JP2004283386A - 化粧料容器 - Google Patents

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Yukitomo Yuzuhara
幸知 柚原
Masayuki Sekine
正行 関根
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【課題】少ない部品点数であって、化粧料皿を脱落しないように確実に保持しつつ、化粧料皿に作用する縦方向および横方向の衝撃を適切かつ十分に吸収することが可能であり、また化粧料を擦り取る際に化粧料皿が斜めに揺動することも防ぐことが可能な化粧料容器を提供する。
【解決手段】容器本体4内に収納した化粧料皿6に加わる衝撃を吸収するために、容器本体内に設けた皿枠5に一体に、化粧料皿の底部20中央部へ延出させて縦方向に可撓変形自在な単一の縦方向弾性片22および化粧料皿の周側部21に沿って延出させて横方向に可撓変形自在な複数の横方向弾性片23を形成し、縦方向弾性片はその上に固定して化粧料皿を縦方向に弾性支持すべく、シート部25を化粧料皿の底部中央部に一体的に接合し、横方向弾性片は化粧料皿をその縦方向移動を許容しつつ横方向に弾性支持すべく、その延出端29を化粧料皿の周側部に摺動自在に当接させた。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少ない部品点数であって、化粧料皿を脱落しないように確実に保持しつつ、化粧料皿に作用する縦方向および横方向の衝撃を適切かつ十分に吸収することが可能であり、また化粧料を擦り取る際に化粧料皿が斜めに揺動することも防ぐことが可能な化粧料容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧料を充填した化粧料皿が容器本体内に収納される化粧料容器の中には、それが落下されるなどして衝撃が加わった場合に化粧料に割れが生じるのを防止すべく、化粧料皿に加わる縦方向および横方向の衝撃を吸収するようにした化粧料容器が知られている。
【0003】
例えば特許文献1の「化粧用コンパクト」では、合成樹脂製の容器本体内に、化粧料皿の底部を弾性支持して縦方向の衝撃を吸収するウレタンフォーム等の緩衝材シートと、化粧料皿の周側部を弾性支持して横方向の衝撃を吸収するゴム等の緩衝材リングとを組み込むようにしていた。しかしながら、特許文献1の構造では、縦方向および横方向の衝撃吸収用部品として、シートとリングという別々の2つの部品を用いていたために部品点数が多くコストアップになるとともに、組立性や生産性も良くないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決できるものとして、例えば特許文献2〜4が知られている。特許文献2の「化粧用コンパクト」では、容器本体内に収納皿を設けるようにし、この収納皿に縦方向および横方向の衝撃を吸収する複数のバネ片や複数のバネ体、あるいは弾性体を一括して形成し、これらバネ片等によって収納皿内に化粧料皿を保持しかつ弾性支持するようにしていた。
【0005】
また特許文献3の「化粧料容器」では、容器本体内に皿枠を設けるようにし、この皿枠には、化粧料皿が縦方向に抜け出さないように保持する突起を形成した上で、化粧料皿の底部周縁を縦方向に弾性支持する弾性片および周側部を横方向に弾性支持する片持ち式の縦突起を形成するようにしていた。
【0006】
さらに特許文献4の「コンパクト容器」は主に縦方向の衝撃を吸収するようにしたもので、容器本体内に軟質合成樹脂製の緩衝枠を設けるようにし、この緩衝枠の係合手段で化粧料皿を保持しつつ、その傾斜部で化粧料皿の底部周縁を縦方向に弾性支持するようにしていた。
【0007】
【特許文献1】
実公昭61−12886号公報
【特許文献2】
実公昭61−25685号公報
【特許文献3】
実公昭63−16336号公報
【特許文献4】
実公昭63−46013号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように特許文献1にあっては、化粧料皿に加わる縦方向および横方向の衝撃を吸収するために組み付けねばならない部品点数が多いという課題があった。他方、特許文献2にあっては、化粧料皿を弾性支持するためのバネ片やバネ体等を利用して化粧料皿を収納皿内に保持するようにしていたため、これらバネ片等の保持力が小さい場合には、化粧料皿が収納皿から容易に脱落してこの脱落によって化粧料に割れを生じさせるおそれがあるとともに、また保持力を大きくすると、弾性支持機能が損なわれて化粧料に割れを生じさせるおそれがあり、バネ片等の弾性の調整がきわめて難しいという課題があった。
【0009】
特許文献3にあっては、化粧料皿が皿枠から容易に脱落しないように突起と弾性片とで化粧料皿を縦方向に挟んで保持するようにしており、この突起による保持のために縦方向への弾性支持性能が低下して、耐衝撃性が低いという課題があった。また、化粧料皿の底部周縁を弾性支持するようにしていたため、パフなどの化粧具で化粧料を化粧料皿から擦り取る際、化粧料皿が皿枠内でみそすり運動のように斜めに揺動するなどして、化粧操作性があまり良くないという課題もあった。
【0010】
さらに特許文献4にあっては、化粧料皿が緩衝枠から容易に脱落しないように係合手段と傾斜部とで化粧料皿を縦方向に挟んで保持するようにしていたため、縦方向の弾性支持性能が低下して、特許文献3と同様に耐衝撃性が低かった。また、化粧料皿の底部周縁を傾斜部で弾性支持するようにしていたため、化粧料皿が緩衝枠内で斜めに揺動するなどして、特許文献3と同様に化粧操作性があまり良くなかった。
【0011】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、少ない部品点数であって、化粧料皿を脱落しないように確実に保持しつつ、化粧料皿に作用する縦方向および横方向の衝撃を適切かつ十分に吸収することが可能であり、また化粧料を擦り取る際に化粧料皿が斜めに揺動することも防ぐことが可能な化粧料容器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる化粧料容器は、容器本体内に収納した化粧料皿に加わる縦方向および横方向の衝撃を吸収するようにした化粧料容器において、上記容器本体内に設けた皿枠にこれと一体に、上記化粧料皿の底部中央部へ延出させて縦方向に可撓変形自在な単一の縦方向弾性片および該化粧料皿の周側部に沿って延出させて横方向に可撓変形自在な複数の横方向弾性片が形成され、上記縦方向弾性片はその上に固定して上記化粧料皿を縦方向に弾性支持すべく、その延出端が該化粧料皿の底部中央部に一体的に接合されるとともに、上記横方向弾性片は上記化粧料皿をその縦方向移動を許容しつつ横方向に弾性支持すべく、その延出端が該化粧料皿の周側部に摺動自在に当接されることを特徴とする。
【0013】
皿枠に一体に縦方向弾性片と横方向弾性片を形成していて、少ない部品点数で化粧料皿を縦方向および横方向に弾性支持することが可能である。また、化粧料皿を縦方向弾性片の延出端に一体的に接合するようにしていて、これにより化粧料皿が脱落しないように確実に保持することが可能である。
【0014】
またこの化粧料皿の保持とは別に、縦方向弾性片は自由に可撓変形させることができ、また横方向弾性片にあっても、化粧料皿の縦方向移動を許容するようにその延出端を化粧料皿の周側部に摺動自在に当接させるようにしていて、自由に可撓変形させることができ、従ってこれら弾性片をもっぱら化粧料皿の弾性支持に寄与させることが可能であり、弾性支持機能を利用して化粧料皿を保持する場合に比べて弾性の調整が容易になって、化粧料皿に加わる縦方向および横方向の衝撃を適切かつ十分に吸収し得る。さらに、化粧料皿をその底部中央部で縦方向弾性片によって弾性支持するようにしていて、化粧料を擦り取る際に化粧料皿が斜めに揺動することを防ぐことが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる化粧料容器の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる化粧料容器1は図1〜図3に示すように、蓋体2がヒンジ3を介して後端部に回動自在に取り付けられて、当該蓋体2によって開閉される合成樹脂製の容器本体4と、容器本体4内部に設けられる合成樹脂製の皿枠5と、化粧料がその内部に充填され、皿枠5を介して容器本体4内に収納される金属製の化粧料皿6とから主に構成される。鏡7が取り付けられた蓋体2は容器本体4を閉止状態に維持するために、そのフック8が容器本体4前端部の係合突起9に係脱自在に係合される。
【0016】
容器本体4は、底壁部10とこの底壁部10の周囲に立ち上げて形成された周壁部11とから構成され、これら周壁部11と底壁部10とで取り囲まれた内部に凹所12が区画形成される。皿枠5は、容器本体4の凹所12内に左右一対の収納部13,14を区画形成する一対の環状壁部15,16と、容器本体4の底壁部10上に重ね合わされ、これら環状壁部15,16に取り囲まれた各収納部13,14の底を形成する一対の底板部17,18と、これら環状壁部15,16の上端間を連結しかつその周縁部が容器本体4の周壁部11上に重ね合わされて、環状壁部15,16相互間および環状壁部15,16と周壁部11との隙間を覆う天板部19とから構成される。図示例にあっては、各収納部は平面外形輪郭がほぼ矩形状に形成され、右側がパフなどの化粧具を収納する化粧具収納部14とされ、左側が化粧料皿6を収納するための化粧料皿収納部13とされている。
【0017】
化粧料皿6は、底部20とこの底部20の周囲に立ち上げて形成された周側部21とから構成され、その内部に化粧料が充填される。図示例にあっては、化粧料皿6の平面外形輪郭は化粧料皿収納部13に合わせて、ほぼ矩形状に形成されている。
【0018】
皿枠5にはこれと一体に、化粧料皿収納部13に収納される化粧料皿6の底部20中央部へ延出させて縦方向、すなわち容器本体4の高さ方向に可撓変形自在な単一の縦方向弾性片22が形成される。また皿枠5にはこれと一体に、化粧料皿6の周側部21に沿って延出させて横方向、すなわち容器本体4の前後方向もしくは左右方向に可撓変形自在な複数の横方向弾性片23が形成される。
【0019】
皿枠5の底板部17には、これに縦方向弾性片22を形成するために、ほぼU字形状のスリット24が形成される。このスリット24に取り囲まれて形成される縦方向弾性片22は、底板部17中央部に位置する延出端としての幅広な、図示例にあってはほぼ正方形状のシート部25と、このシート部25と底板部17側縁部との間に位置する幅狭な帯状の弾性アーム部26とから構成され、一端がシート部25に連結された弾性アーム部26の他端が底板部17と連結されることにより、縦方向弾性片22はその全体が底板部17に対しカンチレバー状に容器本体4の高さ方向へ可撓変形自在に形成される。
【0020】
縦方向弾性片22はその弾性変形能を考慮して、全体的に底板部17よりも肉薄に形成されるとともに、特に弾性アーム部26は、シート部25下面とその直下の容器本体4の底壁部10との間に衝撃吸収時のシート部25の移動スペースSをより多く確保すべくシート部25位置を高くするために、底板部17からシート部25に向かって斜め上向きに形成される。このような形態の縦方向弾性片22は皿枠5の樹脂成形時にこれに一体に形成される。そしてシート部25の上面には、その上に固定して縦方向弾性片22により化粧料皿6を弾性支持するために、接着材27が設けられる。
【0021】
他方、化粧料皿収納部13を区画する一方の環状壁部15には、これに横方向弾性片23を形成するために、周方向に沿って適宜間隔を隔てて、横向きにしたU字形状のスリット28が複数形成され、これらスリット28によって環状壁部15には化粧料皿6の周側部21に沿って複数の横方向弾性片23が形成される。図示例にあっては横方向弾性片23は、矩形状をなす環状壁部15の各壁面に一つずつ形成されている。このスリット28に取り囲まれて形成される各横方向弾性片23は、基端が環状壁部15に連結される一方、周側部21に沿って延出された延出端29が自由端とされることにより、その全体が環状壁部15に対しカンチレバー状に容器本体4の前後方向若しくは左右方向へ可撓変形自在に形成される。
【0022】
そしてこの横方向弾性片23は、化粧料皿収納部13に収納され縦方向弾性片22上に固定される化粧料皿6が容器本体4の高さ方向に移動するのを許容しつつ、当該化粧料皿6を容器本体4の前後・左右方向に弾性支持すべく、その延出端29が化粧料皿6の周側部21に摺動自在に圧接される。図示例にあっては、横方向弾性片23の各延出端29には、その弾性変形能を効率よく化粧料皿6に作用させるために、化粧料皿収納部13内方にわずかに突出させて突起30が形成されている。この横方向弾性片23にあっても、その弾性変形能を考慮して、また容器本体4の周壁部11との間に衝撃吸収時の変形スペースTをより多く確保すべく、全体的に環状壁部15よりも肉薄に形成される。このような形態の横方向弾性片23も、皿枠5の樹脂成形時にこれに一体に形成される。
【0023】
次に、本実施形態の化粧料容器1の作用について説明する。平面外形輪郭を一致させて形成した化粧料皿6を化粧料皿収納部13に挿入すると、化粧料皿6は、その底部20中央部が接着材27を介してシート部25に固定されて、縦方向弾性片22により容器本体4の高さ方向に弾性支持されるとともに、周側部21が突起30を介して横方向弾性片23により、容器本体4の高さ方向への移動を許容されつつ、容器本体4の前後・左右方向に弾性支持される。
【0024】
そして化粧料容器1が落下されるなどして衝撃が加わった場合には、容器本体内4の化粧料皿6の動きに応じて、その高さ方向については、縦方向弾性片22が可撓変形してその弾性により衝撃を吸収でき、また前後・左右方向については、横方向弾性片23が可撓変形してその弾性により衝撃を吸収できて、化粧料皿6に充填されている化粧料に割れなどが生じることを防止することができる。
【0025】
特に、本実施形態にかかる化粧料容器1にあっては、皿枠5に一体に縦方向弾性片22と横方向弾性片23を形成するようにしたので、従来と遜色のない、少ない部品点数で、従ってまた組立性や生産性良好に、化粧料皿6を容器本体4の高さ方向および前後・左右方向に弾性支持する構造を構成することができる。また、化粧料皿6を縦方向弾性片22のシート部25に一体的に接合するようにしたので、これにより化粧料皿6が皿枠5や容器本体4から脱落しないように確実に保持することができる。
【0026】
また、接着材27によるシート部25への化粧料皿6の保持とは別に、縦方向弾性片22は自由に可撓変形させることができ、また横方向弾性片23にあっても、化粧料皿6が容器本体4の高さ方向に移動するのを許容すべく、その延出端29を化粧料皿6の周側部21に摺動自在に当接させるようにして、化粧料皿6の保持とは切り離して当該横方向弾性片23を自由に可撓変形させることができるので、従ってこれら弾性片22,23をもっぱら化粧料皿6の弾性支持に寄与させることができ、弾性支持機能を利用して化粧料皿6を保持する場合に比べて弾性の調整が容易になって、化粧料皿6に加わるあらゆる方向からの衝撃を適切かつ十分に吸収させることができる。さらに、化粧料皿6をその底部20中央部で縦方向弾性片22によって弾性支持するようにしたので、化粧料を擦り取る際に化粧料皿6が斜めに揺動することを抑制することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上要するに、本発明にかかる化粧料容器にあっては、少ない部品点数で生産することができ、また化粧料皿を脱落しないように確実に保持できるとともに、化粧料皿に作用する縦方向および横方向の衝撃を適切かつ十分に吸収することができ、さらに化粧料を擦り取る際に化粧料皿が斜めに揺動することも防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる化粧料容器の好適な一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1の化粧料容器の側断面図である。
【図3】図1の化粧料容器の平面断面図である。
【符号の説明】
1 化粧料容器 4 容器本体
5 皿枠 6 化粧料皿
20 化粧料皿の底部 21 化粧料皿の周側部
22 縦方向弾性片 23 横方向弾性片
25 シート部 29 横方向弾性片の延出端

Claims (1)

  1. 容器本体内に収納した化粧料皿に加わる縦方向および横方向の衝撃を吸収するようにした化粧料容器において、
    上記容器本体内に設けた皿枠にこれと一体に、上記化粧料皿の底部中央部へ延出させて縦方向に可撓変形自在な単一の縦方向弾性片および該化粧料皿の周側部に沿って延出させて横方向に可撓変形自在な複数の横方向弾性片が形成され、上記縦方向弾性片はその上に固定して上記化粧料皿を縦方向に弾性支持すべく、その延出端が該化粧料皿の底部中央部に一体的に接合されるとともに、上記横方向弾性片は上記化粧料皿をその縦方向移動を許容しつつ横方向に弾性支持すべく、その延出端が該化粧料皿の周側部に摺動自在に当接されることを特徴とする化粧料容器。
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