JP2004292094A - 熱処理ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱処理ユニットは、所定位置にワークWを停止させ又搬送させるローラ12を備えたローラ列11を有するコンベア装置1、この位置で昇降しこの位置から搬送方向Yと直角の横方向Xに移動するハンド4を持つ移載装置2、及び、コンベア装置と横方向に対向し所定位置とY方向に同じ位置にワーク搬出入用の開口33を持つクリーンオーブン3で構成されている。
【効果】ハンドがコンベア上で昇降し上の位置で横方向に往復移動することにより、クリーンオーブンとコンベアとの間でワークを移載できる。回転のない単純な二次元動作で且つ動作数が少ないので、搬送時に要求されるワーク保持力が十分小さくなり、大型のワークでも安全確実に搬送でき、真空吸着機構のない摩擦パッドも使用可能になる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンベア装置と移載装置と熱処理装置とを有する熱処理ユニットに関し、特にコンベア装置と熱処理装置との間のワーク移載技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱処理室内でLCDガラス基板等の平板状のワークを多段に支持して1枚づつ出し入れしつつ熱処理する通常クリーンオーブンと称される熱処理装置とワークの生産ラインから熱処理装置までワークを搬出入する装置とを組み合わせた装置としては、例えば特許文献1に記載の如く、回転及び昇降とアームの伸縮とが可能な三次元動作をするロボットを使用した装置が従来から一般的に用いられてきた。
【0003】
このようなロボットを用いると、動作に自由度があってその範囲が広いため、例えば特許文献2に記載の如く、回転及び移動動作に加えて3ステーション間のワークの移載も可能になり、ワークの製造ライン及び諸装置の配置上の自由度が大きくなって使用に便利であった。
【0004】
このようなロボットを使用した装置では、通常、熱処理装置に対向する位置になっているロボットハンドが、水平方向に往復移動して熱処理室内で積載装置に載せられていて熱処理の完了したワークを取り出し、回転及び下降の同時動作をしてワークを搬送するコンベアに対向する位置になり、往復移動してワークをコンベア上に載せることにより、熱処理装置から搬送ラインへワークを移載している。又、ロボットハンドが、搬送ラインから熱処理されるべき新たなワークを取り上げ、回転及び上昇の同時動作をして熱処理装置に対向する位置になり、往復移動して熱処理室内の積載装置に新ワークを載せることにより、搬送ラインから熱処理装置へワークを移載している。
【0005】
しかしながら、ロボットを使用した上記のようなワーク移載動作では、回転動作があるためロボットに複雑な回転機構が設けられていてその故障が頻発すること、回転と昇降との同時動作のため同期制御のための高価なコントローラーが必要になること、熱処理装置と搬送ライン間のワーク移載のための距離が長く、従って回転と昇降とを同時動作にしてもワーク移載のための時間が長くなり、高速動作が必要になること、従ってワークをハンド上に保持するための力が大きくなって真空吸着支持構造の採用が不可欠であること、その場合には、熱処理時に発生する昇華物ガスを吸引するため、ワークを載せる真空チャック部や真空管内に昇華物が付着し、その除去のための保守作業の負担が大きかったこと、等の諸問題があった。
【0006】
又、LCDガラス基板等のワークでは例えば1850mm×2100mmのような超大型のものが出現するなどその大型化の傾向が著しく、そのようなワークを取り扱うロボットハンドでは、ハンド寸法の大型化とワークの重量増加とによって特に回転時のワークの慣性力及び遠心力が大きくなり、ワーク保持力を一層大きくする必要があり、真空吸着支持が不可欠であると共に、それでもワーク保持が難しい傾向になってきている。その反面では、ワークの大型化により、自由度の高い搬送ラインの計画が困難になっていて、移載装置としてロボットを使用する利点が少なくなっている。
【0007】
一方、特許文献3のように、三次元ロボットでなく二次元動作のワーク搬入及び搬出装置によって熱処理装置と搬送ラインとの間でワークを移載するようにした熱処理ユニットも提案されている。この装置では、ローラコンベアからなる搬送ラインの道中に熱処理装置を配設し、その上流側及び下流側のコンベア直下にそれぞれ1台づつワーク搬入装置及び搬出装置を設置し、コンベアの中心位置の下から搬送方向に配設されたワーク搬送用のアームを搬送面を通過させて昇降させ、搬入装置で上流側のコンベアから熱処理されるべき新ワークを取り上げて熱処理装置に入れ、搬出装置で熱処理装置から熱処理済みのワークを取り出して下流側のコンベアに載せるようにしている。
【0008】
しかしながら、このような熱処理ユニットでは、コンベアライン中に熱処理装置を配置しているので、ワークの移載装置として搬入装置及び搬出装置の合計2台の装置が必要になるため配置スペースが大きくなり、構造も複雑になってコスト高になること、コンベアラインの中に上記2台のワーク移載装置があるためその分だけコンベアラインが長くなること、主コンベアラインから直角な方向に熱処理用の副コンベアラインを設けるとすればそのラインが長くなって大きな設置面積を占めること、コンベアラインに直角な横方向に回転軸を設けてその両端及び中間部分に多数のローラを取り付けて大型のワークを支持するような大型コンベアでは、ローラ軸のためアームが昇降できずワークを取り扱えないこと、等の多くの問題がある。
【0009】
なお、特許文献4には、横方向に設けられた軸の中間部分にも搬送ローラを持つコンベアにおいて、軸の間の位置で搬送される基板の範囲外の位置に回転中心を持ち基板の範囲内の位置まで張り出して範囲内の位置で基板を支持する回転式張り出し型の基板支持ピンを有し、その状態で次の基板をその下まで搬送させ、上の基板がロボットハンドで取り上げられると、ピンの回転と昇降動作によって下の基板を支持して上に持ち上げ、従来の直立ピンのときのロボットの待機時間の発生を解消するようにした基板処理装置が示されている。
【0010】
しかしながら、このような装置では、従来の通常の装置と同様に三次元動作をするロボットを使用しているため、前記のロボットを使用した装置と全く同じ問題がある。
【特許文献1】
特開2002−257474 号公報(図7及び明細書の段落26,28 の記載等)
【特許文献2】
特開平10−59541号公報(図 8,9及び明細書の関連説明)
【特許文献3】
特開平6−66715号公報(図1、2、4等及び関連説明)
【特許文献4】
特開平10−310240号公報(図2、3、4及び関連説明)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、ワークの移載装置部分が、簡単な構造で低コストで故障が少なく、動作が簡単で動作数が少なく低速化が可能なものであり、ワーク保持部を真空吸着構造に代えて摩擦保持構造にすることが可能で、1台でコンベア装置と熱処理装置との間のワークの移載が可能で、ワーク生産用のコンベアラインを最短にすることができる熱処理ユニットを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、コンベア装置と移載装置と熱処理装置とを有する熱処理ユニットであって、
前記コンベア装置は、熱処理されるべき平板状のワークを載せて該ワークの搬送と該搬送の方向の所定位置への停止とを可能にする複数のローラ列であって、前記搬送の方向に直角な横方向に中間ローラを含む複数のローラを備えていて該ローラが前記搬送の方向に間隔を空けて配設されている複数のローラ列を有し、
前記移載装置は、前記ワークを載せて保持可能な保持部を備えていて前記横方向に細長い複数のハンドであって昇降されるときに前記所定位置の上下方向の位置にあり前記搬送の方向において前記コンベア装置の外側で結合されているハンドと、該ハンドの前記昇降を可能にする昇降機構と、前記ハンドを前記横方向に移動可能にする移動機構とを有し、
前記熱処理装置は、前記横方向に前記コンベア装置と対向するように配設されていて、熱処理室と、該熱処理室の中に設けられ前記ワークを多段に支持可能な支持部と、該支持部に支持される前記ワークを前記熱処理室に通過可能にする開口であって該開口の前記搬送方向の位置が前記所定位置と同じ位置になるように設けられた開口とを有し、
前記間隔のうちの少なくとも一部分は、前記昇降機構が前記ハンドを下降させたときに前記ハンドが入るように形成されていて、
前記昇降機構と前記移動機構とは、前記ハンドを昇降させると共に前記横方向に移動させて前記支持部と前記ハンドとの間で前記ワークの移載を可能にするように形成されている、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、上記に加えて、前記保持部は前記ワークが載せられたときに該ワークと接触し該ワークを摩擦力で保持可能なゴム材料からなる接触部材を有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明を適用した熱処理ユニットの全体構成の一例を示す。
熱処理ユニットは、コンベア装置1と移載装置2と熱処理装置としてのクリーンオーブン3とを有する。コンベア装置1と移載装置2とは一体形成されていて、台板101上でケーシング102で囲われている。クリーンオーブン3は独立して配置されている。又本例では、図2に示すように、クリーンオーブン3に隣接して熱処理装置でもある冷却装置3Aを備えた熱処理ユニットが設けられている。2つの熱処理ユニットのコンベア装置1には、ワーク生産用の搬送ラインを形成するためのコンベア装置1A、1B、1Cが接続している。なお図1(a)では、移載装置2との関係を分かりやすくするために、コンベア装置1A及び1Bと接続しているコンベア装置1をその外形範囲だけで示している。
【0015】
図3及び図4はコンベア装置1の一部分の構成例を示す。
本装置は、熱処理されるべき平板状のワークとしてLCDガラス基板やPDPの製造プロセスで取り扱われるガラス基板等のワークWを載せて、ワークWの搬送と、搬送の方向であるY方向の所定位置としてワークWの前後端が図1(a)にも示すS1 、S2 位置になるような位置への停止とを可能にする複数のローラ列11を有する。
【0016】
複数のローラ列11は、複数のローラ12を有し、これらのローラがY方向に間隔dを空けて配設されている。又、ローラ列11はY方向に直角な横方向であるX方向に設けられた支持軸13を有する。
【0017】
ローラ12は、図3では大部分の図示を省略しているが、図1(b)に示す如く、本例では支持軸13に支持された中間ローラを含む複数のローラとして合計8個で構成されている。ローラ12の駆動系は、モータ14、その回転軸に取り付けられた駆動プーリ15、支持軸13を軸端部に取り付けられ支持軸13を回転させるように配設された従動プーリ16、これらのプーリ及び支持軸13の端部に巻き掛けられたエンドレスの歯付きベルト17、前記支持軸13、等によって構成されている。
【0018】
ワークWのX方向の両端は、図4(a)及び(b)のように、両端のローラ12のフランジ部12a又は自由回転可能なローラ12’の回転面で案内され、それによってX方向の位置が定められる。又ローラ12は、図4(c)に示す如く、図3(a)に示すような軸13を備えず、X方向にそれぞれ独立して支持されていて、その下方の支持台18に設けられた駆動軸19で駆動されるような構造のものであってもよい。
【0019】
図5乃至図7は本発明を適用した移載装置の構成例を示す。
移載装置2は、前記横X方向に細長い複数のハンド4とこれらを昇降可能にする昇降機構5とX方向に移動可能にする移動機構6とを有する。ハンド4は、これが動かされたときにワークWを載せた状態で保持可能な保持部としてのパッド41を備えていて、図1、2に示す如く、昇降されるときにはコンベア1上のワークWの所定位置であるS1 〜S2 位置の上下方向であるXYZ三次元軸のZ方向の位置にあり、Y方向においてコンベア装置1の外側で結合部となる移動板42で結合されている。
【0020】
昇降機構5は、本例ではベルト式になっていて、駆動モータ51、その駆動軸52、その回転を伝達するためのかさ歯車53、従動軸54、この軸によって回転される駆動側プーリ55、これに巻き掛けられた歯付きベルト56、従動側プーリ57、ベルト56に取り付けられた昇降板58、これに取り付けられZ方向に昇降可能にされた移動機構用のケース59、昇降板58をZ方向に案内するリニアガイド60(図7(b))、等によって構成されている。
【0021】
ベルト部分は支柱を形成している柱状ケース56aで囲われている。駆動側及び従動側プーリ55及び57は、図示を省略しているがこの柱状ケース56aから回転自在に支持されている。柱状ケース56aは、図1に示すように熱処理ユニットの台板101上でケーシング102に結合されてベルト部分の支持部材になっていて、コンベア装置1の搬送経路の範囲外の位置に立設されている。なお、昇降機構としては、前記のようなベルト式のものに代えて、ボールネジやエアーシリンダやラックとピニオン等の公知の各種直線移動機構を用いることができる。
【0022】
移動機構6は、昇降機構5と同様に本例ではベルト式になっていて、駆動モータ61、その駆動軸62、その回転を伝達する駆動側プーリ63、これに巻き掛けられた歯付きベルト64、従動プーリ65、ベルト64に固定された前記移動板42、移動板42と結合されてこれをX方向に案内するリニアガイド66、上下レール66a、66b、移動板42に取り付けられレールの間で回転移動する支持ローラ66c、等によって構成されている。
【0023】
ベルト部分は前記移動機構用ケース59で囲われていて、移動板42はスリット59aに沿ってX方向に移動可能になっている。又、ハンド4のX方向の移動前後の位置を検出するようにセンサ部67が設けられている。なお、図6のセンサ部67は後位置検出用のもので、前位置検出用のものは図示されていない。符号68及び69は真空引き用のパイプ及びこれを導設するためのフレキシブルチューブである。
【0024】
なお、移動機構6としては、昇降機構5と同様に、このようなベルト式のものに代えて、ボールネジやエアーシリンダやラックとピニオン等の公知の各種直線移動機構を用いることができる。
【0025】
図8乃至図10はクリーンオーブンの全体構造の一例を示す。
クリーンオーブン3は、図1、2に示すようにX方向にコンベア装置1と対向するように配設されていて、熱処理室31と、その中に設けられワークWを多段として本例では31段に支持可能な支持部32と、これに支持されるワークWを熱処理室31へ出し入れ可能にする開口33とを有する。開口33は、図1(a)に示す如く、そのY方向位置が前記S1 、S2 からなる所定位置と同じ位置になるように設けられている。
【0026】
熱処理室31のY方向の両側及びZ方向の下部には空調部分があり、この部分に、矢印で示す熱風の循環方向の順に、4台の送風機34及びそのモータ34a、入口ダクト部35a、高性能フィルタ36、出口ダクト部35b、下部空間に配置され循環空気を例えば250℃程度に加熱して熱風にする加熱器37、等が設けられている。
【0027】
支持部32は、Y方向の両側に立設された支柱32aに取り付けられた31枚の端ワーク受け32b、熱処理室の前後X方向の奥側に立設された支柱32cに取り付けられた31枚×3列の中間ワーク受け32d、等で構成されている。ワーク受け32b及び32dは主として5段づつ6組に分けて構成されている。
【0028】
開口33にはスリット部材としての遮蔽板38及び小扉39が設けられていて、これらの昇降装置38a及び開閉装置39aが設けられている。遮蔽板38は、開口33を塞ぐように設けられていて、ワークWを出し入れ可能にするスリット38bをそれぞれの組の最下段のワークWの位置に6個備えている。昇降装置38aは、詳細図示及び説明を省略するが、本例ではボールネジ機構やリニアガイド等により遮蔽板38をその各組のスリット38bが各組の5〜6段のワークWのそれぞれの位置に停止可能なように昇降可能にする。なお、昇降装置38としては、エアーシリンダ装置、ラックとピニオン機構、ネジ機構、ワイヤー吊り機構等の公知の種々の直線移動装置を用いることができる。
【0029】
小扉39は、6個のスリット38bをそれぞれ別個に開閉可能なように6枚設けられている。そして、図示の如く上端側を中心として90°以上開閉可能にされている。そのための開閉装置39aは、詳細図示及び説明を省略するが、本例では、それぞれの小扉毎にエアーシリンダとラック−ピニオン機構を設けてエアーシリンダの往復動作をラックに伝えて、ピニオンによって回転動作に変換し、その回転によってそれぞれの小扉を独立に開閉可能にしている。なお、開閉装置39aとしては、回転軸を減速機付きモータで直接回転させるようにした機構や、小扉39をスリット面から離間させると共にZ方向にスライドさせるように一次元動作を組み合わせた移動機構等、適当な構造のもの用いることができる。
【0030】
以上のような熱処理ユニットにおいて、図3に示す如く、コンベア装置1のローラ12のY方向の間隔のうち少なくとも一部分として本例では移載装置2のハンド4に対応するY方向位置の間隔dは、昇降機構5がハンド4を下降させたときにハンド4がその中に入るように形成される。そのため、ローラ軸13が設けられている側部ケース18の一部分が本例ではdより少し狭い間隔d1 を持つように切り欠かれている。なお、本例の装置では、図1、6、7及び11に示すようにパッド41がハンド4からY方向に突出した位置に設けられているが、このような場合には、パッド41はX方向にローラ12と干渉しない位置になっている。
【0031】
そして、昇降機構5と移動機構6とは、ハンド4を昇降させると共にX方向に移動させて熱処理室31内のワークWの支持部32とハンド4との間でワークWの移載を可能にするように形成されている。即ち、熱処理ユニットは図示しない制御装置を備えていて、昇降機構5と移動機構6とは、シーケンサーにより、必要なタイミングで交互にハンド4の昇降動作と移動動作とを行い、上記ワークWの移載動作ができるようになっている。
【0032】
図11はハンド4におけるワークWの支持部としての前記吸着パッド41及びゴムパッド42の構造例を示す。
吸着パッド41は、ハンド4に取り付けられた支持体41a、その球面支持部でワークWの傾斜に対応して回転可能に支持されたパッド部41b、その上面で周囲のワーク支持面から少し凹んだ部分に真空吸着空間を形成するように設けられた吸気通路41c、等で構成されている。吸気通路41cは図6に示した真空引き用のパイプ68に接続される。
【0033】
ゴムパッド42も吸着パッド41と同様の構造で支持体42a及び皿ねじ状のパッド部42bを有するが、真空吸着しないため吸気通路は設けられていなく、これに代えて、ワークWが載せられたときにワークWと接触しこれをを摩擦力で保持可能なゴム材料からなる接触部材として高摩擦係数を持つゴムリング42cがパッド部42bに接着等によって取り付けられている。このゴムリング42cは、LCDガラス基板からなるワークWとの間では約0.3〜0.7程度の静摩擦係数μを有する。符号42dはパッド部42bを支持体42aにねじ込むためのドライバー用の溝である。
【0034】
以上のような熱処理ユニットは次のように運転されてその作用効果を発揮する。
熱処理室31内には、これまで説明した状態でワーク受け32b、32d上にワークWが31段に支持され、全ての小扉39が閉鎖されている。そして、送風機34及び加熱器37が運転され、空気が矢印で示す如く高性能フィルタ36を経由して熱処理室31を通過するように循環され、ワークWが熱処理される。
【0035】
この状態で、仮に31段のワークWのうち下から順番に所定の熱処理時間が経過するとすれば、順次熱処理済みの旧ワークと次に熱処理すべき新ワークとを入れ換えることになる。図9において最下段のワークW1 を入れ換えるときには、開閉装置39aのうちの39a1 を作動させ、小扉39のうちワークW1 に対応する組の小扉391 を開く。その結果、スリット38bのうちそのワークW1 に対応するスリット38b1 が外部と開通する。なお、このときには、他の小扉が閉まっているため他のスリットが外部と直通していないので、熱処理室内の熱気漏れは十分防止される。従って、スリット38b1 からごく小量の熱気漏れがあっても、熱処理室内の温度分布が乱されるようなことはない。
【0036】
図12は移載装置2のハンド4の動作状態を示す。小扉391 が開くと、移載装置2の昇降機構5及び移動機構6が作動し、以下のような工程で、熱処理室31から熱処理の完了したワークW1 が取り出されてコンベア装置1に移載され、新ワークWnがコンベア装置1から熱処理室31に入れられて支持部32上に移載される。このときのハンド4の動きとして、例えばその先端部Pの動きをX−Z座標で図12に示す。なお、図では移載工程を2つに分けて左右の図で示している。
【0037】
▲1▼ 最初に、図9に示すように、昇降機構5によって予めワークW1 に対応するスリット38b1 の位置になっている移動機構6の移動板42に取り付けられているハンド4が、二点鎖線の位置から実線の位置に移動するものとする。このときのハンド4の先端部Pは、図12のように、X方向の基準位置X1 からワーク支持位置X2 まで移動し、熱処理室31内で支持部32に載せられているワークW1 の下に入る。これにより、PはZ方向の第1初期位置Z1 上でP0 (X1 、Z1 )からP1 (X2 、Z1 )位置に移動する。
【0038】
▲2▼ 昇降機構5が作動してハンド4が少し上昇し、支持部32からハンド4のパッド41又は42上にワークW1 を取り上げて載せる。パッド41の場合には図示しない真空装置が作動してワークW1 を真空吸着する。パッド42では、ゴムリング42cが摩擦力によってワークW1 の平面方向の動きを止めてその上に保持する。P1 位置はP2 (X2 、Z2 )位置になる。
【0039】
▲3▼ 移動機構6が作動してワークW1 を支持しているハンド4が熱処理室31の外の基準位置X1 に戻る。P2 位置はP3 (X1 、Z2 )位置になる。
【0040】
▲4▼ 昇降機構5が作動してハンド4が下降し、図3に示すようにコンベア装置1のローラ12の間に入り込む。このときには、ローラ12が停止していてその上にワークWが載っていない。X方向の基準位置X1 になっているP3 位置はそのまま下降したP4 (X1 、Z3 )位置になる。このとき、パッド41では真空装置が真空を解除してワークW1 はX−Y平面の所定位置でローラ12上に移載される。その後コンベア装置1が作動し、熱処理済みのワークW1 を後工程の冷却装置3Aに対応する位置まで搬送し、同時に次に熱処理する新ワークW1 nをローラ12の上の所定位置まで搬送する。このとき、ハンド4がローラ12の間に入り込んでいるので、ローラ12で搬送されて来る新ワークW1 nは、ハンド4より上の位置になっている。
【0041】
▲5▼ 昇降機構5が作動し、ハンド4が新ワークW1 nを取り上げ、吸着支持又は摩擦支持してP5 =P3 (X1 、Z2 )の位置まで上昇する。
【0042】
▲6▼ 移動機構6が作動し、ワークW1 nを載せたハンド4をP6 =P2 (X2 ,Z2 )位置まで挿入し、ワークW1 nを支持部32の上の位置にする。
【0043】
▲7▼ 真空パッド41の場合には真空が解除された後昇降機構5が作動し、ハンド4をP7 =P1 (X2 ,Z1 )位置にすると共にその過程でワークW1 nをワークW1 が載っていた支持部32上に移載する。
【0044】
▲8▼ 移動機構6が作動し、ワークW1 nを移載した後のハンド4だけがP8 =P0 (X1 、Z1 )の基準位置であり第1の初期位置に復帰する。その後小扉391 が閉まる。
【0045】
▲9▼ 次に熱処理が完了するワークW2 の交換のために、遮蔽板38の昇降装置38aが作動し、ワークW2 の位置とスリット38b1 の位置とが一致するように遮蔽板38をワーク積載間隔の1ピッチ分上昇させる。又、昇降機構5が作動してハンド4を1ピッチ分上昇させ、P9 位置としてP0 に対応する第2の初期位置NO.2P0 =P5 =P3 位置にする。
【0046】
以上の動作によって熱処理の完了した1枚のワークW1 が取り出され、次に熱処理しようとする新ワークW1 nが熱処理室に搬入される。そして、説明を省略するが、冷却装置3Aでも同様の工程が行われる。ワークW1 は冷却装置3Aで新ワークとして冷却処理される。冷却装置3Aで冷却されたワークW1 は、熱処理を完了して基板製造ラインの後工程に送られる。
【0047】
又、ワークW1 の熱処理時間が経過した後熱処理間隔である1タクト時間tが経過すると、ワークW2 の熱処理が完了し、ワークW1 のときと同様な工程によるワークの移載動作によってワークW2 とワークW2 nとの交換が行われる。最下組のワークW1 〜W6 の熱処理が完了すると、その上の組のワークW7 〜W11が順次新ワークと交換される。このときには、第2組のスリット38b2 及び小扉392 が使用される。従って、遮蔽板38は5〜6ピッチ分だけ昇降すればよく、クリーンオーブン3の高さが低く抑えられている。
【0048】
以上のような工程によれば、ハンド4の動作がX方向及びZ方向だけの二次元動作であると共に、動作距離の長い基本的動作がX方向及びZ方向の往復動作からなる合計4動作であるため、ワークWの移載のための動作が単純であると共に動作時間が短い。従って、1タクト時間中に許容されるワーク移載時間に余裕が生じ、ハンド4の動作時間を長くして、動作時の加速度を小さくしてワークWの慣性力を小さくし、ハンド4によるワークWの保持力を十分小さくすることができる。
【0049】
又、昇降機構5と移動機構6とが常に別々に作動するので、これらの動作制御に低コストのシーケンサーを使用することができる。なお、このときの制御は、X方向の位置検出用のセンサ部67を含み適当に設けられるセンサ類やタイマ等によって行われる。
【0050】
図13は図12に対応する図で、従来のロボットによるワークWの移載時のロボットハンドの先端部Pの動きを示す。ロボットハンドは、本例のハンド4と同様のものであるが、仮にハンド7とする。
【0051】
▲1▼〜▲3▼の工程におけるP0 からP3 までの動作及び▲6▼〜▲9▼の工程におけるP5 からP9 までの動作は図12と同じであるが、▲4▼及び▲5▼に相当するハンド7とローラ12との間のワークW1 とW1 nとの移載工程における動作が相違する。
【0052】
即ち、本例の装置では、図12のようにハンド4が単にワークを載せてZ方向に昇降するだけの▲4▼、▲5▼の動作になるのに対して、ロボットでは、図13のようにハンド7が、
▲4▼’:ワークW1 を載せて下降しこれと同時に同期して180°回転、
▲4▼´1 :ローラ12にワークW1 を移載できるようにその上の位置まで前進、
▲4▼’2 :ワーク移載用の支持ピン8がローラ12の下からローラ間を通過してハンド7と干渉しないようにワークW1 を支持した後後退、
▲4▼’3 :支持ピン8とローラ12との間でワークW1 と新ワークW1 nとが交換され支持ピン8が新ワークW1 nを支持して上昇した後ハンド7がその下の位置まで前進、
▲4▼’4 :支持ピン8が下降し新ワークW1 nをハンド7に移載した後ハンド7が後退、
▲5▼’:ハンド7が新ワークW1 nを載せて上昇すると共にこれと同期して180°回転してP5 =P3 位置に昇降・移動、
からなる動作をすることになる。
【0053】
従って、ロボットでは、移載装置2に較べて、ハンド7に回転動作が加わると共に、コンベア装置との間でワークを移載のために進退する4移動動作が追加されることになる。その結果、ロボットでは、ワーク交換のための全工程数が多くなって工程時間が長くなり、ワーク交換のための時間的余裕がなくなっている。一方、ワークWが大型化すると、特に回転動作ではワークWの慣性力及び遠心力が大きくなるため、これに対抗する保持力が大きくなり、一方回転速度を遅くすることはできず、ワークを安全に取り扱える限界に達している。
【0054】
ロボットハンド7の動作時間tとしては、図13において、通常、▲2▼及び▲7▼を含み▲1▼、▲3▼、▲6▼、▲8▼の各工程が3秒、▲4▼’及び▲5▼’がそれぞれ3秒、▲4▼’1 〜▲4▼’4 がそれぞれ3秒程度になる。従って、全動作時間は約30秒になる。これに対して本発明を適用したハンド4では、図12において、ロボットハンド7と同じ工程の所を同じ時間で処理するとすれば、合計約18秒になり、ロボットハンドの場合の半分近くの時間になる。従って、ハンド4では、その動作時間を3秒より長い例えば4〜5秒にしてそれに対応して動作速度を下げることが可能になる。
【0055】
上記のような動作時間の場合に、ハンド4又は7のパッドにワークWを載せてこれを動かしたときに、ワークWに生ずる慣性力及び回転時の慣性力と遠心力、従ってこれらに対抗してワークWをパッド上に保持して動かせる保持力を、諸条件を単純化して仮定して計算すれば以下のようになる。
〔諸条件〕
ワークWの寸法:2m四角
移動距離(X1 〜X2 間):2.4m、
回転角度:180°=π(rad)
移動及び回転動作:等加速度及び等角加速度
ワークの回転中心:ワークの一辺の中心
回転に対するワークの保持位置:回転中心から1mの位置
〔移動時の慣性力−F1 と保持力F1 〕
F1 =Mαの直線運動の方程式におけるαを計算し、それによってF1 を計算する。
【0056】
ワークは移動距離2.4mを始動から停止まで3秒間で移動するので、平均速度V1 =0.8m/sになる。この間の加速及び減速を共に等加速度運動と仮定するので、移動工程の中間点での最大移動速度は2V1 になり、従って始動から1.5秒後に2V1 =1.6m/sになる。従って、速度直線の勾配であるαとそれによるF1 は、
α=1.6/1.5≒1.07m/s2 ≒0.11g
F1 ≒0.107M(単位ニュートン)
MはワークWの質量で単位はkgである。従って、ワークWの重量の約10%の保持力が必要になる。但し、実際には等加速度運動ではないので、保持力F1 はこれよりある程度大きい値になる。
〔回転時の慣性モーメントTによる保持力F2 1 及び遠心力F2 2 の合力F2 によって必要になる合成保持力F2 〕
Idω/dt=−Tの回転運動の方程式及びF=Mrω2 の遠心力の式からT及びFを計算しそれによってF2 を計算する。
【0057】
ワークは回転角度πを始動から停止まで3秒間で回転するので、平均角速度ω1 =π/3(rad/s)になる。等角加速度回転であるから回転工程の中間点での最大角速度は1.5秒後に2π/3になる。従って、直線角速度の勾配である角加速度dω/dtは、
dω/dt=2π/4.5(単位:1/s2 )
又、ワークWの慣性能率Iは、
I=M(4/3+4/12)=M・5/3(kgm2 )
従って、
−T=10πM/13.5≒2.33M(kgm・m/s2 )
F2 1 ≒2.33M/1=2.33M(ニュートン)
F2 2 =M・1・(2π/3)2 ≒4.38M(ニュートン)
F2 =4.96M(ニュートン)
従って、ワークWの重量の約50%の保持力が必要になる。但し、実際には、等角加速度運動でないためや回転中心がワークWの一辺の中心でないため等により、最大速度、角加速度、I等が大きくなるため、F2 は上記値よりかなり大きくなる。その結果、回転時に必要なワーク保持力は移動のときの少なくとも5倍以上になる。
【0058】
以上から、本発明を適用した熱処理ユニットの移載装置2によれば、回転動作がないため必要なワーク保持力が少なくとも1/5以下になる。又、工程数が少ないためワークWの移動及び昇降速度に従来より大きな余裕ができるため、移動速度を下げて、その二乗に比例して慣性力従ってワーク保持力を更に小さくすることができる。
【0059】
その結果、ワークWの大きさや許容されるワーク移動時間等によるが、ワークWを保持するためのパッドとして、吸着パッド41に代えて真空吸着機構を持たない図11(b)で説明した構造のゴムパッド42を使用することができる。即ち、仮にハンド及びワークの移動時間を仮に3秒にしたとしても、そのときの加速度は0.1g程度であるため、仮にμが0.5程度の高摩擦力ゴムのパッドであっても、それによるワーク保持力は0.5Mになるので、5倍程度の安全率がある。これより摩擦係数が大きかったり移動速度を下げるようにすれば、この安全率が更に十分大きくなる。
【0060】
吸着パッド41に代えてゴムパッド42を使用すれば、真空装置が不要になって装置コストが低減すること、特にハンド4のまわりの煩雑な真空配管が不要になり、それだけ故障等の原因がなくなること、LCDガラス基板等のワークWを熱処理するときには昇華性ガスが発生するが、パッドで真空吸着するときには真空配管内に熱処理室の昇華性ガスが吸引され、吸着面や配管内に固着し、吸着不良を発生させたり配管のメンテナンス作業が増えることになるが、そのような問題が全て解決されること、吸着力を強くしたときにワークWにサーマルイメージが残るが、この問題も解消すること、等の種々の極めて大きな作用効果を得ることができる。
【0061】
以上のような熱処理ユニットによれば、コンベア装置1の搬送ライン中ではなくこれに平行な横方向にクリーンオーブン3を配置しているので、ハンド4によるクリーンオーブン3からコンベア装置1へのワークWの移載とコンベア装置1からクリーンオーブン3へのワークWの移載とが、L型の同じハンド経路を経由する往復動作として行われることになるので、1台の移載装置でコンベア装置とクリーンオーブンとの間のワーク交換をすることができる。
【0062】
その結果、搬送経路中にクリーンオーブンを設けるためその両側に2台の移載装置が必要になる従来の装置に較べて、熱処理ユニットの大幅なコスト低減が図られると共に、ワーク生産用のコンベアラインを短縮することができる。又、移載装置2に回転機構が不要になるため設けられていないので、移載装置2を簡単な構造のものにすることができる。その結果、熱処理ユニットのコストが低減すると共に故障等が少なくなって信頼性が向上する。
【0063】
なお、本例の熱処理ユニットの変形として、図14に示すようなコンベア装置1´と2台の移載装置2´A及び2´Bとクリーンオーブン3´とを用いた熱処理ユニットを構成することも可能である。このユニットでは、ワークWは矢印の方向に流れ、移載装置2´Aはクリーンオーブンへのワーク搭載用で移載装置2´Bはクリーンオーブンからのワーク取り出し用になる。ハンド4’は、ワークWの搬送方向であるY方向に向いていてローラ12´の間に入り込むことができる。特殊なワーク生産ラインでは、このような熱処理ユニットが設けられることもある。
【0064】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、熱処理ユニットのコンベア装置が、熱処理されるべき平板状のワークを載せてその搬送と搬送の方向の所定位置への停止とを可能にする複数のローラ列を有するので、ワークを搬送方向の所定位置に一度停止させ、ワーク交換をした後に搬送させることが可能になる。又、このローラ列が、搬送の方向に直角な横方向に中間ローラを含む複数のローラを備えているので、大型のワークを多点で安定支持して搬送させることができる。そして、ローラ列ではこのようなローラが搬送の方向に間隔を空けて配設されているので、この間隔を利用することができる。
【0065】
熱処理ユニットの移載装置は、ワークを載せて保持可能な保持部を備えていて搬送方向に直角な横方向に細長い複数のハンドを有するので、保持部を横方向と搬送方向とに分布させてワークを安定して多点支持することができる。そしてこのハンドが、昇降されるときにはコンベア装置が停止する所定位置の上下方向の位置にあると共に搬送の方向においてコンベア装置の外側で結合されているので、結合部分がコンベア装置と干渉することなく昇降し、昇降するだけでコンベア装置との間のワーク交換が可能になる。
【0066】
又、移載装置はハンドを昇降可能にする昇降機構とハンドを横方向に移動可能にする移動機構とを有するので、ハンドを昇降及び移動させてその保持部に保持されたワークを移動及び昇降させ、熱処理装置とコンベア装置との間でワークを移載することが可能になる。
【0067】
熱処理装置は、コンベアの搬送方向に直角な横方向にコンベア装置と対向するように配設されているので、複数に分割されたハンドをコンベア装置と干渉しない位置で結合してコンベア装置と移載装置との干渉を回避すると共に、熱処理装置をコンベア装置の搬送方向から横方向に外れた位置にしてコンベア装置との干渉を回避することにより、コンベア装置を通過する前後のワーク搬送ラインをワークの搬送方向にそのまま敷設し、これを最短化することができる。
【0068】
又、熱処理装置は熱処理室とその中に設けられワークを多段に支持可能な支持部とこれに支持されるワークを熱処理室に通過可能にする開口とを有するので、熱処理室の支持部でワークを多段に支持すると共に、ワークを開口から出し入れし、多段に支持された平板状のワークを一枚ずつ熱処理して行くことが可能になる。
【0069】
そしてこの開口は、その搬送方向の位置が、コンベア装置上でワークが停止される搬送方向の所定位置と同じ位置になるように設けられているので、開口とワークとの搬送方向の位置が一致するため、ワークを搬送方向に動かすことなく、移載装置によって熱処理装置とコンベア装置との間におけるワークの移載が可能になる。即ち、ワーク移載のためには、移載装置のハンドが上下方向と横方向との単純な二次元動作をすればよいことになる。
【0070】
又、コンベア装置のローラの間隔のうちの少なくとも一部分が、昇降機構がハンドを下降させたときにハンドが入るように形成されているので、ハンドをローラ上に支持されるワークの高さ位置より下まで下げることができる。その結果、ハンドにワークが載っていてローラにワークが載っていないときには、ハンドの下降時にハンドからローラ上にワークを移載し、ハンドにワークが載っていなくローラにワークが載っているときには、ハンドの上昇時にローラからハンドにワークを移載することができる。
【0071】
そして、昇降機構と移動機構とは、ハンドを昇降させると共に横方向に移動させて熱処理装置のワークの支持部とハンドとの間でワークの移載を可能にするように形成されているので、例えば、ハンドが、コンベア装置におけるワークの所定位置の上であって上昇し熱処理装置の支持部に支持されているワークの下に対応する第1位置になっているときに、移動機構によって支持部上のワークの下の第2位置まで移動し、昇降機構によって少し上昇して支持部からワークを取り上げ、移動機構によって第1位置に復帰し、昇降機構によってコンベア装置のローラ間に入るように下降してローラ上にワークを移載し、ローラがこのワークを搬送して別の新ワークを所定位置に停止させると、昇降機構によって新ワークを取り上げて第1位置の上であって熱処理装置でのワーク支持位置の上に対応する位置まで上昇し、移載機構によって第2位置の上まで移動し、昇降機構によって第2位置まで下降して支持部に新ワークを移載し、第1位置に復帰することにより、熱処理装置とコンベア装置との間でワークを移載することができる。
【0072】
以上のような熱処理ユニットによれば、ハンドの動作が昇降と横方向への移動との単純な二次元動作であると共に、大きな動きとしては昇降方向と横方向とにL字状に2往復すればよいので、ワークの移載のための動作が簡素であると共に動作時間が短くなる。従って、多段に支持された多数枚のワークが1枚毎に熱処理される時間間隔に対してワークの移載時間に余裕ができる。その結果、ハンドの動作時間を長くして、動作時の加速度を小さくしてワークの慣性力を小さくし、ハンドによるワークの保持力を小さくすることが可能になる。又、昇降機構と移動機構とを常に別々に作動させることができるので、これらの動作制御に低コストのシーケンサーを使用することができる。
【0073】
又、熱処理装置がコンベア装置とコンベアの搬送方向と直角な横方向に対向するように配置されているので、昇降機構と移動機構を有する移載装置が1台あれば熱処理装置とコンベア装置との間でワークを移載することができる。その結果、従来の装置のように2台の移載装置を設ける必要がなくなり、熱処理ユニットの大幅なコスト低減が図られる。
【0074】
更に、移載装置に回転機構を設ける必要がないので、これを簡単な構造のものにして、コストを低減させると共に故障等を少なくして装置の信頼性を向上させることができる。又、ワークを回転させるときには、ワークに回転慣性に基づく力と遠心力とが加わるため、ハンドのワーク保持部に必要になるワーク保持力が大きくなるが、ワークを回転させることなく移載できると共に、前記の如く移動速度を下げることが可能になるため、ロボットハンドで通常使用されているワーク支持部としてのパッドに設けられている真空吸着構造を取り止めることが可能になる。又、特に大型のガラス基板のようなワークを支持する場合でも、ワークを確実に保持して移動時の安全性を向上させることができる。
【0075】
請求項2の発明においては、上記に加えて、支持部が、ワークが載せられたときにワークと接触しワークを摩擦力で保持可能なゴム材料からなる接触部材を有するので、真空吸着構造は設けられない。その結果、装置コストが低減すること、特にハンド回りの煩雑な真空配管が不要になってそれだけ故障等の原因がなくなること、LCDガラス基板等のワークを熱処理するときには昇華性ガスが発生し、パッドで真空吸着するときには真空配管内に熱処理室の昇華性ガスが吸引され、これが固形化して吸着面や配管内に付着し、ワークの吸着不良を発生させたり配管のメンテナンス作業が増えることになるが、そのような問題が全て解決されること、吸着力を強くしたときにはワークにサーマルイメージが残るがこの問題も解消すること、等の種々の極めて大きな作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した熱処理ユニットの概略構造の一例を示す説明図で、(a)は平面状態を示し(b)は側面状態を示す。
【図2】上記ユニットと搬送ラインの平面状態を示す説明図である。
【図3】上記ユニットのコンベア装置の構造例を示し、(a)は斜視図で(b)は側面図である。
【図4】(a)及び(b)は上記コンベア装置におけるワークの横方向位置決め部の構造例を示す正面図で、(c)はローラ支持構造の他の例を示す斜視図である。
【図5】上記ユニットの移載装置の概略構造の一例を示す斜視図で、(a)は全体構造、(b)は駆動軸部分の構造、(c)は駆動モータ部の構造を示す。
【図6】(a)及び(b)は上記移載装置の移動機構部分の斜視図である。
【図7】(a)及び(b)は移動機構のハンド部分の平面図及び側面図である。
【図8】本発明を適用した熱処理ユニットの熱処理装置の一例であるクリーンオーブンの横断面状態を示す説明図である。
【図9】上記クリーンオーブンの側面状態を示す説明図である。
【図10】上記クリーンオーブンの正面及び正面断面状態を示す説明図である。
【図11】(a)及び(b)はハンドのパッドの構造例を示す断面図である。
【図12】本発明を適用したときのハンドの動作状態を示す説明図である。
【図13】従来のロボットによるハンドの動作状態を示す説明図である。
【図14】(a)及び(b)は他の搬送系の平面図及びコンベア装置のローラ部分の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 コンベア装置
2 移載装置
3 クリーンオーブン(熱処理装置)
4 ハンド
5 昇降機構
6 移動機構
11 ローラ列
12 ローラ
31 熱処理室
32 支持部
33 開口
41、42 パッド(保持部)
42c ゴムリング(接触部材)
d 間隔
S1 〜S2 所定位置
W ワーク
X 横方向
Y 搬送方向
Z 上下方向
Claims (2)
- コンベア装置と移載装置と熱処理装置とを有する熱処理ユニットであって、
前記コンベア装置は、熱処理されるべき平板状のワークを載せて該ワークの搬送と該搬送の方向の所定位置への停止とを可能にする複数のローラ列であって、前記搬送の方向に直角な横方向に中間ローラを含む複数のローラを備えていて該ローラが前記搬送の方向に間隔を空けて配設されている複数のローラ列を有し、
前記移載装置は、前記ワークを載せて保持可能な保持部を備えていて前記横方向に細長い複数のハンドであって昇降されるときに前記所定位置の上下方向の位置にあり前記搬送の方向において前記コンベア装置の外側で結合されているハンドと、該ハンドの前記昇降を可能にする昇降機構と、前記ハンドを前記横方向に移動可能にする移動機構とを有し、
前記熱処理装置は、前記横方向に前記コンベア装置と対向するように配設されていて、熱処理室と、該熱処理室の中に設けられ前記ワークを多段に支持可能な支持部と、該支持部に支持される前記ワークを前記熱処理室に通過可能にする開口であって該開口の前記搬送方向の位置が前記所定位置と同じ位置になるように設けられた開口とを有し、
前記間隔のうちの少なくとも一部分は、前記昇降機構が前記ハンドを下降させたときに前記ハンドが入るように形成されていて、
前記昇降機構と前記移動機構とは、前記ハンドを昇降させると共に前記横方向に移動させて前記支持部と前記ハンドとの間で前記ワークの移載を可能にするように形成されている、
ことを特徴とする熱処理ユニット。 - 前記保持部は前記ワークが載せられたときに該ワークと接触し該ワークを摩擦力で保持可能なゴム材料からなる接触部材を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理ユニット。
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