JP6344708B2 - 引戸装置 - Google Patents
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Description
これらは、引戸を閉める際にスライド移動を減速させながらゆっくりと完全に閉まるように作用する構造とされており、開口枠への強い衝突を抑えることを目的としている。
また、本発明においては、前記減速部材は、中空状の樹脂成型品からなり、前記頂部には、前記減速部材を固定する固定具が取り付けられる凹部が形成されているようにしてもよい。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また以下では、図1(a)に示す引戸装置1に対面した状態を基準として、縦横、上下等の方向を説明する。さらに以下では、引戸2の全閉状態において、戸先2aが当接する縦枠60を戸先2a側の縦枠といい、戸先2aが当接する側の開口枠6の入隅を戸先2a側の入隅部6aという。一方、引戸2の全開状態において、戸尻2bが近接または当接等する縦枠60を戸尻2b側の縦枠といい、戸尻2bが当接する側の開口枠6の入隅を戸尻2b側の入隅部6bという。
まずは、図1〜図6を参照しながら、本実施形態(第1の実施形態)に係る引戸装置1の一例について説明する。
本実施形態に係る引戸装置1は、緩衝部3と緩衝受け部4と減速部材9とで構成される緩衝機構が設けられている。引戸2は、開口枠6にスライド自在に建て付けられており、緩衝部3は、引戸2のスライド移動を減速させるように構成されている。緩衝受け部4は、緩衝部3(ローラ31)が当接することで引戸2を停止させるストッパー40を有しており、引戸2の上方部に設けられた緩衝部3と対向するように開口枠6の上枠61に設けられている。緩衝受け部4の近傍には、緩衝部3が緩衝受け部4に当接する前に引戸2のスライド移動を減速させる減速部材9が設けられている。減速部材9は、上枠61への取付状態において下方に突出した頂部90と、引戸2のスライド移動が減速するように頂部90に向かって下方に傾斜するスロープ91とを有している。
以下、詳しく説明する。
開口枠6の上枠61(鴨居)の略中央部位には、引戸2の上端面22から上向きに突出して設けられたガイド部(不図示)が挿入される下向き開口の凹溝(不図示)が形成されており、ガイド部がこの凹溝に挿入されることで、引戸2の上方部を支持して引戸2のスライド移動をガイドする。
開口枠6の開口幅方向の下端には、この下端の寸法に合わせて下レール7が床面に直接取り付けられている。下レール7の材質は特に限定されず、例えば、アルミニウムやステンレス、炭素鋼等の適宜の金属系材料から押出成形や鋳造成形または切削加工等によって一体的に成形された金属製としてもよい。または、硬質合成樹脂製としてもよい。
下レール7は、長尺の略帯板状に形成され、表面(上面)側の略中央部位には、長手方向に沿って形成された凹溝(不図示)が設けられており、後記する戸車21の走行をガイドする。
なお、下レール7の設置構造は床面に直接設置される例に限定されず、例えば開口枠6の開口幅方向の下端に敷居を設け、その上に下レール7を敷設してもよい。
引戸2の下端両端部には、戸車21を備えた戸車ユニット(不図示)が設けられている。戸車ユニットは、戸車21を収容する略直方体形状のケース体(不図示)と、ケース体内に車軸(不図示)によって軸支された状態で収容される戸車21とを備えている。ケース体の下端面は、図1等に示すように戸車21の下方が突出するように開放されている。
なお、説明のため、図1(a)、図2(a)、図3(a)は、引戸2を実線、緩衝部3を点線で示し、図1(b)、図2(b)、図3(b)は、引戸2を点線、緩衝部3を実線で示しているが、図示している引戸装置1は同じものである。
まず緩衝部3及び緩衝受け部4の構造等は、縦枠60への衝撃を緩和できるものであれば、特に限定されない。例えば緩衝部3は、図1(b)、図4(a)、図4(b)等に示すようにケース体30と、ローラ31と、ローラ軸32と、枢軸33と、アブソーバ34とを備えたものとしてもよい。また緩衝受け部4は、図1(b)、図5(a)、図5(b)等に示すようにストッパー40と、案内溝41と、傾斜部42と、取付部43とを備えているものとしてもよい。
緩衝部3の組み付け構造は限定されないが、例えば引戸2の上端面に上方開口の切欠溝を形成し、さらにその切欠溝に緩衝部3が埋設される凹所を設け、そこに緩衝部3を嵌め入れてもよい。
図4(a)及び図4(b)に示すようにケース体30は略矩形状からなり、切欠溝に係止され取付片となる鍔部30a,30aを有している。ローラ31は、回転自在に軸支されており、そのローラ31は、ローラ軸32の先端に設けられている。ローラ軸32は、枢軸33によって揺動自在に支持されるとともに、アブソーバ34によって上下方向に弾性的に支持されている。
図5(a)及び図5(b)に示すように取付部43の端部43aの反対側には、上枠61への取付状態において下方へ突出したストッパー40が形成され、そのストッパー40の横には隣接してローラ31が嵌り込むように下方が開口状態の案内溝41が形成されている。そしてその案内溝41の横には隣接して傾斜部42が形成されている。傾斜部42は、案内溝41に近づくにつれて次第に下方へ突出するように形成されており、ローラ31が当接すると次第に引戸2のスライド移動が減速されるように機能する。
具体的には、減速部材9は、緩衝受け部4に隣接して(隣合って接した状態)設けられ、図1(b)等に示すように傾斜部42の端部42aと、減速部材9の端部9a(減速部材9の取付状態において入隅部6a側)とが接して設けられている。
これによれば、減速部材9を取り付ける際に緩衝受け部4のすぐ隣りに近接させて(具体的には傾斜部42の端部42aに当接させて)取り付ければよいので、位置決めが容易である。ここで緩衝受け部4の取付位置も、開口枠6の入隅部6aに取付部43の端部43aを沿わせて上枠61に取り付ければよいので、位置決めが容易である。
減速部材9の形状は、このように頂部90と、スロープ91とを有していれば、図例の山形状に限定されず、例えばスロープ91が片側のみの正面視において略直角三角形状であってもよい。
この場合、スライド移動してきた緩衝部3のローラ31が、頂部90へ向かって下方に傾斜するスロープ91の上を走行し頂部90に到達した後、緩衝受け部4の傾斜部42に至る。
これによれば、減速部材9によって、緩衝部3のローラ31が、緩衝受け部4に当接する前に、引戸2のスライド移動を減速させることができる。
これによれば、後記する図7の例のように引戸2の戸尻2b側に減速部材9を取り付ける場合にも同じ構成の減速部材9を用いることができ、部材の共通化を図ることができる。また上枠61への取り付けの際にも取り付け方向を気にせず取り付け作業を行うことができる。さらにこのように頂部90を挟んで両側にスロープ91,92があれば、引戸2を閉める際だけでなく、引戸2を開ける際にも減速部材9のスロープ92と頂部90とが緩衝し、引戸2のスライド移動を減速させることができる。
この場合、固定具11の締結強さによって凹部90aが中空部92に向けて変形するので、頂部90の突出寸法の微妙な調節(矢印d2方向参照)を容易にすることができる。すなわち、固定具11で減速部材9を強く締め付けた場合は、凹部90aの底部90aaが取付面93側に接近するように押圧される。すると、底部90aaと取付面93との間が中空状になっているため、底部90aaが変形して頂部90の突出寸法が、小さくなる。一方、固定具11で底部90aaが変形しない程度に締め付けた場合は、頂部90の突出寸法はもとの成型品の形状を維持する。よって、頂部90の突出寸法は変わらない。
ここで頂部90の突出寸法は引戸2のスライド移動を阻害しない寸法とされ、ローラ31がストッパー40に当接して案内溝41に嵌り込む前に、頂部90に向けてスロープ91,92を摺動していく間に引戸2のスライド移動が減速されるように設定される。図例の頂部90の突出寸法は、ストッパー40の突出寸法よりも若干小さく設定されている。
まず開いている引戸2の引手20に手をかけ、縦枠60(図1の紙面左側)に向けて引戸2を下レール7に沿ってスライド移動させ、開口部10を閉じていく(図1の矢印d1方向参照)。図1では、まだ緩衝機構は作動していない状態を示しており、ローラ31は戸先2a側を向いている。
引戸2で開口部10を閉じる方向にスライド移動させていくと、ローラ31が減速部材9のスロープ91に当接しながら回転する。ローラ31が引戸2のスライド移動に伴い、スロープ91に沿って摺動していくと、ローラ軸32は、枢軸33を中心としてさらに戸先2a側に接近する方向に回動する。
この図2(b)に示す状態は、ローラ軸32が最下位状態を示している。
スロープ91は、頂部90に向かって次第に下方へ突出する傾斜面とされているため、ローラ31が走行している間に引戸2のスライド移動の速度が次第に減速されていき、ローラ31が頂部90に至り、これを越える頃には十分な減速がなされる。
その状態でさらに引戸2が閉まる方向にスライド移動すると、ローラ31が入隅部6a側のスロープ92に摺動しながら走行し、緩衝受け部4の傾斜部42に至る。
傾斜部42は上述のように案内溝41に近づくにつれて次第に下方へ突出するように形成されているので、この傾斜部42でも引戸2のスライド移動が減速される。
そこからさらに引戸2が閉まる方向にスライド移動すると、ローラ31がストッパー40の側面に当接し、案内溝41に嵌り込む。この嵌り込んだとき、ローラ軸32は、ローラ31への押圧力が解除されるので、アブソーバ34の弾性復元力によって上方へ突出し、
ローラ軸32が最上位にある状態となる。
そして図3(a)に示すように引戸2を全閉状態にした際には、ローラ31が案内溝41に嵌り込んだ状態で、ローラ軸32が戸尻2b側に回動する。
なお、以下では、上述の実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
この実施形態は引戸2に凹状の引手20が設けられておらず、そのかわりに上下方向に長尺の鏡板部23が設けられている点で異なる。
また、緩衝機構(緩衝部3、緩衝受け部4、減速部材9)が、引戸2の戸尻2b側に設けられている点でも相違する。
図8において、80は袖壁8の開口部10側の端面に取り付けられる縦枠であり、図7(a)の開口部10の略中央に示された点線は、縦枠80の端部80aの位置を示している。
鏡板部23は、例えば無垢の木材またはその他の木質系材料から形成されたものとしてもよいし、合わせガラスや透光性の樹脂材等から形成されたものとして、採光タイプの引戸2を構成するようにしてもよい。
これによれば、引手のないすっきりとしたデザインの引戸装置1とすることができる。
緩衝部3は、図7(a)及び図7(b)に示すように引戸2の上方部の戸尻2b側の上方角部近傍に設けられる。
緩衝部3の組み付け構造は上述の実施形態と同様である。
緩衝受け部4は、緩衝部3と対向するように上枠61に設けられ、緩衝部3のローラ31がストッパー40に当接し案内溝41に嵌り込んだときに、引戸2が全開状態になる位置に設けられる。図例のものは、取付部43の端部43aが戸尻2b側の縦枠60に当接する位置に設けられている。
ここで緩衝機構のそれぞれが、鏡板部23が袖壁8の縦枠80と対向する位置にくる手前までスライド移動してきた際に減速するように設置されていることが望ましい。図7、図8に示す例は、まさに鏡板部23の戸尻2b側の端部が、縦枠80の端部80aに位置する手前の段階で、図7(b)に示すようにローラ31がスロープ91の上を走行し頂部90に到達しようとしている。この状態にローラ31がスロープ91に当接していれば、引戸2のスライド移動は十分に減速される。
これによれば、鏡板部23と戸板24との段差部分に手をかけて引戸2を開ける際に(矢印d3方向)、袖壁8と引戸2との間に指を挟んでしまったり、物が挟まることを防止することができる。
よって減速部材9の存在により、スライド移動の速度によっては、一旦、緩やかに鏡板部23が袖壁8の縦枠80と対向する位置にくる手前で停止する場合も考えられ、安全性の高い引戸装置1とすることができる。
また例えば引戸2を勢いよく開けても、減速部材9、そして緩衝受け部4と2つの緩衝部材に緩衝部3が当接するので、全開位置近くでゆっくりと十分に減速され、その後引戸2がスムーズに停止させることができる。よって、引戸2の跳ね返りが生じにくく、縦枠60への衝撃音も抑えることができ、指詰めも防止できる。またこの場合においても、減速部材9が頂部90を挟んで両側にスロープ91,92が設けられているので、引戸2を開ける際だけでなく、引戸2を閉める際にも減速部材9のスロープ91と頂部90とが緩衝し、引戸2のスライド移動を減速させることができる。
なお、以下では、上述の実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明し、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
この実施形態は第2の実施形態と同様に引戸2に引手20が設けられておらず、そのかわりに上下方向に長尺の鏡板部23が設けられている。
緩衝機構(緩衝部3、緩衝受け部4、減速部材9)は、引戸2の戸先2a側だけでなく引戸2の戸尻2b側にも設けられている。
図9(b)において、80は袖壁8の開口部10側の端面に取り付けられる縦枠であり、図9(a)の開口部10の略中央に示された点線は、縦枠80の端部80aの位置を示している。
緩衝部3は、図9(a)及び図9(b)に示すように引戸2の上方部の戸先2a側及び戸尻2b側の上方角部近傍に設けられる。
緩衝部3の組み付け構造は上述の実施形態と同様である。
緩衝受け部4,4は、それぞれが緩衝部3,3と対向するように上枠61に設けられ、緩衝部3のローラ31がストッパー40に当接し案内溝41に嵌り込んだときに、引戸2が全閉状態あるいは全開状態になる位置に設けられる。図例のものは、取付部43の端部43aが戸先2a側及び戸尻2b側のそれぞれ縦枠60,60に当接する位置に設けられている。
戸尻2b側の緩衝機構のそれぞれが、鏡板部23が袖壁8の縦枠80と対向する位置にスライド移動してきた際に減速するように設置されていることが望ましいことは第2の実施形態において説明したとおりである。
2 引戸
3 緩衝部
4 緩衝受け部
6 開口枠
61 上枠
9 減速部材
90 頂部
91 スロープ
Claims (3)
- 開口枠にスライド自在に建て付けられた引戸と、該引戸のスライド移動を減速させる緩衝部と、前記緩衝部のローラが当接することで前記引戸を停止させるストッパーを有した緩衝受け部とを備えた引戸装置であって、
前記緩衝受け部は、前記引戸の上方部に設けられた前記緩衝部と対向するように前記開口枠の上枠に設けられ、前記ストッパーに隣接し前記ローラが嵌まり込むように下方が開口状態に形成された案内溝と、前記案内溝に隣接し前記案内溝に近づくにつれて次第に下方へ突出する傾斜部とを有し、
前記緩衝受け部の前記傾斜部に隣接して、前記緩衝部が前記緩衝受け部に当接する前に前記引戸のスライド移動を減速させる減速部材が設けられており、
前記減速部材は、前記上枠への取付状態において下方に突出した頂部と、前記スライド移動が減速するように前記頂部に向かって下方に傾斜するスロープとを有し、前記上枠への取付状態における正面視において前記頂部を挟んで前記スロープの反対側にもスロープが形成された山形状であることを特徴とする引戸装置。 - 請求項1において、
前記減速部材は、前記上枠への取付状態における正面視において左右対称に形成されていることを特徴とする引戸装置。 - 請求項1または請求項2において、
前記減速部材は、中空状の樹脂成型品からなり、
前記頂部には、前記減速部材を固定する固定具が取り付けられる凹部が形成されていることを特徴とする引戸装置。
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