JP3905162B2 - ベンズヒドロール誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベンズヒドロール誘導体の製造方法に関し、より詳細には医薬品の合成中間体や液晶材料等の各種用途において有用な、光学活性なベンズヒドロール誘導体の実用性に優れた新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光学活性アルコール類を合成する方法としては、1)パン酵母などの酵素を用いる方法や、2)金属錯体を用いてカルボニル化合物を不斉水素化する方法などが知られている。特に、後者の不斉水素化方法については以下のように多くの方法が提案されている。例えば、(1)「Asymmetric Catalysis In Organic Synthesis, 56−82頁(1994)Ed. R. Noyori」に詳細に記載されている光学活性ルテニウム触媒による官能基を有するカルボニル化合物の不斉水素化方法、(2)「Chem. Rev., Vol. 92, 1051−1069頁(1992)」に記載されているルテニウム、ロジウム、イリジウムの不斉錯体触媒による水素移動型還元反応、(3)「油化学,828−831頁(1980)」及び「Advances in Catalysis, Vol. 32,215頁(1983) Ed. Y. Izumi 」に記載されている酒石酸を修飾したニッケル触媒を用いて不斉水素化する方法、(4)「Asymmetric Synthesis, Vol.5, Chap.4(1985)Ed. J. D. Morrison」及び「J. Organomet. Chem., Vol. 346, 413−424頁(1988)」に記載されている不斉ヒドロシリル化による方法、(5)「J. Chem. Soc., Perkin Trans. I, 2039−2044頁(1985)」及び「J. Am. Chem. Soc., Vol. 109,5551−5553頁(1987)」に記載されている不斉配位子の存在下にボラン還元する方法、(6)「J. Am. Chem. Soc., Vol. 117,2675−2676頁(1995)」に記載されている水酸化カリウム、光学活性ジアミン、ルテニウムの不斉錯体触媒によるアセトフェノン類を不斉水素化する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、上記光学活性アルコール類の合成方法のうち、酵素を用いる合成方法は操作が繁雑で、反応基質の種類に制約があり、しかも、得られるアルコール類の絶対配置も特定のものに限られるという難点がある。また、遷移金属の不斉水素化触媒を用いる合成方法の場合には、反応速度の点で難点があったり、しかも意外に、比較的単純なカルボニル化合物に対しては有効でないというような基質特異性を考慮しなければならない。
【0004】
また、カルボニル化合物の不斉水素化における様々な遷移金属触媒が報告されているにもかかわらず、これらの触媒は、一般にカルボニル化合物の不斉水素化反応においては、反応基質がアセトフェノン誘導体のような、芳香環基と脂肪族基を持つケトン類である場合には比較的良好であるが、反応基質が芳香環基を2つ持つケトン類である場合には水素化自体が起こりにくいことが知られている。
【0005】
一方、医薬品の合成中間体や液晶材料等の各種用途において有用なベンズヒドロール誘導体の製造法として、ベンゾフェノン誘導体を遷移金属触媒を用いて水素化する方法が考えられるが、これは上述のようなケースに相当し良好な結果が得られるものではなかった。
【0006】
特に、医薬の分野のように、特定の絶対配置のものだけが医薬として有用であるような場合には、たとえ水素化はうまく行われたとしても、得られたものが光学活性体でなければ利用できず、これら特定のケトン類には上記方法の応用は期待できるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、簡便な操作でベンゾフェノン誘導体又はその塩を不斉水素化し、所望する絶対配置のベンズヒドロール誘導体を高収率及び高光学純度で得ることのできる新規な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定の不斉水素化触媒の存在下に、ベンゾフェノン誘導体又はその塩を不斉水素化することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の一般式(1)
【0010】
【化10】
【0011】
(式中、Rは置換基を有していてもよいアミノ基を示し、A環及びB環はそれぞれ更に置換基を有していてもよい)で表わされるベンゾフェノン誘導体又はその塩を不斉水素化触媒の存在下に水素化して次の一般式(2)
【0012】
【化11】
【0013】
(式中、R、A環及びB環は前記と同様の意味を示し、*は不斉炭素の位置を示す)で表わされるベンズヒドロール誘導体又はその塩の光学活性体を製造する方法であって、上記不斉水素化触媒が、
次の一般式(3)、(4)、(5)又は(6)
【化10】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Lは光学活性ホスフィン配位子を示し、Aは3級アミンを示す)
【化11】
(式中、X及びLは前記と同じ意味を示し、Eは置換基を有していてもよいベンゼン又はp−サイメンを示す)
【化12】
(式中、Lは前記と同じ意味を示し、Gはハロゲン原子又はアセトキシを示す)
【化13】
(式中、X及びLは前記と同じ意味を示し、J - はBF 4 - 、ClO 4 - 、PF 6 - 又はBPh 4 - (Phはフェニル基を示す)を示す)で表わされるルテニウム錯体;
次の一般式(18)
【化14】
(式中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示し、Yはヒドロキシ基、アルコキシ基又はメルカプト基を示し、nは1又は2である)で表わされる化合物又は第4級アンモニウム塩から選ばれる塩基;
及び光学活性アミンからなるものであることを特徴とする上記製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
反応基質である上記ベンゾフェノン誘導体(1)において、Rは置換基を1又は2個有していてもよいアミノ基であり、好ましい具体例としては無置換アミノ基又は低級アルキル基、アシル基又は保護基がモノ置換したアミノ基等が挙げられる。低級アルキル基がモノ置換したアミノ基としては、炭素数1〜6のアルキル基がモノ置換したアミノ基、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、2,2−ジメチルプロピルアミノ基(ネオペンチルアミノ基)等が挙げられ、特に2,2−ジメチルプロピルアミノ基(ネオペンチルアミノ基)が好ましい。
【0015】
モノアシルアミノ基としては、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、イソバレリルアミノ基、ピバロイルアミノ基、パルミトイルアミノ基、ステアロイルアミノ基、オレオイルアミノ基などの炭素数1〜18のモノアルカノイルアミノ基が挙げられ、このうちピバロイルアミノ基が特に好ましい。
【0016】
保護基としては、容易に脱離し得る基であり、例えば置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基などの炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基等が挙げられ、このうちtert−ブチルオキシカルボニル基が特に好ましい。また、ベンジルオキシカルボニル基のフェニル基は、ニトロ基、メトキシ基等で置換されていてもよく、具体的にはp−ニトロベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0017】
A環及びB環はそれぞれ更に置換基を有していてもよく、置換基としては具体的にはハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルカノイル基及び炭素数1〜4のアルキル基が置換していてもよいアミノ基が挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、塩素及び臭素が好ましく、特に塩素が好ましい。
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。また、これらのアルキル基はハロゲン原子が置換したものでもよい。
【0018】
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等が挙げられ、特にメトキシ基が好ましい。また、これらのアルコキシ基はハロゲン原子が置換したものでもよい。
炭素数1〜5のアルカノイル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、ピバロイル基が挙げられ、特にアセチル基、ピバロイル基が好ましい。
【0019】
炭素数1〜4のアルキル基が置換したアミノ基としては、アルキル基が1つ置換したモノアルキルアミノ基と、アルキル基が2つ置換したジアルキルアミノ基が挙げられる。モノアルキルアミノ基としては、前記モノアルキルアミノ基のうち炭素数1〜4のアルキル基が置換したアミノ基が挙げられる。また、ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基が挙げられ、このうち特にジメチルアミノ基が好ましい。
【0020】
ベンゾフェノン誘導体(1)において、A環としてはハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基が置換したものが好ましく、特にハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基(特にメトキシ基)が2個置換したものがより好ましく、さらにはオルト位及びパラ位に置換したものが好ましい。また、B環としてはハロゲン原子を1又は2個置換基として有するものが好ましく、特に基−Rのパラ位に置換したものが好ましい。
なお、A環とB環は、置換基が同一の位置に同一種のものが置換した対称の関係にないものが好ましい。
【0021】
ここで、本発明における出発化合物であるベンゾフェノン誘導体(1)はベンゾフェノン骨格の2−位に基−Rが置換しているものであるが、この位置に基−Rが置換していることにより、光学純度(%ee)の高いベンズヒドロール誘導体が得られる。このことは、後述する比較例1においてアミノ基がベンゾフェノン骨格の4−位に置換した化合物の不斉水素化では、光学純度が20.44%eeと低い値になっていることからも明らかである。
【0022】
本発明における出発化合物であるベンゾフェノン誘導体(1)としては次の表1〜表7に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、以下において、Meはメチル基、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基、dmPrは2,2−ジメチルプロピル基、Acはアセチル基、Pivはピバロイル基、Bzはベンジル基を意味するものである。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【0030】
本発明においては、これらのうち化合物2、3、38、39、65、66、86及び167が好ましく、特に化合物2、38及び65が好ましい。
【0031】
なお、ベンゾフェノン誘導体(1)は、特開平6−239843号公報(ヨーロッパ特許公報567026号)及び「D.A.Walsh,シンセシス(Synthesis)1980,p.677」に記載の方法又はそれに準じる方法により合成することができる。
【0032】
ベンゾフェノン誘導体(1)の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、過塩素酸塩等の無機塩及び酢酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。
【0033】
ベンゾフェノン誘導体(1)又はその塩を水素化する際に用いる不斉水素化触媒としては、遷移金属錯体、塩基及び光学活性窒素化合物からなるものが好ましい。遷移金属錯体としては具体的には、周期表の第8族のルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金等の錯体が挙げられ、このうち特にルテニウム錯体が好ましい。ルテニウム錯体としては、例えば次の式(3)〜(6)で示すものが挙げられる。
【0034】
【化12】
【0035】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Lは光学活性ホスフィン配位子を示し、Aは3級アミンを示す)
【0036】
【化13】
【0037】
(式中、X及びLは前記と同じ意味を示し、Eは置換基を有していてもよいベンゼン又はp−サイメンを示す)
【0038】
【化14】
【0039】
(式中、Lは前記と同じ意味を示し、Gはハロゲン原子又はアセトキシを示す)
【0040】
【化15】
【0041】
(式中、X及びLは前記と同じ意味を示し、J-はBF4 -、ClO4 -、PF6 -又はBPh4 -(Phはフェニル基を示す)を示す)
【0042】
上記錯体中のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、このうち塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、特に塩素が好ましい。
3級アミンとしてはトリ低級アルキルアミン、具体的にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等が挙げられ、トリエチルアミンが好ましい。
また、置換基を有していてもよいベンゼンの置換基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子が挙げられ、特に炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましい。
置換基を有するベンゼンの具体例としては、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン(特にメシチレン)、ジュレン、ヘキサメチルベンゼン、エチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、シメン(特にp−シメン)、クメン、安息香酸メチル、メチル安息香酸メチル、クロロ安息香酸メチル、アニソール、メチルアニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼン等が挙げられる。
【0043】
錯体(3)〜(6)としては、次のものが例示される。
錯体(3):[Ru2Cl4(L)2]NEt3、[Ru2Br4(L)2]NEt3、[Ru2I4(L)2]NEt3
錯体(4):[RuI(p−サイメン)(L)]I、[RuCl(p−サイメン)(L)]Cl、[RuBr(p−サイメン)(L)]Br、[RuI(ベンゼン)(L)]I、[RuCl(ベンゼン)(L)]Cl、[RuBr(ベンゼン)(L)]Br、〔RuI(トルエン)(L)〕、〔RuCl(キシレン)(L)〕Cl、〔RuBr(メシチレン)(L)〕Br、〔RuI(ヘキサメチルベンゼン)(L)〕I
錯体(5):[RuBr2(L)]、[Ru(OAc)2(L)]
錯体(6):[RuCl(L)]+BF4 -、[RuCl(L)]+ClO4 -、[RuCl(L)]+PF6 -、〔RuCl(L)〕+BPh4 -
【0044】
上記錯体(3)〜(6)の中で、錯体(3)、(4)が好ましく、特に錯体(3)が好ましい。
【0045】
また、上記錯体においてLは光学活性ホスフィン配位子を示すが、具体的には次の一般式(7)又は(8)で表わされる化合物が挙げられる。
【0046】
【化16】
【0047】
(式中、R12は炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、R13、R14、R15、R16、R17及びR18はそれぞれ同一または異なって水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロゲン原子を示し、又はR14とR15、R16とR17はそれぞれ結合して環を形成してもよい)
【0048】
【化17】
【0049】
(式中、R19は水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す)
【0050】
上記配位子(7)及び(8)において、R12〜R19の炭素数1〜4の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
置換基である炭素数1〜4の低級アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基が挙げられ、特にメトキシ基が好ましい。
置換基であるハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ特に塩素及び臭素が好ましい。
【0051】
配位子(7)において、R14とR15、R16とR17はそれぞれ結合して環を形成してもよく、例えば基−CH=CH−CH=CH−、基−(CH2)4−等で6員環を形成してもよい。
【0052】
配位子(7)として具体的には、次の一般式(9)、(10)で表わされる光学活性ホスフィン配位子が挙げられる。
【0053】
【化18】
【0054】
(式中、R12は前記と同様の意味を示し、R20及びR21はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、又はR20及びR21はともに結合して基−CH=CH−CH=CH−を形成してもよい)
【0055】
【化19】
【0056】
(式中、R12は前記と同様の意味を示す)
【0057】
以上のような光学活性ホスフィン配位子のリン原子に結合する置換フェニルの置換基の位置に関しては、配位子(7)、(9)、(10)の基−R12のように、メタ位に置換するものが好ましく、この位置の選択によって光学純度(%ee)が良好な目的化合物を得ることができる。
【0058】
また、光学活性ホスフィン配位子としては、配位子(9)のようなビナフチル骨格のものと、配位子(8)のようにオクタヒドロビナフチル骨格のものが挙げられるがビナフチル骨格のものが好ましく、これを用いることによって反応転化率及び光学純度(%ee)が良好な目的化合物を得ることができる。
従って、光学活性ホスフィン配位子としてはメタ位に置換基を有するフェニル基及びビナフチル骨格を持つものが最も好ましい。
【0059】
上記配位子(7)〜(10)は公知の方法により合成することができる。例えばR14とR15、R16とR17が環を形成しないビフェニル型の光学活性配位子(7)に関しては、特開昭59−65051号公報に記載されているように、次の反応式に従って反応させ、光学分割することにより得ることができる。
【0060】
【化20】
【0061】
(式中、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は前記と同様の意味を示し、Dは離脱性基を示し、化合物(12)はリン原子に置換フェニル基が2つ置換した化合物であることを示す)
【0062】
すなわち、2,2’−リチウム−1,1’−ビフェニル化合物(11)をジ(3,5−ジ置換フェニル)ホスフィン化合物(12)と反応させ、得られた化合物を光学分割することにより配位子(7)を得ることができる。
【0063】
配位子(8)及び配位子(10)に関しては、特開平4−139140号公報に記載されているように、例えば次の反応式に従って合成することができる。
【0064】
【化21】
【0065】
(式中、R19は前記と同様の意味を示し、X1及びX2はそれぞれハロゲン原子を示す)
【0066】
すなわち、2,2’−ハロゲノ−1,1’−ビナフチル(13)をルテニウム−炭素触媒の存在下に水素化して2,2’−ハロゲノ−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル(14)とした後、金属マグネシウムと反応させてグリニヤール試薬(15)とし、これにジフェニルホスフィノハライド化合物(16)又は(17)を縮合させ得られた化合物を光学分割することにより、配位子(8)又は(10)を得ることができる。
【0067】
以上のように光学活性ホスフィン配位子としては、配位子(7)又は(8)が好ましく、特に配位子(7)のうちの配位子(9)が好ましく、次いで配位子(8)及び配位子(7)のうちの配位子(10)が好ましい。
【0068】
配位子(7)としてはR14とR15、R16とR17が環を形成しないビフェニル型の配位子と、環を形成した配位子に大別されるが、環を形成した配位子が好ましい。
この環を形成した配位子としては、配位子(9)及び(10)が挙げられ、特に配位子(9)が好ましい。
【0069】
配位子(7)においてR14とR15、R16とR17が環を形成しないビフェニル型の配位子(7)として具体的には、6,6’−ジメチル−2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、6,6’−ジメトキシ−2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビフェニル等が挙げられる。
【0070】
配位子(7)においてR14とR15、R16とR17が環を形成した配位子(9)としては、2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(DM−BINAP)等の2,2’−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル;7,7’−ジメチル−2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等の7,7’−ジメチル−2,2’−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル;8,8’−ジメチル−2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等の8,8’−ジメチル−2,2’−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル;及び3,3’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−4,4’−ビフェナントリル等の3,3’−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−4,4’−ビフェナントリルが挙げられ、2,2’−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチルが好ましく、この中でも特に2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(DM−BINAP)が好ましい。なお、ここに言う低級アルキルとは、炭素数1〜4個の低級アルキル基を示すものである。
【0071】
配位子(8)、及び配位子(7)においてR14とR15、R16とR17が環を形成する配位子(10)としては、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル(OcH−BINAP)、2,2’−ビス(ジ(p−トリル)ホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル(OcH−Tol−BINAP)及び2,2’−ビス(ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル(OcH−DM−BINAP)等の2,2’−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチルなどが挙げられ、このうちOcH−BINAP及び2,2’−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチルが好ましい。なお、ここに言う低級アルキルとは、炭素数1〜4個の低級アルキル基を示すものである。
【0072】
これらの配位子にはおのおの(R)−体と(S)−体が存在するが、目的とする化合物に応じて適宜選択することができる。
また、以下に示すような前記以外の光学活性ホスフィン配位子も使用することが可能である。
【0073】
2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、
2,2’−ビス(ジ(p−トリル)ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(Tol−BINAP)、
2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビナフチル(BICHEP)、
1−(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル)N,N−ジメチルエチルアミン(BPPFA)、
2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(CHIRAHOS)、
1−シクロヘキシル−1,2−ビス(ジフェニル)ホスフィノエタン(CYCPHOS)、
1−置換−3,4−ビス(ジフェニル)ホスフィノピロリジン(DEGPHOS)、
(R,R)−2,3−o−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(DIOP)、
(R,R)−1,2−ビス[(o−メトキシフェニル)フェニルホスフィノ]エタン(DIPAMP)、
置換−1,2−ビス(ホスホラノ)ベンゼン(DUPHOS)、
(R,R)−5,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2−ノルボルネン(NORPHOS)、
N,N’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−N,N’−ビス[(R)−1−フェニルエチル]エチレンジアミン(PNNP)、
(S)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(PROPHOS)、
(S,S)−2,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン(SKEWPHOS)
【0074】
本発明で用いる遷移金属錯体のより具体的な例としては、[Ru2Cl4(DM−BINAP)2]NEt3、[Ru2Cl4(OcH−BINAP)2]NEt3、[Ru2Cl4(OcH−DM−BINAP)2]NEt3、[RuI(p−サイメン)(DM−BINAP)]I、[RuCl(p−サイメン)(DM−BINAP)]Cl、[RuBr(p−サイメン)(DM−BINAP)]Br、[RuI(ベンゼン)(DM−BINAP)]I、[RuCl(ベンゼン)(DM−BINAP)]Cl、[RuBr(ベンゼン)(DM−BINAP)]Br、[RuI(p−サイメン)(OcH−BINAP)]I、[RuCl(p−サイメン)(OcH−BINAP)]Cl、[RuBr(p−サイメン)(OcH−BINAP)]Br、[RuI(ベンゼン)(OcH−BINAP)]I、[RuCl(ベンゼン)(OcH−BINAP)]Cl、[RuBr(ベンゼン)(OcH−BINAP)]Br、[RuI(p−サイメン)(OcH−DM−BINAP)]I、[RuCl(p−サイメン)(OcH−DM−BINAP)]Cl、[RuBr(p−サイメン)(OcH−DM−BINAP)]Br、[RuI(ベンゼン)(OcH−DM−BINAP)]I、[RuCl(ベンゼン)(OcH−DM−BINAP)]Cl、[RuBr(ベンゼン)(OcH−DM−BINAP)]Br、[RuBr2(DM−BINAP)]、[RuBr2(OcH−BINAP)]、[RuBr2(OcH−DM−BINAP)]、[Ru(OAc)2(DM−BINAP)]、[Ru(OAc)2(OcH−BINAP)]、[Ru(OAc)2(OcH−DM−BINAP)]、[RuCl(DM−BINAP)]+BF4 -、[RuCl(OcH−BINAP)]+BF4 -、[RuCl(OcH−DM−BINAP)]+BF4 -、[RuCl(DM−BINAP)]+ClO4 -、[RuCl(OcH−BINAP)]+ClO4 -、[RuCl(OcH−DM−BINAP)]+ClO4 -、[RuCl(DM−BINAP)]-PF6 -、[RuCl(OcH−BINAP)]+PF6 -、[RuCl(OcH−DM−BINAP)]+PF6 -等が挙げられる。
【0075】
このうち好ましいものとしては、[Ru2Cl4(DM−BINAP)2]NEt3、[Ru2Cl4(OcH−BINAP)2]NEt3、[Ru2Cl4(OcH−DM−BINAP)2]NEt3、[RuI(p−サイメン)(DM−BINAP)]I、[RuCl(p−サイメン)(DM−BINAP)]Cl、[RuBr(p−サイメン)(DM−BINAP)]Br、[RuI(ベンゼン)(DM−BINAP)]I、[RuCl(ベンゼン)(DM−BINAP)]Cl、[RuBr(ベンゼン)(DM−BINAP)]Br、[RuI(p−サイメン)(OcH−BINAP)]I、[RuCl(p−サイメン)(OcH−BINAP)]Cl、[RuBr(p−サイメン)(OcH−BINAP)]Br、[RuI(ベンゼン)(OcH−BINAP)]I、[RuCl(ベンゼン)(OcH−BINAP)]Cl、[RuBr(ベンゼン)(OcH−BINAP)]Br、[RuI(p−サイメン)(OcH−DM−BINAP)]I、[RuCl(p−サイメン)(OcH−DM−BINAP)]Cl、[RuBr(p−サイメン)(OcH−DM−BINAP)]Br、[RuI(ベンゼン)(OcH−DM−BINAP)]I、[RuCl(ベンゼン)(OcH−DM−BINAP)]Cl、[RuBr(ベンゼン)(OcH−DM−BINAP)]Brが挙げられ、特に好ましいものとしては、[Ru2Cl4(DM−BINAP)2]NEt3、[Ru2Cl4(OcH−BINAP)2]NEt3、[Ru2Cl4(OcH−DM−BINAP)2]NEt3が挙げられる。
【0076】
本発明における遷移金属錯体の使用量は、反応容器、反応の形式あるいは経済性によっても異なるが、反応基質であるベンゾフェノン誘導体(1)に対してモル比で1/100〜1/100,000、好ましくは1/500〜1/10,000の範囲で使用することができる。
【0077】
また、本発明において不斉水素化触媒に用いられる塩基としては、例えば一般式(18)
【0078】
【化22】
【0079】
(式中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示し、Yはヒドロキシ、アルコキシ基又はメルカプト基を示し、nは1又は2である)
で表わされる化合物又は4級アンモニウム塩等が挙げられ、特に制限はないが、特に化合物MYが好ましい。
【0080】
塩基(18)において、アルカリ金属原子としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、ナトリウム、カリウムが好ましく、特にカリウムが好ましい。アルカリ土類金属原子としてはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、カルシウムが好ましい。また、アルカリ金属原子とアルカリ土類金属原子とではアルカリ金属原子の方が好ましい。
【0081】
アルコキシ基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等が挙げられメトキシ基、イソプロピルオキシ基、tert−ブチルオキシ基が好ましい。
【0082】
塩基(18)として具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、メトキシリチウム、メトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシリチウム、エトキシナトリウム、エトキシカリウム、プロポキシリチウム、プロポキシナトリウム、プロポキシカリウム、イソプロピルオキシリチウム、イソプロピルオキシナトリウム、イソプロピルオキシカリウム、tert−ブチルオキシカリウム、メチルメルカプトナトリウム等が挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、イソプロピルオキシカリウム、tert−ブチルオキシカリウムが好ましく、特に水酸化カリウム及びtert−ブチルオキシカリウムが好ましい。
【0083】
また、塩基の使用量に関しては、反応基質であるベンゾフェノン誘導体(1)に対して0.001〜0.5モル当量用いることができるが、好ましくは0.01〜0.5モル当量、さらに好ましくは0.03〜0.1モル当量である。
【0084】
不斉水素化触媒に用いられる光学活性窒素化合物としては、光学活性アミン、具体的には光学活性ジアミン化合物が好ましく、さらには2つのアミノ基及び/又は置換アミノ基が結合する炭素原子が各々隣り合った化合物(エチレンジアミン型)がより好ましい。
また、アミノ基及び/又は置換アミノ基の結合する炭素原子の1個又は2個が不斉炭素原子である光学活性ジアミン化合物が好ましく、その中でも特に不斉炭素原子を2個持つ光学活性ジアミン化合物がより好ましい。例えば、エチレンジアミン化合物、プロパンジアミン化合物、ブタンジアミン化合物、環状炭化水素ジアミン化合物、フェニレンジアミン化合物などが挙げられる。
【0085】
具体的には、例えば次の一般式(19)
【0086】
【化23】
【0087】
(式中、R22、R23、R24及びR25は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、アリール基、炭素数5〜7のシクロアルキル基を示し、又は、R23及びR24はともに結合して環を形成してもよく、R26、R27、R28及びR29は水素原子、不飽和炭化水素基、アリール基、スルホニル基を示す。但し、R22とR23、かつR24とR25が同時に同じ基となることはない。)
で表わされる光学活性ジアミン化合物(19)が好ましい。
【0088】
光学活性ジアミン化合物(19)の置換基R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28及びR29において、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などが挙げられ、メチル基が特に好ましい。
アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、置換フェニル基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。置換フェニル基としては、p−トリル基、3,5−ジメチルフェニル基などの炭素数1〜4の低級アルキル基の置換したフェニル基が挙げられ、特にp−トリル基が好ましい。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
R23及びR24はともに結合して環を形成してもよいが、この環としてはシクロヘキシル環、シクロヘプタン環などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、アリル基などの鎖状不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0089】
不斉水素化触媒に用いられる窒素化合物の具体例としては、例えば1,2−ジフェニルエチレンジアミン、1,2−ジシクロヘキシルエチレンジアミン、2,3−ジアミノブタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘプタン、1−メチル−2,2−ジフェニルエチレンジアミン、1−イソブチル−2,2−ジフェニルエチレンジアミン、1−イソプロピル−2,2−ジフェニルエチレンジアミン、1−メチル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−イソブチル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−イソプロピル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−ベンジル−2,2−ジ(p−メトキシフェニル)エチレンジアミン、1−メチル−2,2−ジナフチルエチレンジアミン、1−イソブチル−2,2−ジナフチルエチレンジアミン、1−イソプロピル−2,2−ジナフチルエチレンジアミンなどが挙げられ、特に1,2−ジフェニルエチレンジアミンが好ましい。
【0090】
また、上記光学活性ジアミン化合物(19)において、アミノ基及び/又は置換アミノ基の結合する炭素原子の2個が不斉炭素原子である場合には、(R,R)−体、(S,S)−体、(R,S)−体、(S,R)−体の4種類の異性体が考えられるが、このうち(R,R)−体、(S,S)−体が好ましく、これらを目的に応じて適宜選択して使用することができる。
【0091】
この異性体の選択にあたっては、用いる遷移金属錯体中の光学活性ホスフィン配位子との組合せが重要である。この組合せにはいろいろな場合が考えられるが、(R)−体の光学活性ホスフィン配位子と(R,R)−体の光学活性アミン化合物との組合せ、及び(S)−体の光学活性ホスフィン配位子と(S,S)−体の光学活性アミン化合物との組合せが最良の組合せであり、高い不斉収率を得るために重要である。
【0092】
光学活性窒素化合物の使用量は遷移金属錯体に対し、1〜20モル当量使用することができ、好ましくは4〜12モル当量である。
【0093】
本発明において触媒として使用する遷移金属錯体、塩基及び光学活性窒素化合物の3成分は不斉水素化反応が円滑に進行し、高い不斉収率を達成するために必要不可欠の成分であり、この3成分がそろって初めて十分な反応活性で高い光学純度の光学活性ベンズヒドロール誘導体を得ることができる。
【0094】
ベンゾフェノン誘導体(1)又はその塩を水素化する際に使用される溶媒としては、反応原料、触媒系を可溶化するものであれば特に制限なく用いることができる。例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ヘプタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン等のハロゲン含有炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2ープロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル;DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)等ヘテロ原子を含む有機溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は混合溶媒として用いることができるが、生成物がアルコールであることからアルコール系溶媒が好ましく、特に2−プロパノールが好ましい。
【0095】
溶媒の使用量は反応基質の溶解度及び経済性により判断されるが、例えば2−プロパノールを用いる場合、反応基質によって1容量%以下の低濃度から無溶媒に近い状態でも反応を行うことができるが、反応基質に対して2〜5倍(容量)用いることが好ましい。
【0096】
本発明は反応形式がバッチ式又は連続式のいずれにおいても実施することができる。また、反応水素の存在下で行われるものであるが、水素圧は1〜100気圧とすることができ、好ましくは20〜50気圧の範囲である。反応温度は20〜90℃が好ましく、35〜60℃が特に好ましい。反応時間は2〜48時間が好ましく、16〜30時間が特に好ましい。
【0097】
上記のようにして得られる所望の化合物(1)は、公知の手段、例えば濃縮、溶媒抽出、分留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等によって反応溶液から単離、精製することができる。
得られた化合物(1)から、公知の方法、例えば特開平6−239843号公報に記載の方法により、スクアレン合成酵素阻害剤、トリグリセリン低下剤として有用な医薬品を製造することができる。
【0098】
【実施例】
以下実施例を示し、さらに詳細に本発明について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例における各スペクトルの測定には次の機器を用いた。
【0099】
【0100】
また、各実施例における生成物の反応転化率、光学純度については下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により確認した。
【0101】
実施例1
10リットルのステンレス製オートクレーブに85%水酸化カリウム(11.88g、0.18mol)の2−プロパノール溶液(3375ml)を入れ、(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン(2.18g、10.27mmol)、2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノン(1500g、5.142mol)、テトラヒドロフラン(THF)(1125ml)、及びRu2Cl4((S)−DM−BINAP)2NEt3(1.64g、0.8564mmol)を窒素雰囲気下で挿入し、次いで水素ガスを40気圧まで圧入した。反応温度を43℃として30時間撹拌した後、常温に戻し、生成物の光学純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定したところ、93.9%eeであった。
【0102】
反応液を減圧下濃縮して得られた残留物を酢酸エチル/ヘキサン=1/1(容量比)の混合溶媒6リットルで再結晶を行い、(S)−2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンズヒドロールを1402g(収率92.8%)得た。このものの光学純度を高速液体クロマトグラフィーにより測定したところ、99.9%ee以上であった。
【0103】
m.p. 137.8〜138.5℃
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):3.30(d,J=5.0Hz,1H),3.80(s,3H),3.86(s,3H),4.17(broad s,2H),6.01(d,J=5.0Hz,1H),6.54(d,J=8.4Hz,1H),6.87(s,1H),6.89(s,1H),6.99〜7.08(m,4H)
MS(m/e):293(M+)
【0104】
実施例2
100mlのステンレス製オートクレーブに0.2Mに調製した水酸化カリウムの2−プロパノール溶液(1.2ml、水酸化カリウムが0.24mmol)、(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン(2.9mg、0.0137mmol)、2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノン(2g、6.86mmol)、2−プロパノール(3.3ml)、THF(1.5ml)、及びRu2Cl4((S)−DM−BINAP)2NEt3(6.56mg、0.00343mmol)を窒素雰囲気下で挿入し、次いで水素ガスを50気圧まで圧入した。反応温度50℃として20時間撹拌した後、反応液を常温に戻してから減圧濃縮を行った。
【0105】
得られた残留物2.13gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1〜2/1(容量比))で精製して(S)−2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンズヒドロールを1.96g(収率97.3%)得た。このものの光学純度を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ94.2%eeであった。
【0106】
実施例3
200mlのステンレス製オートクレーブに0.2Mに調製した水酸化カリウムの2−プロパノール溶液(6.0ml、水酸化カリウムが1.2mmol)、(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン(14.55mg、0.0686mmol)、2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノン(5.00g、17.14mmol)、2−プロパノール(12.75ml)、ベンゼン(1.25ml)、及びRu2Cl4((S)−OcH−DM−BINAP)2NEt3(33.1mg、0.017mmol)を窒素雰囲気下で挿入し、水素ガスを50気圧まで圧入した。反応温度50℃として24時間撹拌した後、反応液を常温に戻した。高速液体クロマトグラフィーにより反応転化率及び光学純度を測定したところ、それぞれ98.0%、88.9%eeであった。
【0107】
反応液を減圧濃縮し、得られた残留物5.37gを酢酸エチルで再結晶を行い、(S)−2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンズヒドロールを3.50g(収率69.5%)を得た。このものの光学純度を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、99.9%ee以上であった。
【0108】
実施例4
100mlのステンレス製オートクレーブに0.2Mに調製した水酸化カリウムの2−プロパノール溶液(0.6ml、水酸化カリウムが0.12mmol)、(1S,2S)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン(2.9mg、0.0137mmol)、2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノン(1.00g、3.43mmol)、2−プロパノール(3.15ml)、ベンゼン(1.25ml)、及びRu2Cl4((S)−OcH−BINAP)2NEt3(5.85mg、0.00343mmol)を窒素雰囲気下で挿入し、次いで水素ガスを50気圧まで圧入した。反応温度50℃として20時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮した。
【0109】
得られた残留物1.04gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1〜2/1(容量比))で精製して(S)−2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンズヒドロールを0.98g(収率97.3%)得た。このものの光学純度を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ71.9%eeであった。
【0110】
実施例5
100mlのステンレス製オートクレーブに0.2Mに調製した水酸化カリウムの2−プロパノール溶液(3.5ml、水酸化カリウムが0.709mmol)、(1R,2R)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン(8.6mg、0.0405mmol)、2−アミノ−2’,5−ジクロロベンゾフェノン(2.66g、10.0mmol)、2−プロパノール(6.5ml)、ベンゼン(3.3ml)、及びRu2Cl4((R)−DM−BINAP)2NEt3(19.5mg、0.01013mmol)を窒素雰囲気下で挿入し、次いで水素ガスを50気圧まで圧入した。反応温度50℃として20時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮した。
【0111】
得られた残留物2.68gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1〜2/1(容量比))で精製して油状の(R)−2−アミノ−2’,5−ジクロロベンズヒドロールを2.60g(収率97.0%)得た。このものの光学純度を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、79.9%eeであった。
【0112】
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δppm):2.66(d,J=3.8Hz,1H),4.05(broad s,2H),6.15(d,J=3.8Hz,1H),6.62(d,J=8.4Hz,1H),6.89(d,J=2.5Hz,1H),7.07(dd,J=2.5Hz,8.4Hz,1H),7.29〜7.48(m,4H)
MS(m/e):267(M+)
【0113】
実施例6及び7
出発化合物を表8に示すように代えた以外は実施例5と同様にして反応を行い、それぞれ(R)−体の水素化物を得た。結果を表8に示す。
【0114】
【表8】
【0115】
実施例8
100mlのステンレス製オートクレーブに0.2Mに調製した水酸化カリウムの2−プロパノール溶液(0.6ml、水酸化カリウムが0.12mmol)、(1R,2R)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン(2.9mg、0.0137mmol)、2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノン(1.00g、3.43mmol)、2−プロパノール(6.9ml)、ベンゼン(2.5ml)、及びRu2Cl4((R)−Tol−BINAP)2NEt3(6.18mg、0.00343mmol)を窒素雰囲気下で挿入し、次いで水素ガスを50気圧まで圧入した。反応温度50℃として18時間撹拌した後、反応液を室温に戻した。高速液体クロマトグラフィーにより反応転化率を測定したところ、90.9%であった。
【0116】
反応溶液を減圧濃縮し、得られた残留物1.05gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1〜2/1(容量比))で精製して油状の(R)−2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンズヒドロールを0.85g(収率84.4%)得た。このものの光学純度を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、57.4%eeであった。
【0117】
実施例9
遷移金属錯体をRu2Cl4((R)−BINAP)2NEt3に代えた以外は実施例8と同様にして反応を行い、(R)−2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンズヒドロールを収率96.2%、光学純度61.6%eeで得た。
【0118】
比較例1
出発化合物を4−アミノベンゾフェノンに代えた以外は実施例5と同様にして反応を行い、(R)−4−アミノベンゾヒドロールを収率99.32%、光学純度20.44%eeで得た。
【0119】
【発明の効果】
以上のように本発明製造方法は、簡単な操作で、医薬合成中間体等として有用なベンズヒドロール誘導体の光学活性体を高純度で製造することのできる工業的に有利な製造方法である。
Claims (9)
- 次の一般式(1)
次の一般式(3)、(4)、(5)又は(6)
次の一般式(18)
及び光学活性アミンからなるものであることを特徴とする上記製造方法。 - Rがアミノ基であるか又は、低級アルキル基、アシル基若しくは保護基がモノ置換したアミノ基である請求項1記載の製造方法。
- A環及びB環の置換基がハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルカノイル基及び炭素数1〜4のアルキル基が置換していてもよいアミノ基よりなる群から選ばれる1〜4個である請求項1又は2記載の製造方法。
- A環の置換基がハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基2個である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- B環の置換基がハロゲン原子1又は2個である請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
- 光学活性ホスフィン配位子が2,2′−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−1,1′−ビナフチルである請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 光学活性ホスフィン配位子が2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,5′,6,6′,7,7′,8,8′−オクタヒドロ−1,1′−ビナフチル又は2,2′−ビス(ジ(3,5−ジ低級アルキルフェニル)ホスフィノ)−5,5′,6,6′,7,7′,8,8′−オクタヒドロ−1,1′−ビナフチルである請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
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