JP2004284038A - ロール状写真用支持体として有用な熱可塑性樹脂フィルムとその製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ロール状写真用支持体として有用な熱可塑性樹脂フィルムとその製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料 Download PDF

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Abstract

【課題】切断性、カール回復性、巻癖カール及び現像処理後のカール特性が改良された熱可塑性樹脂フィルムとそれを用いたハロゲン化銀写真感光材料を提供する。
【解決手段】3層以上の構成層からなる積層構造を有するポリエステルフィルムであって、該構成層の全てが、脂環構造を含むポリエステルを含有すると共に、表裏面の各表層を構成する2層には、スルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを含有し、表面に出ない層にはスルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを含有しないことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムおよびその製造方法に関し、特に、写真用支持体に適した熱可塑性樹脂フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、二軸配向ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムは各種の特性をバランス良く保有し、産業用資材として広く使用されている。その中で、写真感光材料の分野においても、医療用のX線写真フィルムや、印刷用、ディスプレイ用等の比較的広い面積で使用され、高い平面性が要求される分野では、優れた支持体用材料として実績がある。一方、一般消費者向けの135サイズを主体とするロール状のカラー写真フィルムあるいはモノクロ写真フィルム用の支持体としては、長年にわたり、その加工のし易さの観点からトリアセチルセルロース(以降、TACと略す)ベースに代表される繊維素系ポリマー支持体が広く使用されている。以上のように、現在のアマチュア写真市場では、TACベースを用いた写真フィルムが主流であり、撮影に使用するカメラや、現像所使用する現像処理機、フィルムスプライーサー等の機器設計は、このTACベースの物性に合わせて設計されることとなり、現実に大量のTACベースに対し適正を有する各種の写真関連機器が存在している。
【0003】
一般に、TACベースは、光学的な等方性と優れた透明性を有し、適度な透湿性と保水性を有し、ロール状に保管した際に生じる巻き癖カールが、湿式現像処理工程で回復すると言った一般消費者用のロール形態の写真フィルムとして特徴的な特性を有しており、この特性を充たす代替品は、現在まで存在しなかった。
【0004】
撮影用フィルムに巻き癖がついたままであると、湿式現像処理工程中や現像処理後に、様々な問題、例えば、現像処理機での搬送中に折れが発生したり、現像処理機のガイドロールに巻き込まれるという問題が発生し、また、カラーネガティブフィルムである場合には、カラーペーパーへのプリント工程等で、保持たれたカール特性に起因して、プリンター内でのスリ傷の発生、ピントのボケ、搬送時のジャミング、折れ等の問題が発生する。巻き癖カールが湿式現像処理時に回復する速度や、現像処理液中での支持体としての適度な強度と剛性を維持できることも、TACベースの有利な特徴である。
【0005】
しかしながら、現在広く用いられているTACベースにおいても、様々な課題を抱えている。その一つは、TACベースを製造する際にメチレンクロライド(沸点41℃)などの塩素系炭化水素を溶媒として使用している点が、その代表として指摘されている。メチレンクロライドは、従来からセルローストリアセテートの良溶媒として用いられ、沸点が低いことから製造工程の製膜及び乾燥工程において乾燥させ易いという利点により好ましく使用されている。ところがメチレンクロライドは、近年環境問題等の視点より、その使用量が制限される方向にある。このため、製造工程でメチレンクロライドの回収を徹底して行う等の対策を取っているが、大がかりな回収設備が必要とされコストに対する負荷が大きいのが現状である。
【0006】
上記課題の解決方法の一つとして、例えば、特開平11−310640号には、TACの冷却溶解を用いた方法、特開平11−152342号には、溶媒を変更した方法等により、メチレンクロライドを使用しない、あるいは大幅に削減できるセルローストリアセテートフィルムの製造方法が提案されているが、未だ有機溶媒を使用するための設備投資が増大したり、あるいは引火性、爆発性などの懸念を低減するため設備投資が必要とされているのが現状であり、有機溶媒を使う以上、本質的な解決には至っていない。
【0007】
一方、TACベースを他のプラスチックベースで置き換える様々な試みがなされている。例えば、米国特許第4,141,735号では、アニール処理を施したポリエチレンテレフタレート(以降、PETと略す)、ポリエチレン2,6ナフタレート(以降、PENと略す)などが実用化に向け検討されており、このうち、アニール処理されたPENベースは厚さ85μm付近のものが、APS(アドバンスドフォトシステム)用の写真用ベースフィルムとして、既に実用化されている。アニール処理されたPENベースは、ロール状に保管しても巻き癖がつきにくいことが特徴であるが、このアニール処理されたPENベースの厚さを、現在広く普及している135フォーマットの写真フィルムで使われているTACベースの厚さと同じ120μm程度にすると、支持体の機械的な物性、例えば、剛性、破断強度などが高すぎて、現行の135フォーマットのカメラや現像処理機等で故障が生じる要因となるため、135フォーマット対応のシステムには、未だ使われていないのが現状である。
【0008】
一方、特開平10−20441号、特開2000−206646号、特開2001−98089号には、フィルム強度を低下して切断容易性を高めたフィルムが提案されて、135フォーマットへの応用が試みられてはいるが、未だ実用化に耐えうる品質に到達していない。また、PENフィルムは、現状では樹脂の原料コストが高く、また融点が高いため、熱エネルギーに対する負荷や樹脂強度が高いことによる加工時のエネルギー負荷等で製造面における適性に劣るため、現在使用されているTACフィルムへの置き換えに対して、経済的な利点が少ない。従来の技術では、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート系プラスチックをはじめとする剛性の高い樹脂に熱処理を施す等をして、巻き癖のつきにくい材料を得る方法の検討がなされてはいるが、剛性の高い素材を用いるという観点では、TACと互換性のある写真フィルム用の支持体を見いだすのは困難であるのが現状である。
【0009】
また、ポリエチレンテレフタレートは、前述のようにシート状で使用される写真用感光材料の支持体として、その優れた寸法安定性や機械強度により実用化されているが、カールの付き易さと現像処理後の巻き癖回復性(カールのとれ易さ)が劣るため、135フォーマットのような小径のロールフィルムでは支持体として実用化できない。巻き癖カールをつきにくくする方法については、特許第3142571号、特開平8−146558号に開示されているが、ポリエチレンテレフタレートはTgが80℃付近であり、135フォーマットの写真フィルムが日常で保存される環境下で容易に巻き癖がついてしまうため、実用化には至っていない。また、アニール処理されたポリエチレン2,6ナフタレンジカルボキシレートベース(PENベース)は巻き癖は付きにくく、APSフォーマットでは実用化されているが、前述のように厚みを135フォーマットのTACと近似にすることができず、TACと互換性のあるベースとなり得ない。また、厚みの問題を別にしても、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレンジカルボキシレートは、特に、延伸した後では破断しにくいため、優れた裁断適性を有するTACベースに対応してある各種処理機器では、所望のサイズに断裁したり、パーフォレーション部の加工がし難いことが欠点となってしまい、現像前後でのフィルムの裁断、穿孔機器で故障を起こすことが知られている。
【0010】
一方、現像処理後のカールを取れやすくするための方法として、親水性の成分をポリエチレンテレフタレートへ共重合したり、ポリエチレンテレフタレートと親水性の共重合ポリエステルを積層する方法が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。上記技術によれば、ロール状に加工した際の巻癖カールのつき易さ、現像処理後のカールの取れ易さは、TACと近似の品質まで向上させることが可能であるが、切断性については、例えば、市場で長期間使用されているような刃の断裁部が摩耗している様な処理機のカッターでも、TACベースなら断裁トラブルもなく安定に断裁加工ができるのに対し、上記提案されている方法のフィルムは、TACの特性に遠く及ばないのが実状である。
【0011】
また、上記PETやPEN以外にも、例えば、特開平5−197072号、特開平7−311439号、特開平8−137050号、特開平8−122971号等には、シンジオタクティクスポリスチレン、ポリアミドなどを使った方法が開示されてはいるが、TACベースを代替するという品質には未だ達してはいない。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−131800号公報 (特許請求の範囲)
【0013】
【特許文献2】
特開2001−290243号公報 (特許請求の範囲)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、切断性、カール回復性、巻癖カール及び現像処理後のカール特性が改良された熱可塑性樹脂フィルムとそれを用いたハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の構成により解決することができた。
【0016】
(1) 3層以上の構成層からなる積層構造を有するポリエステルフィルムであって、該構成層の全てが、脂環構造を含むポリエステルを含有すると共に、表裏面の各表層を構成する2層には、スルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを含有し、表面に出ない層にはスルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを含有しないことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
【0017】
(2) 前記各構成層の、ポリエステルに含まれる全酸成分に対する脂環構造成分の比率が50モル%以上であることを特徴とする(1)に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【0018】
(3) 前記各構成層の、ポリエステルに含まれる脂環構造成分の全酸成分に対する比率が90モル%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【0019】
(4) 前記表裏面の各表層を構成する2層のポリエステルに含有されるスルホイソフタル酸金属塩が、全酸成分に対してそれぞれ1から10モル%であることを特徴とする(1)、(2)又は(3)に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【0020】
(5) 前記ポリアルキレングリコールが、表裏面の各表層を構成する2層のポリエステルの全質量に対して、それぞれ1から10質量%であることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【0021】
(6) 前記脂環構造がシクロヘキサン環であることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【0022】
(7) 隣接する2層(A層、B層)間の各ポリエステルに含有されるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率の差(X−Y)が下記式を満足することを特徴とする(6)に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【0023】
−50<X−Y<50
X:A層におけるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率(モル%)
Y:A層に隣接するB層におけるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率(モル%)
(8) 前記積層構造を有するポリエステルフィルムの全膜厚が、50から250μmであることを特徴とする(1)〜(7)の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【0024】
(9) 前記(1)〜(8)の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム上に、少なくとも1層のハロゲン化銀写真感光層を塗設したことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0025】
(10) ハロゲン化銀写真感光層を塗設してロール状で使用することを特徴とする(9)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0026】
(11) 前記(1)〜(8)の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、複数の押出し機とマルチマニフォールドダイを使用して共押出し法により多層構成のシートを成形した後、該シートを二軸延伸し熱固定することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【0027】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、3層以上の構成層からなる積層構造を有するポリエステルフィルムであって、該構成層の全てが、脂環構造を含むポリエステルを含有するとともに、表裏面の各表層を構成する2層には、スルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを含有し、表面に出ない層にはスルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを含有しない熱可塑性樹脂フィルムにより、切断性、カール回復性、巻癖カール及び現像処理後のカール特性が改良された熱可塑性樹脂フィルムを実現できることを見出し、本発明に至ったものである。
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムであるポリエステルフィルムは、3層以上の構成層が積層された構造からなるものである。例えば、単層または2層構成では、特に、カール回復が十分ではなく、本発明の目的を達成することができない。
【0029】
本発明においては、3層以上の積層構造とするとともに、ポリエステルフィルムの表裏面を構成する各最表層(2層)の含水量が異なる積層構造とすることにり、本発明で目的とする優れたカール回復性を実現できる。
【0030】
従って、4層以上の積層構造にすることはかまわないが、原料が多種類になること、また熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いる押出し機やダイなどの製造設備が複雑になることなどの理由により、3層の積層構造とすることが好ましい。
【0031】
次に、本発明に用いられるポリエステル樹脂について説明する。
本発明に用いられるポリエステル樹脂はジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするポリエステルである。
【0032】
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4,4′−ジ−β−ヒドロキシエチル)フルオレン、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらポリエステルの中でも、透明性、機械的強度、寸法安定性などの観点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸及び/又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートユニット、ポリエチレンイソフタレートユニット、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンイソフタレートユニットを含有するポリエステルが好ましい。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂フィルム(以下、本発明のポリエステルフィルムともいう。)は、すべての構成層が脂環構造を主鎖に有するポリエステルを主体に構成される。脂環構造とは、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、などの脂肪族環状構造を指し、好ましくはシクロヘキサン環を主鎖に有するポリエステルであり、グリコール成分を脂環構造とする場合は、1,4−シクロヘキサンジメタノールを重合モノマーとして使用して得られるポリエステルであり、又、ジカルボン酸成分を脂環構造とする場合は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステルを、テレフタル酸ないしテレフタル酸ジメチルといったジカルボン酸に代えて使用することによって得ることができる。即ち、脂環構造を主鎖に有するポリエステルとしては、グリコール成分として含有するものであっても、ジカルボン酸成分として含有するものであってもよく、脂環構造成分は全酸成分に対して50モル%以上含有されることが好ましい。脂環構造、とくにシクロヘキサン環を主鎖に有することによって、透明性、機械的強度、などとともに後で述べるフィルムの切断性に高度に優れたベースが得られる。この理由は、シクロヘキサン環構造により密度が下がり、切断に要するエネルギが大幅に低減されるものと考えられる。したがってシクロヘキサン環の含有量が高いほど切断性が向上できる。本発明の目的を達成するためには50モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含有されることが好ましい。
【0034】
シクロヘキサン環はポリエステル主鎖に共重合されることが好ましい。ポリエステルのグリコール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用したポリエステルは市販されており、たとえばそれらの市販品を購入してPETとブレンドすることによってシクロヘキサン環含有量が同等の混合ポリエステルを調整し、それを積層製膜したが、得られたフィルムの切断性は、本発明のシクロヘキサン環共重合ポリエステルを使用した積層フィルムより劣るものであった。共重合により均一な物性とすることが肝要と思われる。
【0035】
本発明のポリエステルは、写真現像時の巻き癖回復のために、スルホイソフタル酸金属塩やポリアルキレングリコールなどの親水性の共重合成分を加えることが好ましい。スルホイソフタル酸金属塩としてはスルホイソフタル酸ナトリウムが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等が好ましい。特開平1−244446号、特開平4−234039号、特開平5−210199号、特開平6−82969号公報などには、スルホン酸基またはその塩を有する芳香族ジカルボン酸および/またはポリアルキレングリコールを共重合成分として含有するポリエステルについて、さらに、特開平4−93937号、特開平6−11795号、特開平6−161035号、特開平6−289534号、特開平6−240020号、特開平6−110154号公報などにはこうしたポリエステルを2層以上積層したポリエステルについて記載されている。こうしたポリエステルは巻き癖低減、現像処理後の巻き癖回復の効果がある。
【0036】
スルホイソフタル酸金属塩はポリエステルを構成する全酸成分に対して1から10モル%含有することが好ましい。1モル%未満では現像処理後のカール回復性が不十分となり、10モル%より多く含有すると親水性が高くなりすぎて、製膜する前の乾燥で十分に水分を除去することが難しくなり、溶融押出しの際に加水分解して均一な押出しが困難になる。またたとえ製膜できたとしてもフィルムの強度が低下したり、水につけたときの強度が不足し、処理機中で破断するなど、種々のトラブルが発生する。
【0037】
ポリアルキレングリコールは汎用性、コストなどの面からポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールは、分子量300以上6000以下のものを、ポリエステル全質量に対して1質量%以上10質量%以下含有することが好ましい。分子量300未満のものを用いると得られるポリエステルフィルムの巻癖カールが大きくなりすぎる。分子量6000より大きいものを用いると、重合時の発泡が大幅に多くなり、重合釜の真空系が詰まるトラブルが発生した。1質量%未満では現像処理後のカール回復性が不十分となり、10モル%より多く含有すると巻癖カールが大幅に大きくなり、水につけたときの強度が低下するという問題を生じた。
【0038】
目的にあった巻癖カールと現像処理後カールを示すベースとするためには、表層を構成する2層にスルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合した構造とすることが好適であった。本発明のベースに乳剤を塗布して写真フィルムとした際に、本発明のベースの表層と乳剤層が吸水性および保水性が高いので、乳剤層とそれに隣接するベース表層を足した分とその反対側のベースの表層の含水量の違いによってカールのつき易さ、現像処理によるカールの回復性が左右される。乳剤種によって、スルホイソフタル酸金属塩を、各層の主成分であるポリエステルの全酸成分に対して1モル%以上10モル%以下、かつポリアルキレングリコール成分を、各層の主成分であるポリエステルの全質量に対して1質量%以上10質量%以下の範囲で、巻癖カール、処理後カールが最適となるように選択することが出来る。表裏面の各表層を構成する2層の厚みを変更することによっても巻癖カール、処理後カールが影響を受けるので、表裏面の各表層を構成する2層におけるスルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールの含有量を同一にしても、層の厚みを変えることで巻癖カール、処理後カールを最適とすることが出来る。
【0039】
本発明のポリエステル系熱可塑性樹脂フィルムのうち表面に出ない層、いわゆるコア層にはスルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを含まないことが必要である。筆者らは、ベースが現像処理中に吸水することがカール回復に重要なのだと考え、表面に出ない層にもスルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを適用してみたのであるが、何と驚いたことに、巻癖カール、処理後カールを満足することはできるものの、現像液を出た後に乾燥することでフィルムの寸法が縮んでいることを発見し、熱寸法変化が大きくなるという結果が得られたのである。この現象を鋭意研究した結果、何と驚いたことに、脂環構造と、スルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールが共存したときに特異的に熱寸法変化が大きくなることがわかった。この原因はポリエステルの結晶構造が不安定になるためと思われる。そこで、表面に出ない層には、脂環構造成分のみを含有し、スルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコール成分を含有しないポリエステルを適用することによって、巻癖カール、処理後カールを最適化し、かつ熱寸法変化を許容範囲とするベースを得ることが出来たのである。
【0040】
本発明のポリエステルは、イソフタル酸成分をポリエステルを構成する全酸成分に対して5モル%以上30モル%以下含有することが好ましい。5モル%未満ではポリエステルの結晶性が高くなりすぎて溶融押出しする際に結晶化して割れてしまい、安定に製膜することが困難であった。また製膜できたとしても、得られたフィルムは脆弱で、例えば低温時折り曲げた場合に折れてしまう等の欠点を有するものであった。30モル%より多く含有するとポリエステルの結晶化速度が遅くなり、溶融押出しする前の乾燥においてペレット同士がくっついてしまう、押出し機の中でくっついて安定した押出しが困難になるなどの欠点を有する。たとえ製膜できたとしても、得られたフィルムの寸法安定性が劣る。
【0041】
本発明のポリエステルは、ポリスチレン換算分子量で、2000以上40000以下であることが好ましい。2000未満では溶融粘度が低すぎて安定した溶融押出しが困難である。たとえ製膜できたとしても得られるフィルムの機械的強度が不十分である。40000より大きい分子量では、溶融粘度が高くなりすぎて押出し機の負荷が大きくなる。また製膜時に膜厚を均一に調整することがきわめて困難になる。従って得られるフィルムは厚み均一性が悪く、平面性に劣るフィルムとなる。
【0042】
本発明のポリエステル樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分が共重合されていても良いし、他のポリマーがブレンドされていても良い。上記ポリエステル樹脂は、例えば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの1官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、あるいは、例えば極く少量のグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能エステル形成性化合物で変性されたものでもよい。
【0043】
本発明は、3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであって、隣接する2層(A層、B層)間の各ポリエステルに含有されるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率の差(X−Y)が下記式を満足することが好ましい。
【0044】
−50<X−Y<50
X:A層におけるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率(モル%)
Y:A層に隣接するB層におけるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率(モル%)
上式の範囲外であると、該当する2層間の層間接着が不十分となり、例えばカラーネガフィルムに加工する際の両端部穴開け(パーフォレーション)加工において、穴周辺で層間剥離する、現像処理終了後に、特にフィルム後端部などで部分的に層間剥離する等の問題が発生する。
【0045】
〔共重合ポリエステルの重合〕
本発明に用いられる共重合ポリエステルの重合は、通常の公知の方法で行うことができる。すなわちジカルボン酸成分とグリコール成分をエステル交換後、高温、減圧下にて重縮合せしめて共重合ポリエステルを得ることができる。この際、共重合成分である金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸類やポリエチレングリコールをエステル交換反応前あるいは反応中または反応後に添加し、重縮合を行う。エステル交換反応の触媒組成は特開平10−13041号記載のものを用いることが出来る。重合終了したポリマーはダイからヌードル状に押出し、水冷してから3mm程度の長さにカットしてペレットにすることが好ましく用いられる。
【0046】
〔酸化防止剤〕
本発明に用いられるポリエステルには、酸化防止剤を含有させることができる。特にポリエステル樹脂が、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を含む場合に有効である。含有させる酸化防止剤はその種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することができるが、例えばヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などの酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。なお、これらの酸化防止剤は1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組合せて使用しても良い。例えば、特開平5−323496号に記載されている酸化防止剤を用いることが出来る。
【0047】
〔染料の含有〕
本発明に用いられるポリエステルには、ライトパイピング現象を防止する目的で、染料を含有させることが好ましい。このような目的で配合される染料としては、その種類に特に限定があるわけではないが、フィルムベースの製造上、耐熱性に優れていることが必要であり、アンスラキノン系やペリノン系の染料が挙げられる。また、色調としては、一般の写真感光材料に見られるようにグレー染色が好ましい。これらの染料としては、Bayer社製のMACROLEXシリーズ、住友化学〔株〕製のSUMIPLASTシリーズ、三菱化成〔株〕製のDiaresinシリーズなどが挙げられ、これらを1種単独で、もしくは2種以上の染料を必要な色調となるように混合して用いることができる。この際、フィルムの分光透過率を400〜700nmの波長範囲で60%以上85%以下とし、さらに600〜700nmの波長範囲で分光透過率の最大と最小の差が10%以内とするように染料を用いることが、ライトパイピング現象を防止し、かつ良好な写真プリントを得る上で好ましい。
【0048】
〔着色材添加方法〕
着色剤の添加方法としては特に限定がある訳ではなく、ポリエステルの重合から溶融押出までのいずれかの段階で必要量の着色剤を添加し、着色してもよく、又、あらかじめ高濃度のいわゆるマスターペレットを用意しておき、適宜希釈して溶融押出する際に必要量を混合する方法は濃度をコントロールしやすいことから好ましく用いられる。回収ポリエステルを含有させる場合などで染料濃度の調整が必要な場合はこの方法が有効である。マスターペレットにおける染料の濃度は100〜1000ppmが好ましい。特公平7−51635号、特公平8−15734号に記載の方法を用いることが出来る。染料を乾燥機に投入してペレットにまぶしたり、直接押出し機供給部に供給してもよく、例えば二軸押出し機を用いる場合などに複数の原料供給口を設けて、染料を単独で、またはポリエステルペレットと一緒に押出し機に供給する方法なども用いられる。
【0049】
ポリエステルに対する染料濃度は、各層で均一でもよいし、異なってもよい。ベース内部の光透過を防止するという目的からは均一な方が好ましい。
【0050】
染料としては、たとえば下記のバイエル社製染料を次の配合割合で混練し、染料濃度2000ppmのマスターペレットを作製し、適当な濃度になるようにポリエステル樹脂と混合することが好ましく行われる。
【0051】
Macrolex Red EG:Macrolex Violet B:Macrolex Green G=1:1:1
〔ポリエステル支持体の製造方法〕
本発明のポリエステル積層フィルムの製造方法としては、例えばポリエステル樹脂を十分乾燥させ、押出機へ供給し、溶融押出し、導管を経由して押出口金(ダイス)からシート状に押出し、冷却ドラム上で冷却固化し、未延伸フィルムとした後、二軸延伸し、熱固定する方法が好ましい。
【0052】
〔乾燥〕
乾燥は、120℃以上、170℃程度までの温度で行うのが好ましい。攪拌しながら加熱する結晶化工程と水分を除去するための加熱を別々に行ってもよいし、攪拌しながら乾燥温度まで上げる一段階方式でもかまわない。水分除去の効率を上げるために減圧してもよいし、乾燥窒素などの不活性ガス雰囲気下加熱することも好ましく用いられる。またベント式押出し機を使用する場合は、原料ペレットの含水率が多少高くてもベント口から減圧することにより水分除去できる場合があり、必ずしも押出し機に供給する前の乾燥が必須というわけではない。
【0053】
〔溶融押出し〕
押出し機は通常ポリエステルの押出しに使用される単軸ないし二軸押出し機が好ましく使用できる。本発明は3層以上の積層構造とするために、2台以上の押出し機が使用される。1台の押出し機から導管やギヤポンプによって2層に振り分けることができるので、必ずしも層数分の押出し機が必要というわけではない。押出し機の温度は供給する樹脂の融点プラスマイナス20℃程度に設定することが好ましい。押出し機で溶融したあと、フィルターで濾過することが好ましい。フィルターは金網フィルター、焼結フィルターなどが使用できる。形状は平板状でも、ディスク状でも、ろうそく状でもかまわない。設置は1カ所に限らず、押出し機直後やダイ手前など複数設置してもよい。
【0054】
押出し機より下流、ダイより上流にギヤポンプを設置することが好ましい。本発明の積層フィルムは各層の厚み比率を精確に制御する必要があり、押出し機の定量精度では厚み制御精度が不十分な場合がある。ギヤポンプは定量精度のよい3ギヤタイプがよい。
【0055】
積層製膜する場合に、ダイ直前に希望する層数のフィードブロックを設置してダイは単層ダイを使用する方法と、マルチマニホールドダイを使用する方法、両者の組み合わせで多層化する方法があるが、フィードブロック法は巾手の層厚み均一性を得ることが難しいという難点を有しており、本発明は層厚みを均一に制御する必要があることから、マルチマニホールドダイを使用する方法が最も適している。使用するポリエステルの溶融粘度特性に合わせてマニホールドを設計することによって、巾手に均一な層厚みを得ることができる。
【0056】
〔キャスティング〕
スリットダイから押し出された溶融ポリマーは冷却ドラム上で冷却固化されシート状に成形される。冷却ドラムは表面粗度0.2μm以下の鏡面が好ましい。ドラム表面温度を樹脂のガラス転移点より低い温度、好ましくはガラス転移点より5℃から50℃低い温度に制御する。溶融ポリマーがドラムに接地した直後に静電印加してドラムに密着させるのが好ましい。静電印加は直径150μm程度の金属ワイヤを張って直流電圧を印加する方法が一般的であり、本発明にも好ましく適用できる。本発明のポリエステルはその組成や分子量などによっては結晶化が早い場合があり、冷却ドラム上での冷却が不十分だと結晶化が進行し、後工程の延伸が困難になったりするケースがある。これを防止するために、冷却ドラム上のシートに風を吹き付けてドラム非接触面からも冷却することが効果的である。
【0057】
〔延伸〕
未延伸フィルムを2軸延伸する場合には、長手方向のいわゆる縦延伸後に、幅手方向の延伸すなわち横延伸が汎用されるが、縦方向、横方向の延伸順序は問わない。同時に2方向に延伸する方法でもよく、縦延伸、横延伸をそれぞれ多段階でおこなってもよく、また縦延伸後の横延伸のあとにさらに縦延伸を追加してもよい。
【0058】
〔縦延伸〕
次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群および/または赤外線ヒーターなどの加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、ロールの周速差を利用して一段または多段縦延伸する方法が好ましく用いられる。延伸倍率は、通常2倍〜6倍の範囲で、配向度を続く横延伸が可能な範囲とするように温度、倍率などの条件が選択される。低速側ロールの表面温度をTg以下とすることが好ましい。
【0059】
〔横延伸〕
本発明では上記の様にして得られた縦方向に一軸延伸されたポリエステルフィルムを、テンターに導き、Tg〜Tm−20℃の温度範囲内で、2つ以上に分割された延伸領域で昇温しながら横延伸し、次いで熱固定することが好ましい。横延伸倍率は通常3〜6倍であり、また縦、横延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整する。とくにフィルムの中央部で測定した屈折率が、長手方向1.56〜1.65、巾方向1.58〜1.67、厚み方向1.46〜1.57の範囲に入るようにすると製造工程で破断しにくく、適度の機械的強度を有する良好なベースが得られる。屈折率は延伸温度、延伸倍率、縦横の延伸倍率の比、また後述の熱固定温度の影響も受けるので注意が必要である。延伸温度の分割領域は少なくとも2段階、さらに3段階であることが好ましい。それ以上でもかまわないが、設備が大きくなるなどの問題が生じる。各領域の温度は順次高くなるように設定し、かつ温度差は0〜50℃の範囲とすることが好ましい。
【0060】
なお、同時二軸延伸等の無接触延伸も、傷等の故障が発生しにくいことから好ましく用いることができる。
【0061】
〔熱固定〕
次いで熱固定を行うのであるが、この前に二軸延伸フィルムを、その最終横延伸温度以下で、Tg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持することが好ましい。
【0062】
縦、横方向に二軸延伸したフィルムを熱固定するに際しては、その最終横延伸温度より高温で、Tm以下の温度範囲内で、2つ以上に分割された領域で昇温しながら熱固定することが好ましい。熱固定時間は通常0.5〜300秒間である。
【0063】
熱固定されたフィルムはTg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をトリミングし巻き取られる。この際、熱固定ゾーンから冷却ゾーンにかけて、横方向に0.1〜10%の弛緩処理することが好ましい。弛緩処理とは、巾手にクリップ間隔を狭めて製膜フィルムの熱収縮率を緩和する処理を言う。熱固定終了後巻き取るまでの間にニップロール間で加熱しながら搬送張力を緩和することによって縦方向に弛緩処理することも好ましい。よこ弛緩処理と同様に製膜フィルムの熱収縮率を緩和できる。また、冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。なお、冷却速度の算出は、最終熱固定温度をT1、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで算出した値である。これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリエステルにより異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を好ましい範囲にするように適宜調整すればよい。
【0064】
ヨコ延伸終了後巻き取りまでの間に、巻ずれ防止、巻締まり防止、後工程搬送性などのために、両端部にナーリング加工することができる。
【0065】
〔全膜厚〕
平均の全膜厚は50〜250μmであることが好ましい。50μm未満では写真用支持体としての機械強度が不充分で、250μmを越えると、厚すぎて取り扱いが不便となり、また切断性が低下する。カラーネガフィルムとする場合は、現行製品が厚み120μm程度のTACベースを使用しているため、カメラ内でピントを合わせるために、また現像処理機を問題なく通すために、本発明のポリエステルベースも90〜150μm程度とすることがより好ましい。
【0066】
〔インライン塗布〕
上記フィルム製造に際し、延伸の前および/または後、あるいはタテ延伸終了後テンターに入る前に、帯電防止層、易滑性層、接着層、バリアー層などの機能性層を塗設してもよい。もちろん製膜巻き取りを終了した後、別のラインで機能層塗工を行っても良い。例えば、登録特許2649457号、特開平5−169592号に記載の方法が使用できる。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、薬液処理などの各種表面処理を必要に応じて施すことができる。さらに、強度を向上させる目的で、多段縦延伸、再縦延伸、再縦横延伸、横・縦延伸など公知の延伸フィルムに用いられる延伸を行うこともできる。
【0067】
以上の様にして得られたポリエステルフィルムは、厚みムラが小さく、平面性に優れ、品質むらが非常に少ないので本発明の効果を最大限に発揮させることができる。
【0068】
〔ヘーズ〕
本発明のポリエステルフィルムは、ヘーズが20%以下であることが好ましい。更に好ましくは10%以下である。ヘーズが20%より大きいと本発明のポリエステルフィルムを写真感光材料用支持体として用いた場合、写真用印画紙に焼付けた画像が不鮮明になる。上記ヘーズは、ASTM−D1003−52に従って測定したものである。
【0069】
〔易滑性付与〕
本発明のポリエステルフィルムには、必要に応じて易滑性を付与することもできる。特に、1000m以上の長尺を1本のロールに巻き取る場合には、表面に適度な凹凸を形成して、仕上がり元巻きの巻締まりによるシワや変形を防ぐ手段が必要となる。従来のポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのフィルムとは機械強度が異なるため、巻き取りの際に易滑性付与手段を形成してあると平面性の優れた良品の歩留まりが95%以上となり、好ましい。易滑性の手段としては特に限定はないが、ポリエステルに不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、あるいは界面活性剤などをフィルム表面に塗布する方法などが一般的である。フィルム中に含まれる不活性粒子のサイズについては横延伸時の破断を防ぐために1.2μm以下が好ましい。また0.05μmより小さいと易滑性の効果がなくなる。存在量は、フィルムのヘーズから上限が存在し、0.4質量%以下が好ましい。これらの中でも、析出する粒子を比較的小さくコントロールできる内部粒子析出方法が、フィルムの透明性を損なうことなく易滑性を付与できるので好ましい。触媒としては、公知の各種触媒が使用できるが、特にCa系またはMn系触媒を使用すると高い透明性が得られるので好ましい。これらの触媒は1種でも良いし、2種以上を併用しても良い。少量の不活性粒子で、易滑性効果を発揮するために不活性粒子の含有量の異なる同種の樹脂を積層して、表層に不活性粒子を偏在させてもよい。本発明で使用される不活性無機粒子としては、SiO、TiO、BaSO、CaCO、タルク、カオリン等が例示される。
【0070】
〔回収ポリエステル〕
本発明のポリエステルは回収ポリエステルを含有させることができる。回収ポリエステルとは、ポリエステルフィルムの製膜工程において、エッジ屑や不良巻などとして発生するフィルム屑を回収した物、あるいは、ポリエステル支持体を用いて作られた感光材料の屑(先端加工やパーフォレーション屑、不良巻きなど)やユーザーで不要となったフィルムを回収して支持体以外の層を剥離した物である。混合する割合は30質量%以下であることが好ましい。30質量%以上では強度、透明性や色調変化等が問題となる。回収ポリエステルは粉砕して乾燥機や押出し機に供給してもよいし、例えば二軸押出し機により再ペレット化してから製膜工程に供給してもよい。本発明では、表面層とコア層で組成が異なるので、回収フィルムを直接押出し工程に戻す場合は、表面層にのみ投入することが出来る。巻癖カール、処理後カールが所望の範囲に入るように、バージンのスルホイソフタル酸金属塩とポリアルキレングリコールの共重合比率又はバージンと回収品の混合割合、または表層厚み比を適宜選択してやればよい。回収品をコア層に投入すると、コア層にスルホイソフタル酸金属塩やポリアルキレングリコールが含有されることになり、製膜後の回収品含有フィルムが寸法安定性の悪いものになってしまう。回収フィルムを解重合してモノマーとして再生する場合は重合工程に戻せばよい。
【0071】
〔支持体の物性〕
次に、本発明の支持体の物性について説明する。カメラや現像処理機で搬送不良や搬送不良による擦り傷発生をなくすために、本発明に用いるポリエステル支持体は次のような物性であることが好ましい。
【0072】
熱処理後の巻癖カール度は150m−1以下であり、好ましくは140m−1以下である。これ以上のカール度を有する場合はカメラや現像処理機で搬送不良や擦り傷を発生するトラブルを生じることがある。
【0073】
現像処理後のカール度は60m−1以下が好ましい。これ以下であれば現像処理後の印画紙への焼き付け操作や現像済み写真フィルムを裁断したり、スリーブへ挿入するなどの際に機器のトラブルを起こすようなことはない。
【0074】
幅手カール度は3〜20m−1が好ましい。これ以上あるいは以下の場合、カメラなどの搬送中に擦り傷を発生するトラブルを生じることがある。
【0075】
ヤング率は2.0〜4.0GPaが好ましい。
長手および幅手方向の77℃における熱収縮がいずれも−0.4〜+0.4%であることが好ましい。この範囲を越えると、接着層や導電層を塗設する際に塗布故障を生じたり、平面性が劣化したりする。
【0076】
本発明の支持体に含まれるオリゴマー、等の不純物はカブリ等の写真性能に影響することがあるので少ない方が好ましい。例えば、オリゴマー量は3%以下、好ましくは1%以下である。
【0077】
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一方の側に少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層を有することにより、ハロゲン化銀写真感光材料とすることができる。ハロゲン化銀乳剤層は支持体上に直接塗設されてもよいし、他の層例えば乳剤接着性を改善する親水性コロイド層を介して塗設されてもよい。
【0078】
『接着性改善の表面処理、下引加工』
この際、写真用支持体には接着性向上の為、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線処理、火炎処理、大気圧ガス中放電プラズマ処理、薬液処理などの各種表面処理を必要に応じて施すことができる。さらに接着性向上の為、下引層を塗設してもよい。また、ハロゲン化銀乳剤層や下引き層以外に、導電層、バックコート層、滑り層、透明磁性層、保護層なども設けることができる。特に導電層や滑り層はスタチック防止、擦り傷発生防止から好ましく用いられる。導電剤としては、例えば特公昭60−51693号、特開昭61−223736号及び同62−9346号公報に記載の第4級アンモニウム基を側鎖に持つ架橋型共重合体粒子、特開平7−28194号に記載のアイオネン重合体架橋型あるいはアイオネン重合体を側鎖に持つ共重合体粒子等のカチオン帯電防止剤、特公昭35−6616号記載のアルミナゾルを主成分とするもの、特開昭57−104931号に記載のZnO、SnO、TiO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO、ZiO等の微粒子金属酸化物、特公昭55−5982号に記載のV等の金属酸化物などが利用できる。滑り剤としては、例えば特開2000−19682号に記載の滑り剤が使用できる。
【0079】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤層を構成するハロゲン化銀としては、任意の組成のものを使用できる。例えば塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、純臭化銀もしくは沃臭化銀がある。
【0080】
ハロゲン化銀乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)No.17643、22〜23頁(1979年12月)の“1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)”、およびRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion, FocalPress 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0081】
乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号および英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
【0082】
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RD No.17643、RD No.18716及びRDNo.308119(それぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。
Figure 2004284038
本発明の写真感光材料がカラー写真感光材料である場合、使用することができる写真用添加剤は上記RDに記載されている。下記にその関連のある記載箇所を示す。
Figure 2004284038
また、本発明の写真感光材料がカラー写真感光材料である場合、種々のカプラーを使用することができ、その具体例は下記RD17643及びRD308119に記載されている。下記にその関連ある記載箇所を示す。
Figure 2004284038
また、これら添加剤はRD308119 1007頁 XIV項に記載されている分散法などにより、写真感光層に添加することができる。カラー写真感光材料には前述のRD308119 VII−K項に記載されているフィルター層や中間層などの補助層を設けることができる。カラー写真感光材料を構成する場合、前述のRD308119 VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成などの様々な層構成をとることができる。
【0083】
この発明のハロゲン化銀写真感光材料を現像処理するには、例えばT.H.ジェームズ著、The Theory of The Photografic Process Forth Edition 第291頁〜第334頁およびJournal of the American Chemical Society第73巻、第3,100頁(1951)に記載されているそれ自体公知の現像剤を使用することができる。また、カラー写真感光材料は前述のRD17643 28〜29頁、RD18716 615頁及びRD308119XIXに記載された通常の方法によって、現像処理することができる
以上、本発明のポリエステルフィルムをハロゲン化銀写真感光材料、特にカラーネガフィルムに適用する場合について説明したが、本発明のポリエステルフィルムを印刷用写真材料を始めとするハロゲン化銀写真材料や、感熱転写、インクジェット受像紙、昇華受像紙、等各種画像形成性材料の支持体として用いることができる。
【0084】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を例証する。実施例で用いられた測定法は下記の通りである。
【0085】
〈ポリエステル分子量〉
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレン換算分子量を算出した。
【0086】
〈ポリエステル含水量〉
厚み20μmの層の含水量を求める場合は、厚み20μmの単膜を単層ダイを用いて、後述の実施例1の積層ベースと同様の溶融押出し二軸延伸法で製膜し、得られたフィルム試料を23℃20%RHに調湿された部屋に4時間以上放置したあと、23℃の蒸留水に24時間漬け、しかるのち、微量水分計(三菱化学(株)製、CA−20型)により乾燥温度150℃で測定した値を平米あたりに換算した。
【0087】
〈層間接着〉
積層製膜した試料に片刃カミソリでベースを切断しない深さにキズを入れ、そこにセロテープ(R)を貼ったあと勢いよく剥がし、剥離した面積で評価した。
【0088】
A:剥離面積ゼロ〜5%未満
B:剥離面積5〜30%未満
C:剥離面積30〜100%
レベルAであれば実用的に問題ない。レベルBは、例えばパーフォレーション穴加工した際にパーフォレーション穴周辺が部分的に剥離するなどの問題を起こすことがあり、レベルCは実用に耐えない。
【0089】
〈切断性〉
試料ベースを下引き、乳剤塗布後35mm巾に裁断し、通常のカラーネガと同様の形態に加工したあと、現像処理機ミトモスプライサーMS650Dのカッター部分で切断した。このカッター刃は10年ほど使用したもので切れ味が悪い。また、どうようにネガフィルムの形態に加工した試料をコニカミニラボKP50QAに通し後端カッターで切断した。このときカッターの可動刃の固定部分をゆるめて可動刃と固定刃のクリアランスを広げて切れ味を悪くした。評価レベルは次のようにした。
【0090】
A:どちらの装置で何本通してもすべて切れる
B:どちらかの装置で、10本通したときに1〜4本切りきれないものがある
C:どちらかの装置で、10本通したときに半数以上切れない
レベルAであれば実用的に問題ない。レベルBは問題を起こすことがあり、レベルCは実用に耐えない。現行のカラーネガフィルムはレベルAである。
【0091】
〈熱処理前の巻癖カール度〉
試料ベースを下引き、乳剤塗布後、35mm(製造時の横方向)×120mm(製造時の縦方向)の帯状に切断し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で1日放置した後、温度23℃、相対湿度55%の条件下で支持体の巻癖カール度を測定する。カール度は1/rで表し、rはカールした支持体の曲率半径を表し、単位はmである。
【0092】
〈熱処理後の巻癖カール度〉
試料ベースを下引き、乳剤塗布後、35mm(製造時の横方向)×120mm(製造時の縦方向)の帯状に切断し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で1日放置した後に直径が10.8mmであるコアにこれを巻き付けた。このとき、支持体に幅手カールがあるときはその支持体の凹面が外になるようにして巻く。その後、温度55℃、相対湿度20%の条件下で24時間熱処理を行った。
【0093】
熱処理後、温度23℃、相対湿度55%の条件下で30分かけて放冷した後にコアから解放し、30分経過後に支持体の巻癖カール度を測定する。カール度は1/rで表し、rはカールした支持体の曲率半径を表し、単位はmである。
【0094】
〈処理後カール〉
試料ベースを下引き、乳剤塗布後、35mm(製造時の横方向)×120mm(製造時の縦方向)の帯状に切断し、温度23℃、相対湿度55%の条件下で1日放置した後に直径が10.8mmであるコアにこれを巻き付け、熱処理後の巻癖カール度と同様に熱処理を行う。熱処理後、ミニラボ(コニカ製、KP50QA)で処理し、出口から排出後、温度23℃、相対湿度55%の条件下で1時間放置した後に、フィルム中央部のカール度を測定する。
【0095】
〈寸法安定性(熱寸法変化)〉
23℃55%RHに調湿した部屋で、試料の10cm程度離れた2点にカミソリで傷を付け、その距離を精密に測定しておく。試料をバリア袋に密封し、77℃のオーブンに2時間入れる。取り出した後密封したまま23℃55%RHに調湿した部屋に一晩放置する。開封して試料を取り出し、キズの距離を測定する。熱処理前後の寸法変化を算出する。この測定法による値が0.4%以下であれば、ロール状カラーネガフィルムに加工したときに実用上問題を引き起こすことはない。0.4%を越えると、夏季車の中に放置されて高温にさらされた場合や、現像処理後の乾燥で画像が歪むなどの問題が生じることがある。
【0096】
実施例1
(ポリエステル樹脂の作製)
〈樹脂の準備と着色材添加〉
ポリエステルA(実施例表層)
撹拌機、添加剤導入口、窒素ガス導入口、真空流出系を備えた反応器にテレフタル酸ジメチル(DMT)88質量部、イソフタル酸ジメチル(IPA)12質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)144質量部に酢酸カルシウムの水和物と酢酸マンガンの水和物とをそれぞれテレフタル酸ジメチルに対するモル比で2×10−4の量だけ添加し、常法によりエステル交換反応を行った。得られた生成物に5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル酸(SIP)12質量部(6.1モル%/全酸成分)、ポリエチレングリコール(PEG)(数平均分子量1000)8.8質量部(7.0質量%/ポリマー)、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.13質量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010(CIBA−GEIGY社製)0.4質量部および酢酸ナトリウム0.04質量部を添加した。次いで徐々に昇温、減圧にし、280℃、67Paで重合を行い、常法に従いペレット化して共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルを用いてバイエル社製染料を次の配合割合で混練し、染料濃度200ppmのペレットを作製し、ポリエステルAとした。
【0097】
Macrolex Red EG:Macrolex Violet B:Macrolex Green G=1:1:1
ポリエステルB(実施例コア層)
ポリエステルAと同様に、ただしテレフタル酸ジメチル(DMT)を83質量部、イソフタル酸ジメチル(IPA)を17質量部に変更し、5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル酸とポリエチレングリコールを添加せずに重合を行い、ポリエステルBを得た。
【0098】
ポリエステルC(比較例コア層)
ポリエステルAと同様に、ただし5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル酸8.2質量部(4.3モル%/全酸成分)とポリエチレングリコール6.9質量部(5.5質量%/ポリマー)を添加して重合を行い、ポリエステルCを得た。
【0099】
〈製膜〉
得られたポリエステルAとポリエステルBを、各々150℃で12時間除湿空気乾燥した後、270℃に設定した3台の押出機を用いて溶融し、40メッシュのフィルターを通過させてから、マルチマニホールド3層Tダイ内で層状に接合してシート状に押出し、表面温度を45℃に制御した冷却ドラム上に静電印加しながら密着させて冷却固化し、3層構成の積層未延伸シートを得た。このときポリエステルAが両表層、ポリエステルBが中間層になるように押出し、各層の厚さの比が20:70:30となるように各押出機の押出し量を調整した。この未延伸シートをロール式縦延伸機に導き、予熱ロール温度69℃、赤外線ヒータ出力200Vで縦方向に3.3倍に延伸した。
【0100】
ついでテンター式横延伸機を用いて、延伸ゾーン温度98℃で倍率3.6倍に延伸した。次いで100℃で2秒間熱処理し、その後225℃で熱固定した。熱固定ゾーンの後半から冷却ゾーンにかけて横方向に6%弛緩処理しながらベース温度50℃以下まで冷却し、両端の膜厚が均一でない部分をトリミングしたあと、両端に高さ20μm、幅6mmのナーリング加工を施して、直径220mmのコアに巻き取り、二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの平均厚みは120μmで、3層各層の膜厚は20μm、70μm、30μmであった。
【0101】
特開2001−33913号の実施例11記載の下引き層、バック層、乳剤を塗布した。乳剤層は20μm層側に塗設した。この後、135サイズ(35mm巾)に断裁し、135サイズ36枚撮りカラーネガフィルムのISO規格通りにパーフォレーション加工し、パトローネに装填して、135用カラーネガフィルムサンプルを作製した。
【0102】
比較例1
実施例1と同様にして、ただし、コア層にポリエステルCを使用して、二軸延伸積層ポリエステルフィルムを製膜し、下引き層、バック層、乳剤層を塗布し、135用カラーネガフィルムサンプルを作製した。
【0103】
実施例1、比較例1の内容および評価結果を表1に示す。
【0104】
【表1】
Figure 2004284038
【0105】
実施例1はいずれの特性も良好であった。比較例1は熱寸法変化が大きく実用上支障を来す。
【0106】
【発明の効果】
本発明の積層ポリエステルフィルムにより、切断性とカール回復性がともに優れ、かつ寸法変化の小さい感光材料が得られる。

Claims (11)

  1. 3層以上の構成層からなる積層構造を有するポリエステルフィルムであって、該構成層の全てが、脂環構造を含むポリエステルを含有すると共に、表裏面の各表層を構成する2層には、スルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを含有し、表面に出ない層にはスルホイソフタル酸金属塩およびポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルを含有しないことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 前記各構成層の、ポリエステルに含まれる全酸成分に対する脂環構造成分の比率が50モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 前記各構成層の、ポリエステルに含まれる脂環構造成分の全酸成分に対する比率が90モル%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 前記表裏面の各表層を構成する2層のポリエステルに含有されるスルホイソフタル酸金属塩が、全酸成分に対してそれぞれ1から10モル%であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 前記ポリアルキレングリコールが、表裏面の各表層を構成する2層のポリエステルの全質量に対して、それぞれ1から10質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  6. 前記脂環構造がシクロヘキサン環であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  7. 隣接する2層(A層、B層)間の各ポリエステルに含有されるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率の差(X−Y)が下記式を満足することを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
    −50<X−Y<50
    X:A層におけるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率(モル%)
    Y:A層に隣接するB層におけるシクロヘキサン環の全酸成分に対する比率(モル%)
  8. 前記積層構造を有するポリエステルフィルムの全膜厚が、50から250μmであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム上に、少なくとも1層のハロゲン化銀写真感光層を塗設したことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  10. ハロゲン化銀写真感光層を塗設してロール状で使用することを特徴とする請求項9に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  11. 請求項1〜8の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、複数の押出し機とマルチマニフォールドダイを使用して共押出し法により多層構成のシートを成形した後、該シートを二軸延伸し熱固定することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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