JP2004285784A - 引き戸構造体。 - Google Patents
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Abstract
【課題】引き戸開閉時の制動及び閉時の停止の動作を有効に調整することで閉時の縦枠と引き戸の衝撃とそれらの間に手指を挟むことによる怪我や建て付け不良による隙間を解消し、さらに、保守管理等メンテナンスに手間がかからず、将来建付状態が変化し、再調整の必要が生じても簡単に調整が可能で、将来引き戸をリフォ−ムする際、市販の普通の引き戸でも代替可能で、しかも安価で経済的にも有利な引き戸の構造体を提供する。
【解決手段】左右縦枠と敷居及び鴨居からなる引き戸枠とガイドレ−ルで支持されて走行する戸車を設けた引き戸からなり、該ガイドレ−ルの縦枠側の端部に、縦枠側に行くに従って引き戸に制動力を増加させる制動部が形成され、引き戸が縦枠に当接する位置で戸車を保持し引き戸を停止させる係止部が形成されるようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】左右縦枠と敷居及び鴨居からなる引き戸枠とガイドレ−ルで支持されて走行する戸車を設けた引き戸からなり、該ガイドレ−ルの縦枠側の端部に、縦枠側に行くに従って引き戸に制動力を増加させる制動部が形成され、引き戸が縦枠に当接する位置で戸車を保持し引き戸を停止させる係止部が形成されるようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建物などに使用される引戸構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物などに使用される引き戸を開閉する際に、引き戸が勢い良く縦枠に衝突することを防止したり、衝突による振動と騒音や場合によっては手指を挟んで怪我をするといった事故を防ぐために、戸車の回転が増大するのに伴って摩擦係数の大きな当接部材が突出し湾曲部材に接触して戸車の回転を減速させる機構を有する引き戸の制動装置が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、枠材の建て付けが悪くても引き戸が自然に解放してしまうことがないように、引き戸が戸当たりに当接した状態で、摩擦板を戸車に押しつけて引き戸を閉状態に保持しておく機構を有する引き戸の停止機構が開示されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−151851号公報(第2−3頁、第1図)。
【特許文献2】
特開平6−330670号公報(第2−4頁、第1図)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平8−151851号公報に記載の引き戸の制動装置や特開平6−330670号公報に記載の引き戸の停止機構は、多くの部品から構成され、そのメカニズムが複雑なことから、高価なものにつくばかりでなく、作動性を常に良好な状態に維持するための保守管理等メンテナンスに手間がかかるといった問題点があった。
【0006】
また、一旦取り付け施工した引き戸も長期間の使用によって、縦枠上下枠等の建て付け状態が変化し、せっかく取り付けた引き戸を再度調整する必要が多々ある。戸車の上下調整のみならず、制動機構や停止機構の微調整をこまめに実施する必要がある。しかし、前記特開平8−151851号公報、特開平6−330670号公報に記載の調整ネジによる調整機構ではメカニズムが複雑なゆえ調整に熟練を要した。
【0007】
また、前記特開平8−151851号公報、特開平6−330670号公報に記載の機構では、戸車部分に制動機構や停止機構が組み込まれているので、引き戸をリフォ−ムする際、調整機構戸車組み込み式の引き戸を新しく購入して取り付けなければならず高価な引き戸ゆえ、経済的負担も大きく市販の普通の安価な引き戸で代替することができなかった。
【0008】
本発明の目的は、引き戸を閉める時及び開く時の制動及び閉時の引き戸停止の動作を有効に調整することで、閉時の縦枠と引き戸の衝撃と、それらの間に手指を挟むことによる怪我を解消し、さらに引き戸閉時における縦枠との隙間を解消し、開く時もスム−ズに開閉可能で、しかも、引き戸の制動、停止作動性を常に良好な状態に維持するための保守管理等メンテナンスに手間がかからず、一旦取り付けた引き戸も長期間の使用で建て付け状態が変化し、引き戸の制動、停止機構の再調整の必要性が生じた時も簡単に調整が可能で、将来引き戸をリフォ−ムする際、市販の普通の引き戸でも代替可能で、しかも安価で経済的にも有利な引き戸の構造体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の引き戸構造体は、左右縦枠と下部の敷居及び上部の鴨居とからなる引き戸枠と、引き戸枠内を走行する引き戸からなり、該敷居内にガイドレ−ルを設け、引き戸の下端部にガイドレ−ルで支持されて走行する戸車を設けた引き戸構造体であって、該ガイドレ−ルの縦枠側の端部に、縦枠側に行くに従って引き戸に制動力を増加させる制動部が形成され、引き戸が縦枠に当接する位置で戸車を保持し引き戸を停止させる係止部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
係る構成から、引き戸構造体の下部の敷居内に設けられたガイドレ−ルにおいて、縦枠側に行くに従って引き戸に制動力を増加させる制動部がガイドレ−ルの縦枠側の端部に形成されているので、引き戸を閉める時、引き戸が縦枠側に行くに従って、引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をするといった危険が防止できる。
【0011】
また、引き戸が縦枠に当接する位置でガイドレ−ルに、戸車を保持し引き戸を停止させる係止部が形成されているので、引き戸を丁度良い位置で停止させることが可能で、しかも停止状態を保持できる。従って、引き戸が完全に閉まりきらずに引き戸と縦枠の間に若干隙間が生じることが解消する。また、引き戸を開く際にも前記制動部、係止部が有効に働くので、スム−ズな引き戸の開閉が可能となる。
【0012】
また、前記制動部、係止部とも、ガイドレ−ルに設けられているので、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、建て付け状態が変化しても簡単に調整できる。また、将来引き戸をリフォ−ムする際、調整機構付きの高価な引き戸を新たに用意しなくとも、市販の普通の安価な引き戸で十分用が足りる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の引き戸構造体において、前記制動部及び係止部が、所定の形状、厚み、幅、長さを有し、その表面に制動部としての所定の昇り勾配と、係止部としての凹部が形成された調整片であり、閉時に引き戸が縦枠側に移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた凹部に嵌入停止するように、該調整片を前記敷居内のガイドレ−ルの所定位置に設けることを特徴とする。
【0014】
係る構成から、引き戸を閉める時、引き戸が縦枠側にいくに従って、戸車が前記調整片に設けた昇り勾配を昇りながら重力の作用で戸車の走行速度が減速することで引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をするといった危険が防止できる。
【0015】
また、引き戸が縦枠に当接する位置でガイドレ−ルに設けた調整片に戸車を保持し引き戸を停止させる係止部としての凹部が形成されているので、引き戸が縦枠に当接する丁度良い位置で引き戸下端の戸車が前記凹部に嵌入して引き戸を停止させることが可能で、しかも停止状態を保持できる。従って、引き戸が完全に閉まりきらずに引き戸と縦枠の間に若干隙間が生じるといったことが解消する。また、引き戸を開く際にも前記調整片に形成された制動部、係止部が有効に働くので、スム−ズな引き戸の開閉が可能となる。
【0016】
また、前記制動部としての昇り勾配、係止部としての凹部とも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、制動部としての昇り勾配については、前記調整片とガイドレ−ルの間に調整片の取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−を適宜位置に挿入することで極めて簡単に再調整可能となる。また、係止部としての凹部については、ガイドレ−ルの長さ方向において、前記調整片の取り付け位置を、ガイドレ−ルに向かって左右いずれかに微調整すれば簡単に調整できる。
【0017】
さらに、調整片をガイドレ−ルに取り付けるだけなので極めて安価で経済的にも有利なものとなる。また、将来、引き戸をリフォ−ムする際、調整機構が戸車に組み込まれた高価な引き戸を特別に用意しなくとも、市販の普通の引き戸で十分に間にあう。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の引き戸構造体において、前記制動部及び係止部が、所定の形状、厚み、幅、長さを有し、その表面に制動部としての所定の昇り勾配と、係止部としての所定の下り勾配が形成された調整片であり、閉時に引き戸が縦枠側に移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、戸車及び引き戸を縦枠側に向けて付勢させるように、該調整片を前記敷居内のガイドレ−ルの所定位置に設けることを特徴とする。
【0019】
係る構成から、引き戸を閉める時、引き戸が縦枠側に行くに従って、戸車が前記調整片に形成された昇り勾配を昇りながら、重力の作用で戸車の走行速度が減速することで引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をする危険が防止できる。
【0020】
また、係止部として、引き戸が縦枠に当接する位置でガイドレ−ルに設けた調整片に、戸車を保持し引き戸を停止させる係止部として、所定の下り勾配が形成されているので、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、戸車及び引き戸を縦枠側に向けて付勢するので、この位置で引き戸が停止し且つ縦枠に当接する方向に付勢されているので、引き戸の停止状態が保持できる。従って、引き戸が完全に閉まりきらないことによる縦枠と引き戸の間の隙間が解消する。また、引き戸を開く際にも前記制動部、係止部が有効に働くので、スム−ズな引き戸の開閉が可能となる。
【0021】
また、前記制動部としての昇り勾配、係止部としての下り勾配とも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、制動部としての昇り勾配の微調整の場合は、前記調整片とガイドレ−ルの間に調整片の取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−を適宜位置に挿入したり、また、係止部としての下り勾配の位置の微調整の場合においては、前記調整片の取り付け位置をガイドレ−ルに向かって左右いずれかの方向へ微調整することで、極めて簡単に再調整可能となる。
【0022】
さらに、調整片をガイドレ−ルに取り付けるだけなので極めて安価で経済的にも有利なものとなる。また、将来、引き戸をリフォ−ムする際、調整機構が戸車に組み込まれた高価な引き戸を特別に用意しなくとも、市販の普通の引き戸で十分に間にあう。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参考にして本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の引き戸構造体の正面図を示し、図2は本発明の引き戸構造体の実施形態の一例を示し、(イ)は正面から見たB−B線断面図、(ロ)は側断面図、図3は本発明の調整片の一例を示す正面図で、(イ)は第一の実施形態として昇り勾配と凹部を形成した調整片の例を示し、(ロ)は第二の実施形態として昇り勾配と下り勾配を形成した調整片の例を示す。
【0024】
本発明において、引き戸枠は、左右縦枠2と下部の敷居3と上部の鴨居4から構成されており、引き戸1の下端部に戸車Wが設けられ、該引き戸1が前記引き戸枠内に装着されている。敷居3には、ガイドレ−ルGが装着されている。該ガイドレ−ルGは戸車Wと接する戸車走行面fを上にして、敷居3内に埋め込まれていてもよいし、また、表面に取り付けられていてもよく、敷居3に木ネジ等(図示せず)で固定されている。
【0025】
前記引き戸枠は所定の厚み、幅、長さを有する合板、平行合板(LVL)、パ−ティクルボ−ド(PB)、集成材等を基材として、その表面に天然銘木単板、突板等を貼着し、その上にウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料等で仕上げたものか又は塩ビシ−ト、化粧紙等を貼着して仕上げたものが用いられる。また、引き戸1は所定の寸法のフラッシュ構造又はムク構造の構造体で、基材として合板、中比重繊維板、パ−ティクルボ−ド等を使用し、表面化粧材として、前記引き戸枠と合わせて、塗装仕上げされた天然銘木単板、突板、又は塩ビシ−ト、化粧紙等が用いられる。
【0026】
引き戸1の下端部に設けられた戸車Wがガイドレ−ルGの戸車走行面fの上を走行し、引き戸1が敷居3及び鴨居4と平行な方向に移動可能に構成されている。前記戸車走行面fの形状の好適な例として、断面形状が略V字型を挙げることができる。戸車走行面fの断面形状が略V字型であると戸車Wとガイドレ−ルG間の摩擦抵抗が減少し、戸車Wの走行性にとって好ましい。前記戸車Wに組み込まれた回転体Rがガイドレ−ルGの断面V字型の走行面f上を回転しながら走行する。
【0027】
ガイドレ−ルGの前記戸車走行面fの縦枠側の端部に本発明の前記調整片pが設けられている。該調整片pはジュラコン樹脂、硬質ウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂等の耐摩耗性に優れた材料が適する。これらの他にはアルミニウムなどの金属材料が適する。摩擦や摩耗に優れたものであればこれらに限られるものではない。
【0028】
前記調整片pの断面形状は逆三角形状で底面が前記ガイドレ−ルGの戸車走行面fと合致しており、調整片pは両面接着テ−プ等でガイドレ−ルGの所定位置で、走行面f上に接合されている。また、前記調整片pの長さはおよそ20〜100mm程度で、幅はガイドレ−ルGの幅とほぼ一致する。
【0029】
本発明の調整片pの第一の実施形態においては、調整片pの正面(長手方向)から見た形状の例として、図3の(イ)に示すように、縦枠2の方に行くに従って昇りとなる向きに昇り勾配usが形成されており、その頂点で平坦部mに達し、該平坦部mを過ぎると、引き戸1が縦枠2に当接する位置において、戸車Wが調整片pと接する位置の箇所に、調整片pに凹部Uが形成されている。
【0030】
本発明の調整片pの第一の実施形態によれば、引き戸1を閉める時、引き戸1が縦枠2の方に行くに従って、戸車Wが前記昇り勾配usを昇りながら移動するので、重力の作用で戸車Wの走行速度が徐々に減速する。このようにして引き戸1をほどよく制動することが可能となる。
【0031】
このようにして、引き戸1は徐々に減速して、戸車Wが調整片pの平坦部mに達し、該平坦部mを通り越し、引き戸1が縦枠2に当接する位置において、戸車Wが調整片に形成した凹部Uに達する。このように、戸車Wを保持し引き戸1を停止させる係止部としての凹部Uが形成されているので、戸車Wが調整片pの凹部Uに嵌入されると、その箇所で戸車Wが停止し引き戸1が係止され、この状態が維持される。
【0032】
戸車Wが平坦部mを通り越して凹部Uに達し嵌入されるタイミングと引き戸1の端部が縦枠2に当接するタイミングが一致するように、ガイドレ−ルGへの調整片pの取り付けの左右位置を調整することが大切である。
【0033】
このようにして、引き戸1を勢いよく閉めた時に引き戸1が縦枠2に勢いよく衝突して生じる衝撃や衝撃音を防止することが可能となる。さらに、手指を縦枠2と引き戸1の間に誤って挟んで怪我をするなどの危険を有効に防止できる。
【0034】
また、引き戸1が縦枠2に当接する位置でガイドレ−ルG上の調整片pに、戸車Wを保持し引き戸1を停止させる係止部としての凹部Uが形成されているので、引き戸1が縦枠2に当接する丁度良い位置で、引き戸1下端の戸車Wが凹部Uに嵌入して引き戸1を停止させることが可能で、しかも停止状態を保持できる。従って、引き戸1が完全に閉まりきらずに引き戸1と縦枠2の間に若干の隙間(図示せず)が生じることが解消する。
【0035】
また、引き戸1を開く際にも係止部としての凹部Uと制動部としての昇り勾配usの働きで引き戸1の開時動作においても、同様の理由で引き戸1のスム−ズな移動が可能になる。従って、スム−ズな引き戸の開閉が可能となるのである。
【0036】
また、前記制動部としての昇り勾配us、係止部としての凹部Uとも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、引き戸1の建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、引き戸1の制動力を調整するための制動部としての昇り勾配usの調整については、前記調整片pとガイドレ−ルGの間に調整片pの取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−sを適宜位置に挿入することで極めて簡単に再調整可能となる。また、引き戸1の停止位置を調整するための係止部としての凹部Uの位置の調整については、ガイドレ−ルGの長さ方向において、前記調整片pの取り付け位置を微調整すれば簡単に調整できる。
【0037】
本発明の調整片pの第二の実施形態においては、調整片pの正面(長手方向)から見た形状の例として、図3の(ロ)に示すように、縦枠2の方に行くに従って昇りとなる向きに昇り勾配usが形成されており、その頂点で平坦部mに達し、該平坦部mを過ぎると、逆に縦枠2の方に行くに従って下りとなる向きに下り勾配dsが形成されている。
【0038】
本発明の調整片pの第二の実施形態によれば、引き戸1を閉める時、引き戸1が縦枠2の方に行くに従って、ガイドレ−ルGの走行面fに装着した調整片p上を戸車Wが走行する時、戸車Wが前記調整片pに形成した昇り勾配usを昇りながら重力の作用で戸車Wの走行速度が減速される。このことで、引き戸1をほどよく制動することが可能で、引き戸1を勢いよく閉めた時に引き戸1が縦枠2に衝突して生じる衝撃や衝撃音を防止し、さらに手指を縦枠2と引き戸1の間に誤って挟んで引き戸1の閉まる際の大きな衝撃力によって、怪我をするといった危険が防止できる。
【0039】
また、係止部として、引き戸1が縦枠2に当接する位置でガイドレ−ルに設けた調整片pに、戸車Wを保持し、引き戸1を停止させる係止部として、所定の下り勾配dsが形成されている。従って、引き戸1が縦枠2に当接する位置で前記戸車Wが調整片pに形成された下り勾配dsに達し、戸車W及び引き戸1を縦枠2の方に向けて付勢する付勢力が働くので、この位置で引き戸1が縦枠に当接した状態で縦枠側へ向けて付勢されている。従って、引き戸1が停止し且つ停止状態が保持できる。このことによって、引き戸1が完全に閉まりきらないことによる隙間(図示せず)が解消する。
【0040】
また、引き戸1を開く際にも係止部としての下り勾配dsと制動部としての昇り勾配usの働きで引き戸1の開時動作においても、同様の理由で引き戸1のスム−ズな移動が可能になる。従って、スム−ズな引き戸1の開閉が可能となる。
【0041】
また、前記制動部としての昇り勾配us、係止部としての下り勾配dsとも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからない。すなわち、長期間使用後、引き戸1の建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、引き戸1の制動力を調整するための、制動部としての昇り勾配usを調整する場合は、前記調整片pとガイドレ−ルGの間に、前記調整片pの取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−sを適宜位置に挿入することで簡単に再調整できる。また、引き戸1の停止位置を調整するための、係止部としての下り勾配dsの位置を調整する場合は、前記調整片pの取り付け左右位置(ガイドレ−ルの長手方向での位置)を微調整することで極めて簡単に再調整可能となる。
【0042】
本発明の調整片pの昇り勾配us、下り勾配ds、凹部Uの大きさは引き戸1の下端部に設けられた戸車Wの走行性能によって異なる。引き戸1に採用される戸車Wが決定すれば、実際の寸法に従って引き戸枠及び引き戸を試作し、例えば仮型としての木製の調整片pを作製し、実際に引き戸を走行させて試験し、昇り勾配us、下り勾配ds、凹部Uの大きさを決めればよい。また、ガイドレ−ルGに対する調整片pの取り付け位置も合わせて試験し決定すればよい。図1〜3において、ガイドレ−ルG及び調整片pの形状、取り付け構造は、向かって左側のみ図示したが、向かって右側半分も左側と左右対称に設計すればよい。前記木製の仮型で調整片pの形状、サイズが決まれば、前記硬質合成樹脂成型体又はアルミニウム等の金属を用いて調整片pを作製すればよい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る第1の実施形態の引き戸構造体によれば、引き戸を閉める時、戸車が調整片の昇り勾配を昇りながら走行するので、引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をする危険が防止できる。また、引き戸が縦枠に当接する丁度良い位置で、引き戸下端の戸車が凹部に嵌入して停止し、しかも停止状態を保持できるので、引き戸が完全に閉まりきらずに引き戸と縦枠の間に隙間が生じることが解消する。
【0044】
また、本発明の第2の実施形態の引き戸構造体によれば、引き戸を閉める時、戸車が調整片の昇り勾配を昇りながら走行するので、引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をする危険が防止できる。
【0045】
また、係止部として、引き戸が縦枠に当接する丁度良い位置で、ガイドレ−ルに戸車を保持し引き戸を停止させる係止部として、前記調整片に所定の下り勾配が形成されているので、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、引き戸を縦枠に当接させた状態で戸車及び引き戸を縦枠側に向けて付勢するので、この位置で引き戸が停止し且つ停止状態が保持できる。従って、引き戸が完全に閉まりきらないことによる引き戸と縦枠の間の隙間が解消する。
【0046】
また、第1、第2の実施形態において、前記制動部としての昇り勾配、係止部としての下り勾配、係止部としての凹部とも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、引き戸の制動力を調整するための、制動部としての昇り勾配を調整するためには、前記調整片とガイドレ−ルの間に調整片の取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−を適宜位置に挿入することで極めて簡単に再調整可能となる。また、引き戸の停止位置を調整するための、係止部としての凹部の位置を調整するためには、ガイドレ−ルの長さ方向において、前記調整片の取り付け左右位置を微調整すれば簡単に再調整できる。また、引き戸の停止位置を調整するための、係止部としての下り勾配の位置を調整するためには、ガイドレ−ルの長さ方向において、前記調整片の取り付け左右位置を微調整すれば簡単に再調整できる。
【0047】
また、本発明の実施形態1、2において、調整片をガイドレ−ルに取り付けるだけなので、極めて安価で経済的にも有利なものとなる。また、将来引き戸をリフォ−ムする際に、調整機構が戸車に組み込み式の高価な引き戸を特別に用意しなくても、市販の安価な普通の引き戸で間に合う。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の引き戸構造体の正面図。
【図2】本発明の引き戸構造体の実施形態の一例を示す要部拡大図。
(イ)本発明の引き戸構造体の正面から見た断面図。
(ロ)本発明の引き戸構造体のA−A線側断面図。
【図3】本発明の調整片の一例を示す正面図。
(イ)第一の実施形態の調整片の例を示す。
(ロ)第二の実施形態の調整片の例を示す。
【符号の説明】
1 引き戸
2 縦枠
3 敷居
4 鴨居
5 床板
W 戸車
R 回転体
G ガイドレ−ル
f 戸車走行面
p 調整片
us 昇り勾配
ds 下り勾配
U 凹部
m 平坦部
s スペ−サ−
【発明の属する技術分野】
本発明は建物などに使用される引戸構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物などに使用される引き戸を開閉する際に、引き戸が勢い良く縦枠に衝突することを防止したり、衝突による振動と騒音や場合によっては手指を挟んで怪我をするといった事故を防ぐために、戸車の回転が増大するのに伴って摩擦係数の大きな当接部材が突出し湾曲部材に接触して戸車の回転を減速させる機構を有する引き戸の制動装置が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、枠材の建て付けが悪くても引き戸が自然に解放してしまうことがないように、引き戸が戸当たりに当接した状態で、摩擦板を戸車に押しつけて引き戸を閉状態に保持しておく機構を有する引き戸の停止機構が開示されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−151851号公報(第2−3頁、第1図)。
【特許文献2】
特開平6−330670号公報(第2−4頁、第1図)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平8−151851号公報に記載の引き戸の制動装置や特開平6−330670号公報に記載の引き戸の停止機構は、多くの部品から構成され、そのメカニズムが複雑なことから、高価なものにつくばかりでなく、作動性を常に良好な状態に維持するための保守管理等メンテナンスに手間がかかるといった問題点があった。
【0006】
また、一旦取り付け施工した引き戸も長期間の使用によって、縦枠上下枠等の建て付け状態が変化し、せっかく取り付けた引き戸を再度調整する必要が多々ある。戸車の上下調整のみならず、制動機構や停止機構の微調整をこまめに実施する必要がある。しかし、前記特開平8−151851号公報、特開平6−330670号公報に記載の調整ネジによる調整機構ではメカニズムが複雑なゆえ調整に熟練を要した。
【0007】
また、前記特開平8−151851号公報、特開平6−330670号公報に記載の機構では、戸車部分に制動機構や停止機構が組み込まれているので、引き戸をリフォ−ムする際、調整機構戸車組み込み式の引き戸を新しく購入して取り付けなければならず高価な引き戸ゆえ、経済的負担も大きく市販の普通の安価な引き戸で代替することができなかった。
【0008】
本発明の目的は、引き戸を閉める時及び開く時の制動及び閉時の引き戸停止の動作を有効に調整することで、閉時の縦枠と引き戸の衝撃と、それらの間に手指を挟むことによる怪我を解消し、さらに引き戸閉時における縦枠との隙間を解消し、開く時もスム−ズに開閉可能で、しかも、引き戸の制動、停止作動性を常に良好な状態に維持するための保守管理等メンテナンスに手間がかからず、一旦取り付けた引き戸も長期間の使用で建て付け状態が変化し、引き戸の制動、停止機構の再調整の必要性が生じた時も簡単に調整が可能で、将来引き戸をリフォ−ムする際、市販の普通の引き戸でも代替可能で、しかも安価で経済的にも有利な引き戸の構造体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の引き戸構造体は、左右縦枠と下部の敷居及び上部の鴨居とからなる引き戸枠と、引き戸枠内を走行する引き戸からなり、該敷居内にガイドレ−ルを設け、引き戸の下端部にガイドレ−ルで支持されて走行する戸車を設けた引き戸構造体であって、該ガイドレ−ルの縦枠側の端部に、縦枠側に行くに従って引き戸に制動力を増加させる制動部が形成され、引き戸が縦枠に当接する位置で戸車を保持し引き戸を停止させる係止部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
係る構成から、引き戸構造体の下部の敷居内に設けられたガイドレ−ルにおいて、縦枠側に行くに従って引き戸に制動力を増加させる制動部がガイドレ−ルの縦枠側の端部に形成されているので、引き戸を閉める時、引き戸が縦枠側に行くに従って、引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をするといった危険が防止できる。
【0011】
また、引き戸が縦枠に当接する位置でガイドレ−ルに、戸車を保持し引き戸を停止させる係止部が形成されているので、引き戸を丁度良い位置で停止させることが可能で、しかも停止状態を保持できる。従って、引き戸が完全に閉まりきらずに引き戸と縦枠の間に若干隙間が生じることが解消する。また、引き戸を開く際にも前記制動部、係止部が有効に働くので、スム−ズな引き戸の開閉が可能となる。
【0012】
また、前記制動部、係止部とも、ガイドレ−ルに設けられているので、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、建て付け状態が変化しても簡単に調整できる。また、将来引き戸をリフォ−ムする際、調整機構付きの高価な引き戸を新たに用意しなくとも、市販の普通の安価な引き戸で十分用が足りる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の引き戸構造体において、前記制動部及び係止部が、所定の形状、厚み、幅、長さを有し、その表面に制動部としての所定の昇り勾配と、係止部としての凹部が形成された調整片であり、閉時に引き戸が縦枠側に移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた凹部に嵌入停止するように、該調整片を前記敷居内のガイドレ−ルの所定位置に設けることを特徴とする。
【0014】
係る構成から、引き戸を閉める時、引き戸が縦枠側にいくに従って、戸車が前記調整片に設けた昇り勾配を昇りながら重力の作用で戸車の走行速度が減速することで引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をするといった危険が防止できる。
【0015】
また、引き戸が縦枠に当接する位置でガイドレ−ルに設けた調整片に戸車を保持し引き戸を停止させる係止部としての凹部が形成されているので、引き戸が縦枠に当接する丁度良い位置で引き戸下端の戸車が前記凹部に嵌入して引き戸を停止させることが可能で、しかも停止状態を保持できる。従って、引き戸が完全に閉まりきらずに引き戸と縦枠の間に若干隙間が生じるといったことが解消する。また、引き戸を開く際にも前記調整片に形成された制動部、係止部が有効に働くので、スム−ズな引き戸の開閉が可能となる。
【0016】
また、前記制動部としての昇り勾配、係止部としての凹部とも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、制動部としての昇り勾配については、前記調整片とガイドレ−ルの間に調整片の取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−を適宜位置に挿入することで極めて簡単に再調整可能となる。また、係止部としての凹部については、ガイドレ−ルの長さ方向において、前記調整片の取り付け位置を、ガイドレ−ルに向かって左右いずれかに微調整すれば簡単に調整できる。
【0017】
さらに、調整片をガイドレ−ルに取り付けるだけなので極めて安価で経済的にも有利なものとなる。また、将来、引き戸をリフォ−ムする際、調整機構が戸車に組み込まれた高価な引き戸を特別に用意しなくとも、市販の普通の引き戸で十分に間にあう。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の引き戸構造体において、前記制動部及び係止部が、所定の形状、厚み、幅、長さを有し、その表面に制動部としての所定の昇り勾配と、係止部としての所定の下り勾配が形成された調整片であり、閉時に引き戸が縦枠側に移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、戸車及び引き戸を縦枠側に向けて付勢させるように、該調整片を前記敷居内のガイドレ−ルの所定位置に設けることを特徴とする。
【0019】
係る構成から、引き戸を閉める時、引き戸が縦枠側に行くに従って、戸車が前記調整片に形成された昇り勾配を昇りながら、重力の作用で戸車の走行速度が減速することで引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をする危険が防止できる。
【0020】
また、係止部として、引き戸が縦枠に当接する位置でガイドレ−ルに設けた調整片に、戸車を保持し引き戸を停止させる係止部として、所定の下り勾配が形成されているので、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、戸車及び引き戸を縦枠側に向けて付勢するので、この位置で引き戸が停止し且つ縦枠に当接する方向に付勢されているので、引き戸の停止状態が保持できる。従って、引き戸が完全に閉まりきらないことによる縦枠と引き戸の間の隙間が解消する。また、引き戸を開く際にも前記制動部、係止部が有効に働くので、スム−ズな引き戸の開閉が可能となる。
【0021】
また、前記制動部としての昇り勾配、係止部としての下り勾配とも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、制動部としての昇り勾配の微調整の場合は、前記調整片とガイドレ−ルの間に調整片の取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−を適宜位置に挿入したり、また、係止部としての下り勾配の位置の微調整の場合においては、前記調整片の取り付け位置をガイドレ−ルに向かって左右いずれかの方向へ微調整することで、極めて簡単に再調整可能となる。
【0022】
さらに、調整片をガイドレ−ルに取り付けるだけなので極めて安価で経済的にも有利なものとなる。また、将来、引き戸をリフォ−ムする際、調整機構が戸車に組み込まれた高価な引き戸を特別に用意しなくとも、市販の普通の引き戸で十分に間にあう。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参考にして本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の引き戸構造体の正面図を示し、図2は本発明の引き戸構造体の実施形態の一例を示し、(イ)は正面から見たB−B線断面図、(ロ)は側断面図、図3は本発明の調整片の一例を示す正面図で、(イ)は第一の実施形態として昇り勾配と凹部を形成した調整片の例を示し、(ロ)は第二の実施形態として昇り勾配と下り勾配を形成した調整片の例を示す。
【0024】
本発明において、引き戸枠は、左右縦枠2と下部の敷居3と上部の鴨居4から構成されており、引き戸1の下端部に戸車Wが設けられ、該引き戸1が前記引き戸枠内に装着されている。敷居3には、ガイドレ−ルGが装着されている。該ガイドレ−ルGは戸車Wと接する戸車走行面fを上にして、敷居3内に埋め込まれていてもよいし、また、表面に取り付けられていてもよく、敷居3に木ネジ等(図示せず)で固定されている。
【0025】
前記引き戸枠は所定の厚み、幅、長さを有する合板、平行合板(LVL)、パ−ティクルボ−ド(PB)、集成材等を基材として、その表面に天然銘木単板、突板等を貼着し、その上にウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料等で仕上げたものか又は塩ビシ−ト、化粧紙等を貼着して仕上げたものが用いられる。また、引き戸1は所定の寸法のフラッシュ構造又はムク構造の構造体で、基材として合板、中比重繊維板、パ−ティクルボ−ド等を使用し、表面化粧材として、前記引き戸枠と合わせて、塗装仕上げされた天然銘木単板、突板、又は塩ビシ−ト、化粧紙等が用いられる。
【0026】
引き戸1の下端部に設けられた戸車Wがガイドレ−ルGの戸車走行面fの上を走行し、引き戸1が敷居3及び鴨居4と平行な方向に移動可能に構成されている。前記戸車走行面fの形状の好適な例として、断面形状が略V字型を挙げることができる。戸車走行面fの断面形状が略V字型であると戸車Wとガイドレ−ルG間の摩擦抵抗が減少し、戸車Wの走行性にとって好ましい。前記戸車Wに組み込まれた回転体Rがガイドレ−ルGの断面V字型の走行面f上を回転しながら走行する。
【0027】
ガイドレ−ルGの前記戸車走行面fの縦枠側の端部に本発明の前記調整片pが設けられている。該調整片pはジュラコン樹脂、硬質ウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂等の耐摩耗性に優れた材料が適する。これらの他にはアルミニウムなどの金属材料が適する。摩擦や摩耗に優れたものであればこれらに限られるものではない。
【0028】
前記調整片pの断面形状は逆三角形状で底面が前記ガイドレ−ルGの戸車走行面fと合致しており、調整片pは両面接着テ−プ等でガイドレ−ルGの所定位置で、走行面f上に接合されている。また、前記調整片pの長さはおよそ20〜100mm程度で、幅はガイドレ−ルGの幅とほぼ一致する。
【0029】
本発明の調整片pの第一の実施形態においては、調整片pの正面(長手方向)から見た形状の例として、図3の(イ)に示すように、縦枠2の方に行くに従って昇りとなる向きに昇り勾配usが形成されており、その頂点で平坦部mに達し、該平坦部mを過ぎると、引き戸1が縦枠2に当接する位置において、戸車Wが調整片pと接する位置の箇所に、調整片pに凹部Uが形成されている。
【0030】
本発明の調整片pの第一の実施形態によれば、引き戸1を閉める時、引き戸1が縦枠2の方に行くに従って、戸車Wが前記昇り勾配usを昇りながら移動するので、重力の作用で戸車Wの走行速度が徐々に減速する。このようにして引き戸1をほどよく制動することが可能となる。
【0031】
このようにして、引き戸1は徐々に減速して、戸車Wが調整片pの平坦部mに達し、該平坦部mを通り越し、引き戸1が縦枠2に当接する位置において、戸車Wが調整片に形成した凹部Uに達する。このように、戸車Wを保持し引き戸1を停止させる係止部としての凹部Uが形成されているので、戸車Wが調整片pの凹部Uに嵌入されると、その箇所で戸車Wが停止し引き戸1が係止され、この状態が維持される。
【0032】
戸車Wが平坦部mを通り越して凹部Uに達し嵌入されるタイミングと引き戸1の端部が縦枠2に当接するタイミングが一致するように、ガイドレ−ルGへの調整片pの取り付けの左右位置を調整することが大切である。
【0033】
このようにして、引き戸1を勢いよく閉めた時に引き戸1が縦枠2に勢いよく衝突して生じる衝撃や衝撃音を防止することが可能となる。さらに、手指を縦枠2と引き戸1の間に誤って挟んで怪我をするなどの危険を有効に防止できる。
【0034】
また、引き戸1が縦枠2に当接する位置でガイドレ−ルG上の調整片pに、戸車Wを保持し引き戸1を停止させる係止部としての凹部Uが形成されているので、引き戸1が縦枠2に当接する丁度良い位置で、引き戸1下端の戸車Wが凹部Uに嵌入して引き戸1を停止させることが可能で、しかも停止状態を保持できる。従って、引き戸1が完全に閉まりきらずに引き戸1と縦枠2の間に若干の隙間(図示せず)が生じることが解消する。
【0035】
また、引き戸1を開く際にも係止部としての凹部Uと制動部としての昇り勾配usの働きで引き戸1の開時動作においても、同様の理由で引き戸1のスム−ズな移動が可能になる。従って、スム−ズな引き戸の開閉が可能となるのである。
【0036】
また、前記制動部としての昇り勾配us、係止部としての凹部Uとも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、引き戸1の建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、引き戸1の制動力を調整するための制動部としての昇り勾配usの調整については、前記調整片pとガイドレ−ルGの間に調整片pの取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−sを適宜位置に挿入することで極めて簡単に再調整可能となる。また、引き戸1の停止位置を調整するための係止部としての凹部Uの位置の調整については、ガイドレ−ルGの長さ方向において、前記調整片pの取り付け位置を微調整すれば簡単に調整できる。
【0037】
本発明の調整片pの第二の実施形態においては、調整片pの正面(長手方向)から見た形状の例として、図3の(ロ)に示すように、縦枠2の方に行くに従って昇りとなる向きに昇り勾配usが形成されており、その頂点で平坦部mに達し、該平坦部mを過ぎると、逆に縦枠2の方に行くに従って下りとなる向きに下り勾配dsが形成されている。
【0038】
本発明の調整片pの第二の実施形態によれば、引き戸1を閉める時、引き戸1が縦枠2の方に行くに従って、ガイドレ−ルGの走行面fに装着した調整片p上を戸車Wが走行する時、戸車Wが前記調整片pに形成した昇り勾配usを昇りながら重力の作用で戸車Wの走行速度が減速される。このことで、引き戸1をほどよく制動することが可能で、引き戸1を勢いよく閉めた時に引き戸1が縦枠2に衝突して生じる衝撃や衝撃音を防止し、さらに手指を縦枠2と引き戸1の間に誤って挟んで引き戸1の閉まる際の大きな衝撃力によって、怪我をするといった危険が防止できる。
【0039】
また、係止部として、引き戸1が縦枠2に当接する位置でガイドレ−ルに設けた調整片pに、戸車Wを保持し、引き戸1を停止させる係止部として、所定の下り勾配dsが形成されている。従って、引き戸1が縦枠2に当接する位置で前記戸車Wが調整片pに形成された下り勾配dsに達し、戸車W及び引き戸1を縦枠2の方に向けて付勢する付勢力が働くので、この位置で引き戸1が縦枠に当接した状態で縦枠側へ向けて付勢されている。従って、引き戸1が停止し且つ停止状態が保持できる。このことによって、引き戸1が完全に閉まりきらないことによる隙間(図示せず)が解消する。
【0040】
また、引き戸1を開く際にも係止部としての下り勾配dsと制動部としての昇り勾配usの働きで引き戸1の開時動作においても、同様の理由で引き戸1のスム−ズな移動が可能になる。従って、スム−ズな引き戸1の開閉が可能となる。
【0041】
また、前記制動部としての昇り勾配us、係止部としての下り勾配dsとも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからない。すなわち、長期間使用後、引き戸1の建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、引き戸1の制動力を調整するための、制動部としての昇り勾配usを調整する場合は、前記調整片pとガイドレ−ルGの間に、前記調整片pの取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−sを適宜位置に挿入することで簡単に再調整できる。また、引き戸1の停止位置を調整するための、係止部としての下り勾配dsの位置を調整する場合は、前記調整片pの取り付け左右位置(ガイドレ−ルの長手方向での位置)を微調整することで極めて簡単に再調整可能となる。
【0042】
本発明の調整片pの昇り勾配us、下り勾配ds、凹部Uの大きさは引き戸1の下端部に設けられた戸車Wの走行性能によって異なる。引き戸1に採用される戸車Wが決定すれば、実際の寸法に従って引き戸枠及び引き戸を試作し、例えば仮型としての木製の調整片pを作製し、実際に引き戸を走行させて試験し、昇り勾配us、下り勾配ds、凹部Uの大きさを決めればよい。また、ガイドレ−ルGに対する調整片pの取り付け位置も合わせて試験し決定すればよい。図1〜3において、ガイドレ−ルG及び調整片pの形状、取り付け構造は、向かって左側のみ図示したが、向かって右側半分も左側と左右対称に設計すればよい。前記木製の仮型で調整片pの形状、サイズが決まれば、前記硬質合成樹脂成型体又はアルミニウム等の金属を用いて調整片pを作製すればよい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る第1の実施形態の引き戸構造体によれば、引き戸を閉める時、戸車が調整片の昇り勾配を昇りながら走行するので、引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をする危険が防止できる。また、引き戸が縦枠に当接する丁度良い位置で、引き戸下端の戸車が凹部に嵌入して停止し、しかも停止状態を保持できるので、引き戸が完全に閉まりきらずに引き戸と縦枠の間に隙間が生じることが解消する。
【0044】
また、本発明の第2の実施形態の引き戸構造体によれば、引き戸を閉める時、戸車が調整片の昇り勾配を昇りながら走行するので、引き戸をほどよく制動することが可能で、引き戸を勢いよく閉めた時に引き戸が縦枠に衝突して生じる衝撃を防止し、手指を縦枠と引き戸の間に誤って挟んで怪我をする危険が防止できる。
【0045】
また、係止部として、引き戸が縦枠に当接する丁度良い位置で、ガイドレ−ルに戸車を保持し引き戸を停止させる係止部として、前記調整片に所定の下り勾配が形成されているので、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、引き戸を縦枠に当接させた状態で戸車及び引き戸を縦枠側に向けて付勢するので、この位置で引き戸が停止し且つ停止状態が保持できる。従って、引き戸が完全に閉まりきらないことによる引き戸と縦枠の間の隙間が解消する。
【0046】
また、第1、第2の実施形態において、前記制動部としての昇り勾配、係止部としての下り勾配、係止部としての凹部とも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、長期間使用後、建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、引き戸の制動力を調整するための、制動部としての昇り勾配を調整するためには、前記調整片とガイドレ−ルの間に調整片の取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−を適宜位置に挿入することで極めて簡単に再調整可能となる。また、引き戸の停止位置を調整するための、係止部としての凹部の位置を調整するためには、ガイドレ−ルの長さ方向において、前記調整片の取り付け左右位置を微調整すれば簡単に再調整できる。また、引き戸の停止位置を調整するための、係止部としての下り勾配の位置を調整するためには、ガイドレ−ルの長さ方向において、前記調整片の取り付け左右位置を微調整すれば簡単に再調整できる。
【0047】
また、本発明の実施形態1、2において、調整片をガイドレ−ルに取り付けるだけなので、極めて安価で経済的にも有利なものとなる。また、将来引き戸をリフォ−ムする際に、調整機構が戸車に組み込み式の高価な引き戸を特別に用意しなくても、市販の安価な普通の引き戸で間に合う。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の引き戸構造体の正面図。
【図2】本発明の引き戸構造体の実施形態の一例を示す要部拡大図。
(イ)本発明の引き戸構造体の正面から見た断面図。
(ロ)本発明の引き戸構造体のA−A線側断面図。
【図3】本発明の調整片の一例を示す正面図。
(イ)第一の実施形態の調整片の例を示す。
(ロ)第二の実施形態の調整片の例を示す。
【符号の説明】
1 引き戸
2 縦枠
3 敷居
4 鴨居
5 床板
W 戸車
R 回転体
G ガイドレ−ル
f 戸車走行面
p 調整片
us 昇り勾配
ds 下り勾配
U 凹部
m 平坦部
s スペ−サ−
Claims (3)
- 左右縦枠と下部の敷居及び上部の鴨居とからなる引き戸枠と、引き戸枠内を走行する引き戸からなり、該敷居内にガイドレ−ルを設け、引き戸の下端部にガイドレ−ルで支持されて走行する戸車を設けた引き戸構造体であって、該ガイドレ−ルの縦枠側の端部に、縦枠側に行くに従って引き戸に制動力を増加させる制動部が形成され、引き戸が縦枠に当接する位置で戸車を保持し引き戸を停止させる係止部が形成されていることを特徴とする引き戸構造体。
- 前記制動部及び係止部が、所定の形状、厚み、幅、長さを有し、その表面に制動部としての所定の昇り勾配と、係止部としての凹部が形成された調整片であり、閉時に引き戸が縦枠側に移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた凹部に嵌入停止するように、該調整片を前記敷居内のガイドレ−ルの所定位置に設けることを特徴とする請求項1に記載の引き戸構造体。
- 前記制動部及び係止部が、所定の形状、厚み、幅、長さを有し、その表面に制動部としての所定の昇り勾配と、係止部としての所定の下り勾配が形成された調整片であり、閉時に引き戸が縦枠側に移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸が縦枠に当接する位置で前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し戸車及び引き戸を縦枠側に向けて付勢させるように、該調整片を前記敷居内のガイドレ−ルの所定位置に設けることを特徴とする請求項1に記載の引き戸構造体。
Priority Applications (1)
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JP2003081891A JP2004285784A (ja) | 2003-03-25 | 2003-03-25 | 引き戸構造体。 |
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JP2003081891A JP2004285784A (ja) | 2003-03-25 | 2003-03-25 | 引き戸構造体。 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107448084A (zh) * | 2017-09-12 | 2017-12-08 | 万清华 | 安装于下滑轨上的推拉柜门缓冲器 |
-
2003
- 2003-03-25 JP JP2003081891A patent/JP2004285784A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107448084A (zh) * | 2017-09-12 | 2017-12-08 | 万清华 | 安装于下滑轨上的推拉柜门缓冲器 |
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