JP2011046048A - 装飾シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】装飾シートは、基材層1、合成樹脂層2、意匠層3、透明合成樹脂層4、表面層5とからなり、表面層5が熱膨張カプセル6を含むことを特徴とする。このとき、表面層5を構成する塗料の固形分100重量部に対する熱膨張カプセル6の含有量が10〜90重量部であり、表面層5の目付け量が乾燥状態で2〜10g/m2であることが好ましい。
【選択図】図2
Description
それらの中でも、塩化ビニル樹脂製のクッションフロアが、水や汚れ等を簡単に拭き取れるので、手入れがしやすく、多用な意匠(模様)を実現できることから、良く使われていたことがあった。しかし、近年では、低価格化されてきたフローリングが急速に普及する一方、フローリングに比べると高級感にやや劣るクッションフロアは、家庭床面積の中に占める割合が減少し、使用される場所としては、水周りの限られた所しか使われなくなってきている。
ちなみに、人が物に触れたとき、それぞれが同じ温度であるにもかかわらず、フローリングやクッションフロアは「冷たい」、畳やカーペットは「暖かい」と感じる傾向がある。このような皮膚感覚は、接触冷温感と呼ばれ、人の皮膚から物への熱の移動量の差によって変化するものであり、その物を構成する「素材」だけでなく、「毛羽立ち具合」や「凹凸等の表面形状」も影響するといわれている。
このとき、表面層を構成する塗料の固形分100重量部に対して熱膨張カプセルの含有量が10〜90重量部であり、該表面層の目付け量(塗料固形分と熱膨張カプセルを合わせた量)が乾燥状態で2〜10g/m2であることが好ましい。
また、本発明の装飾シートでは、合成樹脂層が発泡した発泡合成樹脂層であってもよい。
さらに、本発明の装飾シートは、表面層に異なる2種以上の熱膨張カプセルを使用することができる。
これに対し、本発明の装飾シートでは、透明合成樹脂層の上に設けられる表面層が熱膨張カプセルを含むことが重要である。
熱膨張カプセルが加熱工程により膨張し、柔らかく薄い殻で構成されたセルが装飾シート表面に存在することで、表面に起毛感が発現し、先願の床化粧シートにはないバックスキンやスエードのようなソフトな感触が得られる。
また、このように、各セルには空気が内包されているので、人の皮膚から装飾シートへの熱伝導がこの空気に阻害され、熱が伝わりにくくなり、装飾シート表面に接触した例えば素足などから熱の奪われる量が減少する結果、冷たく感じず、優れた温感性を発現することができる。
しかも、フローリングだと、寒い冬季などに冷たさを感じることから、床暖房やホットカーペットを使用し暖を取ることが多いのに対し、本発明の装飾シートは、接触した例えば素足などから熱の奪われる量が少なく、温感性(冷たく感じ難い)に非常に優れているので、床暖房やホットカーペットを必要とせず、家庭内でのエネルギー使用量の削減(エコ)に繋がるものである。
本発明の一実施形態例を示す図1において、装飾シート10は、基材層1、非発泡の合成樹脂層2、意匠層3、透明合成樹脂層4、表面層5とからなり、表面層5が熱膨張カプセル6を含む。また、図2,3は、基材層1と意匠層3との間に発泡合成樹脂層2'が設けられた、本発明の他の実施形態例を示すものである。図1〜2において共通あるいは同一の部分は同じ符号で示している。
基材層1としては、装飾シートの基材として一般的に使用されているものであれば特に限定されず、例えば、繊維に合成樹脂を含浸硬化させたものなどが挙げられる。具体的には、合成繊維、天然繊維、無機繊維の少なくとも1種以上からなる不織布、編布または織布、あるいは、合成樹脂バインダーと各種繊維、パルプ素材とを混抄した混抄紙とすることができる。合成樹脂バインダーとしては、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴムなどが挙げられる。
基材層1は、複数の層から構成されても良く、例えば、合成繊維の織布または不織布と、ガラス繊維の不織布とを積層させてもよい。
また、本発明の装飾シートでは、上記合成樹脂層2が発泡した発泡合成樹脂層2’であってもよい。
発泡方法としては、機械発泡でもよく、発泡剤を用いたケミカル発泡でもよい。ケミカル発泡に使用される発泡剤としては、マイクロカプセル等の熱膨張型発泡剤、アゾジカルボン酸(ADCA)、ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン(DPI)、オキシビスベンゼン・スルホニルヒドラジド(OBSH)等の熱分解型発泡剤のいずれも使用できる。樹脂層2’の発泡成形時の加熱温度や加熱時間は、選択される製造方法や樹脂等の材質により適宜選択され得る。
あるいは、合成樹脂層2又は発泡合成樹脂層2’の表面、または透明合成樹脂層4の裏面に、染色を施したり、柄織布、柄編布などを積層したりすることで、意匠層3を構成してもよい。
透明合成樹脂層4を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂等の少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなることが好ましく、それら熱可塑性樹脂は、エマルジョンタイプであっても、溶剤タイプであってもよい。
なお、製造後の装飾シート10,20の表面に折りしわが付くことを防止したり、表面のベタツキ感を防止したりするために、透明合成樹脂層4の表面上に、ロータリースクリーンプリント(RSP)やメカニカルエンボスなどで凹凸を設けておくこともできる。
表面層5は、例えば、塗料に熱膨張カプセル6を分散した処理液を、ロールコーター、グラビアコーター、グラビア・オフセットロールコーターなどの薄膜塗布装置にて、所定の目付け量で塗布し、熱風乾燥機、ヒーター加熱装置、誘電加熱装置などで加熱(乾燥)処理し、塗料を乾燥させ、かつ熱膨張カプセル6を膨張させることで設けることができる。
上記目付け量は、透明合成樹脂層4の厚みによっても左右されるが、少なすぎると、本発明が目的とする所望の効果(ソフト感や温感)が十分に得られず、多すぎれば、下層にある意匠層3の意匠を視認しづらくなるばかりか、カプセルの付着量が過剰となり表面凹凸が増え水周り使用適正が損なわれる傾向(水などが滲みやすい、ふき取りにくい)にあるので、乾燥状態で2〜10g/m2であることが好ましく、より好ましくは3〜7g/m2である。
熱膨張カプセルのサイズについては、小さすぎると、本発明が目的とする所望の効果(ソフト感や温感)が十分に得られず、大きすぎると、透明合成樹脂層4上に付着し難くなるので、膨張前の平均粒子径が5〜50μm程度のものが好ましい。
例えば、図2に示すように発泡合成樹脂層2’が設けられる場合、加熱処理温度が150〜180℃、加熱処理時間が20〜60秒とすることが好ましい。熱量(加熱処理温度×加熱処理時間)が高すぎると、発泡合成樹脂層2’が2次発泡を起こし、製品とならないからである。
したがって、熱膨張カプセルの膨張開始温度や最大膨張温度については、加熱処理条件にもよるため一概には決められないが、一般には、膨張開始温度は90〜150℃程度、最大膨張温度は110〜180℃程度のものを用いればよい。なお、膨張開始温度が70℃以下のカプセルでは、装飾シートを使用する段階で直射日光などで床面が温まった際に熱膨張してしまう虞がある。
このとき、複数種の熱膨張カプセルを処理液中に分散混合させた塗料を塗布してもよいし、種類の異なるカプセル毎に分散させる処理液を分けて、重ね塗りすることもできる。
なお、より確実にソフトな感触を得るために、硬度の低いバインダー樹脂を選択することが好ましい。
塗料の固形分に対して、熱膨張カプセルの配合量が少なすぎると、本発明が目的とする所望の効果(ソフト感や温感)が十分に得られず、多すぎると、下層にある意匠層3の意匠の視認性が阻害されるばかりか、装飾シートとしての使用時にカプセルの脱落が生じやすい。
このように、塗料中のバインダー樹脂分にて、加熱により膨らんだ熱膨張カプセル6が、装飾シート10,20の透明合成樹脂層4に固着される。本発明では、図3(A)及び(B)に示すように、熱膨張カプセルの加熱処理条件などにより、熱膨張カプセル6の発泡度合いが異なるので、要求されるソフト感、又は基材や熱膨張カプセル等の種類によって、適した加熱処理条件を選択することが好ましい。
これらの添加剤としては、通常の装飾シートに配合する通常のものが使用できる。
1)基材層1上に非発泡の樹脂層2を塗布加熱成形し、その上に意匠層3を設け、さらに透明合成樹脂層4を塗布加熱形成する。
2)必要に応じて、透明合成樹脂層4の表面上に、ロータリースクリーンプリント(RSP)またはメカニカルエンボス、或いは両方で凹凸を設ける。
3)続いて、透明合成樹脂層4上に、熱膨張カプセル6を含む表面層5を設ける。
1)基材層1上に、発泡剤を含有した樹脂層2’を塗布加熱形成(非発泡で)し、その上に意匠層3を設け、さらに透明合成樹脂層4を塗布加熱形成し、さらに樹脂層2’を加熱発泡する。
2)必要に応じて、透明合成樹脂層4の表面上に、ロータリースクリーンプリント(RSP)またはメカニカルエンボス、或いは両方で凹凸を設ける。ただし、RSPの場合は、上記1)の加熱発泡前に塗布する。
3)続いて、透明合成樹脂層4上に、熱膨張カプセル6を含む表面層5を設ける。
調製例1
溶剤系塗料(大日精化社製 商品名“ダイプラコート ワニス ESC−7397”)の固形分100重量部に対し、熱膨張カプセル(同社製 商品名“ダイフォーム M430D”)を59重量部配合して、固形分25%の処理液Aを調製した。
調製例1と同じ溶剤系塗料の固形分100重量部に対し、膨張開始温度の異なる2種の熱膨張カプセル(同社製 商品名“ダイフォーム M430D”:同社製 商品名“同 H750D”=1:1の割合)を59重量部配合して、固形分25%の処理液Bを調製した。
実施例1〜9
厚さ0.2mmのガラス混抄紙である基材層の上に、厚さ1.5mmの塩化ビニル樹脂層を形成(ペースト加工にて)し、更にグラビアプリント機にて印刷を施すことで意匠層を形成し、その上に厚さ0.3mmの塩化ビニル系樹脂製の透明合成樹脂層を形成(ペースト加工にて)し、加熱キュアした後に、表面加熱し押し型にてエンボス加工を施した(第1工程品)。
次に、第1工程品の表面(透明合成樹脂層側)に、表1に示す処理液を表面処理装置(グラビアロールコーター)にて、表1に示す目付け量(g/m2)にて塗布した。
続いて、熱風乾燥機にて、加熱処理(170℃×30秒)を施し、処理液の溶媒を乾燥させつつ、熱膨張カプセルを膨らませ、本体(第1工程品)に固着させ、厚さがおよそ2mmの装飾シートを得た。
家庭用の装飾シートとして一般的に用いられているフローリングを参考例1、畳を参考例2、カーペットを参考例3とした。
スエードやバックスキンのような優れた柔らかさがある:◎
柔らかさがある:○
カプセルの脱落が多少あり、柔らかさにやや劣る:△
従来の塩化ビニル樹脂製クッションフロアと大差無し:×
(B)水周りでの使用適性について、コップ1杯の水をこぼした直後の表面を雑巾で拭き、以下の基準で評価した。
こぼれた水が滲むことなく拭き取れる:◎
こぼれた水が滲むことはないが、拭き取りにくい:○
こぼれた水が少々滲み、僅かにしみとして残る:△
こぼれた水が滲み、しみがとれない:×
(C)温感性について、室温5℃の部屋の中で各々の表面上に素足で立ち、以下の基準で評価した。
冷たく感じない:◎
あまり冷たく感じない:○
やや冷たく感じる:△
冷たく感じる:×
(D)意匠性について、表面層を設けることによる意匠層の視認度合いを、表面層を設けない場合と比較して、以下の基準で評価した。
表面層を設けない場合と同程度に、意匠層が視認できる:◎
表面層を設けない場合よりも若干劣るが、意匠層が問題なく視認できる:○
表面層を設けない場合よりも劣り、意匠層が視認し難い:△
意匠層が視認できない:×
また、実施例9の装飾シートは、意匠が他の実施例よりも立体的に見えるものであった。
実施例10−1〜10−19
厚さ0.2mmのガラス混抄紙である基材層の上に、厚さ0.3mmの発泡剤(ADCA)を含んだ塩化ビニル樹脂ペーストを積層し加熱ゲル化してシートを形成し、更にグラビアプリント機にて印刷を施すことで意匠層を形成し、その上に厚さ0.15mmの塩化ビニル系樹脂製の透明合成樹脂層を形成(ペースト加工にて)し、更にその上に塩化ビニル樹脂ペーストをロータリースクリーンプリントで塗布し、表面凹凸意匠を形成した後、発泡ベース層を加熱発泡した(第1工程品)。
次に、第1工程品の表面(透明合成樹脂層側)に、調製例1で得た処理液Aをグラビアロールコーターにて、目付け量5g/m2(乾燥状態)にて塗布した。
続いて、熱風乾燥機にて、表2に示す温度および時間(秒)にて加熱処理を施し、処理液の溶媒を乾燥させつつ、熱膨張カプセルを膨らませ、本体(第1工程品)に固着させ、厚さがおよそ1.8mmの装飾シートを得た。
なお、「(A)表面のソフト感」の代わりに「(A')熱膨張カプセルの発泡状態」について、以下の基準で評価した。
所望の膨張倍率が得られ、(スエードやバックスキンのような)起毛感が得られた:◎
膨張が不十分なものもあるが、起毛感は得られた:○
膨張が不十分なものが多く、起毛感があまり得られなかった:△
殆ど膨張していない状態で、起毛感が全く得られなかった(従来の塩化ビニル樹脂製クッションフロアの触感と大差無し):×
また、実施例10−10、10−11で得られた装飾シートの表面について一部拡大した写真を、図3(A)、図3(B)にそれぞれ示す。これら写真から、実施例10−11では、実施例10−10に比べて、熱膨張カプセルが発泡していることがわかる。
処理液Bを用いた以外は、実施例10−10と同様にして厚さが1.8mmの装飾シートを得た。
実施例1における第1工程品を比較例1、実施例10における第1工程品を比較例2とした。
実施例10における表面凹凸意匠の形成を、ロータリースクリーンプリントではなくメカニカルエンボスにて施した第1工程品を比較例3とした。
実施例10の第1工程において、凹凸加工を施すためのロータリースクリーンプリント(RSP)に用いる塩化ビニル樹脂ペーストに熱膨張カプセルを混入し、発泡ベース層を発泡させる際に熱膨張カプセルをも膨張させ、比較例4とした。なお、塩化ビニル樹脂ペーストへの熱膨張カプセルの添加量は、塩化ビニル樹脂ペースト100重量部に対して10重量部とした。
また、表2より、実施例10のように発泡層を有するシートへの加工の場合は、処理液の乾燥(加熱処理)条件にも制限され、発泡が不十分な状態(加工温度が低い、短時間の加熱)では、ソフト感や温感性が得られない傾向にある。また過発泡状態までの加熱(加工温度が高い、長時間の加熱)でもソフト感や温感性を得られない傾向にある。
結果、熱膨張カプセルを混入する処理液の処方としては「塗料の固形分」100重量部に対して熱膨張カプセルが10〜90重量部であり、処理液の目付けが「乾燥状態で2〜10g/m2」望ましくは「3〜7g/m2」であることがわかった。また、本処方での実施例においては、実用上の問題はないものであった。
このため、本発明による装飾シートは、従来のクッションフロアのように台所、トイレ、洗面所等の水周りに使用できると共に、スエードやバックスキンのような高級感のある敷物として使用することもできる。また、施工を伴わないものなので、トイレや洗面所などの床タイル、ダイニングや居間、子供部屋などのフローリング、寝室や客間の畳など様々な箇所に置き敷くことができるものである。
さらに、温感性に優れているので、基材層を耐水性のものとすることで、寒い冬季に浴室の洗い場に敷くことも有益である。
2 合成樹脂層
2’ 発泡合成樹脂層
3 意匠層
4 透明合成樹脂層
5 表面層
6 熱膨張カプセル
10,20 装飾シート
Claims (4)
- 基材層、合成樹脂層、意匠層、透明合成樹脂層、表面層とからなる装飾シートであって、前記表面層が熱膨張カプセルを含むことを特徴とする装飾シート。
- 表面層を構成する塗料の固形分100重量部に対する熱膨張カプセルの含有量が10〜90重量部であり、該表面層の目付け量が乾燥状態で2〜10g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の装飾シート。
- さらに、基材層と意匠層との間の合成樹脂層が発泡していることを特徴とする請求項1または2に記載の装飾シート。
- 前記表面層が、異なる2種以上の熱膨張カプセルを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装飾シート。
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