JP3702031B2 - 高集積型熱処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物品の入口及び出口を備えた熱処理室内に積載部を設け、板状の物品を積載部でほぼ等ピッチに第1段から最終段まで多段に積層支持し、前記積載部を積層方向の一方側から他方側に進行と停止とを繰り返しつつ移動させ、熱処理時間の経過後の停止時に前記物品を前記出口から出し前記入口から入れる熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のゴンドラ昇降式の熱処理装置としては、例えば特開平6−66715号公報に示す如く、熱処理室の高さ方向のほぼ中心の一か所に物品の入口/出口を設け、物品を多段に積載して昇降可能なゴンドラを各段毎に出入口の位置で停止させ、ロボット等でその段の物品を熱処理室から出すと共に未処理物品を入れ、この動作を繰り返し、ゴンドラをそれ自体の高さ分だけ上昇させた後初期位置まで下降させ、再び一連の動作を繰り返し、物品を連続的に必要な時間だけ熱処理できるようにした装置が知られている。
【0003】
しかしながら、この装置では、熱処理室の高さに対して略その1/2の物品集積率しか得られない。又、これを別の面から見ると、一定の物品の集積率に対して熱処理室の高さを高くしなければならない。更に、ゴンドラが熱処理室の高さのほぼ1/2の距離を往復移動しなければならないため、その距離が長い。その結果、ゴンドラの駆動部をゴンドラの下方に配置するとすれば、その部分の高さが高くなって装置全体の高さが高くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術に於ける上記問題を解決し、積載部の積載段数が多いと共に、積載部の移動行程が短縮され、高集積化された熱処理装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、物品の入口及び出口を備えた熱処理室内に積載部を設け、板状の物品を積載部でほぼ等ピッチに一番下の第1段から一番上の最終段まで多段に積層支持し、前記積載部を積層方向の前記一番下の側である一方側から前記一番上の側である他方側又は該他方側から前記一方側に進行と停止とを繰り返しつつ移動させ、熱処理時間の経過後の停止時に前記物品を前記出口から出し前記入口から入れる熱処理装置において、
前記物品入口及び物品出口は前記積載部が前記一方側にあるときに前記最終段位置に対応する位置及び前記第1段から前記最終段までの距離をほぼ等間隔に分割した位置に対応する位置から成る複数の位置に設けられ、前記熱処理室は前記最終段から前記第1段とは反対の方向に少なくとも前記1間隔分の空間部を持つ広さになっていることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明を適用した熱処理装置の全体構造の一例を示す。
熱処理装置であるオーブンは、断熱壁1、扉2、これらで囲われた熱処理室3、下部構造4、ガラス基板等の板状の物品Wを積載するゴンドラ5、送風機やヒータ等が配設された熱風を循環させるための空調部6等を備えている。
【0007】
X方向の両側部分の断熱壁1は部分的に開口していて、それぞれの側に物品入口14、15及び物品出口16、17が設けられている。これらの出入口は、熱処理装置の奥行方向であるY方向に、処理する最大幅の物品が通過できる幅を備えている。なお上記では、説明の便宜上口14、15を物品入口、16、17を物品出口にしているが、装置使用時の配置等によっては、口14、15を物品出口、16、17を物品入口にしてもよいことは言うまでもない。又、図1では物品入口及び出口がそれぞれ別個に設けられている例を示したが、例えば図1において左側の口14、15のみが設けられていて、これらが入口と出口とに兼用されているような装置に対しても本発明を適用することができる。
【0008】
下部構造4は、上部構造体を支持するL型、溝型又は箱型等の部材や板材で形成された下部構造体41や、昇降装置を支持する支持構造体42等によって形成されている。この部分には、ゴンドラ5の昇降装置、ゴンドラの物品支持間隔調整装置、制御盤、電装品、その他備品等が設けられ、これらは下部構造4又はこれに固定された適当な支持台や支持板によって支持される。
【0009】
図3、図4及び図9の一部分はゴンドラ5の構造例を示す。
ゴンドラ5は、上下の天板及び底板51並びにこれを一体的に結合する支持枠51a、物品出入口14〜17の幅方向であるY方向の両側に相対向してそれぞれ2組み設けられた旋回軸52、これらの上下端に固定された中間部材53、これらに嵌め込まれ支持された旋回アーム54、上下の対向する旋回アーム54の自由端側に支持された支持軸55及び中間連結部材56(図9参照)、支持軸55にスペーサー57を介して間隔をおいて本例では第1段である58−1から最終段である58−40まで上下方向であるZ方向に40段に等ピッチで支持された基板受58、等で構成されている。基板受58の平坦な物品載せ部58aには物品Wが載せられる。図4(b)では、相対向する基板受58の間隔が最大であるBになっている状態を示している。旋回軸52は、上下でそれぞれ天板及び底板51に取り付けられた軸受59a及び59bによって回転自在に支持されている。
【0010】
図1に示す物品入口14、15及び物品出口16、17は、図示の如くゴンドラ5が一方側である最下段にあるときに、最終段の基板受58−40の位置に対応する位置、及び、図3に示す第1段の基板受58−1から最終段の基板受58−40までの距離をほぼ等間隔であるL1 、L2 に分割した位置である基板受58−20の位置に対応する位置の2箇所に設けられている。本例では、入口、出口14、16の位置H1 が20段目で、入口、出口15、17の位置H2 が40段目になっていて、L1 とL2 とは前者が後者より基板受1ピッチ分だけ短くなっている。
【0011】
熱処理室3は、最終段から前記第1段とは反対の方向即ち上方であるZ1 方向に少なくとも前記1間隔分である長さL1 の空間部を持つ広さになっていて、実際には、L1 にゴンドラ5の上下板や支持枠等の寸法と更に余裕を見た寸法である長さL3の空間部を持つ広さになっている。
【0012】
なお、図1(a)では入口及び出口がそれぞれ2か所の例を示したが、更に高集積化を図るために、同図(b)に示す3か所又はそれ以上の出入口数にすることも可能である。出入口が3か所の例では、図示の如く、ほぼ同じ間隔であるL1 、L2 (L1 +1ピッチ)、L2 の間隔で出入口を設け、熱処理室の上部にはL1 +α(余裕)の空間高さを設けるようにする。
【0013】
図5、図6及び図7の一部分はゴンドラの昇降装置の構成を示し、それぞれ、図1と同様の正面図、平面図、及び側面方向の断面図である。
昇降装置は、積載部であるゴンドラ5の底板51に取り付けられ昇降方向であるZ方向に熱処理室3を貫通して延設された管状部材としての外管61、熱処理室3の外に設けられ外管61を昇降させる昇降機構70、昇降を案内する案内機構80等を備えている。
【0014】
外管61の内側には内管62が挿入され、内外管は上下の蓋63で一体的に結合され、内外管の間には断熱材64が充填され、本例ではこれらが一体となって昇降軸60を形成している。蓋63の上側のものは、ボルト等によってゴンドラの底板51に取り付けられる。下側の外部空間と試験室3とは、図1にも示したように断熱壁1で仕切られていて、これらの間は、ガスケット66を外管61に接触させるようにしたシール構造65によって仕切られ、熱処理室3内の高温空気の外部への漏洩が防止されている。なお、昇降軸60は、ゴンドラ5のほぼ重心直下の位置に結合されている。
【0015】
昇降機構70は、サーボモータ71、その出力軸に取り付けられた歯付駆動プーリ72、歯付従動プーリ73、これらの間に巻き掛けられた歯付ベルト74、一端側が歯付従動プーリ73に結合されたボールネジ軸75、これを回転自在に支持する上下の軸受76、ボールネジ軸75と螺合するナット77、ナット77及び昇降軸60に固定されボルトで結合されたスラスト伝達部材78等を備えている。上下の軸受76は、支持構造体42に固定された支持板42a、42bに取り付けられる。スラスト伝達部材78は、昇降軸60の2か所の位置に強固に固定されている。サーボモータ71は、ベルトのテンションを調整できるように据え付けられている。
【0016】
案内機構80は、昇降軸60の両側に対称に配設され、それぞれが、昇降軸に固定された連結部材81、これに取り付けられたリニアガイドの移動体82、これの移動をガイドするリニアガイド軸83等によって構成されている。リニアガイド軸83は支持構造体42の上下方向に延設されている支持板部42cに固定されている。
【0017】
図7乃至図9及び図3、図4の一部分は、物品支持間隔調整装置の構成例を示す。
本装置は、回転駆動部としてのサーボモータ90、回転軸100、外部回転伝達機構110、内部回転伝達機構120、外筒である昇降軸の内管62、等で構成されている。サーボモータ90は、熱処理室3の外に配設され、下部構造体41のベースプレート41aに固定された支持台92に位置調整可能に据え付けられていて、回転力を発生する出力端としての出力軸91を備えている。
【0018】
回転軸100は、下部軸101、カップリング102、上部軸103等によって構成され、熱処理室3の外部から内部まで延設されていて、ゴンドラ5の底板51に軸受構造部104を介して回転自在に支持されていて、外部側に回転力の入力部となる前記下部軸101と内部側に回転力の出力部となる前記上部軸103の軸端部103aを備えている。
【0019】
外部回転伝達機構110は、出力軸91と前記下部軸101との間に介在してサーボモータ90の回転力を下部軸101に伝達するように構成されていて、出力軸91に取り付けられた駆動歯車111、これと噛み合っている従動歯車112、これに固定された回転伝達管113、この軸端に嵌め込まれたボールスプラインのハウジング114等を備えている。下部軸101にはスプライン溝101aが切られている。従動歯車112は、ベースプレート41aに固定された軸受構造体115に回転自在に支持されている。
【0020】
外筒62には、本例では昇降装置の昇降軸60の内管62が兼用されている。内管62は、回転軸100を囲うようにゴンドラ5の底板51に取り付けられていて、ゴンドラ5が熱処理室3内で最も上昇した位置にあるときに、一端側である昇降軸60の下端側が外部に突出するように延設されている(図5参照)。
【0021】
内部回転伝達機構120は、上部軸103から伝達された回転力を、基板受58の相対向する間隔B(図4(b))が変わるように、支持軸55に伝達するように構成されていて、上部軸の軸端103aに嵌め込まれた中間リング121、これに嵌め込まれY方向の両側に伸びた揺動ビーム122、連接棒123、揺動アーム124、連接棒の両端に取り付けられた自動調心型軸受125、126、揺動アーム124が固定された歯車127、このボス部に嵌め込まれた旋回軸52(以下図3、図4の説明参照)、中間部材53、旋回アーム54等で構成されている。符号59a、59bは、旋回軸52を回転自在に支持する軸受である。歯車127には、これと同じ歯車である同じ側の他の歯車127(127´)を噛み合わせて、同じ側の他の旋回軸52(52´)等を介して、他の旋回アーム54(54´)を旋回アーム54と同期して回転させるようにしている。図8では内部伝達機構120として右側のものを示しているが、左側にも同様の機構が設けられている。
【0022】
図10は基板受の他の例を示す。
この基板受58´は、図9に示す基板受58と同様の構造で支持軸55に支持されているが、物品載せ面58´aの輪郭及び物品位置規制面58´bの大部分がインボリュート曲線になっている。その結果、図示の如く支持軸55の初期位置で最大幅Bの物品Wを支持できると共に、例えば支持軸55を90°回転させることにより、最小幅B´の物品W´を支持でき、その間の任意の回転角度で任意の幅の物品を支持できることになる。
【0023】
そしてこの場合、物品載せ面58´aの輪郭及び物品位置規制面58´bをインボリュート曲線にしているので、支持軸55の回転角度と物品支持間隔との関係式が線形になり、図7に示すサーボモータ90の制御のための数値計算が簡単になる。又、インボリュート曲線は工作機械等に多用されているので、これらのものの数値制御のソフトを利用することも可能になる。
【0024】
図8及び図9の物品支持間隔調整装置では、基板受58を円形にしてその中心を支持軸55で支持し、旋回アーム54で支持軸55の位置を旋回させることにより、支持間隔を変更できるようにしているため、別の旋回軸52を必要とした。図10の基板受を用いると、調整装置の外部回転伝達機構120のうちの旋回軸52及び旋回アーム54を省略して、直接支持軸55を旋回させることにより物品支持間隔を調整でき、物品支持間隔調整装置の外部回転伝達機構120の構造を簡素化することができる。なおこの場合には、数値計算は複雑になるが、基板受として段付きの偏心円板等を用いてもよい。
【0025】
以上のような熱処理装置は次のように使用される。
熱処理装置の開口の両側には、図示していないが、例えばガラス基板等の物品を搬送するコンベアラインが導設されると共に、コンベアラインと熱処理装置との間で物品を移載するロボット等が配設される。熱処理室3内では、ゴンドラ5が最も下降した位置にあり、空調部6内の送風機やヒータ等が運転され、例えば300°C程度まで加熱された熱風が熱処理室3と空調部6との間で循環している。この状態では、図示していないが出入口14〜17はシャッターによって閉鎖されていて、物品が搬入されるときにのみシャッターが開くようになっている。
【0026】
まず、ロボットはそのハンドによって搬送された物品Wを入口14から入れて第20段目の基板受58−20に載せ、次に別の物品Wを入口15から入れて、第40段目の基板受58−40に載せる。このロボットの動作が終了すると、サーボモータ71が一定角度回転し、この回転が歯付プーリ及びベルト72〜74を介してボールネジ軸75に伝達され、これが一定角度回転する。
【0027】
この回転により、昇降軸60に固定されたスラスト伝達部材78と一体となって回転を拘束されたナット77が、ネジ軸75のネジ溝に案内されて、基板受1段分の高さである1ピッチだけ上昇し、一体化された昇降軸60を同じ高さだけ上昇させる。このとき、リニアガイドの連結部材81を介して昇降軸60に固定されたリニアガイドの移動体82は、リニアガイド軸83によって案内されてこれに沿って上昇し、昇降軸60を正確に昇降方向であるZ方向にガイドする。このようにして、ゴンドラ5は1ピッチだけ上昇する。なお、ゴンドラの上昇に伴って、物品支持間隔調整装置の回転軸100も上昇するが、下部回転軸101と回転伝達管113とのトルク伝達にボールスプラインを用いているので、そのボールの回転により、昇降方向には両者が円滑に相対移動する。
【0028】
次に、上記と全く同じ動作により、ロボットは、1ピッチ上昇して入口14、15に到達した基板受58−19及び58−39に物品Wを載せる。その後もゴンドラ5の上昇と物品の積載とを繰り返し、最後の基板受58−1及び58−21に物品を載せると、ゴンドラ5は初期位置まで下降する。ゴンドラ5の下降は、サーボモータ71が反対方向に回転するだけで、上昇時と同様な動作になる。なお、以上のような動作は、制御装置と各部に必要なセンサ類が設けられることにより、通常全自動で行われる。又、ゴンドラ5を1ピッチ上昇させる時間即ち1タクト時間は、物品の種類や物品積載段数等によって定められ、本例では、ゴンドラ5が20段動く間に物品Wの熱処理が完了するように、1分程度の時間になっている。
【0029】
ゴンドラ5がその基板受58の全ての段に物品Wを積載して初期位置まで下降すると、今度は、まず出口側のロボットが作動し、出口16の位置にある基板受58−20の物品W20を取り出してコンベアラインに載せる。基板受58−20から物品が取り出されると、続いて入口側のロボットが作動し、未処理の物品Wを同じ基板受58−20に載せる。又、このときには出口側のロボットも作動していて、上の出口17の位置にある基板受58−40の物品W40を取り出してコンベアラインに載せる。基板受58−40から物品が取り出されると、続いて入口側のロボットが作動し、未処理の物品Wを同じ基板受58−40に載せる。このようにして出入口に対応した2段の物品の出し入れが終了すると、最初の積載のみのときと同じ動作でゴンドラ5は1ピッチ上昇する。そして、この動作を繰り返してゴンドラは最上位置まで上昇し、全段の物品の出し入れを完了すると再び初期位置まで下降し、このような動作を繰り返すことにより、全自動で連続的に物品の熱処理が行われる。
【0030】
なお以上では、入口側及び出口側にそれぞれロボットが装備される場合について説明したが、1オーブンに対して1台のロボットが装備され、この1台のロボットで物品の搬入と搬出とを行う方式が採られる場合もある。又以上では、ゴンドラ5が最も下降した位置を初期位置として、この位置からゴンドラ5が上昇しつつ物品を積載する運転方法について説明したが、ゴンドラ5が最も上昇した位置を初期位置として、これから下降しつつ物品を積載するような運転方法を採用することも可能である。
【0031】
熱処理する物品が変更されるときには、その物品のサイズを検出することによって自動的に、又は人の操作によって、基板受の支持間隔を変更する。この変更は、物品サイズに対応した角度だけサーボモータ90が回転し、その回転トルクが出力軸91から順次、駆動歯車111、従動歯車112、回転伝達管113、ボールスプラインのハウジング114、図示しないボールとスプライン溝101aとを介して下部軸101、カップリング102、上部軸103、中間リング121を介して揺動ビーム122に伝達され、これを一定角度揺動させ、この揺動を、順次、連接棒123、揺動アーム124、歯車127に伝達して歯車127及びこれと連動する歯車127(127´)を回転させ、この回転を旋回軸52に伝達し、その回転により、中間部材53を介して旋回アーム54を旋回させ、これにより、最終的に相対向する支持軸55及びこれに支持された基板受58の間隔Bを変化させることにより行われる。図4(a)では、旋回アーム54が旋回した状態を二点鎖線で示し、これにより、最小幅がB´までの物品を積載できる状態を示している。
【0032】
以上のような熱処理装置は、次のような特長を備えている。
熱処理室の高さをHとすると、本発明を適用した図1(a)の例に示す熱処理装置では、ゴンドラ5の高さがほぼ2H/3になっているので、物品の積載数が多い。これに対して従来の熱処理装置では、同じ高さHの熱処理室に配置するとすれば、ゴンドラの高さがほぼH/2になる。従って、本例の熱処理装置では、従来のものよりも、ほぼ4/3倍の集積率アップが図られている。又、本例の熱処理装置では、ゴンドラの昇降行程がほぼH/3になるため、熱処理室の下方からゴンドラを昇降させる場合には、H/3に対応した高さ、即ち、H/3+h(hは昇降移動部等の必要高さ)がその下に必要になる。これに対して従来の熱処理装置では、上記集積率の低下に加えて、この高さが1/2H+h必要になり、装置全体の高さが更に高くなる。
【0033】
一方、同じ物品の積載数を持つ装置として比較すると、従来のものでは、熱処理室の高さがほぼ4H/3になり、ゴンドラを下部から昇降させるとすると、その下部高さは2H/3+h必要になり、合計では2H+hの高さになる。この高さは、本例のものの4H/3+hに較べて、2H/3も高くなる。その結果、従来の熱処理装置で同じ集積率を得ようとする場合には、通常の工場の高さ制限を超えるため、ゴンドラの下部昇降ができなくなることが多い。この場合には、下部昇降に伴う種々の利点も得られないことになる。又、高さ制限上からは下部昇降可能な場合でも、ゴンドラが高くなると共に昇降軸が長くなるため、安定性が悪くなり、昇降軸の太くしなければならないという不利な点が生ずる。
【0034】
昇降装置は、ゴンドラ5を昇降軸60で下方から昇降させるので、従来のようにゴンドラを横から支持して隣接した別の場所に昇降装置を設けるものに較べて、熱処理装置の占有スペースを縮小することができる。そして本例の如く、スラストを伝達するボールナットを昇降軸60に並行して昇降させれば、これらの間隔は僅かであるから、昇降軸60の中心線を含む面上の2か所で昇降を案内する案内機構80には大きなモーメントがかからず、従来の横抱き式のものに較べて、昇降装置の構造が簡素化されると共に、全体的に剛性の低いものでよくなり、重量も大幅に軽減される。又、昇降案内部の抵抗も減少する。なお、本例では昇降軸60を2重管で形成しているが、昇降軸は、単管又は必要によりこれを適当な補強したものでもよい。
【0035】
又、ゴンドラの昇降に昇降軸60を使用するので、従来のものに較べて熱処理室を貫通する面積が極め小さくなると共に、接触摺動式のシールを採用することができるので、シール性が大幅に向上する。特に、本例では昇降軸60を丸軸にしているので、全周のシール面圧が均一化され、特にシール性が良くなる。但し、角形等の他の断面形状の軸を使用することもできる。この場合にも、従来のものよりシール性は大幅に良くなる。なお、このようにシールが良好になると、窒素ガスを用いた熱処理に有利となる。
【0036】
更に、本例では、昇降等のスラスト伝達に通常用いられる中実ロッドに代えて管を用いているので、伝達熱量が少ない。又、管内に断熱材を入れるのも容易になる。その結果、熱処理室外に配置された耐熱性のない機器やセンサ等への熱による悪影響がなくなると共に、熱処理室内の温度分布も改善される。そして更に、管は薄肉であるから、熱応力に伴う歪みが発生せず、昇降軸及びその周辺の部材の変形等が防止される。又、二重管の内部、もしくは単管に断熱材を取り付けたその内部に空間部ができるので、本装置の如くこの空間部を熱処理室の内外間の諸機構の導通スペースにすることが可能になる。
【0037】
なお、ゴンドラの下部昇降方式の採用により、熱処理室内では、ゴンドラの周囲が全て自由空間になるため、その相対向する四方のうちの二方側を熱風の通路にし、相対向する他の二方側を熱風の戻りダクト部にするような熱風循環系を形成することができる。その結果、積層された板状の物品間を熱風の並行層流が通過することになり、従来のゴンドラ横抱き式のものに較べて、熱処理性能が大いに改善される。
【0038】
物品支持間隔調整装置は、駆動源としてサーボモータ90を備え、その回転力を基板支持軸55まで伝達し、サーボモータ90を駆動することによって相対向する基板受58の間隔を変えられるので、幅の異なった物品を熱処理する場合には、単にモータ90を駆動するだけでよくなり、段取り変え作業等を一切不要にすることができる。従って、従来の装置のように処理物品のサイズ変更時に熱処理室を常温に戻す必要がなくなり、熱処理装置の稼働率が向上する。
【0039】
又、昇降するゴンドラ5から熱処理室外に保護管62を導設し、この中に回転軸100を配置し、熱処理室内にはリンク機構等を設けるようにしているので、サーボモータ等の駆動側を熱処理室外の常温環境下に配置して熱による悪影響を回避することができる。一方、動力伝達を軸部分のボールスプラインで行っているので、動力伝達機構をゴンドラの昇降運動に追従させることができる。但し、インボリュートスプラインやトルク伝達ピン等の他のトルク伝達手段を用いることも可能である。更に本例では、回転軸100の保護管に昇降装置の駆動軸60の内管62を兼用しているので、これらの装置が全体として機能的に構成されている。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、物品入口及び出口を積載部の第1段から最終段までに第1段部分を含まず最終段部分を含んでほぼ等間隔に複数の位置に設けると共に、熱処理室を最終段側に少なくとも1間隔分の空間部を持つ広さにしているので、複数をNとすると、熱処理室の高さのほぼ〔N/(N+1)〕部分まで物品を積載することができる。従来ではN=1であったので、例えばN=2にするとしても、従来の約4/3倍の集積率にすることができる。従って、本発明によれば、熱処理室が同じ高さの場合には、物品の積載数を増やすことができる。
【0041】
又、積載部の進行行程がほぼ〔(1/(N+1)〕であるため、積載部が昇降する形式のものである場合には、熱処理室の下方から積載部を昇降させるときに、下部スペースの高さがこれに対応して低くなる。例えばNを2にすると、その高さは従来の2/3になり、積載部を熱処理装置の下から昇降させる方式の採用が容易になる。一方、本発明のものと従来のものとで積載部への物品の積載数量を同じにするとすれば、従来のものでは、熱処理室が高くなると共に、下部昇降装置部分の高さも高くなり、下部昇降装置の採用が不可能になる場合が多いが、本発明によれば、種々の利点のある下部昇降方式の採用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明を適用した熱処理装置の一例を示す正面断面図で、b)は熱処理室の他の例の説明図である。
【図2】上記熱処理装置の奥行き方向の中心断面図である。
【図3】上記熱処理装置のゴンドラの正面図である。
【図4】(a)は上記ゴンドラの平面図で(b)は側面図である。
【図5】上記熱処理装置の昇降装置部分を示す正面図である。
【図6】上記昇降装置部分の平面図である。
【図7】上記熱処理装置の物品支持間隔調整装置部分の断面図である。
【図8】上記調整装置の内部回転伝達機構部分を示し、(a)は平面図で(b)は一部断面図である。
【図9】上記内部回転伝達機構部分の正面側の断面図である。
【図10】基板受の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
3 熱処理室
5 ゴンドラ(積載部)
14、15 物品入口
16、17 物品出口
58−1 第1段基板受(第1段)
58−40 最終段基板受(最終段)
W 物品
Claims (1)
- 物品の入口及び出口を備えた熱処理室内に積載部を設け、板状の物品を積載部でほぼ等ピッチに一番下の第1段から一番上の最終段まで多段に積層支持し、前記積載部を積層方向の前記一番下の側である一方側から前記一番上の側である他方側又は該他方側から前記一方側に進行と停止とを繰り返しつつ移動させ、熱処理時間の経過後の停止時に前記物品を前記出口から出し前記入口から入れる熱処理装置において、
前記物品入口及び物品出口は前記積載部が前記一方側にあるときに前記最終段位置に対応する位置及び前記第1段から前記最終段までの距離をほぼ等間隔に分割した位置に対応する位置から成る複数の位置に設けられ、前記熱処理室は前記最終段から前記第1段とは反対の方向に少なくとも前記1間隔分の空間部を持つ広さになっていることを特徴とする熱処理装置。
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JP09053596A Expired - Lifetime JP3702031B2 (ja) | 1996-03-18 | 1996-03-18 | 高集積型熱処理装置 |
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1996
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