JP2004353233A - 凹凸模様を有するオレフィン系樹脂床用シート - Google Patents

凹凸模様を有するオレフィン系樹脂床用シート Download PDF

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Abstract

【課題】塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同等の高級感を備えた凹凸模様をケミカルエンボスにより形成してなるオレフィン系樹脂床用シートを提供する。
【解決手段】繊維質基材6、オレフィン系樹脂発泡層1、発泡抑制剤含有印刷層5、プライマー処理層4、絵柄印刷層3、透明オレフィン系樹脂フィルム2をこの順で有してなる床用シートで、透明フィルム2に、絵柄印刷層3、プライマー処理層4、発泡抑制剤含有印刷層5をこの順で設け、発泡抑制剤含有印刷層5側を発泡層1側に向けて接着させ、加熱発泡させてなる。
発泡層1に使用される発泡剤がアゾジカルボンアミド、発泡抑制剤含有印刷層5に配合される発泡抑制剤がベンゾトリアゾール系発泡抑制剤が好ましい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹凸模様を有するオレフィン系樹脂床用シートに関し、特に、塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同等の高級感を備えた凹凸模様をケミカルエンボスにより形成してなるオレフィン系樹脂床用シートに関する。
【0002】
【技術背景】
従来から、一般家屋、事務所用ビル、店舗用建物、寺院、博物館、水族館、美術館、その他各種の建築物において、清掃のし易さ、施工の容易さ、交換のし易さ等から、床に敷設するシートとして、塩化ビニル系樹脂製の床用シートが多用されて来た。
【0003】
この塩化ビニル系樹脂製の床用シーには、意匠性を高めるために、種々の工夫が施されており、中でも、発泡層を有する塩化ビニル系樹脂製床用シートの場合は、表面に凹凸模様を設けたものが広く知られている。
この表面凹凸模様は、機械的に形成するメカニカルエンボス加工や、上記の発泡層の発泡を部分的に抑制することで凹凸を形成するケミカルエンボス加工、あるいはロータリースクリーン等で樹脂(塩化ビニル系樹脂)を部分的に付着させ盛り上げて凹凸を付ける加工等がある。
塩化ビニル系樹脂製床用シートの場合、これらの加工手法をそれぞれ単独で採用したり、2種以上を適宜組み合わせて採用する等して、多種多様の表現を行うことができ、高級感の有る表面凹凸模様を得ることができる。
【0004】
一方、近年、塩化ビニル系樹脂からなる各種製品に対し、事実とは異なる面もあるものの、環境上に及ぼす影響(環境ホルモンやダイオキシンの発生等)が多大であるとの批判が生じ、市場において塩化ビニル系樹脂を使用しない素材の要求が強くなって来ている。
【0005】
この要求に応じて、アクリル系樹脂やオレフィン系樹脂等を使用した床用シートの開発が活発化している(例えば、特開平10−235805号公報、同11−13267号公報、特開2001−55826号公報等)。
しかし、これらの樹脂を使用する場合、上記のような従来の塩化ビニル系樹脂製の床用シートで採用している加工方法をそのまま採用することができず、表面凹凸模様は、一般には、エンボス版やエンボスロール等を使用するメカニカルエンボス加工によっていた。
【0006】
ところで、メカニカルエンボス加工の場合、メカニカルエンボスで形成される凹凸模様と、印刷により施される絵柄等の模様との同調を良好にとることができないため、高級感の有る複雑な絵柄模様を凹凸で表現することができず、総柄的な凹凸模様に限定せざるを得なかった。
【0007】
このようなことから、今日まで、オレフィン系樹脂製の床用シートに対する凹凸模様の形成技術が多数提案されてきた。例えば、
(1)ポリオレフィン樹脂からなる基材に、少なくとも1色に架橋助剤を配合したインクを用いて印刷し、加熱発泡工程で模様に同調した凹凸模様を生じさせる方法(特開昭52−967号公報)、
(2)オレフィン系樹脂からなる発泡層と透明樹脂層を設け、透明樹脂層側から発泡層にかけてエンボス版による凹凸模様を施す方法(特開2000−218746号公報)、
(3)オレフィン系樹脂からなる第1及び第2の発泡層を設け、第2の発泡層側から第1の発泡層にかけてエンボス版による凹凸模様を施す方法(特開2000−218747号公報)、
(4)アクリロニトリル樹脂を隔壁とするマイクロカプセル型発泡剤を配合したアクリル系樹脂やオレフィン系樹脂で発泡層を形成し、この上に該アクリロニトリル樹脂を溶解する物質を配合した発泡抑制層を部分的に形成した後、加熱発泡して、発泡抑制層に対応する部分を凹部とする凹凸模様層を形成する方法(特開2001−30398号公報)、
(5)熱分解型発泡剤と該発泡剤の発泡開始温度を低下させる発泡促進剤とを配合したオレフィン系樹脂からなる発泡層上に、該発泡促進剤の効果を低減させる発泡抑制インキ層を部分的に形成し、加熱発泡して、発泡抑制インク層の部分を凹部とする凹凸模様を形成する方法(特開2002−200717号公報)、
等がある。
【0008】
但し、(2)と(3)の方法は、前記した通り、印刷による絵柄模様との同調が良好でなく、(1)の方法は、架橋反応を利用するものであり、この反応が充分に進行しないと良好な凹凸模様が形成されず、(4)と(5)の方法も、塩化ビニル系樹脂では良好な凹凸模様が形成されるが、オレフィン系樹脂では良好な凹凸模様が形成されない。
【特許文献1】特開平10−235805号公報
【特許文献2】特開平11−13267号公報
【特許文献3】特開2001−55826号公報
【特許文献4】特開昭52−967号公報
【特許文献5】特開2000−218746号公報
【特許文献6】特開2000−218747号公報
【特許文献7】特開2001−30398号公報
【特許文献8】特開2002−200717号公報
【0009】
【発明の目的】
本発明は、以上の点を考慮し、従来の塩化ビニル系樹脂製床用シートと同様に印刷による絵柄模様と同調する凹凸模様をケミカルエンボス加工により形成することができるオレフィン系樹脂床用シートを提供することを目的とする。
【0010】
【発明の概要】
本発明は、上記の目的を達成するために、繊維質基材と、オレフィン系樹脂発泡層と、発泡抑制剤を含む印刷層と、プライマー処理層と、絵柄印刷層と、透明オレフィン系樹脂フィルムをこの順で有してなる床用シートであって、
上記透明オレフィン系樹脂フィルムに、上記絵柄印刷層と、上記プライマー処理層と、上記発泡抑制剤含有印刷層をこの順で設け、
該発泡抑制剤含有印刷層側を上記オレフィン系樹脂発泡層側に向けて接着させ、加熱発泡させてなることを特徴とする凹凸模様を有するオレフィン系樹脂床用シートを要旨とし、上記のオレフィン系樹脂発泡層に使用する発泡剤はアゾジカルボンアミドで、上記の発泡抑制剤含有印刷層に配合する発泡抑制剤はベンゾトリアゾール系発泡抑制剤であることが好ましい。
また、上記の透明オレフィン系樹脂フィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル系共重合体、ポリオレフィンアイオノマーから選ばれる1種以上からなることが好ましい。
【0011】
本発明の発泡層を構成するオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン等であり、これらはそれぞれ単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いられる。
なお、上記のエチレン−アクリル系共重合体のアクリル系モノマーは、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、メチルメタアクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、メチルメタクリレート(MA)等であり、これらのモノマーはそれぞれ単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いられ、また、これらのエチレン−アクリル系共重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0012】
上記のオレフィン系樹脂に配合する発泡剤は、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン(DPI)、オキシビスベンゼン・スルホニルヒドラジド(OBSH)等の熱分解型発泡剤が用いられ、中でもアゾジカルボンアミドを用いることが、床用シートとして最適な発泡層を得る上で好ましい。
発泡剤の配合量は、所望の発泡倍率によって異なるため、一概には限定されないが、発泡剤がアゾジカルボンアミドであって、発泡層の発泡倍率を4倍とする場合は、上記の樹脂成分100重量部に対し発泡剤が1重量部未満であると4倍の発泡を得ることができず、5重量部より多いと安定したセルを得ることができないため、1〜5重量部程度とするが好ましく、この割合を目標にして、所望の発泡倍率に応じた最適の量を決定すればよい。
【0013】
なお、本発明において、発泡倍率は、特に制限しないが、従来の床用シートから判断すれば、一般には1〜10倍程度が好ましく、この範囲内から床用シートの使用箇所等に応じて最適の倍率を適宜選定すればよい。
【0014】
上記のオレフィン系樹脂発泡層には、発泡助剤、無機充填剤、安定剤、抗菌剤等を配合することもできる。
【0015】
上記のオレフィン系樹脂発泡層上には、発泡抑制剤を含む印刷層、プライマー層、絵柄印刷層、透明オレフィン系樹脂フィルムが設けられるが、これらの発泡抑制剤含有印刷層と、プライマー層と、絵柄印刷層は、予め、透明オレフィン系樹脂フィルムに設けておく。
【0016】
この透明オレフィン系樹脂フィルムは、上記のオレフィン系樹脂発泡層を構成する樹脂成分と同様のものであってよいが、該フィルムを通して下層の絵柄印刷層が視認できる程度の透明度を有すると共に、オレフィン系樹脂発泡層に形成される凹凸パターン(凹凸模様)に追従できる柔軟性を有していることが好ましく、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル系共重合体、ポリオレフィンアイオノマー等が挙げられる。
【0017】
なお、エチレン−アクリル系共重合体のアクリル系モノマーとしては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、メチルメタアクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、メチルメタクリレート(MA)等が使用でき、これらのモノマーはそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて混合使用することもできる。
これらのオレフィン系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて混合使用することができる。
【0018】
上記の透明オレフィン系樹脂フィルムに設ける絵柄印刷層は、該透明オレフィン系樹脂フィルムに対して印刷可能なインクにより設けられる。
【0019】
この絵柄印刷層の印刷パターンは、本発明の床用シートの表面を装飾する役割をなすものであって、適宜の絵柄パターン(絵柄模様)が採用される。
本発明では、この絵柄パターンに合わせて後述するオレフィン系樹脂発泡層の凹凸パターン(凹凸模様)を形成するものであって、両パターンの相乗により塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同等の高級感を備えた凹凸模様を形成するものである。
このため、透明オレフィン系樹脂フィルムに設ける印刷パターン(絵柄パターン)と、後述するオレフィン系樹脂発泡層上に設ける発泡抑制剤含有印刷層の印刷パターンとは、予め、製品の床用シートに付与したい所望の凹凸模様に合わせた設計を行うこととなる。
なお、この絵柄印刷層は、1層であっても、複数層であってもよく、複数層の場合は複数層全体で統一された絵柄模様が形成されるようにする。
【0020】
この絵柄印刷層上には、プライマー処理層が設けられる。
このプライマー処理層は、上記のオレフィン系樹脂発泡層と、上記の透明オレフィン系樹脂フィルムとを接着させるためのものであって、例えば、透明2液型ウレタン系の処理剤等で設けられる。
【0021】
発泡抑制剤は、上記のオレフィン系樹脂発泡層に使用する発泡剤によって最適のものを選定すればよく、上記の発泡剤に対しては、ベンゾトリアゾール系、トリメリット酸系、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、1,2−フタル酸等が使用でき、中でも発泡剤がアゾジカルボンアミドで、発泡抑制剤がベンゾトリアゾール系ものの組み合わせで使用することが適している。
発泡抑制剤の配合量は、発泡剤の発泡を抑制する度合いによって異なるため、一概には限定されないが、少なすぎれば、抑制効果が発現せず、多すぎれば、効果が飽和するばかりか、ベタ付きが生じて加工の際にガイドロールにとられたり、シワ発生を招来する等の問題があるため、一般には、インク全量に対して10〜70重量%程度の範囲内から所望の抑制度合いによって適宜選定すればよい。
【0022】
この発泡抑制剤を含む印刷層の印刷パターンは、基本的には、上記のオレフィン系樹脂発泡層の発泡を部分的に抑制し、該発泡層に凹凸パターン(凹凸模様)を付与するためのものであり、上記の絵柄印刷層の印刷パターンに合わせて所望の凹凸パターンが付与されるようにすればよい。
この凹凸パターンと、上記の絵柄印刷層の絵柄パターンとが相乗されて、高級感を有する凹凸模様が形成されることとなる。
発泡抑制剤含有印刷層も1層であっても複数層であってもよく、複数層の場合は複数層全体で統一した凹凸模様が形成されるようにする。
【0023】
上記の絵柄印刷層、プライマー処理層、発泡抑制剤含有印刷層を設けた透明オレフィン系樹脂フィルムを、上記のオレフィン系樹脂発泡層上に接着させるが、このとき、発泡抑制剤含有印刷層側がオレフィン系樹脂発泡層側に向くように接着させる。
この後、加熱して、オレフィン系樹脂発泡層の発泡を行う。
この発泡の際に、上記の発泡抑制剤含有印刷層中の発泡抑制剤と接触している部分の発泡が抑制されて、オレフィン系樹脂発泡層に凹凸パターン(凹凸模様)が形成される。
【0024】
このように、本発明では、オレフィン系樹脂発泡層上に、直接、発泡抑制剤含有印刷層が接触しているため、該発泡抑制剤によるオレフィン系樹脂発泡層に対する発泡抑制作用は、何らの影響を受けることなく極めて良好に進行し、オレフィン系樹脂発泡層への凹凸パターン(凹凸模様)の形成を極めて良好に行うことができる。
このとき、オレフィン系樹脂発泡層を形成するための発泡剤としてアゾジカルボンアミドを使用し、発泡抑制剤含有印刷層に配合する発泡抑制剤としてベンゾトリアゾール系発泡抑制剤を使用すれば、この発泡層を発泡させるための加熱温度で発泡抑制剤の作用も活発化するため、より一層、良好な発泡と発泡抑制作用を得ることができ、鮮明で美麗な凹凸パターン(凹凸模様)が形成される。
【0025】
そして、この発泡抑制剤含有印刷層上に設けられているプライマー処理層を介して上記のオレフィン系樹脂発泡層と接着している透明オレフィン系樹脂フィルムが、上記の凹凸パターンに追従できる柔軟性を有しているため、この透明フィルムに設けられた絵柄印刷層の絵柄模様が上記の鮮明で美麗な凹凸パターンと合致し、従来の塩化ビニル系樹脂性の床用シートに形成される高級感の有る凹凸模様と同等の高級感を備えた凹凸模様を形成することができる。
そして、発泡抑制剤印刷層の隙間において、プライマー処理層により、透明オレフィン系樹脂フィルムとオレフィン系樹脂発泡層との強固な接合を確保することができる。
【0026】
【実施例】
実施例1
図1(A),(B)に模式的に示す床用シートを下記の要領で得た。
なお、図1(A)は加熱発泡前の状態を示し、図1(B)は加熱発泡後の状態を示しており、図1(A),(B)中、1がオレフィン系樹脂発泡層、2が透明オレフィン系樹脂フィルム、3が絵柄模様層、4がプライマー処理層、5が発泡抑制剤含有印刷層、6が繊維質基材である。
【0027】
透明オレフィン系樹脂(EVA)フィルム2の片面に絵柄印刷層3を設け、この上に透明2液型ウレタン系プライマー処理層(接着層)4を設け、さらにこの上に、発泡抑制剤としてベンゾトリアゾールをインクの母体樹脂100重量部に対して50重量%含む印刷インクにより発泡抑制剤含有絵柄印刷層5を設けた。
この透明オレフィン系樹脂フィルム2を、下記のオレフィン系樹脂組成物による発泡層(未発泡状態)1の片面に、発泡抑制剤含有絵柄印刷層5側を向けて接着すると同時に、発泡層1の他面(裏面)側に、繊維質基材6を貼着した後、加熱して、上記の発泡層1を発泡させて、本発明(実施例)の床用シートを得た。
【0028】
〔凹凸模様形成性〕
上記の実施例の床用シートにつき、凹凸模様の形成状況を目視観察し、次の基準で評価し、この結果を表1に示した。
○:発泡層1に凹凸模様が鮮明に形成され、この凹凸模様が透明フィルム2に形成した絵柄印刷層3の模様と良好に合致し、美麗な高級感の有る凹凸模様が形成されているもの。
△:発泡層1の凹凸模様があまり鮮明ではなく、高級感には欠けるが、実用に供して問題ない程度の凹凸模様が形成されているもの。
×:発泡層1の凹凸が全く生じていないか、極く僅かに生じているだけで実質的な凹凸模様感を得ることができないもの。
【0029】
〔層間剥離性〕
また、上記の実施例の床用シートにつき、工場内事務所スペースの床面に敷設し、実用テストを1週間にわたって実施し、次の基準で評価した。この結果を表1に合わせて示した。
○:特に問題が発生しないもの。
×:床面への敷設作業時に層間剥離が生じたり、実用テスト中に層間剥離が生じたもの。
【0030】
〔発泡層1用の原料〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体 100重量部
炭酸カルシウム 10重量部
(日東粉化社製商品名“NN500”)
発泡剤(アゾジカルボンアミド) 1重量部
発泡助剤(ステアリン酸亜鉛) 1重量部
その他添加剤を適宜適量
【0031】
実施例2
発泡層1に用いる発泡剤をジニトロ・ペンタメチレン・テトラミンに代える以外は実施例1と同様にして図1に示す構成の床用シートを得た。床用シートにつき、凹凸模様形成性と層間剥離性を、実施例1と同じ基準で評価した。この結果を表1に示す。
【0032】
実施例3
発泡抑制剤含有印刷層5に用いる発泡抑制剤を無水トリメリット酸に代える以外は実施例1と同様にして図1に示す構成の床用シートを得た。床用シートにつき、凹凸模様形成性と層間剥離性を、実施例1と同じ基準で評価した。この結果を表1に示す。
【0033】
実施例4
発泡層1に用いる発泡剤をジニトロ・ペンタメチレン・テトラミンに代え、発泡抑制剤含有印刷層5に用いる発泡抑制剤を無水トリメリット酸に代える以外は実施例1と同様にして図1に示す構成の床用シートを得た。床用シートにつき、凹凸模様形成性と層間剥離性を、実施例1と同じ基準で評価した。この結果を表1に示す。
【0034】
比較例1
図2に模式的に示す床用シート(図1の床用シートからプライマー層4を除いた構成のもの)を下記の要領で得た。
なお、図2は加熱発泡前の状態を示し、図2中の符号は図1の符号と同義である。
【0035】
実施例1と同様の透明オレフィン系樹脂フィルム2の片面に、実施例1と同様の、絵柄印刷層3と発泡抑制剤含有絵柄印刷層5をこの順序で設けた。
この透明オレフィン系樹脂フィルム2を、実施例1と同じオレフィン系樹脂組成物による発泡層(未発泡状態)1の片面に、発泡抑制剤含有絵柄印刷層5側を向けて接着すると同時に、発泡層1の他面(裏面)側に、繊維質基材(図示省略)を貼着した後、加熱して、上記の発泡層1を発泡させて、比較例の床用シートを得た。
この比較例の床用シートにつき、凹凸模様形成性を、実施例1と同じ基準で評価した。この結果を表1に示す。
【0036】
比較例2
図3に模式的に示す床用シート(図1の床用シートにおけるプライマー層4と発泡抑制剤含有絵柄印刷層5の積層順序を逆にした、すなわち絵柄印刷層3上に発泡抑制剤含有絵柄印刷層5を設け、この上にプライマー層4を設けた構成のもの)を下記の要領で得た。
なお、図3は加熱発泡前の状態を示し、図3中の符号は図1の符号と同義である。
【0037】
実施例1と同様の透明オレフィン系樹脂フィルム2の片面に、実施例1と同様の、絵柄印刷層3と発泡抑制剤含有絵柄印刷層5とプライマー層4をこの順序で設けた。
この透明オレフィン系樹脂フィルム2を、実施例4と同じオレフィン系樹脂組成物による発泡層(未発泡状態)1の片面に、プライマー層4側を向けて接着すると同時に、発泡層1の他面(裏面)側に、繊維質基材(図示省略)を貼着した後、加熱して、、上記の発泡層1を発泡させて、比較例の床用シートを得た。
この比較例の床用シートにつき、凹凸模様形成性を、実施例1と同じ基準で評価した。この結果を表1合わせてに示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004353233
【0039】
表1から明らかなように、実施例2〜4は、層間剥離がなく、実用上問題はないが、実施例1と比べると、凹凸模様形成性の面で劣り、高級感を有する鮮明な凹凸模様が形成されていない。
また、比較例1の床用シートは、凹凸模様の形成性では特に問題はないが、発泡層1と発泡抑制剤含有印刷層5の界面での接着強度が余り高くなく、この界面での層間剥離が顕著であって、床用シートとして使用中にこの界面での剥離が生じる懸念があり、実用面で問題がある。
さらに、比較例2の床用シートは、このような懸念は無いものの、表1に示す通り、発泡層1に凹凸模様が形成されず、床用シートとしての商品価値は余り高くない。
【0040】
【発明の効果】
本発明の床用シートによれば、次のような効果を奏することができる。
(1)発泡剤含有層が直接発泡抑制剤含有印刷層と直接接触しているため、この接触部において、発泡層の発泡が抑制され、良好な凹凸模様を発泡層に形成することができる。
(2)また、発泡抑制剤含有印刷層は、透明フィルムに施された絵柄印刷層と接しているため、上記の凹凸模様が絵柄印刷層との相乗作用により、従来の塩化ビニル系樹脂製の床用シートと同等の高級感を備えた鮮明かつ美麗な凹凸模様をケミカルエンボス加工により得ることができる。
(3)さらに、この凹凸模様を有することで、施工の際に折れシワが入り難くなり、施工の美観が良好になる。
(4)使用後の床用シートを廃棄処分する際に、有害ガスの発生等の問題は全くない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床用シートの構成を模式的に示す図で、(A)が発泡前の状態を、(B)が発泡後の状態を示している。
【図2】比較の床用シートの構成を模式的に示す図で、発泡前の状態を示している。
【図3】他の比較の床用シートの構成を模式的に示す図で、発泡前の状態を示している。
【符号の説明】
1 オレフィン系樹脂発泡層
2 透明オレフィン系樹脂フィルム
3 絵柄印刷層
4 プライマー処理層
5 発泡抑制剤含有印刷層
6 繊維質基材

Claims (2)

  1. 繊維質基材と、オレフィン系樹脂発泡層と、発泡抑制剤を含む印刷層と、プライマー処理層と、絵柄印刷層と、透明オレフィン系樹脂フィルムをこの順で有してなる床用シートであって、
    前記透明オレフィン系樹脂フィルムに、前記絵柄印刷層と、前記プライマー処理層と、前記発泡抑制剤含有印刷層をこの順で設け、
    該発泡抑制剤含有印刷層側を前記オレフィン系樹脂発泡層側に向けて接着させ、加熱発泡させてなることを特徴とする凹凸模様を有するオレフィン系樹脂床用シート。
  2. オレフィン系樹脂発泡層に使用される発泡剤が、アゾジカルボンアミドであり、発泡抑制剤含有印刷層に配合される発泡抑制剤が、ベンゾトリアゾール系発泡抑制剤であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸模様を有するオレフィン系樹脂床用シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007291840A (ja) * 2006-03-29 2007-11-08 Dainippon Printing Co Ltd 発泡床材シート及びその製造方法
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