JP2004279270A - 抵抗測定装置、基板検査装置および基板検査方法 - Google Patents
抵抗測定装置、基板検査装置および基板検査方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】プリント配線基板1に形成された配線パターンのランド2A,2Bにそれぞれ当接されたプローブ3A,3B間に、第1、第2レベルの測定用電流を流す測定用電源部11と、第1、第2レベルの測定用電流でのプローブ3A,3B間電圧を、それぞれ第1、第2の測定電圧値として測定する電圧測定部12と、第1、第2の測定電圧値間の差分を、第1、第2レベルの測定用電流の電流値間の差分で除した値をランド2A,2B間の抵抗値として算出する測定処理部13と、その算出された抵抗値と所定の基準値とを比較し、その比較結果に応じてランド2A,2B間の導通状態の良否を判定する良否判定部14とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プリント基板の配線や、液晶、プラズマ表示装置の電極板の配線などの導体の抵抗値を測定する抵抗測定装置、この抵抗測定装置を用いた基板検査装置、及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回路基板上の配線は、その回路基板に載置されるICその他の半導体や電気部品に電気信号を伝達したり、液晶やプラズマに電気信号を与えたりするために、低抵抗である必要があり、半導体や電気部品を載置する前、あるいは、液晶やプラズマのディスプレイに組み込まれる前の、所謂、ベアボード状態で、配線の抵抗値を測定してその良否を検査していた。
【0003】
図5は、従来の基板検査装置による配線パターン2の検査を説明するための概念図である。このプリント配線基板1は、例えば複数の配線層からなる多層基板であり、プリント配線基板1に形成された配線パターン2のうち基板表面に露出し、絶縁皮膜が塗布されていない測定点部分(以下ランドと称す)2A,2Bにスプリングプローブ3A,3Bを当接させ、プローブ3Aと3Bの間に測定用電流(電流値I)を流して、プローブ3Aと3Bとの間に発生する電圧値Vを測定する。ランド2Aと2Bの間の抵抗値Rは、R=V/Iにより算出する。そして、この抵抗値Rと予め設定されている所定の基準値Rsとを比較して、配線パターン2の導通状態の良否判定を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにして得られた抵抗値Rには、プローブ3Aとランド2Aの間の接触抵抗値Ra及びプローブ3Bとランド2Bの間の接触抵抗値Rbからなる接触抵抗値Rcが含まれている。すなわち、ランド2Aから2Bに至る配線パターン2の真の抵抗値をRx、Rc=Ra+Rbとすると、
R=Rx+Rc ・・・(1)
となる。
【0005】
その結果、測定誤差成分である接触抵抗値Rcが大きい場合、ランド2Aから2Bに至る配線パターン2の真の抵抗値Rxが基準値以下であり本来導通状態は良好であるにもかかわらず、不良であると判定されてしまうという不都合があった。
【0006】
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたものであり、プローブの接触抵抗値の影響を低減し、配線パターン等の抵抗体の抵抗測定精度を向上させることができる抵抗測定装置、この抵抗測定装置を用いた基板検査装置、及びその方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、抵抗値測定の測定対象である抵抗体の2測定点にそれぞれ当接されたプローブ間に、第1レベルの測定用電流を流す第1の測定用電流生成部と、第2レベルの測定用電流を流す第2の測定用電流生成部とを備えた抵抗測定装置であって、前記第1、第2レベルの測定用電流での前記プローブ間電圧を、それぞれ第1、第2の測定電圧値として測定する電圧測定部と、前記第1、第2の測定電圧値間の差分を、前記第1、第2レベルの測定用電流の電流値間の差分で除した値を前記抵抗体の2測定点間の抵抗値として算出する抵抗値演算部とを備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、測定対象である抵抗体の2測定点にそれぞれプローブが当接され、第1レベルの測定用電流が流されることによりそのプローブ間に生じた電圧が第1の測定電圧値として測定され、第2レベルの測定用電流が流されることによりそのプローブ間に生じた電圧が第2の測定電圧値として測定される。そして、第1、第2の測定電圧値間の差分を第1、第2レベルの測定用電流の電流値間の差分で除した値が前記抵抗体の2測定点間の抵抗値として算出される。これにより、抵抗体とプローブとの接触部に生じる測定用電流に比例しない非線形な抵抗成分が低減された抵抗値が測定される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の抵抗測定装置において、前記第1、第2の測定用電流生成部は、前記第1、第2レベルの測定用電流として交互に方向が変わる電流を流すものであり、前記電圧測定部は、前記交互に方向が変わる電流により前記プローブ間に生じた電圧を前記第1、第2の測定電圧値として測定するものであることを特徴としている。請求項2に記載の発明は、プローブと検査対象となる抵抗体との間の接触抵抗が大きいために、その抵抗体の2測定点間の抵抗測定値が大きくなる場合であっても、プローブ間に流す測定用電流の向きを交互に反転させて繰り返し測定を行うと、測定値が低下し、すなわち前記接触抵抗の影響が低下して抵抗値の測定精度が向上することがあるという本発明者らが発見した実験事実に基づく。すなわち、本発明によれば、前記第1、第2レベルの測定用電流として交互に方向が変わる電流が流されるため、前記第1、第2レベルの測定用電流の向きが繰り返し交互に反転される。そして、この第1、第2レベルの測定用電流によりプローブ間に生じた電圧が、それぞれ第1、第2の測定電圧値として測定される。さらに、第1、第2の測定電圧値間の差分を第1、第2レベルの測定用電流値間の差分で除した値が前記抵抗体の2測定点間の抵抗値として算出されるので、抵抗値の測定精度が向上する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の抵抗測定装置を用いた基板検査装置において、前記抵抗体はプリント配線基板に形成された配線パターンであり、前記抵抗値演算部により算出された抵抗値と所定の基準値とを比較し、その比較結果に応じて検査対象である2測定点間の導通状態の良否を判定する良否判定部を備えることを特徴としている。請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2記載の抵抗測定装置によって、検査対象となる配線パターンの2測定点間の抵抗値が算出され、良否判定部によって、前記抵抗値演算部により算出された抵抗値と所定の基準値とが比較され、その比較結果に応じて2測定点間の導通状態の良否が判定される。
【0011】
請求項4に記載の発明は、プリント配線基板に形成された配線パターンの検査を行うための基板検査方法であって、検査対象である配線パターンの2測定点にそれぞれ当接したプローブ間に、第1レベルの測定用電流と、第2レベルの測定用電流とをそれぞれ流し、前記第1、第2レベルの測定用電流での前記プローブ間電圧を、それぞれ第1、第2の測定電圧値として測定し、前記第1、第2の測定電圧値間の差分を、前記第1、第2レベルの測定用電流の電流値間の差分で除した値を前記検査対象の2測定点間の抵抗値として算出し、前記算出した抵抗値と所定の基準値との比較結果に応じて検査対象である2測定点間の導通状態の良否を判定することを特徴としている。請求項4に記載の発明によれば、検査対象である配線パターンの2測定点にそれぞれ当接したプローブ間に、第1レベルの測定用電流が流されることによりそのプローブ間に生じた電圧が第1の測定電圧値として測定され、第2レベルの測定用電流が流されることによりそのプローブ間に生じた電圧が第2の測定電圧値として測定される。そして、第1、第2の測定電圧値間の差分を第1、第2レベルの測定用電流の電流値間の差分で除した値が前記抵抗体の2測定点間の抵抗値として算出される。さらに、その算出された抵抗値と所定の基準値とが比較され、その比較結果に応じて検査対象である2測定点間の導通状態の良否が判定される。これにより、配線パターンとプローブとの接触部に生じる測定用電流に比例しない非線形な抵抗成分が低減された抵抗測定値に基づいて検査対象である2測定点間の導通状態の良否が判定される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の構成については、同一の符号を付し、その説明の重複を避ける。図1は、本発明の一実施形態に係る抵抗測定装置を用いた基板検査装置の構成の一例を説明するための図である。
【0013】
図1に示す基板検査装置は、プローブ3A,3Bと、抵抗測定部10と、良否判定部14とを備える。プローブ3A,3Bは、それぞれ独立してX軸、Y軸及びZ軸方向へ駆動する駆動機構(図略)に支持されており、あらかじめ定められたプログラムに従って、X軸、Y軸及びZ軸方向に移動制御される。即ち、プローブ3A,3Bは、所定の検査位置に位置決めされた被測定プリント配線基板1の平面と平行な平面上の座標を規定する、X軸、Y軸方向に移動されて、被測定プリント配線基板1上の所定測定点に相当する位置に移動された後、被測定プリント配線基板1に向かうZ軸方向に駆動される。プローブ3A,3Bが、被測定プリント配線基板1上の測定点に当接し、弾性的に接触することにより、被測定プリント配線基板1上の任意の2測定点の間(例えばランド2Aと2B、2Aと2Cなど)の抵抗値の測定が行われる。プリント配線基板1は、複数層の配線パターンが積層されたものであっても良いし、単層の平面的なものであっても良い。
【0014】
プローブ3A,3Bには、抵抗測定用電流を流すための測定用電源部11が接続されている。測定用電源部11は、例えば、直流定電流源からなり、測定処理部13からの制御信号に応じてプローブ3A,3B間に流す測定用電流を、例えば、第1レベルの測定用電流に相当する20mAの電流I1と、第1レベルの測定用電流とは電流値が異なる第2レベルの測定用電流に相当する5mAの電流I2とに切り替える。
【0015】
また、プローブ3A,3B間には、測定用電源部11と並列に電圧測定部12が接続されている。電圧測定部12は、例えばA/Dコンバータ等からなり、プローブ3A,3B間の電圧をアナログデジタル変換して得られた電圧データを測定処理部13へ出力する。
【0016】
測定処理部13は、例えば測定処理のための制御プログラム、抵抗値演算プログラム、あるいは測定用電流値I1,I2などを記憶したROM(Read Only Memory)、電圧測定部12で得られた測定電圧値などのデータを一時的に記憶するためのRAM(Random Access Memory)、およびROMから読み出したプログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)などで構成される。そして、測定処理部13は、測定用電流I1,I2及び電圧測定部12で得られた測定電圧値に基づいて、プローブ3Aと3Bの間の抵抗値Rを算出し、良否判定部14へ出力する。
【0017】
良否判定部14は、例えば良否判定プログラムなどを記憶したROM、抵抗値Rや基準値Rsなどのデータを一時的に記憶するためのRAM、良否判定プログラムを実行するためのCPUなどで構成されており、測定処理部13と同じものを兼用しても良い。そして、測定処理部13によって算出された抵抗値Rと予め設定されている基準値Rsとを比較して、導通状態の良否判定を行う。
【0018】
次に、図1に示す基板検査装置を用いた基板検査方法について、図1と、図2に示すフローチャートを参照しつつ説明する。また、図3は、図1に示す基板検査装置の動作を説明するための概念図である。
【0019】
まず、図示しないテーブル上に検査対象であるプリント配線基板1が載置され、基板検査位置に設定されて、基板検査が開始されると、プローブ3A及び3Bがそれぞれ、X軸、Y軸、Z軸駆動装置によって駆動され、配線パターン上の2測定点、例えばランド2A及び2B上に移動され当接される(ステップS1)。
【0020】
次に、プローブ3A及び3Bがランド2A及び2Bとにそれぞれ当接すると、測定処理部13からの制御信号に応じて、測定用電源部11によりプローブ3Aと3Bの間に電流I1が流され、プローブ3Aからランド2A、配線パターン2、ランド2B,プローブ3Bの順に電流I1が流れる(ステップS2)。そして、電圧測定部12により測定されたプローブ3A,3B間の電圧データが、測定処理部13によって、電流I1に対応する測定電圧V1(第1の測定電圧値)として取得される(ステップS3)。
【0021】
このとき、ランド2A,2Bとプローブ3A、3Bの接触面に大気中に含まれる酸素や硫化性の気体が吸着され、接触面の金属と反応することにより生成される酸化皮膜や硫化物皮膜等の汚染皮膜が生じている場合がある。このような汚染皮膜は、絶縁性あるいは半導体的性質を持つことが知られており、例えば銅の表面に生成される酸化銅や、銀の表面に生成される硫化銀等は半導体であり、アルミニウムの表面に生成されるAl2O3は絶縁体である(例えば、エレクトロニクス実装学会誌Vol.3 No.3(2000)p.259−260参照。)。
【0022】
図4(a),(b)は、図3に示すプローブ3A,3Bとランド2A,2Bとの接触部4の状態を説明するための図である。上記のように、接触部4に生じた汚染皮膜が半導体的性質を持つ場合、図4(a)に示すように、接触部4はダイオードとして働き、このダイオードによる電圧降下VFが接触部4に生じると考えられる。また、図4(b)に示すように、接触部4に生じた汚染皮膜によって、異種金属の接触による熱起電力Eが生じると考えられる。
【0023】
そのため、プローブ3Aと3Bの間に測定用電流を流して生じる電圧値Vに電圧降下VFと熱起電力Eとが含まれる結果、接触抵抗値Rcが生じると考えられる。便宜上、プローブ3Aとランド2A間で生じる電圧降下及び熱起電力と、プローブ3Bとランド2B間で生じる電圧降下及び熱起電力とをそれぞれ合計したものを電圧降下VF、熱起電力Eとすると、
V1=I1×Rx+VF+E ・・・(2)
として近似される。
【0024】
次に、測定処理部13からの制御信号に応じて、測定用電源部11によりプローブ3Aと3Bの間に電流I2が流される(ステップS4)。そして、電圧測定部12により測定されたプローブ3A,3B間の電圧データが、測定処理部13によって、電流I2に対応する測定電圧V2(第2の測定電圧値)として取得される(ステップS5)。このとき、ステップS3の場合と同様に、
V2=I2×Rx+VF+E ・・・(3)
として近似される。
【0025】
次に、測定処理部13によって、予めROMに記憶された測定用電流値I1,I2及び電圧測定部12により測定された測定電圧V1,V2に基づいて、以下の計算式を用いて抵抗値Rが算出される(ステップS6)。
【0026】
R=(V1−V2)/(I1−I2)・・・(4)
この場合、式(4)に式(2)、式(3)を代入すると、
V1−V2=Rx(I1−I2)から、
R=Rx(I1−I2)/(I1−I2)
R=Rx ・・・(5)
となる。
【0027】
すなわち、式(4)を用いて算出された抵抗値Rは、電圧降下VF、熱起電力Eが計算上キャンセルされる結果、抵抗値Rは、配線パターン2の抵抗値Rxとなる。これにより、従来例による式(1)のように、抵抗値Rに非線形な接触抵抗値Rcが含まれないので、プローブの接触抵抗値の影響を低減し、配線パターンの抵抗測定精度を向上させることができる。
【0028】
次に、良否判定部14によって、測定処理部13により算出された抵抗値Rと基準値Rsとが比較される(ステップS7)。基準値Rsは、配線パターン2の導通状態の良否を判断するための閾値であり、例えば20Ωに設定されている。良否判定部14による比較の結果、抵抗値Rが基準値Rs以下の場合(ステップS7でYES)、配線パターン2の導通状態を良好と判断し(ステップS8)、ステップS1に戻って、プローブ3A及び3Bを次の検査対象である他の2測定点、例えばランド2A及び2C上に移動させ、同様の検査手順を実行する。
【0029】
一方、良否判定部14による比較の結果、抵抗値Rが基準値Rsを上回る場合(ステップS7でNO)、良否判定部14は、配線パターン2の導通状態を不良と判断し(ステップS9)、そのプリント配線基板1についての検査を終了する。
【0030】
これにより、プローブの接触抵抗値の影響が低減され、高精度で測定された抵抗値Rが、配線パターン2の導通の良否判定に用いられるので、本来導通状態は良好であるにもかかわらず、プローブの接触抵抗値の影響によって不良であると判定されてしまうことが抑制される。
【0031】
また、配線パターン2の抵抗値Rを高精度で測定することができるので、接触抵抗などの測定誤差を予め見込んだ大きな抵抗値を基準値Rsとして設定する必要がない。そのため、図1に示す基板検査装置は、基準値Rsとして低抵抗値を設定することにより、検査対象配線パターンの導通、断線のみならず、不完全な導通状態により小さな抵抗を生じる不良を検出することが可能になる。
【0032】
図6は、ビルドアップ基板20の断面図である。図6において、21,25はブラインドビア、22は内層パターン、23,24は内部ビアである。また、ビルドアップ基板20の表面に形成されたブラインドビア21は、内層パターン22と電気的に接続され、内層パターン22は、内部ビア23,24を介してさらに他の内層パターンや、ブラインドビア25等と電気的に接続されている。
【0033】
ビルドアップ基板20において、ブラインドビア21と内層パターン22との接続部26が、電気的に不完全に接続され、接続不良による抵抗値を持った状態の導通不良が発生する場合がある。従来、このような導通不良を検出する場合、例えば図5に示す基板検査装置を用いてプローブ3A,3Bをブラインドビア21とブラインドビア25とに当接させて、ブラインドビア21、内層パターン22、内部ビア24、及びブラインドビア25を経由する配線パターンに測定用電流Iを流し、その測定電圧VからR=V/Iとして算出した抵抗値Rと基準値Rsとを比較して導通状態の良否判定を行う。
【0034】
この場合、接続部26の接続不良により生じる抵抗値は比較的小さい抵抗値になる場合があるため、接続部26の接続不良を検出するためには基準値Rsを小さい抵抗値に設定する必要があった。しかし、従来の図5に示す基板検査装置では、算出した抵抗値Rに接触抵抗値Rcが含まれるため、基準値Rsを小さくすると、導通状態が良好な場合にも、接触抵抗値Rcの影響によって不良であると判定されてしまうという不都合があった。
【0035】
一方、図1に示す基板検査装置は、上述のように基準値Rsとして小さな抵抗値を設定することができるので、接続部26が電気的に不完全に接続された接続不良であっても良好に導通不良を検出することが可能になる。
【0036】
また、従来、測定用電流の電流値Iを大きくしたり、プローブ3A,3Bの接触圧力を高めたりすることにより、汚染皮膜を破壊して接触抵抗を低減する方法が知られている。しかし、例えばビルドアップ基板20等ではパターン幅75μm程度の配線パターンや、ランド径250μm程度のブラインドビア等、導体パターンが微細化されており、測定用電流の電流値Iを大きくしたり、プローブ3A,3Bの接触圧力を高めたりすると、その配線パターンやブラインドビア等を損傷してしまう恐れがある。
【0037】
一方、図1に示す基板検査装置では、汚染皮膜による非線形特性の影響を受けることなく高精度の抵抗測定ができるので、ビルドアップ基板20のような微細化された配線パターンの検査を良好に行うことができる。
【0038】
本願発明者は、式(4)を用いて抵抗値Rを算出することにより、高精度の抵抗測定ができることを確認するため、以下の実験を行った。まず、図3に示す接触部4に生じた汚染皮膜によって、図4(a)に示すように接触部4がダイオードとして働く場合があるという仮説を確認するため、従来の図5に示す基板検査装置の構成によって、導通状態が良好な配線パターン2について、それぞれランド2A,2Bにプローブ3A,3Bを当接させた状態で、プローブ3Aと3Bの間に測定用電流20mAを流してプローブ3Aと3Bとの間に発生する電圧値Vの測定を繰り返した。そして、R=V/Iにより得られた抵抗値Rが20Ωを越えたとき、すなわち本来導通状態は良好であるにもかかわらず、プローブの接触抵抗値の影響によって不良であると判定された場合に得られた抵抗値Rの値が、20Ω〜30Ωに集中することを見出した。
【0039】
この実験結果から、測定用電流I=20mAに対して抵抗値R=30Ωであれば、ランド2A,2Bとプローブ3A,3Bとの接触部、すなわち図4(a)に示すダイオードでは、電圧降下VF=20mA×30Ω=0.6Vが生じていると推定される。そして、一般にダイオードの順方向電圧は、0.6V〜0.7V程度として知られている。従って、実験結果から得られた電圧降下VFは、ほぼダイオードの順方向電圧と一致するものとなり、接触部4がダイオードとして働くという仮説を裏付けるものとなる。
【0040】
さらに本願発明者は、図1に示す基板検査装置と従来の図5に示す基板検査装置とを用いて、本来導通状態は良好であるにもかかわらず、不良であると判定された頻度の比較実験を行った。この実験では、図1に示す基板検査装置と従来の図5に示す基板検査装置それぞれについて、プリント配線基板1に形成された良好な配線パターン2を試料として、8個の試料を用いて各試料毎に10回の検査、すなわち各装置毎に80回づつ検査を行った。
【0041】
その結果、従来の図5に示す基板検査装置により、測定電流I=20mA、基準値Rs=20Ωの条件で不良判定となった確率は、27.5%となった。さらに、従来の図5に示す基板検査装置により、80回の検査において、1回の検査毎に抵抗値Rの測定を10回行い、その10回の測定値の最小値を基準値Rsと比較して導通状態の良否判定を行った。この場合、不良判定となった確率は、6.75%となった。
【0042】
一方、図1に示す基板検査装置により、I1=20mA、I2=5mA、基準値Rs=20Ωの条件で不良判定となった確率は、2.5%であった。このように、図1に示す基板検査装置を用いた場合には、従来の図5に示す基板検査装置によって複数回測定を繰り返したときと比較しても、さらに良好な検査結果が得られることが確認された。
【0043】
なお、例えば、電流I1,I2をそれぞれ交互に方向が変わる電流として、例えば略正弦波状の交流電流としてもよく、所定の時間間隔で流れる方向が反転する直流電流としても良い。この場合、測定電圧V1,V2は、例えば交流電圧としてもよく、電流I1,I2の流れる方向反転後の定常状態に達したときの直流電圧でも良い。また、その電流値、および電圧値を実効値としてもよい。
【0044】
また、一対のプローブ3A,3Bがプリント配線基板1に対してそれぞれX軸、Y軸及びZ軸方向に移動する場合について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、複数対のプローブが移動するもの、更には、プリント配線基板の配線パターンの各測定点に対応して配置された複数(多数)のプローブがX軸、Y軸方向に固定された治具を用い、スイッチ、走査装置により、順次、対象プローブ対を選択しながら、検査する所謂専用基板検査装置、あるいは、多数のプローブが格子状に配列された治具を用いた検査装置、その他、プローブ対間に電流を流して基板の抵抗を測ることが出来る種々の回路基板検査装置に適用できることは言うまでも無い。
【0045】
また、図1に示す良否判定部14を備えず、例えば、測定処理部13で得られた抵抗値Rを表示装置に表示する抵抗測定装置に適用してもよい。また、抵抗値測定の測定対象は、プリント配線基板に形成された配線パターンに限られず、抵抗体にプローブを接触させてその抵抗値を測定する抵抗測定装置であってもよい。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、抵抗体とプローブとの接触部に生じる測定用電流に比例しない非線形な抵抗成分が低減された抵抗値が測定されるので、プローブの接触抵抗値の影響を低減し、抵抗測定精度を向上させることができる。
【0047】
請求項2に記載の発明によれば、第1、第2レベルの測定用電流の向きが繰り返し交互に反転されるので、実験事実に基づいて抵抗値の測定精度を向上させることができる。
【0048】
請求項3に記載の発明によれば、高精度の抵抗測定値に基づいて2測定点間の導通状態の良否が判定されるので、配線パターンの検査精度を向上させることができる。
【0049】
請求項4に記載の発明によれば、配線パターンとプローブとの接触部に生じる測定用電流に比例しない非線形な抵抗成分が低減された抵抗測定値に基づいて検査対象である2測定点間の導通状態の良否が判定されるので、配線パターンの検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る抵抗測定装置を用いた基板検査装置の構成の一例を説明するための構成図である。
【図2】図1に示す基板検査装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示す基板検査装置の動作を説明するための概念図である。
【図4】プローブとランドとの接触部の状態を説明するための図である。
【図5】従来の基板検査装置を説明するための概念図である。
【図6】ビルドアップ基板の断面図である。
【符号の説明】
1 プリント配線基板
2 配線パターン
2A,2B ランド
3A,3B プローブ
4 接触部
10 抵抗測定部
11 測定用電源部(第1、第2の測定用電流生成部)
12 電圧測定部
13 測定処理部(抵抗値演算部)
14 良否判定部
Claims (4)
- 抵抗値測定の測定対象である抵抗体の2測定点にそれぞれ当接されたプローブ間に、第1レベルの測定用電流を流す第1の測定用電流生成部と、第2レベルの測定用電流を流す第2の測定用電流生成部とを備えた抵抗測定装置であって、前記第1、第2レベルの測定用電流での前記プローブ間電圧を、それぞれ第1、第2の測定電圧値として測定する電圧測定部と、前記第1、第2の測定電圧値間の差分を、前記第1、第2レベルの測定用電流の電流値間の差分で除した値を前記抵抗体の2測定点間の抵抗値として算出する抵抗値演算部とを備えることを特徴とする抵抗測定装置。
- 前記第1、第2の測定用電流生成部は、前記第1、第2レベルの測定用電流として交互に方向が変わる電流を流すものであり、前記電圧測定部は、前記交互に方向が変わる電流により前記プローブ間に生じた電圧を前記第1、第2の測定電圧値として測定するものであることを特徴とする請求項1記載の抵抗測定装置。
- 前記抵抗体はプリント配線基板に形成された配線パターンであり、前記抵抗値演算部により算出された抵抗値と所定の基準値とを比較し、その比較結果に応じて検査対象である2測定点間の導通状態の良否を判定する良否判定部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗測定装置を用いた基板検査装置。
- プリント配線基板に形成された配線パターンの検査を行うための基板検査方法であって、検査対象である配線パターンの2測定点にそれぞれ当接したプローブ間に、第1レベルの測定用電流と、第2レベルの測定用電流とをそれぞれ流し、前記第1、第2レベルの測定用電流での前記プローブ間電圧を、それぞれ第1、第2の測定電圧値として測定し、前記第1、第2の測定電圧値間の差分を、前記第1、第2レベルの測定用電流の電流値間の差分で除した値を前記検査対象の2測定点間の抵抗値として算出し、前記算出した抵抗値と所定の基準値との比較結果に応じて検査対象である2測定点間の導通状態の良否を判定することを特徴とする基板検査方法。
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