JP2009174293A - 間仕切壁における引戸装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
中心間隔で90cm毎に支柱を配した間仕切壁において、バリアーフリー法を満たす80cm以上の有効間口を確保した引戸装置を提供する。
【解決手段】
所定間隔毎に立設した支柱1間にパネル体2を装着した構造の間仕切壁Aにおいて、一対の支柱間を開放して出入口とし、出入口を構成する両支柱及び一方の支柱に隣接する他の支柱を用い、これら3本の支柱の上部で表裏一側面に渡って、レール12を前面に有するレール部材4を横設し、引戸3の上端両側部に設けた吊車13をレールに吊支して左右移動可能とし、引戸の下端に沿って設けた下方開放の凹溝部14内に、中央部の支柱の近傍で下端前方位置に設けた水平回転可能なガイドローラ6を受け入れて案内するとともに、引戸の少なくとも全開時に凹溝部の終端に前記ガイドローラの支持台15に直接又は緩衝部材を介して当止してなる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、間仕切壁における引戸装置に係わり、更に詳しくはバリアーフリー法を満たす有効間口を設けることが可能な間仕切壁における引戸装置に関するものである。
従来から、間仕切壁の一部に出入口となる開閉扉を設けることは周知であり、開閉扉として回動扉や引戸が用いられている。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアーフリー法)では、建築物に、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する居室を設ける場合等には、出入口の幅を80cm以上にすること、戸を設ける場合には、車椅子使用者が容易に開閉して通過できる構造とし、かつ、その前後に高低差がないことが要求されている。従って、バリアーフリー法を満たすために、間仕切壁の出入口には通常は吊下げ式の引戸が設けられることが多い。
通常の引戸装置は、特許文献1に開示されているように、引戸枠部材と、該枠部材の一側に形成された戸袋内に収納される引戸扉と、戸袋とより構成されている。引戸扉の戸先部の表裏に設ける把手部分としては、一般的に丸パイプを略U字状に曲げて形成するものが多いが、把手と戸袋入口の引戸枠との間での指詰めを防止するために、開放時の引き残し部分を十分に設ける必要があった。それを改善するために、特許文献1に記載のものは、引戸扉表面材の適所に、摩擦抵抗の大なる平板部材を貼着して把手部分としたのである。
ここで、特許文献2には、引戸を構成する表面板の一側端に沿った上下全長に、溝部又は凸部を設けて把手とした構造が開示されている。また、特許文献3には、左右方向くガイドレールに上端部を吊支されて移動する引戸本体における戸当り側の側端縁に、前記引戸本体の上下長とほぼ等長をなすとともに、前後面にほぼ全長に亘って1対の把手部を有する縁材を取付けた引戸が開示されている。
一方、所定間隔毎に立設した支柱間にパネル体を装着した構造の間仕切壁あるいは所定間隔毎に立設した両側支柱の表裏両面又は片面にパネル板を取付けた構造の間仕切壁において、一対の支柱間を開放して出入口を設け、該出入口を開閉する引戸を間仕切壁に設ける場合、引戸を全開しても十分広い有効間口を確保することは難しい。その理由は、通常の普及型の間仕切壁においては、支柱は中心間隔で90cmに設定され、それに応じて横桟やパネル体等の寸法が決められているため、出入口の支柱間隔のみを広げることは現実的ではなく、正味の支柱間隔が最大でも高々85cmであり、しかも把手や施錠装置を設けるため最低限の引き残し幅を確保する必要があるからである。従来、把手部分を工夫して有効間口を広げる試みがなされているが、中心間隔で90cmの支柱を備えた間仕切壁において、バリアーフリー法を満たす有効間口80cm以上の引戸装置を設けたものは提供されてなかった。また、既設の間仕切壁に後施工にて引戸装置を設ける場合も同様である。
特開2007−092394号公報 特開2003−213974号公報 特開2001−146878号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、中心間隔で90cm毎に支柱を配した間仕切壁において、バリアーフリー法を満たす80cm以上の有効間口を確保した引戸装置を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、所定間隔毎に立設した支柱間にパネル体を装着した構造の間仕切壁あるいは所定間隔毎に立設した両側支柱の表裏両面又は片面にパネル板を取付けた構造の間仕切壁において、一対の支柱間を開放して出入口とし、該出入口を構成する両支柱及び一方の支柱に隣接する他の支柱を用い、これら3本の支柱の上部で表裏一側面に渡って、レールを前面に有するレール部材を横設し、前記出入口を閉鎖し得る横幅を有する引戸の上端両側部に設けた吊車を前記レールに吊支して左右移動可能とし、前記引戸の下端に沿って設けた下方開放の凹溝部内に、中央部の支柱の近傍で下端前方位置に設けた水平回転可能なガイドローラを受け入れて案内するとともに、前記引戸の少なくとも全開時に前記凹溝部の終端に前記ガイドローラの支持台に直接又は緩衝部材を介して当止してなることを特徴とする間仕切壁における引戸装置を構成した(請求項1)。
ここで、前記間仕切壁は、所定間隔毎に立設した支柱間に、該支柱よりも奥行き方向の厚さが小さなパネル体を装着した構造であり、出入口を構成する一対の支柱の上部間に、一側面が該支柱の表裏一側面と略面一になるようにビーム部材を架設するとともに、出入口を構成する一方の支柱と該支柱に隣接する他の支柱との間に位置する前記パネル体の表面で、前記ビーム部材と略同じ高さ位置に、該支柱とパネル体の段差を埋めるレール受けを取付け、表裏一側面側で3本の支柱とその間に設けた前記ビーム部材とレール受けを略面一とし、前記ビーム部材とレール受けに沿わせた状態で、3本の支柱に跨って前記レール部材をネジ止めしてなることが好ましい(請求項2)。
また、前記引戸の戸先側端部に設けたエッジ部材の表裏両面に上下方向に延びた凹溝を形成して引手部としてなることが好ましい(請求項3)。
更に、3本の支柱のうち中央部の前記支柱に施錠杆が前記引戸の戸尻側に向けて出没する施錠具を設けるとともに、前記引戸の戸尻側表面に施錠状態の施錠杆を押し戻して解除する解除機能と施錠機能を備える操作具を設けてなることも好ましい(請求項4)。
また、前記引戸の上端両側部に吊支部材を介して前記吊車を設け、前記レール部材に引戸が全閉状態で戸先側の吊支部材を当止するストッパーを取付けてなることも好ましい(請求項5)。
そして、隣接する両支柱の中心間隔が90cmであり、前記引戸の全開時の有効間口を80cm以上となるように寸法設定してなるのである(請求項6)。
以上にしてなる請求項1に係る発明の間仕切壁における引戸装置は、間仕切壁の一対の支柱間を開放して出入口とし、引戸を間仕切壁の一側面側に突出して配置し、引き違い可能な構造としたことにより、有効間口を最大にすることができ、しかも一対の支柱間を開放し、上部にレール部材を横設して引戸を吊下げ式に設けるので、施工が容易であり、既設の間仕切壁にも後施工によって簡単に引戸装置を設けることができる。また、3本の支柱のうち中央部の支柱の下端近傍に設けたガイドローラを引戸下端に設けた凹溝部内に受け入れて案内するので、引戸の開閉時の動作が安定であるとともに、出入口の床面に高低差がないので、バリアーフリー法に適合したものとなる。例えば、支柱の中心間隔が90cmで、支柱の横幅が5cmとした場合、引戸の引き残し幅を5cm以下にすれば、有効間口80cmを確保できるのである。
請求項2によれば、支柱とパネル体の表面とに段差があっても、その段差をレール受けによって埋めることができるので、レール部材の取付強度が高くなるとともに、出入口の上部枠をビーム部材で構成するので外観性にも優れたものとなる。具体的には、既設の間仕切壁からパネル体を一枚取り除き、その取り除いた両支柱の上部間にビーム部材を取付けるとともに、隣接するパネル体の上部表面にレール受けを取付けて、表裏一側面側で3本の支柱とその間に設けた前記ビーム部材とレール受けを略面一としたことにより、ビーム部材とレール受けに沿わせた状態で、3本の支柱に跨ってレール部材を確実にネジ止めすることができ、レール部材の取付強度が高くなるのである。
請求項3によれば、前記引戸の戸先側端部に設けたエッジ部材の表裏両面に上下方向に延びた凹溝を形成して引手部としてなることにより、引戸が全開時における引き残し幅を最小にすることが可能であるとともに、引手部が引戸の上下全高に渡って設けられるので、背の高さが大きく異なっても、また車椅子使用者も最適な位置を持って開閉操作することができる。
請求項4によれば、3本の支柱のうち中央部の前記支柱に施錠杆が前記引戸の戸尻側に向けて出没する施錠具を設けるとともに、前記引戸の戸尻側表面に施錠状態の施錠杆を押し戻して解除する解除機能と施錠機能を備える操作具を設けてなるので、間仕切壁の支柱と引戸が引き違い可能な配置となっていても、最小の引き残し幅に設定しても、引戸の閉止時に引戸の戸尻側と支柱の重なり部分を利用して施錠装置を設けることができる。つまり、引戸の全閉時の戸尻の位置をガイドローラと凹溝部との係合関係で固定することで、下部にレールがない引戸においても引き違い戸錠で施錠可能となる。
請求項5によれば、前記引戸の上端両側部に吊支部材を介して前記吊車を設け、前記レール部材に引戸が全閉状態で戸先側の吊支部材を当止するストッパーを取付けてなるので、引戸が全閉時に急停止した際に、その慣性力によって引戸に面内回転力が生じないようになり、吊車がレールから外れることを防止できる。
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る間仕切壁における引戸装置の簡略正面図、図2〜図12は本発明の要部を示し、図中符号Aは間仕切壁、Bは引戸装置、1は支柱、2はパネル体、3は引戸、4はレール部材、5はビーム部材、6はガイドローラをそれぞれ示している。
本実施形態に係る間仕切壁Aは、簡易間仕切に属するものであり、床面F上に一定間隔毎に支柱1,…を立設し、隣接する支柱1,1間にパネル体2を装着した構造である。ここで、前記パネル体2は、その上端と天井S間に連結ビーム7を介して欄間パネル8を積層して構成している。前記支柱1の両側面には係合溝9,9を形成し、前記パネル体2と欄間パネル8の両側端を嵌合して保持し、前記パネル体2と欄間パネル8とは互いの上下端面に形成した溝内に前記連結ビーム7を嵌合する。また、通常は、前記支柱1の上端を天井Sに固定した天レール10内に嵌合して保持し、隣接する支柱1,1の下端間にはアジャスター機能を備えた巾木11を設ける。また、本実施形態では前記間仕切壁Aは、所定間隔毎に立設した支柱1,1間に、該支柱1よりも奥行き方向の厚さが小さなパネル体2と欄間パネル8を装着した構造である。
隣接する前記支柱1,1の中心間の間隔は、通常90cmに設定されている。また、本実施形態では、前記支柱1は断面形状が一辺5cmの正方形で、アルミ押出し型材で構成している。前記パネル体2は、スチール製の表裏パネル板間に紙製ハニカムを接着した軽量構造であり、前記引戸3も同様なパネル構造となっている。
本発明に係る間仕切壁における引戸装置Bは、図2及び図3に示すように、所定間隔毎に立設した支柱1,1間にパネル体2を装着した構造の間仕切壁Aあるいは所定間隔毎に立設した両側支柱の表裏両面又は片面にパネル板を取付けた構造の間仕切壁において、一対の支柱1,1間を開放して出入口Eとし、該出入口Eを構成する両支柱1,1及び一方の支柱に隣接する他の支柱1を用い、これら3本の支柱の上部で表裏一側面に渡って、レール12を前面に有するレール部材4を横設し、前記出入口Eを閉鎖し得る横幅を有する引戸3の上端両側部に設けた吊車13,13を前記レール12に吊支して左右移動可能とし、前記引戸3の下端に沿って設けた下方開放の凹溝部14内に、中央部の支柱1の近傍で下端前方位置に設けた水平回転可能なガイドローラ6を受け入れて案内するとともに、前記引戸3の少なくとも全開時に前記凹溝部14の終端に前記ガイドローラ6の支持台15に直接又は緩衝部材を介して当止してなるものである。
ここで、出入口Eを構成する一対の支柱1,1の上部間に、一側面が該支柱1の表裏一側面と略面一になるようにビーム部材5を架設するとともに、出入口Eを構成する一方の支柱1と該支柱1に隣接する他の支柱1との間に位置する前記パネル体2の表面で、前記ビーム部材5と略同じ高さ位置に、該支柱1とパネル体2の段差を埋めるレール受け5Aを取付け、表裏一側面側で3本の支柱1とその間に設けた前記ビーム部材5とレール受け5Aを略面一とし、前記ビーム部材5とレール受け5Aに沿わせた状態で、3本の支柱1,…に跨って前記レール部材4をネジ止めして横設するのである。そして、前記レール受け5Aを取付けた前記パネル体2の前面は、前記引戸3を開放した際に該引戸3を収容する空間となる。
前記レール部材4は、図2、図3及び図4に示すように、垂直な基板16の上縁に水平な上板17を一体形成した断面逆L字状のアルミ押出し型材で構成し、前記レール12は基板16の下部に前記上板17と同じ方向に向けて突設している。
前記ビーム部材5は、図2、図4〜図6に示すように、断面形状が上下方向に長い略長方形のアルミ押出し型材で構成し、上下面に長さ方向に凹溝18,18を形成したものである。そして、3本の前記支柱1,…の上部で隣接する支柱1,1間に、一側面が該支柱1の表裏一側面と略面一になるようにビーム部材5を架設するのである。そうすることによって、前記支柱1,…の一側面とビーム部材5の一側面が略面一となり、この面側で両ビーム部材5,5に沿わせて前記レール部材4をネジ止めして固定するのである。ここで、前記ビーム部材5の一側面の下縁に沿って突縁19を突設することにより、該突縁19に前記レール部材4の基板16の下端が当止し、正確且つ確実にレール部材4を保持することができる。また、前記ビーム部材5の内部の下方位置には、両側面板を連結する補強板500を渡設している。
前記レール受け5Aは、図4、図5及び図7に示すように、断面形状が上下方向に長い偏平なアルミ押出し型材で構成し、前記支柱1とパネル体2の表面との段差を埋める厚さを有し、前記レール部材4を取付ける固定板501の上下縁に後方へ向けて上片502と下片503を形成するとともに、固定板501の背面に前記パネル体2の表面に当接する保高部504を一体形成し、更に前記固定板501の表面下縁に沿って前記突縁19と同様の突縁505を形成したものである。
そして、前記ビーム部材5の端部を支柱1の側面に連結するには、L字状金具20を用いて連結し、前記レール受け5Aの端部を支柱1の側面に連結するには、コ字状金具21を用いて連結する。前記ビーム部材5とレール受け5Aに沿わせた状態で前記レール部材4を取付けるので、該レール部材4で引戸3を吊下げ式に支持する場合には、前記ビーム部材5とレール受け5Aが確実に固定されている必要がある。
前記L字状金具20は、前記ビーム部材5の補強板500にネジ止めする水平板201と、前記支柱1の係合溝9内にネジ止めする下方へ向いた垂直板202とを有し、予め前記ビーム部材5の端部から水平板201を補強板500の下側に挿入し、該水平板201を補強板500にネジ203,203にて固定しておき、前記垂直板202を前記支柱1の係合溝9に嵌合した状態でネジ204,204にて取付ける。尚、前記水平板201にはネジ203,203を螺合する螺孔205,205を形成し、前記垂直板202にはネジ204,204を挿通する通孔206,206を形成している。また、前記ビーム部材5の両端部であって、前記補強板500にネジ203,203を挿通する通孔207,207を形成するとともに、その直上の凹溝18内には、前記ネジ203,203とドライバーを挿入するための挿通孔208,208を形成している。
前記コ字状金具21は、前記支柱1の係合溝9の外側に位置する側面コーナー部にネジ止めして取付ける横幅の狭い固定部211と、該固定部211の上下端に平行に屈曲した上取付片212と下取付片213とを有し、前記固定部211には支柱1へ取付けるネジ214,214を挿通する通孔215,215を形成し、前記上取付片212と下取付片213にはそれぞれ前記レール受け5Aをネジ216,216にて固定するための螺孔217,217を形成している。そして、前記コ字状金具21の固定部211を前記パネル体2の前面の支柱1側面にネジ214,214で取付けた後、前記レール受け5Aを前面側から前記パネル体2の前面に接合し、上片502と下片503の間に上取付片212と下取付片213を受け入れ、前記上片502の端部に形成した通孔506に上方から通したネジ216を上取付片212の螺孔217に螺合するとともに、前記下片503の端部に形成した通孔507に下方から通したネジ216を下取付片213の螺孔217に螺合して取付ける。
そして、前記ビーム部材5とレール受け5Aに、前記レール部材4の基板16を接合し、各突縁19,505に当止して沿わせた状態で、3本の支柱1,…に跨って前記レール部材4をネジ22,…にて取付ける。このように、前記ビーム部材5の一側面、レール受け5Aの固定板501、支柱1,…の前面は略面一になっているので、前記レール部材4の基板16を接合して強固にネジ止めすることができる。
前記パネル体2の上端面の中央には、長手方向に凹溝23が形成されており、該凹溝23に連結ビーム7を嵌合するとともに、該連結ビーム7に前記欄間パネル8の下端面に設けた同様の凹溝23に嵌合して連結する。尚、前記パネル体2自体も上下に複数に分割した分割パネル2A,…を積層して構成することもある。
前記引戸3は、図2、図3及び図10に示すように、下端に沿って下方開放の凹溝部14を設けるとともに、戸先側端部にエッジ部材24を設け、該エッジ部材24の表裏両面に上下方向に延びた凹溝を形成して引手部25,25としている。そして、前記引戸3の上端両側部に吊支部材26,26を介して吊車13,13を設け、前記レール12の上を転動するようになっている。つまり、前記引戸3は吊下げ式であり、下端は床面Fに接触しないようになっている。
そして、図9及び図10に示すように、前記出入口Eを構成する中央部の支柱1の下端部前面に前記支持台15を取付部27でネジ止めし、該支持台15の上部に前記ガイドローラ6が垂直な回動軸で支持されている。更に詳しくは、前記支持台15は正面視コ字形を有し、上板151に前記ガイドローラ6を回転可能に設けるとともに、下板142は後方に延びて前記取付部27に連続している。前記取付部27は、前記支柱1の前面と一側面に接合するL字状固定部271と該L字状固定部271の正面側下端から前方に延び、前記支持台15の下板142に連続する接地板272とを有し、前記L字状固定部271を支柱1の前面にネジ273,273で固定するとともに、前記接地板272を適宜床面Fにネジ274にて固定する。
前記ガイドローラ6は、前記支持台15を含めて前記引戸3の凹溝部14の内部に受け入れられ、該引戸3の開閉動作時に凹溝部14の前後壁面に当接して所定の直線軌道で移動するように案内している。ここで、前記吊支部材26には、高さ調節機能と脱輪防止機能が備わっている。
また、前記引戸3の凹溝部14の両終端のうち、戸先側終端は前記エッジ部材24と凹溝部14の上面とに取付けた端部金具28となっており、戸尻側の終端は引戸3を構成する表面板の折り返し部分の内側に固定した端部金具29となっている。前記端部金具28の内側には緩衝部材30を突設し、前記端部金具29の内側にも緩衝部材31を添設している。そして、前記引戸3の全閉時に前記支持台15が前記端部金具28に突設した緩衝部材30に当接する。一方、前記引戸3を全開時には前記ガイドローラ6あるいは支持台15は、通常の動作では前記緩衝部材31に当接しないように間隔を開けている。これは、寸法誤差によって前記引戸3が全閉するより前に、前記緩衝部材31が前記ガイドローラ6に接触するのを防止するためである。
また、3本の支柱1,…のうち中央部の前記支柱1(出入口Eを構成する)に施錠杆が前記引戸3の戸尻側に向けて出没する施錠具32を設けるとともに、前記引戸3の戸尻側表面に施錠状態の施錠杆を押し戻して解除する解除機能と施錠機能を備える操作具33を設けている。この施錠具32と操作具33からなる施錠装置は、引き違い戸錠とも呼ばれている。このように、吊下げ式の前記引戸3の戸尻側に引き違い戸錠を設けることができるのは、この施錠装置を設ける支柱1の下端近傍に配置したガイドローラ6で、該引戸3の開閉時の軌道を一定に保っているからである。
更に詳しくは、前記エッジ部材24は、アルミ押出し型材であり、前記引手部25,25を表裏両面に突出しないように形成するとともに、端部にゴム製のクッション体34を嵌着している。前記クッション体34の出入口側の一側端には、戸先側の支柱1に引戸3が全閉時に当接する戸当り部35を突設している。また、前記出入口Eに面する両支柱1,1の係合溝9,9には、カバー部材36をそれぞれ装着して溝を塞いでいる。
更に、図6〜図8に示すように、前記レール部材4には、前記引戸3の上端と前記吊支部材26,26、吊車13,13及びレール12等が隠れるように、断面逆L字状のレールカバー37を取付けている。前記レールカバー37は、垂直な化粧板38とその上端に直角に形成した上カバー39とからなり、該上カバー39を前記レール部材4の上板17の上面に凹凸嵌合させて重ね、両板をネジで連結して取付ける。こうして、前記レール部材4とレールカバー37とで下方開放した箱状物が構成されるが、その両端に合成樹脂製の端部キャップ40を装着している。
ここで、前記レール部材4の上板17の上面基端側には溝部17Aを形成し、前記レールカバー37の上カバー39の下面端部に沿って形成した前後のリブ37A,37Aを嵌合するようになっている。また、前記上カバー39の前側のリブ37Aの後側と、化粧板38の背面下端に沿って断面C字形のC字形溝37B,37Bを形成している。そして、前記端部キャップ40の内側面で上端後部と前下端の二箇所に突設したピン40A,40Aを前記C字形溝37B,37Bに嵌挿するとともに、上端後部に突設した取付片40Bを前記上カバー39の前後のリブ37A,37A間に挿入し、更に前記端部キャップ40の内側面で前縁に沿って突設した板状の当止片40Cを、前記レールカバー37の化粧板38の背面端縁に当止して仮固定する。それから、前記レールカバー37を両端の端部キャップ40,40を仮固定した状態で、その上カバー39を前記レール部材4の上板17の上面に載置するとともに、両リブ37A,37Aとその間の取付片40Bを溝部17Aに嵌合し、前記上カバー39の通孔37Cに上方から挿通したネジ37Dを、前記取付片40Bの通孔40Dに貫通させて前記溝部17Aの底面の螺孔17Bに螺合する。点検時に、両側の前記ネジ37D,37Dを外し、そのとき例え端部キャップ40をレールカバー37から抜き忘れても、該レールカバー37をレール部材4から容易に取外すことができる。その際に、レールカバー37に端部キャップ40に仮固定されたままでも、合成樹脂製の端部キャップ40が破損することがない。
本発明の引戸装置Bの動作とその他の構造について図11及び図12に基づいて説明する。図11は、引戸3の全閉状態を示し、図12は引戸3の全開状態を示している。前記引戸3は、間仕切壁Aに対して引き違い状態で開閉するように構成している。そのため、既設の間仕切壁Aの一部に後施工により構築することも可能である。また、既に従来タイプの引戸が設けられていた場所にも本発明の引戸装置に付け替えることができる。図12において、前記引手部25が露出するように引き残し幅を5cm以下に抑えることにより、前記クッション体34と他方の支柱1との間に有効間口80cm以上を確保するのである。
前記レール部材4の上板17の下面で両端部寄り位置に所定長さのラック41,41を取付けるとともに、前記引戸3の両側部で前記吊車13,13の内側位置に回転ダンパー42,42を取付け、該回転ダンパー42の軸に固定したピニオン43を前記ラック41に噛合するように構成している。つまり、前記引戸3を閉じるときには、全閉状態となる前から戸先側のピニオン43が対応するラック41に噛合して回転し、それにより回転ダンパー42が抵抗の大きい方向に回転するので、引戸3の閉止動作が減速される。全閉状態から引戸3を開く場合には、当該回転ダンパー42が抵抗の少ない方向に回転するので動作は軽い。一方、前記引戸3を開くときには、全開状態となる前から戸尻側のピニオン43が対応するラック41に噛合して回転し、それにより回転ダンパー42が抵抗の大きい方向に回転するので、引戸3の開放動作が減速される。全開状態から引戸3を閉じる場合には、当該回転ダンパー42が抵抗の少ない方向に回転するので動作は軽い。従って、前記引戸3を勢い良く開いても、閉じてもその終端では動作が減速されるのである。
また、前記レール部材4の基板16には、図11及び図12に示すように、引戸3が全閉状態で戸先側の吊支部材26を当止するストッパー44を取付けている。このストッパー44の取付位置は左右方向に微調整できるようになっており、前記戸当り部35が戸先側の支柱1の側面に当接した際に、戸先側の吊支部材26を正確に当止できるようにする。このように、ストッパー44をレール12の近傍に設けることにより、引戸3が全閉時に急停止した際の慣性力による面内回転力が生じないようになり、吊支部材26の脱輪防止機能と併せて吊車13がレール12から外れることを防止できる。
通常は、前記引戸3が全開時には、戸当り部35が戸先側の支柱1の側面に当接し、ストッパー44に戸先側の吊支部材26が当止して静止するが、勢いよく引戸3を閉じて前記戸先側の回転ダンパー42で十分に減速されなかった場合、前記ストッパー44を支点として引戸3の下部が戸先側支柱3の方向に回転し、戸先側の吊車13がレール12から外れようとするが、引戸3の戸尻側に設けた緩衝部材31が、該引戸3が傾いたときにガイドローラ6あるいは支持台15に当接するようにすることで、レール12から吊車13が外れることを防止することができる。
最後に、前記間仕切壁Aの構造を図13〜図16に基づいて簡単に説明する。図13に示すように、両支柱1,1の係合溝9,9にパネル体2の両端部を嵌合して保持する。ここで、前記パネル体2は、上下に複数に分割した分割パネル2A,…を断面略H字形の横桟7Aを介して上下方向に連結する。前記横桟7Aは、中央部に偏平四角形の芯部46を有し、上下に凹部47,47を有している。前記横桟7Aの芯部46の内部には、L字形金具48の水平片49を挿入して上方からネジ止めするとともに、L字形金具48の垂直片50を支柱1の係合溝9の段落部に嵌合し、側方からネジ止めする。そして、前記横桟7Aの上下の凹部47,47には上下に位置する分割パネル2A,2Aの上下端部が嵌合して保持される。
図14は、パネル体2が全て分割パネル2A,…と横桟7A,…で構成された実施例である。それに対して、図15は、分割パネル2A,2Aとガラス板51,51を組み合わせたものである。分割パネル2A,2A同士は、前記横桟7Aを用いて連結するが、分割パネル2Aとガラス板51とは横桟52を用いる。この横桟52には、上下一方に前記分割パネル2Aを嵌合する凹部53と他方にはガラス板51を保持するための凹溝54を有し、該凹溝54にパッキン55を介してガラス板51を保持するようになっている。尚、ガラス板51の両端は、前記支柱1の係合溝9に嵌合する樹脂製フレーム材と、該フレーム材に嵌合し、パッキン35とは形状が異なるが取付方法が同様の別パッキンにて保持している。また、前記横桟52も前記L字形金具48で支柱1に連結する。
図16は、全てガラス板51,…で構成し、上下のガラス板51,51を横桟56を介して上下に積層した構造である。前記横桟56は、上下に凹溝57,57に前記同様のパッキン55を介してガラス板51を保持するようになっている。この場合も、ガラス板51の両端は、前記支柱1の係合溝9に前記同様のパッキン55を介して保持している。また、前記横桟52も前記L字形金具48で支柱1に連結する。
このように、前記横桟7Aに加えて、分割パネル2Aとガラス板51を連結する横桟52と、ガラス板51,51同士を連結する横桟56を用いることにより、間仕切壁Aを分割パネル2Aやガラス板51を組み合わせて構成した場合でも、各横桟7A,52,56の上下幅を同じにすることにより、各横桟7A,52,56が混在している場合でもそれらの間隔を一致させることができるので、分割パネル2Aとガラス板51の上下幅を揃え、横方向に連続的な外観とすることができる。
本発明に係る間仕切壁における引戸装置の簡略正面図である。 本発明の引戸装置の要部縦断面図である。 同じく引戸装置の要部横断面図である。 支柱とビーム部材とレール受け及びレール部材の関係を示す部分分解斜視図である。 ビーム部材を支柱間に取付け、レール受けをパネル体の前面上部で支柱間に取付けた状態の部分正面図である。 ビーム部材にレール部材及びレールカバーを取付けた状態の縦断面図である。 レール受けにレール部材及びレールカバーを取付けた状態の縦断面図である。 ビーム部材、レール部材及びレールカバーの関係を示す部分分解斜視図である。 出入口を構成する一対の支柱のうち、一方の支柱の下端部に支持台を取付けてガイドローラを設けた状態の部分斜視図である。 引戸の下部の凹溝部と支持台及びガイドローラとの関係を示す部分正面図である。 引戸の全閉状態を示し、(a)は簡略横断面図、(b)は簡略正面図である。 引戸の全開状態を示し、(a)は簡略横断面図、(b)は簡略正面図である。 間仕切壁の横断面図である。 同じく間仕切壁の縦断面図である。 分割パネルとガラス板を組み合わせた間仕切壁の縦断面図である。 ガラス板のみで構成した間仕切壁の縦断面図である。
符号の説明
A 間仕切壁、 B 引戸装置、
1 支柱、 2 パネル体、
2A 分割パネル、 3 引戸、
4 レール部材、 5 ビーム部材、
6 ガイドローラ、 7 連結ビーム、
7A 横桟、 8 欄間パネル、
9 係合溝、 10 天レール、
11 巾木、 12 レール、
13 吊車、 14 凹溝部、
15 支持台、 16 基板、
17 上板、 18 凹溝、
19 突縁、 20 L字状金具、
21 コ字状金具、 22 ネジ、
23 凹溝、 24 エッジ部材、
25 引手部、 26 吊支部材、
27 取付部、 28 端部金具、
29 端部金具、 30 緩衝部材、
31 緩衝部材、 32 施錠具、
33 操作具、 34 クッション体、
35 戸当り部、 36 カバー部材、
37 レールカバー、 38 化粧板、
39 上カバー、 40 端部キャップ、
41 ラック、 42 回転ダンパー、
43 ピニオン、 44 ストッパー、
46 芯部、 47 凹部、
48 L字形金具、 49 水平片、
50 垂直片、 51 ガラス板、
52 横桟、 53 凹部、
54 凹溝、 55 パッキン、
56 横桟、 57 凹溝、
E 出入口、 F 床面、
S 天井。

Claims (6)

  1. 所定間隔毎に立設した支柱間にパネル体を装着した構造の間仕切壁あるいは所定間隔毎に立設した両側支柱の表裏両面又は片面にパネル板を取付けた構造の間仕切壁において、一対の支柱間を開放して出入口とし、該出入口を構成する両支柱及び一方の支柱に隣接する他の支柱を用い、これら3本の支柱の上部で表裏一側面に渡って、レールを前面に有するレール部材を横設し、前記出入口を閉鎖し得る横幅を有する引戸の上端両側部に設けた吊車を前記レールに吊支して左右移動可能とし、前記引戸の下端に沿って設けた下方開放の凹溝部内に、中央部の支柱の近傍で下端前方位置に設けた水平回転可能なガイドローラを受け入れて案内するとともに、前記引戸の少なくとも全開時に前記凹溝部の終端に前記ガイドローラの支持台に直接又は緩衝部材を介して当止してなることを特徴とする間仕切壁における引戸装置。
  2. 前記間仕切壁は、所定間隔毎に立設した支柱間に、該支柱よりも奥行き方向の厚さが小さなパネル体を装着した構造であり、出入口を構成する一対の支柱の上部間に、一側面が該支柱の表裏一側面と略面一になるようにビーム部材を架設するとともに、出入口を構成する一方の支柱と該支柱に隣接する他の支柱との間に位置する前記パネル体の表面で、前記ビーム部材と略同じ高さ位置に、該支柱とパネル体の段差を埋めるレール受けを取付け、表裏一側面側で3本の支柱とその間に設けた前記ビーム部材とレール受けを略面一とし、前記ビーム部材とレール受けに沿わせた状態で、3本の支柱に跨って前記レール部材をネジ止めしてなる請求項1記載の間仕切壁における引戸装置。
  3. 前記引戸の戸先側端部に設けたエッジ部材の表裏両面に上下方向に延びた凹溝を形成して引手部としてなる請求項1又は2記載の間仕切壁における引戸装置。
  4. 3本の支柱のうち中央部の前記支柱に施錠杆が前記引戸の戸尻側に向けて出没する施錠具を設けるとともに、前記引戸の戸尻側表面に施錠状態の施錠杆を押し戻して解除する解除機能と施錠機能を備える操作具を設けてなる請求項1〜3何れかに記載の間仕切壁における引戸装置。
  5. 前記引戸の上端両側部に吊支部材を介して前記吊車を設け、前記レール部材に引戸が全閉状態で戸先側の吊支部材を当止するストッパーを取付けてなる請求項1〜4何れかに記載の間仕切壁における引戸装置。
  6. 隣接する両支柱の中心間隔が90cmであり、前記引戸の全開時の有効間口を80cm以上となるように寸法設定してなる請求項1〜5何れかに記載の間仕切壁における引戸装置。
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