JP2004272829A - 誤接続判定方法および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】物理的手段によって誤接続を防止するのではなく、誤接続を判定できるようにし、誤接続された状態を解消できるようにする。
【解決手段】第1モジュールの複数の接続部に接続された複数の第2モジュールを識別し、識別された第2モジュールが、各接続部毎に、また、複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されているモジュールであるか否かを判別し、登録されていないモジュールであるときには、その旨を表示部に表示するとともに、定常動作へ移行するのを禁止するように構成している。
【選択図】 図13
【解決手段】第1モジュールの複数の接続部に接続された複数の第2モジュールを識別し、識別された第2モジュールが、各接続部毎に、また、複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されているモジュールであるか否かを判別し、登録されていないモジュールであるときには、その旨を表示部に表示するとともに、定常動作へ移行するのを禁止するように構成している。
【選択図】 図13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の機能を有するモジュール間を、電気的に接続する際の誤接続の防止に有効な誤接続判定方法およびそれを用いた計測機器や調節機器などの各種の電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から種々の誤接続防止方法が提案されており、例えば、同じ外装を有する電気的仕様の異なるユニット間の誤挿入防止方法として、二つのユニットのコネクタのオス、メスの関係を、他の二つのユニットのオス、メスの関係と逆にすることにより、前記二つのユニットの一方のユニットに対して、前記他の二つユニットの他方のユニットが誤挿入されるのを防止したものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−307180
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来例では、オスメスの関係を逆にするだけであるから、一方のユニットに多数のコネクタが配置され、各コネクタに多数のユニットが装着されるような構成では、オスメスの関係が同一となる組み合わせが生じて対応できないことになる。
【0005】
また、本件出願人は、平成14年5月20日に特願2002−14490号として出願している「電子機器および電子機器の使用方法」において、入力用、出力用、電源用、通信用といった多種類の装着用基板を準備し、必要な基板を選択して共通のベース基板に装着して所要の機種を構成する電子機器を提案している。
【0006】
かかる電子機器では、共通のベース基板の複数のコネクタに対して、仕様や機能の異なる多種類の装着用基板を選択して装着するものであり、同一のコネクタに対して、仕様や機能の異なる装着用基板を共用する場合もある。
【0007】
すなわち、同一のコネクタに対して、複数の異なる種類の装着用基板のいずれかが選択されて装着されるものであり、異なる種類の装着用基板が同一のコネクタに装着されることが前提となる。
【0008】
したがって、従来例のように物理的手段で異なる種類の基板を装着できないようにすることができない。しかし、所要の機種を構成する場合に、その機種として誤った種類の基板が装着されたときには、その状態を回避できるようにする必要がある。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、物理的手段によって誤接続を防止するのではなく、誤接続された場合に、それを判定できるようにすることを目的とし、さらに、誤接続された場合にその状態を解消できるようにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0011】
すなわち、本発明の誤接続判定方法は、第1モジュールに対して、複数の第2モジュールを電気的に接続する際の誤接続を判定する誤接続判定方法であって、第1モジュールに接続された第2モジュールを識別する識別ステップと、識別した第2モジュールが予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する判別ステップと、
予め登録されている第2モジュールでないときに、誤接続であると判定する判定ステップとを備え、前記各ステップを、前記第1モジュールまたは該第1モジュールに接続される複数の第2モジュールのいずれかの第2モジュールが行うものである。
【0012】
ここで、モジュールとは、機器や装置を構成する部分であって、機能的にまとまった部分をいい、例えば、ユニットや基板などを含むものである。また、第2モジュールを識別するとは、第2モジュールの機能や機能に基づく種類などを識別することをいう。
【0013】
本発明によると、第1モジュールに接続された第2モジュールを識別し、予め登録されている第2モジュールでないときには、誤接続であると判定するので、正規の第2モジュールを予め登録しておくことによって、それ以外の第2モジュールが接続されたときには、誤接続と判定できることになり、判定結果に基づいて、誤接続状態を解消するための適宜の措置をとることができる。
【0014】
本発明の一実施態様においては、複数の第2モジュールがそれぞれ接続される第1モジュールの複数の接続部の各接続部毎に、第2モジュールが予め登録されており、前記判別ステップでは、前記各接続部毎に予め登録された第2モジュールであるか否かを判別するものである。
【0015】
ここで、接続部とは、第1モジュールと第2モジュールとを電気的に接続するための部分をいい、例えば、コネクタ、プラグ、ジャックなどをいう。
【0016】
本発明によると、接続された第2モジュールが、予め登録されたモジュールであるか否かを、各接続部毎に判別するので、各接続部毎に誤接続を判定できることになる。
【0017】
本発明の好ましい実施態様においては、複数の第2モジュールが、前記複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されており、
前記判別ステップでは、前記組み合わせとして予め登録されているか否かを判別するものである。
【0018】
本発明によると、接続された複数の第2モジュールが、複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されているか否かによって誤接続を判定するので、複数の接続部の全体として誤接続を判定できることになる。
【0019】
本発明の他の実施態様においては、前記判定ステップでは、前記識別ステップでモジュールを識別できないときにも、誤接続であると判定するものである。
【0020】
本発明によると、第2モジュールとは別の識別できないモジュールが接続されたり、あるいは、接続が不充分でモジュールが識別できないような場合も誤接続と判定することができる。
【0021】
すなわち、本発明の誤接続には、モジュールの挿入が不充分であって、第1,第2モジュールの接続が不完全な状態を含むものである。
【0022】
本発明の一実施態様においては、前記判定ステップで誤接続であると判定されたときに、報知する報知ステップを備えている。
【0023】
本発明によると、誤接続であるときには、それが報知されるので、誤接続であることを知ってその状態を解消することができる。
【0024】
本発明の電子機器は、複数の接続部を有する第1モジュールと、前記複数の接続部を介して前記第1モジュールに電気的にそれぞれ接続される複数の第2モジュールとを備える電子機器であって、複数の第2モジュールが予め登録されている登録部と、前記接続部に接続された第2モジュールを識別する識別部と、識別された第2モジュールが前記登録部に予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する判別部と、予め登録されている第2モジュールでないときに、第2モジュールの誤接続であると判定する判定部とを備えている。
【0025】
本発明によると、第1モジュールに接続された第2モジュールを識別し、予め登録されている第2モジュールでないときには、誤接続であると判定するので、正規の第2モジュールを予め登録しておくことによって、それ以外の第2モジュールが接続されたときには、誤接続と判定できることになり、判定結果に基づいて、誤接続状態を解消するための適宜の措置をとることができる。
【0026】
本発明の一実施態様においては、前記登録部には、前記第1モジュールの各接続部毎に、第2モジュールが予め登録されており、前記判別部は、前記各接続部毎に予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別するものである。
【0027】
本発明によると、接続された第2モジュールが、予め登録されたモジュールであるか否かを、各接続部毎に判別するので、各接続部毎に誤接続を判定できることになる。
【0028】
本発明の他の実施態様においては、前記登録部には、第2モジュールが、前記複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されており、前記判別部は、前記組み合わせとして予め登録されている第2モジュールである否かを判別するものである。
【0029】
本発明によると、接続された複数の第2モジュールが、複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されているか否かによって誤接続を判定するので、複数の接続部の全体として誤接続を判定できることになる。
【0030】
本発明の一実施態様においては、前記判定部は、前記識別部でモジュールを識別できないときにも、誤接続と判定するものである。
【0031】
本発明によると、第2モジュールとは別の識別できないモジュールが接続されたり、あるいは、接続が不充分でモジュールが識別できないような場合も誤接続と判定することができる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様においては、前記判定部で誤接続であると判定されたときに、報知する報知部を備えている。
【0033】
本発明によると、誤接続であるときには、それが報知されるので、誤接続であることを知ってその状態を解消することができる。
【0034】
本発明の他の実施態様においては、前記判定部で誤接続であると判定されたときに、当該電子機器の動作の少なくとも一部を制限する動作制限部を備えている。
【0035】
本発明によると、誤接続であるときには、当該電子機器の動作を制限するので、例えば、誤接続を報知する報知動作のみを行って誤接続の状態では、他の動作を禁止するといったことが可能となる。
【0036】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第1モジュールは、ベース基板であり、該ベース基板は、前記各接続部に接続された共用配線を有し、前記第2モジュールは、装着用基板であり、該装着用基板は、機能に応じた専用回路を有するとともに、前記接続部に接続されることによって前記専用回路が前記共用配線に接続されるものであり、前記ベース基板または前記装着用基板のいずれかに実装されるとともに、前記共用配線に接続される制御回路を備え、該制御回路は、少なくとも前記識別部、前記判別部および前記判定部を含むとともに、前記ベース基板の前記接続部に接続されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種として動作するものである。
【0037】
ここで、共用配線とは、共用される配線をいい、例えば、複数の装着用基板や複数の機種で共用される配線をいう。
【0038】
機能とは、例えば、入力、出力、電源、通信といった機能のみならず、アナログ入力、デジタル入力、さらには、リレー出力、トランジスタ出力といった出力形式や入出力点数などの機能をいうものであり、専用回路とは、かかる機能に応じた専用の回路をいい、例えば、入力回路、出力回路、電源回路などの回路をいう。
【0039】
また、機種とは、機器の種類をいい、例えば、温度調節器やデジタルパネルメータといった電子機器そのものの種類を含むのみならず、同じ種類の電子機器、例えば、温度調節器において、その上位機種や下位機種といった機能の種類、さらに、例えば、入出力点数や出力形式などの種類、その他の種類を含む。
【0040】
本発明によると、共用配線を有するベース基板の接続部に、機能に応じた専用回路を有する装着用基板を装着することによって、専用回路と共用配線とが接続され、ベース基板または装着用基板のいずれかに実装された制御回路は、前記共用配線を介して装着用基板を識別し、所要の機種として動作させるので、所要の機種に応じた機能の装着用基板を選択してベース基板に装着することによって、所要の機種を構成できることになる。したがって、同一の機能を有する機種間、例えば、同一のリレー出力機能を有する機種間においては、その機能に応じた装着用基板、例えば、リレー出力用の装着用基板を共用できることになる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0042】
(実施の形態1)
図1(a)、(b)、および(c)は、それぞれ、本発明の実施の形態に係る電子機器としての温度調節器1A、1B、および1Cの斜視図である。
【0043】
図1(a)に示される温度調節器1Aにおける前面のフロントケースの外形寸法はDIN規格に基づく96×96mmであり、図1(b)に示される温度調節器1Bにおけるフロントケース2bの外形寸法はDIN規格に基づく48×96mmであり、図1(c)に示される温度調節器1Cのフロントケース2cの外形寸法は、DIN規格に基づく48×48mmである。これら温度調節器1A〜1Cは、いずれも本発明に係る温度調節器である。以下においては、説明の便宜上、図1(a),(b),(c)それぞれの温度調節器1A,1B,1Cを、大型、中型、小型の温度調節器と称する。
【0044】
大型、中型、小型の各温度調節器1A〜1Cは、上述のフロントケース2a〜2cとリアケース3a〜3cとからなるケース4a〜4cをそれぞれ有し、各ケース4a〜4cの寸法が異なっている。
【0045】
各フロントケース2a〜2cそれぞれは、現在温度や目標温度などの温度情報を表示する、例えば矩形の液晶からなる温度情報表示部5a〜5cを有している。これら各温度情報表示部5a〜5cそれぞれの下方には、各種の機能設定などのための複数の操作キー6a〜6cがそれぞれ設けられている。
【0046】
各温度調節器1A〜1Cそれぞれは、ケース4a〜4c内に後述する複数の回路基板をそれぞれ収納して構成されるとともに、それら回路基板の共用化を図るために、基本的に同様の回路構成とされている。
【0047】
図2は、これらの各温度調節器1A〜1Cに共通の回路構成を説明するためのブロック図である。この回路構成は、各温度調節器1A〜1Cそれぞれに共通である。
【0048】
この実施の形態では、各温度調節器1A〜1Cは、第1モジュールとしてのフロントモジュール7を備えるとともに、第2モジュールとして、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を備えている。なお、出力/通信モジュール10を、出力モジュールと通信モジュールとに分けてもよい。
【0049】
フロントモジュール7は、上述のフロントケース2a〜2c側に収納されるベース基板で構成され、大型、中型、小型の各型の機種に応じた専用のサイズとなっている。フロントモジュール7は、上述の温度情報表示部5における表示を行なうために、液晶セル(LCD)11、LCDドライバ12、バックライトLED13および表示用のサブCPU14を備えるとともに、上述の操作キー6に対応するキースイッチ15および後述のデコーダ16を備えている。さらに、フロントモジュール7は、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を、バス接続するための共用配線を備えている。
【0050】
入力モジュール8は、温度調節器1A〜1Cの各機種としての動作を制御する制御回路としてのメインCPU17を有するとともに、図示しない温度センサからの入力が与えられる入力回路18を有している。入力モジュール8は、フロントモジュール7を構成するベース基板に接続部としてのコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としての温度調節器用基板で構成されている。この温度調節器用基板は、大型、中型、小型および出力形式などの仕様の異なる全ての機種の温度調節器1A〜1Cそれぞれに共用される。すなわち、入力モジュール8のメインCPU17は、大型、中型、小型の3機種としての制御を行なうことが可能であるとともに、各型の機種において、例えば、出力形式などの仕様の異なる機種としての制御を行なうことが可能である。このメインCPU17は、フロントモジュール7を構成するベース基板に装着される各モジュール9,10を構成する基板を識別し、それらに対応する機種としての制御動作を行うものである。
【0051】
また、入力モジュール8は、第1モジュールとしてのフロントモジュール7に対する第2モジュールとしての入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10の誤接続を判定するために、第1モジュールに接続されるべき第2モジュールが後述のように予め登録されるメモリからなる登録部40を有している。また、入力モジュール8のメインCPU17は、第1モジュールに接続された第2モジュールを後述のように識別する識別部と、識別された第2モジュールが前記登録部40に予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する判別部と、予め登録されている第2モジュールでないときに、第2モジュールの誤接続であると判定する判定部としての機能を有している。
【0052】
電源モジュール9は、電源回路19を備え、AC電源またはDC電源を各部に供給するものであって、前記ベース基板にコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としての複数のAC電源用基板およびDC電源用基板で構成される。これら電源用基板は、大型、中型、小型の各機種に共用できるようになっており、電圧仕様などに応じて、必要な電源用基板が選択されてフロントモジュール7を構成するベース基板に装着される。
【0053】
出力/通信モジュール10は、シリアル/パラレル変換回路20を有するとともに、出力回路21または通信回路22を有している。この出力/通信モジュール10は、リレー出力、電流出力、トランジスタオープンコレクタ出力、BCD出力などの各種出力あるいはRS−485やRS−232Cなどの通信出力を出力するものである。この出力/通信モジュール10は、それら出力にそれぞれ対応するとともに、フロントモジュール7を構成するベース基板にコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としてのリレー出力基板、電流出力基板、トランジスタオープンコレクタ出力基板、BCD出力基板あるいはRS−485通信出力基板、RS−232C通信出力基板などの複数の出力/通信基板で構成される。これら出力/通信用基板は、基本的には、大型、中型、小型の各機種に共用できるようになっており、機能や仕様に応じて、必要な出力/通信用基板が選択されてフロントモジュール7を構成するベース基板に装着される。
【0054】
この出力/通信モジュール10では、例えば、リレー出力基板、電流出力基板、トランジスタオープンコレクタ出力基板は、大型、中型、小型のいずれの機種にも共用でき、例えば、RS−485通信出力基板は、通信機能を有する機種にのみ使用される。
【0055】
フロントモジュールを構成するベース基板は、フロントケースに対応するサイズとなっており、上述のように大型、中型、小型の各型に専用となっている。このベース基板は、温度調節器用基板、電源用基板および出力/通信用基板を着脱自在に装着するための接続部としての複数のコネクタを有している。
【0056】
図3(a)(b)(c)は、フロントモジュール7を構成する大型、中型、小型の各ベース基板23a、23b、23cと、それぞれにおけるコネクタ24とを示している。
【0057】
図3(a)に示される大型の温度調節器1Aのベース基板23aは、フロントケース2aに対応した寸法を有し、上述の各モジュール8,9,10を構成する基板(以下、「モジュール基板」ともいう)を装着するための11個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大11枚のモジュール基板を装着することができる。
【0058】
図3(b)に示される中型の温度調節器1Bのベース基板23bは、モジュール基板を装着するための5個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大5枚のモジュール基板を装着することができる。
【0059】
図3(c)に示される小型の温度調節器1Cのベース基板23cは、モジュール基板を装着するための3個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大3枚のモジュール基板を装着することができる。
【0060】
図4には、大型のベース基板23aの各コネクタ24に対して、11枚のモジュール基板25を、該モジュール基板25側のコネクタ26を介して装着した状態を示している。なお、図4においては、各モジュール基板25に搭載されている電子部品等を省略して同一の参照符号「25」を付しているが、各モジュール基板25は、上述のように、各モジュール8,9,10を構成する温度調節器用基板、電源用基板および出力/通信用基板であって、機能が異なる基板で構成される。
【0061】
フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cは、上述のように、各モジュール8,9,10を接続する共用配線としてのバスを有しており、この実施の形態では、次のようなバス構成となっている。
【0062】
すなわち、図2に示されるように、フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cは、入力モジュール8のメインCPU17とフロントモジュール7の表示用サブCPU14とのデータ通信を行なうためのシリアルバス(UART)である表示サブCPU用バス27と、各モジュール8,9,10にアクセスする場合のモジュールセレクト信号を生成するためのアドレス信号用のモジュールアドレスバス28と、各モジュール8,9,10にアクセスする場合のセレクト信号用のモジュールセレクトバス29と、各モジュール8,9,10を構成するモジュール基板の機能などの種類を識別するための(TYPE)タイプバス30と、外部通信用のUARTバス31と、各モジュール8,9,10とのデータ通信用の同期シリアルバス32と、電源ライン33とを備えている。同期シリアルバス32は、複数で構成されるとともに、電源ライン33は、複数の異なる電源ラインで構成される。
【0063】
この実施の形態では、寸法の異なる大型、中型、小型のいずれの機種にも、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を構成するモジュール基板を共用するために、各モジュール基板は、最も小さい小型の温度調節器1Cに収納できる基板サイズに統一している。
【0064】
図5〜図7は、大型、中型、小型の各温度調節器1A〜1Cのケース4a〜4c内に収納されているベース基板23a〜23cおよびモジュール基板25をそれぞれ示す分解斜視図である。これらの図においては、各基板に実装されている電子部品等は、省略している。
【0065】
図5の大型の温度調節器1Aは、フロントモジュール7を構成するベース基板23aに対して、この例では、11枚のモジュール基板25を装着する例を示している。
【0066】
これらモジュール基板35は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源用基板、出力/通信モジュール10を構成する複数の出力/通信用基板で構成されている。
【0067】
また、図6の中型の温度調節器1Bは、フロントモジュール7を構成するベース基板23bに対して、この例では、5枚のモジュール基板25を装着する例を示している。
【0068】
これらモジュール基板25は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源用板、出力/通信モジュール10を構成する複数の出力/通信用基板で構成されている。
【0069】
さらに、図7の小型の温度調節器1Cは、フロントモジュール7を構成するベース基板23cに対して、3枚のモジュール基板25を装着している。
【0070】
これらモジュール基板25は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源基板、出力/通信モジュール10を構成する出力/通信用基板で構成されており、各モジュール8,9,10に対応する3枚の基板構成が基本となる。
【0071】
なお、図5,図6は、回路基板の構成の一例を示しており、大型、中型の各機種において、さらに、入出力点数や出力形式などの仕様に応じて、ベース基板23a,23bに装着される各モジュール基板25の数や種類は、適宜選択されることになる。
【0072】
次に、このようにしてベース基板23a〜23cに、入力モジュール8、電源モジュール9、出力/通信モジュール10を構成する複数のモジュール基板25が装着されて構成される温度調節器1A〜1CのメインCPU17の制御動作を、図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0073】
電源が投入されると、入力モジュール8のメインCPU17は、フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cの表示用のサブCPU14に対して、大型、中型、小型のいずれの機種であるかをシリアル通信によって問い合わせる。ベース基板23a〜23cは、上述のように各型に専用となっているので、表示用サブCPU14は、その型を回答する。この表示用サブCPU14から回答によって、メインCPU17は、いずれの型であるかを認識する(ステップn1)。
【0074】
次に、ベース基板23a〜23cの各コネクタ24に装着されているモジュール基板25の種類、すなわち、電源モジュール9および出力/通信モジュール10として装着されているモジュール基板25がどのような機能のモジュール基板25であるかを、順番に読み込んでその種類を識別する(ステップn2)。このモジュール基板25の種類の識別は、上述のモジュールセレクトバス29およびタイプバス30を用いて後述のようにして行なわれる。
【0075】
この識別に基づいて、後述の誤接続判定処理を行い(ステップn3)、誤接続されていないときには、識別結果に基づいて、メインCPU17は、大型、中型、小型のいずれの型の機種であって、出力形式や入出力点数などがどのような仕様の機種であるかを認識できることになり、その機種を確定して(ステップn4)、その機種に合った制御動作を行なう定常動作に移行する(ステップn5)。
【0076】
図9は、この定常動作のフローチャートである。
【0077】
この定常動作では、表示処理や通信処理の要求を示す表示通信フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn6)、オンしているときには、表示通信処理を実行し(ステップn7)、キーが操作されて対応する処理を行なう必要があるか否かを示すHMI(Human Machine Interface)起動フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn8)、オンしているときには、キー操作に対応したHMI処理を行う(ステップn9)。次に、制御処理を行う必要があるか否かを示す制御起動フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn10)、オンしているときには、温度制御処理を行なってステップn6に戻る(ステップn11)。
【0078】
ここで、ベース基板23a〜23cに装着されている各モジュール基板25の識別について、図10および図11に基づいて説明する。
【0079】
先ず、メインCPU17は、図10に示されるように、ベース基板23aの最大11個のコネクタ24を順番に指定するための4ビットのモジュールアドレス信号MA0〜MA3を、ベース基板23a〜23cの図2に示されるデコーダ16に出力し、デコーダ16は、そのモジュールアドレス信号をデコードして、11個のコネクタ24に対応するいずれかのモジュールを指定する反転MS信号を出力し、これを反転したMS信号によって、図11に示されるように、対応するモジュール基板25のトランジスタ37がオンする。各モジュール基板25は、トランジスタ37がオンすることによって導通する複数のダイオード38を有しており、このダイオード38の数が、モジュール基板25の種類に対応している。
【0080】
したがって、指定されたコネクタ24に装着されているモジュール基板25のダイオード38の数に対応したタイプ信号TYPE0〜TYPE6が、タイプバス30を介してメインCPU17に与えられ、これによって、メインCPU17は、指定したコネクタ24に装着されているモジュール基板25の種類を識別できることになる。
【0081】
このようにして、モジュール基板を識別して機種を確定して対応する制御動作を行うものである。
【0082】
以上のようにして寸法が異なる大型、中型、小型の温度調節器1A〜1Cにおいて、入力、電源および出力/通信の各モジュールを構成するモジュール基板を共用するので、各機種毎に個別に設計されていた従来例に比べて、設計費用の削減、組み立て性の簡易化、さらに、同一の基板の量産数量の増大などによってコストの低減を図ることができる。
【0083】
次に、この実施の形態の温度調節器1A〜1Cにおける誤接続の判定について説明する。
【0084】
上述のように第1モジュールであるフロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cのコネクタ24には、第2モジュールである入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10をそれぞれ構成する各種のモジュール(装着用)基板25が装着される。
【0085】
このように機能や仕様の異なる各種のモジュール基板25を、ベース基板23a〜23cのコネクタ24に誤接続した場合に、それを判定してその状態を解消できるようにするために、この実施の形態では、次のように構成している。
【0086】
すなわち、この実施の形態では、ベース基板23a〜23cに装着されるモジュール基板25を、上述のように予め登録部40に登録しておき、ベース基板23a〜23cに装着されたモジュール基板25を上述のようにして識別し、識別したモジュール基板25が、登録部40に予め登録されているモジュール基板25であるか否かを判別し、登録されているモジュール基板25でないときには、誤接続であると判定して報知部としての温度情報表示部5a〜5cにおいて、誤接続である旨の表示を行なって報知するとともに、定常動作への移行を禁止している。
【0087】
次に、この誤接続について、温度調節器1Aを用いて詳細に説明する。
【0088】
温度調節器1Aのベース基板23aは、上述のように11個のコネクタ24を有している。
【0089】
図15は、この温度調節器1Aのベース基板23aの11個のコネクタに対応するモジュール基板25の装着領域を模式的に示したものであり、第1〜第11のコネクタ領域241〜2411を示している。
【0090】
下記の表1は、各コネクタ領域241〜2411に装着されるモジュール基板の種別とその具体例を示すものであり、この表1に示されるようにして各コネクタ領域241〜2411に個別的に対応するモジュール基板の種別と具体例とが予め登録される。
【0091】
【表1】
この表1に示されるように、例えば、第1のコネクタ領域241には、電源モジュール基板が装着され、この電源モジュール基板としては、AC100V−240V用のモジュール基板と、AC/DC24V用のモジュール基板とがあり、それらが予め登録される。他のコネクタ領域242〜2411についても、装着できるモジュール基板が予め登録される。なお、表1において、警報は、警報出力基板を、OPTはオプションを示し、本実施例ではイベント入力基板を示している。
【0092】
各コネクタ領域241〜2411に、表1に従って予め登録されているモジュール基板以外のモジュール基板が装着されたときには、それは誤接続である。
【0093】
なお、この実施の形態では、第9のコネクタ領域249は、モジュール基板が装着されない空き領域となっている。
【0094】
また、この実施の形態では、下記の表2に示されるように、製品形式、すなわち、温度調節器の機種毎に、各コネクタ領域241〜2411に装着されるモジュール基板25の組み合わせを予め登録している。
【0095】
【表2】
この表2に示されるように、例えば、製品形式Aでは、第1のコネクタ領域241には、上述の2種類の電源モジュール基板のいずれかが装着され、第2のコネクタ領域242には、出力4点のリレー出力基板が装着され、第3〜第5のコネクタ領域243〜245には、いずれのモジュール基板も装着されず、第6のコネクタ領域246には、電圧パルス出力(Q出力)およびリニア電流出力(C出力)の出力基板が装着され、第7,第8のコネクタ領域247,248には、モジュール基板が装着されず、第9のコネクタ領域249は、上述のように空き領域であり、第10のコネクタ領域2410には、モジュール基板が装着されず、第11のコネクタ領域2411には、マルチ出力およびイベント入力2点に入出力基板が装着される。
【0096】
したがって、製品形式Aとして、第1〜第11のコネクタ領域241〜2411に対して、表2に示されるモジュール基板の組み合わせが予め登録されている。また、他の製品形式B,C,D…Kも同様に各コネクタ領域241〜2411に対応する複数のモジュール基板の組み合わせとして予め登録されている。
【0097】
メインCPU17は、上述のようにしてベース基板23aの各コネクタ領域241〜2411に装着されているモジュール基板25の種類を識別し、それに基づいて、機種(製品形式)認識してその機種に合った制御動作を行なうものである。
【0098】
この実施の形態では、モジュール基板25の誤接続を判定するために、ベース基板23aの各コネクタ領域241〜2411に装着されているモジュール基板25の種類を識別した際に、その識別したモジュール基板25は、上述の表1に示される予め登録されているモジュール基板25であるか否かを判別するとともに、表2に示される組み合わせてとして予め登録されているモジュール基板25であるか否かを判別し、予め登録されているモジュール基板25でないときには、誤接続であると判定してその旨を表示して報知するとともに、定常動作への移行を禁止するものである。
【0099】
図13は、上述の誤接続判定処理のフローチャートである。
【0100】
ベース基板23a〜23cの各コネクタに装着されているモジュール基板を上述のように識別し、表1に基づいて、各コネクタ領域毎に予め登録されたモジュール基板であるか否かを判断し(ステップn101)、予め登録されたモジュール基板でないときには、誤接続であると判定して、温度情報表示部5a〜5cに、その旨の表示「UNIT ERROR」を行い、定常動作への移行を禁止する(ステップn108)。これによって、ユーザは、誤接続であることを知ることができる。
【0101】
ステップn101において、予め登録されたモジュール基板であると判断されたときには、前回のモジュール基板の組み合わせと同じであるか否かを判断する(ステップn102)。
【0102】
ここで、前回のモジュール基板の組み合わせであるか否かを判断するのは、ユーザがモジュール基板を変更したり、追加した場合に、ユーザにその確認を促すためである。
【0103】
このステップn102において、前回のモジュール基板の組み合わせであると判断したときには、このモジュール基板の組み合わせが、上述の表2に基づいて、予め登録されたモジュール基板の組み合わせに一致したか否かを判断し(ステップn103)、一致したときには、上述の定常動作に移行する。
【0104】
ユーザがモジュール基板を変更した場合には、ステップn102において、前回のモジュール基板の組み合わせと異なることになり、ステップn105に移り、新しいモジュール基板の組み合わせを登録し、定常動作に移行することなく、温度情報表示部5a〜5cにモジュール基板が交換されたことの確認のための表示「UNIT CHAGE」を行って、確認操作としてのフロントキーの押圧操作を促し(ステップn106)、フロントキーが3秒間押し続けられればリセットし、ステップn101に戻る(ステップn107)。フロントキーが3秒間押し続けられなければ、ステップn106に留まって「UNIT CHAGE」の表示を継続してモジュールが交換されたことを報知し続ける。
【0105】
すなわち、フロントキーが3秒間押し続けられたときには、ステップn101,n102に移り、ステップn102では、ステップn105で登録されたモジュール基板の組み合わせと同じとなり、ステップn103に移る。
【0106】
ステップn103において、モジュール基板の組み合わせが、上述の表2に基づいて、予め登録されたモジュール基板の組み合わせに一致したか否かを判断し、一致しないときには、ステップn106に戻り、さらに、フロントキーが3秒間押し続けられると、ステップn101に戻り、ステップn102,n103,n107のループを繰り返して誤接続であることを報知する。
【0107】
このように、第1モジュールとしてのベース基板に接続された第2モジュールとしての装着用基板(モジュール基板)が、予め登録されているモジュール基板でないときには、誤接続であると判定してその旨を報知するとともに、定常動作への移行を禁止するので、誤接続による誤動作をさせることなく、誤接続を知ったユーザがその状態を解消させることができる。
【0108】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、制御回路としてのメインCPUは、入力モジュールに設けたけれども、本発明の他の実施の形態として、メインCPUを、フロントモジュールやその他のモジュールに設けてもよい。
【0109】
上述の実施の形態では、温度調節器に適用して説明したけれども、本発明は、温度調節器に限らず、デジタルパネルメータ、カウンタ、タイマ、表示器などの他の電子機器に適用することもできる。
【0110】
上述の実施の形態では、ベース基板は、ケースのフロント面に沿って設けたけれども、フロント面に限らず、他の配置構成としてもよい。
【0111】
なお、モジュール基板の識別は、上述の実施の形態に限らず、例えば、各モジュール基板に充電時間の異なるコンデンサを設けその充電時間の差に基づいて識別してもよいし、あるいは、各モジュール基板にマイコンを設けてデータを読み出して識別してもよい。
【0112】
本発明の他の実施の形態として、従来の物理的手段による誤接続防止手段を併用してもよい。
【0113】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、第1モジュールに接続された第2モジュールを識別し、予め登録されている第2モジュールでないときには、誤接続であると判定するので、正規の第2モジュールを予め登録しておくことによって、それ以外の第2モジュールが接続されたときには、誤接続と判定できることになり、判定結果に基づいて、誤接続状態を解消するための適宜の措置、例えば、報知したり、動作を禁止するといったことが可能となる。
【0114】
また、本発明によれば、所要の機種に応じた機能の装着用基板を選択してベース基板に装着することによって、所要の機種を構成できることになり、したがって、同一の機能を有する機種間においては、その機能に応じた装着用基板を共用できることになり、このように基板を、複数の機種で共用することにより、設計、製造および管理におけるコストの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器の斜視図である。
【図2】図1の温度調節器の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1の温度調節器のベース基板のコネクタ配置を示す図である。
【図4】ベース基板にモジュール基板を装着した状態を示す斜視図である。
【図5】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図6】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図7】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図8】温度調節器の動作説明に供するフローチャートである。
【図9】温度調節器の動作説明に供するフローチャートである。
【図10】モジュール基板の識別のためのモジュールセレクト信号の生成を示す図である。
【図11】モジュール基板の識別のためのタイプ信号の生成を示す図である。
【図12】ベース基板の装着領域を模式的に示す図である。
【図13】誤接続判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1A〜1C 温度調節器
7 フロントモジュール
8 入力モジュール
9 電源モジュール
10 出力/通信モジュール
17 メインCPU
23a〜23c,46 ベース基板
25 モジュール基板
40 登録部
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の機能を有するモジュール間を、電気的に接続する際の誤接続の防止に有効な誤接続判定方法およびそれを用いた計測機器や調節機器などの各種の電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から種々の誤接続防止方法が提案されており、例えば、同じ外装を有する電気的仕様の異なるユニット間の誤挿入防止方法として、二つのユニットのコネクタのオス、メスの関係を、他の二つのユニットのオス、メスの関係と逆にすることにより、前記二つのユニットの一方のユニットに対して、前記他の二つユニットの他方のユニットが誤挿入されるのを防止したものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−307180
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来例では、オスメスの関係を逆にするだけであるから、一方のユニットに多数のコネクタが配置され、各コネクタに多数のユニットが装着されるような構成では、オスメスの関係が同一となる組み合わせが生じて対応できないことになる。
【0005】
また、本件出願人は、平成14年5月20日に特願2002−14490号として出願している「電子機器および電子機器の使用方法」において、入力用、出力用、電源用、通信用といった多種類の装着用基板を準備し、必要な基板を選択して共通のベース基板に装着して所要の機種を構成する電子機器を提案している。
【0006】
かかる電子機器では、共通のベース基板の複数のコネクタに対して、仕様や機能の異なる多種類の装着用基板を選択して装着するものであり、同一のコネクタに対して、仕様や機能の異なる装着用基板を共用する場合もある。
【0007】
すなわち、同一のコネクタに対して、複数の異なる種類の装着用基板のいずれかが選択されて装着されるものであり、異なる種類の装着用基板が同一のコネクタに装着されることが前提となる。
【0008】
したがって、従来例のように物理的手段で異なる種類の基板を装着できないようにすることができない。しかし、所要の機種を構成する場合に、その機種として誤った種類の基板が装着されたときには、その状態を回避できるようにする必要がある。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、物理的手段によって誤接続を防止するのではなく、誤接続された場合に、それを判定できるようにすることを目的とし、さらに、誤接続された場合にその状態を解消できるようにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0011】
すなわち、本発明の誤接続判定方法は、第1モジュールに対して、複数の第2モジュールを電気的に接続する際の誤接続を判定する誤接続判定方法であって、第1モジュールに接続された第2モジュールを識別する識別ステップと、識別した第2モジュールが予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する判別ステップと、
予め登録されている第2モジュールでないときに、誤接続であると判定する判定ステップとを備え、前記各ステップを、前記第1モジュールまたは該第1モジュールに接続される複数の第2モジュールのいずれかの第2モジュールが行うものである。
【0012】
ここで、モジュールとは、機器や装置を構成する部分であって、機能的にまとまった部分をいい、例えば、ユニットや基板などを含むものである。また、第2モジュールを識別するとは、第2モジュールの機能や機能に基づく種類などを識別することをいう。
【0013】
本発明によると、第1モジュールに接続された第2モジュールを識別し、予め登録されている第2モジュールでないときには、誤接続であると判定するので、正規の第2モジュールを予め登録しておくことによって、それ以外の第2モジュールが接続されたときには、誤接続と判定できることになり、判定結果に基づいて、誤接続状態を解消するための適宜の措置をとることができる。
【0014】
本発明の一実施態様においては、複数の第2モジュールがそれぞれ接続される第1モジュールの複数の接続部の各接続部毎に、第2モジュールが予め登録されており、前記判別ステップでは、前記各接続部毎に予め登録された第2モジュールであるか否かを判別するものである。
【0015】
ここで、接続部とは、第1モジュールと第2モジュールとを電気的に接続するための部分をいい、例えば、コネクタ、プラグ、ジャックなどをいう。
【0016】
本発明によると、接続された第2モジュールが、予め登録されたモジュールであるか否かを、各接続部毎に判別するので、各接続部毎に誤接続を判定できることになる。
【0017】
本発明の好ましい実施態様においては、複数の第2モジュールが、前記複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されており、
前記判別ステップでは、前記組み合わせとして予め登録されているか否かを判別するものである。
【0018】
本発明によると、接続された複数の第2モジュールが、複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されているか否かによって誤接続を判定するので、複数の接続部の全体として誤接続を判定できることになる。
【0019】
本発明の他の実施態様においては、前記判定ステップでは、前記識別ステップでモジュールを識別できないときにも、誤接続であると判定するものである。
【0020】
本発明によると、第2モジュールとは別の識別できないモジュールが接続されたり、あるいは、接続が不充分でモジュールが識別できないような場合も誤接続と判定することができる。
【0021】
すなわち、本発明の誤接続には、モジュールの挿入が不充分であって、第1,第2モジュールの接続が不完全な状態を含むものである。
【0022】
本発明の一実施態様においては、前記判定ステップで誤接続であると判定されたときに、報知する報知ステップを備えている。
【0023】
本発明によると、誤接続であるときには、それが報知されるので、誤接続であることを知ってその状態を解消することができる。
【0024】
本発明の電子機器は、複数の接続部を有する第1モジュールと、前記複数の接続部を介して前記第1モジュールに電気的にそれぞれ接続される複数の第2モジュールとを備える電子機器であって、複数の第2モジュールが予め登録されている登録部と、前記接続部に接続された第2モジュールを識別する識別部と、識別された第2モジュールが前記登録部に予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する判別部と、予め登録されている第2モジュールでないときに、第2モジュールの誤接続であると判定する判定部とを備えている。
【0025】
本発明によると、第1モジュールに接続された第2モジュールを識別し、予め登録されている第2モジュールでないときには、誤接続であると判定するので、正規の第2モジュールを予め登録しておくことによって、それ以外の第2モジュールが接続されたときには、誤接続と判定できることになり、判定結果に基づいて、誤接続状態を解消するための適宜の措置をとることができる。
【0026】
本発明の一実施態様においては、前記登録部には、前記第1モジュールの各接続部毎に、第2モジュールが予め登録されており、前記判別部は、前記各接続部毎に予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別するものである。
【0027】
本発明によると、接続された第2モジュールが、予め登録されたモジュールであるか否かを、各接続部毎に判別するので、各接続部毎に誤接続を判定できることになる。
【0028】
本発明の他の実施態様においては、前記登録部には、第2モジュールが、前記複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されており、前記判別部は、前記組み合わせとして予め登録されている第2モジュールである否かを判別するものである。
【0029】
本発明によると、接続された複数の第2モジュールが、複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されているか否かによって誤接続を判定するので、複数の接続部の全体として誤接続を判定できることになる。
【0030】
本発明の一実施態様においては、前記判定部は、前記識別部でモジュールを識別できないときにも、誤接続と判定するものである。
【0031】
本発明によると、第2モジュールとは別の識別できないモジュールが接続されたり、あるいは、接続が不充分でモジュールが識別できないような場合も誤接続と判定することができる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様においては、前記判定部で誤接続であると判定されたときに、報知する報知部を備えている。
【0033】
本発明によると、誤接続であるときには、それが報知されるので、誤接続であることを知ってその状態を解消することができる。
【0034】
本発明の他の実施態様においては、前記判定部で誤接続であると判定されたときに、当該電子機器の動作の少なくとも一部を制限する動作制限部を備えている。
【0035】
本発明によると、誤接続であるときには、当該電子機器の動作を制限するので、例えば、誤接続を報知する報知動作のみを行って誤接続の状態では、他の動作を禁止するといったことが可能となる。
【0036】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第1モジュールは、ベース基板であり、該ベース基板は、前記各接続部に接続された共用配線を有し、前記第2モジュールは、装着用基板であり、該装着用基板は、機能に応じた専用回路を有するとともに、前記接続部に接続されることによって前記専用回路が前記共用配線に接続されるものであり、前記ベース基板または前記装着用基板のいずれかに実装されるとともに、前記共用配線に接続される制御回路を備え、該制御回路は、少なくとも前記識別部、前記判別部および前記判定部を含むとともに、前記ベース基板の前記接続部に接続されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種として動作するものである。
【0037】
ここで、共用配線とは、共用される配線をいい、例えば、複数の装着用基板や複数の機種で共用される配線をいう。
【0038】
機能とは、例えば、入力、出力、電源、通信といった機能のみならず、アナログ入力、デジタル入力、さらには、リレー出力、トランジスタ出力といった出力形式や入出力点数などの機能をいうものであり、専用回路とは、かかる機能に応じた専用の回路をいい、例えば、入力回路、出力回路、電源回路などの回路をいう。
【0039】
また、機種とは、機器の種類をいい、例えば、温度調節器やデジタルパネルメータといった電子機器そのものの種類を含むのみならず、同じ種類の電子機器、例えば、温度調節器において、その上位機種や下位機種といった機能の種類、さらに、例えば、入出力点数や出力形式などの種類、その他の種類を含む。
【0040】
本発明によると、共用配線を有するベース基板の接続部に、機能に応じた専用回路を有する装着用基板を装着することによって、専用回路と共用配線とが接続され、ベース基板または装着用基板のいずれかに実装された制御回路は、前記共用配線を介して装着用基板を識別し、所要の機種として動作させるので、所要の機種に応じた機能の装着用基板を選択してベース基板に装着することによって、所要の機種を構成できることになる。したがって、同一の機能を有する機種間、例えば、同一のリレー出力機能を有する機種間においては、その機能に応じた装着用基板、例えば、リレー出力用の装着用基板を共用できることになる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0042】
(実施の形態1)
図1(a)、(b)、および(c)は、それぞれ、本発明の実施の形態に係る電子機器としての温度調節器1A、1B、および1Cの斜視図である。
【0043】
図1(a)に示される温度調節器1Aにおける前面のフロントケースの外形寸法はDIN規格に基づく96×96mmであり、図1(b)に示される温度調節器1Bにおけるフロントケース2bの外形寸法はDIN規格に基づく48×96mmであり、図1(c)に示される温度調節器1Cのフロントケース2cの外形寸法は、DIN規格に基づく48×48mmである。これら温度調節器1A〜1Cは、いずれも本発明に係る温度調節器である。以下においては、説明の便宜上、図1(a),(b),(c)それぞれの温度調節器1A,1B,1Cを、大型、中型、小型の温度調節器と称する。
【0044】
大型、中型、小型の各温度調節器1A〜1Cは、上述のフロントケース2a〜2cとリアケース3a〜3cとからなるケース4a〜4cをそれぞれ有し、各ケース4a〜4cの寸法が異なっている。
【0045】
各フロントケース2a〜2cそれぞれは、現在温度や目標温度などの温度情報を表示する、例えば矩形の液晶からなる温度情報表示部5a〜5cを有している。これら各温度情報表示部5a〜5cそれぞれの下方には、各種の機能設定などのための複数の操作キー6a〜6cがそれぞれ設けられている。
【0046】
各温度調節器1A〜1Cそれぞれは、ケース4a〜4c内に後述する複数の回路基板をそれぞれ収納して構成されるとともに、それら回路基板の共用化を図るために、基本的に同様の回路構成とされている。
【0047】
図2は、これらの各温度調節器1A〜1Cに共通の回路構成を説明するためのブロック図である。この回路構成は、各温度調節器1A〜1Cそれぞれに共通である。
【0048】
この実施の形態では、各温度調節器1A〜1Cは、第1モジュールとしてのフロントモジュール7を備えるとともに、第2モジュールとして、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を備えている。なお、出力/通信モジュール10を、出力モジュールと通信モジュールとに分けてもよい。
【0049】
フロントモジュール7は、上述のフロントケース2a〜2c側に収納されるベース基板で構成され、大型、中型、小型の各型の機種に応じた専用のサイズとなっている。フロントモジュール7は、上述の温度情報表示部5における表示を行なうために、液晶セル(LCD)11、LCDドライバ12、バックライトLED13および表示用のサブCPU14を備えるとともに、上述の操作キー6に対応するキースイッチ15および後述のデコーダ16を備えている。さらに、フロントモジュール7は、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を、バス接続するための共用配線を備えている。
【0050】
入力モジュール8は、温度調節器1A〜1Cの各機種としての動作を制御する制御回路としてのメインCPU17を有するとともに、図示しない温度センサからの入力が与えられる入力回路18を有している。入力モジュール8は、フロントモジュール7を構成するベース基板に接続部としてのコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としての温度調節器用基板で構成されている。この温度調節器用基板は、大型、中型、小型および出力形式などの仕様の異なる全ての機種の温度調節器1A〜1Cそれぞれに共用される。すなわち、入力モジュール8のメインCPU17は、大型、中型、小型の3機種としての制御を行なうことが可能であるとともに、各型の機種において、例えば、出力形式などの仕様の異なる機種としての制御を行なうことが可能である。このメインCPU17は、フロントモジュール7を構成するベース基板に装着される各モジュール9,10を構成する基板を識別し、それらに対応する機種としての制御動作を行うものである。
【0051】
また、入力モジュール8は、第1モジュールとしてのフロントモジュール7に対する第2モジュールとしての入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10の誤接続を判定するために、第1モジュールに接続されるべき第2モジュールが後述のように予め登録されるメモリからなる登録部40を有している。また、入力モジュール8のメインCPU17は、第1モジュールに接続された第2モジュールを後述のように識別する識別部と、識別された第2モジュールが前記登録部40に予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する判別部と、予め登録されている第2モジュールでないときに、第2モジュールの誤接続であると判定する判定部としての機能を有している。
【0052】
電源モジュール9は、電源回路19を備え、AC電源またはDC電源を各部に供給するものであって、前記ベース基板にコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としての複数のAC電源用基板およびDC電源用基板で構成される。これら電源用基板は、大型、中型、小型の各機種に共用できるようになっており、電圧仕様などに応じて、必要な電源用基板が選択されてフロントモジュール7を構成するベース基板に装着される。
【0053】
出力/通信モジュール10は、シリアル/パラレル変換回路20を有するとともに、出力回路21または通信回路22を有している。この出力/通信モジュール10は、リレー出力、電流出力、トランジスタオープンコレクタ出力、BCD出力などの各種出力あるいはRS−485やRS−232Cなどの通信出力を出力するものである。この出力/通信モジュール10は、それら出力にそれぞれ対応するとともに、フロントモジュール7を構成するベース基板にコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としてのリレー出力基板、電流出力基板、トランジスタオープンコレクタ出力基板、BCD出力基板あるいはRS−485通信出力基板、RS−232C通信出力基板などの複数の出力/通信基板で構成される。これら出力/通信用基板は、基本的には、大型、中型、小型の各機種に共用できるようになっており、機能や仕様に応じて、必要な出力/通信用基板が選択されてフロントモジュール7を構成するベース基板に装着される。
【0054】
この出力/通信モジュール10では、例えば、リレー出力基板、電流出力基板、トランジスタオープンコレクタ出力基板は、大型、中型、小型のいずれの機種にも共用でき、例えば、RS−485通信出力基板は、通信機能を有する機種にのみ使用される。
【0055】
フロントモジュールを構成するベース基板は、フロントケースに対応するサイズとなっており、上述のように大型、中型、小型の各型に専用となっている。このベース基板は、温度調節器用基板、電源用基板および出力/通信用基板を着脱自在に装着するための接続部としての複数のコネクタを有している。
【0056】
図3(a)(b)(c)は、フロントモジュール7を構成する大型、中型、小型の各ベース基板23a、23b、23cと、それぞれにおけるコネクタ24とを示している。
【0057】
図3(a)に示される大型の温度調節器1Aのベース基板23aは、フロントケース2aに対応した寸法を有し、上述の各モジュール8,9,10を構成する基板(以下、「モジュール基板」ともいう)を装着するための11個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大11枚のモジュール基板を装着することができる。
【0058】
図3(b)に示される中型の温度調節器1Bのベース基板23bは、モジュール基板を装着するための5個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大5枚のモジュール基板を装着することができる。
【0059】
図3(c)に示される小型の温度調節器1Cのベース基板23cは、モジュール基板を装着するための3個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大3枚のモジュール基板を装着することができる。
【0060】
図4には、大型のベース基板23aの各コネクタ24に対して、11枚のモジュール基板25を、該モジュール基板25側のコネクタ26を介して装着した状態を示している。なお、図4においては、各モジュール基板25に搭載されている電子部品等を省略して同一の参照符号「25」を付しているが、各モジュール基板25は、上述のように、各モジュール8,9,10を構成する温度調節器用基板、電源用基板および出力/通信用基板であって、機能が異なる基板で構成される。
【0061】
フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cは、上述のように、各モジュール8,9,10を接続する共用配線としてのバスを有しており、この実施の形態では、次のようなバス構成となっている。
【0062】
すなわち、図2に示されるように、フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cは、入力モジュール8のメインCPU17とフロントモジュール7の表示用サブCPU14とのデータ通信を行なうためのシリアルバス(UART)である表示サブCPU用バス27と、各モジュール8,9,10にアクセスする場合のモジュールセレクト信号を生成するためのアドレス信号用のモジュールアドレスバス28と、各モジュール8,9,10にアクセスする場合のセレクト信号用のモジュールセレクトバス29と、各モジュール8,9,10を構成するモジュール基板の機能などの種類を識別するための(TYPE)タイプバス30と、外部通信用のUARTバス31と、各モジュール8,9,10とのデータ通信用の同期シリアルバス32と、電源ライン33とを備えている。同期シリアルバス32は、複数で構成されるとともに、電源ライン33は、複数の異なる電源ラインで構成される。
【0063】
この実施の形態では、寸法の異なる大型、中型、小型のいずれの機種にも、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を構成するモジュール基板を共用するために、各モジュール基板は、最も小さい小型の温度調節器1Cに収納できる基板サイズに統一している。
【0064】
図5〜図7は、大型、中型、小型の各温度調節器1A〜1Cのケース4a〜4c内に収納されているベース基板23a〜23cおよびモジュール基板25をそれぞれ示す分解斜視図である。これらの図においては、各基板に実装されている電子部品等は、省略している。
【0065】
図5の大型の温度調節器1Aは、フロントモジュール7を構成するベース基板23aに対して、この例では、11枚のモジュール基板25を装着する例を示している。
【0066】
これらモジュール基板35は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源用基板、出力/通信モジュール10を構成する複数の出力/通信用基板で構成されている。
【0067】
また、図6の中型の温度調節器1Bは、フロントモジュール7を構成するベース基板23bに対して、この例では、5枚のモジュール基板25を装着する例を示している。
【0068】
これらモジュール基板25は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源用板、出力/通信モジュール10を構成する複数の出力/通信用基板で構成されている。
【0069】
さらに、図7の小型の温度調節器1Cは、フロントモジュール7を構成するベース基板23cに対して、3枚のモジュール基板25を装着している。
【0070】
これらモジュール基板25は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源基板、出力/通信モジュール10を構成する出力/通信用基板で構成されており、各モジュール8,9,10に対応する3枚の基板構成が基本となる。
【0071】
なお、図5,図6は、回路基板の構成の一例を示しており、大型、中型の各機種において、さらに、入出力点数や出力形式などの仕様に応じて、ベース基板23a,23bに装着される各モジュール基板25の数や種類は、適宜選択されることになる。
【0072】
次に、このようにしてベース基板23a〜23cに、入力モジュール8、電源モジュール9、出力/通信モジュール10を構成する複数のモジュール基板25が装着されて構成される温度調節器1A〜1CのメインCPU17の制御動作を、図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0073】
電源が投入されると、入力モジュール8のメインCPU17は、フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cの表示用のサブCPU14に対して、大型、中型、小型のいずれの機種であるかをシリアル通信によって問い合わせる。ベース基板23a〜23cは、上述のように各型に専用となっているので、表示用サブCPU14は、その型を回答する。この表示用サブCPU14から回答によって、メインCPU17は、いずれの型であるかを認識する(ステップn1)。
【0074】
次に、ベース基板23a〜23cの各コネクタ24に装着されているモジュール基板25の種類、すなわち、電源モジュール9および出力/通信モジュール10として装着されているモジュール基板25がどのような機能のモジュール基板25であるかを、順番に読み込んでその種類を識別する(ステップn2)。このモジュール基板25の種類の識別は、上述のモジュールセレクトバス29およびタイプバス30を用いて後述のようにして行なわれる。
【0075】
この識別に基づいて、後述の誤接続判定処理を行い(ステップn3)、誤接続されていないときには、識別結果に基づいて、メインCPU17は、大型、中型、小型のいずれの型の機種であって、出力形式や入出力点数などがどのような仕様の機種であるかを認識できることになり、その機種を確定して(ステップn4)、その機種に合った制御動作を行なう定常動作に移行する(ステップn5)。
【0076】
図9は、この定常動作のフローチャートである。
【0077】
この定常動作では、表示処理や通信処理の要求を示す表示通信フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn6)、オンしているときには、表示通信処理を実行し(ステップn7)、キーが操作されて対応する処理を行なう必要があるか否かを示すHMI(Human Machine Interface)起動フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn8)、オンしているときには、キー操作に対応したHMI処理を行う(ステップn9)。次に、制御処理を行う必要があるか否かを示す制御起動フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn10)、オンしているときには、温度制御処理を行なってステップn6に戻る(ステップn11)。
【0078】
ここで、ベース基板23a〜23cに装着されている各モジュール基板25の識別について、図10および図11に基づいて説明する。
【0079】
先ず、メインCPU17は、図10に示されるように、ベース基板23aの最大11個のコネクタ24を順番に指定するための4ビットのモジュールアドレス信号MA0〜MA3を、ベース基板23a〜23cの図2に示されるデコーダ16に出力し、デコーダ16は、そのモジュールアドレス信号をデコードして、11個のコネクタ24に対応するいずれかのモジュールを指定する反転MS信号を出力し、これを反転したMS信号によって、図11に示されるように、対応するモジュール基板25のトランジスタ37がオンする。各モジュール基板25は、トランジスタ37がオンすることによって導通する複数のダイオード38を有しており、このダイオード38の数が、モジュール基板25の種類に対応している。
【0080】
したがって、指定されたコネクタ24に装着されているモジュール基板25のダイオード38の数に対応したタイプ信号TYPE0〜TYPE6が、タイプバス30を介してメインCPU17に与えられ、これによって、メインCPU17は、指定したコネクタ24に装着されているモジュール基板25の種類を識別できることになる。
【0081】
このようにして、モジュール基板を識別して機種を確定して対応する制御動作を行うものである。
【0082】
以上のようにして寸法が異なる大型、中型、小型の温度調節器1A〜1Cにおいて、入力、電源および出力/通信の各モジュールを構成するモジュール基板を共用するので、各機種毎に個別に設計されていた従来例に比べて、設計費用の削減、組み立て性の簡易化、さらに、同一の基板の量産数量の増大などによってコストの低減を図ることができる。
【0083】
次に、この実施の形態の温度調節器1A〜1Cにおける誤接続の判定について説明する。
【0084】
上述のように第1モジュールであるフロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cのコネクタ24には、第2モジュールである入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10をそれぞれ構成する各種のモジュール(装着用)基板25が装着される。
【0085】
このように機能や仕様の異なる各種のモジュール基板25を、ベース基板23a〜23cのコネクタ24に誤接続した場合に、それを判定してその状態を解消できるようにするために、この実施の形態では、次のように構成している。
【0086】
すなわち、この実施の形態では、ベース基板23a〜23cに装着されるモジュール基板25を、上述のように予め登録部40に登録しておき、ベース基板23a〜23cに装着されたモジュール基板25を上述のようにして識別し、識別したモジュール基板25が、登録部40に予め登録されているモジュール基板25であるか否かを判別し、登録されているモジュール基板25でないときには、誤接続であると判定して報知部としての温度情報表示部5a〜5cにおいて、誤接続である旨の表示を行なって報知するとともに、定常動作への移行を禁止している。
【0087】
次に、この誤接続について、温度調節器1Aを用いて詳細に説明する。
【0088】
温度調節器1Aのベース基板23aは、上述のように11個のコネクタ24を有している。
【0089】
図15は、この温度調節器1Aのベース基板23aの11個のコネクタに対応するモジュール基板25の装着領域を模式的に示したものであり、第1〜第11のコネクタ領域241〜2411を示している。
【0090】
下記の表1は、各コネクタ領域241〜2411に装着されるモジュール基板の種別とその具体例を示すものであり、この表1に示されるようにして各コネクタ領域241〜2411に個別的に対応するモジュール基板の種別と具体例とが予め登録される。
【0091】
【表1】
この表1に示されるように、例えば、第1のコネクタ領域241には、電源モジュール基板が装着され、この電源モジュール基板としては、AC100V−240V用のモジュール基板と、AC/DC24V用のモジュール基板とがあり、それらが予め登録される。他のコネクタ領域242〜2411についても、装着できるモジュール基板が予め登録される。なお、表1において、警報は、警報出力基板を、OPTはオプションを示し、本実施例ではイベント入力基板を示している。
【0092】
各コネクタ領域241〜2411に、表1に従って予め登録されているモジュール基板以外のモジュール基板が装着されたときには、それは誤接続である。
【0093】
なお、この実施の形態では、第9のコネクタ領域249は、モジュール基板が装着されない空き領域となっている。
【0094】
また、この実施の形態では、下記の表2に示されるように、製品形式、すなわち、温度調節器の機種毎に、各コネクタ領域241〜2411に装着されるモジュール基板25の組み合わせを予め登録している。
【0095】
【表2】
この表2に示されるように、例えば、製品形式Aでは、第1のコネクタ領域241には、上述の2種類の電源モジュール基板のいずれかが装着され、第2のコネクタ領域242には、出力4点のリレー出力基板が装着され、第3〜第5のコネクタ領域243〜245には、いずれのモジュール基板も装着されず、第6のコネクタ領域246には、電圧パルス出力(Q出力)およびリニア電流出力(C出力)の出力基板が装着され、第7,第8のコネクタ領域247,248には、モジュール基板が装着されず、第9のコネクタ領域249は、上述のように空き領域であり、第10のコネクタ領域2410には、モジュール基板が装着されず、第11のコネクタ領域2411には、マルチ出力およびイベント入力2点に入出力基板が装着される。
【0096】
したがって、製品形式Aとして、第1〜第11のコネクタ領域241〜2411に対して、表2に示されるモジュール基板の組み合わせが予め登録されている。また、他の製品形式B,C,D…Kも同様に各コネクタ領域241〜2411に対応する複数のモジュール基板の組み合わせとして予め登録されている。
【0097】
メインCPU17は、上述のようにしてベース基板23aの各コネクタ領域241〜2411に装着されているモジュール基板25の種類を識別し、それに基づいて、機種(製品形式)認識してその機種に合った制御動作を行なうものである。
【0098】
この実施の形態では、モジュール基板25の誤接続を判定するために、ベース基板23aの各コネクタ領域241〜2411に装着されているモジュール基板25の種類を識別した際に、その識別したモジュール基板25は、上述の表1に示される予め登録されているモジュール基板25であるか否かを判別するとともに、表2に示される組み合わせてとして予め登録されているモジュール基板25であるか否かを判別し、予め登録されているモジュール基板25でないときには、誤接続であると判定してその旨を表示して報知するとともに、定常動作への移行を禁止するものである。
【0099】
図13は、上述の誤接続判定処理のフローチャートである。
【0100】
ベース基板23a〜23cの各コネクタに装着されているモジュール基板を上述のように識別し、表1に基づいて、各コネクタ領域毎に予め登録されたモジュール基板であるか否かを判断し(ステップn101)、予め登録されたモジュール基板でないときには、誤接続であると判定して、温度情報表示部5a〜5cに、その旨の表示「UNIT ERROR」を行い、定常動作への移行を禁止する(ステップn108)。これによって、ユーザは、誤接続であることを知ることができる。
【0101】
ステップn101において、予め登録されたモジュール基板であると判断されたときには、前回のモジュール基板の組み合わせと同じであるか否かを判断する(ステップn102)。
【0102】
ここで、前回のモジュール基板の組み合わせであるか否かを判断するのは、ユーザがモジュール基板を変更したり、追加した場合に、ユーザにその確認を促すためである。
【0103】
このステップn102において、前回のモジュール基板の組み合わせであると判断したときには、このモジュール基板の組み合わせが、上述の表2に基づいて、予め登録されたモジュール基板の組み合わせに一致したか否かを判断し(ステップn103)、一致したときには、上述の定常動作に移行する。
【0104】
ユーザがモジュール基板を変更した場合には、ステップn102において、前回のモジュール基板の組み合わせと異なることになり、ステップn105に移り、新しいモジュール基板の組み合わせを登録し、定常動作に移行することなく、温度情報表示部5a〜5cにモジュール基板が交換されたことの確認のための表示「UNIT CHAGE」を行って、確認操作としてのフロントキーの押圧操作を促し(ステップn106)、フロントキーが3秒間押し続けられればリセットし、ステップn101に戻る(ステップn107)。フロントキーが3秒間押し続けられなければ、ステップn106に留まって「UNIT CHAGE」の表示を継続してモジュールが交換されたことを報知し続ける。
【0105】
すなわち、フロントキーが3秒間押し続けられたときには、ステップn101,n102に移り、ステップn102では、ステップn105で登録されたモジュール基板の組み合わせと同じとなり、ステップn103に移る。
【0106】
ステップn103において、モジュール基板の組み合わせが、上述の表2に基づいて、予め登録されたモジュール基板の組み合わせに一致したか否かを判断し、一致しないときには、ステップn106に戻り、さらに、フロントキーが3秒間押し続けられると、ステップn101に戻り、ステップn102,n103,n107のループを繰り返して誤接続であることを報知する。
【0107】
このように、第1モジュールとしてのベース基板に接続された第2モジュールとしての装着用基板(モジュール基板)が、予め登録されているモジュール基板でないときには、誤接続であると判定してその旨を報知するとともに、定常動作への移行を禁止するので、誤接続による誤動作をさせることなく、誤接続を知ったユーザがその状態を解消させることができる。
【0108】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、制御回路としてのメインCPUは、入力モジュールに設けたけれども、本発明の他の実施の形態として、メインCPUを、フロントモジュールやその他のモジュールに設けてもよい。
【0109】
上述の実施の形態では、温度調節器に適用して説明したけれども、本発明は、温度調節器に限らず、デジタルパネルメータ、カウンタ、タイマ、表示器などの他の電子機器に適用することもできる。
【0110】
上述の実施の形態では、ベース基板は、ケースのフロント面に沿って設けたけれども、フロント面に限らず、他の配置構成としてもよい。
【0111】
なお、モジュール基板の識別は、上述の実施の形態に限らず、例えば、各モジュール基板に充電時間の異なるコンデンサを設けその充電時間の差に基づいて識別してもよいし、あるいは、各モジュール基板にマイコンを設けてデータを読み出して識別してもよい。
【0112】
本発明の他の実施の形態として、従来の物理的手段による誤接続防止手段を併用してもよい。
【0113】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、第1モジュールに接続された第2モジュールを識別し、予め登録されている第2モジュールでないときには、誤接続であると判定するので、正規の第2モジュールを予め登録しておくことによって、それ以外の第2モジュールが接続されたときには、誤接続と判定できることになり、判定結果に基づいて、誤接続状態を解消するための適宜の措置、例えば、報知したり、動作を禁止するといったことが可能となる。
【0114】
また、本発明によれば、所要の機種に応じた機能の装着用基板を選択してベース基板に装着することによって、所要の機種を構成できることになり、したがって、同一の機能を有する機種間においては、その機能に応じた装着用基板を共用できることになり、このように基板を、複数の機種で共用することにより、設計、製造および管理におけるコストの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器の斜視図である。
【図2】図1の温度調節器の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1の温度調節器のベース基板のコネクタ配置を示す図である。
【図4】ベース基板にモジュール基板を装着した状態を示す斜視図である。
【図5】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図6】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図7】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図8】温度調節器の動作説明に供するフローチャートである。
【図9】温度調節器の動作説明に供するフローチャートである。
【図10】モジュール基板の識別のためのモジュールセレクト信号の生成を示す図である。
【図11】モジュール基板の識別のためのタイプ信号の生成を示す図である。
【図12】ベース基板の装着領域を模式的に示す図である。
【図13】誤接続判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1A〜1C 温度調節器
7 フロントモジュール
8 入力モジュール
9 電源モジュール
10 出力/通信モジュール
17 メインCPU
23a〜23c,46 ベース基板
25 モジュール基板
40 登録部
Claims (12)
- 第1モジュールに対して、複数の第2モジュールを電気的に接続する際の誤接続を判定する誤接続判定方法であって、
第1モジュールに接続された第2モジュールを識別する識別ステップと、
識別した第2モジュールが予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する判別ステップと、
予め登録されている第2モジュールでないときに、誤接続であると判定する判定ステップとを備え、
前記各ステップを、前記第1モジュールまたは該第1モジュールに接続される複数の第2モジュールのいずれかの第2モジュールが行うことを特徴とする誤接続判定方法。 - 複数の第2モジュールがそれぞれ接続される第1モジュールの複数の接続部の各接続部毎に、第2モジュールが予め登録されており、
前記判別ステップでは、前記各接続部毎に予め登録された第2モジュールであるか否かを判別する請求項1記載の誤接続判定方法。 - 複数の第2モジュールが、前記複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されており、
前記判別ステップでは、前記組み合わせとして予め登録されているか否かを判別する請求項2記載の誤接続判定方法。 - 前記判定ステップでは、前記識別ステップでモジュールを識別できないときにも、誤接続であると判定する請求項1〜3のいずれかに記載の誤接続判定方法。
- 前記判定ステップで誤接続であると判定されたときに、報知する報知ステップを備える請求項1〜4のいずれかに記載の誤接続判定方法。
- 複数の接続部を有する第1モジュールと、前記複数の接続部を介して前記第1モジュールに電気的にそれぞれ接続される複数の第2モジュールとを備える電子機器であって、
複数の第2モジュールが予め登録されている登録部と、
前記接続部に接続された第2モジュールを識別する識別部と、
識別された第2モジュールが前記登録部に予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する判別部と、
予め登録されている第2モジュールでないときに、第2モジュールの誤接続であると判定する判定部と、
を備えることを特徴とする電子機器。 - 前記登録部には、前記第1モジュールの各接続部毎に、第2モジュールが予め登録されており、
前記判別部は、前記各接続部毎に予め登録されている第2モジュールであるか否かを判別する請求項5記載の電子機器。 - 前記登録部には、第2モジュールが、前記複数の接続部に対応する組み合わせとして予め登録されており、
前記判別部は、前記組み合わせとして予め登録されている第2モジュールである否かを判別する請求項6記載の電子機器。 - 前記判定部は、前記識別部でモジュールを識別できないときにも、誤接続と判定する請求項6〜8のいずれかに記載の電子機器。
- 前記判定部で誤接続であると判定されたときに、報知する報知部を備える請求項6〜9のいずれかに記載の電子機器。
- 前記判定部で誤接続であると判定されたときに、当該電子機器の動作の少なくとも一部を制限する動作制限部を備える請求項6〜10のいずれかに記載の電子機器。
- 前記第1モジュールは、ベース基板であり、該ベース基板は、前記各接続部に接続された共用配線を有し、前記第2モジュールは、装着用基板であり、該装着用基板は、機能に応じた専用回路を有するとともに、前記接続部に接続されることによって前記専用回路が前記共用配線に接続されるものであり、前記ベース基板または前記装着用基板のいずれかに実装されるとともに、前記共用配線に接続される制御回路を備え、該制御回路は、少なくとも前記識別部、前記判別部および前記判定部を含むとともに、前記ベース基板の前記接続部に接続されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種として動作するように制御する請求項6〜11のいずれかに記載の電子機器。
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