JP2004288981A - 薄膜抵抗材料、これを用いた抵抗器、及び抵抗器の製造方法 - Google Patents

薄膜抵抗材料、これを用いた抵抗器、及び抵抗器の製造方法 Download PDF

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昭雄 西山
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Abstract

【課題】良質で安定した薄膜抵抗材料、これを用いた抵抗器、及び抵抗器の製造方法を提供する。
【解決手段】抵抗器を、絶縁体製基板の一面に、薄膜抵抗材料を所望のパターンで形成した構成とする。この薄膜抵抗材料を、導電性窒化物と絶縁性窒化物との化合物でNaCl型結晶構造を有する導電性化合物と、不可避不純物とによって構成する。導電性化合物は、導電性窒化物であってNaCl型結晶構造を有するTiNと絶縁性窒化物であるAlNとの化合物であってNaCl型結晶構造を有する導電性化合物であるTiAl1−XNと、不可避不純物とによって構成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜抵抗材料、これを用いた抵抗器、及び抵抗器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子回路に組み込まれる抵抗器としては、絶縁体製基板上に所定の形状の金属系薄膜抵抗材料を形成し、さらにこの薄膜抵抗材料を絶縁性材料からなる保護膜で覆った構成のものが一般的である。
しかし、金属系薄膜抵抗材料はサイズが小さくなると抵抗値が小さくなりすぎるために小型化には不向きであり、金属系薄膜抵抗材料を用いた抵抗器は、近年の電子機器のさらなる小型化の要求に伴って生じた抵抗器の小型化の要求に対して十分に答えることができない。また、金属系薄膜抵抗材料は、温度の上昇とともに抵抗値がプラスに変化する特性を有しており、温度変化に伴って抵抗器の性能が大きく変動してしまう。さらに、金属系薄膜抵抗材料は、熱や湿気を受けることによって酸化して、性能が低下してしまいやすい。
【0003】
これに対して、セラミックス系抵抗材料は、それ自体の比抵抗を大きくすることが可能であり、性能を維持したまま小型化することが可能であり、また、温度抵抗係数も小さく温度変化に対する抵抗値の変動が少ないので、高精度の抵抗器を得ることができる、という利点を有している。
【0004】
このようなセラミックス系薄膜抵抗材料としては、下記の特許文献1に記載の薄膜抵抗体がある。この薄膜抵抗体は、通常の薄膜製造技術を用いて製造されるものであって、導電性窒化物にそれを構成する窒素以外の元素を添加含有させたものと、かつ絶縁性窒化物にそれを構成する窒素以外の元素を添加含有させたものとを均一に分散させた構成とされている。
具体的には、特許文献1に記載の薄膜抵抗体は、TiN(窒化チタン)等の導電性窒化物にTi(チタン)等の金属を添加したものと、AlN(窒化アルミニウム)等の絶縁性窒化物にAl(アルミニウム)等の金属を添加したものとを均一に分散させた構成とされている。また、添加する元素の量は、導電性窒化物、絶縁性窒化物に対して原子%で数%〜数十%とされている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭52−3197号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなセラミックス系薄膜抵抗材料は、1kΩレベルの安定した比抵抗を得ることが困難であった。
また、安定した薄膜に形成することは困難であった。そして、このように薄膜抵抗材料の性能が安定しないので、抵抗値を製品の許容範囲内とするためのパターンニングが困難であった。
さらに、特許文献1に記載の薄膜抵抗体は、セラミックスにTiやAl等の活性の高い金属を添加した構成であるので、金属系薄膜抵抗材料と同様、熱や湿気によって酸化して性能が低下しやすく、安定した特性を得ることができない。
そして、例えばこのような従来の薄膜抵抗材料を用いた抵抗器では、薄膜抵抗材料の酸化を防止するために、耐水性材料によるコーティングが施されるが、酸化を完全に防止することは困難なので、抵抗器の性能が耐水性材料の性能に左右されてしまう。
【0007】
また、引用文献1には、薄膜抵抗体は通常の薄膜製造技術を用いて製造することができると記載されているが、薄膜抵抗体が形成される基板は絶縁体であるので、当時の技術では、薄膜抵抗体は、イオンプレーティングを用いて製造することはできず、真空蒸着法、スパッタリング法や化学蒸着法などによって製造することしかできなかったので、安定した品質の薄膜抵抗材料を得ることができなかった。
このため、セラミックス系薄膜抵抗材料については積極的な研究開発がされておらず、セラミックス系薄膜抵抗材料を用いた抵抗器はいまだ商品化されていない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、良質で安定した薄膜抵抗材料、これを用いた抵抗器、及び抵抗器の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる薄膜抵抗材料においては、導電性窒化物と絶縁性窒化物との化合物であって、NaCl(塩化ナトリウム)型結晶構造を有する導電性化合物と不可避不純物とによって構成されていることを特徴としている。
【0010】
この薄膜抵抗材料は、導電性セラミックスである導電性窒化物と絶縁性セラミックスである絶縁性窒化物との化合物であり整然としたNaCl型結晶構造をなす導電性化合物(導電性セラミックス)を主成分とするものであるので、金属系薄膜抵抗材料や、金属原子を添加したセラミックス系薄膜抵抗材料に比べて酸化等の化学変化がはるかに生じにくく、熱的、化学的に安定である。
ここで、導電性セラミックスの電気伝導は、金属における電気伝導のような自由電子の移動によるものではなく、イオン自体が移動することによって行われるものであるので、金属イオンの種類や結晶構造が、導電性セラミックスの導電特性に大きな影響を与える。
本発明にかかる薄膜抵抗材料は、上記のように整然としたNaCl型結晶構造をなしているので、イオンの移動が安定して行われることとなり、安定した電気伝導率及び温度依存性が得られる。
このため、この薄膜抵抗材料は、面積抵抗50〜1000Ω、温度抵抗係数±50ppm/°Cの性能を安定して得ることができる。
【0011】
本発明にかかる薄膜抵抗材料は、導電性窒化物であるTiNと絶縁性窒化物であるAlNとの化合物でその組成がTiAl1−XN(ただし0.2≦X≦0.7)で表される導電性化合物と、不可避不純物とによって構成されていてもよい。
【0012】
また、本発明にかかる薄膜抵抗材料は、Zr、Hf、V、Nb、W、Moのうちのいずれかの窒化物である導電性窒化物と絶縁性窒化物であるAlNとの化合物でその組成がMAl1−XN(ただしMはZr、Hf、V、Nb、W、Moのうちのいずれか)で表されかつ0.2≦X≦0.7とされている導電性化合物と、不可避不純物とによって構成されていてもよい。
【0013】
また、本発明にかかる薄膜抵抗材料は、導電性窒化物であるCrNと絶縁性窒化物であるAlNとの化合物でその組成がCrAl1−XN(ただし0.3≦X≦0.95)で表される導電性化合物と、不可避不純物とによって構成されていてもよい。
【0014】
このような薄膜抵抗材料を構成する導電性化合物は、NaCl型結晶構造を有する導電性窒化物中の金属原子(Ti、Zr、Hf、V、Nb、W、Mo、Crのうちのいずれか)の一部が、絶縁性窒化物中に含まれていたAl原子に置換されたNaCl型結晶構造をなしている。
【0015】
ここで、Al原子は、上記の各金属原子に比べてイオン半径が十分に小さいので、上記のような原子の置換が行なわれることで、導電性化合物の格子定数が導電性窒化物に比べて小さくなって、温度に対する導電性の変化(温度抵抗係数)が大きくなる。そして、結晶構造中のAl原子の量があまり多くなると(上記各組成においてXの値が上記範囲の下限値を下回ると)、NaCl型結晶構造が崩れて絶縁性の六方晶型結晶構造が現れてしまい、抵抗材料としての性能が失われてしまう。
一方、Al原子の量が少ないと(上記各組成においてXの値が上記範囲の上限値を超えると)、格子定数が大きくなって温度抵抗係数が小さくなるものの、大きな面積抵抗値を得ることができない。
このため、上記の各構成において、Xは、それぞれ上記した範囲内とすることが好ましい。
【0016】
本発明にかかる抵抗器は、絶縁体製基板上に、請求項1から4のいずれかに記載の薄膜抵抗材料を形成してなることを特徴としている。
この抵抗器は、上記のように性能の安定した薄膜抵抗材料を用いているので、性能が安定している。
【0017】
本発明にかかる抵抗器の製造方法は、絶縁体製基板と該絶縁体製基板上に形成される薄膜抵抗材料とを有する抵抗器の製造方法であって、窒素雰囲気中で、導電性窒化物と絶縁性窒化物との化合物であるNaCl型結晶構造を有する導電性化合物薄膜を形成するに際して、陰極として前記化合物の金属成分からなるターゲットを用い、前記絶縁体製基板にパルス状の負のバイアス電圧を印加した状態で前記絶縁体製基板の表面にイオンプレーティングを行って、前記基板表面に、前記導電性化合物と不可避不純物とによって構成される薄膜抵抗材料を形成することを特徴としている。
【0018】
この抵抗器の製造方法では、絶縁体製基板にパルス状の負のバイアス電圧を印加してイオンプレーティングを行うので、陰極として用いた導電性化合物と同じ組成の、緻密で安定した薄膜抵抗材料を、絶縁体製基板上に形成することができ、性能の安定した抵抗器を製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔第一の実施の形態〕
以下、本発明の第一の実施の形態について、図を用いて説明する。
本実施の形態に示す抵抗器1は、図1の斜視図に概略的に示すように、アルミナ等からなる例えば長方形平板状の絶縁体製基板2の一面2aに、薄膜抵抗材料3を一様に形成し、ついでレーザー、エッチング、ブラスト処理などによって所望のパターンに形成し、この薄膜抵抗材料3のなすパターンの両端に電極材料4をそれぞれ形成したのち、薄膜抵抗材料3の表面を、ポリカーボネート等の図示せぬ絶縁性樹脂によって被覆したものである。
【0020】
この薄膜抵抗材料3は、一面2a上に、抵抗器1に要求される抵抗の大きさに適合する適宜の形状及び厚みで形成されるものである。ここで示す例では、薄膜抵抗材料3は、絶縁体製基板の長手方向に沿って延びる蛇行パターンとして形成されており、その厚みは、10〜1000nm程度とされている。なお、この厚みの下限は、絶縁体製基板2の表面の粗さ(凹凸の大きさ)によって左右されるものであって、一面2aをより高精度な平坦面とした場合には、さらに薄くすることが可能である。
【0021】
薄膜抵抗材料3は、導電性窒化物と絶縁性窒化物との化合物でNaCl型結晶構造を有する導電性化合物と、不可避不純物とによって構成されている。
上記導電性化合物は、導電性窒化物であるTiNと絶縁性窒化物であるAlNとの化合物であって、その組成は、TiAl1−XNで表される。
【0022】
すなわち、この導電性化合物は、図2に示すように、NaCl型結晶構造を有する導電性窒化物(TiN結晶)中のTi原子の一部が、絶縁性窒化物(AlN)中に含まれていたAl原子に置換されたNaCl型結晶構造をなしている。
Al原子のイオン半径(Al3+、6配位)は0.053nmであり、Ti原子のイオン半径(Ti3+、6配位で0.067nm)に比べて十分に小さいので、導電性窒化物中の一部のTi原子をAl原子に置換された導電性化合物の格子定数は、導電性窒化物に比べて小さい。
【0023】
このように構成される抵抗器1は、まず、絶縁体製基板2の表面に、イオンプレーティング法を用いて薄膜抵抗材料3を形成したのち、電子部品の製造に一般的に用いられる手法によって薄膜抵抗材料3に電気的に接続される電極材料4を形成し、さらに薄膜抵抗材料3の表面を絶縁性樹脂によって被覆することによって製造される。
以下に、このイオンプレーティングに用いる装置の構成とイオンプレーティング方法について説明する。
【0024】
この抵抗器1の製造に用いられるイオンプレーティング装置11は、真空容器12と、真空容器12中にN(窒素)ガス等のプロセスガスを供給するガス供給源13と、真空容器12中の気体を排出する真空ポンプ等の排気装置14とを有している。
【0025】
真空容器12内には、絶縁体製基板2を支持する支持台16と、薄膜抵抗材料3を構成する導電性化合物の金属成分からなるターゲット17とが設置されている。
ターゲット17には、負の電圧を印加する第一の電源18が接続されている。
また、支持台16に支持される絶縁体製基板2には、負のバイアス電圧をパルス状に印加する第二の電源19が接続されている。
ここでは、イオンプレーティング法としてアーク法を用いる場合を示しているが、マグネトロンスパッタ法を用いる場合には、ターゲット17及び第一の電源18をマグネトロンスパッタ用に変更すればよい。
【0026】
絶縁性基板2へのイオンプレーティングにあたっては、絶縁体製基板2を支持台16に設置した後、排気装置14によって真空容器12内を真空引きして、その後窒素ガスを導入し、その内圧を2Pa程度とする。
この状態で、ターゲット17に30V−100Aの負の電圧を印加してアーク放電を生じさせることによってターゲット17の表面を蒸発、イオン化させるとともに、絶縁体製基板2に対して、50〜250kHz、一回の継続時間は1000〜8000nsecの0と−50〜−200VのパルスDCを印加して、ターゲット17から蒸発してイオン化した粒子を絶縁体製基板2上に衝突させることによって、絶縁体製基板2上に所望のNaCl型結晶構造をもつ薄膜抵抗材料3を形成する。その後、レーザー加工、エッチング加工、あるいはブラスト加工により、薄膜抵抗材料3を所望のパターンに形成する。
ここで、ターゲット17に印加する電圧、及び絶縁体製基板2に印加する電圧、その周波数、一回の継続時間、パターン加工法は、それぞれ上記の範囲内で適正に選択される。
【0027】
このようにイオンプレーティングによって製造された薄膜抵抗材料3は、真空蒸着法、スパッタリング法や化学蒸着法などによって製造された薄膜抵抗材料に比べて緻密なものが得られる。
そして、電極材料4の形成と薄膜抵抗材料3への絶縁性樹脂のコーティングとを行って、本実施の形態にかかる抵抗器1を得る。
【0028】
このようにして製造される薄膜抵抗材料3は、導電性セラミックスである導電性窒化物と絶縁性セラミックスである絶縁性窒化物との化合物であり整然としたNaCl型結晶構造をなす導電性化合物を主成分とするものであるので、金属系薄膜抵抗材料や、金属原子を添加したセラミックス系薄膜抵抗材料に比べて酸化等の化学変化がはるかに生じにくく、熱的、化学的に安定である。
【0029】
また、薄膜抵抗材料3は導電性セラミックスであって、イオン自体が移動することによって電気伝導が生じるので、薄膜抵抗材料3が上記のように整然としたNaCl型結晶構造をなしていることにより、イオンの移動が安定して行われることとなり、安定した電気伝導率及び温度依存性が得られる。
【0030】
このため、この薄膜抵抗材料3は、面積抵抗50〜1000Ω、温度抵抗係数±50ppm/°Cの性能を安定して得ることができ、この薄膜抵抗材料3を用いた抵抗器1は、同じ抵抗値の従来の抵抗器よりもさらに小型化が可能である。
【0031】
そして、この抵抗器1は、薄膜抵抗材料3が主として窒化物の化合物からなるために熱的、化学的に安定していて、電極材料4や、絶縁性樹脂等の保護材料など、薄膜抵抗材料3に接触状態にして設けられる他の材料との化学反応を生じないので、製造過程での薄膜抵抗材料3の性能低下が生じず、薄膜抵抗材料3自体の有する優れた性能を十分に発揮することができるので、従来の抵抗器よりも高性能を実現することができる。
【0032】
また、この抵抗器1は、薄膜抵抗材料3が熱的、化学的に安定しているので、回路基板等に実装する際のはんだ付けによる熱を受けても性能劣化が生じにくく、また湿気等を受けることによる酸化が生じないので、実装後も面積抵抗値の変化等の性能低下が生じにくく、信頼性が高い。
【0033】
ここで、薄膜抵抗材料3を構成する導電性化合物について、AlNの含有量(mol%)と導電性化合物の格子定数との関係を調べた。この結果を図4のグラフに示す。図4のグラフからわかるように、導電性化合物の格子定数は、AlNの含有量が多くなるにつれて格子定数が小さくなり、導電性化合物の温度抵抗係数が大きくなる。
そして、さらにAlNの含有量が多くなると、導電性化合物のNaCl結晶構造が崩れて絶縁性の六方晶型結晶構造(ウルツ鉱型(ZnS型)結晶構造)が現れてしまい、抵抗材料としての性能が失われてしまう。
【0034】
一方、Al原子の量が少ないと格子定数が大きくなって温度抵抗係数が小さくなるものの、大きな面積抵抗値を得ることができない。
このため、上記の各構成において、Xの値は、0.2≦X≦0.7とすることが好ましい。
【0035】
〔第二の実施の形態〕
本実施の形態に示す抵抗器は、第一の実施の形態で示した抵抗器1において、薄膜抵抗材料3の代わりに、Zr、Hf、V、Nb、W、Moのうちのいずれかの窒化物である導電性窒化物と絶縁性窒化物であるAlNとの化合物でその組成がMAl1−XN(ただしMはZr、Hf、V、Nb、W、Moのうちのいずれか)で表される導電性化合物と、不可避不純物とによって構成されている薄膜抵抗材料を用いたものである。
【0036】
このように構成される抵抗器も、第一の実施の形態で示した抵抗器の製造方法によって絶縁体製基板2上に上記組成の薄膜抵抗材料を形成することによって作成されるものである。
【0037】
ここでは、導電性化合物を、ZrNとAlNとの化合物とした。この導電性化合物の格子定数は、Zr原子の含有量が多くなるにつれて格子定数が大きくなり、導電性化合物の温度抵抗係数が小さくなる。しかし、Zr原子の含有量が多くなるにつれて、導電性化合物の面積抵抗値が小さくなる。
【0038】
一方、Zr原子の量が少ないと格子定数が小さくなって温度抵抗係数が大きくなり、さらにZr原子の含有量が少なくなると、導電性化合物のNaCl結晶構造が崩れて絶縁性の六方晶型結晶構造が現れてしまい、抵抗材料としての性能が失われてしまう。
このため、上記の各構成において、Xの値は、0.2≦X≦0.7とすることが好ましい。このXの好ましい数値範囲は、導電性窒化物として、Zr、Hf、V、Nb、W、Moのうちのいずれの窒化物を用いた場合にも適用される。
【0039】
〔第三の実施の形態〕
本実施の形態に示す抵抗器は、第二の実施の形態で示した薄膜抵抗材料3の代わりに、導電性窒化物であるCrNと絶縁性窒化物であるAlNとの化合物でその組成がCrAl1−XNで表される導電性化合物と、不可避不純物とによって構成されている薄膜抵抗材料を用いたものである。
【0040】
このように構成される抵抗器も、第一の実施の形態で示した抵抗器の製造方法によって絶縁体製基板2上に上記組成の薄膜抵抗材料を形成することによって作成されるものである。
【0041】
この抵抗器も、上記各実施の形態で示した抵抗器と同様、導電性化合物の組成中のXの値には、好適な範囲がある。
すなわち、Xの値が大きくなるにつれて(導電性化合物中のCr濃度高、AlN濃度低)、導電性化合物の格子定数が大きくなって温度抵抗係数が小さくなる。しかし、Cr原子の含有量が多くなるにつれて、導電性化合物の面積抵抗値が小さくなる。
一方、Xの値が小さくなるにつれて(導電性化合物中のCr濃度小、AlN濃度高)、格子定数が小さくなって温度抵抗係数が大きくなり、さらにCr原子の含有量が少なくなると、導電性化合物のNaCl結晶構造が崩れて絶縁性の六方晶型結晶構造が現れてしまい、抵抗材料としての性能が失われてしまう。
このため、本実施の形態において、Xの値は、0.3≦X≦0.95とすることが好ましい。
【0042】
【発明の効果】
本発明にかかる薄膜抵抗材料は、導電性セラミックスである導電性窒化物と絶縁性セラミックスである絶縁性窒化物との化合物であり整然としたNaCl型結晶構造をなす導電性化合物を主成分とするものであるので、金属系薄膜抵抗材料や、金属原子を添加したセラミックス系薄膜抵抗材料に比べて酸化等の化学変化がはるかに生じにくく、熱的、化学的に安定である。
そして、本発明にかかる薄膜抵抗材料は、上記のように整然としたNaCl型結晶構造をなしているので、イオンの移動が安定して行われることとなり、安定した電気伝導率及び温度依存性が得られる。
【0043】
このような薄膜抵抗材料を用いた本発明にかかる抵抗器は、絶縁体製基板上に、請求項1から4のいずれかに記載の薄膜抵抗材料を形成してなるものであるので、性能が安定している。
また、薄膜抵抗材料の面積抵抗値を大きくすることができるので、同じ抵抗値の従来の抵抗器よりもさらに小型化が可能である。
【0044】
本発明にかかる抵抗器の製造方法では、絶縁体製基板にパルス状の負のバイアス電圧を印加してイオンプレーティングを行うので、陰極として用いた導電性化合物と同じ組成の、緻密で安定した薄膜抵抗材料を、絶縁体製基板上に形成することができ、性能が安定し、またより小型の抵抗器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態にかかる薄膜抵抗材料、及びこれを用いた抵抗器の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態にかかる薄膜抵抗材料の組成を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態にかかる抵抗器の製造方法を示す図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態にかかる薄膜抵抗材料におけるAlN濃度と格子定数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 抵抗器
2 絶縁体製基板
3 薄膜抵抗材料

Claims (6)

  1. 導電性窒化物と絶縁性窒化物との化合物でNaCl型結晶構造を有する導電性化合物と、不可避不純物とによって構成されていることを特徴とする薄膜抵抗材料。
  2. 請求項1に記載の薄膜抵抗材料であって、
    導電性窒化物であるTiNと絶縁性窒化物であるAlNとの化合物でその組成がTiAl1−XN(ただし0.2≦X≦0.7)で表される導電性化合物と、
    不可避不純物とによって構成されていることを特徴とする薄膜抵抗材料。
  3. 請求項1に記載の薄膜抵抗材料であって、
    Zr、Hf、V、Nb、W、Moのうちのいずれかの窒化物である導電性窒化物と絶縁性窒化物であるAlNとの化合物でその組成がMAl1−XN(ただしMはZr、Hf、V、Nb、W、Moのうちのいずれか)で表されかつ0.2≦X≦0.7とされている導電性化合物と、
    不可避不純物とによって構成されていることを特徴とする薄膜抵抗材料。
  4. 請求項1に記載の薄膜抵抗材料であって、
    導電性窒化物であるCrNと絶縁性窒化物であるAlNとの化合物でその組成がCrAl1−XN(ただし0.3≦X≦0.95)で表される導電性化合物と、
    不可避不純物とによって構成されていることを特徴とする薄膜抵抗材料。
  5. 絶縁体製基板上に、請求項1から4のいずれかに記載の薄膜抵抗材料を形成してなることを特徴とする抵抗器。
  6. 絶縁体製基板と該絶縁体製基板上に形成される薄膜抵抗材料とを有する抵抗器の製造方法であって、
    窒素雰囲気中で、導電性窒化物と絶縁性窒化物との化合物であるNaCl型結晶構造を有する導電性化合物薄膜を形成するに際して、陰極として前記化合物の金属成分からなるターゲットを用い、前記絶縁体製基板にパルス状の負のバイアス電圧を印加した状態で前記絶縁体製基板の表面にイオンプレーティングを行って、
    前記基板表面に、前記導電性化合物と不可避不純物とによって構成される薄膜抵抗材料を形成することを特徴とする抵抗器の製造方法。
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