JP3584932B2 - 電子機器 - Google Patents

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    • G05B19/02Programme-control systems electric
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の基板が搭載される電子機器に関し、更に詳しくは、温度制御を行なう温度調節器や各種の入力を計測するデジタルパネルメータなどの電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の基板が搭載される電子機器、例えば、温度調節器においては、簡易な温度制御を行なう下位機種から高精度の温度制御を行なう上位機種まで複数の機種がある。さらに、各機種においても、リレー出力、トランジスタ出力といった出力形式や入出力点数といった仕様の異なる複数の機種が存在する。
【0003】
温度調節器は、各機種毎に、その機能や仕様などに応じて、個別に設計されており、それに搭載される回路基板の種類や数も異なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように温度調節器の機種に応じて、それに装備される回路基板の種類や数が異なると、上述した複数の機種に対応するためには、多種類の回路基板を、設計、製造、あるいは管理(以下、製造等という)をしなければならない。このような多種類の回路基板を製造等することは温度調節器のコストを高くつかせる。
【0005】
本発明は、機種を問わず複数の電子機器間でそれらに搭載される回路基板を共用可能にすることを共通の解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子機器は、複数の基板が搭載される電子機器であって、複数のコネクタを有するとともに、前記コネクタに接続された共用配線を有するベース基板と、機能に応じた専用回路を有するとともに、前記コネクタ着脱自在に装着されることによって前記専用回路が前記共用配線に接続される複数の装着用基板と、前記ベース基板および前記装着用基板が収納されるケースと、前記ベース基板または前記装着用基板のいずれかに実装されるとともに、前記共用配線に接続される制御回路とを含み、前記制御回路は、前記ベース基板の前記コネクタに装着されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種として動作を行なうように制御するものであり、前記ベース基板は、前記ケースのフロント面に沿って該ケースに収納されるとともに、操作部および表示部を有し、前記装着用基板は、異なる機種に共用可能である。
【0007】
ここで、コネクタは、ベース基板と装着される装着用基板とを接続するものであり、ベース基板の共用配線と装着される装着用基板の専用回路とを接続するものである。
【0008】
また、共用配線とは、共用される配線をいい、例えば、複数の装着用基板や複数の機種で共用される配線をいう。
【0009】
機能とは、例えば、入力、出力、電源、通信といった機能のみならず、アナログ入力、デジタル入力、さらには、リレー出力、トランジスタ出力といった出力形式や入出力点数などの機能をいうものであり、専用回路とは、かかる機能に応じた専用の回路をいい、例えば、入力回路、出力回路、電源回路などの回路をいう。
【0010】
また、機種とは、機器の種類をいい、例えば、温度調節器やデジタルパネルメータといった電子機器そのものの種類を含むのみならず、同じ種類の電子機器、例えば、温度調節器において、その上位機種や下位機種といった機能の種類、さらに、例えば、入出力点数や出力形式などの種類、その他の種類を含む。
【0011】
本発明によると、共用配線を有するベース基板のコネクタに、機能に応じた専用回路を有する装着用基板を装着することによって、専用回路と共用配線とが接続され、ベース基板または装着用基板のいずれかに実装された制御回路は、前記共用配線を介して装着用基板を識別し、所要の機種として動作させるので、所要の機種に応じた機能の装着用基板を選択してベース基板に装着することによって、所要の機種を構成できることになる。したがって、同一の機能を有する機種間、例えば、同一のリレー出力機能を有する機種間においては、その機能に応じた装着用基板、例えば、リレー出力用の装着用基板を共用できることになる。
【0012】
また、操作部および表示部が設けられるケースのフロント面に沿って配置されるベース基板に対して、所望の機種を構成するのに必要な装着用基板を装着すればよく、複数機種において、装着用基板を共用することが可能となる。なお、操作部は、ケースのフロント面から操作されるキースイッチなどで構成され、表示部は、ケースのフロント面から臨む液晶セルなどで構成される。
【0013】
本発明の一実施態様においては、前記複数の機種は、前記ケースの寸法が異なる機種を含み、前記装着用基板は、前記ケースの最小寸法の機種に対応するサイズである。
【0014】
この実施態様によると、装着用基板のサイズを、ケースの寸法の異なる複数の機種の内の最小寸法の機種に対応するサイズにしているので、装着用基板を、最小寸法の機種のみ ならず、それよりも大きな寸法の機種に装着することが可能となり、これによって、装着用基板を共用できる機種の数を増やすことができる。
【0015】
本発明の好ましい実施態様においては、前記制御回路は、前記ベース基板の前記コネクタに装着されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種としての温度制御動作を行なうように制御するものである。
【0016】
この実施態様によると、共用配線を有するベース基板のコネクタに、機能に応じた専用回路を有する装着用基板を装着することによって、専用回路と共用配線とが接続され、ベース基板または装着用基板のいずれかに実装された制御回路は、前記共用配線を介して装着用基板を識別し、所要の機種として温度制御動作させるので、所要の機種に応じた機能の装着用基板を選択してベース基板に装着することによって、所要の機種の温度調節器を構成できることになる。したがって、同一の機能を有する機種間、例えば、同一のリレー出力機能を有する機種間においては、その機能に応じた装着用基板、例えば、リレー出力用の装着用基板を共用できることになり、複数機種の温度調節器において、装着用基板を共用することが可能となる。
【0017】
本発明の他の実施態様においては、前記制御回路は、前記ベース基板の前記コネクタに装着されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種としての計測処理動作を行なうように制御するものである。
【0018】
この実施態様によると、共用配線を有するベース基板のコネクタに、機能に応じた専用回路を有する装着用基板を装着することによって、専用回路と共用配線とが接続され、ベース基板または装着用基板のいずれかに実装された制御回路は、前記共用配線を介して装着用基板を識別し、所要の機種として計測処理動作させるので、所要の機種に応じた機能の装着用基板を選択してベース基板に装着することによって、所要の機種の計測機器を構成できることになる。したがって、同一の機能を有する機種間、例えば、同一のリレー出力機能を有する機種間においては、その機能に応じた装着用基板、例えば、リレー出力用の装着用基板を共用できることになり、複数機種の計測機器において、装着用基板を共用することが可能となる。
【0019】
本発明の他の実施態様においては、複数の前記装着用基板は、前記温度制御動作を行なう機種および前記計測処理動作を行なう機種に共用される装着用基板を含み、前記温度制御動作を行なうように制御する前記制御回路および前記計測処理動作を行なうように制御する前記制御回路が、それぞれ個別の装着用基板に実装されるものである。
【0020】
この実施態様によると、ベース基板に対して、温度調節器用の制御回路が実装された装着用基板または計測機器用の制御回路が実装された装着用基板を装着することにより、温度調節器または計測機器として動作させることができ、その他の装着用基板も、温度調節器および計測機器の間で共用することができ、共用できる装着用基板の数を、一層増やすことができる。
【0021】
なお、本発明においては、通信用や増設用の他の専用回路を有する装着用基板をベース基板に装着できるようにしてもよく、あるいは、入力回路や電源回路等の専用回路をベース基板に設けることによって、対応する装着用基板を省略するようにしてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1(a)、(b)、および(c)は、それぞれ、本発明の実施の形態に係る電子機器としての温度調節器1A、1B、および1Cの斜視図である。
【0024】
図1(a)に示される温度調節器1Aにおける前面のフロントケースの外形寸法はDIN規格に基づく96×96mmであり、図1(b)に示される温度調節器1Bにおけるフロントケース2bの外形寸法はDIN規格に基づく48×96mmであり、図1(c)に示される温度調節器1Cのフロントケース2cの外形寸法は、DIN規格に基づく48×48mmである。これら温度調節器1A〜1Cは、いずれも本発明に係る温度調節器である。以下においては、説明の便宜上、図1(a),(b),(c)それぞれの温度調節器1A,1B,1Cを、大型、中型、小型の温度調節器と称する。
【0025】
大型、中型、小型の各温度調節器1A〜1Cは、上述のフロントケース2a〜2cとリアケース3a〜3cとからなるケース4a〜4cをそれぞれ有し、各ケース4a〜4cの寸法が異なっている。
【0026】
各フロントケース2a〜2cそれぞれは、現在温度や目標温度などの温度情報を表示する、例えば矩形の液晶からなる温度情報表示部5a〜5cを有している。これら各温度情報表示部5a〜5cそれぞれの下方には、各種の機能設定などのための複数の操作キー6a〜6cがそれぞれ設けられている。
【0027】
各温度調節器1A〜1Cそれぞれは、ケース4a〜4c内に後述する複数の回路基板をそれぞれ収納して構成されるとともに、それら回路基板の共用化を図るために、基本的に同様の回路構成とされている。
【0028】
図2は、これらの各温度調節器1A〜1Cに共通の回路構成を説明するためのブロック図である。この回路構成は、各温度調節器1A〜1Cそれぞれに共通である。
【0029】
この実施の形態では、各温度調節器1A〜1Cは、フロントモジュール7、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を備えている。なお、出力/通信モジュール10を、出力モジュールと通信モジュールとに分けてもよい。
【0030】
フロントモジュール7は、上述のフロントケース2a〜2c側に収納されるベース基板で構成され、大型、中型、小型の各型の機種に応じた専用のサイズとなっている。フロントモジュール7は、上述の温度情報表示部5における表示を行なうために、表示部としての液晶セル(LCD)11、LCDドライバ12、バックライトLED13および表示用のサブCPU14を備えるとともに、上述の操作キー6に対応する操作部としてのキースイッチ15および後述のデコーダ16を備えている。さらに、フロントモジュール7は、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を、バス接続するための共用配線を備えている。
【0031】
入力モジュール8は、温度調節器1A〜1Cの各機種としての動作を制御する制御回路としてのメインCPU17を有するとともに、図示しない温度センサからの入力が与えられる入力回路18を有している。入力モジュール8は、フロントモジュール7を構成するベース基板にコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としての温度調節器用基板で構成されている。この温度調節器用基板は、大型、中型、小型および出力形式などの仕様の異なる全ての機種の温度調節器1A〜1Cそれぞれに共用される。すなわち、入力モジュール8のメインCPU17は、大型、中型、小型の3機種としての制御を行なうことが可能であるとともに、各型の機種において、例えば、出力形式などの仕様の異なる機種としての制御を行なうことが可能である。このメインCPU17は、フロントモジュール7を構成するベース基板に装着される各モジュール9,10を構成する基板を識別し、それらに対応する機種としての制御動作を行うものである。
【0032】
電源モジュール9は、電源回路19を備え、AC電源またはDC電源を各部に供給するものであって、前記ベース基板にコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としての複数のAC電源用基板およびDC電源用基板で構成される。これら電源用基板は、大型、中型、小型の各機種に共用できるようになっており、電圧仕様などに応じて、必要な電源用基板が選択されてフロントモジュール7を構成するベース基板に装着される。
【0033】
出力/通信モジュール10は、シリアル/パラレル変換回路20を有するとともに、出力回路21または通信回路22を有している。この出力/通信モジュール10は、リレー出力、電流出力、トランジスタオープンコレクタ出力、BCD出力などの各種出力あるいはRS−485やRS−232Cなどの通信出力を出力するものである。この出力/通信モジュール10は、それら出力にそれぞれ対応するとともに、フロントモジュール7を構成するベース基板にコネクタを介して着脱自在に装着される装着用基板としてのリレー出力基板、電流出力基板、トランジスタオープンコレクタ出力基板、BCD出力基板あるいはRS−485通信出力基板、RS−232C通信出力基板などの複数の出力/通信基板で構成される。これら出力/通信用基板は、基本的には、大型、中型、小型の各機種に共用できるようになっており、機能や仕様に応じて、必要な出力/通信用基板が選択されてフロントモジュール7を構成するベース基板に装着される。
【0034】
この出力/通信モジュール10では、例えば、リレー出力基板、電流出力基板、トランジスタオープンコレクタ出力基板は、大型、中型、小型のいずれの機種にも共用でき、例えば、RS−485通信出力基板は、通信機能を有する機種にのみ使用される。
【0035】
フロントモジュールを構成するベース基板は、フロントケースに対応するサイズとなっており、上述のように大型、中型、小型の各型に専用となっている。このベース基板は、温度調節器用基板、電源用基板および出力/通信用基板を着脱自在に装着するための接続部としての複数のコネクタを有している。
【0036】
図3(a)(b)(c)は、フロントモジュール7を構成する大型、中型、小型の各ベース基板23a、23b、23cと、それぞれにおけるコネクタ24とを示している。
【0037】
図3(a)に示される大型の温度調節器1Aのベース基板23aは、フロントケース2aに対応した寸法を有し、上述の各モジュール8,9,10を構成する基板(以下、「モジュール基板」という)を装着するための11個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大11枚のモジュール基板を装着することができる。
【0038】
図3(b)に示される中型の温度調節器1Bのベース基板23bは、モジュール基板を装着するための5個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大5枚のモジュール基板を装着することができる。
【0039】
図3(c)に示される小型の温度調節器1Cのベース基板23cは、モジュール基板を装着するための3個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大3枚のモジュール基板を装着することができる。
【0040】
図4には、大型のベース基板23aの各コネクタ24に対して、11枚のモジュール基板25を、該モジュール基板25側のコネクタ26を介して装着した状態を示している。なお、図4においては、各モジュール基板25に搭載されている電子部品等を省略して同一の参照符号「25」を付しているが、各モジュール基板25は、上述のように、各モジュール8,9,10を構成する温度調節器用基板、電源用基板および出力/通信用基板であって、機能が異なる基板で構成される。
【0041】
フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cは、上述のように、各モジュール8,9,10を接続する共用配線としてのバスを有しており、この実施の形態では、次のようなバス構成となっている。
【0042】
すなわち、図2に示されるように、フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cは、入力モジュール8のメインCPU17とフロントモジュール7の表示用サブCPU14とのデータ通信を行なうためのシリアルバス(UART)である表示サブCPU用バス27と、各モジュール8,9,10にアクセスする場合のモジュールセレクト信号を生成するためのアドレス信号用のモジュールアドレスバス28と、各モジュール8,9,10にアクセスする場合のセレクト信号用のモジュールセレクトバス29と、各モジュール8,9,10を構成するモジュール基板の機能などの種類を識別するための(TYPE)タイプバス30と、外部通信用のUARTバス31と、各モジュール8,9,10とのデータ通信用の同期シリアルバス32と、電源ライン33とを備えている。同期シリアルバス32は、複数で構成されるとともに、電源ライン33は、複数の異なる電源ラインで構成される。
【0043】
この実施の形態では、寸法の異なる大型、中型、小型のいずれの機種にも、入力モジュール8、電源モジュール9、および出力/通信モジュール10を構成するモジュール基板を共用するために、各モジュール基板は、最も小さい小型の温度調節器1Cに収納できる基板サイズに統一している。
【0044】
図5〜図7は、大型、中型、小型の各温度調節器1A〜1Cのケース4a〜4c内に収納されているベース基板23a〜23cおよびモジュール基板25をそれぞれ示す分解斜視図である。これらの図においては、各基板に実装されている電子部品等は、省略している。
【0045】
図5の大型の温度調節器1Aは、フロントモジュール7を構成するベース基板23aに対して、この例では、11枚のモジュール基板25を装着する例を示している。
【0046】
これらモジュール基板35は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源用基板、出力/通信モジュール10を構成する複数の出力/通信用基板で構成されている。
【0047】
また、図6の中型の温度調節器1Bは、フロントモジュール7を構成するベース基板23bに対して、この例では、5枚のモジュール基板25を装着する例を示している。
【0048】
これらモジュール基板25は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源用板、出力/通信モジュール10を構成する複数の出力/通信用基板で構成されている。
【0049】
さらに、図7の小型の温度調節器1Cは、フロントモジュール7を構成するベース基板23cに対して、3枚のモジュール基板25を装着している。
【0050】
これらモジュール基板25は、入力モジュール8を構成する温度調節器用基板、電源モジュール9を構成する電源基板、出力/通信モジュール10を構成する出力/通信用基板で構成されており、各モジュール8,9,10に対応する3枚の基板構成が基本となる。
【0051】
なお、図5,図6は、回路基板の構成の一例を示しており、大型、中型の各機種において、さらに、入出力点数や出力形式などの仕様に応じて、ベース基板23a,23bに装着される各モジュール基板25の数や種類は、適宜選択されることになる。
【0052】
この実施の形態では、各ベース基板23a〜23cの各コネクタ24は、各モジュール8,9,10毎に割当てられており、例えば、入力モジュール8のモジュール基板25を、電源モジュール9のモジュール基板に割当てられているコネクタ24に、装着できないように、次のように構成している。
【0053】
すなわち、この実施の形態のモジュール基板25は、上述のように、最小寸法の小型の温度調節器1Cに収納できるサイズに統一される一方、図8に示されるように、ベース基板23a〜23cのコネクタ24に嵌合するコネクタ26が装備された側の端辺の形状を、異ならせた3種類備えている。
【0054】
図8(a)に示される第1のモジュール基板25−1は、コネクタ26側の端辺が、略直線状に形成され、図8(b)に示される第2のモジュール基板25−2は、コネクタ26側の端辺が、その略半分に亘って切欠かれた切欠部34を有して形成され、図8(c)に示される第3のモジュール基板25−3は、第2のモジュール基板25−2の切欠部34よりも幅の狭い切欠部35を有して構成されている。さらに、第1および第3のモジュール基板25−1,25−3には、端辺の幅方向(図の上下方向)の同一の位置にコネクタ26が実装されるのに対して、第2のモジュール基板には、異なる位置にコネクタ26が実装されている。
【0055】
また、ベース基板23a〜23cのコネクタ24近傍に実装される電子部品も所要の配置とされている。
【0056】
これによって、例えば、図9(a)に示されるように、ベース基板23a〜23cのコネクタ24に対して、割当てられていない第1のモジュール基板25−1を装着しようとしても、ベース基板23a〜23cのコネクタ24の近傍に実装されている電子部品36が、モジュール基板25−1の端辺に当接し、コネクタ24,26の嵌合を阻止する。図9(b)に示されるように、ベース基板23a〜23cのコネクタ24に対して、割当てられている第3のモジュール基板25−3を装着しようとすると、該モジュール基板25−3の切欠部35によって、ベース基板23a〜23cのコネクタ24の近傍に実装されている電子部品36との当接が回避され、これによって、コネクタ24,26が嵌合して装着されることになる。
【0057】
このようにして、ベース基板23a〜23cのコネクタ24の近傍の電子部品の配置、モジュール基板25の端辺形状および該モジュール基板25におけるコネクタ26の配置の組み合わせによって、ベース基板23a〜23cのコネクタ24に、予め割当てられているモジュール基板25は装着できるけれども、割当てられていないモジュール基板25は装着できないようにして誤装着を防止している。なお、ベース基板23a〜23cのコネクタ24およびモジュール基板25のコネクタ26として、ピン数などが異なる複数のタイプのコネクタを使用して、ベース基板23a〜23cに対するモジュール基板25の割当てをより細かくして誤装着を防止するようにしてもよい。
【0058】
次に、このようにしてベース基板23a〜23cに、入力モジュール8、電源モジュール9、出力/通信モジュール10を構成する複数のモジュール基板25が装着されて構成される温度調節器1A〜1CのメインCPU17の制御動作を、図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
電源が投入されると、入力モジュール8のメインCPU17は、フロントモジュール7を構成するベース基板23a〜23cの表示用のサブCPU14に対して、大型、中型、小型のいずれの機種であるかをシリアル通信によって問い合わせる。ベース基板23a〜23cは、上述のように各型に専用となっているので、表示用サブCPU14は、その型を回答する。この表示用サブCPU14から回答によって、メインCPU17は、いずれの型であるかを認識する(ステップn1)。
【0060】
次に、ベース基板23a〜23cの各コネクタ24に装着されているモジュール基板25の種類、すなわち、電源モジュール9および出力/通信モジュール10として装着されているモジュール基板25がどのような機能のモジュール基板25であるかを、順番に読み込んでその種類を識別する(ステップn2)。このモジュール基板25の種類の識別は、上述のモジュールセレクトバス29およびタイプパス30を用いて後述のようにして行なわれる。
【0061】
これによって、メインCPU17は、大型、中型、小型のいずれの型の機種であって、出力形式や入出力点数などがどのような仕様の機種であるかを認識できることになり、その機種を確定して(ステップn3)、その機種に合った制御動作を行なう定常動作に移行する(ステップn4)。
【0062】
図11は、この定常動作のフローチャートである。
【0063】
この定常動作では、表示処理や通信処理の要求を示す表示通信フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn5)、オンしているときには、表示通信処理を実行し(ステップn6)、キーが操作されて対応する処理を行なう必要があるか否かを示すHMI(Human Machine Interface)起動フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn7)、オンしているときには、キー操作に対応したHMI処理を行う(ステップn8)。次に、制御処理を行う必要があるか否かを示す制御起動フラグがオンしているか否かを判断し(ステップn9)、オンしているときには、温度制御処理を行なってステップn5に戻る(ステップn10)。
【0064】
ここで、ベース基板23a〜23cに装着されている各モジュール基板25の識別について、図12および図13に基づいて説明する。
【0065】
先ず、メインCPU17は、図12に示されるように、ベース基板23aの最大11個のコネクタ24を順番に指定するための4ビットのモジュールアドレス信号MA0〜MA3を、ベース基板23a〜23cの図2に示されるデコーダ16に出力し、デコーダ16は、そのモジュールアドレス信号をデコードして、11個のコネクタ24に対応するいずれかのモジュールを指定する反転MS信号を出力し、これを反転したMS信号によって、図13に示されるように、対応するモジュール基板25のトランジスタ37がオンする。各モジュール基板25は、トランジスタ37がオンすることによって導通する複数のダイオード38を有しており、このダイオード38の数が、モジュール基板25の種類に対応している。
【0066】
したがって、指定されたコネクタ24に装着されているモジュール基板25のダイオード38の数に対応したタイプ信号TYPE0〜TYPE6が、タイプバス30を介してメインCPU17に与えられ、これによって、メインCPU17は、指定したコネクタ24に装着されているモジュール基板25の種類を識別できることになる。
【0067】
このようにして、モジュール基板を識別して機種を確定して対応する制御動作を行うものである。
【0068】
以上のようにして寸法が異なる大型、中型、小型の温度調節器1A〜1Cにおいて、入力、電源および出力/通信の各モジュールを構成するモジュール基板を共用するので、各機種毎に個別に設計されていた従来例に比べて、設計費用の削減、組み立て性の簡易化、さらに、同一の基板の量産数量の増大などによってコストの低減を図ることができる。
【0069】
(実施の形態2)
図14は、本発明の他の実施の形態の電子機器としてのデジタルパネルメータの分解斜視図である。
【0070】
このデジタルパネルメータ40は、計測値などを表示する表示部41および複数の操作キー42を有するフロントケース43と、リアケース44とからなるケース45を備えている。このケース45内に、ベース基板46と、この例では、3枚のモジュール基板25とを収納して構成されており、各モジュール基板25には、端子台47が装備され、これら端子台47を覆うように端子カバー48が取り付けられる。
【0071】
ベース基板46は、デジタルパネルメータ40に専用のサイズとなっており、図15に示されるように、モジュール基板25を装着するための5個のコネクタ24を有し、斜線で示される領域に、最大5枚のモジュール基板25を装着することができる。
【0072】
このベース基板46は、上述の温度調節器1A〜1Cのベース基板23a〜23cと同様に、図2のフロントモジュール7を構成するものであり、表示用サブCPU14や同期シリアルバス32等の共用配線を有している。
【0073】
また、この実施の形態では、デジタルパネルメータ40の表示用のソフトウェアを、上述の温度調節器1A〜1Cの表示用のソフトウェアと共通としており、入力モジュール8のメインCPUが、温度調節器であるかデジタルパネルメータであるかといった機種を上述のようにして識別し、その機種に必要なHMIのみを表示するようにしている。これによって、温度調節器とデジタルパネルメータとで個別に表示用のソフトウェアを作成する必要がなく、コストを低減することができる。また、メインCPUが、温度調節器であるかデジタルパネルメータであるかといった機種を識別し、その機種に必要な項目(パラメータ)のみを表示して不必要な項目の表示を行なわないので、複数の機種に表示用のソフトウェアを共用しても表示される設定項目数が増大することなく、設定操作が容易になるとともに、設定ミスを防止することができる。
【0074】
このベース基板46に装着されるモジュール基板25は、図2の入力モジュール8と、電源モジュール9と、出力/通信モジュール10とを構成するものであり、電源モジュール9および出力/通信モジュール10は、上述の温度調節器1A〜1Cのモジュール基板と同じものを共用できるように構成されている。
【0075】
入力モジュール8は、デジタルパネルメータの各機種としての動作を制御するメインCPUを有するとともに、図示しない各種センサからの入力が与えられる入力回路を有しており、ベース基板46にコネクタを介して着脱自在に装着される計測処理用基板で構成される。この計測処理用基板は、温度制御処理を行なう上述の温度調節器用基板と異なり、デジタルパネルメータとしての計測処理を行うものである。
【0076】
なお、図14においては、ベース基板46に3枚のモジュール基板25を装着した例を示しているが、入出力点数や出力形式などの仕様に応じて、ベース基板に装着される各モジュール基板25の数や種類は、適宜選択されることになる。
【0077】
図16は、このデジタルパネルメータ40の定常動作のフローチャートである。
【0078】
この定常動作では、上述の図11の温度調節器の温度制御処理に代えて計測処理が行なわれる以外は、温度調節器の場合と基本的に同様であるが、このデジタルパネルメータ40は、従来のデジタルパネルメータと同様に、計測値などの表示を行なうとともに、予め設定されている比較値との比較結果に基づいて、警報出力を与える。
【0079】
この実施の形態によれば、温度調節器1A〜1Cのみならず、デジタルパネルメータ40においても、電源および出力/通信のモジュール基板を共用することが可能となり、これによって、設計、製造、管理において、コストの一層の低減を図ることが可能となる。
【0080】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、制御回路としてのメインCPUは、入力モジュールに設けたけれども、本発明の他の実施の形態として、メインCPUを、フロントモジュールやその他のモジュールに設けてもよい。
【0081】
本発明の他の実施の形態として、オプションとしての機能を備える増設モジュール基板などを装着できようにしてもよい。
【0082】
上述の実施の形態では、入力モジュール8、電源モジュール9および出力/通信モジュール10を構成するモジュール基板を、フロントモジュール7を構成するベース基板に装着したけれども、本発明の他の実施の形態として、前記いずれかのモジュール8,9,10の機能を、ベース基板7に組み込んで対応する装着用基板を省略してもよい。また、本発明においては、異なる機種の共用されない装着用基板を含んでもよいし、さらに、他の基板を含んでいてもよい。
【0083】
上述の実施の形態では、温度調節器およびデジタルパネルメータに適用して説明したけれども、本発明は、カウンタ、タイマ、表示器などの他の電子機器に適用することもできる。
【0084】
上述の実施の形態では、ベース基板は、ケースのフロント面に沿って設けたけれども、フロント面に限らす、他の配置構成としてもよい。
【0085】
上述の実施の形態では、ベース基板に設けた接続部に、装着用基板を装着したけれども、本発明の他の実施の形態として、接続部をベース基板とは別に、例えば、接続用の基板に設け、この接続用基板を介してベース基板の共用配線と装着用基板の配線とを接続するようにしてもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、所要の機種に応じた機能の装着用基板を選択してベース基板に装着することによって、所要の機種を構成できることになり、したがって、同一の機能を有する機種間においては、その機能に応じた装着用基板を共用できることになり、このように基板を、複数の機種で共用することにより、設計、製造および管理におけるコストの低減を図ることが可能となる。
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る温度調節器の斜視図である。
【図2】図1の温度調節器の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1の温度調節器のベース基板のコネクタ配置を示す図である。
【図4】ベース基板にモジュール基板を装着した状態を示す斜視図である。
【図5】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図6】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図7】温度調節器の回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図8】モジュール基板を示す図である。
【図9】モジュール基板の誤装着防止を説明するための図である。
【図10】温度調節器の動作説明に供するフローチャートである。
【図11】温度調節器の動作説明に供するフローチャートである。
【図12】モジュール基板の識別のためのモジュールセレクト信号の生成を示す図である。
【図13】モジュール基板の識別のためのタイプ信号の生成を示す図である。
【図14】デジタルパネルメータの回路基板構成を示す分解斜視図である。
【図15】図1のデジタルパネルメータのベース基板のコネクタ配置を示す図である。
【図16】動作説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
1A〜1C 温度調節器
7 フロントモジュール
8 入力モジュール
9 電源モジュール
10 出力/通信モジュール
17 メインCPU
23a〜23c,46 ベース基板
25 モジュール基板

Claims (5)

  1. 複数の基板が搭載される電子機器であって、
    複数のコネクタを有するとともに、前記コネクタに接続された共用配線を有するベース基板と、
    機能に応じた専用回路を有するとともに、前記コネクタ着脱自在に装着されることによって前記専用回路が前記共用配線に接続される複数の装着用基板と、
    前記ベース基板および前記装着用基板が収納されるケースと、
    前記ベース基板または前記装着用基板のいずれかに実装されるとともに、前記共用配線に接続される制御回路とを含み、
    前記制御回路は、前記ベース基板の前記コネクタに装着されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種として動作を行なうように制御するものであり、
    前記ベース基板は、前記ケースのフロント面に沿って該ケースに収納されるとともに、操作部および表示部を有し、
    前記装着用基板は、異なる機種に共用可能であることを特徴とする電子機器。
  2. 前記複数の機種は、前記ケースの寸法が異なる機種を含み、前記装着用基板は、前記ケースの最小寸法の機種に対応するサイズである請求項1記載の電子機器。
  3. 前記制御回路は、前記ベース基板の前記コネクタに装着されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種としての温度制御動作を行なうように制御する請求項1または2記載の電子機器。
  4. 前記制御回路は、前記ベース基板の前記コネクタに装着されている装着用基板を識別して複数の機種の内の所要の機種としての計測処理動作を行なうように制御する請求項1または2記載の電子機器。
  5. 複数の前記装着用基板は、前記温度制御動作を行なう機種および前記計測処理動作を行なう機種に共用される装着用基板を含み、前記温度制御動作を行なうように制御する前記制御回路および前記計測処理動作を行なうように制御する前記制御回路が、それぞれ個別の装着用基板に実装される請求項3または4記載の電子機器。
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