<構成>以下、構成について説明する。
図1に示すように、住宅などの建物1に可動間仕切2を設けて、建物1の内部を可動間仕切2で仕切れるようにする。
ここで、建物1については後述する。可動間仕切2は、少なくとも一部を開閉できるようにした間仕切のことである。この実施例では、可動間仕切2は、少なくとも、間仕切扉3と、間仕切扉3の開閉を案内する上レール4とを備えている。間仕切扉3は建物1の床5から天井6にほぼ達する高さを有しており、その上部には上レール4に沿って転動するローラ7(図2)が備えられている。
可動間仕切2には、様々なタイプのものが存在するが、そのどれであっても良い。例えば、(a)は1枚の間仕切扉3を有する片引、または、2枚の間仕切扉3を有する引分、(b)は2枚の間仕切扉3を有する片引、(c)は3枚の間仕切扉3を有する片引、(d)は2枚または4枚の間仕切扉3を有する引違、(e)は3枚の間仕切扉3を有する引違、などの仕様のものとなっている。
床5には、間仕切扉3の下端部を案内するガイド8が取付けられる。ガイド8は、上レール4のほぼ真下の位置に、上レール4の長手方向に沿って、上レール4とほぼ同じ長さで取付けられる。また、間仕切扉3が複数枚有る場合には、隣接する間仕切扉3の下端部間に、お互いを相対的に移動可能に連結する連結ガイド9などを取付けることができる。また、可動間仕切2が片引などの場合、間仕切扉3の側部には、戸袋間仕切などの固定壁部10が設けられる。固定壁部10は、間仕切扉3の移動範囲の片側(戸尻側)の位置に設けられる。固定壁部10は、その幅寸法(間仕切扉3の移動方向の寸法)が、間仕切扉3の幅寸法とほぼ同じかそれよりも大きくなるように形成される。これにより、間仕切扉3は、開いた時に固定壁部10に隠される。
図2に示すように、上レール4は、建物1の天井6に取付けられる金属製のガイド部材であり、間仕切扉3の移動範囲のほぼ全域に及ぶ長さで、間仕切扉3の移動方向(間仕切扉3の幅方向、図1の紙面と垂直な方向)へ向けてほぼ水平に延ばされる。上レール4は、ローラ7や間仕切扉3の上端部を内側に収容できるように、下向きのほぼU字状またはC字状をした部材で構成されている。
上レール4の内部は、仕切壁12(横仕切壁)によって横に仕切られており、仕切壁12の上側にはローラ7を収容保持する空間が形成される。そして、仕切壁12の上面がローラ7の転動を案内する転動面になる。転動面には、間仕切扉3の上端部から上方へ延びるローラ7の支持軸13を通すスリット14が、上レール4の長手方向(間仕切扉3の移動方向)のほぼ全域に亘って形成される。このスリット14は、間仕切扉3が移動する際の軌道となる。この実施例では、支持軸13は、間仕切扉3の厚み方向のほぼ中間部に設けられており、支持軸13の上端部のローラ7は、スリット14に対し、上記厚み方向の両側に位置するように一対設けられている。但し、ローラ7は、スリット14の片側のみに設けても良い。
上レール4には、スリット14が1本のみのものや、スリット14が複数本のものなど多くの種類のものが存在しており、それぞれスリット14の数に応じた枚数の間仕切扉3を横に並べて案内するのに必要な幅寸法を有している。複数本のスリット14は、隣に位置する間仕切扉3どうしが干渉しない間隔を有して、互いに平行に形成される。また、ローラ7を収容保持する空間は、間仕切扉3ごとに仕切壁16(縦仕切壁)によって縦に仕切られている。このような上レール4は、均一断面の長尺材であるため、押出成形によった形成された押出材とするのが好ましい。
そして、この実施例では、可動間仕切2の上レール4の設置構造(可動間仕切用レール設置構造)を以下のようにする。
(1)天井面材21の上面側に天井補強部材22が設置されるようにする。また、天井面材21の下面に天井下取付材23が配設されるようにする。そして、天井下取付材23が、天井補強部材22に固定されるようにする。更に、天井下取付材23に対して可動間仕切2の上レール4が固定されるようにする。
ここで、天井面材21は、天井面を構成する面状の部材のことである。天井面材21は、必要な機能を備えていれば、どのような材質のものを用いても良い。
天井補強部材22は、可動間仕切2を設置するために天井6や天井面材21を部分的に補強する部材のことである。天井補強部材22は、天井下取付材23を取付けるための下地として使用される。天井補強部材22は、天井面材21の上面に当接配置された状態で建物1に固定される。天井補強部材22は、天井面材21の板厚とほぼ同等かまたはそれ以上の板厚の部分を少なくとも一部分に有しているのが好ましい。天井補強部材22は、必要な機能を備えていれば、どのような材質のものを用いても良い。この実施例では、天井補強部材22には、木材などが使われている。
天井下取付材23は、可動間仕切2を設置するために天井面材21の下面に設置(当接固定)された部材(長尺材)であり、可動間仕切2の上レール4を天井6に取付けるための下地として使用される。
天井下取付材23は、上レール4の幅範囲内に収まるように、上レール4よりも狭いほぼ一定の幅寸法を有して、上レール4の長手方向へ、上レール4のほぼ全長に亘って連続するように延ばされる。天井下取付材23は、天井補強部材22や天井面材21の板厚とほぼ同等かまたはそれ以上のほぼ一定の板厚を有するように形成されるのが好ましい。天井下取付材23は、必要な機能を備えていれば、どのような材質のものを用いても良い。この実施例では、天井下取付材23には、合板などの木材などが使われている。
天井下取付材23は、天井面材21および天井補強部材22に対し、取付部材固定用ビスなどのビス24(固定部材)を用いて、下側から上へ向けて締結固定される。
取付部材固定用ビスなどのビス24は、天井下取付材23の厚み、天井面材21の厚み、および、天井補強部材22の厚みを足した長さL(図3(c))とほぼ同じかそれよりも長いものとされて、天井補強部材22の上面に達するか、天井補強部材22の上面を突抜けるように、これらの間に螺着される。取付部材固定用ビスなどのビス24は、天井下取付材23の幅方向に対しては、天井下取付材23の幅寸法に応じた位置に、幅寸法に応じた数だけ取付けられる。例えば、取付部材固定用ビスなどのビス24は、天井下取付材23の幅寸法のほぼ2等分点や3等分点などとなる位置(例えば、仕切壁16(縦仕切壁)とほぼ重なる位置など)に取付けるのが好ましい。
天井下取付材23は、最終的に、上レール4の両側面に化粧板25を取付けることによって室内側から見えないように化粧板25で隠される。
ほぼU字状またはC字状をした上レール4の外側部分は、ほぼ水平な上面部26と、上面部26の両端部からほぼ真下へ延びる両側面部27とによって構成されている。上レール4は、その上面部26が、天井下取付材23の下面に直接(図2)、または、不陸調整のために建築現場で天井下取付材23の下面に単数または複数枚設置されるスペーサー28(図3)などに当接された状態で、天井下取付材23に対し、上レール固定用ビスなどのビス29(固定部材)を用いて、下側から上へ向けて締結固定される。
上レール固定用ビスなどのビス29は、上レール4の上面部26の厚み、スペーサー28の最大使用枚数分の厚み、および、天井下取付材23の厚みを足した長さとほぼ同じかそれよりも長いものとされて、天井面材21にほぼ達するように、これらの間に螺着される。上レール固定用ビスなどのビス29は、取付部材固定用ビスなどのビス24と比べて、短く取扱い易いものとなっている。上レール固定用ビスなどのビス29は、スリット14を通して、スリット14のほぼ真上の位置に取付けられる。なお、スリット14が3本有る場合には、ビス29は、少なくとも両側のスリット14の位置に取付ければ良い。
(2)図4(a)は、建物1の天井6を、天井面材21をなくした状態で下方から見た図であり、同図に示すように、天井補強部材22は、天井下取付材23の設置範囲31の一部分に対して設置されるようにしても良い。
ここで、設置範囲31は、天井6(天井面材21)に対して天井下取付材23が設置される範囲のことである。設置範囲31の一部分に対して設置されるとは、天井補強部材22が設置範囲31の全域に亘って連続的に設けられていない状態のことである。あるいは、設置範囲31に天井補強部材22のない部分(非補強部32)が一部にでも存在していることである。
通常の場合、天井補強部材22は、天井下取付材23の設置範囲31の全域に亘って設けられており、勿論、このように全域に設けても良いのであるが、天井補強部材22を設置範囲31の全域に亘って設けなくても、天井下取付材23を固定すべき位置に対して天井補強部材22が必ず存在していれば、天井補強部材22を部分的に設けたとしても、設置範囲31の全域に亘って天井補強部材22を設けたのとほぼ同等の取付効果を得ることが可能であり、特に支障が生じることはない。
天井下取付材23を固定すべき位置は、天井下取付材23の長さや可動間仕切2の設置状況などによっても異なるが、概ね、天井下取付材23の長手方向の両端部の2箇所や、これに両端部間の中央部を含めた3箇所や、両端部の2箇所に両端部間のほぼ等分点の位置を含めた複数箇所などとなる。よって、天井補強部材22は、このような位置のうちの最低限必要な部分に対して設けられていれば良い。
具体的な例で示すと、図4(a)では、天井補強部材22を、天井下取付材23の長手方向の両端部と対応する2箇所の位置に設けるようにしている。そして、2箇所の天井補強部材22に対して天井下取付材23の両端部やその周辺を固定するようにしている。なお、天井補強部材22が設けられている部分については、天井下取付材23は、各天井補強部材22に対して(ビス29などで)何箇所固定するようにしても良い。
これに対し、図4(b)のように、天井補強部材22を、天井下取付材23(または上レール4)の長手方向のほぼ全域に亘って設けるようにすることもできる。
ここで、可動間仕切2を設ける建物1について説明する。
建物1はどのような構造のものであっても良いが、この実施例では、建物1をユニット建物としている。ユニット建物は、予め工場で製造したほぼ箱型(またはほぼ直方体状)の建物ユニット33を建築現場へ複数搬送して、建築現場で組立てることにより、短期間のうちに建物1を構築し得るようにしたものである。建物ユニット33には、鉄骨系のものや木質系のものなどがある。
例えば、鉄骨系の建物ユニット33は、4本の柱34の上端間を4本の天井梁35で矩形状に連結し、4本の柱34の下端間を4本の床梁で矩形状に連結したボックスラーメン構造のユニットフレームを有するものなどとなっている。
4本の天井梁35は、対向する一対の長辺35aと、対向する一対の短辺とによって長方形状の天井フレーム36を構成している。天井フレーム36の長辺35aの延設方向が建物ユニット33の桁方向37であり、短辺の延設方向が妻方向38である。天井フレーム36の内側には、妻方向38へ延びる複数本の天井根太39が設置されている。複数本の天井根太39は、桁方向37に所定の間隔を有してほぼ平行に配設されて、一対の長辺35a間に架設されている。天井面材21は、天井フレーム36や天井根太39の下面に取付けられる(図1)。そして、複数の建物ユニット33が設置された状態では、隣接する天井フレーム36は、僅かな間隙を有して桁方向37や妻方向38に配置される。
そして、天井補強部材22は、例えば、図5に示すように、矩形状(平面視ほぼ正方形状)の面材41の上面に、面材41の対向する一対の辺部に沿って、辺部とほぼ同じ長さを有する一対の平行な補強木桟42を取付けて一体化した、ほぼタイル状のものなどとされている。面材41は、例えば、天井面材21とほぼ同じ厚みの合板などで構成することができる。天井補強部材22を平面視ほぼ正方形状のものにすることで、天井補強部材22を小型化して取扱い易くすることができると共に、天井補強部材22を、縦方向や横方向に複数繋げて使用できるものにすることができる。
この天井補強部材22は、例えば、図6に示すように、天井6を構成する天井根太39の間に上から挿入配置して、補強木桟42をビス43(図1)などの固定部材で天井根太39などに横から固定することで、天井面材21の上面側に設置される。この際、面材41は、その辺を、隣接する天井根太39間の間隔とほぼ同じ長さにすることで、隣接する天井根太39間に丁度嵌まるようになっている。そして、面材41は、天井面材21の上面に面接触状態で設置される。補強木桟42は、天井根太39と接するように天井根太39に沿った向きに配置される。
なお、天井補強部材22は、上記したほぼ正方形状の面材41を有するものを基本形状とするが、これに限らず、設置場所の状況に応じた大きさや形状のものなどを適宜用いることができる。例えば、天井補強部材22は、上記の半幅の長方形状の面材41を有するものなどとしても良いし、面材41がなくて補強木桟42だけのものなどとしても良い。このような基本形状以外の天井補強部材22は、例えば、天井根太39間の間隔が狭くなっている部分や、建物ユニット33(天井フレーム36)間の間隙の部分などに使用することができる。
そして、建物1をこのようなユニット建物とした場合、図4(a)に示すように、可動間仕切2の桁方向37に対する設置パターンには、少なくとも3通りのものが存在することになる。
即ち、図の上側に示すように、可動間仕切2を1つの建物ユニット33内に収まるように設置するもの、真中に示すように、可動間仕切2を2つの建物ユニット33に跨って設置するもの、下側に示すように、可動間仕切2をその一端が隣接する建物ユニット33間(の間隙)に位置するように設置するものである。建物ユニット33間の間隙は、ユニット境界44の位置に形成される。
そして、可動間仕切2を、このように桁方向37に設置する場合には、全ての設置パターンで、天井補強部材22を、天井下取付材23の長手方向の両端部と対応する2箇所の位置(のみ)に設けて、天井下取付材23の端部を天井補強部材22に固定させるようにしている。この場合には、天井補強部材22のない非補強部32の位置であっても、天井下取付材23を固定する必要がある場合には、天井根太39に対して天井下取付材23を固定することなどが可能である(図1(d)(e))。なお、真中と下側のパターンでは、天井補強部材22に、平面視ほぼ正方形状をしたもの以外の小型の天井補強部材22(半幅の長方形状の面材41を有するものなど)が使われている。
同様に、図4(b)に示すように、可動間仕切2の妻方向38に対する設置パターンにも、少なくとも3通りのものが存在することになる。
即ち、図の左側に示すように、可動間仕切2をその一端が隣接する建物ユニット33間(の間隙)に位置するように設置するもの、真中に示すように、可動間仕切2を1つの建物ユニット33内に収まるように設置するもの、右側に示すように、可動間仕切2を2つの建物ユニット33に跨って設置するものである。
そして、このように可動間仕切2を妻方向38に設置する場合には、右側の設置パターンのみにおいて、隣接する建物ユニット33間(の間隙)に位置する部分に対し、天井補強部材22を設けない非補強部32が形成されるようにしている。
なお、真中の設置パターンでは、全域に亘って、天井補強部材22を設けるようにしている。この場合、平面視ほぼ正方形状などをした天井補強部材22などを妻方向38に連続して複数配置するようにしている。また、左側の設置パターンついては、隣接する建物ユニット33間(の間隙)の部分に対しても小型の天井補強部材22を設けることで、全域に亘って天井補強部材22を設けるようにしている。各場合において、天井下取付材23は、少なくとも端部が天井補強部材22に固定される。
(3)図7に示すように、天井面材21の上面側に、天井補強部材22を設置できない天井補強設置不可範囲51が存在する場合に、天井補強設置不可範囲51で、天井下取付材23が、天井面材21の下面に接着固定されるようにしても良い(接着固定部52)。
ここで、天井補強設置不可範囲51は、例えば、天井補強部材22が建物1の天井6周辺の部材と干渉するなどによって天井補強部材22を設置できない範囲のことである。天井補強部材22と干渉するおそれが高い部材には、例えば、ユニット建物の場合、隣接する建物ユニット33の天井梁35間を連結固定する金属製のジョイントプレート53などがある。ジョイントプレート53は、ユニットフレームの柱34の近傍の位置などに設けられる(図8)。そして、柱34の近傍の位置は、天井下取付材23や上レール4の端部が設置される可能性が比較的高い位置となっている。
接着固定は、接着剤54による固定のことである。天井面材21の下面と天井下取付材23の上面との間に接着剤54を塗布して(接着層を形成して)両者を圧着し接着剤54を固化させることなどによって、天井下取付材23が天井面材21に接着固定されて接着固定部52となる。なお、接着固定部52には、タッカーなどによるビス29以外の固定を併用しても良い。
この際、例えば、図8(図9)に示すように、隣接する建物ユニット33間(の間隙)に沿って柱34と柱34の間に可動間仕切2を設置する場合には、天井下取付材23の両端部がジョイントプレート53の位置と重なる(天井補強設置不可範囲51となる)ことで、どちらの端部にも天井補強部材22を設置できなくなる可能性がある。このような場合、強度的には、両端部を接着固定部52とせずに、どちらか一方の端部のみが接着固定部52となるようにするのが好ましい。
この場合、間仕切扉3の戸先側となる天井下取付材23の端部を接着固定部52にした方が、可動間仕切2の仕上がりを美しくできる。そして、間仕切扉3の戸尻側となる天井下取付材23の端部については、天井補強部材22にビス24で固定できるような構造にする。
そのために、戸尻側では、例えば、天井下取付材23や上レール4の端部がジョイントプレート53よりも手前の位置で終わるように、戸尻側の端部をジョイントプレート53まで達しない長さにする。即ち、天井下取付材23や上レール4を短くして、ジョイントプレート53の周辺における天井補強設置不可範囲51と同じ長さかそれよりも長い一定の範囲55の部分に、天井下取付材23や上レール4の戸尻側の端部が存在しないようにする。
これにより、一定の範囲55の部分が非補強部32になると共に、短く形成した天井下取付材23の戸尻側の端部の位置に天井補強部材22を確実に設置することができるようになり、天井下取付材23の戸尻側の端部を天井補強部材22にビス24で確実に固定することが可能になる。
なお、戸尻側における、ジョイントプレート53の周辺の一定の範囲55の部分については、上レール4に沿って一方の建物ユニット33の内側となる位置に設けられる固定壁部10を、柱34にほぼ達するようにジョイントプレート53の側部の位置まで延長することによって、固定壁部10で間仕切扉3の戸尻側の端部周辺を覆い隠すことができるので、見栄えの悪化が防止される。
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
建物1の内部に可動間仕切2を設置して、可動間仕切2を開閉することで、建物1の内部を可動間仕切2で仕切ったり、可動間仕切2を開いて空間を拡げたりすることができるようになる。
例えば、建物1をユニット建物とした場合、工場で建物ユニット33を製造する時に、天井面材21の上面の(天井下取付材23の取付けに)必要な位置に天井補強部材22を予め取付けておく。
そして、工場で天井補強部材22を取付けられなかった部分については、建築現場での建物ユニット33の組立後に、天井補強部材22を取付ける。例えば、隣接する建物ユニット33間(の間隙)に位置する天井補強部材22などは、建物ユニット33の組立後に取付けられる。
こうして必要な天井補強部材22が全て取付けられたら、天井面材21の下面に天井下取付材23を取付け、不陸調整のために必要な場合には、天井下取付材23の下面に単数または複数枚のスペーサー28を取付け、その後、天井下取付材23やスペーサー28の下面に可動間仕切2の上レール4を固定すると共に、上レール4に間仕切扉3を取付けるなどする。これにより、建物1に可動間仕切2が設置される。
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)天井面材21の下面に天井下取付材23を配置して、天井面材21の上面側に設置された天井補強部材22に対し、天井下取付材23を固定するようにした。これにより、天井補強部材22は天井下取付材23に対し、常に一定の距離(間に介在される天井面材21の厚み分の距離)を保った状態で取付けられることになるため、天井面材21の下面に天井下取付材23を確実に固定することができる。
そして、天井面材21の下面に固定した天井下取付材23に対して、可動間仕切2の上レール4を固定するようにした。これにより、天井下取付材23と上レール4との状況を実際に手元で確認しながら取付けられるようになるため、例えば、建築現場にて、天井下取付材23と上レール4との間に、不陸調整のためにスペーサー28を取付けることで、天井下取付材23と上レール4との間の距離に変化が生じた場合であっても、この実際の距離の変化を把握して柔軟に対応できるようになるので、上レール4を天井下取付材23に固定するビス24のかかり寸法の不足などによってビス24の緩みなどが発生するなどの不具合を起こり難くすることができる。
また、天井面材21の下面に手元で確認できる状態で天井下取付材23を設置して、天井下取付材23に上レール4を固定するようにしているので、下地(天井補強部材22)のない場所へのビス29での固定などを防止することができ、レール下がりなどの不具合をなくすことができる。
これに対し、図10、図11の比較例に示すように、天井下取付材23を用いずに、天井面材21の上面側に設置された天井補強部材22に対して、上レール4を、ビス124を用いて固定した場合には、上レール4と天井補強部材22との間に介在された天井面材21によって天井補強部材22が直接見えない状態になるので、例えば、図12に示すように、不陸調整のために建築現場で天井面材21と上レール4との間にスペーサー28などを取付けたような場合に、上レール4と天井補強部材22との間の距離の変化を正確に把握できないことから、上レール4を天井補強部材22に固定するビス124にかかり寸法の不足などが生じ易い。ビス124のかかり寸法が不足すると、ビス24が緩むなどの不具合を生じることになる。また、例えば、天井面材21の上面側に設置されている天井補強部材22を直接見ることができないことから、天井補強部材22のない場所へのビス124の固定などによるレール下がりなどの不具合が発生するおそれが生じる。
よって、この実施例のように、天井下取付材23を用いて上レール4を取付けるようにした方が、ビス24のかかり寸法の不足などによるビス24の緩みなどを防止するのに構造的に有利である。
(効果2)天井補強部材22を、天井下取付材23の設置範囲31の一部分に対して取付けるようにしても良い。これにより、天井補強部材22が部分的に設置されたものであっても、天井補強部材22に対して天井下取付材23を確実に取付けることが可能であるので、天井補強部材22の設置箇所を最小限に抑えて、補強コストを低減することができる。
そして、天井補強部材22を設けるのが天井下取付材23の設置範囲31の一部分であっても、上レール4を天井補強部材22ではなく天井下取付材23に対して固定するようにしていることで、上レール4の任意の部位を天井下取付材23に対して固定することが可能である。
よって、例えば、図13の比較例に示すように、(上レール4に予め設けられた下孔の位置に天井補強部材22が必ず存在するように)上レール4の設置範囲31の全域に亘って天井補強部材22を設ける必要をなくすことができるので、天井補強部材22の設置を簡易化できる。
また、この実施例の場合には、上レール4に予め下孔などを設けておかなくても、上レール4の全域について、天井面材21の下面に存在する天井下取付材23に上レール4を(短いビス29で)取付けることができるため、上レール4を天井下取付材23に対して容易且つ確実に固定でき、建築現場での上レール4の取付けを容易化できる。
(効果3)天井下取付材23の設置範囲31に、天井補強部材22を設置できない天井補強設置不可範囲51が有る場合に、天井補強設置不可範囲51では、天井下取付材23を、天井面材21の下面に接着固定するようにしても良い。これにより、天井補強設置不可範囲51に対しても天井下取付材23の一部を天井面材21の下面に部分的に固定(接着固定)できるようになり、天井補強設置不可範囲51があって天井補強部材22が設置できない状況でも、天井下取付材23を安定した状態で天井面材21に固定して、天井下取付材23に上レール4を取付けることが可能になる。