JP2004286243A - メンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置 - Google Patents

メンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】システムのメンテナンスが必要な時期が到来したときに、システムに対するユーザの要求をある程度満たすことを可能にしながらも、そのユーザに対してシステムのメンテナンス時期が到来していることを確実に認識させることが可能なメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置を提供する。
【解決手段】GHP用エンジンがメンテナンス時期に達したときには、エンジンを停止させることなしに回転数を制限する能力ダウン運転を行う。これにより、空調能力が充分に発揮できていないことでエンジンのメンテナンスが必要な時期が既に到来していることをユーザに認識させる。また、エンジンは停止しないので、GHPの継続運転が行われ、ユーザの空調要求をある程度満たすことが可能である。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばエンジン等を備えたシステムの積算運転時間が所定時間に達したときにメンテナンス時期の告知を行うようにしたメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置に係る。特に、本発明は、システムのメンテナンス時期が到来していることをユーザに対して確実に認識させるための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、GHP(ガスヒートポンプ)に代表されるエンジン駆動ヒートポンプが知られている。このGHPは、例えば下記の特許文献1に示すように、ガスエンジンと、このガスエンジンの動力を受けるコンプレッサ(圧縮機)により冷媒循環を行う冷媒回路とを備えており、暖房運転時には、エンジン排熱を有効活用することにより、暖房能力の向上を図ったりデフロスト(霜取)運転を不要にするといった利点がある。
【0003】
また、GHPの室外機は、圧縮機や冷媒熱交換器等の冷媒回路構成部品、エンジンやラジエータや冷却水ポンプ等のエンジン部品等が一つのパッケージ内に収容された構成となっている。
【0004】
ところで、このGHPの室外機に収容されているエンジンは、定期的なメンテナンスが必要とされている。例えば、所定時間毎(例えば10000時間毎)にエンジンオイルを交換したり、必要に応じてエンジンオイルを継ぎ足したりするといったメンテナンス作業が必要である。
【0005】
また、このメンテナンス作業はGHPを停止した状態で行う必要がある。このため、エンジンの積算運転時間がメンテナンスの必要な所定時間に達したからといって直ちにエンジンを停止させたのではユーザの要求に応えることができない状況に陥ってしまう可能性がある。例えば、夏期の日中に、エンジンの積算運転時間がエンジンオイル交換時間に達したからといって直ちにエンジンを停止させたのでは、エンジンオイルの交換が完了するまで室内冷房が行えずユーザの不満を招いてしまう。
【0006】
この点に鑑みられ、下記の特許文献2では、エンジンの積算運転時間が所定時間に達した場合、エンジンを自動停止させた後、オイル交換が行われなくても所定時間だけは延長運転が行われるようにしている。これにより、ユーザの空調要求が無い時間帯にオイル交換を行うことを可能にしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−179983号公報
【特許文献2】
特許第3066123号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献2の技術にあっては、エンジンの延長運転が行われていることの認識、つまり、オイル交換が必要な時期が既に到来していることの認識は、リモコン上の表示等をユーザが確認することにより行っていた。つまり、GHPの運転中にユーザがリモコン上の表示を確認しなかった場合、そのユーザはオイル交換が必要な時期が既に到来していることを認識できないことになる。この場合、例えば、オイル交換が可能な時間帯であるにも拘わらずオイル交換が行われず、再びユーザの空調要求が生じる時間帯となり、その時間帯ではユーザの要求を満たすためにオイル交換が行えないといった状況となって、長期間に亘ってオイル交換が行われない状況に陥ってしまう可能性があった。これでは、潤滑不良状態で長時間に亘ってエンジンが運転されてしまい、エンジン寿命が短命化してしまうといった不具合を招くことになる。
【0009】
尚、このような不具合は、GHPに限らず、定期的なメンテナンス作業が必要な各種のシステムにおいて同様に生じるものである。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、システムのメンテナンスが必要な時期が到来したときに、システムに対するユーザの要求をある程度満たすことを可能にしながらも、そのユーザに対してシステムのメンテナンス時期が到来していることを確実に認識させることが可能なメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、システムがメンテナンス時期に達したときには、その運転能力を制限しながらも継続して運転を行うようにしている。つまり、システムに最大限の能力を発揮させないことでシステムのメンテナンスが必要な時期が既に到来していることをユーザに認識させるようにしながらも、システムを停止させることなしに継続運転することでユーザの要求をある程度満たすことを可能にしている。
【0012】
−解決手段−
具体的には、システムの積算運転時間が所定時間に達したときにメンテナンス作業が行われなくても延長運転を可能にする選択肢を有するシステムの制御装置を前提とする。このシステムの制御装置に対し、システムの積算運転時間が上記所定時間に達したとき、システムの運転を停止すること無しにシステムの許容運転能力を所定能力以下に制限しながらシステムの運転を継続させる能力制限手段を備えさせている。
【0013】
この特定事項により、システムの積算運転時間が上記所定時間に達したとき、つまり、システムのメンテナンスが必要な時期が到来したときには、システムの運転を停止させずにシステムの運転を継続したままで、その許容運転能力を所定能力以下に制限する。例えばエンジンのメンテナンスに本発明を適用した場合には、エンジンのオイル交換が必要な時期が到来したときに、エンジンを停止させることなしにエンジン回転数を制限することになる。これにより、ユーザは、システムに充分な能力が得られていないことを認識し、それによってシステムのメンテナンスが必要な時期が既に到来していることを知ることになる。例えば、上記GHPの場合、充分な空調能力が得られていないことをユーザが認識し、これよってエンジンオイルの交換時期が既に到来していることを知る。また、この場合、システムは停止しないので(GHPの場合には空調運転が継続するので)、ユーザの要求(空調要求など)をある程度満たすことが可能であり、ユーザに大きな不満を与えることはない。
【0014】
また、上記能力制限手段によってシステムの許容運転能力が所定能力以下に制限されているときに、メンテナンス作業が行われなくても上記制限を解除することが可能な能力制限解除手段を備えさせている。例えば、ユーザが能力制限解除のための操作(リモコン操作等)を行った際に能力制限解除手段が上記制限を解除し、システムの運転能力が最大限に発揮できるようにしている。これによれば、何らかの事情でメンテナンス作業が長時間に亘って行えない場合であっても、必要に応じてシステムの運転能力を最大限に得ることが可能な状態に復帰できる。このため、システムの能力制限運転状態が長時間に亘ることでユーザの不満を招くといったことが回避できる。
【0015】
更に、上記能力制限手段は、能力制限解除手段によってシステムの許容運転能力の制限が解除されて所定時間の制限解除運転が行われた後、再び、システムの運転を停止すること無しにシステムの許容運転能力を所定能力以下に制限しながらシステムの運転を継続させるよう構成されている。これによれば、ユーザが能力制限解除を要求してシステム運転能力が最大限に発揮できる状態で運転が行われている場合であっても、定期的にシステムの許容運転能力を所定能力以下に制限することができ、システムのメンテナンスが必要な時期が既に到来していることをユーザに定期的に知らせることができる。その結果、メンテナンスが必要な時期が既に到来しているにも拘わらずシステムが最大能力で長期に亘って運転されてしまうといったことを回避し、システムの保護を図ることができる。
【0016】
また、能力制限手段は、システムの積算運転時間が第2の所定時間に達したとき、制限解除運転の継続時間を短縮するよう構成されている。システムの積算運転時間が第2の所定時間に達した場合、メンテナンスの必要が生じてからかなりの時間が経過している可能性があるので早急にメンテナンスを行う必要がある。このため、この第2の所定時間に達した後には、制限解除運転の継続時間を短縮して、システムの許容運転能力が制限される運転状態を短時間のうちに開始して、システムのメンテナンスが必要な時期が既に到来していることを早期にユーザに知らせてメンテナンス作業を促すことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、GHPのエンジンに対するメンテナンス時期の告知に本発明を適用した場合について説明する。
【0018】
−GHP室外機の全体構成−
図1は本形態に係るGHP室外機の内部構成を示す斜視図、図2はその正面図、図3はその平面図である。また、図4はGHPの冷媒回路20及びエンジン冷却水回路30を示す回路図である。
【0019】
これら図に示すように、GHP室外機のパッケージ4は上下に分割された2つの装置室1,2で構成されており、上側が熱交換室1であり、下側がエンジンルーム2となっている。ここで、熱交換室1は、後述する熱交換のために外気が通風できる室であり、エンジンルーム2は吸気管や排気管を通じてのみ外部とつながる略密閉状態である。
【0020】
エンジンルーム2内には、エンジン31、冷媒圧縮機21及びアキュムレータ27等が設置され、エンジン31には吸気サイレンサ8や排気サイレンサ9等が付設されている。また、エンジン31の底部付近には、エンジン31の潤滑油を貯留するオイルパン5及びこのオイルパン5に連通する補助オイルパン6が配置されている。また、このエンジンルーム2内には、制御装置等の電装部材が収納された電装ボックス11及び後述する冷媒回路20を構成する配管等が設置されるとともに、オイルパン5とは別個に設けられ潤滑油を貯留しているオイルタンク10が配置されている。
【0021】
このオイルタンク10と上記補助オイルパン6とは連結されており、連結途中に介装された潤滑油ポンプ18により、オイルタンク10内に貯留された潤滑油を補助オイルパン6へ補充するように構成されている。
【0022】
また、エンジンルーム2の上側に設けられている上記熱交換室1には、後述する各回路20,30に備えられた室外熱交換器22,ラジエータ35が設置されている。また、この熱交換室1の天井面には、放熱用のファン15,15が設けられており、また、排気口14を開口して、排気サイレンサ9を通過した後のエンジン31からの排気をこの排気口14から外部へ排出するように構成している。
【0023】
−回路説明−
次に、上記冷媒回路20及びエンジン冷却水回路30について図4を用いて説明する。
【0024】
(冷媒回路20)
冷媒回路20はベルト伝動装置によりエンジン31に連動連結された冷媒圧縮機21を備えている。つまり、この冷媒圧縮機21はエンジン31の駆動力を受けて運転するようになっている。
【0025】
そして、この冷媒回路20は、上記冷媒圧縮機21、室外熱交換器22、複数の室内熱交換器23,23,…を備え、両熱交換器22,23は、冷媒圧縮機21の吐出部21aに接続する吐出ライン41と、吸込み部21bに接続する吸入ライン42とに、四方弁24により切り換え自在に接続するようになっている。すなわち、四方弁24を切り換えることにより、室外熱交換器22を吐出ライン41に、室内熱交換器23を吸入ライン42に接続する冷房運転仕様と、室内熱交換器23を吐出ライン41に、室外熱交換器22を吸入ライン42に接続する暖房運転仕様とに切り換えることができるようになっている。
【0026】
両熱交換器22,23の液側の配管には膨張弁25,26が設けられており、冷房運転時には、図中実線の矢印で示すように冷媒が流れて、室外熱交換器22で凝縮した液冷媒が室内膨張弁26で膨張して室内熱交換器23に至る。一方、暖房運転時には、図中破線の矢印で示すように冷媒が流れて、室内熱交換器23で凝縮した液冷媒が室外膨張弁25で膨張して室外熱交換器22に至るようになっている。具体的な冷媒循環動作については後述する。
【0027】
また、上記吸入ライン42にはアキュムレータ27が設けられており、このアキュムレータ27によって冷媒を気液分離してガス冷媒のみが冷媒圧縮機21に吸入されるようになっている。
【0028】
そして、吸入ライン42におけるアキュムレータ27の上流側には冷媒補助蒸発器28が設けられている。この冷媒補助蒸発器28は、暖房運転時に、吸入ライン42を流れる冷媒とエンジン冷却水との間で熱交換を行うものであって、エンジン冷却水の熱量(エンジン排熱)を冷媒に与えることで、吸入冷媒に過熱度(スーパヒート)を与え、それによって暖房能力の向上を図るようにしている。また、この冷媒補助蒸発器28は、吸入ライン42を流れる冷媒が気液混合状態となっている際には、その液冷媒の気化にも寄与する。これにより、冷媒圧縮機21への液バック現象を確実に阻止できる。
【0029】
そして、本冷媒回路20は、冷媒補助蒸発器28をバイパスするように冷媒を流すためのバイパス流路を構成するバイパス管29を備えている。このバイパス管29は、一端(上流端)が室内熱交換器23と四方弁24との間に接続し、他端(下流端)がアキュムレータ27の上部に直接的に接続している。また、このバイパス管29には電磁弁29aが備えられており、暖房運転時には、この電磁弁29aを閉鎖して上記冷媒補助蒸発器28での熱交換(吸入ライン42を流れる冷媒とエンジン冷却水との熱交換)を行わせてエンジン排熱を冷媒に回収する一方、冷房運転時には、エンジン排熱を回収する必要がないため、この電磁弁29aを開放して冷媒の一部または全部が冷媒補助蒸発器28をバイパスするようにしている。
【0030】
(エンジン冷却水回路30)
次に、エンジン冷却水回路30について説明する。このエンジン冷却水回路30は、エンジン冷却水を循環させるための駆動源となる冷却水ポンプ32を備えており、この冷却水ポンプ32の吐出部32aから下流側に向けて順に、エンジン31内の冷却水通路(ウォータジャケット)、サーモスタット33、三方弁34、ラジエータ35、排気ガス熱交換器36が接続している。
【0031】
また、サーモスタット33には逃がし管33aが接続されており、この逃がし管33aの下流端は、排気ガス熱交換器36の上流側に接続している。このサーモスタット33は、エンジン冷却水の温度が例えば60℃未満のとき(例えばエンジン始動初期時)には逃がし管33aへ冷却水を流し、エンジン冷却水の温度が60℃以上に達すると三方弁34に向けてエンジン冷却水を流すようになっている。
【0032】
三方弁34は、冷却水入口34a、第1冷却水出口34b、第2冷却水出口34cの三つのポートを有している。冷却水入口34aはサーモスタット33に、第1冷却水出口34bはラジエータ35にそれぞれ連通しており、第2冷却水出口34cは冷却水供給管28aを介して冷媒補助蒸発器28に連通している。また、この三方弁34は、第1冷却水出口34bと第2冷却水出口34cとの開度比率を変更可能な調整弁により構成されている。
【0033】
また、上記冷媒補助蒸発器28と排気ガス熱交換器36の上流側とは冷却水戻し管28bによって接続されており、冷媒補助蒸発器28において冷媒に熱を与えた冷却水がこの冷却水戻し管28bによって冷却水ポンプ32の吸入側に戻されるようになっている。
【0034】
尚、上記エンジン31は都市ガス等を燃料とするガスエンジンであり、その排気系は上記排気ガス熱交換器36及び排気サイレンサ9(図1参照)を備えている。そして、上記エンジン冷却水回路30の回路構成により、本エンジン31は冷却水通路(ウォータジャケット)及び排気ガス熱交換器36においてエンジン冷却水により熱(燃焼熱、排気熱)が奪われることになる。
【0035】
−制御系の説明−
次に、本形態の特徴とする制御系について説明する。図4に示すように上記電装ボックス11内にはGHPを統括的に制御するCPU70が備えられていると共に、エンジン31の積算運転時間(ここでいう積算運転時間は、GHPが設置されてから未だエンジンオイルが一度も交換されていない場合における積算運転時間(オイル交換が行われると積算運転時間はリセットされる)や、前回エンジンオイルが交換されてからのエンジン31の積算運転時間をいう)をカウントするタイマ71、エンジン31の積算運転時間に応じてエンジン運転能力を制御する能力制限手段72、ユーザが操作するリモコンからの信号を受信してエンジン運転能力を制御する能力制限解除手段73、GHP室外機に備えられた図示しない操作パネルの表示部(液晶などの表示部)の表示状態を制御する表示制御手段74を備えている。以下、各手段について説明する。
【0036】
上記タイマ71は、GHP設置後のエンジン31の積算運転時間(未だエンジンオイルが一度も交換されていない場合の積算運転時間)やエンジン31のメンテナンス(エンジンオイルの交換)が行われてからの積算運転時間をカウントするものである。つまり、GHP室外機の操作パネルにはタイマリセットスイッチが設けられており、メンテナンス作業者がエンジンオイルを交換した際に、このタイマリセットスイッチを押してタイマ71をリセットしておくことにより、このエンジンオイル交換が行われてからのエンジン31の積算運転時間がカウントされるようになっている。
【0037】
能力制限手段72は、上記タイマ71によってカウントされているエンジン31の積算運転時間が、エンジンオイルの交換が必要とされる所定時間(例えばGHP設置後のエンジン31の積算運転時間が10000時間または前回エンジンオイルが交換されてからのエンジン31の積算運転時間が10000時間)に達したときに作動し、エンジン31の運転を停止すること無しにエンジン31の許容運転能力を所定能力以下に制限するようになっている。以下、この運転を能力制限運転と呼ぶ。具体的には、エンジン31の回転数を制限して、冷房運転時には冷媒循環回路20の低圧(冷媒圧縮機21の吸入圧力)を目標低圧値よりも1kg/cmだけ高くなるようにし、暖房運転時には冷媒循環回路20の高圧(冷媒圧縮機21の吐出圧力)を目標高圧値よりも5kg/cmだけ低くなるように設定する。
【0038】
能力制限解除手段73は、上記能力制限手段72によって能力制限運転が行われているとき、メンテナンス作業が行われなくても、ユーザの要求に応じて上記制限を解除することが可能となっている。つまり、上記許容運転能力が所定能力以下に制限された運転状態(上記能力制限運転状態)において、ユーザが室内リモコンを操作して、この能力制限運転状態を解除するリセットスイッチを操作したときには、その操作信号をこの能力制限解除手段73が受けて、上記制限を解除するようになっている。以下、この運転を制限解除運転と呼ぶ。これにより、エンジン31は回転数に制限を受けることがなくなり、冷房運転時及び暖房運転時共に目標低圧値及び目標高圧値を得ることができる(最大限に能力を発揮することができる)ようにする。尚、ユーザが室内リモコンを操作しなくても、能力制限運転が開始されてから所定時間経過後には自動的に能力制限運転状態を解除する設定が行えるようにしてもよい。
【0039】
また、上記能力制限手段72は、能力制限解除手段73によってエンジン31の許容運転能力の制限が解除されて所定時間の制限解除運転が行われた後、再び、エンジン31の運転を停止すること無しにエンジン31の許容運転能力を所定能力以下に制限しながら運転を継続させるようにしている。具体的には、前回の能力制限運転が開始されてから50時間が経過する前に制限解除運転が実行された場合には、この能力制限運転が開始されてから50時間後に再び能力制限運転を実行するようにしている。このようにして、制限解除運転が実行される度毎に、能力制限運転が開始されてから50時間経過した時点で再び能力制限運転が実行されるようになっている。尚、この能力制限運転が再実行されるタイミングとしては上述したものに限らず、能力制限運転が開始されてから24時間経過した時点としてもよしい、制限解除運転の開始時を起算点としてその所定時間後に能力制限運転を再実行するようにしてもよい。
【0040】
更に、この能力制限手段72は、エンジン31の積算運転時間が第2の所定時間(例えば10300時間)に達したときには、制限解除運転の継続時間を短縮するようになっている。具体的には、エンジン31の積算運転時間が10300時間に達した時点で能力制限運転が開始された後に制限解除運転が実行された場合には、この能力制限運転が開始されてから2時間後に(それ以前では50時間後であった)再び能力制限運転を開始するようにしている。
【0041】
表示制御手段74は、上述した如くGHP室外機に備えられた操作パネルの表示部の表示状態を制御するものである。その表示状態としては、先ず、エンジン31の積算運転時間が、エンジンオイルの交換が必要とされる所定時間に近付いたとき(例えばGHP設置後のエンジン31の積算運転時間が9800時間または前回エンジンオイルが交換されてからのエンジン31の積算運転時間が9800時間)に達したときに「点検」の文字を表示する。このとき、同時に室内のリモコンにも同様の文字を表示させる。
【0042】
そして、エンジン31の積算運転時間が、エンジンオイルの交換が必要とされる所定時間に達した時点(本形態では10000時間)で、上記「点検」の文字と共に、能力制限運転状態に有ることを意味する「L8」の文字を表示する。同時に室内のリモコンにも同様の文字を表示させる。
【0043】
また、能力制限運転状態が解除されて制限解除運転が実行された場合には、「L8」の文字の表示を解除し、上記「点検」の文字のみの表示とする。同時に室内のリモコンにも「点検」の文字のみを表示させる。
【0044】
−運転動作−
次に、上述の如く構成された冷媒回路20及び冷却水回路30における循環動作について説明する。
【0045】
(冷房運転)
先ず、冷房運転時の動作について説明する。この冷房運転時には、冷媒回路20の四方弁24は図4に実線で示す切り換え状態となり、吐出ライン41を室外熱交換器22に、吸入ライン42を室内熱交換器23にそれぞれ接続する。また、三方弁34は、エンジン31の運転初期時には逃がし管33aへ冷却水を流し、エンジン冷却水の温度が所定温度(例えば60℃)に達するとラジエータ35に向けて冷却水を流す。そして、この冷房運転中は三方弁34の第2冷却水出口34cを閉じており、原則的には冷媒補助蒸発器28へは冷却水を供給しない状態となる。
【0046】
また、この冷房運転時にあっては、バイパス管29の電磁弁29aは常時開放状態であり、室内熱交換器23を経た冷媒の大部分が冷媒補助蒸発器28をバイパスするようにしている。
【0047】
そして、冷媒圧縮機21から吐出された高圧の冷媒ガスは、先ず、図示しないオイルセパレータにより潤滑油成分が分離され、この潤滑油成分は吸入ライン42からアキュムレータ27へ戻される。潤滑油成分が除去された冷媒ガスは、四方弁24を通って室外熱交換器22へと供給される。この室外熱交換器22内では、冷媒ガスから熱を奪って凝縮させ、冷媒液とする。その後、この冷媒液は室内膨張弁26(各室内熱交換器23毎に設けられた膨張弁)から放出されることにより、急激に圧力が低下すると共に噴霧状となり、各室内熱交換器23へと供給される。
【0048】
この室内熱交換器23内において、冷媒液が蒸発することにより冷媒ガスへと変化(気化)し、この蒸発作用により、室内を冷房する。室内熱交換器23から排出された冷媒ガスは、大部分がバイパス管29を流れてアキュムレータ27に入り、液相部分が除去された後、冷媒圧縮機21の吸込み部21bに吸込まれる。
【0049】
一方、冷却水回路30では、冷却水ポンプ32から吐出される冷却水が、エンジン31に供給され、エンジン31内の冷却水通路を通過する間にシリンダ等各所を冷却することにより温度が上昇し、サーモスタット33から三方弁34に至る。サーモスタット33では、冷却水温度が60°未満の時には逃がし管33aから排気ガス熱交換器36へと送る。そして、この冷却水は、排気ガス熱交換器36において排気ガスを冷却した後、冷却水ポンプ26へ戻る。
【0050】
そして、冷却水温度が60°以上になったときには、サーモスタット33の逃がし管33aが閉鎖されて、冷却水は、三方弁34を介してラジエータ35へ送られ、ラジエータ35にて冷却水温度を下げ、冷却水ポンプ32に向けて戻される。
【0051】
(暖房運転)
次に、暖房運転時の動作について説明する。この暖房運転時には、冷媒回路20の四方弁24は図4に破線で示す切り換え状態となり、吐出ライン41を室内熱交換器23に、吸入ライン42を室外熱交換器22にそれぞれ接続する。また、三方弁34は、エンジン31の運転初期時には逃がし管33aへ冷却水を流し、エンジン冷却水の温度が所定温度(例えば60℃)に達すると、第1冷却水出口34bを閉鎖状態に維持すると共に、第2冷却水出口34cを開放して冷媒補助蒸発器28へ冷却水を供給し、エンジン排熱を冷媒に与えることで、吸入冷媒に過熱度を与えて暖房能力の向上が図れるようにする。
【0052】
また、この暖房運転時にあっては、バイパス管29の電磁弁29aは常時閉鎖状態であり、室外熱交換器22を経た冷媒の全てが冷媒補助蒸発器28を通過するようになっている。
【0053】
そして、冷媒圧縮機21から吐出された高圧の冷媒ガスは、先ず、図示しないオイルセパレータにより潤滑油成分が分離され、この潤滑油成分は吸入ライン42からアキュムレータ27へ戻される。潤滑油成分が除去された冷媒ガスは、四方弁24を通って各室内熱交換器23へと供給される。この室内熱交換器23内では、冷媒ガスは凝縮して液体となり、室内を暖房する。その後、この冷媒液は室外膨張弁25から放出されることにより、急激に圧力が低下すると共に噴霧状となり、室外熱交換器22へと供給される。
【0054】
この室外熱交換器22内において、冷媒液が蒸発することにより冷媒ガスへと変化(気化)し、この室外熱交換器22から排出される。室外熱交換器22から排出された冷媒ガスは、冷媒補助蒸発器28を流れ、この冷媒補助蒸発器28においてエンジン排熱を受けて過熱状態になった後、アキュムレータ27に入り、冷媒圧縮機21の吸込み部21bに吸込まれる。
【0055】
(メンテナンス時期告知動作)
次に、エンジンオイルの交換時期を告知する告知動作について図5のフローチャートに沿って説明する。
【0056】
先ず、ステップST1において、GHP設置後のエンジン31の積算運転時間が所定時間A(本形態では9800時間)以上または前回エンジンオイルが交換されてからのエンジン31の積算運転時間が所定時間A(同じく9800時間)以上であるか否かを判定する。ここで、エンジン31の積算運転時間が、未だこの所定時間Aに達していないNoの場合にはステップST2に移って通常運転(能力の制限を受けない運転)を維持する。つまり、エンジン31の回転数に制限を与えない運転状態とする。
【0057】
一方、エンジン31の積算運転時間が所定時間A以上であるYesの場合には、ステップST3に移り、GHP設置後のエンジン31の積算運転時間が規定時間(本形態では10000時間)または前回エンジンオイルが交換されてからのエンジン31の積算運転時間が規定時間(同じく10000時間)に達したか否かを判定する。ここで、規定時間に達したYesの場合には、ステップST4に移ってリモコン及びGHP室外機の表示部に「L8」の点滅表示を行うと共に、エンジン31の運転を停止すること無しにエンジン31の許容運転能力を所定能力以下に制限する能力制限(能力ダウン)運転に切り換える。つまり、冷房運転が行われている場合には冷媒循環回路20の低圧を目標低圧値よりも1kg/cmだけ高くなるようにし、暖房運転が行われている場合には冷媒循環回路20の高圧を目標高圧値よりも5kg/cmだけ低くなるようにエンジン31の回転数を低下させる。
【0058】
また、ステップST3においてNoに判定された場合には、ステップST5に移って、GHP設置後のエンジン31の積算運転時間が所定時間Bまたは前回エンジンオイルが交換されてからのエンジン31の積算運転時間が所定時間Bに達したか否かを判定する。この所定時間Bとは、上記規定時間に対して50時間の整数倍の時間を加算した時間である。つまり、エンジン31の積算運転時間が「10050時間」「10100時間」「10150時間」…といった時間の何れかに該当するか否かを判定している。
【0059】
ここで、エンジン31の運転時間が所定時間Bに達していない場合にはステップST6に移り、ユーザが制限解除運転を要求したか否か(ユーザがリモコンのリセットスイッチ(制限解除スイッチ)を押したか否か)を判定する。そして、ユーザが制限解除運転を要求した場合には、ステップST7に移って、リモコンの表示状態を「点検」のみにすると共に、エンジン31の回転数の制限を解除して通常運転を復帰させる。一方、ユーザが制限解除運転を要求していない場合には、ステップST8に移って、上記ステップST4の場合と同様に、リモコン及びGHP室外機の表示部に「L8」の表示を行うと共に、エンジン31の運転を停止すること無しにエンジン31の許容運転能力を所定能力以下に制限する能力制限(能力ダウン)運転に切り換える。
【0060】
また、上述した如く、エンジン31の積算運転時間が10300時間に達した時点で能力制限運転が開始された後に制限解除運転が実行された場合には、この能力制限運転が開始されてから2時間後に再び能力制限運転を実行する。つまり、上記ステップST5の所定時間Bを、上記10300時間に対して2時間の整数倍の時間を加算した時間として設定する。つまり、エンジン31の積算運転時間が「10302時間」「10304時間」「10306時間」…といった時間の何れかに該当する度に、リモコン及びGHP室外機の表示部に「L8」の表示を行うと共に、エンジン31の運転を停止すること無しにエンジン31の許容運転能力を所定能力以下に制限する能力制限(能力ダウン)運転に切り換える。
【0061】
−実施形態の効果−
以上説明してきたように、本形態では、エンジン31の積算運転時間が上記規定時間(10000時間)に達したときには、エンジン31の運転を継続したままで、その許容運転能力を所定能力以下に制限している。これにより、ユーザは、GHPに充分な能力(空調能力)が得られていないことを認識し、それによってエンジン31のメンテナンスが必要な時期が既に到来していることを知ることができる。また、この場合、GHPの空調運転は停止することがないので、ユーザの空調要求をある程度満たすことが可能であり、ユーザに大きな不満を与えることはない。
【0062】
また、ユーザの要求に応じて制限解除運転を実行可能としているので、何らかの事情でオイル交換が長時間に亘って行えない場合であっても、GHPの運転能力を最大限に得ることが可能な状態に復帰でき、能力制限された運転状態が長時間に亘って継続されることでユーザの不満を招くといったことが回避できる。
【0063】
更に、GHPの許容運転能力の制限が解除されて所定時間の制限解除運転が行われた後、再び、GHPの許容運転能力を所定能力以下に制限しながらシステムの運転を継続させるようにしているので、オイル交換が必要な時期が既に到来していることをユーザに知らせることができる。
【0064】
加えて、エンジン31の積算運転時間が10300時間に達したとき、制限解除運転の継続時間を短縮するようにしているので、オイル交換が必要な時期が既に到来していることを早期にユーザに知らせてメンテナンス作業を促すことができる。
【0065】
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、ガスエンジン31により冷媒圧縮機21を駆動するGHPに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他のガス燃料を使用するエンジン駆動ヒートポンプや、灯油等の液体燃料を使用するエンジン駆動ヒートポンプにも適用することができる。また、エンジンのメンテナンスに限らず、定期的なメンテナンス作業が必要な各種のシステムに対しても適用可能である。
【0066】
また、能力制限運転としては、エンジン回転数を低下させるようにしていたが、室内ファンの回転数を低下させるなど種々の能力ダウン制御を適用することが可能である。但し、上記実施形態の如くエンジン回転数を低下させるようにすれば、エンジンの保護も図ることができ、ユーザへのメンテナンス時期の告知とエンジンの長寿命化とを共に図ることができて好ましい。
【0067】
また、上述した各数値(運転を切り換える時間等)はこれに限るものではなく、任意に設定可能である。例えば、燃料として低カロリーガスを使用する場合には、上記所定時間Aを「5800時間」とし、規定時間を「6000時間」とし、所定時間Bとしては、上記規定時間(6000時間)に対して50時間の整数倍の時間を加算した時間とするといったように変更することも可能である。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、システムがメンテナンス時期に達したときには、その運転能力を制限しながらも継続して運転を行うようにしている。これにより、システムに最大限の能力を発揮させないことでシステムのメンテナンスが必要な時期が既に到来していることをそのユーザに認識させるようにしながらも、システムを停止させずに継続運転することでユーザの要求をある程度満たすことを可能にできる。
【0069】
また、システムの許容運転能力が所定能力以下に制限されているときに、メンテナンス作業が行われなくても上記制限を解除することができるようにしているので、何らかの事情でメンテナンス作業が長時間に亘って行えない場合であっても、必要に応じてシステムの運転能力を最大限に得ることが可能な状態に復帰でき、システムの能力制限運転状態が長時間に亘ることでユーザの不満を招くといったことが回避できて、ユーザのシステムに対する満足度を維持できる。
【0070】
更に、システムの許容運転能力の制限が解除されて所定時間の制限解除運転が行われた後に、再び、システムの運転を停止すること無しにシステムの許容運転能力を所定能力以下に制限しながらシステムの運転を継続できるようにしているので、システムのメンテナンスが必要な時期が既に到来していることをユーザに定期的に知らせることができる。その結果、メンテナンスが必要な時期が既に到来しているにも拘わらずシステムが最大能力で長期に亘って運転されてしまうといったことを回避し、適切な時期にユーザがメンテナンスを行うことによりシステムの長寿命化を図ることができる。
【0071】
加えて、システムの積算運転時間が第2の所定時間に達したときに制限解除運転の継続時間を短縮するようにしているので、システムのメンテナンスが必要な時期が既に到来していることを早期にユーザに知らせてメンテナンス作業を促し、早急にメンテナンス作業を実行させることでシステムの長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るGHP室外機の内部構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るGHP室外機の内部構成を示す正面図である。
【図3】実施形態に係るGHP室外機の内部構成を示す平面図である。
【図4】GHPの冷媒回路及びエンジン冷却水回路を示す回路図である。
【図5】メンテナンス時期告知動作を説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
31 エンジン
72 能力制限手段
73 能力制限解除手段

Claims (4)

  1. システムの積算運転時間が所定時間に達したときにメンテナンス作業が行われなくても延長運転を可能にする選択肢を有するシステムの制御装置において、
    システムの積算運転時間が上記所定時間に達したとき、システムの運転を停止すること無しにシステムの許容運転能力を所定能力以下に制限しながらシステムの運転を継続させる能力制限手段を備えていることを特徴とするメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置。
  2. 請求項1記載のメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置において、
    能力制限手段によってシステムの許容運転能力が所定能力以下に制限されているとき、メンテナンス作業が行われなくても上記制限を解除することが可能な能力制限解除手段を備えていることを特徴とするメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置。
  3. 請求項2記載のメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置において、
    能力制限手段は、能力制限解除手段によってシステムの許容運転能力の制限が解除されて所定時間の制限解除運転が行われた後、再び、システムの運転を停止すること無しにシステムの許容運転能力を所定能力以下に制限しながらシステムの運転を継続させるよう構成されていることを特徴とするメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置。
  4. 請求項3記載のメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置において、
    能力制限手段は、システムの積算運転時間が第2の所定時間に達したとき、制限解除運転の継続時間を短縮するよう構成されていることを特徴とするメンテナンス時期告知機能付きシステムの制御装置。
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