JP2004286696A - プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Hironori Yamamoto
浩令 山本
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Abstract

【課題】熱的安定を図って、データの温度ドリフトを低減させることができるプローブ顕微鏡を提供すること。
【解決手段】被測定物Aの表面形状又は物理量を測定するプローブ顕微鏡1であって、カンチレバー20の先端の探針を被測定物Aの表面に近接又は接触させた状態で測定を行う測定機構30と、測定機構30又はその周囲の温度を計測する温度センサ40と、測定機構30に対し加熱及び冷却の少なくとも一方を行う加熱冷却機構50と、温度センサ40の測定値に基づいて加熱冷却機構50を制御して測定機構30の温度を調整する温度制御部45とを備えているプローブ顕微鏡1を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料の微小領域において表面形状等を測定するプローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、電子材料等の試料を微小領域にて測定し、試料の表面形状の観察、局所特性の計測を行う装置として、原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡が知られている。この走査型プローブ顕微鏡は、様々なものが提供されているが、その一つとして外的電磁ノイズ及び外的騒音に影響されないで、試料を測定することができる走査型プローブ顕微鏡が提供されている(特許文献1参照)。
この走査型プローブ顕微鏡は、探針を試料に対して相対走査させ、該走査によって得られた情報を電気的に処理して試料表面の微細形状を計測するプローブ顕微鏡ユニットと、試料の光学像を観察するための光学顕微鏡ユニットとを備えている。また、このプローブ顕微鏡ユニットは、遮音及び電磁シールドされた箱体の中に収用されており、該プローブ顕微鏡ユニットに配設されている探針のセンサやアンプ等の電気系統についても同様に箱体に配されている。
また、上述した特許文献1に記載の走査型プローブ顕微鏡に限られず、一般的に提供されている走査型プローブ顕微鏡は、外部からの音響ノイズに敏感であるため、防音筐体等に収用されている場合が多い。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−40005号公報(段落番号0011−0019、第1−2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のプローブ顕微鏡では、以下の課題が残されている。即ち、従来のプローブ顕微鏡では、電気系統が箱体内部に収用されているが、この電気系統が熱源であるため電源投入後、箱体内部の温度が上昇し、プローブ顕微鏡ユニット自体の温度も上昇してしまう。これにより、プローブ顕微鏡ユニットが熱膨張してドリフトが生じ、試料の測定データに誤差が生じてしまう不都合があった。そのため、例えば、特許文献1に記載の走査型プローブ顕微鏡では、この温度ドリフトの影響を低減するように、インバー等の低熱膨張率を有する材料が箱体等に用いられているが、熱膨張率が低いだけで温度ドリフトを効果的に抑制することができず十分ではなかった。
特に、防音筐体となる箱体は、内部の熱を拡散するには不適であるので、プローブ顕微鏡ユニットの電気系統による温度上昇をさらに助長させるものであった。仮に、箱体内部の温度を箱体外部に排除できたとしても、プローブ顕微鏡ユニットの設置環境が温度変動するので、同様にプローブ顕微鏡ユニット自体の温度も変動し、やはり試料の測定データにドリフトが生じる恐れがあった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、熱的安定を図って、データの温度ドリフトを低減させることができるプローブ顕微鏡を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明のプローブ顕微鏡は、被測定物の表面形状又は物理量を測定するプローブ顕微鏡であって、探針を前記被測定物の表面に近接又は接触させた状態で前記測定を行う測定機構と、該測定機構又はその周囲の温度を計測する温度センサと、前記測定機構に対し加熱及び冷却の少なくとも一方を行う加熱冷却機構と、前記温度センサの測定値に基づいて前記加熱冷却機構を制御して前記測定機構の温度を調整する温度制御部とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明に係るプローブ顕微鏡においては、測定機構により探針を被測定物の表面に近接又は接触させて、被測定物の表面形状又は物理量を測定する際、測定機構自身の温度を一定の所定温度に保ちながら測定することが可能である。即ち、測定機構自身の温度又は測定機構の周囲温度は、温度センサにより計測され、その測定した温度に基づいて温度制御部が加熱冷却機構を制御して、測定機構を加熱又は冷却することにより一定の所定温度になるよう維持している。これにより測定機構は、例えば、温度上昇変化による熱膨張等が生じにくい。従って、被測定物を測定する際、温度変化によるドリフトの発生を低減させることができ、測定結果の信頼性をより向上させることができる。
【0009】
本発明のプローブ顕微鏡は、上記本発明のプローブ顕微鏡において、前記測定機構が、前記探針を前記被測定物に対して相対的に移動させる移動機構を備え、前記温度センサ及び前記加熱冷却機構が、前記移動機構に配設されていることを特徴とするものである。
この発明に係るプローブ顕微鏡においては、温度センサ及び加熱冷却機構が、探針を被測定物に対して相対的に移動させる移動機構に配設されているので、
被測定物を測定する際に、最も温度ドリフトの影響を受けやすい可動部分の温度管理を行える。これにより、探針を有している可動部分の温度を一定の所定温度に保つことができるので、被測定物を測定する際、より効果的にドリフトの発生を低減させることができる。
【0010】
本発明のプローブ顕微鏡は、上記本発明のプローブ顕微鏡において、前記移動機構が、3次元の各方向にそれぞれ対応して前記探針を移動可能な3つの軸移動部を備え、前記温度センサ及び前記加熱冷却機構が、前記軸移動部毎に配設され、前記温度制御部が、前記各軸移動部と同一の温度となるように前記各加熱冷却機構を制御することを特徴とするものである。
この発明に係るプローブ顕微鏡においては、温度センサ及び加熱冷却機構が、3次元の各方向にそれぞれ対応して探針を移動可能な3つの軸移動部にそれぞれ配設されているので、探針を被測定物にどの方向に移動させたときでも、確実にドリフトの発生を低減させることができる。また、温度制御部は、各軸移動部の温度が同一となるように各加熱冷却機構を制御するので、各軸移動部の温度差がなくなり、探針の移動方向によるドリフトのバラツキを防止することができる。
【0011】
本発明のプローブ顕微鏡は、上記本発明のいずれかに記載のプローブ顕微鏡において、前記移動機構が、前記探針を移動させるボイスコイルモータを有し、前記温度制御部が、前記加熱冷却機構として前記ボイスコイルモータを駆動することを特徴とするものである。
この発明に係るプローブ顕微鏡においては、温度制御部が、ボイスコイルモータを駆動して移動機構の温度を所定温度に保っている。即ち、温度制御部は、コイルに流す電流値を制御することで、移動機構の温度管理を行っている。従って、コイルの電流値を制御するだけで、加熱冷却機構として機能させることができるので、別個に加熱冷却機構を設けなくても移動機構の温度管理を行うことができる。
【0012】
本発明のプローブ顕微鏡は、上記本発明のいずれかに記載のプローブ顕微鏡において、前記温度制御部が、前記測定前に前記加熱冷却機構により前記測定機構を予熱することを特徴とするものである。
この発明に係るプローブ顕微鏡においては、温度制御部が、測定前に加熱冷却機構により測定機構を予熱するので、例えば、測定機構の温度を、予め安定作動時の温度に設定することが可能になる。これにより、測定開始の時点において、既に測定機構のウォーミングアップが熱的になされており、測定を開始するまでの時間が短縮できると共に、早期の安定化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る第一の実施形態について、図1を参照して説明する。図1に示すプローブ顕微鏡1は、試料(被測定物)Aの表面形状又は物理量を測定するものであって、本実施形態では、試料Aの微小領域における表面形状を測定する原子間力顕微鏡(AFM)である。このプローブ顕微鏡1は、プローブ顕微鏡ユニット10を備えており、該プローブ顕微鏡ユニット10は、カンチレバー20の先端(探針)を試料Aの表面に近接させた状態で測定を行う測定機構30と、該測定機構30の温度を計測する温度センサ40と、測定機構30に対し加熱及び冷却の少なくとも一方を行う加熱冷却機構50と、温度センサ40の測定値に基づいて加熱冷却機構50を制御して測定機構30の温度を調整する温度制御部45とを備えているものである。
【0014】
また、測定機構30は、カンチレバー20の先端(探針)を試料Aに対して相対的に移動させるXYステージ12、Zステージ15及びスキャナ17等の移動機構を備えており、上記温度センサ40及び加熱冷却機構50が、スキャナ17に配設された構成とされている。
【0015】
上記プロープ顕微鏡ユニット10は、床との振動を減衰させる防振部材3に固定された防振台4の上に搭置されていると共に金属等で形成されたカバー5の内部に収用されており、外部から遮音及び電磁シールドされている。このプローブ顕微鏡ユニット10は、防振台4の上面にインバー等の材質で断面L字型に形成されたフレーム11を有しており、フレーム11の上面には、水平面内(XY方向)に移動可能な上記XYステージ12が取り付けられている。また、XYステージ12上には、試料台13が取り付けられており、この試料台13は、上面に試料Aを固定可能とされている。即ち、試料台13に載置され固定された試料Aは、試料台13を介してXYステージ12により、XY方向に移動可能とされている。
【0016】
また、フレーム11の上部且つXYステージ12側には、Zステージ取付プレート14を介して上記Zステージ15が取り付けられている。このZステージ15は、Zステージ固定部15aとZステージ可動部15bとを有しており、Zステージ可動部15bは、XYステージ12に対して鉛直方向(Z方向)に移動可能な機能を有している。また、Zステージ可動部15bには、スキャナ取付プレート16を介して上記スキャナ17が取り付けられており、スキャナ17の下面には、先端に探針を有するカンチレバー20が支持されている。このカンチレバー20は、例えば、シリコン、窒化シリコン等の材質で形成されている。
【0017】
スキャナ17は、内部に図示しない圧電素子(ピエゾ素子)を有しており、カンチレバー20を試料Aに対してXYZ方向の3次元的に微小移動可能に支持している。即ち、カンチレバー20は、Zステージ可動部15bによりZ方向に移動可能とされると共に、スキャナ17によりXYZの3方向に微小移動可能とされている。即ち、これらスキャナ17及びカンチレバー20は、探針を試料Aの表面に近接させた状態で測定を行う測定機構30の一部を構成している。なお、測定機構30を構成するものとして、フレーム11、XYステージ12、試料台13、Zステージ15、Zステージ取付プレート14及びスキャナ17等が含まれる。
【0018】
また、スキャナ17には、内部にカンチレバー20の撓み量を測定する撓み測定器25を有している。この撓み測定器25によって検出された検出値は、Zサーボ制御部26に入力される。Zサーボ制御部26は、入力された検出値に基づいてスキャナ17の圧電素子に電圧を印加して、カンチレバー20のZ方向における微小移動を制御している。これによりカンチレバー20の撓み量が、常に一定となるように制御されている。また、スキャナ17には、XY走査制御部27が接続されており、スキャナ17の圧電素子に電圧を印加して、カンチレバー20のXY方向における微小移動を制御している。これら、Zサーボ制御部26及びXY走査制御部27は、システムコントローラ28に接続されており、総合的に制御されている。なお、システムコントローラ28には、温度制御部45が設けられている。
【0019】
更に、スキャナ17には、スキャナ自身の温度を計測する温度センサ40が取り付けられている。この温度センサ40は、例えば熱電対で構成され、測定した温度を温度制御部45に送る機能を有している。ここで、スキャナ取付プレート16には、ヒータ等からなる加熱部46及びヒートパイプ等の熱伝導素子からなる冷却部47が埋設されている。これら加熱部46及び冷却部47は、スキャナ17を加熱、冷却してスキャナ17の温度を所定の温度に調整する加熱冷却機構50を構成している。また、上述した温度制御部45は、これら加熱部46及び冷却部47に接続されており、温度センサ40から送られてきた測定値に基づいて加熱部46及び冷却部47を制御する機能を有している。また、温度制御部45は、スキャナ17の温度が予め設定されている所定温度になるように加熱部46及び冷却部47を制御する。
【0020】
上述した、Zサーボ制御部26及びXY操作制御部27は、プローブ顕微鏡ユニット10の電気ユニット60として、フレーム11の上部で且つZステージ15の反対側に一体的に配設されている。また、この電気ユニット60には、図示しないアンプ、リレー等の各種電気部品が取り付けられている。
【0021】
このように構成されたプローブ顕微鏡1は、まずシステムコントローラ28の操作パネルの電源スイッチ(不図示)を入れると、温度センサ40からスキャナ17の温度が操作パネルの表示部(不図示)に表示される。また、同時に温度制御部45が、スキャナ17を所定温度にするように加熱部46又は冷却部47を駆動し始める。この際、上記所定温度は、プローブ顕微鏡1を駆動した後にスキャナ17の温度が上昇し、一定の時間を経て温度上昇が止まり温度が安定する領域(安定領域)の平衡温度に設定される。これにより温度制御部45は、加熱部46又は冷却部47を制御してスキャナ17を加熱又は冷却し、安定領域の温度になるように予熱を行う。
【0022】
次いで、試料台13上に試料Aを載置して固定した後、システムコントローラ28の操作パネルによりXYステージ12及びZステージ可動部15bを移動させて、試料Aの測定領域の表面付近にカンチレバー20が位置するように位置決めを行う。次いで、システムコントローラ28を介してZサーボ制御部26及びXY走査制御部27を操作して、スキャナ17及びカンチレバー20を微小移動させ、例えば、カンチレバー20の探針を試料Aの測定領域の表面に数nmの距離まで近づける。この状態にて、カンチレバー20を走査させると、試料Aの表面と、カンチレバー20の探針との間の原子間力によってカンチレバー20が撓み、この撓み量が撓み測定器25により測定される。この検出値に基づいてZサーボ制御部26は、カンチレバー20の撓み量が一定となるように、カンチレバー20のZ方向への微小移動を制御する。これにより、カンチレバー20は、撓み量が一定で試料A上の微小領域を走査可能であるので、試料Aの微小領域における表面形状を容易に得ることができる。
【0023】
ここで上述した測定の際、電気ユニット60は、Zサーボ制御部26、XY走査制御部27及びコイル、アンプ等の各種電気部品を有しているので、各電器部品の内部温度が上がり熱を発生させる。この発生した熱は、カバー5内に篭り、カバー5内部及びプローブ顕微鏡ユニット10の各構成品の温度を昇温させようとする。しかしながらスキャナ17は、温度センサ40、加熱冷却機構50及び温度制御部45により、設定した所望の温度を維持するように調整されているので、カバー5内部の温度変化の影響を受けにくい。即ち、スキャナ17は、周囲の温度変化に影響されずに、測定前から測定中に至る間、常に設定した温度を維持するので、例えば、温度変化による熱膨張等が生じにくい。これにより、試料Aを測定する際、温度ドリフトの影響が低減されるので、より正確な試料Aの表面形状を測定することができる。
【0024】
特に、温度センサ40は、カンチレバー20を微小移動させるスキャナ17に配設され、加熱冷却機構50は、スキャナ取付プレート16に配設されて直接スキャナ17を加熱冷却するので、試料Aを測定する際に最も温度ドリフトの影響を受けやすい可動部分の温度を管理を行っている。これによりカンチレバー20の温度を一定の温度に保つことができるので、より効果的に温度ドリフトの発生を低減させることができる。特に、スキャナ17は、撓み測定器25や、カンチレバーの探針を微小移動させる圧電素子等を内蔵しているので、その安定動作のために温度制御することが望ましい。
【0025】
また、温度制御部45が、試料Aの測定前に加熱冷却機構50によりスキャナ17を予熱するので、予めスキャナ17の安定領域の平衡温度に設定することが可能になる。これにより試料Aの測定開始の時点において、既に熱的にスキャナ17のウォーミングアップがなされており、測定を開始するまでの時間が短縮できると共に、早期の安定化を図ることができる。更に、電源を入れた時点ですぐに、温度ドリフトに影響されずに試料Aの表面形状を測定することができる。
【0026】
このプローブ顕微鏡1においては、カンチレバー20を試料Aの表面に近接させて、試料Aの表面形状を測定する際、スキャナ17の温度を所望する温度に保ちながら測定することが可能である。これによりスキャナ17は、周囲の温度変化による影響に左右されずに試料Aを測定することが可能である。従って、試料Aを測定する際、温度変化によるドリフトの発生を低減させることができ、試料Aの測定結果の信頼性をより向上させることができる。
【0027】
次に、本発明に係る第二の実施形態を図2を参照して説明する。この実施形態においては、第一実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第二実施形態と第一実施形態との異なる点は、第一実施形態では、移動機構が圧電素子を用いたスキャナを備えており、圧電素子によりカンチレバーを微小移動させる構成としたが、第二実施形態では、移動機構100が3次元の各方向にそれぞれ対応してカンチレバーの探針を移動可能な3つのボイスコイルモータ(軸移動部)を備えている点である。
【0028】
本実施形態の移動機構100は、X軸ボイスコイルモータ110、Y軸ボイスコイルモータ120及びZ軸ボイスコイルモータ130を備えている。Z軸ボイスコイルモータ130は、ケーシング101の内部に固定された永久磁石からなるモータコア部131を有している。このモータコア部131には、周囲にコイル132が巻回された可動子133が遊嵌されている。この可動子133は、メンブレン134によって弾性的にケーシング101に支持されており、端面にはZ方向に延在したZ軸スピンドル135の一端が取り付けられている。また、Z軸スピンドル135の他端には、撓み測定器25を介してカンチレバー20が取り付けられている。
【0029】
また、Z軸スピンドル135は、一端がケーシング101に固定された円筒状の弾性筒140の内部に同軸上に収用されている。この弾性筒140は、ケーシング101に固定される支持部141と、支持部141に連結されZ方向へ延在した弾性筒状部142と、弾性筒状部142に連結されZ方向へさらに延在した非弾性筒状部143、144とを有しており、全体的に一体形成されている。
【0030】
ここで、X軸ボイスコイルモータ110及びY軸ボイスコイルモータ120は、上述したZ軸ボイスコイルモータ130と同様の構成とされており、それぞれX軸スピンドル115及びY軸スピンドル(不図示)を有している。これらX軸スピンドル115及びY軸スピンドルの他端は、非弾性筒状部143にX軸、Y軸に向かってそれぞれ連結されている。これにより、X軸ボイスコイルモータ110のコイル112及びY軸ボイスコイルモータ120のコイル122に電流を流して駆動させ、X軸スピンドル115及びY軸スピンドルを各軸に向けて変位させた際、それに合わせて非弾性筒状部143が変位する。非弾性筒状部143が変位すると、弾性筒140は、支持部141と弾性筒状部142との境界付近を支点として揺動する。これによりZ軸スピンドル135も揺動するので、カンチレバー20をXY方向に向けて移動させる。即ち、カンチレバー20は、XY方向に走査可能となる。また、カンチレバー20のZ方向への移動は、撓み測定器25で検出した検出値に基づいてZ軸ボイスコイルモータ130のコイル132に流す電流値を変化させることにより、Z軸スピンドル135を変位させてカンチレバー20を移動させる。これにより、カンチレバー20は、試料Aとの距離が一定となるように制御される。
【0031】
ここで、上述した各ボイスコイルモータ110、120及び130のモータコア部111、121及び131には、それぞれ温度センサ170が取り付けられており、各ボイスコイルモータ110、120及び130自体の温度を測定している。この温度センサ170により検出した温度は、温度制御部180に送られる。温度制御部180は、この入力された温度に基づいて各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度を設定した所望の温度になるように、各コイルに所定の電流を流して制御する機能を有している。即ち、温度制御部180は、各コイル112、122及び132に流す電流値を制御して、各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度を調整している。この際、温度制御部180は、各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度が同一温度になるように各コイル112、122及び132の電流値を制御している。即ち、各コイル112、122及び132は、それぞれボイスコイルモータを少なくとも加熱させる加熱冷却機構190とされている。なお、各ボイスコイルモータ110、120及び130のコイル112、122及び132に流す電流は、定格電流の最大値に設定されている。
【0032】
このように構成された移動機構100を備えている場合、試料Aの測定を行う前に、各ボイスコイルモータ110、120及び130が、前述した安定領域の平衡温度になるように、温度制御部180は各コイル112、122及び132に流す電流値を制御する。これにより、各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度が上がり、予熱運転がされる。このように各ボイスコイルモータ110、120及び130を平衡温度に制御すれば、測定開始の時点で既に各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度が安定しているので、測定を開始するまでの時間が短縮できると共に、早期の安定化を図ることができる。また、各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度が安定しているので、時間と共に各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度が上昇するといった温度変化が防止でき、温度ドリフトの影響を低減させることができる。
【0033】
また、温度制御部180は、各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度を制御可能であると共に、各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度を同一温度になるように制御するので、カンチレバー21の移動方向によるドリフトのバラツキを防止することができる。
更に、試料Aの測定前に、コイル112、122及び132に定格値の最大電流を流すだけで加熱冷却機構190として機能させることができるので、別個に加熱冷却機構を設けなくても各ボイスコイルモータ110、120及び130の温度管理を行うことができる。
【0034】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲のおいて、種々の変更を加えることが可能である。
本発明に係る実施形態では、プローブ顕微鏡は、カンチレバーを試料の表面に近接させて試料の表面形状を測定する原子間力顕微鏡としたが、これに限られずカンチレバーを試料に接触させて試料の物理量を測定するものであっても良い。また、第一実施形態において、スキャナに温度センサを取り付けて、スキャナの温度を制御する構成としたが、これに限られるものではなく、他に移動機構を構成するZステージ等に取り付けて良い。更に、該移動機構に限らず、例えばフレーム等の測定機構を構成する部材に取り付けても構わない。
【0035】
つまり、測定機構の構成要素のうち、少なくとも一つの構成要素を温度管理対象要素として構成されていれば良い。この場合、最も温度変動の影響を受け温度ドリフトの原因となる構成要素としては、設計時のシュミレーションや実機テストにより特定しても構わない。
また、温度センサをスキャナに取り付けて、スキャナの温度を直接計測する構成としたが、測定機構の周囲の温度を測定する構成としても構わない。例えば、カバーの内部温度やカバーの温度、または電気ユニット温度を測定しても構わない。
更に、スキャナ取付プレートに加熱冷却機構を取り付けた構成としたが、これに限られず、スキャナに対し加熱及び冷却が可能に構成されていれば良い。例えば、加熱冷却機構をZステージ取付プレートに配設して、スキャナを加熱及び冷却しても構わない。
また、加熱による予熱を行ったが、ヒートパイプ等の十分な冷却機能を備えている場合には、予熱を行う必要はない。例えば、プローブ顕微鏡を可動させた際に、冷却機能によりプローブ顕微鏡の温度上昇を抑え、一定の温度に冷却制御することにより設置環境に応じた好適な温度状態で測定を行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明のプローブ顕微鏡においては、以下に示す効果を奏することができる。即ち、測定機構により探針を被測定物の表面に近接又は接触させて、被測定物の表面形状又は物理量を測定する際、測定機構自身の温度を所定温度に保ちながら測定することが可能である。これにより測定機構は、被測定物を測定する際、温度変化によるドリフトの発生を低減させることができ、測定結果の信頼性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係るプローブ顕微鏡を示す構成図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係るプローブ顕微鏡に用いるボイスコイルモータを示す断面図である。
【符号の説明】
A 被測定物
1 プローブ顕微鏡
12 XYステージ(移動機構)
15 Zステージ(移動機構)
17 スキャナ(移動機構)
30 測定機構
40、170 温度センサ
45、180 温度制御部
50、190 加熱冷却機構
100 移動機構
110、120、130 ボイスコイルモータ(軸移動部)

Claims (5)

  1. 被測定物の表面形状又は物理量を測定するプローブ顕微鏡であって、
    探針を前記被測定物の表面に近接又は接触させた状態で前記測定を行う測定機構と、
    該測定機構又はその周囲の温度を計測する温度センサと、
    前記測定機構に対し加熱及び冷却の少なくとも一方を行う加熱冷却機構と、
    前記温度センサの測定値に基づいて前記加熱冷却機構を制御して前記測定機構の温度を調整する温度制御部とを備えていることを特徴とするプローブ顕微鏡。
  2. 請求項1に記載のプローブ顕微鏡において、
    前記測定機構が、前記探針を前記被測定物に対して相対的に移動させる移動機構を備え、前記温度センサ及び前記加熱冷却機構が、前記移動機構に配設されていることを特徴とするプローブ顕微鏡。
  3. 請求項2に記載のプローブ顕微鏡において、
    前記移動機構が、3次元の各方向にそれぞれ対応して前記探針を移動可能な3つの軸移動部を備え、
    前記温度センサ及び前記加熱冷却機構が、前記軸移動部毎に配設され、
    前記温度制御部が、前記各軸移動部と同一の温度となるように前記各加熱冷却機構を制御することを特徴とするプローブ顕微鏡。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のプローブ顕微鏡において、
    前記移動機構が、前記探針を移動させるボイスコイルモータを有し、
    前記温度制御部が、前記加熱冷却機構として前記ボイスコイルモータを駆動することを特徴とするプローブ顕微鏡。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のプローブ顕微鏡において、
    前記温度制御部が、前記測定前に前記加熱冷却機構により前記測定機構を予熱することを特徴とするプローブ顕微鏡。
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