JP2004285486A - オレフィン系樹脂床用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材4、発泡層1、印刷層2、透明樹脂層3を少なくとも有するオレフィン系樹脂床用シートであって、
発泡層が、樹脂成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−アクリル系共重合体60〜90重量部と、メタロセン系触媒を用いたポリエチレン40〜10重量部とを含み、
透明樹脂層が、オレフィン系樹脂からなり、かつオルゼン曲げ剛性300MPa以下を有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系樹脂を使用しない床用シートに関し、特に、塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同等の柔軟性及び風合いを有し、かつ床用シートに要求される耐摩耗性・耐傷性・耐凹み性等を有するばかりか、施工性も塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同等のオレフィン系樹脂床用シートに関する。
【0002】
【技術背景】
従来から、一般家屋、事務所用ビル、店舗用建物、寺院、博物館、水族館、美術館、その他各種の建築物において、清掃のし易さ、施工の容易さ、交換のし易さ等から、床に敷設するシートとして、塩化ビニル系樹脂製の床用シートが多用されて来た。
【0003】
ところで、近年、塩化ビニル系樹脂からなる各種製品に対し、事実とは異なる面もあるものの、環境上に及ぼす影響(環境ホルモンやダイオキシンの発生等)が多大であるとの批判が生じ、市場において塩化ビニル系樹脂を使用しない素材の要求が強くなって来ている。
【0004】
この要求に応じて、アクリル系樹脂やオレフィン系樹脂等を使用した床用シートの開発が活発化している(例えば、特開平10−235805号公報、同11−13267号公報、特開2001−55826号公報等)。
しかし、これらの樹脂を使用する場合、従来の塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同様の施工を行うと、仕上がりが美麗にならない。
【0005】
特に、壁際を施工する場合等においては床用シートを折り曲げることもあり、入隅・出隅の施工に際しては鋭角に折れることもあり、また持ち運びの際に折れることもある等、シワが入る要因が多い。
塩化ビニル系樹脂製床用シート(発泡層を備えたクッション性を有する床用シート)の場合、上記のようなシワは、施工後に経時的に回復して、消失するか、あるいは目立たなくなるが、上記のようなアクリル系樹脂やオレフィン系樹脂等製の床用シートにおいては、シワの回復力が極めて小さく、施工の際に入ったシワが施工後の仕上がり外観を劣化させることとなる。
【0006】
このようなシワの発生を未然に防ぐべく、素材(すなわち、アクリル系樹脂やオレフィン系樹脂等を使用した床用シート)の特性に応じた施工指導を行おうとすると、施工者、特に塩化ビニル系樹脂製床用シートに対しての熟練施工者には、困難な施工を強いられるとの印象を持たせることとなり、これらの樹脂等製の床用シートについては、施工し難い床用シートと言う評価を生じさせてしまう。
【0007】
このようなことから、最近、塩化ビニル系樹脂を使用しない素材製の床用シートであって、しかも従来の塩化ビニル系樹脂製床用シートと区別なく施工することができる床用シートの開発が望まれている。
【特許文献1】特開平10−235805号公報
【特許文献2】特開平11−13267号公報
【特許文献3】特開2001−55826号公報
【0008】
【発明の目的】
本発明は、このような要請に応えるためになされたものであって、オレフィン系樹脂製の床用シートであって、従来の塩化ビニル系樹脂製床用シートと略同等の施工性を有するのみならず、外観(柔軟性、風合等)や使用性(耐摩耗性、耐傷性、耐凹み性等)においても従来の塩化ビニル系樹脂製床用シートと略同等の床用シートを提案することを目的とする。
【0009】
【発明の概要】
本発明者らは、上記の目的を達成するために種々検討を重ねた結果、次のような知見を得た。
(1)塩化ビニル系樹脂に代えて特定組成のオレフィン系樹脂を使用して発泡層を形成することで、発泡層を備えたクッション性の有る塩化ビニル系樹脂製床用シートに近似したシワ回復力が得られるばかりでなく、この床用シート上に長期間に渡って大重量の家具等を置いても凹みの発生が極めて少なく、当該家具等を取り除いた後のシート状態が塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同等の外観を有するものとなること。
(2)このオレフィン系樹脂製の発泡層上に、特定の剛性を有する透明樹脂層を設けることで、上記のシワ回復力が更に向上すること。
(3)上記(1),(2)の相乗により、外観(柔軟性、風合)や使用性(摩耗性、耐傷性、耐凹み性等)が従来の塩化ビニル系樹脂製床用シートと略同等となること。
【0010】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下から順に繊維質基材層、発泡層、印刷層、透明樹脂層を少なくとも有するオレフィン系樹脂床用シートであって、発泡層が、樹脂成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−アクリル系共重合体60〜90重量部と、メタロセン系触媒を用いたポリエチレン40〜10重量部とを含み、透明樹脂層が、オレフィン系樹脂からなり、かつオルゼン曲げ剛性(JIS−K−7106に規定)300MPa以下を有することを特徴とするオレフィン系樹脂床用シートにある。
この発泡層のエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルモノマー部の割合が15〜30%であり、エチレン−アクリル系共重合体は、アクリル系モノマー部の割合が10〜50%であることが好ましい。
【0011】
本発明の発泡層を構成する樹脂成分は、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−アクリル系共重合体60〜90重量部と、メタロセン系触媒を用いたポリエチレン40〜10重量部とを含むものである。
このエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルモノマー部の割合が15〜30%のものが好ましい。15%未満の当該共重合体を上記の含有割合で使用すると、発泡時の加熱下での溶融粘度が低くなり、発泡セルの形状保持ができず、セル荒れを起こし、従来の塩化ビニル系樹脂製床用シートと同等の施工性や耐凹み性等を得ることができなくなり、30%より多いものを使用すると、発泡層の融点が低くなり、床用シートとしての使用中に雰囲気温度で容易に変形し、凹みや発泡層のヘタリ等が発生する。
【0012】
このエチレン−酢酸ビニル共重合体に代えて、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体と併用するエチレン−アクリル系共重合体は、アクリル系モノマー部の割合が10〜50%のものが好ましい。10%未満の当該共重合体であっても、50%より多い当該共重合体であっても、上記の含有割合で使用すると、発泡層の物性に不都合が生じ、従来の塩化ビニル系樹脂製床用シートと同等の施工性や耐凹み性、風合い等を得ることができなくなる。
【0013】
このエチレン−アクリル系共重合体のアクリル系モノマーとしては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、メチルメタアクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、メチルメタクリレート(MA)等が使用でき、これらのモノマーはそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて混合使用することもできる。
また、これらのエチレン−アクリル系共重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて混合使用することができる。
【0014】上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−アクリル系共重合体の含有量は、少なすぎれば、後述するように、発泡層の下側面に設ける基材との接着性、上側面に設ける印刷層や透明樹脂層との接着性が低下し、逆に多すぎれば、本発明の床用シートの軟化点や融点が低くなり、低温での変形が懸念されるため、60〜90重量部とする。
これら両共重合体を併用する場合の各共重合体の配合割合は、特に制限されるものではなく、適宜の量であってよい。
【0015】
上記の共重合体と併用するポリエチレンは、メタロセン系触媒を用いて得られるものであって、このポリエチレンは、分子配列が整然としており、このポリエチレンを含む床用シートであれば、熱に対する形状維持性や加熱時のセル安定性に優れたものとなる。
【0016】
このポリエチレンの含有量は、少なすぎれば上記のような効果を得ることができず、多すぎると、硬度が増加して施工性が低下するばかりでなく、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル系共重合体の含有量が相対的に少なくなりすぎて、これらの共重合体による上記効果が減少する。
このようなことから、上記のポリエチレンの含有量は、40〜10重量部とする。
【0017】
上記の発泡層を形成するために使用される発泡剤としては、マイクロカプセル等の熱膨張型発泡剤、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン(DPI)、オキシビスベンゼン・スルホニルヒドラジド(OBSH)等の熱分解型発泡剤のいずれも使用できるが、本発明では、熱分解型発泡剤を使用することが、床用シートとして最適な発泡層を得る上で好ましい。
発泡剤の配合量は、所望の発泡倍率によって異なるため、特に限定しないが、発泡倍率を4倍とする場合、上記の樹脂成分100重量部に対し発泡剤が1重量部未満であると4倍の発泡を得ることができず、5重量部より多いと安定したセルを得ることができないため、1〜5重量部程度とするが好ましく、この割合を目標にして、所望の発泡倍率に応じた最適の量を決定すればよい。
【0018】
なお、本発明において、発泡倍率は、特に制限しないが、従来の床用シートから判断すれば、一般には1〜10倍程度が好ましく、この範囲内から床用シートの使用箇所等に応じて最適の倍率を適宜選定すればよい。
【0019】
上記のような発泡層の上方に設けられる透明樹脂層は、オレフィン系樹脂からなり、オルゼン曲げ剛性300MPa以下、好ましくは100MPa以下を有するものである。
このオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、適宜のオレフィン系樹脂が使用される。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルモノマー部の含有割合5〜30%)、エチレン−アクリル系共重合体(アクリル系モノマー部の含有割合5〜50%)、ポリオレフィン、ポリオレフィンアイオノマー等が好ましい。
なお、エチレン−アクリル系共重合体のアクリル系モノマーとしては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、メチルメタアクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、メチルメタクリレート(MA)等が使用でき、これらのモノマーはそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて混合使用することもできる。
【0020】
これらのオレフィン系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて混合使用することができる。
この混合使用の態様は、樹脂を均一に混合して使用してもよいし、後述するように、透明樹脂層を複数層とする場合において、各層毎に異種のオレフィン系樹脂を使用する等してもよく、種々の使用態様がある。
【0021】
透明樹脂層のオルゼン曲げ剛性があまり高いと、本発明の床用シートの施工の際や運搬の際にシワが入り易くなる。
透明樹脂層のオルゼン曲げ剛性の下限値は、特に制限しないが、あまり低すぎると、柔軟になりすぎて、耐摩耗性や耐凹み性あるいは後述する耐傷性ひいては光透過持続性が低下し、床用シートとしての要求特性が得られ難くなるため、10MPa程度が限度である。
透明樹脂層の好ましい曲げ剛性は、100〜10MPaである。
【0022】
透明樹脂層は単層であってもよいし、上述したように複数層であってもよい。
複数層とする場合は、各層のオレフィン系樹脂を同種のものにしてもよいし、異種のものとすることもできる。
異種のものとする場合は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレン−メタクリル酸共重合体と、ポリオレフィンアイオノマーの3種の層とすることもできる。
なお、複数層とする場合、複数の全層で上記のオルゼン曲げ剛性を有していればよい。
【0023】
透明樹脂層は、塗布等により設けることもできるし、予めフィルム化したものを積層して設けることもできる。
塗布で複数層を設ける場合は、押出機による押出コーティング装置により複数回コーティングしてもよいし、押出機を共押出機とし1回の押出で複数層、例えば2種2層、2種3層、3種3層等の押出コーティングを行ってもよい。
また、カレンダートッピングにより複数層を設けることもできる。
フィルム化したものを使用して複数層を設ける場合は、複数枚のフィルムをラミネートする手法で設けられる。
【0024】
なお、透明樹脂層には、安定剤、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤等のこの種の透明樹脂層に一般に使用される添加剤を、上記のような透明樹脂層の設け方に応じて適宜、必要な添加剤を必要な量で添加することもできる。
【0025】
本発明の床用シートは、上記の発泡層と透明樹脂層の間に印刷層が設けられる。
この印刷層は、パターン印刷(模様印刷)、ベタ塗り印刷、文字印刷等適宜の印刷が施されたものであってよい。
【0026】
この印刷層は、上記の透明樹脂層を通して視認されるため、上記の透明樹脂層は、印刷層の保護層としても機能するものである。
よって、透明樹脂層は、上記したように優れた耐摩耗性を有すると共に、優れた耐傷性ひいては下層の印刷層が長期間に渡って視認できる所定の透過持続性等をも有することが重要である。
【0027】
本発明の床用シートを製造するには、種々の方法が採用できるが、例えば、次のような方法であってもよい。
上記のオレフィン系樹脂による透明樹脂層として、予めフィルム化したものを使用する。
このフィルム(1枚又は、複数枚をラミネートして一体化したもの)の裏面側(すなわち、上記のオレフィン系樹脂発泡層側)に、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の通常の印刷技術で印刷層を形成し、続いて該印刷層を形成したオレフィン系樹脂フィルムの全面にプライマー処理を施す。
このプライマー処理は、印刷層を形成したオレフィン系樹脂フィルム(透明樹脂層)とオレフィン系樹脂発泡層との接着性を高めるために行われるものであって、例えば、メッシュ版等を用い、印刷層上に、プライマー剤としての接着剤等を塗布する。
【0028】
一方、カレンダー成形技術により、上記したオレフィン系樹脂発泡層を成形する。
すなわち、上記したオレフィン系樹脂、発泡剤、及び必要に応じて加える安定剤、帯電防止剤、炭酸カルシウムやタルク等の充填剤、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の難燃剤、滑剤、抗菌剤等の添加剤を混練し、未発泡状態でシート化する。
このシートの一方の面に、上記の印刷層を形成したオレフィン系樹脂フィルムを、他方の面に、繊維質基材等の従来の塩化ビニル系樹脂製床用シートに従来から一般的に使用されている基材を貼り合わせる。
あるいは、上記のカレンダーによる上記のオレフィン系樹脂と発泡剤と添加剤の混練、未発泡状態でのシート化の際に、該シートの裏面側に繊維質等の基材、表面側に上記の印刷層を形成したオレフィン系樹脂フィルムを同時に貼り合わせることもできる。
このようにして貼り合わせ一体化したものを加熱発泡し、本発明の床用シートが得られる。
【0029】
また、本発明の床用シートは、上記のカレンダー成形技術に代えて、一般的な押出加工技術により得ることもできる。
すなわち、上記のオレフィン系樹脂、発泡剤、及び必要に応じて加える安定剤等の添加剤の混練、未発泡状態でのシート化を押出成形技術により行い、得られるシートの一方の面に基材を、他方の面に印刷層を形成したオレフィン系樹脂フィルムを貼り合わせ一体化し、後に加熱発泡させればよい。
【0030】
更に、本発明の床用シートは、上記のオレフィン系樹脂フィルム(透明樹脂層)側からエンボス加工を施すこともできる。
このエンボス加工は、加熱発泡直後の床用シート全体が加熱状態にある間に行うことが、エンボス加工による凹凸紋を良好に形成する上で好ましい。
なお、エンボス加工は、透明樹脂層のみに凹凸紋が形成されるようにしてもよいし、印刷層、発泡層に渡って凹凸紋が形成されるものであってもよい。
【0031】
【実施例】
図1に模式的に示す床用シートを下記の実施例及び比較例の要領で得た。
なお、図1中、1がオレフィン系樹脂からなる発泡層、2が印刷層、3がオレフィン系樹脂からなる透明樹脂層(以下の実施例及び比較例では透明樹脂フィルムを使用)、4が基材である。
【0032】
実施例1〜8、比較例1〜4
エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルモノマー部15%)製の透明樹脂フィルム3の片面に、グラビア印刷2を施した後、メッシュ版を用いて全面にプライマー剤(接着剤)を塗布した。
カレンダー成形機を用い、この透明樹脂フィルム3の印刷層2上に、下記する発泡層用の原料を混練・シーティング・トッピングして発泡層1を未発泡状態で形成し、同時に発泡層1上に繊維質基材4を加熱ラミネートした。
この後、加熱して発泡層1の発泡を完了させて、図1に示す構成の床用シート2種を得た。
この2種のうちの1種の床用シートには、透明樹脂フィルム3側からエンボス加工(図1には示していない)を施した。
【0033】
〔発泡層用の原料〕
樹脂成分(表1−1〜表1−3の通り) 100重量部
炭酸カルシウム 10重量部
(日東粉化社製商品名“NN500”)
発泡剤(アゾジカルボンアミド) 2重量部
発泡助剤(ステアリン酸亜鉛) 3重量部
その他添加剤を適宜適量
【0034】
なお、表1−1〜表1−3並びに後述する表2−1,表2−2の記号の意味は、下記の通りである。
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体
VA:酢酸ビニルモノマーコンテント
EEA:エチレン−エチルアクリレート共重合体
EA:エチルアクリレートモノマーコンテント
EMMA:エチレン−メチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレートモノマーコンテント
EMA:エチレン−メタクリレート共重合体
MA:メタクリレートモノマーコンテント
mLLDPE:メタロセン触媒重合直鎖状低密度ポリエチレン
IO:アイオノマー
IO(Zn):Zn結合アイオノマー
IO(K):K結合アイオノマー
【0035】
また、表1−1〜表1−3中、シワ発生状況、発泡セル形状・保持は、以下の要領で評価した結果を示した。
【0036】
〔シワ発生状況〕
製品床用シートを工場内の事務所部の床面に施工して、壁際でのシワの発生状況を目視観察し、下記の要領で評価した。
○:シワが入り難いもの
△:エンボス加工を施していないものにはシワが目立つが、エンボス加工を施したものにはシワが目立たないもの
×:シワが入り易く、エンボス加工を施したものもシワが目立つもの
【0037】
〔発泡セル形状・保持〕
製品の加熱発泡条件を適宜変化させ、加熱発泡後の床用シートの断面を目視観察し、下記の要領で評価した。
○:加熱による発泡セルの形状が細かく安定し、かつ広範囲の加熱条件において発泡セルの状態が良好に保持されるもの
△:加熱による発泡セルの形状が安定しているが、その加熱条件の範囲は狭く、加熱量に伴い発泡セルの形状が悪くなるもの
×:発泡セルの形状が粗く、所定の発泡倍率が得られないもの
【0038】
【表1】
【0039】
実施例9〜19、比較例5
樹脂成分を、EVA(VA25%)(三井デュポンケミカル社製商品名“EV360”)80重量部と、mLLDPE(三井化学社製商品名“SP−0540”)20重量部とする以外は、上記の実施例と同じ配合の発泡層用原料を用い、表2−1,表2−2に示すオレフィン系樹脂製の透明樹脂フィルムを使用する以外は、上記の実施例と同様にして床用シートを製造し、評価を行った。
この結果を表2−1,表2−2に合わせて示す。
なお、表2−1,表2−2中、シワ発生状況、耐摩耗性・耐傷性は、以下の要領で評価した結果を示した。
【0040】
〔シワ発生状況〕
上記の実施例と同様にした。
【0041】
〔耐摩耗性・耐傷性〕
製品床用シートについて、透明樹脂フィルム上から、学振型摩耗試験機にて測定し、下記の要領で評価した。
○:何らの変化が見られないもの
△:表面に傷が僅かに入り、意匠を若干阻害するもの
×:表面に傷が入り、意匠を阻害するもの
【0042】
【表2】
*1:IOとEVAとEVA製の透明フィルム3枚を積層一体化したもので、三井デュポンケミカル社製商品名“シルキーハイミラン”
*2:IO(Zn)またはIO(K)製の透明フィルムで、三井デュポンケミカル社製商品名“ハイミラン樹脂”
【0043】
表1−1〜表1−3,表2−1,表2−2から明らかなように、本発明の床用シートによれば、従来の塩化ビニル樹脂製の床用シートと同等の施工性、耐摩耗性、光透過持続性(耐傷性)を有するものとなることが判る。
【0044】
【発明の効果】
本発明の床用シートによれば、次のような効果を奏することができる。
(1)特定のオルゼン曲げ剛性を有するオレフィン系樹脂からなる透明樹脂層を有しているため、柔軟で良好な風合いを有し、折れシワの発生が軽減する。
(2)また、(1)の透明樹脂層により、床用シートの該樹脂層(表面)側への反りが軽減され、施工後の目地部の突き上げや壁際の反り上がりが効果的に防止できる。この効果は、透明樹脂層が柔軟であればある程(オルゼン曲げ剛性が小さい程)大きくなるが、柔軟すぎる(オルゼン曲げ剛性が小さすぎる)と、却って風合いが低下するばかりか、耐摩耗性、耐凹み性、耐傷性、光透過持続性等が低下してしまう。
(3)従来の塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同等の施工性や特性(物性)を有している。
(4)従来の塩化ビニル系樹脂製の床用シートよりも軽量な床用シートを提供することができる。
(5)従来の塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同様に、印刷やエンボス加工等により多様な意匠を付与することができる。
(6)環境ホルモンの原因物質と懸念される薬剤を使用しておらず、床用シートの製造途上における、また床用シートとしての使用中における作業員やユーザへの健康上の懸念が全くない。
(7)使用後の床用シートを廃棄処分する際に、有害ガスの発生等の問題は全くない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床用シートの構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 オレフィン系樹脂からなる発泡層
2 印刷層
3 オレフィン系樹脂からなる透明樹脂層
4 基材
Claims (2)
- 下から順に繊維質基材層、発泡層、印刷層、透明樹脂層を少なくとも有するオレフィン系樹脂床用シートであって、
発泡層が、樹脂成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−アクリル系共重合体60〜90重量部と、メタロセン系触媒を用いたポリエチレン40〜10重量部とを含み、
透明樹脂層が、オレフィン系樹脂からなり、かつオルゼン曲げ剛性300MPa以下を有する
ことを特徴とするオレフィン系樹脂床用シート。 - 発泡層のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、酢酸ビニルモノマー部の割合が15〜30%であり、エチレン−アクリル系共重合体が、アクリル系モノマー部の割合が10〜50%であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系樹脂床用シート。
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