素単環または複素多環式基を示
    す。)で表されるカルボニル化合物を不斉還元し、一般
    式(II) 【化2】 (R1 およびR2 は上記と同じ有機基を示す)で表され
    る光学活性アルコール類を製造することを特徴とする請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 遷移金属錯体が第VIII族金属の金属錯体
    である請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 塩基がアルカリ金属またはアルカリ土類
    金属の水酸化物、あるいはそれらの塩もしくは4級アン
    モニウム塩である請求項1または2記載の方法。
  5. 【請求項5】 光学活性含窒素化合物が光学活性アミン
    誘導体である請求項1または2記載の方法。
  6. 【請求項6】 水素供与性の有機、または無機化合物が
    アルコール化合物、炭化水素化合物、複素環化合物、ギ
    酸、ギ酸塩、ヒドロキノンあるいは亜リン酸である請求
    項1または2記載の方法。
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