JP2004269817A - 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化後の物性に優れると共にタックフリータイムが短縮された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【解決手段】(A) シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを縮合させることにより得られた両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサン、(B) 比表面積が50m2/g以上のシリカ粉、(C) 特定のオルガノシランまたはその部分加水分解物、(D) チタンキレート触媒を含有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法であって、(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるようにし、次いで(C) 成分及び(D) 成分を添加する。
【選択図】 なし
【解決手段】(A) シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを縮合させることにより得られた両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサン、(B) 比表面積が50m2/g以上のシリカ粉、(C) 特定のオルガノシランまたはその部分加水分解物、(D) チタンキレート触媒を含有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法であって、(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるようにし、次いで(C) 成分及び(D) 成分を添加する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室温で硬化してシリコーンエラストマーとなる組成物の製造方法に関し、詳しくは、硬化後の物性に優れると共にタックフリータイムが短縮された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
室温で硬化し、ゴム状弾性体を生成するポリオルガノシロキサン組成物の中で、空気中の水分と接触することにより硬化反応が生起するタイプのものは、使用直前に本体(ベースポリマー)や架橋剤、或いは触媒を秤量したり、これらを混合したりする煩雑さが無く、配合上のミスを生じることがない上、接着性に優れているので、電気・電子工業などにおける弾性接着剤やコーティング材として、また建築用シーリング材等として広く用いられている。このような組成物は、一般に、分子末端が水酸基で閉塞されたシラノール基末端ポリジオルガノシロキサンに、分子中に2個を越える加水分解性基を有する架橋剤等を配合したものであり、架橋剤の種類に応じて、硬化の際に酢酸等のカルボン酸、有機アミン、アミド、有機ヒドロキシルアミン、オキシム化合物、アルコール、アセトンなどを放出する。
【0003】
このうち、脱アルコール型のものは、架橋剤であるアルコキシシランが安価に入手できるばかりでなく、放出物質がメタノール、エタノールのようなアルコールなので揮散しやすく、臭気の問題がないという利点、金属腐食の問題がないという利点があるため、電気・電子機器のコーティング材等として広く利用されている。
【0004】
しかし、脱アルコール型のものは、硬化が遅いことおよび保存中に系中に存在する微量の水により架橋剤が加水分解して発生するアルコールがベースポリマーを切断するために保存安定性が悪いという難点があり、その克服が要望されていた。この問題を解決するため、特許文献1では、両末端がトリアルコキシシリル基で封鎖されたポリオルガノシロキサンをベースポリマーとして使用し、これに充填剤として表面処理されたシリカ、架橋剤であるアルコキシシラン及びチタンキレート触媒を選択組み合わせることにより、保存安定性、硬化速度(表面皮膜形成速度)向上を図っている。
【0005】
しかしながら、本発明者の追試によると、上記特許文献1の技術によれば、ある程度、保存安定性、硬化速度に優れた組成物は得られるものの、硬化の際のタックフリータイムにおいて未だ満足できるレベルでないことが判明した。即ち、チタンキレート触媒は、またテトラブチルチタネート等の一般的なチタン系触媒に比べれば硬化性は良いものの、錫系触媒に比べると活性が弱いため硬化性に劣るものであった。
【0006】
【特許文献1】
特公平5−88866号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解決し、硬化後の物性に優れると共にタックフリータイムが短縮された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、保存安定性に利点があるチタン系触媒(チタンキレート触媒)を使用しながら、硬化性に優れた組成物を得るべく、上記特許文献1の技術につき詳細に検討した結果、ベースポリマー合成の際に存在するテトラアルコキシシランが系中に残存し、これが遅延剤的な働きをして硬化を遅らせていることを見出した。
【0009】
即ち、両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンを合成するには、一般的に、シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを縮合させるが、この際に残存するテトラアルコキシシランは、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシランに比べ、それ自身の反応性が高いため、遅延剤的に働き、硬化性を悪くすることが判明した。ここで、テトラアルコキシシランを系中に残存させないようにするには、両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンを合成した段階で、テトラアルコキシシランを除去することが考えられるが、この手法では、両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサン自体の安定性が悪化してしまう。
【0010】
そこで、本発明者らは、更に検討した結果、両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンにフィラーを配合後、その段階で系中のテトラアルコキシシランを一定量以下にした後、架橋剤、触媒を添加するという方法によれば、優れた性能の組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
即ち本発明は、(A) シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを縮合させることにより得られた両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサン、(B) 比表面積が50m2/g以上のシリカ粉、(C) R1 aSi(OR2)4−a(式中、aは1または2、R1、R2はたがいに同一でも異なってもよい置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。)で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物、(D) チタンキレート触媒を含有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法であって、(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるようにし、次いで(C) 成分及び(D) 成分を添加することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明で用いる(A) 両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンは、シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを触媒の存在下または不存在下で縮合させることにより得られるものである。
【0014】
触媒としては、公知のアミン、カルボン酸、亜鉛、錫、鉄等の金属カルボン酸塩等が用いられる。触媒の不存在下で縮合反応を行う時は、反応混合物をテトラアルコキシシランの還流温度に加熱することが好ましい。
【0015】
縮合反応におけるテトラアルコキシシラン/SiOHのモル比は、3〜15程度が好ましく、より好ましくは5〜15である。
【0016】
また、得られる(A) 両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンの粘度は25℃における粘度が20〜1,000,000cPの範囲であり、100〜100,000cPの範囲にあることが好ましい。
【0017】
本発明に用いられる(B) 成分のフィラーは比表面積が50m2/g以上のシリカ粉であり、煙霧質シリカ、焼成シリカ、あるいはこれらの表面をオルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン類、オルガノシラザン類等の従来公知の処理剤で表面処理したものが挙げられる。ここで言う比表面積は、BET法によるものである。本発明によれば、前記特公平5−88866号公報とは異なり、未処理シリカであっても、優れた保存安定性、硬化速度が得られる。
【0018】
(B) 成分は、(A) 100重量部に対し、1〜50重量部程度が用いられる。
【0019】
次に、本発明で用いる(C) 成分の架橋剤は、R1 aSi(OR2)4−a(式中、aは1または2、R1、R2はたがいに同一でも異なってもよい置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。)で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物であり、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリ(エトキシメトキシ)シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどが例示される。本発明では、テトラアルコキシシラン類は硬化性の点から排除され、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が架橋剤として用いられる。
【0020】
(C) 成分は、(A) 100重量部に対し、0.5〜15重量部程度が用いられる。
【0021】
本発明で用いられる(D) 成分のチタンキレート触媒としては、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸メチル)チタン、ジイソプロポキシビス(アセルアセトン)チタン、ジブトキシビス(アセト酢酸エチル)チタン、ジメトキシビス(アセト酢酸エチル)チタン等の公知の各種チタンキレート化合物が挙げられる。
【0022】
(D) 成分は、(A) 100重量部に対し、0.1〜15重量部程度が用いられる。
【0023】
本発明の特徴は、前記(A) 〜(D) 成分を混合し、組成物を調製するに際し、(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるようにし、次いで(C) 成分及び(D) 成分を添加することにある。
【0024】
即ち、(A) 成分の両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンは、その合成に際し、過剰モルのテトラアルコキシシラン(テトラアルコキシシラン/SiOHのモル比3〜15程度)での縮合反応により、一般的に1〜20重量%程度の過剰テトラアルコキシシランを有するが、組成物調製の際の(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるよう処理する。
【0025】
テトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%を超えるような量存在すると顕著に硬化が遅くなる。より好ましくは、テトラアルコキシシラン量を0.1重量%以下とする場合である。
【0026】
テトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下にするには、例えば常温で100mmHg以下に減圧したり、80〜150℃に加熱したり、あるいはこれらの手法を併用して、0.5〜10時間程度混練りすることにより達成できる。
【0027】
本発明の組成物は上記のような(A) 〜(D) 成分からなるものであるが、これらの成分に加えて、シラノール基を有さないジオルガノポリシロキサン、石英微粉末、カーボンブラック、炭酸カルシウムなどの無機充填剤やそれらを疎水化処理したもの、チクソトロピー性付与剤、粘度調整剤、流動性調整剤、顔料、耐熱剤、難燃剤、有機溶媒、防かび剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、耐熱向上剤、難燃化剤、接着向上剤など、各種の添加剤を加えることは本発明の目的を損なわない限り差し支えない。
【0028】
【実施例】
以下において実施例をあげ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部とあるのはいずれも重量部を表す。
合成例1(ベースポリマーの調製)
粘度10000cPの水酸基末端ジメチルポリシロキサン100部とテトラメトキシシラン5部を反応器に投入し、撹拌しながら140℃で10時間加熱した。その後、常温まで冷却し、取り出した。
【0029】
得られたポリマーは粘度12000cPであった。また、1重量%のテトラブチルチタネートと混合したところ、すぐには増粘しなかったが、1日後には硬化していた。これによりポリマー末端の水酸基がトリメトキシ基で置換されたことを確認した。
実施例1
上記ベースポリマー100部に比表面積が130m2/g以上の乾式シリカを10部配合し、130℃、10mmHgの条件で4時間加熱減圧混練し、ベースコンパウンドAを得た。このコンパウンド中のテトラメトキシシランの含有率は0.1重量%であった。次いで、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン1.5部及びメチルトリメトキシシラン3部を加え、混練し、本発明の組成物を得た。
【0030】
この組成物を23℃、50%RHの雰囲気中に押し出して、指で表面に接触して乾燥状態にあることを確認するに至る時間(タックフリータイム)を測定したところ、4分であった。
比較例1
上記ベースポリマー100部に比表面積が130m2/g以上の乾式シリカを10部配合し、25℃、常圧の条件で4時間混練し、ベースコンパウンドBを得た。このコンパウンド中のテトラメトキシシランの含有率は1.5重量%であった。次いで、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン1.5部及びメチルトリメトキシシラン3部を加え、混練し、比較組成物を得て、同様にタックフリータイムを測定したところ、8分であった。
比較例2
上記ベースポリマーAに、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン1.5部及びテトラメトキシシラン3部を加え、混練し、比較組成物を得て、同様にタックフリータイムを測定したところ、15分であった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、室温で硬化してシリコーンエラストマーとなる組成物の製造方法に関し、詳しくは、硬化後の物性に優れると共にタックフリータイムが短縮された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
室温で硬化し、ゴム状弾性体を生成するポリオルガノシロキサン組成物の中で、空気中の水分と接触することにより硬化反応が生起するタイプのものは、使用直前に本体(ベースポリマー)や架橋剤、或いは触媒を秤量したり、これらを混合したりする煩雑さが無く、配合上のミスを生じることがない上、接着性に優れているので、電気・電子工業などにおける弾性接着剤やコーティング材として、また建築用シーリング材等として広く用いられている。このような組成物は、一般に、分子末端が水酸基で閉塞されたシラノール基末端ポリジオルガノシロキサンに、分子中に2個を越える加水分解性基を有する架橋剤等を配合したものであり、架橋剤の種類に応じて、硬化の際に酢酸等のカルボン酸、有機アミン、アミド、有機ヒドロキシルアミン、オキシム化合物、アルコール、アセトンなどを放出する。
【0003】
このうち、脱アルコール型のものは、架橋剤であるアルコキシシランが安価に入手できるばかりでなく、放出物質がメタノール、エタノールのようなアルコールなので揮散しやすく、臭気の問題がないという利点、金属腐食の問題がないという利点があるため、電気・電子機器のコーティング材等として広く利用されている。
【0004】
しかし、脱アルコール型のものは、硬化が遅いことおよび保存中に系中に存在する微量の水により架橋剤が加水分解して発生するアルコールがベースポリマーを切断するために保存安定性が悪いという難点があり、その克服が要望されていた。この問題を解決するため、特許文献1では、両末端がトリアルコキシシリル基で封鎖されたポリオルガノシロキサンをベースポリマーとして使用し、これに充填剤として表面処理されたシリカ、架橋剤であるアルコキシシラン及びチタンキレート触媒を選択組み合わせることにより、保存安定性、硬化速度(表面皮膜形成速度)向上を図っている。
【0005】
しかしながら、本発明者の追試によると、上記特許文献1の技術によれば、ある程度、保存安定性、硬化速度に優れた組成物は得られるものの、硬化の際のタックフリータイムにおいて未だ満足できるレベルでないことが判明した。即ち、チタンキレート触媒は、またテトラブチルチタネート等の一般的なチタン系触媒に比べれば硬化性は良いものの、錫系触媒に比べると活性が弱いため硬化性に劣るものであった。
【0006】
【特許文献1】
特公平5−88866号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解決し、硬化後の物性に優れると共にタックフリータイムが短縮された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、保存安定性に利点があるチタン系触媒(チタンキレート触媒)を使用しながら、硬化性に優れた組成物を得るべく、上記特許文献1の技術につき詳細に検討した結果、ベースポリマー合成の際に存在するテトラアルコキシシランが系中に残存し、これが遅延剤的な働きをして硬化を遅らせていることを見出した。
【0009】
即ち、両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンを合成するには、一般的に、シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを縮合させるが、この際に残存するテトラアルコキシシランは、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシランに比べ、それ自身の反応性が高いため、遅延剤的に働き、硬化性を悪くすることが判明した。ここで、テトラアルコキシシランを系中に残存させないようにするには、両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンを合成した段階で、テトラアルコキシシランを除去することが考えられるが、この手法では、両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサン自体の安定性が悪化してしまう。
【0010】
そこで、本発明者らは、更に検討した結果、両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンにフィラーを配合後、その段階で系中のテトラアルコキシシランを一定量以下にした後、架橋剤、触媒を添加するという方法によれば、優れた性能の組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
即ち本発明は、(A) シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを縮合させることにより得られた両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサン、(B) 比表面積が50m2/g以上のシリカ粉、(C) R1 aSi(OR2)4−a(式中、aは1または2、R1、R2はたがいに同一でも異なってもよい置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。)で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物、(D) チタンキレート触媒を含有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法であって、(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるようにし、次いで(C) 成分及び(D) 成分を添加することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明で用いる(A) 両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンは、シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを触媒の存在下または不存在下で縮合させることにより得られるものである。
【0014】
触媒としては、公知のアミン、カルボン酸、亜鉛、錫、鉄等の金属カルボン酸塩等が用いられる。触媒の不存在下で縮合反応を行う時は、反応混合物をテトラアルコキシシランの還流温度に加熱することが好ましい。
【0015】
縮合反応におけるテトラアルコキシシラン/SiOHのモル比は、3〜15程度が好ましく、より好ましくは5〜15である。
【0016】
また、得られる(A) 両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンの粘度は25℃における粘度が20〜1,000,000cPの範囲であり、100〜100,000cPの範囲にあることが好ましい。
【0017】
本発明に用いられる(B) 成分のフィラーは比表面積が50m2/g以上のシリカ粉であり、煙霧質シリカ、焼成シリカ、あるいはこれらの表面をオルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン類、オルガノシラザン類等の従来公知の処理剤で表面処理したものが挙げられる。ここで言う比表面積は、BET法によるものである。本発明によれば、前記特公平5−88866号公報とは異なり、未処理シリカであっても、優れた保存安定性、硬化速度が得られる。
【0018】
(B) 成分は、(A) 100重量部に対し、1〜50重量部程度が用いられる。
【0019】
次に、本発明で用いる(C) 成分の架橋剤は、R1 aSi(OR2)4−a(式中、aは1または2、R1、R2はたがいに同一でも異なってもよい置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。)で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物であり、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリ(エトキシメトキシ)シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどが例示される。本発明では、テトラアルコキシシラン類は硬化性の点から排除され、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が架橋剤として用いられる。
【0020】
(C) 成分は、(A) 100重量部に対し、0.5〜15重量部程度が用いられる。
【0021】
本発明で用いられる(D) 成分のチタンキレート触媒としては、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸メチル)チタン、ジイソプロポキシビス(アセルアセトン)チタン、ジブトキシビス(アセト酢酸エチル)チタン、ジメトキシビス(アセト酢酸エチル)チタン等の公知の各種チタンキレート化合物が挙げられる。
【0022】
(D) 成分は、(A) 100重量部に対し、0.1〜15重量部程度が用いられる。
【0023】
本発明の特徴は、前記(A) 〜(D) 成分を混合し、組成物を調製するに際し、(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるようにし、次いで(C) 成分及び(D) 成分を添加することにある。
【0024】
即ち、(A) 成分の両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサンは、その合成に際し、過剰モルのテトラアルコキシシラン(テトラアルコキシシラン/SiOHのモル比3〜15程度)での縮合反応により、一般的に1〜20重量%程度の過剰テトラアルコキシシランを有するが、組成物調製の際の(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるよう処理する。
【0025】
テトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%を超えるような量存在すると顕著に硬化が遅くなる。より好ましくは、テトラアルコキシシラン量を0.1重量%以下とする場合である。
【0026】
テトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下にするには、例えば常温で100mmHg以下に減圧したり、80〜150℃に加熱したり、あるいはこれらの手法を併用して、0.5〜10時間程度混練りすることにより達成できる。
【0027】
本発明の組成物は上記のような(A) 〜(D) 成分からなるものであるが、これらの成分に加えて、シラノール基を有さないジオルガノポリシロキサン、石英微粉末、カーボンブラック、炭酸カルシウムなどの無機充填剤やそれらを疎水化処理したもの、チクソトロピー性付与剤、粘度調整剤、流動性調整剤、顔料、耐熱剤、難燃剤、有機溶媒、防かび剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、耐熱向上剤、難燃化剤、接着向上剤など、各種の添加剤を加えることは本発明の目的を損なわない限り差し支えない。
【0028】
【実施例】
以下において実施例をあげ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部とあるのはいずれも重量部を表す。
合成例1(ベースポリマーの調製)
粘度10000cPの水酸基末端ジメチルポリシロキサン100部とテトラメトキシシラン5部を反応器に投入し、撹拌しながら140℃で10時間加熱した。その後、常温まで冷却し、取り出した。
【0029】
得られたポリマーは粘度12000cPであった。また、1重量%のテトラブチルチタネートと混合したところ、すぐには増粘しなかったが、1日後には硬化していた。これによりポリマー末端の水酸基がトリメトキシ基で置換されたことを確認した。
実施例1
上記ベースポリマー100部に比表面積が130m2/g以上の乾式シリカを10部配合し、130℃、10mmHgの条件で4時間加熱減圧混練し、ベースコンパウンドAを得た。このコンパウンド中のテトラメトキシシランの含有率は0.1重量%であった。次いで、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン1.5部及びメチルトリメトキシシラン3部を加え、混練し、本発明の組成物を得た。
【0030】
この組成物を23℃、50%RHの雰囲気中に押し出して、指で表面に接触して乾燥状態にあることを確認するに至る時間(タックフリータイム)を測定したところ、4分であった。
比較例1
上記ベースポリマー100部に比表面積が130m2/g以上の乾式シリカを10部配合し、25℃、常圧の条件で4時間混練し、ベースコンパウンドBを得た。このコンパウンド中のテトラメトキシシランの含有率は1.5重量%であった。次いで、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン1.5部及びメチルトリメトキシシラン3部を加え、混練し、比較組成物を得て、同様にタックフリータイムを測定したところ、8分であった。
比較例2
上記ベースポリマーAに、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン1.5部及びテトラメトキシシラン3部を加え、混練し、比較組成物を得て、同様にタックフリータイムを測定したところ、15分であった。
Claims (1)
- (A) シラノール基末端ポリオルガノシロキサンと、該ポリオルガノシロキサンのシラノール基に対して過剰モルのテトラアルコキシシランとを縮合させることにより得られた両末端トリアルコキシ基ポリオルガノシロキサン、(B) 比表面積が50m2/g以上のシリカ粉、(C) R1 aSi(OR2)4−a(式中、aは1または2、R1、R2はたがいに同一でも異なってもよい置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。)で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物、(D) チタンキレート触媒を含有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法であって、(A) 成分と(B) 成分の混合時に、減圧及び/又は加熱によりテトラアルコキシシラン量を(A) 成分に対し0.5重量%以下となるようにし、次いで(C) 成分及び(D) 成分を添加することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法。
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