実施例に係る間仕切パネル装置につき、図1から図11を参照して説明する。以下、図2の紙面左側を間仕切パネル装置の正面側(前方側)とし、図2の紙面右側を間仕切パネル装置の背面側(後方側)として説明する。
間仕切パネル装置1は、例えば、学校やオフィス等の建物内の部屋や空間を複数の区画に仕切って分割するために、天井から床面に亘って複数のパネルを取付けてなるものであり、パネルとして透明のガラスパネル4(パネル体)が使用されることにより区画空間の開放感を演出することができるとともに強度や遮音性に優れる。
図1及び図2に示されるように、実施例における間仕切パネル装置1は、天井Cに固定され左右に延びる上部パネル支持体2と、床面Fに固定され左右に延びる下部パネル支持体3と、の間に複数のガラスパネル4,4,…が前後に離間させて取付けられた二重ガラスパネル構造になっている。また、間仕切パネル装置1には、所定位置において前後一対のガラスパネル4,4を取付けない部分を設けることにより出入口Gが構成されており、この出入口Gを開閉するための引戸式の吊戸11が設けられている。
尚、間仕切パネル装置1の出入口Gには、吊戸11により出入口Gを閉めた状態(図7参照)において、吊戸11の戸頭側の側端部が当接する戸当8と、吊戸11により出入口Gを開けた状態(図1及び図6参照)において、吊戸11を引き込むための戸袋9が設けられている。
次いで、ガラスパネル4,4,…の構造について詳しく説明する。尚、上部パネル支持体2と下部パネル支持体3との間に前後に離間させて取付けられるガラスパネル4,4は、同一構成であるため、間仕切パネル装置1の前方側に取付けられるガラスパネル4について説明し、後方側に取付けられるガラスパネル4についての説明を省略する。
図2に示されるように、各ガラスパネル4は、2枚の透明な板ガラス4a,4aを重合して強化した合わせガラスであるパネル本体4bと、該パネル本体4bの上端面4c及び下端面4eに両面接着テープあるいはホットメルト接着剤5によりそれぞれ固定された上部縁材6及び下部縁材7と、から構成されている。尚、現場での取付けや施工時間を短縮するために、予め工場等においてパネル本体4bに上部縁材6及び下部縁材7を取付け、ガラスパネル4をユニット化しておくとよい。尚、パネル本体4bとしては、透明なアクリル製の板材が使用されてもよい。
また、左右に隣接するガラスパネル4,4の対向端部同士は、透明度の高い樹脂製のジョイント材40(図6参照)が充填されることにより上下方向の枠を使用しなくとも左右方向の連結が可能になっている。
次いで、上部縁材6について詳しく説明する。尚、前方側に取付けられるガラスパネル4の上部縁材6について説明する。図3に示されるように、ガラスパネル4を構成する上部縁材6は、側面視クランク形状をなし、パネル本体4bの上端面4cに両面接着テープあるいはホットメルト接着剤5により固定される水平板60と、水平板60の後端から上方に向けて延びる挿入板61と、水平板60の前端からパネル本体4bに沿って下方に向けて所定距離延びる垂下板62と、を有している。尚、上部縁材6は、アルミ合金製の押出成形品である。
垂下板62は、パネル本体4bの前面側に沿って当接することにより、上部パネル支持体2と下部パネル支持体3との間にガラスパネル4が取付けられた状態において、パネル本体4bに対して後方側から水平方向に応力が働いた場合にパネル本体4bが抜け出ないように支持できるようになっている。また、垂下板62がパネル本体4bの前面側に沿って当接するため、パネル本体4bの上端面4cに対して水平板60を固定する際に、前後方向の位置合わせを行いやすくなっている。
また、水平板60の長手方向及び前後方向の寸法をパネル本体4bの上端面4cの長手方向及び前後方向の寸法とそれぞれ略同寸にすることにより、水平板60とパネル本体4bの上端面4cの間の接着面積が大きくなり、両面接着テープあるいはホットメルト接着剤5による接着力が高められている。
挿入板61の前後方向の寸法は、後述する上部挿入溝27の前後方向の寸法よりも小さくなっており、ガラスパネル4を斜めに傾斜させたまま挿入板61を上部挿入溝27内に挿入できるとともに、挿入板61が上部挿入溝27内に挿入された状態のまま、ガラスパネル4を回動させて垂直に立ち上げることができる。尚、挿入板61のたわみを利用してガラスパネル4を回動させるようにしてもよく、この場合には、上部挿入溝27と挿入板61との前後方向の隙間は必須ではない。
尚、挿入板61を切欠く等して長手方向の寸法をパネル本体4bの上端面4cの長手方向の寸法よりも短寸に形成することにより、挿入板61の側面を下方から視認でき、挿入板61を後述する上部支持部材22の上部挿入溝27に挿入させるための位置合わせと挿入作業を容易に行えるようにしてもよい。また、挿入板61は、水平板60に対して複数形成されてもよい。
次いで、下部縁材7について詳しく説明する。尚、前方側に取付けられるガラスパネル4の下部縁材7について説明する。図4に示されるように、ガラスパネル4を構成する下部縁材7は、パネル本体4bの下端面4eに両面接着テープあるいはホットメルト接着剤5により固定される水平板70と、水平板70の前端からパネル本体4bの前面に沿って上方に向けて延びる支持片71と、水平板70の前端から下方に向けて突設される当接片72と、水平板70の後端から下方に向けて突設される係合片73と、から構成されている。尚、下部縁材7は、アルミ合金製の押出成形品である。
支持片71は、水平板70の前端からパネル本体4bの前面に沿って上方に向けて所定距離延び、上部パネル支持体2と下部パネル支持体3との間にガラスパネル4が取付けられた状態において、パネル本体4bに対して後方側から水平方向に応力が働いた場合にパネル本体4bが抜け出ないように支持できるようになっている。
当接片72は、下部縁材7の水平板70の前端から下方に向けて突設され、下方に向けて後述する巾木30側(後方側)に漸次拡張した形状をなし、当接片72の下端に形成される当接面72aが後述する下部支持部材32の当接面38dに上方から当接することにより、ガラスパネル4から下方向にかかる荷重と、ガラスパネル4が前方側に倒れる方向にかかる荷重を支持できるようになっており、ガラスパネル4の取付け状態における安定性を高めている。
係合片73は、下部縁材7の水平板70の後端から下方に向けて突設され、下方に向けて巾木30側に漸次減縮した形状をなし、後述する下部支持部材32の被係合部38cに係合可能になっている。言い換えれば、係合片73の前方側には、下方に向けて前方側から後方側へ傾斜する傾斜面73bが形成されている。また、係合片73の後方側には、パネル本体4bの後面4dと略面一となる垂直面73aが形成されている。
また、下部縁材7の水平板70の長手方向及び前後方向の寸法をパネル本体4bの下端面4eの長手方向及び前後方向の寸法とそれぞれ略同寸にすることにより、下部縁材7の水平板70とパネル本体4bの下端面4eの間の接着面積が大きくなり、両面接着テープあるいはホットメルト接着剤5による接着力を高められるようになっている。
次いで、吊戸11について詳しく説明する。図2に示されるように、吊戸11は、前述したパネル本体4bの上下方向の寸法と略同寸の1枚の強化ガラスである吊戸本体11aと、吊戸本体11aの上端部において左右方向に離間させて取付けられる吊支装置15,15(図5参照)と、から主に構成されている。尚、吊支装置15,15は、同一構成であるため、一方の吊支装置15について説明し、他方の吊支装置15についての説明を省略する。
吊戸本体11aには、戸頭側の前後両面に側面視略コ字状をなす把手12,12(図1参照)がそれぞれ取付けられることにより、吊戸11の開閉を行いやすくなっている。また、吊戸本体11aには、吊戸11により出入口Gを閉めた状態(図7参照)において、吊戸11を施錠するための施錠手段13が設けられている。
また、吊戸本体11aの戸頭側の側端部には、吊戸11により出入口Gを閉める際に、戸当8に設けられる後述する戸当部材83に当接する保護材14が上下方向に亘って取付けられている。尚、保護材14は、透光性と耐衝撃性が高いポリカーボネート製であり、吊戸本体11aに取付けられた状態において目立ち難く、吊戸11により出入口Gを閉める際の衝撃から吊戸本体11aを保護できるようになっている。
尚、吊戸本体11aの上端部は、所定位置を切欠かれることにより凹凸形状(図5参照)をなしており、後述する吊支装置15の支持ボルト18や挟持板19,19を締結するためのボルト19b,19bに緩衝しないようになっている。また、吊支装置15は、下方に窪む当該凹部に取付けられるため、吊戸本体11aの凸部の上端を天井Cに近づけた構成とすることができる。
図3及び図5に示されるように、吊支装置15は、吊戸本体11aの上端部に取付けられ、後述するレール部26内を左右方向(レール部26の延伸方向)に走行可能なローラ部16と、該ローラ部16に吊戸本体11aを連結する連結部17と、から主に構成されている。
ローラ部16は、後述する支持ボルト18の胴部18bが螺合される基部16aと、基部16aの前後面に左右方向に離間して前後一対ずつ軸支される走行ローラ16b,16b,16b,16bと、から構成され、後述するレール部26の走行板26a,26a上を左右方向に滑らかに走行できるようになっている。
連結部17は、ローラ部16の基部16aに螺合され下方に延びる支持ボルト18と、支持ボルト18に対して前後から取付けられる一対の挟持板19,19と、から主に構成されている。
支持ボルト18は、頭部18aを下方に向けた状態でローラ部16の基部16aに螺合されるとともに、予め胴部18bに挿通されるナット18cとその頭部18aとの間に挟持板19,19の左右略中央から対向するように延出する連結片19a,19aを上下に重ねて配置した状態で締結することにより、支持ボルト18に対して挟持板19,19を強固に固定できるようになっている。尚、後段にて詳述するが挟持板19,19は、支持ボルト18に固定されることによりレール部26の下方に配置された状態になっている。
挟持板19,19には、左右方向に離間して前後方向に貫通する図示しない貫通孔が穿設されており、この貫通孔にボルト19b,19bを挿通して締付けることにより、挟持板19,19の前後方向の離間寸法を調整できるようになっている。これによれば、吊戸本体11aの上端部をレール部26の下方に配置される挟持板19,19間に下方から挿入した状態でボルト19b,19bを締付けることにより、吊戸本体11aの上端部を挟持板19,19により挟持して強固に固定することができる。また、前述したように、吊戸本体11aの上端部は切欠かれて凹凸形状をなしているため、挟持板19,19間における位置合わせが行いやすく、吊戸11をレール部26に吊支するための取付け施工を容易に行うことができるようになっている。
尚、レール部26には、吊戸11の戸尻側に取付けられる吊支装置15のローラ部16に接触するストッパ16cが所定位置に設けられることにより、吊戸11が戸袋9内に必要以上に引き込まれないように吊戸11の移動を規制することができるため、吊戸本体11aの戸尻側の側端部が戸袋9内において後述する中柱92等に衝突することを防いでいる。また、ストッパ16cには、ショックアブソーバが内蔵されており、吊支装置15のローラ部16が接触した際の衝撃を吸収できるようになっている。
次いで、上部パネル支持体2について詳しく説明する。図2及び図3に示されるように、天井Cには、側面視下向きコ字状をなす笠木20が天井裏に配置される側面視上向き略コ字状をなす固定部材29と複数の固定ボルト50,50,…によって連結されることにより、天井Cを挟み込むようにして強固に固定されている。このとき、笠木20の天板20aには、笠木20の延伸方向に沿って複数の連結金具21,21,…(図2及び図3では、1つの連結金具21のみを示している)が固定ボルト50,50,…によって笠木20と共締めされることにより固定されている。さらに、連結金具21,21,…には、笠木20の下方から外嵌される後述する上部支持部材22の連結部24が複数の連結ボルト21a,21a,…によって一体に連結されている。言い換えれば、上部支持部材22は、天井Cに対して笠木20と一体に取付けられるようになっている。尚、連結金具21は、板材を複数重ね合わせることにより構成されており、板材の枚数を変更することで笠木20に外嵌される上部支持部材22の高さ位置を調整可能になっている。また、固定ボルト50と連結ボルト21aの説明の便宜上、図3においては、連結ボルト21aの胴部を破線で表示している。
尚、本実施例における上部パネル支持体2は、笠木20と上部支持部材22を合わせたものとなっている。また、上部パネル支持体2を構成する笠木20と上部支持部材22は、アルミ合金製の押出成形品である。
上部支持部材22は、下方から前後方向に対向する側面視略L字状の走行板26a,26aからなるレール部26(レール)と、走行板26a,26aの上下略中央からそれぞれ前後方向外側に向けて延びる前方支持部25及び後方支持部25’(取付部)と、前述した連結金具21に下方から当接する前後一対の当接片24b,24bを有する側面視ロ字状の連結部24と、から主に構成されている。
また、上部支持部材22には、笠木20の前後の側板20b,20bの外面に沿って上方に延び前方支持部25及び後方支持部25’を構成する前後の起立板25a,25aと、前後の起立板25a,25aの間に形成される連結部24と、前後の起立板25a,25aの間に形成されるレール部26と、から側面視上向き略コ字状構造の上向き開放部分である嵌合部23が形成され、笠木20を下方から覆うように外嵌される。尚、前方支持部25及び後方支持部25’の構造は、同一構成であるため、前方支持部25の構造について説明し、後方支持部25’の構造についての説明を省略する。
連結部24は、レール部26を構成する前後の走行板26a,26aを笠木20の内部で前後方向に連結する連結板24aと、連結板24aの上面から上方に延び連結金具21に下方から当接する前後一対の当接片24b,24bと、当接片24b,24bを前後方向に連結するとともに上部支持部材22と連結金具21とを一体に連結するための連結ボルト21aが挿通される取付板24cと、から構成されている。
前方支持部25は、前方側の起立板25aの上端から前方に向けて延びる上板25bと、上板25bの前端から下方に向けて延び起立板25aと対向する対向板25cと、から主に構成され、起立板25aと上板25bと対向板25cの3つの板から側面視下向き略コ字状の上部挿入溝27が形成されている。
また、対向板25cの下端は、起立板25aの下端よりも上方に形成されている。言い換えれば、上部挿入溝27の開口部27a(開口下端部)は、起立板25aの下端よりも上方に形成されている。
また、対向板25cには、前方側に向けて係止部25dが形成されており、前面カバー部材10bが係止されることにより取付けられ、上部パネル支持体2に対するガラスパネル4の取付け構造を隠せるようになっている。
レール部26は、連結部24を構成する連結板24aの前後両端から下方に延び端部同士が前後方向に対向して側面視略L字状に形成される走行板26a,26aから構成されており、走行板26a,26aの対向端部間、すなわちレール部26の前後略中央において下方に開放する開口部26bが形成されるとともに、連結部24の連結板24aと前後の走行板26a,26aにより上部支持部材22の内部に側面視矩形状の空間が形成されている。
レール部26内には、前述した吊支装置15のローラ部16を配置できるようになっており、前後方向に対向する走行板26a,26a上を走行ローラ16b,16b,16b,16bが走行できるようになっている。また、レール部26の開口部26bからは、ローラ部16の基部16aに螺合される吊支装置15の支持ボルト18を下方に突出させることができ、レール部26の下方に支持ボルト18に固定される挟持板19,19を配置できるようになっている。尚、レール部26の開口部26bは、吊支装置15のローラ部16が配置されるレール部26内の前後寸法よりも走行板26a,26aの前後寸法分だけ狭くなるように構成されているため、レール部26内に配置される吊支装置15のローラ部16が見え難くなり、美観を高めることができる。
また、レール部26の走行板26a,26aの前後方向外側には、係止部26c,26cがそれぞれ形成されており、左右方向に延びる側面視略L字状のレールカバー28,28(図1,図3参照)がそれぞれ係止されることにより取付けられ、レール部26の下方において、レール部26及びレール部26に吊支される吊戸11の吊支装置15,15、すなわち、吊戸11の吊支構造を隠せるようになっている。尚、レールカバー28,28は、上部支持部材22の前後の起立板25a,25aに対して上下方向にそれぞれ略面一になるように取付けられる。
次いで、下部パネル支持体3について詳しく説明する。図2及び図4に示されるように、床面Fには、側面視上向きコ字状をなす巾木30が複数のアンカーボルト51,51,…により固定されている。このとき、巾木30の底板30aには、側面視上向きコ字状をなす案内部材31がアンカーボルト51,51,…によって巾木30と共締めされることにより固定されている。
巾木30の内部には、巾木30の底板30aと、巾木30の前後の側板30b,30bと、案内部材31の側板31b,31bとから巾木30の延伸方向に亘って前後一対の側面視上向きコ字状の開口部33,33が形成され、開口部33,33の所定位置には、アジャスタ機構34,34がそれぞれ配設されている。尚、アジャスタ機構34は、各開口部33において左右方向に離間した状態で少なくとも2つ以上設けられている。
アジャスタ機構34,34は、開口部33,33内でそれぞれ前後に亘って設けられる基部34a,34aと、基部34a,34aに設けられるねじ孔34b,34bに上方から螺合されるアジャスタボルト35,35と、から構成され、基部34a,34aは、側面視略L字状の脚部34c,34cを介して巾木30の底板30aに固定されている。尚、アジャスタ機構34,34は、基部34a,34aが巾木30の前後の側板30b,30bに溶接固定され、脚部34c,34cの下端部が巾木30の底板30aに溶接固定されることにより開口部33,33内にそれぞれ強固に固定されているため、前後に取付けられるガラスパネル4,4の荷重を受けても変形することがない。
アジャスタボルト35,35は、基部34a,34aのねじ孔34b,34bに対する締付け具合により、開口部33,33の上方に突出する頭部35a,35aの高さ位置を調整可能となっている。そのため、前方側の開口部33の上方から外嵌される下部支持部材32及び後方側の開口部33の上方から外嵌される下部支持部材32’をアジャスタボルト35,35の頭部35a,35aにより下方から支持できるとともに、巾木30に対する下部支持部材32,32’の高さ位置を個別に調整でき、下部パネル支持体3のレベル調整を行いやすい。また、下部支持部材32,32’は、前後方向において分割されることにより施工時の運搬や取付け作業が行いやすく、施工性が高められている。
尚、本実施例における下部パネル支持体3は、巾木30と下部支持部材32を合わせたものとなっている。さらに尚、下部パネル支持体3を構成する巾木30と下部支持部材32,32’は、アルミ合金製の押出成形品である。また、下部支持部材32,32’の構造は、同一構成であるため、前方側に取付けられる下部支持部材32の構造について説明し、後方側に取付けられる下部支持部材32’の構造についての説明を省略する。
下部支持部材32は、巾木30の上方に突出するアジャスタボルト35の頭部35aにより支持される上方支持板37と、上方支持板37の前端から下方に延び巾木30の前方側の側板30bの外面側に配置される支持部38と、上方支持板37の後端から下方に延び案内部材31の前方側の側板31bの内面に沿って下方に向けて延びる案内板39と、から構成されている。
また、下部支持部材32には、支持部38において上方支持板37の前端から巾木30の前方側の側板30bの外面に沿って下方に向けて延びる支持板38aと、上述した上方支持板37及び案内板39と、から構成される側面視下向きコ字状構造の下向き開放部分である嵌合部36が形成され、巾木30の前方側の開口部33を上方から覆うように外嵌される。
支持部38は、上述した支持板38aと、支持板38aの下端から前方に向けて延びる水平板38bと、から主に構成され、水平板38bの上面側には、前述した下部縁材7の係合片73と係合する被係合部38cと、当接片72と当接する当接面38dが形成される。
被係合部38cは、支持板38aの前面側に相当する垂直面38eと、支持板38aの下端から前方側に向けて斜め上方向に傾斜する傾斜面38fと、から構成されている。言い換えれば、被係合部38cは、前方側から下方に向けて巾木30側(後方側)に漸次減縮した形状をなし、前述したガラスパネル4の係合片73と係合可能になっている。また、被係合部38cに係合片73が係合されると、被係合部38cの傾斜面38fは、係合片73の傾斜面73bと当接し、被係合部38cの垂直面38eは、係合片73の垂直面73aと当接した状態となっているため、ガラスパネル4が浮き上がる等して前方側に移動した場合であっても、被係合部38cの傾斜面38fの傾斜に沿って係合片73が滑り、被係合部38cの垂直面38eと係合片73の垂直面73aとが当接した状態に戻るように案内される。
当接面38dは、被係合部38cの前方側に形成され、前述したガラスパネル4の当接片72が上方から当接することにより、ガラスパネル4から下方向にかかる荷重と、ガラスパネル4が前方側に倒れる方向にかかる荷重を支持できるようになっており、ガラスパネル4の取付け状態における安定性を高めている。
また、被係合部38c及び当接面38dの下方には、係止部38gが形成されており、前面カバー部材10bが係止されることにより取付けられ、下部パネル支持体3とガラスパネル4の取付け構造を隠せるようになっている。
尚、下部支持部材32は、アジャスタ機構34により高さ位置の調整が行われた後、係止部38gに前方側からビス52が打ち込まれることにより、巾木30と強固に固定される。
また、巾木30の前後略中央には、案内部材31の底板31aと、案内部材31の前方側の側板31bの内面に沿って下方に向けて延びる下部支持部材32の案内板39と、案内部材31の後方側の側板31bの内面に沿って下方に向けて延びる下部支持部材32’の案内板39と、から凹溝90が形成され、レール部26に吊支される吊戸11(吊戸本体11a)の下端部が緩嵌された状態で配置できるようになっている。
これによれば、間仕切パネル装置1に取付けられる前後一対のガラスパネル4,4の対向面間に吊戸11を移動可能に吊支することができる。すなわち、吊戸11により出入口Gを開けた状態(図6参照)において、吊戸11を引き込むための戸袋9を間仕切パネル装置1に取付けられる前後一対のガラスパネル4,4の対向面間に構成することができる。
また、吊戸11の下端部は、下部パネル支持体3に形成される凹溝90内に配置されているため、吊戸11の下端部が外部から見えないように隠せるようになっており、戸袋9内の美観が高められている。さらに、凹溝90は前後方向に狭く構成されているため、吊戸11の前後方向への揺動を凹溝90内でガイドすることができ、吊戸11を安定して吊支できるようになっている。
また、組み立て時において、凹溝90により下部パネル支持体3に対する吊戸11の下端部の位置決めを容易に行うことができるため、下部パネル支持体3に吊戸11の案内構造を構成するための施工が容易になる。さらに、吊戸11の開閉時においては、吊戸11の下端部は、凹溝90内に沿ってガイドされるようになっている。
また、巾木30及び案内部材31を共に側面視上向きコ字状に構成することにより、厚さの薄い巾木30の底板30a及び案内部材31の底板31aから凹溝90の底面の厚さが構成されるため、吊戸11の下端を床面Fの近傍まで延ばすことができる。
尚、間仕切パネル装置1の出入口Gと戸袋9以外の部分において、上部パネル支持体2には、少なくともレール部26を被覆する図示しない上面カバー部材を取付け、下部パネル支持体3には、少なくとも凹溝90を被覆する下面カバー部材10c(図1参照)を取付けることにより、間仕切パネル装置1の内面側の美観を高めることができる。尚、間仕切パネル装置1の内面側とは、出入口Gと戸袋9以外の部分において前後一対のガラスパネル4,4により仕切られる空間のことである。
次いで、間仕切パネル装置1における戸袋9について詳しく説明する。図1及び図6に示されるように、戸袋9は、上部パネル支持体2及び下部パネル支持体3により支持される前後一対のガラスパネル4,4と、ガラスパネル4,4の対向面間において上部パネル支持体2のレール部26と下部パネル支持体3との間で上下に延びる中柱92と、戸袋端部9aの前後略中央に上下方向に亘って形成され吊戸11を出し入れ可能な開口部9bと、から主に構成されている。
図6に示されるように、中柱92は、上面視H字状をなし、左右方向から側面カバー部材10e,10eがそれぞれ取付けられている。
また、中柱92の前後両面には、上下方向に延びる縦溝92a,92aがそれぞれ設けられ、この縦溝92a,92aには、衝撃緩衝材としての役割を果たす透明のチューブ状をなす弾性部材93,93が上下方向に亘ってそれぞれ嵌め込まれている。弾性部材93,93は、中柱92の立設位置において、左右に隣接するガラスパネル4,4に当接することにより、戸袋9側に対する間仕切パネル装置1の内面側の遮蔽性が高められ、間仕切パネル装置1の内面側への虫や塵等の侵入を防げるようになっている。また、中柱92は、ガラスパネル4,4の対向面間に設けられ、間仕切パネル装置1から外方に露出しないため、美観が高められる。
尚、中柱92は、アルミ合金製の押出成形品であり、上部パネル支持体2及び下部パネル支持体3と比べて明度が高くなっている。これによれば、間仕切パネル装置1の外観において、中柱92を相対的に目立ち難くすることができる。尚、中柱92を透明なアルリル樹脂成形品としてもよく、この場合にはさらに中柱92が目立ち難くなる。
また、中柱92は、左右に隣接するガラスパネル4,4の対向端部間に充填されるジョイント材40による連結部分(連設部)に配置されるようになっている。これによれば、間仕切パネル装置1の外観において、左右に隣接するガラスパネル4,4のジョイント材40による連結部分に中柱92を重畳させることにより、中柱92を目立ち難くすることができる。
また、吊戸11が吊支されるレール部26の荷重が中柱92を介して床面F側の下部パネル支持体3により支持されることにより、レール部26における吊戸11の吊支強度を高め、レール部26の撓み等を抑えることができる。
戸袋9の開口部9bは、笠木20と巾木30との間に前後方向に離間して立設される前後一対の戸袋支柱94,94と、戸袋支柱94,94に前後からそれぞれ外嵌される戸袋フレーム95,95とから主に構成されている。尚、前後の戸袋支柱94,94及び戸袋フレーム95,95は、同一構成であるため、間仕切パネル装置1の前方側(図6紙面下方側)に取付けられる戸袋支柱94及び戸袋フレーム95について説明し、後方側に取付けられる戸袋支柱94及び戸袋フレーム95についての説明を省略する。
戸袋フレーム95は、戸袋支柱94が外部に露出しないように隠すカバー部95aと、ガラスパネル4の後面4dに当接することにより間仕切パネル装置1の構造強度を高める当接部95bと、前面カバー部材10bを係止させて取付けるための係止部95cと、から構成されている。
戸袋フレーム95の当接部95bには、戸袋9内において、吊戸本体11aに対して上下方向に亘って当接するブラシ状のモヘアシール96が設けられることにより、吊戸本体11aを傷付けることなく戸袋9の開口部9bに対する戸袋9側の遮蔽性を高めることができ、戸袋9内への虫や塵等の侵入を防ぐことができる。尚、モヘアシール96は、吊戸11により出入口Gを閉めた状態(図7参照)においても吊戸本体11aに対して常時当接するようになっている。
また、戸袋9内は、中柱92により間仕切パネル装置1の内面側に対する遮蔽性が高められているため、吊戸11により出入口Gを開ける際に戸袋9内に吊戸11が引き込まれていく過程において、吊戸11により押し込まれた戸袋9内の空気が、モヘアシール96を通過して戸袋9の開口部9bから外部(出入口G側)に向かって流出することにより、戸袋9内への虫や塵等の侵入を抑えられるようになっている。
戸袋フレーム95の当接部95bには、前方側から取付けられるガラスパネル4,4の後面4dに当接し、衝撃緩衝材としての役割を果たすゴム製の弾性部材97が嵌め込まれている。
戸袋フレーム95の係止部95cには、前面カバー部材10bが係止されることにより取付けられ、戸袋フレーム95に対するガラスパネル4の取付け構造を隠せるようになっている。
次いで、間仕切パネル装置1における出入口Gについて詳しく説明する。図1及び図8に示されるように、間仕切パネル装置1の出入口Gは、下部パネル支持体3(巾木30及び下部支持部材32)が延設されていない床面Fと、上部パネル支持体2と、左右に設けられる戸当8及び戸袋9と、から形成され、間仕切パネル装置1において前後にガラスパネル4,4が取付けられないことにより構成される。尚、出入口Gにおいて、床面Fには、後段にて詳述する吊戸ガイド91(図10参照)が設けられている。
図9に示されるように、間仕切パネル装置1の出入口Gにおいて、上部パネル支持体2の上部支持部材22には、前後の前方支持部25及び後方支持部25’にガラスパネル4,4を取付ける必要がないため、前後の対向板25c,25cに設けられる係止部25d,25dに対して前述した前面カバー部材10bの代わりに出入口用前面カバー部材10d,10dが取付けられる。尚、出入口用前面カバー部材10dは、前面カバー部材10bと略同一形状であり、下端部が上部支持部材22の係止部26cに取付けられるレールカバー28に当接する位置まで延び、前面カバー部材10bとの連続性を維持しながら、上部支持部材22における前方支持部25及び後方支持部25’の構造を隠せるようになっている。さらに、前面カバー部材10bと出入口用前面カバー部材10dの上下寸法は略同じであり、略同じ高さに取付けられるため、出入口Gと戸袋9の上端において前面カバー部材10b及び出入口用前面カバー部材10dが連続性を持って配置されることとなり、美観に優れる。
また、図10に示されるように、間仕切パネル装置1の出入口Gにおいて、戸袋9の開口部9bの近傍の床面Fには、側面視上向き略コ字状をなす吊戸ガイド91がビス98により固着され、吊戸11(吊戸本体11a)の下端部が床面Fに固着される基部91aから前後に立設するガイド片91b,91b間において近接した状態で配置されている。尚、ガイド片91b,91bの前後方向の離間寸法は、戸袋9の開口部9bの前後寸法よりも小さくなっている。これによれば、吊戸11の下端部がガイド片91b,91b間においてガイドされることにより、吊戸11の前後方向への揺動を抑えることができる。
図7に示されるように、間仕切パネル装置1の出入口Gにおいて、戸当8は、笠木20と巾木30との間に立設される支柱80と、支柱80に対して間仕切パネル装置1の内面側から外嵌される側部支持部材81及び間仕切パネル装置1の出入口G側から外嵌される戸当フレーム82と、から主に構成されている。
側部支持部材81は、ガラスパネル4,4の後面4d,4dに当接することにより間仕切パネル装置1の構造強度を高める前後一対の当接部81b,81bと、前面カバー部材10b,10bを前後に係止させるための前後の係止部81c,81cと、から主に構成されている。また、側部支持部材81には、当接部81b,81bを前後方向に連結する連結板81dと、前後の係止部81c,81cと、から構成される上面視略コ字状構造の開放部分である嵌合部81aが形成され、支柱80を間仕切パネル装置1の内面側(左方側)から覆うように外嵌される。
当接部81b,81bには、前後から取付けられるガラスパネル4,4の後面4d,4dにそれぞれ当接し、衝撃緩衝材としての役割を果たすゴム製の弾性部材87,87が取付けられている。尚、前後の当接部81b,81bの間には、間仕切パネル装置1の内面側から側面カバー部材10eが係止されることにより取付けられ、側部支持部材81の構造を隠せるようになっている。
係止部81c,81cには、前面カバー部材10b,10bがそれぞれ係止されることにより取付けられ、側部支持部材81に対する前後のガラスパネル4,4の取付け構造を隠せるようになっている。
戸当フレーム82は、支柱80が外部に露出しないように隠す前後のカバー部82b,82bと、吊戸11の戸頭側の側端部に取付けられる保護材14が当接する戸当部82cと、から構成され、戸当部82cには、吊戸本体11aの側端部と当接し、衝撃緩衝材としての役割を果たすゴム製の戸当部材83が取付けられている。また、戸当フレーム82には、戸当部82cと、前後のカバー部82b,82bと、から構成される上面視略コ字状構造の開放部分である嵌合部82aが形成され、支柱80を出入口G側(右方側)から覆うように外嵌される。
次いで、戸袋9における上部パネル支持体2及び下部パネル支持体3に対するガラスパネル4の取付け方法について説明する。尚、ここでは、予め上部パネル支持体2及び下部パネル支持体3に対して戸袋9を構成する後方側のガラスパネル4を取付け、レール部26内に配置された吊支装置15の挟持板19,19に吊戸本体11aを取付けた状態において、最後に前方側のガラスパネル4(以下、単にガラスパネル4ともいう)を取付ける場合を例に挙げて説明する。
図11(a)に示されるように、まず、ガラスパネル4の上方を上部パネル支持体2側に傾斜させた状態で持ち、ガラスパネル4の上端に固定された上部縁材6の挿入板61を上部パネル支持体2の前方支持部25に設けられた上部挿入溝27に挿入する。このとき、ガラスパネル4に設けられた挿入板61の後方側の垂直面61aを前方支持部25の起立板25aに当接させて上方に向けて滑らせることにより、上方に位置する上部挿入溝27へ挿入板61を案内させることができるので、上部挿入溝27に対する挿入板61の挿入を安全に且つ確実に行うことができる。
次に、図11(b)に示されるように、上部挿入溝27に挿入板61が挿入された状態で当該箇所を中心としてガラスパネル4の下端を下部パネル支持体3に近接させるように回動させ、ガラスパネル4の下端を略水平に移動させる。このとき、ガラスパネル4を持ち上げ、上部挿入溝27に挿入板61の略全体が挿入されている状態でガラスパネル4を回動させることにより、パネル本体4bの下端に固定された下部縁材7が下部パネル支持体3の前方側に突出している被係合部38c及び当接面38dに接触することなく、ガラスパネル4の下端を下部パネル支持体3に近接させることができ、ガラスパネル4の回動を安全かつ確実に行うことができる。
最後に、図11(c)に示されるように、挿入板61の垂直面61a及び係合片73の垂直面73aを上部パネル支持体2の前方支持部25に設けられた起立板25a及び下部パネル支持体3の下部支持部材32の支持部38に設けられた支持板38aに当接させた状態で真下に落とし込むことにより、図11(d)に示されるように、ガラスパネル4の下端に設けられた係合片73を支持部38の被係合部38cに係合させることができる。また、同時に、ガラスパネル4の下端に設けられた当接片72の当接面72aを下部パネル支持体3の支持部38に設けられた当接面38dに上方から当接させることができる。このとき、被係合部38cを構成する垂直面38eの下端から上部挿入溝27の開口部27aまでの上下寸法L2よりもガラスパネル4の上下寸法L1(上部縁材6の挿入板61の上端から下部縁材7の係合片73の下端までの上下寸法)が大きくなっており、上部挿入溝27に挿入板61が挿入された状態が保持されている(図2参照)。
これにより、上部パネル支持体2及び下部パネル支持体3に対するガラスパネル4の取付けが完了し、下部パネル支持体3の支持部38に設けられた被係合部38cにガラスパネル4の下端に設けられた係合片73が係合された状態で、同時に上部パネル支持体2の前方支持部25に設けられた上部挿入溝27に挿入板61が挿入された状態とすることができ、且つ挿入板61の垂直面61aと、係合片73の垂直面73aと、を上部支持部材22の起立板25a及び下部支持部材32の支持板38aに当接させた状態とすることができるので、ガラスパネル4を上部パネル支持体2及び下部パネル支持体3に対して安定して保持させることができる。
以上説明したように、本実施例における間仕切パネル装置1のガラスパネル4は、ガラスパネル4の上端に設けられる上部縁材6の挿入板61を上部パネル支持体2の前方支持部25に設けられる上部挿入溝27に対して斜め下から挿入し、挿入板61を上部挿入溝27に挿入したまま当該箇所を中心としてガラスパネル4を回動させ、ガラスパネル4の下端に設けられる下部縁材7の係合片73を略水平に移動させた後、真下に落とし込み、下部パネル支持体3の支持部38に設けられる被係合部38cに係合させてガラスパネル4を載置することにより、挿入板61が上部挿入溝27内に挿入された状態を保ちながらガラスパネル4を立て掛けることができるので、施工過程において容易にガラスパネル4の取付け施工を行うことができる。
また、上部パネル支持体2に一体に設けられるレール部26に対して吊支装置15を介して直接吊戸11(吊戸本体11a)の取付け施工を行った後、吊戸11の戸袋9を構成する少なくとも最後のガラスパネル4の取付け施工を行うことができるため、間仕切パネル装置1に対するガラスパネル4と吊戸11の取付け施工が容易になる。さらに、吊戸11を吊設するための枠体を別途設けていないため、組み立て施工性がよい。
また、上述の寸法関係(L1>L2)であるため、ガラスパネル4を上部パネル支持体2及び下部パネル支持体3に取付けた状態でガラスパネル4が前後に倒れることがない。
また、上部挿入溝27を構成する対向板25cの下端は、起立板25aの下端よりも上方に形成されている(上部挿入溝27の開口部27aは、起立板25aの下端よりも上方に形成されている)ため、ガラスパネル4に設けられた挿入板61を前方支持部25の起立板25aに当接させながら上方に移動させることにより上部挿入溝27の開口部27aに下方から挿入板61を挿入させることができるので、上部挿入溝27に挿入板61を挿入させるための位置合わせと挿入の作業が容易になり、ガラスパネル4の取付けの施工性を向上させることができる。
また、ガラスパネル4が垂直に立ち上がった状態で挿入板61の垂直面61aを起立板25aに当接させ、起立板25aに沿ってガラスパネル4を真下に落とし込むことにより、ガラスパネル4の下端に設けられた係合片73を被係合部38cに係合させることができるので、ガラスパネル4の取付け作業が容易になり、ガラスパネル4の取付けの施工性を向上させることができる。
また、ガラスパネル4が垂直に立ち上がった状態で、ガラスパネル4の下端に設けられた係合片73の垂直面73aを下部支持部材32の支持板38aに当接させ、支持板38aに沿ってガラスパネル4を真下に落とし込むことにより、ガラスパネル4の下端に設けられた係合片73を被係合部38cに係合させることができるので、ガラスパネル4の取付け作業が容易になり、ガラスパネル4の取付けの施工性を向上させることができる。
また、ガラスパネル4の取付け施工において、ガラスパネル4は、上部支持部材22の起立板25a,25a及び下部支持部材32,32’の支持板38a,38aよりも間仕切パネル装置1の内側に入り込むことがないため、予めレール部26に吊戸11を取付けた状態であっても、吊戸11とガラスパネル4が接触することがなく安全に作業することができる。さらに、レールカバー28,28は、上部支持部材22の前方支持部25及び後方支持部25’における起立板25a,25aと面一になるように取付けられるため、ガラスパネル4の取付け施工の邪魔にならない。
また、ガラスパネル4が取付けられた状態において、ガラスパネル4と笠木20及び巾木30との距離が近くなっているため、間仕切パネル装置1の前後寸法の変更幅(笠木20及び巾木30の前後寸法の変更幅)を大きく取ることが可能となり、例えば、間仕切パネル装置1の前後寸法を小さくした場合であっても、笠木20及び巾木30の前後寸法をできる限り大きくして下部パネル支持体3の支持強度を高めることができ、安定性が高まるので、間仕切パネル装置1の設計自由度が高くなっている。
また、上部支持部材22において、ガラスパネル4,4を前後方向に離間させて取付けるための前方支持部25及び後方支持部25’の間のスペースを利用して吊戸11を吊支するためのレール部26をコンパクトに構成できる。さらに、上部支持部材22において、レール部26内に配置される吊支装置15,15のローラ部16,16と、前方支持部25及び後方支持部25’に取付けられるガラスパネル4,4の上端部との高さ位置が近くなっており、吊戸11の吊支構造とガラスパネル4,4の取付け構造を上部支持部材22内の近い位置にコンパクトに構成できるため、それぞれに必要な支持強度を互いに補い合う構造とすることができる。
また、上部支持部材22において、連結部24の直下に吊支装置15のローラ部16が配置されるレール部26が設けられているため、吊戸11が取付けられた状態において、吊戸11の上端と笠木20との上下方向の距離が近くなっている。さらに、上部支持部材22において、笠木20に固定される連結金具21,21,…との連結部分として剛性が必要となる連結部24の構造を利用してレール部26が形成されており、上部支持部材22全体をコンパクトに構成できるため、吊戸11の上下寸法を大きく取ることが可能となり、間仕切パネル装置1の出入口G及び戸袋9においても連続性が失われず、美観を高めることができる。
また、上部パネル支持体2は、上部支持部材22の前後にガラスパネル4,4を取付けるための前方支持部25及び後方支持部25’を有し、前方支持部25及び後方支持部25’の間に吊戸11を吊支可能なレール部26が一体成形されているため、構造強度が高くなるとともに、天井Cに設けられる上部パネル支持体2に対して別途レール部26の取付け施工を行う必要がなく、設置現場において上部パネル支持体2に吊戸11の吊支構造を構成するための施工が容易になる。
また、下部パネル支持体3は、下部支持部材32,32’の前後にガラスパネル4,4,…を支持するための支持部38,38をそれぞれ有し、該下部支持部材32,32’の間に吊戸11(吊戸本体11a)の下端部を案内する凹溝90が一体に構成されているため、設置現場において床面Fに設けられた下部パネル支持体3に吊戸11の案内構造を構成するための施工が容易になる。
さらに、下部パネル支持体3は、前方側でガラスパネル4を支持する支持部38を有する下部支持部材32と、後方側でガラスパネル4を支持する支持部38を有する下部支持部材32’とに分割され、前後に対向して凹溝90を構成する案内板39,39をそれぞれ備えているため、下部支持部材32,32’を個別に離間させて設置することができ、下部パネル支持体3に吊戸11の案内構造を容易に構成できる。
また、下部パネル支持体3において、巾木30に形成される前後一対の断面上向きコ字形の開口部33,33に上方からそれぞれ断面上向きコ字形の下部支持部材32,32’がそれぞれ外嵌されることにより、下部パネル支持体3の構造が補強されるため、下部支持部材32,32’を前後に分割しても下部パネル支持体3におけるガラスパネル4,4,…の支持強度を高めることができる。
また、間仕切パネル装置1において、ガラスパネル4,4,…及び吊戸11は、透光性を有しているため、吊戸11による出入口Gの開閉状態に係らず、間仕切パネル装置1を挟んで反対側(例えば、前方側から後方側)を見ることができ、間仕切パネル装置1全体が透明の間仕切として機能し、美観に優れる。
また、間仕切パネル装置1の壁面として使用されるガラスパネル4,4間を吊戸11の戸袋9として利用することができ、間仕切パネル装置1に吊戸11を設置するために別体の戸袋ユニット等を必要としない。そのため、間仕切パネル装置1の戸袋9において壁面との連続性が失われることがなく、美観を高めることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、予め上部パネル支持体2及び下部パネル支持体3に対して戸袋9を構成する後方側のガラスパネル4を取付け、レール部26内に配置された吊支装置15の挟持板19,19に吊戸本体11aを取付けた状態において、最後に前方側のガラスパネル4を取付ける場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、吊戸11が取付けられた状態で戸袋9を構成する前後のガラスパネル4,4を取付けるようにしてもよい。
また、前記実施例では、上部支持部材22にレール部26が一体成形されるものとして説明したが、これに限らず、上部支持部材に別体のレール部材を一体に取付けられるものであってもよい。
また、中柱92の設置は必須ではなく、設置しない場合には間仕切パネル装置1の美観がより高められる。この場合、上部支持部材22の構造強度を高めるとともに、天井Cに対する笠木20及び連結金具21,21,…の固定強度、連結金具21,21,…に対する上部支持部材22の連結部24の連結強度を高めることが好ましい。
また、上部支持部材22のレール部26は、少なくとも出入口Gと戸袋9部分に設けられるものであればよいが、上部支持部材22は、吊戸11を吊支するための構造強度と、前後一対のガラスパネル4,4を支持するための構造強度を共に有しているため、間仕切パネル装置1全体に対してレール部26を有する上部支持部材22を上部パネル支持体2の構成部材として使用されてもよい。
また、下部パネル支持体3の凹溝90は、少なくとも戸袋9部分に設けられるものであればよいが、下部パネル支持体3の下部支持部材32,32’は、凹溝90を構成しながら前後一対のガラスパネル4,4を支持するための構造強度を有しているため、間仕切パネル装置1全体に対して凹溝90を構成する下部支持部材32,32’を下部パネル支持体3の構成部材として使用してもよい。
また、前記実施例において、ガラスパネル4は、パネル本体4bの上端面4c及び下端面4eに両面接着テープあるいはホットメルト接着剤5により上部縁材6及び下部縁材7がそれぞれ固定される態様として説明したが、これに限らず、ガラスパネル4に下部縁材7は設けなくてもよく、この場合には、パネル本体4bの下端面4eがガラスパネル4の下端部となる。
また、前記実施例において、中柱92は、アルミ合金製の押出成形品として説明したが、これに限らず、レール部26にかかる荷重を支持することができるものであれば、他の金属や樹脂等から構成されていてもよい。
また、パネル本体4bまたは吊戸本体11aとして、金属製パネルや木製パネル等が使用されてもよい。