JP2004277626A - 顔料分散剤、組成物、トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料の分散性を向上させるための顔料分散剤およびそれを用いた組成物に関する。また、本発明は、電子写真、静電印刷またはトナージェット方式等の画像形成方法において静電荷像を現像するためのトナー、およびトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より塗料、インキ、トナー、樹脂成型品等の製造において、顔料分散剤は顔料の粒径を細かくし、色材としての性能(着色力、透明性、光沢など)を十分に発現させるための添加剤として有効に利用されている。
【0003】
顔料分散剤はその機能を発揮するためには、分子中に顔料に強固に吸着する化学構造と、顔料分散の際に用いる溶媒や樹脂への親和性をもち、顔料の再凝集を防ぐための立体障害となりうる化学構造が必要である。
【0004】
一般に顔料分散剤として、酸性基を有する顔料に対しては塩基性樹脂を用い、塩基性基を有する顔料に対しては酸性樹脂を用いることが多い。すなわち酸塩基相互作用により顔料表面に樹脂を吸着させて分散効果を得ているのである。有効な顔料分散性を得るには顔料に対し20〜30質量%以上の分散剤を含有させて分散効果を得ているのが現状である。また、顔料への吸着が弱い場合には乾燥時や加熱時に顔料が凝集してしまうなど不具合が生じる。それを解決する手段としては、なるべく分散剤量を減らし、効率よく顔料へ吸着し分散効果を得られやすくする工夫がなされている。具体的には顔料類似構造をもつ化合物を顔料とともに混合、分散させ、顔料へ吸着しやすくする工夫がなされている。
【0005】
例えばフタロシアニン系顔料には、フタロシアニン系色素の誘導体が広く用いられている。また、フタロシアニン系色素誘導体はカーボンブラックにも強度な吸着を示し、カーボンブラック用分散剤としても用いられている。これらは例えば特許文献1に記載されている。この場合、フタロシアニン系色素の誘導体はそれ自体が濃色の化合物であるため、汎用性に乏しい。様々な有色顔料に汎用性をもたせるためには淡色でかつ、顔料への吸着力が大きいことが必要である。
【0006】
一方、プリンターや複写機に使用されるトナーは、主成分が樹脂及び磁性体、カーボンブラック、染料、顔料等の着色剤、及びワックス類からなる微粒子であり、通常その粒径は6〜20μmの範囲である。トナーは、一般に熱可塑性樹脂中に染顔料あるいは磁性体からなる着色剤を混合、溶融し、着色剤を均一に分散させた後、微粉砕、分級することにより所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。この方法は技術として比較的安定しており、各材料、各工程の管理も比較的容易に行うことができるが、熱をかけて着色剤を混練するため顔料種によっては熱凝集が起こり所望の分散粒径が得られない場合があった。
【0007】
一方、高画質を目的としてさらに小粒径トナーを達成するために重合法によるトナーの製造方法、いわゆる懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。これらは、例えば特許文献2〜6に記載されている。この方法は、結着樹脂、染料、顔料などの着色剤、例えば磁性体、カーボンブラック、帯電制御剤、ワックスやシリコーンオイルなどの離型剤等トナー中に内包すべき物質を必要に応じて重合開始剤や顔料分散剤とともに重合性単量体中に溶解、あるいは分散させて重合性組成物とし、分散安定剤を含有する水系連続相に分散装置を使用して分散させ、微粒子の分散体とし、この分散体を重合させて固化することによって所望の粒径、組成を有するトナー粒子を得るものである。この方法は粉砕工程が無いためエネルギーの節約、工程収率の向上、コスト削減といった効果が期待されるものである。
【0008】
このような重合トナーはカラートナーとして用いる場合が多く、画像の色再現範囲を広げ、OHT画像の透明性を得るためにはトナーに含まれる顔料を極微分散することが要求されるが、重合過程で顔料が凝集しやすいなどの課題がある。
【0009】
一方、トナーは、電子写真プロセスにおいて一定の帯電量を得て感光体上に顕像化されるため、その帯電量の制御には十分な注意が必要とされる。一般にトナー粒子中には荷電制御剤と呼ばれるものが入れられ、帯電量の制御が積極的に行われている。
【0010】
重合中の顔料の凝集を防ぐために従来の顔料分散剤を多量に用いると、トナーの帯電量が大きく変化してしまう場合が多い。顔料に対してなるべく少ない量で、分散性を向上でき、かつ帯電量への影響が少ない分散剤が望まれている。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−226727号公報
【特許文献2】
特公昭36−10231号公報
【特許文献3】
特公昭51−14895号公報
【特許文献4】
特開昭53−177735号公報
【特許文献5】
特開昭53−17736号公報
【特許文献6】
特開昭53−17737号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、淡色で、かつ種々の有色顔料に対し少量の添加量で十分な顔料分散性を得ることができる顔料分散剤を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、顔料が原料中に投入された後の様々な工程においても安定的に顔料の分散状態を維持しうる組成物を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、トナー中に顔料を微分散させることができ、着色力、透明性に優れたトナーおよびトナーの製造方法を提供することを課題とする。
【0015】
さらに、本発明は、水系媒体を用いて製造されるトナーにおいて、トナー表面に着色剤の浮きだしがなく、帯電性や環境安定性に優れたトナーおよびトナーの製造方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の構造を有する化合物を顔料分散剤として用いることにより、顔料を分散媒中で容易に微分散させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
すなわち本発明は、以下に示す顔料分散剤、組成物、トナー、トナーの製造方法によって達成される。
(1)ポリマー骨格に化式1または2で表される官能基を少なくとも有することを特徴とする顔料分散剤。
【0018】
【化5】
(*はポリマーへの結合点を示す。)
(2)少なくとも顔料と顔料分散剤と分散媒を含有する組成物であって、該顔料分散剤がポリマー骨格に化式1または2で表される官能基を少なくとも有することを特徴とする組成物。
(3)顔料と樹脂とを少なくとも含有し、製造工程において該顔料と顔料分散剤を混合する工程を少なくとも有するトナーにおいて、該顔料分散剤がポリマー骨格に化式1または2で表される官能基を少なくとも有し、顔料に対する前記顔料分散剤の質量比が1.0質量%乃至20質量%であることを特徴とするトナー。
(4)前記トナーが水性媒体中で製造されることを特徴とする(3)に記載のトナー。
(5)顔料と顔料分散剤と分散媒とを少なくとも含有する組成物を水性媒体中に添加しトナー粒子を生成させる工程を含むトナーの製造方法において、該顔料分散剤がポリマー骨格に化式1または2で表される官能基を少なくとも有し、顔料に対する前記顔料分散剤の質量比が1.0質量%乃至20質量%であることを特徴とするトナーの製造方法。
(6)前記分散媒が重合性単量体であり、該組成物をトナー粒子径まで微分散し、該重合性単量体を光または熱により重合させる工程を含むことを特徴とする(5)に記載のトナーの製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の顔料分散剤は、塗料、インキ、トナー、樹脂成型品等の製造工程で用いられ、顔料の分散性を向上させるための顔料処理剤として用いられるものである。
【0020】
ポリマー骨格に上記化式1または2で表される官能基を少なくとも有する本発明の顔料分散剤は、例えば以下の方法で作製可能である。
【0021】
すなわち、ポリマーをニトロベンゼン中に溶解させ、そこへ塩化チオニル、塩化アルミニウムと、αまたはβナフトールを加え、20℃以下で60分間反応させる。そのとき、触媒量の塩基、例えばピリジン等を微量加えるとさらに好ましく作製可能である。その後、メタノールにて再沈精製し、濾過、乾燥により目的物を得ることができる。H−NMRによる分析によりナフトール系水酸基が確認され、高分解能質量分析によりチオニル基が確認される。
【0022】
本発明の顔料分散剤の製造に用いられるスチレン系オリゴマーまたはポリマーは、用途により種々のものが選択できる。選択基準としては、分散工程において顔料分散剤とともに使用する分散媒に溶解または膨潤あるいは相溶するものが好ましい。分散媒が水系溶媒である場合には、水溶性モノマーを多く含有するスチレン系共重合体、たとえばスチレンアクリル酸共重合体等が使用可能である。また、分散媒が有機溶媒または重合性単量体の場合には、ポリスチレン等の非極性樹脂が使用可能である。
【0023】
本発明に用いることのできる分散媒は、水性溶媒、有機溶媒、重合性単量体、樹脂など形態は問わず、顔料分散剤が溶解、膨潤または相溶するものであれば何でも良い。具体的には、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコール、モノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサンテトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄・窒素含有有機化合物類等から選ばれる。またこれらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。
【0024】
上記分散媒として本発明に用いることができる重合性単量体は、付加重合系あるいは縮合重合系単量体である。好ましくは、付加重合系単量体である。具体的にはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビリニデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体などを挙げることができる。
【0025】
また、上記分散媒として本発明に用いることができる樹脂としては公知のものが使用可能である。具体的には例えば、スチレン系ではポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等、アクリル系ではポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等、エステル系ではポリエステル類、またはそれぞれの共重合体が挙げられる。
【0026】
本発明に用いられる顔料としては、公知の顔料が利用できるが、特にイエロー系顔料に有効であり、具体的には、C.I.pig.Yellow1、3、10、17、74、81、93、94、95、97、98、154、166、167、C.I.pig.Red2、3、5、17、22、112、122、245、25、146、150、170、185、202、206、207、208、144、166、38、41、48:2、53:1、57:1、C.I.pig.Orange5、13、16、36、等が挙げられる。他にはカーボンブラックやC.I.pig.Red3、5、17、57:1、122、146、150、170、185、202、207、208等の他の有色顔料にも効果的に用いることができる。
【0027】
また、本発明の組成物は、分散媒と顔料と上述した本発明の顔料分散剤とを少なくとも含有するものである。すなわち、本発明の組成物は、上述の本発明の顔料分散剤を含有すること以外は公知の組成、すなわち、顔料、分散媒とを少なくとも有し、その他樹脂、添加剤、溶媒等を有するものである。分散媒および顔料は、上述したものを好適に用いることができる。
【0028】
上記本発明の組成物の製造方法も公知の方法を用いることができる。例えば、分散媒中に顔料分散剤および、必要に応じて樹脂を溶かし込み、撹拌しながら顔料粉末を徐々に加え十分に溶媒になじませる。さらにボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料粒子表面に顔料分散剤を吸着させ、顔料を安定に微分散、すなわち均一な微粒子状に分散することができる。
【0029】
本発明のトナーは、顔料と樹脂と上述した顔料分散剤を顔料に対し1.0乃至20質量%含有することを特徴とする。1.0質量%未満の場合には、官能基の導入率を高くしても十分な顔料分散性が得られない。20質量%を超える場合には顔料粒子がトナー表面へ浮き出したり、トナー帯電量への影響があるため好ましくない。また、本発明のトナーの製造方法としては、顔料の分散工程において本発明の顔料分散剤を用いること以外は公知の方法が利用可能である。
【0030】
粉砕法によりトナーを製造する際には、まず、上述の顔料分散剤を、分散媒であるトナーバインダーや他の添加剤とともにヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合する。その混合物をニーダー、エクストルーダー等の熱および機械的剪断力による熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶させる。この段階で顔料が顔料分散剤によって表面処理されるとともに上記混合物中に微分散される。溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級してトナー粒子が得られる。
【0031】
本発明のトナーは、顔料と分散媒とを含む組成物を水性媒体中に微分散させ、トナー粒子を生成させる方法により、より好ましく本発明の目的を達成できる。具体的には顔料と顔料分散剤を含む組成物を水性媒体中で微分散させたものと、トナーバインダーとなる樹脂微粒子と、必要に応じてワックス微粒子等を添加し、水性媒体中のpH、塩濃度、温度等の調整によりトナー粒子径まで凝集させ、さらに熱をかけることにより粒子を融着・合一させてトナー粒子を得る方法がある。また、他の方法としては、重合性単量体と顔料と顔料分散剤を少なくとも含有する単量体組成物を水性媒体中に微分散させ、光または熱により重合させる重合工程を含むトナーの製造方法により、本発明の目的をより好ましく達成できる。
【0032】
このような重合法によるトナーの製造方法においては、まず、上記重合性単量体を分散媒として用いた顔料分散体組成物を分散機により処理し顔料分散ペーストとする。得られた顔料分散ペーストをトナーバインダーである樹脂を構成する重合性単量体および重合開始剤、更にワックスや必要に応じた他の添加剤とともに、撹拌機等によって均一に溶解混合または分散させ、単量体組成物を作製する。こうして得られた単量体組成物を、分散安定化剤を含有する分散媒体(好ましくは水系媒体)中に添加し、撹拌装置として高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用してトナー粒子径まで微分散させる(造粒工程)。そして、重合工程において微分散された単量体組成物を光や熱により重合反応させて、トナー粒子を得ることができる。
【0033】
本発明のトナーは、上記各製造方法により得られるトナー粒子のみからなるものであってもよいし、このトナー粒子に後述する添加剤を外添してなるものであってもよい。
【0034】
本発明のトナーの製造方法に用いられる重合性単量体および顔料としては、前記組成物を構成するものと同様のものが使用可能である。顔料の添加量は、重合性単量体100質量部当たり3〜20質量部添加することが好ましい。
【0035】
本発明のトナーの製造方法に用いることのできる水系媒体は、主として単量体および重合体の溶解性から決められるものであり、水やアルコール類が使用可能である。この水系媒体に対する単量体濃度は、水系媒体に対して単量体1〜80質量%、好ましくは10〜65質量%である。
【0036】
本発明のトナーの製造方法に用いることのできるトナー粒子の分散安定化剤は公知のものが使用可能である。具体例としては、無機化合物として、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン等を水相に分散させて使用できる。分散安定化剤の濃度は単量体100質量%に対して0.2〜20質量%が好ましい。
【0037】
本発明のトナーの製造方法に用いる重合開始剤としては公知の重合開始剤を挙げることができる。具体的には、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート、4,4−アゾビス−4−シアノバレロニトリル、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物;アルカリ金属;金属水酸化物;グリニャール試薬等の求核試薬;プロトン酸;ハロゲン化金属;安定カルボニウムイオン等が挙げられる。重合開始剤の濃度は単量体に対して0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0038】
また、本発明のトナーの製造方法には、公知の連鎖移動剤を用いることが可能である。
【0039】
さらに、本発明ではトナーへの様々な特性付与を目的として、以下に示すようなトナーの添加剤を用いることもできる。
【0040】
トナーの摩擦帯電特性を安定化するために、あらかじめ樹脂に荷電制御剤を含有させておいても良い。この場合、トナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。重合法によりトナーを製造する場合には、重合阻害性がない荷電制御剤を用いることが特に好ましい。具体的には、ネガ系制御剤としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の金属化合物;スルホン酸、カルボン酸を側鎖にもつ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーン等が好ましい。ポジ系制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が好ましい。これら荷電制御剤は、粉砕法であれば結着樹脂、重合法であれば重合性単量体及び必要に応じて添加される他の結着樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部添加することが好ましい。
【0041】
また、本発明のトナーは、流動性付与剤、研磨剤、滑剤、荷電制御粒子等の公知の添加剤をトナー粒子に外添されていてもよい。
【0042】
流動性付与剤としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等)が好適に用いられる。これらは疎水化処理を行ったものがより好ましい。研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)が好適に用いられる。滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)が好適に用いられる。荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)、カーボンブラック等が好適に用いられる。
【0043】
これらの添加剤は、トナー粒子100質量部に対し0.1〜10質量部が用いられ、好ましくは0.1〜5質量部が用いられる。これらの添加剤は、単独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
【0044】
本発明のトナーはトナーのみからなる一成系分現像剤として用いることもできるし、キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることもできる。
【0045】
本発明で使用する各種の測定方法について、以下にまとめて説明する。
【0046】
<摩擦帯電量の測定方法>
トナーとキャリアを現像剤化するとき適当な混合量(2〜15質量%)となるように混合し、ターブラミキサーで180秒混合する。この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の質量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、摩擦帯電量を下記式を用いて算出する。
Q(μC/g)=(C×V)/(W1−W2)
W1:吸引前の質量
W2:吸引後の質量
C:コンデンサーの容量
V:コンデンサーに蓄積された電位
【0047】
<トナー粒径測定>
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、コールターカウンターマルチサイザーにより100μmのアパーチャーを用いて体積を基準として2〜40μmの粒度分布等を測定し、個数平均粒径、重量平均粒径を算出するものとする。
【0048】
【実施例】
以下に本発明を実施例をもって説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中で使用する部はすべて質量部を示す。
【0049】
[実施例1]
<顔料分散剤の製造例1>
以下に示す方法により顔料分散剤aの合成を行った。
【0050】
300mlの反応容器にポリスチレン(Mw=10700、Mw/Mn=1.50)30.0g、2−ナフトール3.0g、ニトロベンゼン210mlを仕込み撹拌溶解させる。そこへ塩化アルミニウム10.0g、塩化チオニル7.5ml、ピリジン3滴を加え、20℃以下に冷却しながら1hr撹拌した。反応液を4.5リットルのメタノール中に滴下し、再沈精製を行った。さらにメタノールで洗浄濾過を繰り返し、室温で12時間減圧乾燥を行い、目的の顔料分散剤a27.0gを得た。H−NMRによりナフトールのOHが観察され、さらに高分解能質量分析によりチオニル基が確認され、化式1と化式2の構造を有する混合物が得られていることがわかった。
【0051】
<樹脂(1)の製造>
スチレン60部、n−ブチルアクリレ−ト25部、マレイン酸モノブチル15部、ジビニルベンゼン0.5部、ベンゾイルパ−オキサイド1.2部を混合して溶液1を作製し、水170部にポリビニルアルコ−ル部分ケン化物0.12部を溶解したものを溶液2とする。このようにして得られた溶液1と2を激しく撹拌して懸濁分散液を調製した。次に、水300部を入れ窒素置換した反応器に、上記で得られた懸濁分散液を添加し、反応温度75℃で8時間懸濁重合反応させた。反応終了後、水洗し、脱水乾燥して樹脂(1)を得た。
【0052】
<トナーの作製例1>
・樹脂(1) 100部
・顔料分散剤a 1部
・モノアゾイエロー(C.I.Pigment Yellow 74) 6部
・クロム錯体(荷電制御剤) 4部
上記材料をブレンダ−でよく混合した後、150℃で設定した二軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却し、カッタ−ミルにて粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉を固定壁型風力分級機で分級して分級粉を作製した。更に、上記で得られた分級粉を、コアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業製 エルボジェット分級機)を用いて、超微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去してイエロー色の樹脂微粉体を得た。
【0053】
<作製したトナーの評価>
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径7.1μmを有していた。得られたトナー100部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ0.85部を外添した。このトナー7部に対し、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体で表面被覆した、粒径45μmのフェライトキャリア93部を混合し、現像剤とした。
【0054】
得られた現像剤0.1gをブローオフ法により帯電量を測定したところ、−22.0μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて画像出しを行った。現像条件は温度25℃/湿度60%RHの環境下で現像コントラスト300Vで行なった。得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもカブリの発生もなく、濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。また、OHPシートに同様に画像出しを行い、OHPにて投影してみたところ、透明性の高いイエロー色の投影画像が得られた。
【0055】
[実施例2]
<顔料ペーストの作製例1>
・スチレンモノマー 340部
・顔料分散剤a 2部
・モノアゾイエロー(C.I.Pigment Yellow 74)20部
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約5時間分散し、顔料分散ペーストAを作製した。得られた顔料分散ペーストAをガラス板上にワイヤーバーを用いて均一に塗布し、自然乾燥した後、光沢値を測定したところ123であり、良好な平滑性を示した。光沢度の測定は、ハンディ光沢計グロスチェッカーIG−310(堀場製作所社製)を使用した。また、アルミ箔上に同様に塗布したものをSEM観察したところ、粒径は約70nm〜120nmであり、顔料が細かく均一に分散されていることがわかった。
【0056】
<トナーの作製例2>
イオン交換水710部に0.1M−Na3PO4水溶液450部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて11000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液70部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む分散媒体を得た。
【0057】
・顔料分散ペーストA 182部
・2−エチルへキシルアクリレート 30部
・パラフィンワックス(m.p.75℃) 60部
・スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体 5部
(86:4:10,Mw4.5万)
・ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物 3部
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。
【0058】
前記ホモミキサーの2リットルフラスコ中で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で3時間反応させた後、80℃で10時間重合させた。重合反応終了後、反応生成物を冷却し、塩酸を加えて、Ca3(PO4)2を溶解し、濾過・水洗・乾燥することにより、重合トナーを得た。
【0059】
<作製したトナーの評価>
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径7.6μmを有していた。トナー表面を電子走査型顕微鏡(SEM)により観察したところ、顔料粒子は観察されなかった。さらに、実施例1と同様に粒子の断面を染色超薄切片法により透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、スチレン−アクリル樹脂を主体とする表層部とワックスを主体とする中心部に分かれており、カプセル構造が確認された。また、スチレン−アクリル樹脂層には約70nm〜120nmの顔料粒子が均一に微分散されていることが確認された。
【0060】
実施例1と同様に現像剤を作製し、得られた現像剤0.1gをブローオフ法により実施例1と同様に帯電量を測定したところ、−19.5μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて実施例1と同様に画像出しを行った。現像条件は温度25℃/湿度60%RHの環境下で現像コントラスト300Vで行なった。得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもカブリの発生もなく、濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。また、OHPシートに同様に画像出しを行い、OHPにて投影してみたところ、透明性の高いイエロー色の投影画像が得られた。
【0061】
[実施例3]
<顔料ペーストの作製例2>
・スチレンモノマー 320部
・n−ブチルアクリレート 80部
・顔料分散剤a 2部
・カーボンブラック(デグサ製) 20部
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約5時間分散し、顔料分散ペーストBを作製した。
【0062】
得られた顔料分散ペーストBをガラス板上にワイヤーバーを用いて均一に塗布し、自然乾燥した後、光沢値を測定したところ127であり、良好な平滑性を示した。また、アルミ箔上に同様に塗布したものをSEM観察したところ、粒径は約70nm〜110nmであり、顔料が細かく均一に分散されていることがわかった。
【0063】
<トナーの作製例3>
トナーの作製例2と同様にCa3(PO4)2を含む分散媒体を得た。
【0064】
・顔料分散ペーストB 212部
・パラフィンワックス(m.p.75℃) 60部
・スチレン−メタクリル酸共重合体(95:5,Mw5万) 5部
・ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物 3部
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。
【0065】
前記ホモミキサーの2リットルフラスコ中で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で1時間反応させた後、80℃で12時間反応させた。重合反応終了後、反応生成物を冷却し、塩酸を加えて、Ca3(PO4)2を溶解し、濾過・水洗乾燥することにより、重合トナーを得た。
【0066】
<作製したトナーの評価>
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径6.8μmを有していた。実施例2と同様にトナー表面をSEMにより観察したところ、実施例2と同様に顔料粒子は観察されなかった。さらに、実施例2と同様に粒子の断面をTEMにより観察したところ、実施例2と同様のカプセル構造が確認され、スチレン−アクリル樹脂層には約70nm〜130nmの顔料粒子が均一に微分散されていることが確認された。
【0067】
実施例1と同様に現像剤を作製したところ、帯電量は−23.7μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて実施例1と同様の画像出しを行った。得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもカブリの発生もなく、濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。また、OHPシートに同様に画像出しを行い、OHPにて投影してみたところ、透明性の高いイエロー色の投影画像が得られた。
【0068】
[比較例1]
<顔料ペーストの作製例3>
・スチレンモノマー 320部
・n−ブチルアクリレート 80部
・ジスアゾイエロー(C.I.Pigment Yellow 17)20部
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約5時間分散し、顔料分散ペーストCを作製した。
【0069】
得られた顔料分散ペーストCをガラス板上に実施例2と同様に塗布し、光沢値を測定したところ65となり平滑性が得られなかった。また、実施例2と同様にアルミ箔上に塗布したものをSEM観察したところ、粒径は200nm〜300nm程度の粗粒が多くみられ、顔料の凝集による粒度分布のばらつきが顕著であった。
【0070】
<トナーの作製例4>
トナーの作製例2と同様にCa3(PO4)2を含む分散媒体を得た。
【0071】
・顔料分散ペーストC 212部
・パラフィンワックス(m.p.75℃) 60部
・スチレン−メタクリル酸共重合体(95:5,Mw5万) 5部
・ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物 3部
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに実施例2と同様に開始剤を加え、造粒および重合、洗浄、乾燥を経て、重合トナーを得た。
【0072】
<作製したトナーの評価>
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.0μmを有していた。実施例2と同様にトナー表面をSEMにより観察したところ、実施例2と同様に顔料粒子は観察されなかった。さらに、実施例2と同様に粒子の断面をTEMにより観察したところ、実施例2と同様のカプセル構造が確認され、スチレン−アクリル樹脂層には200nm〜400nmの顔料粒子が存在していた。また、ワックスとスチレンアクリル樹脂との界面に顔料粒子が多く堆積していることが観察された。
【0073】
実施例1と同様に現像剤を作製したところ、帯電量は−14.0μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて実施例1と同様の画像出しを行った。得られた画像はトナー載り量も適当であったが、細線は飛び散りが多く、特に高温高湿(30℃/75%)環境下において、カブリの発生が顕著で、トナーの帯電特性が劣っていることを示していた。また、OHPシートに同様に画像出しを行い、OHPにて投影してみたところ、実施例2に比べ透明性に劣る灰色の投影画像となった。
【0074】
[比較例2]
<顔料ペーストの作製例4>
・スチレンモノマー 320部
・n−ブチルアクリレート 80部
・ジスアゾイエロー(C.I.Pigment Yellow 17)20部
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約5時間分散し、顔料分散ペーストDを作製した。
【0075】
得られた顔料分散ペーストDをガラス板上に実施例2と同様に塗布し、光沢値を測定したところ65となり平滑性が得られなかった。また、実施例2と同様にアルミ箔上に塗布したものをSEM観察したところ、粒径は200nm〜300nm程度の粗粒が多くみられ、顔料の凝集による粒度分布のばらつきが顕著であった。
【0076】
<トナーの作製例5>
トナーの作製例2と同様にCa3(PO4)2を含む分散媒体を得た。
【0077】
・顔料分散ペーストD 212部
・パラフィンワックス(m.p.75℃) 60部
・スチレン−メタクリル酸共重合体(95:5,Mw5万) 5部
・ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物 3部
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに実施例2と同様に開始剤を加え、造粒および重合、洗浄、乾燥を経て、重合トナーを得た。
【0078】
<作製したトナーの評価>
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.0μmを有していた。実施例2と同様にトナー表面をSEMにより観察したところ、実施例2と同様に顔料粒子は観察されなかった。さらに、実施例2と同様に粒子の断面をTEMにより観察したところ、実施例2と同様のカプセル構造が確認され、スチレン−アクリル樹脂層には200nm〜400nmの顔料粒子が存在していた。また、ワックスとスチレンアクリル樹脂との界面に顔料粒子が多く堆積していることが観察された。
【0079】
実施例1と同様に現像剤を作製したところ、帯電量は−14.0μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて実施例1と同様の画像出しを行った。得られた画像はトナー載り量も適当であり、細線の再現性も良好であり、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)環境下でも行ったところ、いずれもカブリの発生もなく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。しかし、OHPシートに同様に画像出しを行い、OHPにて投影してみたところ、実施例2に比べ透明性に劣る灰色の投影画像となった。
【0080】
【発明の効果】
本発明においては、トナー中に顔料を微分散させ、着色力、透明性に優れたトナーを提供することができ、特に水系媒体中から生成するトナーにおいて、トナー表面に着色剤の浮きだしがなく、帯電性や環境安定性に優れたトナーを提供することが可能となる。
Claims (6)
- 前記トナーが水性媒体中で製造されることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
- 前記分散媒が重合性単量体であり、該組成物をトナー粒子径まで微分散し、該重合性単量体を光または熱により重合させる工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のトナーの製造方法。
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