JP2004269687A - ポリビニルアセタール化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アセタール結合を介して(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物、及び、水酸基を有するポリビニルアセタール化合物(A)と、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)とを反応させてなるポリビニルアセタール化合物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアセタール化合物及びその製造方法に関する。より詳しくは、接着剤、塗料、合わせガラスの中間層等の各種分野において好適に用いることができるポリビニルアセタール化合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題から、塗料、接着剤の各分野で水系化、無溶剤化が進んでいる。水系は乾燥に大きなエネルギーを必要とし、乾燥時間も長いために浸透乾燥効果の期待できない基材では使用が困難で、また硬化物の物性も充分とはいえない。一方、紫外線(UV)硬化系の場合、無溶剤化が可能で、省エネルギー、速硬化が達成でき、また硬化物の物性も組成物中のモノマー、ポリマー、オリゴマー等の選択によってある程度調整が可能である。
【0003】
ところで、ポリプロピレン、ポリエチレンのようなポリオレフィン系材料やポリエチレンテレフタレート(PET)はパッケージ、カード等に使用が拡大しているが、例えば、塗料、接着剤等の使用において、これら基材との密着性等が悪いという問題点がある。特に印刷、塗装、接着等の後に折り曲げ加工等を行う場合、剥がれや割れが生じるという問題がある。
【0004】
ポリビニルアセタールは、接着性、靱性に優れているが、これを活性エネルギー線硬化性組成物に配合した際、硬化時に相分離を起こして、接着性、靱性や外観が低下する傾向があった。
【0005】
そこでポリビニルアセタール又はポリビニルアルコールに反応性を付与した先行技術文献としては、下記のものがある。すなわちポリビニルアルコールモノマレイン酸エステル等を主成分とする感光性ポリビニルアルコールに光増感剤を加えた感光性ポリビニルアルコール組成物(例えば、特許文献1参照。)、アセタール基における酸素原子に挟まれたアルキレン基に、アルキレンオキサイド鎖と芳香族環とを含む特定基を有する重合体(例えば、特許文献2参照。)、ポリビニルブチラールを(メタ)アクリル化してなる化合物と、光重合開始剤とを含有する紫外線硬化型ゲル基材(例えば、特許文献3参照。)、主鎖に水酸基、エステル基、アセタール基等の特定基を有するポリビニルアセタール系樹脂(例えば、特許文献4参照。)、着色剤組成物、エチレン性不飽和結合を有する基及びカルボキシル基を有するポリビニルアセタール系樹脂、光重合開始剤等を含有するカラーフィルタ形成用感光性樹脂組成物(例えば、特許文献5参照。)、ポリビニルブチラール樹脂とスピロアセタール環を有するアミノ樹脂とエポキシ樹脂の樹脂組成物からなるプリント回路用銅張積層板用の接着剤(例えば、特許文献6参照。)、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するブチラール樹脂を用いる反射防止膜用硬化性組成物(例えば、特許文献7参照。)、ポリビニルブチラールに含まれる水酸基の水素原子をN−メチレンアクリルアミド基で置換して感光性を付与したポリビニルブチラール(例えば、特許文献8参照。)が開示されている。しかしながら、これらの技術においては、効率よくポリビニルブチラール樹脂に感光性基を導入することは困難であり、従って充分な硬化性や硬化物の物性の向上が得られず、各種用途に好適に用いることができるものとするための工夫の余地があった。
【0006】
【特許文献1】
特公昭48−6962号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開昭58−194905号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開平5−39335号公報(第1頁)
【特許文献4】
特開平6−122713号公報(第1頁)
【特許文献5】
特開平6−194514号公報(第1頁)
【特許文献6】
特開平9−74273号公報(第1頁)
【特許文献7】
特開2002−311208号公報(第1頁)
【特許文献8】
特開平2−77403号公報(第1、5頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、加熱及び/又は活性エネルギー線の照射による硬化性に優れており、かつ柔軟性、密着性、耐溶剤性、高靭性等の硬化後における特性にも優れ、硬化時の相分離が抑制され、また残留ひずみが低減されて、折り曲げ加工時の剥がれや割れを抑制することができるポリビニルアセタール化合物、及び、その製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、各種用途に用いることができる加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化可能な化合物ついて種々検討した結果、ポリビニルアセタールが有用であることに着目し、ポリビニルアセタール骨格を有することにより柔軟性と密着性が良好となり、(メタ)アクリロイル基を有することにより活性エネルギー線硬化性が良好で、速やかに架橋構造を形成し、耐溶剤性も向上すること、また、硬化時の相分離が抑制されるために高靭性を保持することができることを見いだした。また、ポリビニルアセタールと(メタ)アクリロイル基とがアセタール結合で連結されていることにより、硬化時の残留ひずみが低減されて、折り曲げ加工時の剥がれや割れを抑制することができ、接着剤、塗料、合わせガラスの中間層等の各種分野において好適に使用できることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、水酸基を有するポリビニルアセタール化合物(A)と、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)とを反応させることにより、効率的に(メタ)アクリロイル基をポリビニルアセタール樹脂に導入することができ、かつ上記効果を充分に発揮できる(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物を得られることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、アセタール結合を介して(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物である。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明の(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物においては、アセタール結合に(メタ)アクリロイル基が直接結合していてもよく、また、他の原子団を介して結合していてもよい。好ましくは、ポリビニルアセタール化合物における主鎖がこれらの結合を介して(メタ)アクリロイル基を有する基を有することである。
なお、主鎖は、繰り返し単位(単量体単位)どうしが結合して形成されている鎖の部分であり、(メタ)アクリロイル基を有する基は、(メタ)アクリロイル基そのもの、又は、(メタ)アクリロイル基を有する有機残基である。有機残基とは、基や化合物を構成する基本構造に結合している有機基を意味する。
【0011】
上記(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物としては、下記一般式(1);
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、Xは、アセタール結合を表す。Yは、同一若しくは異なって、(メタ)アクリロイル基を有する有機残基を表す。R1は、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。nは、0以上の整数を表す。mは、1以上の整数を表す。kは、1以上の整数を表す。)で表される繰り返し単位を必須として有するものであることが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物における繰り返し単位の形態としては、ランダム、ブロック等が挙げられる。
上記Xは、アセタール結合であるが、下記式(2)で表される基であることが好ましい。
【0014】
【化2】
【0015】
上記R1は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基から選ばれる少なくとも一種であるが、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エテニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が好適である。これらの中でも、水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基等が好ましい。より好ましくは、水素原子、ブチル基等である。
【0016】
本発明における(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物は、ポリビニルホルマール構造及び/又はポリビニルブチラール構造を有することが好ましい。ポリビニルホルマール構造等は、主鎖に、ポリビニルアルコールとホルムアルデヒド等のアルデヒドとのアセタール化反応により得られる環構造と水酸基とを有する構造である。
【0017】
上記(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物の数平均分子量としては、1000以上であることが好ましく、また、1000000以下であることが好ましい。1000未満であると、硬化性や硬化物物性の向上効果が充分には得られないおそれがあり、1000000を越えると、高粘度となり作業性が充分には得られないおそれがある。より好ましくは、2000以上であり、また、500000以下である。更に好ましくは、3000以上であり、また、100000以下である。
【0018】
上記(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物の粘度としては、トルエンとメタノールが質量比で1:5の混合溶媒95質量部に(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物5質量部を溶解させた溶液の25℃の粘度が、0.1mPa・s以上であることが好ましく、また、10000mPa・s以下であることが好ましい。0.1mPa・s未満であると、作業環境が悪化するおそれがあり、10000mPa・sを超えると、作業性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.5mPa・s以上であり、また、1000mPa・s以下である。更に好ましくは、1.0mPa・s以上であり、また、500mPa・s以下である。
【0019】
上記(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物の製造方法としては、水酸基を有するポリビニルアセタール化合物と、(メタ)アクリロイル基及び水酸基と反応性を有する官能基を有する化合物とを反応させる方法が好適である。この場合において、(メタ)アクリロイル基及び水酸基と反応性を有する官能基を有する化合物としては、アセタール結合を介して(メタ)アクリロイル基を導入することが可能な化合物を用いればよく、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物を用いることが好ましい。
すなわち(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物の製造方法としては、水酸基を有するポリビニルアセタール化合物(A)と、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)とを反応させてなる方法が好ましい形態であり、このような製造方法もまた、本発明の一つである。
【0020】
上記(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物の製造方法としては、(1)ポリビニルアセタール化合物(A)の水酸基に、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)を反応させる方法、(2)ポリビニルエステル(例えばポリ酢酸ビニル)のけん化の後のアルデヒドによるアセタール化と同時に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)を反応させる方法等が好ましい。このようにポリビニルアセタール化合物(A)等が有する水酸基に、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)のビニルエーテル基とをアセタール化反応させることにより、(メタ)アクリロイル基をポリビニルアセタール化合物(A)に導入することができる。
なお、ポリビニルアセタール化合物(A)の製造方法の一例を下記反応式(1)により示す。式中のRは、有機基を表す。
【0021】
【化3】
【0022】
上記反応式(1)のように、ポリビニルアルコールとアルデヒドをアセタール化反応させることにより、ポリビニルアセタール化合物(A)を得ることができる。また、原料となるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステルをけん化(加水分解)することにより得られる。
上記ポリビニルアセタール化合物(A)としては、ポリビニルホルマール(ホルマール樹脂)、ポリビニルブチラール(ブチラール樹脂)、ポリビニルグルタール(グルタール樹脂)等が好適である。好ましくは、ポリビニルホルマール及び/又はポリビニルブチラールである。
【0023】
上記(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)としては、例えば、下記一般式(3);
CH2=CR2−COOR3−O−CH=CHR4 (3)
(式中、R2は、水素原子又はメチル基を表す。R3は、有機残基を表す。R4は、水素原子又は有機残基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル類等が好適であり、1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
上記R3で表される有機残基としては、炭素数2〜18の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、炭素数2〜20のアルコキシアルキレン基、炭素数2〜8のハロゲン化(例えば塩素化、臭素化又はフッ素化)アルキレン基、末端水酸基を除くポリエチレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリプロピレングリコール骨格、末端水酸基を除くポリブチレングリコール骨格、アリール基等が好適である。これらの中でも、重合度が2〜1万のポリエチレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜1万のポリプロピレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜1万のポリブチレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、炭素数2〜4のアルキレン基が好適に用いられる。更に好ましくは、重合度が2〜100のポリエチレグリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜100のポリプロピレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜100のポリブチレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、炭素数2のアルキレン基(−CH2CH2−)、炭素数3のアルキレン基(−CH2CH2CH2−)、炭素数4のアルキレン基(−CH2CH2CH2CH2−)である。最も好ましくは、重合度が2〜15のポリエチレグリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜15のポリプロピレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、重合度が2〜15のポリブチレングリコールから末端の水酸基を除く骨格、炭素数2のアルキレン基(−CH2CH2−)、炭素数3のアルキレン基(−CH2CH2CH2−)、炭素数4のアルキレン基(−CH2CH2CH2CH2−)である。
【0025】
上記R4で表される有機残基としては特に限定されず、例えば、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜2のアルキル基、炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
【0026】
上記一般式(3)で表される化合物として、具体的には、以下に記載するもの等が好適である。
(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル。
【0027】
(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコールモノビニルエーテル。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル等が好ましい。
【0028】
上記(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物の製造方法におけるアセタール化反応の一例を下記反応式(2)により示す。なお、式中のR及びR’は、有機基を表す。
【0029】
【化4】
【0030】
上記アセタール化反応の好ましい反応条件等において、ポリビニルアセタール化合物(A)等が有する水酸基と、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)が有するビニルエーテル基とのモル比(水酸基/ビニルエーテル基)としては、1/1.5以上であることが好ましく、また、1/0.01以下であることが好ましい。より好ましくは、1/0.9以上であり、また、1/0.1以下である。更に好ましくは、1/0.8以上であり、また、1/0.2以下である。
また反応温度としては、−40℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、−30℃以上であり、また、100℃以下である。更に好ましくは、−20℃以上であり、また、70℃以下である。
【0031】
上記アセタール化反応においては、1種又は2種以上の触媒を用いて反応させることが好ましく、このような触媒としては、酸が好適である。酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、ピルビン酸、グリコール酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、マロン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;安息香酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、p−トルエンスルホン酸キノリニウム塩等の芳香族スルホン酸又はその塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ニッケル、硫酸銅、硫酸ジルコニウム等の硫酸塩;硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等の硫酸水素塩;硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸;リンバナジドモリブデン酸、リンタングストモリブデン酸、ケイタングストモリブデン酸等のヘテロポリ酸;酸性ゼオライト;ベースレジンがフェノール系樹脂又はスチレン系樹脂であり、ゲル型、ポーラス型又はマクロポーラス型のいずれかの形態を示し、かつ、スルホン酸基及びアルキルスルホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種のイオン交換基を有する酸性イオン交換樹脂等が好適である。これらの中でも、シュウ酸、マレイン酸、硫酸水素カリウム、塩酸が好ましい。
他の酸触媒の場合、アセタール化反応の触媒として作用するほか、ビニルエーテル基におけるカチオン重合開始剤として作用することがある。したがって温度コントロールを厳密に行う必要があるが、塩酸の場合、カチオン重合開始剤としては作用せず、アセタール化反応にのみ選択的に効くため、温度コントロール幅が広く、製造面で非常に有利である。
【0032】
上記アセタール化反応においては、必要に応じて、重合禁止剤、溶剤等を用いてもよく、これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合禁止剤としては、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤;アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系重合禁止剤;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤等が好適である。これらの中でも、キノン系やN−オキシル類の重合禁止剤が好ましく、ベンゾキノン、フェノチアジンや4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等が好適に用いられる。
【0033】
上記溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類:クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が好適である。
【0034】
本発明の(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物としては、必要に応じて、重合開始剤、着色剤、重合性単量体、硬化性樹脂等を含有するポリビニルアセタール組成物とすることにより各種用途に用いることができる。このような組成物としては、ポリビニルアセタール化合物と、必要に応じて、上記構成要素とを混合して得ることが好ましく、混合方法としては、三本ロールやサンドミル等の通常の分散機を用いることができる。
【0035】
本発明の(メタ)アクリロイル基を有するポリビニルアセタール化合物の含有量としては、ポリビニルアセタール組成物を100質量%とすると、0.1質量%以上であることが好ましく、また、60質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、硬化物の密着性、耐溶剤性、高靱性等の効果が充分発現されないおそれがあり、60質量%を超えると、粘度が高くなりすぎて作業性が低下するおそれがある。より好ましくは、1質量%以上であり、また、50質量%以下である。更に好ましくは、2質量%以上であり、また、40質量%以下である。
【0036】
上記重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤等が好適であり、これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、下記の化合物が好適である。
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類。これらの中でも、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類が好適である。特に2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1オン。
【0037】
上記熱ラジカル重合開始剤としては、下記の化合物が好適である。
メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエー卜、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等。
また熱重合時には硬化促進剤を混合して使用してもよく、硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト又は3級アミン等を挙げることができる。
【0038】
上記重合開始剤の含有量としては、ポリビニルアセタール組成物を100質量%とすると、0.01質量%以上であることが好ましく、また、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05質量%以上であり、また、20質量%以下である。更に好ましくは、0.1質量%以上であり、また、10質量%以下である。
【0039】
上記着色剤としては、染料、顔料が好適であり、これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。また、染料と顔料とを併用してもよい。
上記染料としては、直接染料、酸性染料、反応性染料、油溶性染料等、各種染料を用いることができるが、これらの中で、特に油溶性染料が好適である。
また顔料としては、無機顔料や有機顔料が挙げられ、無機顔料としては、亜鉛華、二酸化チタン、べんがら、コバルトブルー、鉄黒等の酸化物;アルミナホワイト、黄色酸化鉄等の水酸化物;硫化亜鉛、朱等の硫化物やセレン化物;紺青等のフェロシアン化物;ジンククロメート、モリブデンレッド等のクロム酸塩;沈降性硫酸バリウム等の硫酸塩;沈降性炭酸カルシウム等の炭酸塩;含水ケイ酸塩、群青等のケイ酸塩;マンガンバイオレット等のリン酸塩;アルミニウム粉(ペースト)、ブロンズ粉、亜鉛末等の金属粉;カーボンブラック等が好適である。
【0040】
上記有機顔料としては、ナフトールグリーン等のニトロソ顔料;ナフトールエローS等のニトロ顔料;リソールレッド、レーキレッドC、ウオッチングレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー10B等のアゾレーキ顔料、ファストエロー、ジスアゾエロー、ピラゾロンオレンジ、レーキレッド4R、ナフトールレッド等の不溶性アゾ顔料、クロモフタールエロー、クロモフタールレッド等の縮合アゾ顔料等のアゾ顔料;ピーコックブルーレーキ、アルカリブルーレーキ等の酸性染料レーキ、ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ、マラカイトグリーンレーキ等の塩基性染料レーキ等の染付レーキ顔料;フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン顔料;アントラピリミジンエロー、ペリノンオレンジ、ペリレンレツド、チオインジゴレッド、インダントロンブルー等のスレン顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット等のキナクリドン顔料、ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン顔料、イソインドリノンエロー等のイソインドリノン等の縮合多環顔料;昼光螢光顔料等の染料樹脂固溶体等が好適である。
【0041】
上記着色剤の含有量としては、ポリビニルアセタール組成物を100質量%とすると、0.01質量%以上であることが好ましく、また、40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05質量%以上であり、また、35質量%以下である。更に好ましくは、0.1質量%以上であり、また、30質量%以下である。
【0042】
上記ポリビニルアセタール組成物においては、光(特には、紫外線)を照射する際に、染料や顔料等によって、光(特には、紫外線)が吸収又は隠蔽されることによる硬化速度の低下を防止する目的で、増感剤を使用することもできる。
上記増感剤としては、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、ピペリジン等の環状アミン系化合物、O−トリルチオ尿素等の尿素系化合物、ナトリウムシエチルチオホスフェート又は芳香族スルフィン酸の可溶性塩等の硫黄化合物、N,N′−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物、トリ−n−ブチルホスフィン又はナトリウムジエチルジチオホスフェート等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
上記重合性単量体としては、下記の化合物が好適である。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル等の単官能ビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の単官能N−ビニル化合物類;スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等の単官能ビニル化合物類;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、無水イタコン酸、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、メチレンマロン酸、メチレンマロン酸ジメチル、桂皮酸、桂皮酸メチル、クロトン酸、クロトン酸メチル等の単官能α,β−不飽和化合物類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物類。
これらの中でも、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
【0044】
上記重合性単量体の含有量としては、ポリビニルアセタール組成物を100質量%とすると、0.1質量%以上が好ましく、また、90質量%以下が好ましい。より好ましくは、1質量%以上であり、また、80質量%以下である。
【0045】
上記硬化性樹脂とは、硬化可能な重合性基を有するマクロモノマーやプレポリマーであって、熱及び/又は紫外線、電子線、ガンマー線等の活性エネルギー線により硬化するものをいう。このような硬化性樹脂としては、ラジカル重合性基を有するマクロモノマーやプレポリマーを用いることができる。
上記硬化性樹脂としては、25℃での粘度が1.5Pa・sを超えるものが好ましく、また、80℃での粘度が10万Pa・s以下のものが好ましい。25℃で1.5Pa・s以下であると、顔料等の分散安定剤が低下するおそれがあり、80℃で10万Pa・sを超えると、ポリビニルアセタール組成物の粘度が高くなるおそれがある。より好ましくは、25℃で10Pa・s以上であり、また、80℃で1万Pa・s以下である。更に好ましくは、25℃で50Pa・s以上であり、また、80℃で5000Pa・s以下である。
【0046】
上記硬化性樹脂の数平均分子量としては、300以上が好ましく、1000000以下が好ましい。300未満であると、顔料等の分散安定剤が低下するおそれがあり、1000000を超えると、ポリビニルアセタール組成物の粘度が高くなるおそれがある。より好ましくは、500000以下であり、更に好ましくは、100000以下であり、特に好ましくは、50000以下である。
【0047】
上記ラジカル重合性基を有するマクロモノマーやプレポリマーとしては、飽和若しくは不飽和の多塩基酸又はその無水物酸(例えば、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸等)と飽和又は不飽和の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールベンゼン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)と(メタ)アクリル酸との反応で得られるポリエステル(メタ)アクリレート;飽和又は不飽和の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等)と有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等)との反応で得られるウレタンポリ(メタ)アクリレート;ポリシロキサンと(メタ)アクリル酸との反応によって得られるポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート;ポリアミドと(メタ)アクリル酸との反応によって得られるポリアミドポリ(メタ)アクリレート;ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類等とカチオン重合性化合物(例えば、ビニルエーテル類、アルキレンオキサイド類、グリシジルエーテル類等)との反応によって得られる(メタ)アクリロイル基ペンダントポリマー等が好適である。
【0048】
上記硬化性樹脂の含有量としては、ポリビニルアセタール組成物を100質量%とすると、0.1質量%以上が好ましく、また、90質量%以下が好ましい。より好ましくは、1質量%以上であり、また、80質量%以下である。
【0049】
本発明におけるポリビニルアセタール組成物はまた、上記構成要素以外の添加剤等を1種又は2種以上を含んでいてもよく、例えば、希釈溶剤、バインダー、フィラー、顔料分散剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乾燥防止剤、浸透剤、pH調整剤、金属封鎖剤、防菌防かび剤、界面活性剤、可塑剤等が好適である。
【0050】
上記希釈溶剤としては、ミネラルスピリット、石油ナフサ S−100、石油ナフサ S−150、トルエン、キシレン、テトラリン、テレピン油等の炭化水素;酢酸n−ブチル、酢酸メトキシブチル等のエステル;メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソホロン等のアルコール;イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール等のアルコール;メチルセロソルブ:エチルセロソルブ:ブチルセロソルブ:セロソルブアセテート:ブチルセロソルブアセテート:ブチルカルビトール等の多価アルコール誘導体等が好適である。
上記希釈溶剤の使用量としては、ポリビニルアセタール組成物100質量%に対して、50質量%以下となるようにすることが好ましい。また、30質量%以下となるようにすることがより好ましい。
【0051】
上記バインダーとしては、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アルキッド樹脂、環化ゴム、塩素化ポリオレフィン樹脂、水性樹脂等が好適である。
上記バインダーの使用量としては、ポリビニルアセタール組成物100質量%に対して、30質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上であり、また、20質量%以下である。更に好ましくは、1質量%以上であり、また、10質量%以下である。
【0052】
上記フィラーとしては、ガラスフリット、シリカ微粒子、有機微粒子、金属微粒子等が好適である。
上記フィラーの使用量としては、ポリビニルアセタール組成物100質量%に対して、30質量%以下が好ましい。より好ましくは、2質量%以上であり、また、20質量%以下である。更に好ましくは、5質量%以上であり、また、10質量%以下である。
【0053】
上記顔料分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等が好適である。
上記顔料分散剤の使用量としては、顔料100質量部に対して10質量部以上とすることが好ましく、また、200質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、20質量部以上であり、また、100質量部以下である。
【0054】
上記導電性付与剤としては、ポリビニルアセタール組成物に可溶な塩であればよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硝酸塩、チオシアン酸塩が用いられる。これらの中でも、硝酸リチウム、三酸化硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、塩化水素酸ジメチルアミン等が好適である。
上記導電性付与剤の使用量としては、ポリビニルアセタール組成物100質量%に対して、10質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.05質量%以上であり、また、5質量%以下である。更に好ましくは、0.5質量%以上であり、また、3質量%以下である。
【0055】
上記紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′ヒドロキシ−4′−n−オクトキシ−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−4′−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート等のベンゾフェノン類;N−(2−エトキシフェニル)−N′−(4−イソドデシルフェニル)エタンジアミド、N−(2−エトキシフェニル)−N′−(2−エチル)エタンジアミド等のシュウ酸アニリド誘導体;2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体;2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリル酸オクチル、2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3−フェニル−3−(3,4−ジメチルフェニル)アクリル酸−(2−エチルヘキシル)、2−シアノ−3−(p−メトキシフェニル)−3−(3,4−ジメチルフェニル)アクリル酸−(2−エチルヘキシル)、p−メトキシ−α−(3,4−キシリル)ベンジリデンマロノニトリル等の不飽和ニトリル基を含有する紫外線吸収剤等が好適である。
【0056】
上記紫外線吸収剤としては、これらの中でも、紫外線硬化を阻害しにくい点から、トリアジン系化合物、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノンの使用が好ましい。
上記紫外線吸収剤の使用量としては、ポリビニルアセタール組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上であり、また、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.001質量%以上であり、また、5質量%以下である。
【0057】
上記酸化防止剤としては、4,4′−メチレンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−エチリデンビス−(4,6,−ジ−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコールビス−3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、2,2′−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリル酸−t−ブチル、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、N.N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)、1,6−ヘキサンジオールビス−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−チオジエチルビス−{3−(3′,5′−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のヒンダードフェノール系化合物;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピン[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物;ジラウリルジチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス―(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジ−ミリスチルチオジプロピオネート、ジ−トリデシルチオプロピオネート等の有機硫黄系化合物;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸ジエチルエステル、3,5―ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸ジオクタデシルエステル等のリン酸エステル類等が好適である。これらの中でも、耐久性向上効果の点から特にヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
上記酸化防止剤の使用量としては、ポリビニルアセタール組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上であり、また、10質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.001質量%以上であり、また、5質量%以下である。
【0058】
上記乾燥防止剤としては、グリセリン、ポリグリセリン、グリコール等が好適である。浸透剤としては、アルコール、グリコールエーテル等が好適である。乾燥防止剤及び浸透剤の使用量としては、いずれもポリビニルアセタール組成物100質量%に対して、0.05質量%以上であり、また、20質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上であり、また、10質量%以下である。
【0059】
本発明におけるポリビニルアセタール組成物の粘度としては、25℃において、0.1mPa・s以上であることが好ましく、また、30万mPa・s以下であることが好ましい。0.1mPa・s未満であっても、30万mPa・sを超えても、充分な作業性が得られないおそれがある。より好ましくは、1mPa・s以上であり、また、15万mPa・s以下である。更に好ましくは、5mPa・s以上であり、また、10万mPa・s以下である。
【0060】
本発明におけるポリビニルアセタール組成物は、基材等に塗工等され、加熱及び/又は活性エネルギー線を照射することで硬化することになる。このような本発明のポリビニルアセタール化合物を含む組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させて得られる硬化物もまた、本発明の一つである。
上記基材としては、紙、金属、プラスチック、プラスチックフィルム、セラミック、ガラス、木等が好適である。活性エネルギー線としては、電磁波、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、ガンマー線等が好適である。これらの中でも、紫外線や電子線が好ましい。
【0061】
上記紫外線の照射による硬化の場合、波長150〜450nmの光を含む光源を用いることが好ましい。このような光源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯等が好適である。これらの光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
【0062】
上記電子線の照射による硬化においては、電子線の加速電圧が10kV以上であることが好ましく、また、500kV以下であることが好ましい。より好ましくは、20kV以上であり、また、300kV以下である。更に好ましくは、30kV以上であり、また、200kV以下である。また、照射量としては、2kGy以上であることが好ましく、また、500kGy以下であることが好ましい。より好ましくは、3kGy以上であり、また、300kGy以下である。更に好ましくは、5kGy以上であり、また、200kGy以下である。また、電子線と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
【0063】
本発明のポリビニルアセタール化合物は、加熱及び/又は活性エネルギー線の照射による硬化性に優れており、かつ柔軟性、密着性、耐溶剤性、高靭性等の硬化後における特性にも優れることから、接着剤、塗料、合わせガラスの中間層等の各種用途に好適に適用することができるものである。
【0064】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0065】
実施例1
撹拌装置、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレック BL−1、分子量19000)321g、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル186g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(以下、4H−TEMPOと呼ぶ)0.17gとビス(2−メトキシエチル)エーテル1183gを入れて撹拌し、50℃で溶解させた。続いて塩酸2.41g(35%水溶液、HCl成分で0.845g)をビス(2−メトキシエチル)エーテル50gで希釈した溶液を発熱に注意しながらゆっくり滴下した。発熱が緩やかになったところで60℃に昇温し、1時間反応を行った後、イオン交換樹脂(オルガノ社製、IRA 96SB AG)46gを添加して塩酸を除去した。最後にイオン交換樹脂をろ別して得られた溶液を大量のn−へキサンの中に滴下して沈殿させ、沈殿物を充分乾燥した。
以上のようにして得た物質(反応性ブチラール樹脂▲1▼とする)について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なポリビニルアセタール樹脂であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図1に、IRスペクトルを図2にそれぞれ示す。
【0066】
実施例2
撹拌装置、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレック BL−1、分子量19000)321g、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル200g、4H−TEMPO 0.17gとビス(2−メトキシエチル)エーテル1256gを入れて撹拌し、50℃で溶解させた。続いて塩酸2.48g(35%水溶液、HCl成分で0.868g)をビス(2−メトキシエチル)エーテル50gで希釈した溶液を発熱に注意しながらゆっくり滴下した。発熱が緩やかになったところで60℃に昇温し、1時間反応を行った後、イオン交換樹脂(オルガノ社製、IRA 96SB AG)46gを添加して塩酸を除去した。最後にイオン交換樹脂をろ別して得られた溶液を大量のn−ヘキサンの中に滴下して沈殿させ、沈殿物を充分乾燥した。
以上のようにして得た物質(反応性ブチラール樹脂▲2▼とする)について、1H−NMR、IRにより物質の同定を行った。その結果、反応生成物である上記物質が、本発明にかかる新規なポリビニルアセタール樹脂であることを確認した。反応生成物の1H−NMRのチャートを図3に、IRスペクトルを図4にそれぞれ示す。
【0067】
実施例3〜14、比較例1、2
実施例1及び2で得られた反応性ブチラール樹脂を用い、表1に示す配合組成に従って組成物を調製し、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンテレフタレートフィルム基材上に20μmの厚みで塗布した。次に超高圧水銀ランプ(250W、主波長365nm)にて1J/cm2の紫外線を照射して硬化させる(硬化方式▲1▼)か、又は、70℃の熱風乾燥機中で1時間加熱硬化させ(硬化方式▲2▼)、以下の方法で密着性、耐溶剤性、靭性の評価を行った。それらの結果を表2に示す。
【0068】
〔密着性試験〕
粘着テープ(ニチバン社製、セロテープ(R)CT−15S)を塗膜塗布面に貼付し、塗布面に対して90°の角度で勢いよくテープを剥離して塗布面の変化を目視で評価した。評価方法は、〇=剥離なし、△=部分的に剥離、×=全て剥離、とした。
〔耐溶剤性試験〕
塗膜を塗布したフィルムを25℃のメタノール中に10分浸漬し、塗布面の変化を目視で評価した。評価方法は、〇=変化なし、△=部分的に剥離又は膨潤、×=全て剥離又は溶解、とした。
〔折り曲げ試験〕
塗膜を塗布したフィルムを塗布面が山になるように90°の角度で折り曲げ、塗布部分が剥離するかどうかを目視で評価した。評価方法は、〇=剥離なし、△=部分的に剥離、×=全て剥離、とした。
【0069】
【表1】
【0070】
以下に表1について説明する。
「イルガキュア907」は、チバスペシャリティーケミカルズ社製の重合開始剤(商品名)であり、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンである。「ベンゾイルパーオキシド」は、日本油脂社製のナイパーBO(商品名)である。
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
本発明のポリビニルアセタール化合物は、上述の構成よりなり、加熱及び/又は活性エネルギー線の照射による硬化性に優れており、かつ柔軟性、密着性、耐溶剤性、高靭性等の硬化後における特性にも優れ、硬化時の相分離が抑制され、また残留ひずみが低減されて、折り曲げ加工時の剥がれや割れを抑制することができることから、接着剤、塗料、合わせガラスの中間層等の各種用途に有用なものである。また、本発明の製造方法は、これらの用途において好適なポリビニルアセタール化合物を製造できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1における反応生成物の1H−NMRのチャートである。
【図2】図2は、実施例1における反応生成物のIRスペクトルである。
【図3】図3は、実施例2における反応生成物の1H−NMRのチャートである。
【図4】図4は、実施例2における反応生成物のIRスペクトルである。
Claims (4)
- アセタール結合を介して(メタ)アクリロイル基を有する
ことを特徴とするポリビニルアセタール化合物。 - 前記ポリビニルアセタール化合物は、ポリビニルホルマール構造及び/又はポリビニルブチラール構造を有する
ことを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタール化合物。 - 水酸基を有するポリビニルアセタール化合物(A)と、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する化合物(B)とを反応させてなることを特徴とするポリビニルアセタール化合物の製造方法。
- 請求項1又は2記載のポリビニルアセタール化合物を含む組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させて得られる
ことを特徴とする硬化物。
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