JP2005336882A - 引き戸構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 開き扉タイプから引き戸タイプへリフォ−ムする際、従来の開口部やドア枠を解体したり補強する必要がなく、引き戸の開閉時の衝撃による跳ね返りやガタツキを防止し、施工やメンテナンスが容易で、床面に不陸や傾きが生じていても精度良く施工可能で、引き戸と壁面の間隔調整が簡単な操作で精度良く行え、上レ−ル部材が露出せず外観的にも優れたアウトセット方式の引き戸構造体を安価に提供する。
【解決手段】 開口部に上レ−ルが壁面から突出し側方に延出するように取り付けられ、上レ−ル対面位置に下レ−ルが平行に取り付けられ、上下レ−ル間に引き戸を走行可能にした引き戸構造体において、上レ−ルが上枠内に収納されており、下レ−ルに設けた引き戸開閉時の緩衝手段と、上レ−ルに設けた建て付け調整手段とを備えるようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】 開口部に上レ−ルが壁面から突出し側方に延出するように取り付けられ、上レ−ル対面位置に下レ−ルが平行に取り付けられ、上下レ−ル間に引き戸を走行可能にした引き戸構造体において、上レ−ルが上枠内に収納されており、下レ−ルに設けた引き戸開閉時の緩衝手段と、上レ−ルに設けた建て付け調整手段とを備えるようにした。
【選択図】 図2
Description
本発明は建物の開口部において、外付けで取り付け施工する引き戸構造体に関する。
従来、居住者のライフスタイルの移り変わりに従って、住宅をリフォ−ムする場合、開口部における開き扉タイプのドアを引き戸タイプに変更したいという要望もかなり多い。この場合、通常は開き扉を取り外し、引き戸を取り付ける際に、周辺の壁面も解体し、新たに、上部の鴨居と下部の敷居を取り付け、周辺の壁面も引き戸に合わせて新たに仕上げる必要があり、その手間は多大なものがあり、工期及び施工費用が大きくかかるという問題があった。
上記問題点を解決するために、開口部をそのまま残し、引き戸の上下レ−ルを開口部の壁面の外側面に取り付けて、上下レ−ル間に引き戸を走行自在となるようにした、いわゆるアウトセット方式の引き戸が用いられてきた。この場合、引き戸の走行方式においても、上レ−ル走行具として吊り車を用い、下レ−ル走行具として外れ防止のためのガイド部材を用いる方式と、逆に上レ−ル走行具として外れ防止のためのガイド部材を用い、下レ−ル走行具として戸車を用いる方式との2タイプがあった。
また、上記問題点を解決するために、例えば、開口部まわりの壁面の外側面に上レ−ル及び下レ−ルを取り付け、引き戸上部に上レ−ルが摺動自在に嵌挿するスライダ−が取り付けられ、引き戸下部には下レ−ル上を走行する戸車が取り付けられ、前記上レ−ルが前記引き戸の上端よりも低い位置に設けられてなるアウトセット引き戸が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、上記従来技術にあっては、引き戸の走行方式において、上レ−ル走行具として吊り車を用い、下レ−ル走行具として外れ防止のためのガイド部材を用いる方式の場合は、上レ−ル又は上枠に引き戸の荷重がかかるので、補強材を用いて上レ−ル又は上枠を補強するか又は壁面そのものを荷重に耐える強度に補強する必要があった。
また、床面の施工精度が不十分で、床面に不陸や凹凸が発生することが多々あり、ひどい場合は床面に傾きが発生し、下レ−ルの水平度が不良となる住宅もある。この場合、上下レ−ル間隔を一定に保つことが極めて難しく、引き戸の建て付け不良によって、引き戸の走行に支障をきたすことが多々あった。
また、上記特開2002−227503号公報に記載のものは、引き戸の閉まり際及び開き終わり際における引き戸の走行を緩和して衝撃による跳ね返りを防止するために、上レ−ルの左右両端部にストッパ部材が設けられる構成となっているが、前記ストッパ部材の働きは、引き戸を走行させる働きを持つスライダ−から、走行方向へ突出し上方へコイルスプリングで付勢されて取り付けられているロ−ラが前記ストッパ部材に形成されている凹所とが弾性的に係合することによって、引き戸の走行を緩和して衝撃による跳ね返りを防止することであり、その構造が複雑で、コスト的に不利である点のみならず、構造が複雑なゆえ、メンテナンスや修理の点でも手間がかかりこの点の改善が望まれていた。
また、上記従来技術にあっては、上レ−ル取り付け部材を壁面の外側面に取り付け、引き戸を走行させるスライダ−が引き戸裏面に取り付けられており、引き戸と壁面や開口部の枠体との間に十分な間隔がとれる構成となっているが、建て付け時に枠体や引き戸に予想する以上の歪みや反りが生じた場合や、壁面に不陸や凹凸があった場合に、引き戸開閉時に引き戸と枠体又は引き戸と壁面が擦れ合って傷等が発生したり、ひどい場合は開閉操作そのものに支障をきたすことがあった。これを解決するために、上記従来技術では、上レ−ル取り付け部材の取り付け部に上レ−ルを引き戸の厚み方向へ調整可能に長孔が設けられ上レ−ルが螺子止めされており、上レ−ルを取り付け部材から開口部の出入り口の前後方向へ移動させることにより、引き戸と開口部の出入り口との間隔の調整が可能な構成とされているが、取り付け部材の左右に亘って均等に調整する必要があり、上記従来技術に開示されているような長孔を利用しての調整では、大変な手間がかかり、しかも調整精度を上げることが至難の技であった。この点の改善が望まれていた。
また、上記従来技術にあっては、引き戸を閉め切った状態において、上レ−ルやストッパ部材が引き戸の裏面に隠れるので外観上優れたものになるが、引き戸を開いた際に開口部の上方に上レ−ル及びストッパ部材が露出するので、外観的にも劣るものになり、この点の改善が望まれていた。
本発明は上述した事情に鑑みてなされるもので、開き扉タイプのドアから引き戸タイプへリフォ−ムする際に用いるアウトセット方式の引き戸において、従来から有る開口部やドア枠を解体する必要がなく、又、上レ−ルや上枠又は壁面そのものを特別に補強する必要がなく、引き戸の開閉時の衝撃による引き戸跳ね返りや引き戸ガタツキ防止を簡単な構造で可能にし、メンテナンスや修理にも手間がかからず、しかも取り付けも簡単で経済性にも優れた安価なものとし、また、床面に不陸や、凹凸や傾きが生じていても精度良く引き戸のアウトセットが可能で、しかも、引き戸と開口部及び壁面との間隔の調整が極めて簡単な操作で精度良く行え、また、引き戸を閉めた時のみならず開いた際にも上レ−ル部材が露出せず、外観的にも優れたアウトセット方式の引き戸構造体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためなされた請求項1記載の本発明の引き戸構造体は、建物の開口部の上部に上レ−ルが壁面から突出するように設けられると共に、上レ−ルが開口部側方に延出するように略水平に取り付けられており、上レ−ルと略対面位置に開口部下部の下レ−ルが上レ−ルと略平行に取り付けられており、上下レ−ルの間に引き戸が走行可能なように、引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動し、引き戸下端部に設けた走行具が下レ−ル上を走行する引き戸構造体において、上レ−ルが上枠内に収納されており、下レ−ルに設けた引き戸開閉時の緩衝手段と、上レ−ルに設けた建て付け調整手段とを備えていることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、従来から有る開口部やドア枠を解体する必要がなく、又、上レ−ルや上枠又は壁面そのものを特別に補強する必要がなく、また、前記下レ−ルに引き戸開閉時の緩衝手段が設けられているので、引き戸を閉めたり開けたりする時、下レ−ル上の走行具をほどよく制動することが可能となり、引き戸開閉時の衝撃による引き戸の跳ね返りやガタツキを有効に防止可能となり、メンテナンスや修理にも手間がかからず、しかも取り付けも簡単で経済性にも優れた安価なものとなる。また、上レ−ルに建て付け調整手段が設けられているので、壁面に不陸や凹凸や傾きが生じていても、引き戸と開口部及び壁面との間隔の調整が極めて簡単な操作で精度良く行える。また、床面に不陸や凹凸や傾きが生じていても、引き戸の建て付けが極めて簡単な操作で調整可能で、引き戸のスム−ズな走行が可能となる。また、上レ−ルが上枠内に収納されているので、引き戸を閉めた時のみならず開いた際にも上レ−ル部材が露出せず外観的にも優れたアウトセット方式の引き戸構造体が可能となる。
請求項2記載の本発明の引き戸構造体は、請求項1に記載の引き戸構造体において、引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動するガイドランナ−であり、引き戸の下端部に設けた走行具が戸車であり、前記緩衝手段が、所定の形状と寸法を有し、その表面に所定の大きさの昇り勾配と凹部が形成された調整片であり、引き戸の閉時に引き戸が移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸上端部のガイドランナ−が上レ−ル端部に当接する位置で、前記戸車が調整片に設けた凹部に嵌入し停止するように、前記調整片が下レ−ルの所定位置に設けられていることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動するガイドランナ−であり、引き戸の下端部に設けた走行具が戸車であるので、引き戸の荷重を下レ−ルで受け止めることができ、上レ−ルに荷重がほとんどかからないので、上レ−ルや上枠又は壁面そのものを特別に補強する必要がない。
また、前記緩衝手段が、下レ−ルの所定位置に設けられた表面に所定の大きさの昇り勾配と凹部が形成された調整片であるので、引き戸の閉時に引き戸が移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸をほどよく制動し走行を緩和することが可能で引き戸を勢い良く閉めた時の衝撃による跳ね返りを防止でき、引き戸上端部のガイドランナ−が上レ−ル端部に当接する位置で、前記戸車が調整片に設けた凹部に嵌入し、引き戸を丁度良い位置で停止させることが可能で、しかも停止状態を保持できる。
また、引き戸を開ける時、前記戸車が下レ−ル上の前記調整片に設けられた凹部から凹部周辺の山を一旦乗り越えて平担部に達し、続いて、前記調整片の昇り勾配に達し、逆に該昇り勾配を下る向きに引き戸を開ける方向に走行する構成であるので、引き戸の開け始めにおいて、急に引き戸が開くことによる引き戸の衝撃による引き戸の跳ね返りやガタツキを有効に防止できる。また、前記緩衝手段はメンテナンスや修理にも手間がかからず、しかも下レ−ルへの取り付けも簡単で、経済性にも優れた安価なものとなる。
請求項3記載の本発明の引き戸構造体は、請求項1に記載の引き戸構造体において、引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動するガイドランナ−であり、引き戸の下端部に設けた走行具が戸車であり、前記緩衝手段が、所定の形状と寸法を有し、その表面に所定の大きさの昇り勾配と下り勾配が形成された調整片であり、引き戸の閉時に引き戸が移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸上端部のガイドランナ−が上レ−ル端部に当接する位置で、前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、引き戸が上レ−ル端部及び下レ−ル端部に向けて付勢されるように、前記調整片が下レ−ルの所定位置に設けられていることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動するガイドランナ−であり、引き戸の下端部に設けた走行具が戸車であるので、引き戸の荷重を下レ−ルで受け止めることができ、上レ−ルに荷重がほとんどかからないので、上レ−ルや上枠又は壁面そのものを特別に補強する必要がない。
また、前記緩衝手段が、下レ−ルの所定位置に設けられた表面に所定の大きさの昇り勾配と下り勾配が形成された調整片であるので、引き戸の閉時に引き戸が移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸をほどよく制動し、走行を緩和することが可能で、引き戸を勢い良く閉めた時の衝撃による跳ね返りを防止でき、引き戸上端部のガイドランナ−が上レ−ル端部に当接する位置で、前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、引き戸を上レ−ル端部及び下レ−ル端部に向けて付勢させることが可能で、しかも前記付勢力によって引き戸の停止状態を保持できる。
また、引き戸を開ける時、前記戸車が下レ−ル上の前記調整片に設けられた下り勾配を逆方向に昇り初め、平担部に達し、続いて、昇り勾配に達し、逆に該昇り勾配を下る向きに引き戸を開ける方向に走行する構成であるので、引き戸の開け始めにおいて、急に引き戸が開くことによる引き戸の衝撃による引き戸の跳ね返りやガタツキを有効に防止できる。また、前記緩衝手段はメンテナンスや修理にも手間がかからず、しかも下レ−ルへの取り付けも簡単で、経済性にも優れた安価なものとなる。
請求項4記載の本発明の引き戸構造体は、請求項1〜3のいずれかに記載の引き戸構造体において、前記上レ−ルが水平片と該水平片の両側端に設けられた垂下片から成り、断面略コの字型形状で、上レ−ルの水平片及び両垂下片の内側3面は略直角に形成され、両垂下片の外側2面は互いに略平行な傾斜面で形成されており、上レ−ルの外側3面に略等しい大きさ、形状のレ−ル装着溝が形成された上枠に上レ−ルが収納され、上レ−ルの水平片から上枠に向けて垂下片の傾斜面と略等しい傾斜角度を有する調整溝が形成され、該調整溝に雌ネジが形成され、それに螺合する雄ネジが設けられており、前記建て付け調整手段が、雄ネジの回転によって上レ−ルが上枠の上レ−ル装着溝内を斜昇又は斜降することで壁面と引き戸間の隙間及び上下レ−ル間隔を調整することを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、上レ−ルに設けられた前記建て付け調整手段が、上レ−ルの水平片に設けられた雄ネジを回転させることによって、上レ−ルを上枠内の装着溝内を斜昇又は斜降することで壁面と引き戸間の隙間を調整する構成であるので、極めて簡単な操作で、引き戸と壁面との間の隙間寸法を精度良く行うことができ、しかも微調整も可能である。すなわち、上レ−ルには、引き戸と壁面との間の隙間を調整可能とする建て付け調整手段が設けられているので、該建て付け調整手段の働きで、壁面に不陸や凹凸があったり、また、建て付け不良によって、引き戸と壁面の隙間が極端に小さくなり、ひどい場合は引き戸が壁面とぶつかってしまうことを有効に防止可能となる。
また、床面に不陸や凹凸や傾きがあっても、上レ−ルの左右の雄ネジの締め具合を調整することで、上レ−ルの左右長手方向の傾きを下レ−ルに略等しくなるように建て付け調整することが極めて簡単にできる。
また、上レ−ルが上枠内の装着溝内に収納されて一体となるように構成されているので、上枠を壁面に取り付けるだけで、手間のかかる上レ−ル取り付けを行うことができ、しかも、引き戸を閉めた時のみならず開いた際にも、上レ−ル部材が露出せず、外観的にも優れたアウトセット方式の引き戸構造体が可能となる。
本発明によれば、従来から有る開口部やドア枠を解体する必要がなく、また、引き戸上端部に上レ−ル内を移動する支持具と、引き戸下端部に下レ−ル上を走行する走行具が設けられており、下レ−ルに緩衝手段と、上レ−ルに建て付け調整手段とを備えているので、引き戸開閉時、下レ−ル上の走行具をほどよく制動可能となり、引き戸開閉時の衝撃による引き戸の跳ね返りやガタツキを有効に防止可能で、メンテナンスや修理にも手間がかからず、しかも取り付けも簡単で経済性にも優れた安価なものとなる。また、上レ−ルに建て付け調整手段が設けられているので、壁面に不陸や凹凸や傾きが生じていても、引き戸と開口部及び壁面との間隔の調整が極めて簡単な操作で精度良く行える。また、床面に不陸や凹凸や傾きが生じていても、引き戸の建て付けが極めて簡単な操作で調整可能で、引き戸のスム−ズな走行が可能となる。また、引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動するガイドランナ−であり、引き戸の下端部に設けた走行具が戸車であるので、引き戸の荷重を下レ−ルで受け止めることができ、上レ−ルに荷重がほとんどかからないので、上レ−ルや上枠又は壁面そのものを特別に補強する必要がない。また、上レ−ルが上枠内に収納されているので、引き戸を閉めた時のみならず開いた際にも上レ−ル部材が露出せず外観的にも優れたアウトセット方式の引き戸構造体が可能となる。
また、前記緩衝手段が、下レ−ルの所定位置に設けられた表面に所定の大きさの昇り勾配と凹部が形成された調整片であるので、引き戸の閉時に戸車が昇り勾配に向かい引き戸をほどよく制動し走行を緩和することが可能で、引き戸閉時の衝撃による跳ね返りやガタツキを防止でき、戸車が調整片に設けた凹部に嵌入し引き戸を丁度良い位置で停止させることができ、停止状態を保持できる。
また、引き戸を開ける時、前記戸車が下レ−ル上の前記調整片に設けられた凹部から凹部周辺の山を一旦乗り越えて平担部に達し、続いて、前記調整片の昇り勾配に達し、逆に該昇り勾配を下る向きに引き戸を開ける方向に走行する構成であるので、引き戸の開け始めにおいて、急に引き戸が開くことによる引き戸の衝撃による引き戸の跳ね返りやガタツキを有効に防止できる。また、前記緩衝手段はメンテナンスや修理にも手間がかからず、しかも下レ−ルへの取り付けも簡単で、経済性にも優れた安価なものとなる。
また、前記緩衝手段が、下レ−ルの所定位置に設けられた表面に所定の大きさの昇り勾配と下り勾配が形成された調整片であるので、引き戸の閉時に戸車が昇り勾配に向かい引き戸をほどよく制動し走行を緩和することが可能で、引き戸閉時の衝撃による跳ね返りやガタツキを防止できる。また、引き戸上端部のガイドランナ−が上レ−ル端部に当接する位置で、前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、引き戸を上レ−ル端部及び下レ−ル端部に向けて付勢させることが可能で、しかも、前記付勢力によって、その丁度良い位置で停止状態を保持できる。
また、引き戸の開時に、前記戸車が下レ−ル上の前記調整片に設けられた下り勾配を逆方向に昇り初め、平担部に達し、続いて、昇り勾配に達し、逆に該昇り勾配を下る向きに引き戸を開ける方向に走行する構成であるので、引き戸の開け始めにおいて、急に引き戸が開くことによる引き戸の衝撃による引き戸の跳ね返りやガタツキを有効に防止できる。また、前記緩衝手段はメンテナンスや修理にも手間がかからず、しかも下レ−ルへの取り付けも簡単で、経済性にも優れた安価なものとなる。
また、前記建て付け調整手段が、上レ−ルの水平片に設けられた雄ネジの回転によって上レ−ルが上枠の装着溝内を斜昇又は斜降することで壁面と引き戸間の隙間を調整する構成であるので、極めて簡単な操作で引き戸と壁面との間の隙間寸法を精度良く調整可能で、しかも微調整も可能である。このような構成、すなわち、上レ−ルには、引き戸と壁面との間の隙間を調整可能とする隙間調整手段が設けられているので、該隙間調整手段の働きで、壁面に不陸や凹凸があったり、また、建て付け不良によって、引き戸と壁面の隙間が極端に小さくなり、ひどい場合は引き戸が壁面とぶつかってしまうことを有効に防止可能となる。
また、床面に不陸や凹凸や傾きがあっても、上レ−ルの左右の雄ネジの締め具合を調整することで、上レ−ルの左右長手方向の傾きを下レ−ルに略等しくなるように建て付け調整することが極めて簡単にできる。
また、上レ−ルが上枠内の装着溝内に一体となるように収納される構成であるので、上枠を壁面に取り付けるだけで、手間のかかる上レ−ル取り付けが可能で、引き戸を閉めた時のみならず開いた際にも、上レ−ル部材が露出せず外観的にも優れたアウトセット方式の引き戸構造体が可能となる。
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の引き戸構造体の一実施形態を示す正面図である。図2は本発明の引き戸構造体の一実施形態を示す側面図である。図3は本発明の建て付け調整手段を示す説明図である。図4は本発明の緩衝手段を示す説明図で、(イ)はその正面から見た断面図、(ロ)はそのA−A線断面図である。図5は本発明の緩衝手段に用いる調整片を示し、(イ)はその第一実施形態を示す。また、(ロ)は第二実施形態を示す。
図1において、本発明の引き戸構造体1は、上枠3、上レ−ル4a、下レ−ル4b、引き戸2から構成されている。前記上枠3と上枠内に収納されている上レ−ル4aは、建物の開口部Kの上部壁面Wから突出するように、しかも開口部Kの側方に延出するように、前記壁面Wに取り付けられている。
上レ−ル4aと略対面する位置において、開口部Kの下部に、下レ−ル4bが上レ−ル4aと略平行するようにして床材Fの表面に取り付けられている。上レ−ル4a及び下レ−ル4bの間に引き戸2が設けられている。該引き戸2の上端部に支持具5が設けられ、上レ−ル4a内を走行する。また、引き戸2の下端部に走行具6が設けられており、下レ−ル4b上を走行する。このような構成によって、引き戸2は上下レ−ル4a及び4b間を上下レ−ルに沿って走行可能な構成とされている。さらに、上下レ−ル4a、4bの左右両端部にストッパ−部材STが設けられている。
さらに、上レ−ル4aには、引き戸2と壁面Wとの間の隙間U(図2参照)を調整可能とする建て付け調整手段7が設けられている。該建て付け調整手段7の働きで、壁面Wに不陸や凹凸があったり、また、建て付け不良によって、引き戸2と壁面Wの隙間U(図2参照)が極端に小さくなり、ひどい場合は引き戸2が壁面Wとぶつかってしまうことを有効に防止可能となる。
また、床材Fの表面に不陸や凹凸や傾きが生じている場合、上レ−ル4aに設けた建て付け調整手段7を利用すると極めて簡単に不陸や凹凸に対応可能で、建て付け調整が簡単にできる。すなわち、上レ−ル4aの長手方向の左右に設けられた雄ネジN(図2、図3参照)の締め加減を調整することで、下レ−ル4bと上レ−ル4aの間隔を略等しくなるように調整できる。
また、下レ−ル4bには、引き戸2の下端部に設けられた走行具6を適度に制動可能とする緩衝手段8が設けられている。該緩衝手段8の働きで、引き戸2の開閉操作時における前記走行具6を適度に制動し開閉時の衝撃による引き戸2の跳ね返りやガタツキを有効に防止可能となる。
また、上レ−ル4aは上枠3のレ−ル装着溝V(図2参照)内に収納されて一体となるように構成されているので、上枠3を壁面Wに取り付けるだけで、手間のかかる上レ−ル4aの取り付けを行うことができ、しかも、引き戸2を閉めた時のみならず開いた際にも、上レ−ル4aが露出せず、外観的にも優れたアウトセット方式の引き戸構造体1が可能となる。
図2、図3において、本発明の引き戸構造体1を側面から見たところを示す。図3は図2に於ける上枠3及びその周辺部分の拡大図である。本発明の一実施形態として、上レ−ル4aが水平片SHと該水平片SHの両側端に形成された垂下片SKからなり、断面形状で略コの字型をしている。前記上レ−ル4aの水平片SH及び垂下片SKの内側3面は略直角に形成されている。さらに、左右両垂下片SKの外側2面は互いに略平行な傾斜面で形成されている。一方、上枠3の底面に前記上レ−ル4aが装着されるレ−ル装着溝Vが形成されている。該レ−ル装着溝Vの断面形状は、前記上レ−ル4aの外側3面の形状に見合う形状となっている。また、前記上レ−ル4aの水平片SHの長手方向の左右両端近傍において、雄ネジNを差し込むためのネジ穴Hが形成されている。
本発明の建て付け調整手段7の一実施形態として次ぎのような構成となっている。すなわち、上述したような構成の上レ−ル4aと、雌ネジMとそれに螺合する雄ネジNで構成されている。すなわち、上枠3のレ−ル装着溝Vの天井面において、上レ−ル4aの水平片SHに形成されたネジ穴Hに見合う位置に、雌ネジMが形成されている。この雌ネジMは前記上レ−ル4aの左右両垂下片SKの傾斜角度αに略等しい傾斜角度と傾斜方向に形成されている。
前記上レ−ル4aの水平片SHに設けられたネジ穴Hから雄ネジNを通し、上枠3に設けられている雌ネジMに向けて前記雄ネジNをねじ込む。上レ−ル4aの少なくとも左右両端部2カ所に雌ネジMを設け、雄ネジNで上レ−ル4aを上枠3に取り付ける。この時、上レ−ル4aの左右の水平度に注意する必要がある。
前記雄ネジNを回転させて雄ネジNを雌ネジMにねじ込むと上レ−ル4aの左右両垂下片SKの外側傾斜面が上枠3のレ−ル装着溝Vの傾斜面に沿って斜昇又は斜降する構成となっている。上レ−ル4aが斜昇又は斜降することで、引き戸2と壁面Wとの隙間Uの大きさが調整可能な構成となっている。さらに、上レ−ル4aの長手方向の左右に設けられた前記雄ネジNの締め加減を調整することで、下レ−ル4bと上レ−ル4aの間隔を略等しくなるように建て付けの調整が可能となる。
また、引き戸2の上端部には上レ−ル4a内を走行する支持具5が取り付けられている。本例では、支持具5の一実施形態として、ガイドランナ−Gを例示する。ガイドランナ−Gの上端は平面視略円形の回転円盤Dが取り付けられており、該回転円盤Dが上レ−ル4aの両垂下片SKの内側面に軽く接触しながら回転し、引き戸2の走行をスム−ズになるように支持している。これ以外の支持具であっても勿論良いものとする。
一方、下レ−ル4b上には引き戸の開閉操作をスム−ズにする緩衝手段8が設けられている。また、引き戸2の下端部には走行具6が取り付けられている。走行具6の一実施形態として、本例では、左右2カ所に戸車が設けられている。この戸車は市販の戸車が利用できる。さらに、引き戸2の下方に床材Fが設けられており、該床材Fの表面には、下レ−ル4bが取り付けられている。前記下レ−ル4bの幅方向のほぼ中ほどに下レ−ル4bの長手方向に沿って所定位置に、本発明の緩衝手段8としての調整片Pを取り付けるための、調整片用の溝が設けられている。必ずしも前記溝に調整片Pを取り付ける必要は無く、溝のない平担部からなる下レ−ル4bの平担部に調整片Pを取り付けてもよいものとする。取り付けは両面粘着テ−プや接着テ−プ等を利用するとよい。これ以外の取り付け方法であってもよいものとする。
前記下レ−ル4b上に本発明の調整片Pが取り付けられており、前記引き戸2の開閉時において、前記戸車が調整片P上を回転しながら走行する構成となっている。前記調整片Pの表面は平担でなく、引き戸2を開閉する際に引き戸2の走行を適度にしかも有効に制動するための勾配及び又は凹部C(図5参照)が形成されている。該勾配や凹部Cの働きで、引き戸2の開閉時の衝撃による引き戸2の跳ね返りやガタツキの防止が有効に可能となる。
さらに、引き戸2の下部の制動部のメンテナンスや修理において、前記調整片Pを取り替えたり、又は下レ−ル4bと調整片Pとの間にスペ−サ−e(図4参照)を取り付けたり、又は取り外したり、又は、スペ−サ−eの厚みを変えたりして引き戸2の高さ調整が可能となる。しかも、下レ−ル4bの長手方向の左右の両方及び又は左右何れか片方のスペ−サ−eの厚みを変えることで前記勾配の大きさが調整可能となる。このようにして、メンテナンスや調整にそれほどの手間がかからず、しかも取り付けが簡単で、経済性にも優れたものとなる。
上レ−ル4aの建て付け調整手段7をさらに詳述する。前記上レ−ル4aの水平片SHに設けられたネジ穴Hから上枠3のレ−ル装着溝Vの天井面に調整溝Jが形成されている。該調整溝Jの位置は前記ネジ穴Hに見合う位置で、調整溝Jは上レ−ル4aの左右両垂下片SKのと略等しい傾斜角度と傾斜方向で形成されている。このようにして、前記ネジ穴Hに雄ネジNが差し込まれ、雌ネジMに向けて雄ネジNが螺合されている。前記雄ネジNを正又は逆回転させることによって、前記雄ネジNが突出したり逆に引っ込んだりする。このことによって、前記上枠3のレ−ル装着溝V内を上レ−ル4aが斜昇又は斜降する構成となっている。
前記雄ネジNを締める方向に回転させると、前記上レ−ル4aが上枠3のレ−ル装着溝V内を斜昇することとなり、上レ−ル4aの左右の両垂下片SKが本例では壁面Wから離れる方向に移動することになる。従って、引き戸2と壁面Wとの隙間Uが広くなる。
また、逆に雄ネジNを緩める方向に回転させると、前記上レ−ル4aが斜降することとなり、上レ−ル4aの左右の両垂下片SKが本例では壁面Wに近づく方向に移動することになる。従って、引き戸2と壁面Wとの隙間Uが小さくなる。
このようにして、引き戸2を取り付ける壁面Wに不陸や凹凸があったり、引き戸2の建て付けが不良であったりして、引き戸2と壁面Wが接触したり、ひどい場合はぶつかってしまって引き戸2が開閉不能になっても、前記隙間調整手段7の雄ネジNを締めることで、壁面Wとの隙間Uを有効に広げることが可能となる。
また、逆に、引き戸2の建て付けが悪く、引き戸2と壁面Wとの距離が広過ぎる場合は、前記雄ネジNを緩めると上レ−ル4bが斜降して、引き戸2と壁面Wとの隙間Uを適度に小さく調整できる。このようにして、壁面Wの凹凸や不陸に対して引き戸2と壁面Wとの隙間Uの大きさを微調整できる。
前記雄ネジNを締める方向に回転させると、前記上レ−ル4aが上枠3のレ−ル装着溝V内を斜昇することとなり、上レ−ル4aが上方へ移動する。また、逆に雄ネジNを緩める方向に回転させると、前記上レ−ル4aが斜降することとなり、上レ−ル4aが下方へ移動する。従って、床面上に設置した下レ−ル4bと上レ−ル4aの上下方向の間隔を極めて簡単な操作で、微調整可能となる。従って、建て付け不良で、床面に不陸や凹凸や傾きが生じていても、引き戸2の走行をスム−ズに行えるように建て付け調整が極めて簡単にできる。
また、上枠3に設けられた上レ−ル装着溝Vの開口部近傍において、上レ−ル4aが脱落するのを防止するためのストッパ−部材STが取り付けられている。金属製又は硬質樹脂製の部材を上レ−ル装着溝Vの左右長手方向の端部近傍に奥側と手前側それぞれ1個づつ計4個設ければよい。
ここで、上述した各部材について、好適な材料を以下に述べる。上下レ−ル4a、4b、雌ネジM、雄ネジN等の材料としては、アルミ、ステンレス、鉄に真鍮メッキ、亜鉛メッキ等を施した金属製又は硬質のポリエステル樹脂、塩ビ樹脂、ウレタン樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂成型体からなる材料が好適な材料として挙げることができる。しかしこれらに限定されるものではないものとする。
ガイドランナ−Gや回転円盤Dの材料としては、アルミ、ステンレス、鉄に真鍮メッキ、亜鉛メッキ等を施した金属製又は硬質のポリエステル樹脂、塩ビ樹脂、ウレタン樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂成型体からなる材料が好適な材料として挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではないものとする。
また、調整片Pの材質は、ジュラコン樹脂、硬質ウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂等の耐摩耗性に優れた材料が適する。これらの他にはアルミニウムなどの金属材料が適する。摩擦や摩耗に優れたものであればこれらに限られるものではない。
また、上枠3の材料としては、例えば、合板、平行合板、木削片板、平行合板の両面に中比重繊維板を張り合わせた複合材料等が好適なものとして挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではないものとする。
また、引き戸2の材料としては、合板、平行合板、木削片板、中比重繊維板等を芯組みした表裏面に薄物合板、又は薄物中比重繊維板等を張り合わせ、その表面に例えば、天然突板、塩ビ樹脂化粧シ−ト、オレフィン樹脂化粧シ−ト、薄葉紙等からなる化粧紙等を貼着して仕上げた、いわゆるフラッシュ構造の引き戸、又は合板、平行合板、木削片板、中比重繊維板等の材料をフラッシュ構造にしないで、密実構造としたものの表面に例えば、天然突板、塩ビ樹脂化粧シ−ト、オレフィン樹脂化粧シ−ト、薄葉紙等からなる化粧紙等を貼着して仕上げた、いわゆるムク構造の引き戸等が好適に用いられる。しかし、これらに限定されるものではないものとする。
図3において、本発明の建て付け調整手段7の詳細を述べる。引き戸2の高さ寸法を測定し、引き戸2を取り付ける壁面Wの所定位置に上枠3を所定位置から若干上方位置に仮止めする。上枠3のレ−ル装着溝V内に上レ−ル4aをレ−ル装着溝Vの上下方向の深さのおよそ中程になるように差し込み、ネジ穴Hから雄ネジNをを雌ネジMへ向けて螺合させ、雄ネジNを締めたり又は逆に緩めたりして上レ−ル4aの左右水平度を概略調整する。この時、上レ−ル4aの下端部が上枠3から下方へ突出して露出し外観上見苦しくならないように注意する。
上レ−ル4aと対面する床材F表面に下レ−ル4b(図2参照)を取り付ける。引き戸2の上端部のガイドランナ−Gを上レ−ル4a内に差し込み、引き戸2の下端部の戸車を下レ−ル4b上の前記調整片P上に乗せるようにして設置する。次に、ガイドランナ−Gの回転盤Dが上レ−ル4aの垂下片SKの内法高さ寸法の略中程になるようにして、前記上枠3を若干下げ、正確に取り付け高さ位置を決める。次に上レ−ルに設けられた雄ネジNを正又は逆回転させて上レ−ル4aと下レ−ル4bの間隔が略一定となるように微調整する。この時、上枠3及び下レ−ル4bの取り付けは、釘、木ネジ、接着テ−プ、接着剤、等を単独又は併用して取り付ければよい。
雄ネジNをいっぱいに締めた時、上レ−ル4aが斜昇し、上レ−ル4aの水平片SHの上面が上枠3のレ−ル装着溝Vの天井面に当接し、この時、雌ネジMを取り付ける調整溝J及び雌ネジMの深さは、若干余裕がある程度に構成されている。又、逆に雄ネジNを緩めて上レ−ル4aを斜降させた時、前記上レ−ル装着溝Vの下端部において、上レ−ル4aが抜け落ちることがないようにストッパ−部材STが設けられている。このようにして、上レ−ル4aを下方へ最大限斜降させた時、上レ−ル4aの水平片SHの内側面と前記ガイドランナ−Gの回転円盤Dの上面との間に若干の余裕があるように構成されている。このようにして、雄ネジNを締めたり、又は逆に緩めたりして上レ−ル4aを斜昇又は斜降させても、前記ガイドランナ−G及び回転円盤Dの高さ位置及び引き戸2そのものの高さ位置は変わることがないように構成されている。
また、上レ−ル4aの左右長手方向は水平度を保ちながら取り付けることを基本とするが、床面Fに不陸や凹凸が発生している場合が多々あり、ひどい場合は、床面Fそのものが左右いずれかへ傾斜している場合もある。この場合、上レ−ル4aの左右長手方向の水平度を若干犠牲にして、床面上に取り付けた下レ−ル4bとの間の間隔をなるべくほぼ等しくなるように、前記左右の雄ネジNの締め具合を変えたり調整したりして、極めて簡単な操作で、前記上下レ−ル間隔を略等しくすることが可能になる。また、前記下レ−ル4bとその上に取り付けた調整片Pとの間にスペ−サ−eを取り付ける際、スペ−サ−eの厚みを調整片Pの左右長手方向で若干変えることによっても、前記上下レ−ル間隔を極めて簡単に略等しくすることができる。
壁面Wと引き戸2との隙間Uの調整寸法Lは、上レ−ル4aの左右両垂下片SHの傾斜角度αと、上レ−ル4aの上下方向の移動寸法Tによって決まってくる。すなわち、下記の計算式による。
L=T×tanα
となる。
となる。
実際に実施する場合の好適な数値は、傾斜角度αが約15〜30度、上下移動寸法Tが約5〜25mmで、上記計算式に数値を代入すると、Lは約1.5〜15mmとなる。すなわち、引き戸2と壁面Wの隙間Uはおよそ上記の範囲で調整可能となる。
また、床面Fの傾きに対しては上下移動寸法Tは最大で約25mmまで調整可能となる。さらに、下レ−ル4bと調整片Pとの間に挿入するスペ−サ−eを利用すれば、上記の約25mmよりも大きな床面不陸にも対応可能となる。
図4及び図5において、引き戸2の下端部に設けられた緩衝手段8の詳細を述べる。図4に示すように、本発明の引き戸構造体1において、引き戸2の下端部に設けられた走行具6としての戸車が下レ−ル4bの戸車走行面fの上を走行し、引き戸2が上下レ−ル4a及び4bに沿って、壁面Wと略平行な方向に移動可能に構成されている。前記戸車走行面fの形状の好適な例として、断面形状が略V字型を挙げることができる。戸車走行面fの断面形状が略V字型であると戸車と下レ−ル4b間の摩擦抵抗が減少し、戸車の走行性にとって好ましい。前記戸車に組み込まれた回転体Rが下レ−ル4bの断面略V字型の走行面f上を回転しながら走行する。
下レ−ル4bの表面に本発明の前記調整片Pが設けられている。該調整片Pはジュラコン樹脂、硬質ウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂等の耐摩耗性に優れた材料が適する。これらの他にはアルミニウムなどの金属材料が適する。摩擦や摩耗に優れたものであればこれらに限られるものではない。
前記調整片Pの断面形状は逆三角形状又は逆台形形状が戸車の走行性にとって好適であり、調整片Pの底面の形状と大きさが前記下レ−ル4b表面の形状と大きさに見合うように構成されており、調整片Pは両面接着テ−プ、両面粘着テ−プ等で下レ−ル4bの所定位置に取り付けられている。また、前記調整片Pの長さはおよそ100〜300mm程度で、幅は下レ−ル4bに設けられた調整片用の溝の幅とほぼ一致する。前記調整片P用の溝は必ずしもなくてもよいものとする。また、下レ−ル4b表面が平担部で構成され、該平担部に本発明の調整片Pを取り付けてもよいものとする。
図5の(イ)に本発明の調整片Pの第一の実施形態を示す。本発明の調整片Pの第一の実施形態においては、調整片Pの正面(長手方向)から見た形状の例として、下レ−ル4bの端部に行くに従って昇りとなる向きに昇り勾配usが形成されており、その頂点で平坦部mに達し、該平坦部mを過ぎると、引き戸2がストッパ−部材STに当接する位置において、戸車の回転体Rが調整片Pと接する位置の箇所に、調整片Pに凹部Cが形成されている。
本発明の調整片Pの第一の実施形態によれば、引き戸2を閉める時、引き戸2がストッパ−部材STの方に行くに従って、戸車が前記昇り勾配usを昇りながら移動するので、重力の作用で戸車の走行速度が徐々に減速する。このようにして引き戸2をほどよく制動することが可能となる。
このようにして、引き戸2は徐々に減速して、戸車の回転体Rが調整片Pの平坦部mに達し、該平坦部mを通り越し、引き戸2がストッパ−部材STに当接する位置において、戸車の回転体Rが調整片Pに形成した凹部Cに達する。このように、戸車を保持し引き戸2を停止させる係止部としての凹部Cが形成されているので、戸車の回転体Rが調整片Pの凹部Cに嵌入されると、その箇所で戸車が停止し、引き戸2が係止され、この状態が維持される。
戸車が平坦部mを通り越して凹部Cに達し、回転体Rが嵌入されるタイミングと引き戸2の端部がストッパ−部材STに当接するタイミングが一致するように、下レ−ル4bへの調整片Pの取り付けの左右位置を調整することが大切である。
このようにして、引き戸2を勢いよく閉めた時に引き戸2がストッパ−部材STに勢いよく衝突して生じる衝撃や衝撃音、それによる引き戸2のガタツキ等を防止することが可能となる。
また、引き戸2がストッパ−部材STに当接する位置で下レ−ル4b上の調整片Pに、戸車を保持し引き戸2を停止させる係止部としての凹部Cが形成されているので、引き戸2がストッパ−部材STに当接する丁度良い位置で、引き戸2下端の戸車の回転体Rが凹部Cに嵌入して引き戸2を停止させることが可能で、しかも停止状態を保持できる。従って、建て付け不良で、引き戸2が完全に閉まりきらずに引き戸2が傾いたまま閉まるなどの支障が解消する。
また、引き戸2を開く際にも係止部としての凹部Cと制動部としての昇り勾配usの働きで引き戸2の開時動作においても、同様の理由で引き戸2のスム−ズな移動が可能になる。従って、スム−ズな引き戸2の開閉が可能となるのである。
また、前記制動部としての昇り勾配us、係止部としての凹部Cとも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからず、施工後、長期間使用の後、引き戸2の建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、引き戸2の制動力を調整するための制動部としての昇り勾配usの調整については、前記調整片Pと下レ−ル4bの間に調整片Pの取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−eを適宜位置に挿入することで極めて簡単に再調整可能となる。また、引き戸2の停止位置を調整するための係止部としての凹部Cの位置の調整については、下レ−ル4bの長さ方向において、前記調整片Pの取り付け位置を微調整すれば簡単に調整できる。
図5の(ロ)において、本発明の調整片Pの第二の実施形態を示す。本発明の調整片Pの正面(長手方向)から見た形状の例として、ストッパ−部材STの方に行くに従って昇りとなる向きに昇り勾配usが形成されており、その頂点で平坦部mに達し、該平坦部mを過ぎると、逆にストッパ−部材STの方に行くに従って下りとなる向きに下り勾配dsが形成されている。
本発明の調整片Pの第二の実施形態によれば、引き戸2を閉める時、引き戸2がストッパ−部材STの方に行くに従って、下レ−ル4bに装着した調整片P上を戸車が走行する時、戸車が前記調整片Pに形成した昇り勾配usを昇りながら重力の作用で戸車の走行速度が減速される。このことで、引き戸2をほどよく制動することが可能で、引き戸2を勢いよく閉めた時に引き戸2がストッパ−部材STに衝突して生じる衝撃や衝撃音や、それによる引き戸2のガタツキを防止できる。
また、係止部として、引き戸2がストッパ−部材STに当接する位置で下レ−ル4bに設けた調整片Pに、戸車を保持し、引き戸2を停止させる係止部として、所定の下り勾配dsが形成されている。従って、引き戸2がストッパ−部材STに当接する位置で前記戸車が調整片Pに形成された下り勾配dsに達し、戸車及び引き戸2をストッパ−部材STの方に向けて付勢する付勢力が働くので、この位置で引き戸2がストッパ−部材STに当接した状態でストッパ−部材STへ向けて付勢されている。従って、引き戸2が停止し且つ停止状態が保持できる。このことによって、引き戸2が完全に閉まりきらないことによる支障、すなわち、引き戸2が傾いたまま閉まるなどの支障が解消する。
また、引き戸2を開く際にも係止部としての下り勾配dsと制動部としての昇り勾配usの働きで引き戸2の開時動作においても、同様の理由で引き戸2のスム−ズな移動が可能になる。従って、スム−ズな引き戸2の開閉が可能となる。
また、前記制動部としての昇り勾配us、係止部としての下り勾配dsとも、構造が簡単であり従って、保守管理やメンテナンスに手間がかからない。すなわち、施工後、長期間使用の後、引き戸2の建て付け状態が変化し、再調整の必要が生じても、引き戸2の制動力を調整するための、制動部としての昇り勾配usを調整する場合は、前記調整片Pと下レ−ル4bの間に、前記調整片Pの取り付け高さを微調整するための適宜厚さのスペ−サ−eを適宜位置に挿入することで簡単に再調整できる。また、引き戸2の停止位置を調整するための、係止部としての下り勾配dsの位置を調整する場合は、前記調整片Pの取り付け左右位置(下レ−ル4bの長手方向での位置)を微調整することで極めて簡単に再調整可能となる。
本発明の調整片Pの昇り勾配us、下り勾配ds、凹部Cの大きさは引き戸2の下端部に設けられた戸車の走行性能によって異なる。引き戸2に採用される戸車及びそれに用いられている回転体Rが決定すれば、実際の寸法に従って、下レ−ル4b及び引き戸2を試作し、例えば仮型としての木製の調整片Pを作製し、実際に引き戸を走行させて試験し、昇り勾配us、下り勾配ds、凹部Cの大きさを決めればよい。また、下レ−ル4bに対する調整片Pの取り付け位置も合わせて試験し決定すればよい。図4、図5において、下レ−ル4b及び調整片Pの形状、取り付け構造は、向かって左側のみ図示したが、向かって右側半分も左側と左右対称又はそれに近い大きさと形状に設計すればよい。前記木製の仮型で調整片Pの形状、寸法が決まれば、前記硬質合成樹脂成型体又はアルミニウム等の金属を用いて調整片Pを作製すればよい。
1 引き戸構造体
2 引き戸
K 開口部
W 壁面
F 床材
3 上枠
V レ−ル装着溝
4a 上レ−ル
SH 水平片
SK 垂下片
H ネジ穴
4b 下レ−ル
5 支持具
G ガイドランナ−
D 回転円盤
6 走行具
R 回転体
ST ストッパ−部材
7 建て付け調整手段
J 調整溝
M 雌ネジ
N 雄ネジ
T 上下移動寸法
α 傾斜角度
L 隙間調整寸法
U 隙間
8 緩衝手段
P 調整片
f 戸車走行面
e スペ−サ−
us 昇り勾配
ds 下り勾配
C 凹部
m 平担部
2 引き戸
K 開口部
W 壁面
F 床材
3 上枠
V レ−ル装着溝
4a 上レ−ル
SH 水平片
SK 垂下片
H ネジ穴
4b 下レ−ル
5 支持具
G ガイドランナ−
D 回転円盤
6 走行具
R 回転体
ST ストッパ−部材
7 建て付け調整手段
J 調整溝
M 雌ネジ
N 雄ネジ
T 上下移動寸法
α 傾斜角度
L 隙間調整寸法
U 隙間
8 緩衝手段
P 調整片
f 戸車走行面
e スペ−サ−
us 昇り勾配
ds 下り勾配
C 凹部
m 平担部
Claims (4)
- 建物の開口部の上部に上レ−ルが壁面から突出するように設けられると共に、上レ−ルが開口部側方に延出するように略水平に取り付けられており、上レ−ルと略対面位置に開口部下部の下レ−ルが上レ−ルと略平行に取り付けられており、上下レ−ルの間に引き戸が走行可能なように、引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動し、引き戸下端部に設けた走行具が下レ−ル上を走行する引き戸構造体において、上レ−ルが上枠内に収納されており、下レ−ルに設けた引き戸開閉時の緩衝手段と、上レ−ルに設けた建て付け調整手段とを備えていることを特徴とする引き戸構造体。
- 引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動するガイドランナ−であり、引き戸の下端部に設けた走行具が戸車であり、前記緩衝手段が、所定の形状と寸法を有し、その表面に所定の大きさの昇り勾配と凹部が形成された調整片であり、引き戸の閉時に引き戸が移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸上端部のガイドランナ−が上レ−ル端部に当接する位置で、前記戸車が調整片に設けた凹部に嵌入し引き戸が停止するように、前記調整片が下レ−ルの所定位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の引き戸構造体。
- 引き戸上端部に設けた支持具が上レ−ル内を移動するガイドランナ−であり、引き戸の下端部に設けた走行具が戸車であり、前記緩衝手段が、所定の形状と寸法を有し、その表面に所定の大きさの昇り勾配と下り勾配が形成された調整片であり、引き戸の閉時に引き戸が移動するに従って前記戸車が昇り勾配に向かい、引き戸上端部のガイドランナ−が上レ−ル端部に当接する位置で、前記戸車が調整片に設けた下り勾配に達し、引き戸が上レ−ル端部及び下レ−ル端部に向けて付勢されるように、前記調整片が下レ−ルの所定位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の引き戸構造体。
- 前記上レ−ルが水平片と該水平片の両側端に設けられた垂下片から成り、断面略コの字型形状で、上レ−ルの水平片及び両垂下片の内側3面は略直角に形成され、両垂下片の外側2面は互いに略平行な傾斜面で形成されており、上レ−ルの外側3面に略等しい大きさ、形状のレ−ル装着溝が形成された上枠に上レ−ルが収納され、上レ−ルの水平片から上枠に向けて垂下片の傾斜面と略等しい傾斜角度を有する調整溝が形成され、該調整溝に雌ネジが形成され、それに螺合する雄ネジが設けられており、前記建て付け調整手段が、雄ネジの回転によって上レ−ルが上枠の上レ−ル装着溝内を斜昇又は斜降することで壁面と引き戸間の隙間及び上下レ−ル間隔を調整することであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の引き戸構造体。
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-
2004
- 2004-05-27 JP JP2004158076A patent/JP2005336882A/ja active Pending
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