JP2003292830A - 活性エネルギー線硬化性ワニスおよび硬化方法 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性ワニスおよび硬化方法

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JP2003292830A
JP2003292830A JP2002103683A JP2002103683A JP2003292830A JP 2003292830 A JP2003292830 A JP 2003292830A JP 2002103683 A JP2002103683 A JP 2002103683A JP 2002103683 A JP2002103683 A JP 2002103683A JP 2003292830 A JP2003292830 A JP 2003292830A
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Kiyoshi Ueda
喜代司 上田
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合開始剤を使用しなくても活性エネルギー
線照射によって硬化させることができ、かつ基材への密
着性に優れる活性エネルギー線硬化性ワニス、ならびに
該ワニスを使用した塗料およびインキを提供し、さらに
は、該ワニスを含有する活性エネルギー線硬化性組成物
の硬化方法を提供すること。 【解決手段】 一分子中にマレイミド基とイソシアナト
基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性ワ
ニス、ならびに該ワニスを使用した塗料およびインキを
提供し、さらには、前記ワニスを含有し、重合開始剤を
含有しない活性エネルギー線硬化性組成物の塗膜に活性
エネルギー線を照射してこれを硬化させた後、さらに環
境雰囲気中の湿気もしくは熱によって硬化させる活性エ
ネルギー線硬化性組成物塗膜の硬化方法を提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種のコーティン
グ剤やインキ等に有用な、活性エネルギー線硬化性と熱
硬化性を併せもつワニス、ならびに該ワニスを使用した
塗料およびインキに関し、さらには、該ワニスを含有す
る活性エネルギー線硬化性組成物塗膜の硬化方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】紫外線や可視光線などの活性エネルギー
線を照射することによって重合、硬化させる活性エネル
ギー線硬化性ワニスは、硬化速度が速いという利点を有
し、各種のコーティング剤、インキ等に広く利用されて
いる。しかしながら、従来の活性エネルギー線硬化性ワ
ニスを硬化させるためには、活性エネルギー線として電
子線を使用する場合を除いて、一般的には、重合開始剤
を必要とする。この場合、重合開始剤の分解生成物によ
って硬化物が黄変しやすかったり、悪臭が発生し作業環
境を損なったり、あるいはまた活性エネルギー線照射後
に硬化塗膜中に残存する重合開始剤やその臭気が、硬化
塗膜と接触する物質に移行するため、安全衛生性に劣る
等の問題があった。この問題点を解決すべく、特開平1
1−124403号公報には、重合性化合物としてマレ
イミド誘導体を用いた、光重合開始剤を必要としない活
性エネルギー線硬化性組成物、ならびにその硬化方法が
開示されている。しかしながらこの方法によって得られ
る硬化塗膜は、硬化収縮に伴う残存内部応力のため、基
材への密着性が不充分となることがあった。
【0003】また特開2001−192614号公報
や、米国特許第5,234,970号明細書には、基材
への密着性向上を目的として、一分子中にイソシアナト
基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物に光重合開
始剤の存在下紫外線を照射し、(メタ)アクリロイル基
を重合、硬化させると同時に、イソシアナト基の働きに
より密着しづらい基質への密着性を向上させる方法が開
示されている。しかしながらこの方法では、基材への密
着性は向上するものの、光重合開始剤に起因する前述の
種々の問題点を解決することはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、重合開始剤を使用しなくても活性エネルギ
ー線照射によって硬化させることができ、かつ基材への
密着性に優れる活性エネルギー線硬化性ワニス、ならび
に該ワニスを使用した塗料およびインキを提供すること
にあり、さらには、該ワニスを含有する活性エネルギー
線硬化性組成物の硬化方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、一分子中にマ
レイミド基とイソシアナト基を有する化合物を含有する
活性エネルギー線硬化性ワニス、ならびに該ワニスを使
用した塗料およびインキを提供し、さらには、基材上に
該活性エネルギー線硬化性ワニスを含有するが、重合開
始剤を含有しない活性エネルギー線硬化性組成物の塗膜
層を設け、該塗膜層に活性エネルギー線を照射してこれ
を硬化させた後、該硬化塗膜層中に残存するイソシアナ
ト基と、環境雰囲気中の湿気、もしくは該硬化塗膜層中
に含有される成分が有するヒドロキシ基との反応によっ
てさらに後硬化させる、活性エネルギー線硬化性組成物
塗膜の硬化方法を提供することによって上記課題を解決
した。
【0006】
【発明の実施の形態】1.活性エネルギー線硬化性ワニ
ス (1)一分子中にマレイミド基とイソシアナト基を有す
る化合物 本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスは、一分子中に
マレイミド基とイソシアナト基を有する化合物を含有す
る。一分子中にマレイミド基とイソシアナト基を有する
化合物は、公知のいかなる方法によって合成してもよい
が、たとえば、ポリイソシアネート化合物と、一分子中
にマレイミド基とヒドロキシ基を有する化合物とを、イ
ソシアナト基とヒドロキシ基の当量比が1:0.2〜
1:0.8、好ましくは1:0.4〜1:0.6となる
ように混合してウレタン化反応させることにより得るこ
とができる。活性エネルギー線照射による硬化性を高め
るためには、一分子中に複数個のマレイミド基を導入す
るのが好ましい。このようにして得られる、一分子中に
マレイミド基とイソシアナト基を有するウレタン化合物
を含有する活性エネルギー線硬化性ワニスの硬化塗膜
は、ウレタン結合を有しているので柔軟性に富み、硬化
収縮に伴う残存内部応力が緩和されるため、基材との密
着性に優れる。
【0007】1)ポリイソシアネート化合物 前記ポリイソシアネート化合物としては、たとえば、メ
チレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テ
トラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネー
ト、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシ
アネート化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネートの2量体、2,6−
トリレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネ
ート、m−キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジ
イソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,
4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート
化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチ
レンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシ
クロヘキサン−2,4(または2,6)ジイソシアネー
ト、1,3−(イソシアネートメチレン)シクロヘキサ
ンなどの脂環式ジイソシアネートなどのポリイソシアネ
ートが挙げられる。
【0008】さらに、上記ポリイソシアネートとポリエ
ーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとをイ
ソシアナト基過剰の条件下でウレタン化反応させて得ら
れるポリエーテルポリイソシアネートまたはポリエステ
ルポリイソシアネート等を使用することもできる。
【0009】ポリエーテルポリオール 前記ポリイソシアネート化合物との反応に用いるポリエ
ーテルポリオールとしては、たとえば、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリア
ルキレングリコール類;エチレングリコール、トリメチ
レングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレ
ングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリ
ン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトー
ルなどのアルキレングリコール類のエチレンオキシド変
性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変
性物、テトラヒドロフラン変性物等が挙げられ、これら
の中でも、アルキレングリコール類のエチレンオキシド
変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド
変性物、テトラヒドロフラン変性物等が好ましい。
【0010】上記以外のポリエーテルポリオールとして
は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合
体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重
合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重
合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレン
グリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタ
ジエングリコールなどの炭化水素系ポリオール類;ポリ
テトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリ
セリンのテトラヒドロフラン変性物)などの多価ヒドロ
キシ化合物などが挙げられる。
【0011】ポリエステルポリオール 前記ポリイソシアネート化合物との反応に用いるポリエ
ステルポリオールとしては、たとえば、エチレングリコ
ール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエ
リスリトールなどのアルキレングリコール類のε−カプ
ロラクトン変性物、γ−ブチロラクトン変性物、δ−バ
レロラクトン変性物、メチルバレロラクトン変性物等;
アジピン酸やダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸と、
ネオペンチルグリコールやメチルペンタンジオールなど
のグリコールとのエステル化物である脂肪族ポリエステ
ルポリオール;テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
と、ネオペンチルグリコールなどのグリコールとのエス
テル化物である芳香族ポリエステルポリオール;ポリカ
ーボネートポリオール、アクリルポリオールなどの多価
ヒドロキシ化合物と、フマル酸、フタル酸、イソフタル
酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸
などのジカルボン酸とのエステル化物などが挙げられ
る。
【0012】2)上記以外の方法によって得られるポリ
イソシアネート化合物 本発明において使用できるポリイソシアネート化合物
は、イソシアナト基とエチレン性二重結合を有するモノ
マーと、汎用のビニル系モノマーとを公知の方法で重合
させることによっても得ることができる。
【0013】イソシアナト基とエチレン性二重結合を
有するモノマー イソシアナト基とエチレン性二重結合を有するモノマー
としては、たとえば、(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメ
チルベンジルイソシアネート、メタアクリロイルイソシ
アネート等が挙げられる。
【0014】汎用のビニル系モノマー 前項に記載のモノマーと共重合させる汎用のビニル系モ
ノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メ
タ)アクリル系モノマー、スチレン、クロロスチレン、
アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等が挙
げられる。
【0015】3)一分子中にマレイミド基とヒドロキシ
基を有する化合物 一方、一分子中にマレイミド基とヒドロキシ基を有する
化合物は、公知のいかなる方法によって合成してもかま
わないが、代表的な例としては、たとえば、マレイミド
とホルムアルデヒドからN−メチロールマレイミドを得
る方法、あるいは無水マレイン酸と第一級アミノアルコ
ールからN−(ヒドロキシアルキル)−マレイミドを得
る方法等公知の方法がある。無水マレイン酸と反応させ
る第一級アミノアルコールとしては、たとえば、2−ア
ミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−
アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−
1−プロパノール、2−アミノ−3−フェニル−1−プ
ロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ
−1−ブタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタ
ノール、2−アミノ−4−メチルチオ−1−ブタノー
ル、2−アミノ−1−ペンタノール,5−アミノ−1−
ペンタノール、(1−アミノシクロペンタン)メタノー
ル、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−
ヘキサノール、7−アミノ−1−ヘプタノール、2−
(2−アミノエトキシ)エタノール、N−(2−アミノ
エチル)エタノールアミン等が挙げられる。
【0016】4)一分子中にマレイミド基とイソシアナ
ト基を有する化合物の合成 本発明において使用する、一分子中にマレイミド基とイ
ソシアナト基を有する化合物は、前記のポリイソシアネ
ートと、上記の一分子中にマレイミド基とヒドロキシ基
を有する化合物とを反応させることによって合成するこ
とができる。この反応は、窒素雰囲気下、たとえば、室
温〜90℃の温度範囲で行ない、触媒を使用するのが好
ましい。触媒としては、たとえば、テトラブチルチタネ
ート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネ
ート等の有機チタン化合物、オクチル酸錫、ジブチル錫
オキシド、ジブチル錫ラウレート等の有機錫化合物、ヨ
ウ化第一錫等を用いることができる。触媒の添加量は、
全仕込量に対して10〜10000ppmの範囲が好ま
しい。
【0017】この反応では、反応溶剤として活性水素を
含有しない有機溶剤を使用することができる。そのよう
な有機溶剤としては、たとえば、トルエン、エチルベン
ゼン、テトラリン、クメン、キシレンなどの芳香族炭化
水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ギ酸エ
ステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなど
のエステル類が挙げられる。
【0018】また、上記いずれの反応においても、マレ
イミド基のラジカル重合を抑制する目的で、ラジカル重
合禁止剤を使用することが望ましい。ラジカル重合禁止
剤としては、たとえば、ヒドロキノン、tert−ブチルヒ
ドロキノン、メトキノン、2,4−ジメチル−6−tert
−ブチルフェノール、カテコール、tert−ブチルカテコ
ールなどのフェノール系化合物;フェノチアジン、p−
フェニレンジアミン、ジフェニルアミンなどのアミン
類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカ
ルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅などの銅
錯体、などが挙げられ、これらの重合禁止剤は、単独で
用いることも、二種以上を併用して用いることもでき
る。重合禁止剤の添加量は、全仕込量に対して10〜1
0000ppmの範囲が好ましい。
【0019】(2)その他の添加成分 1)マレイミド基との共重合性を有するモノマー 本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスには、マレイミ
ド基との共重合性を有するモノマーを添加することもで
きる。前記した一分子中にマレイミド基とイソシアナト
基を有する化合物が、一分子中に一つのマレイミド基し
か有していない場合は、活性エネルギー線照射による硬
化性をもたせる目的で、マレイミド基との共重合性を有
する多官能モノマーを使用する。
【0020】マレイミド基との共重合性を有するモノマ
ーとしては、エチレン性二重結合を有する汎用のモノマ
ーを使用することができる。具体的には、たとえば、
(メタ)アクリロイル基を有するモノマー、ビニルエー
テル類、マレイミド誘導体、カルボン酸ビニル、スチレ
ンおよびスチレン誘導体、などが挙げられる。この他
に、不飽和ポリエステル等、エチレン性二重結合を有す
るマクロモノマーを使用することもできる
【0021】(メタ)アクリロイル基を有するモノマ
ー (メタ)アクリロイル基を有するモノマーとしては、た
とえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの単
官能(メタ)アクリル酸エステル類、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンのジ−またはト
リ−(メタ)アクリレート、グリセリンのジ−またはト
リ−(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモ
ノ−ないしテトラ−(メタ)アクリレート、ジトリメチ
ロールプロパンのモノ−ないしテトラ−(メタ)アクリ
レート、ジペンタエリスリトールのジ−ないしヘキサ−
(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリル酸
エステル類、エチルカルビトール(メタ)アクリレー
ト、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合
体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重
合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重
合体などの多価ヒドロキシ化合物のモノまたは多官能
(メタ)アクリレート類が挙げられる。この他にも、ポ
リエステルポリオールの(メタ)アクリレート、ポリウ
レタンポリオールの(メタ)アクリレート、エポキシ樹
脂の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】上記(メタ)アクリル酸エステル類の他
に、たとえば、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メ
タ)アクリロイルカプロラクタムなどの単官能(メタ)
アクリルアミド類;メチレンビス(メタ)アクリルアミ
ドなどの多官能(メタ)アクリルアミド類など、(メ
タ)アクリルアミド類を使用することもできる。
【0023】ビニルエーテル類 ビニルエーテル類としては、たとえば、メチルビニルエ
ーテル、ヒドロキシメチルビニルエーテル、クロロメチ
ルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレン
グリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオール
ジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニル
エーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、
などが挙げられる。
【0024】マレイミド誘導体 マレイミド誘導体としては、たとえば、N−メチルマレ
イミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイ
ミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマ
レイミド、N−フェニルマレイミド、N,N’−メチレ
ンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス
(3−マレイミドプロピル)エーテル、テトラエチレン
グリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテ
ル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、N,
N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミ
ド、N,N’−2,4−トリレンビスマレイミド、ある
いはまた特開平11−124403号公報に開示されて
いるマレイミドカルボン酸と種々のポリオール類とのエ
ステル化合物である多官能マレイミド誘導体などが挙げ
られる。
【0025】その他のモノマー 本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、上記以外
にも、たとえば、酢酸ビニル、ケイ皮酸ビニル、などの
カルボン酸ビニル誘導体;スチレン、ジビニルスチレン
など;ジメチルマレート、ジエチルマレートなどのマレ
イン酸エステル類;ジメチルフマレート、ジエチルフマ
レートなどのフマル酸エステル類;マレイン酸、フマル
酸などの多価不飽和カルボン酸の多価アルコールエステ
ル;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、
N−ビニルカプロラクタム等を添加することができる。
上記〜に記載したモノマーは、それぞれ単独で使用
してもよく、二種類以上を適宜組み合わせて使用するこ
ともできる。
【0026】活性エネルギー線硬化性ワニスへの添加
量 本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスには、マレイミ
ド基との共重合性を有するモノマーを必ずしも添加する
必要はないが、添加する場合、その添加量は活性エネル
ギー線硬化性ワニスの90質量%以下とするのが好まし
く、80質量%以下が特に好ましい。該モノマーの添加
率が90質量%を超えると、活性エネルギー線硬化性ワ
ニス中の、一分子中にマレイミド基とイソシアナト基を
有する化合物の含有率が10%未満となり、該ワニスを
使用した活性エネルギー線硬化性組成物塗膜のの活性エ
ネルギー線硬化性、および活性エネルギー線硬化後の、
該硬化塗膜中に残存するイソシアナト基と、環境雰囲気
中の湿気、あるいは該硬化塗膜中に残存するヒドロキシ
基との反応による後硬化性が低下する。
【0027】2)活性エネルギー線硬化性ワニスへの添
加剤 重合開始剤 本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスは、含有するマ
レイミド基が重合開始能を有するので、重合開始剤を添
加しなくても活性エネルギー線の照射により重合する
が、重合反応をより効率的に行なうために、必要に応じ
て公知慣用の光重合開始剤やラジカル重合開始剤を添加
してもよい。光重合開始剤としては、たとえば、ジエト
キシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−フェニルプロパン−1−オン、などのアセトフェノン
系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベン
ゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニ
ルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド
系;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−
4−フェニルベンゾフェノン、などのベンゾフェノン
系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチ
ルチオキサントンなどのチオキサントン系;ミヒラーケ
トン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどの
アミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロア
クリドン、2−エチルアンスラキノンなどが挙げられ
る。ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾイルや
2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられ
る。本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスにラジカル
重合開始剤を添加した場合は、活性エネルギー線照射に
加え、加熱することにより重合、および硬化を促進する
ことができる。重合開始剤を使用する場合の配合率は、
活性エネルギー線硬化性ワニスの0.01〜10質量%
の範囲内で、できる限り低くするのが好ましい。
【0028】光増感剤 前述したように、本発明の活性エネルギー線硬化性ワニ
スは、重合開始剤を必要としないが、同様に光増感剤も
また必ずしも必要ではない。しかしながら、光重合反応
をより効率的に行なうために、必要に応じて光増感剤を
添加してもよい。光増感剤としては、たとえば、トリエ
タノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソ
プロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチ
ル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチル
アミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルア
ミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブト
キシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチル
ヘキシル等のアミン類が挙げられる。光増感剤を使用す
る場合の配合量も重合開始剤の場合と同様に、活性エネ
ルギー線硬化性ワニスの0.01〜10質量%の範囲内
で、できる限り低くするのが好ましい。
【0029】その他の添加剤 本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスには、用途に応
じて、塗料やインキに使用されている、合成樹脂、充填
剤、カップリング剤、粘着付与剤、消泡剤、レベリング
剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔
料、染料等を適宜添加することができる。
【0030】塗料やインキに使用されている合成樹脂と
しては、たとえば、(メタ)アクリル酸エステル共重合
体、エポキシ樹脂、液状ポリブタジエン、飽和ポリエス
テル、ポリエーテル、石油樹脂、ロジン樹脂、フッ素樹
脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0031】充填剤としては、たとえば、二酸化珪素、
酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タル
ク、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、ガラス、雲母、硫酸
バリウム、などの無機充填剤、ベンゾグアナミン樹脂、
シリコーン樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチ
レン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリスチレン、
架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、フッ素樹脂、ナ
イロン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、ポリイミド樹脂、などの有機充填剤が挙げられる。
【0032】カップリング剤としては、たとえば、公知
慣用のシランカップリング剤、チタネート系カップリン
グ剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系
カップリング剤などが挙げられる。これら以外の添加剤
に関しては、いずれも公知慣用のものを使用することが
できる。
【0033】(3)活性エネルギー線硬化性ワニスの調
製方法 本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスを調製するに
は、上記した各成分を混合すればよく、混合の順序や方
法は特に限定されない。活性エネルギー線硬化性ワニス
は、実質的には溶剤を必要としないが、たとえば、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素など
その他の一般によく用いられる有機溶剤で希釈して使用
することもできる。
【0034】2.本発明の活性エネルギー線硬化性ワニ
スの用途 本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスは、その塗膜を
硬化させる際に、重合開始剤を必要としない。したがっ
て、本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスを使用した
場合は、従来、重合開始剤が原因で発生していた硬化時
の悪臭、硬化塗膜の黄変、硬化塗膜の悪臭がなく、かつ
硬化塗膜からの溶出物量を低下させることができる。さ
らに、本発明の活性エネルギー線硬化性ワニス含有する
活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は、イソシア
ナト基を有する樹脂を含有するので、活性エネルギー線
照射によって硬化した後、環境雰囲気中の湿気、もしく
は該硬化塗膜中の成分が有するヒドロキシ基とイソシア
ナト基が反応し、ウレタン結合することによってさらに
硬化が進む。その結果、得られた硬化塗膜は柔軟性に富
み、硬化収縮に伴う残存内部応力が緩和されるので、基
材への密着性が高まる。
【0035】したがって、本発明の活性エネルギー線硬
化性ワニスは、とりわけ消費者が直接触れる機会の多
い、平凸版インキ、フレキソインキ、グラビアインキ、
スクリーンインキなどのインキ、ツヤニス、紙塗工剤、
木工用塗料、飲料缶用塗工剤、軟包装フィルム塗工剤な
どのコーティング剤、フィルムラミネート用を除く接着
剤、粘着剤剤などへの用途に有用である。本発明の活性
エネルギー線硬化性ワニスをフィルムラミネート用接着
剤に使用した場合は、接着剤層が通気性のない二枚のフ
ィルム間に密閉された状態となるために、重合開始剤を
使用しないことによる本発明の効果が発現しにくい。
【0036】3.本発明の活性エネルギー線硬化性ワニ
スを含有する活性エネルギー線硬化性組成物塗膜の硬化
方法 本発明の活性エネルギー線硬化性ワニスを含有する活性
エネルギー線硬化性組成物(以下、単に「活性エネルギ
ー線硬化性組成物」と略記する。)の塗膜は、200〜
400nmに固有の分光感度を有しており、光重合開始
剤を使用しなくても、波長180〜500nmの紫外線
または可視光線、または電子線などの活性エネルギー線
を照射することにより、空気中の酸素によってほとんど
阻害されることなく重合し、硬化する。また、前述のよ
うに、活性エネルギー線硬化性組成物塗膜はイソシアナ
ト基を有する化合物を含有するので、活性エネルギー線
照射によって硬化した後、環境雰囲気中の湿気、もしく
は該硬化塗膜中に含有される成分が有するヒドロキシ基
とイソシアナト基が反応してさらに硬化が進む。
【0037】以下に、活性エネルギー線として光線を使
用し、重合開始剤を含有しない活性エネルギー線硬化性
組成物塗膜の硬化方法について説明する。活性エネルギ
ー線硬化性組成物塗膜を硬化させるためには、まず基材
上に該組成物を塗布して塗膜を形成し、これに波長18
0〜500nmの紫外線または可視光線を照射する。光源
には、たとえば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超
高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルラン
プ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エ
キシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミ
ニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザ
ー、太陽光などを使用することができる。
【0038】光線の照射によって活性エネルギー線硬化
性組成物塗膜中のワニス成分が光重合し、短時間内に硬
化する。その後、ワニス成分が有するイソシアナト基
が、環境雰囲気中の湿気(水分)あるいはワニス成分が
有するヒドロキシ基と反応し、ウレタン結合を形成して
さらに硬化が進むと同時に、基材との密着性が高まる。
【0039】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
さらに詳細に説明する。特に断らない限り、「部」およ
び「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を表
す。
【0040】(合成例1)N−ヒドロキシメチルマレイ
ミドの合成 冷却管および攪拌機を備えた反応容器に、36%ホルム
アルデヒド水溶液33.3部およびマレイミド19.4
部を仕込み、100℃で1時間還流した。反応終了後、
反応混合物から、減圧下で水25部を留去し、析出した
沈殿物をろ別した。ろ過物を2−プロパノールから再結
晶してN−ヒドロキシメチルマレイミドの白色結晶1
4.2部を得た。
【0041】(合成例2)N−(ヒドロキシエチル)−
マレイミドの合成 無水マレイン酸49部、エタノールアミン30.5部
を、それぞれ120部のアセトンに溶解し、両溶液を、
氷冷した反応容器中に等量づつ5時間かけて撹拌しなが
ら滴下し、さらに2時間攪拌した。反応終了後、アセト
ンを減圧留去し、残留物を酢酸エチルから再結晶してヒ
ドロキシエチルマレアミド酸48部を得た。次に、冷却
管および攪拌機を備えた反応容器に、ヒドロキシエチル
マレアミド酸31.6部、無水酢酸204部、酢酸ナト
リウム10部を加え、60℃で5時間攪拌した。反応終
了後、酢酸および無水酢酸を減圧留去し、残査をクロロ
ホルムで抽出した。抽出液を濃縮して析出した結晶を濾
集した。
【0042】得られた結晶18.3部を、冷却管および
攪拌機を備えた反応容器に入れ、メタノール200部、
p−トルエンスルホン酸・1水和物**部を加え、8時
間還流した。反応終了後、メタノールを減圧留去し、残
査を***の**%エタノール溶液で洗浄した。乾燥
後、トルエンから再結晶してN−ヒドロキシエチルマレ
イミドの白色結晶18.3部を得た。
【0043】(合成例3)マレイミド誘導体Aの合成 滴下ロート、冷却管および攪拌機を備えた反応容器に、
イソホロンジイソシアネート8.9部、ジブチルチンジ
ラウレート0.03部、2,6−tert−ブチル−p
−クレゾール0.06部およびメチルエチルケトン8部
を仕込み、窒素気流下60℃で攪拌しながら、数平均分
子量1000のテトラメチレングリコール(保土谷化学
株式会社製「PTGL1000」、ゲル・パーミエーシ
ョン・クロマトグラフィー(以下、GPCと略記す
る。)によるポリスチレン換算数平均分子量2100、
質量平均分子量5000)20部を1時間かけて滴下
し、**時間撹拌した。次いで、窒素気流下60℃で、
合成例1で得たN−ヒドロキシメチルマレイミド2.0
4部を1時間かけて加え、3時間後から5時間後にかけ
て、赤外線吸収スペクトルでイソシアナト基に帰属され
る2250cm−1の吸収に変化がなくなったことを確
認した上で、反応を終了した。反応混合物を濃縮し、一
分子中にマレイミド基とイソシアナト基を有する化合物
を含む、淡黄色液体のマレイミド誘導体A30部を得
た。
【0044】(合成例4)マレイミド誘導体Bの合成 合成例3における、数平均分子量1000のテトラメチ
レングリコール(保土谷化学株式会社製「PTGL10
00」、GPCによるポリスチレン換算数平均分子量2
100、重量平均分子量5000)20gに代えて、数
平均分子量600のポリエチレングリコール(関東化学
株式会社製、GPCによるポリスチレン換算数平均分子
量655、質量平均分子量686)12部を用いた以外
は、合成例3と同様にして、マレイミド誘導体Bの淡黄
色液体22部を得た。
【0045】(合成例5)マレイミド誘導体Cの合成 冷却管および攪拌機を備えた反応容器に、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート16.8部、ジブチルチンジラウレ
ート0.03部、2,6−tert−ブチル−p−クレ
ゾール0.06部およびメチルエチルケトン20部を仕
込み、窒素気流下45℃で攪拌しながら、数平均分子量
1000のグリセリンのプロピレングリコール変性物
(三洋化成株式会社製「サンニックスGP1000」、
GPCによるポリスチレン換算数平均分子量2100、
質量平均分子量2100)20部を1時間かけて徐々に
添加し、6時間撹拌した。次いで、合成例2で得たN−
ヒドロキシエチルマレイミド9.9gを窒素気流下60
℃で1時間かけて加え、3時間後から5時間後にかけ
て、赤外線吸収スペクトルでイソシアナト基に帰属され
る2250cm−1の吸収に変化がなくなったことを確
認した上で、反応を終了した。反応混合物を濃縮し、一
分子中にマレイミド基とイソシアナト基を有する化合物
を含む、淡黄色液体のマレイミド誘導体C46部を得
た。
【0046】(合成例6)マレイミド誘導体Dの合成 合成例3における、数平均分子量1000のポリテトラ
メチレングリコール20部に代えて、数平均分子量50
0のポリメチルペンタンジオールアジペート(クラレ株
式会社製「クラポールP−510」、GPCによるポリ
スチレン換算数平均分子量760、質量平均分子量83
0)10部を、N−ヒドロキシメチルマレイミド2.0
4部に代えてヒドロキシエチルマレイミド3.4部を用
いた以外は、合成例3と同様にしてマレイミド誘導体D
の透明粘稠液体22部を得た。
【0047】(合成例7)イソシアナトを有するウレタ
ンアクリレートEの合成 合成例3における、数平均分子量1000のポリテトラ
メチレングリコール20部に代えて、数平均分子量50
0のポリメチルペンタンジオールアジペート(クラレ株
式会社製「クラポールP−510」、GPCによるポリ
スチレン換算数平均分子量760、質量平均分子量83
0)10部を、N−ヒドロキシメチルマレイミド2.0
4部に代えて2−ヒドロキシエチルアクリレート2.8
部を用いた以外は合成例3と同様にして、イソシアナト
を有するウレタンアクリレートEの透明粘稠液体20部
を得た。
【0048】(合成例8)マレイミドカプロン酸の合成 滴下ロート、冷却管および攪拌機を備えた反応容器に、
6−アミノカプロン酸65.5部および酢酸420部を
仕込み、室温で攪拌しながら、無水マレイン酸49部お
よび酢酸315部に溶解した溶液を2時間かけて滴下し
た。滴下終了後、さらに1時間攪拌を続けた後、反応を
終了させた。生じた沈殿をろ取し、メタノールから再結
晶させてN−カプロン酸マレアミン酸111部を得た。
【0049】次に、ディーンスターク型分留器および攪
拌機を備えた反応容器に、N−カプロン酸マレアミン酸
45.8部、トリエチルアミン40.4部およびトルエ
ン420部を仕込み、生成する水を除去しながら1時
間、還流温度で反応を続けた。反応混合物からトルエン
を留去して得た残留物に、0.1N塩酸を加えてpH2
に調整した後、酢酸エチル90部で3回抽出した。有機
相を分離し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、
酢酸エチルを減圧留去して得た粗生成物を水から再結晶
してマレイミドカプロン酸の淡黄色結晶19部を得た。
【0050】(合成例9)マレイミド誘導体Fの合成 ディーンスターク型分留器および攪拌機を備えた反応容
器に、マレイミドカプロン酸21.1部、数平均分子量
600のポリエチレングリコール(関東化学株式会社
製、GPCによるポリスチレン換算数平均分子量65
5、質量平均分子量686)60部、ジブチルスズオキ
シド0.2部、およびトルエン435部を仕込み、常法
により還流温度で脱水エステル化反応を行い、ポリエチ
レングリコールのマレイミドカプロン酸モノエステル
(マレイミド誘導体F)78部を得た。
【0051】(実施例1〜5)および(比較例1〜4)
表1および表2に示した各材料の配合により、それぞれ
活性エネルギー線硬化性塗料(以下、単に「塗料」と略
記する。)、活性エネルギー線硬化性インキ(以下、単
に「インキ」と略記する。)、および活性エネルギー線
硬化性接着剤(以下、単に「接着剤」と略記する。)を
調製し、下記の方法に従って試験を行い、下記評価基準
に基づいてその結果を評価した。
【0052】<試験方法> (試験用試料の作成)各実施例および比較例で得たそれ
ぞれの塗料を、各々バーコーター#7あるいは#10を
用いて、硬化後の塗膜厚が10μmになるように、飲料
缶用の厚さ約120μmの処理アルミニウム板上に塗布
した。それぞれのインキは、豊栄精工(株)製RIテス
ターを使用して、インキの展色量が2.5g/mとな
るようにアルミニウムラミネート紙上に展色した。
【0053】次いで、塗膜に、アイ・グラフィックス株
式会社製120W/cm高圧水銀ランプを用いて、ラン
プからの距離15cm、コンベア速度10m/分の条件
で、紫外線を照射し、試験用試料を得た。なお、株式会
社トプコン製工業用UVチェッカー「UVR−T37」
を用いて紫外線光量を測定したところ、1回の紫外線照
射量は、1600J/mであった。各試験用試料につ
いて、以下の硬化塗膜試験を行い、その結果と評価を表
1および表2に示した。
【0054】(1)UV硬化性 UV照射後の硬化塗膜の表面硬化性を指触試験により、
また内部硬化性を爪引っ掻き試験により評価した。 <評価基準> ○:内部まで充分に硬化。 △:内部はやや硬化が不十分。 ×:全体に硬化不充分。
【0055】(2)密着性 JIS K−5600−5−6に準拠し、クロスカット
テープ剥離試験を実施した。試験は、UV照射直後の初
期密着性および25℃で1日経過後の経時密着性の両方
を実施した。但し、インキ展色試料は、クロスカット無
しのテープ剥離試験を行った。 <評価基準> (塗料) ○:剥がれなし。 △:クロスカット部のいずれかの方向に1.5mm以内
の剥がれあり。 ×:クロスカット部の大部分に剥がれあり。 (インキ) ○:剥がれなし。 △:テープ密着部分の一部に剥がれあり。 ×:テープ密着部分の大部分に剥がれあり。
【0056】(3)硬化塗膜の臭気 UV照射直後の硬化塗膜の臭気を人の嗅覚によって官能
評価した。 <評価基準> ○:全く、あるいはほとんど臭気無し。 △:臭気はあるが、しばらくするとほとんど無くなる ×:悪臭がする。
【0057】(4)接着性 接着性の評価は、以下の方法で試験した。厚さ120μ
mの処理アルミニウム板を2枚用意し、その1枚に、実
施例5および比較例4の接着剤を#5バーコーターを用
いて、膜厚が5μmとなるように塗布した。次いで、1
20W/cmアイ・グラフィックス株式会社製高圧水銀
ランプを用いて、ランプからの距離15cm、コンベア
速度10m/分の条件で、塗膜にを紫外線を照射し、た
だちに別のアルミニウム板を貼合した。貼合したアルミ
ニウム板の25℃1日経過後の接着力を、引っ張り試験
機により引っ張り速度300mm/分の速度、剥離角度
90度で測定した。 <評価基準> ○:接着強度が2N/15mm以上である。 △:接着強度が0.5N/15mm以上、2N/15m
m未満である。 ×:接着強度が0.5N/15mm未満である。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】表1および表2において、「マレイミドA
〜DおよびF」は、それぞれ合成例3〜6および合成例
9にした「マレイミド誘導体A〜DおよびF」を表す。
「ウレタンAc.E」は、合成例7にした「ウレタンア
クリレートE」を表す。「MIA200」は、大日本イ
ンキ化学工業株式会社製ポリテトラメチレンエーテルグ
リコールのジマレイミド酢酸エステル「LUMICUR
E MIA200」を表す。「MANDA」は、日本化
薬株式会社製ヒドロキシピバリン酸エステル変性ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート「カヤラッドMAND
A」を表す。「DVE3」は、ISP社製トリエチレン
グリコールジビニルエーテル「DVE−3」を表す。
【0061】「DPHA」は、東亜合成株式会社製ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート「アロニクス
M−400」を表す。「M9050」は、東亞合成株式
会社製ポリエステルアクリレート「アロニクスM−90
50」を表す。「Irg189」は、チバスペシャルテ
ィー製光重合開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン「イルガキュア184」を表す。「紅顔料」
は、大日本インキ化学工業株式会社製顔料「シムラーブ
リリァントカーミン6B」を表す。「TR2200」
は、ゴールドシュミットケミカル製シリコーンアクリレ
ート「TEGO RAD 2200」を表す。表1およ
び表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜3
の塗料および実施例4のインキは、いずれもすべての試
験項目において優れた結果を示している。実施例5の接
着剤も良好な接着性能を有している。
【0062】
【発明の効果】本発明の活性エネルギー線硬化性ワニス
は、一分子中にマレイミド基とイソシアナト基を有する
化合物を含有するので、該ワニスを使用した塗料、イン
キ、または接着剤は、活性エネルギー線を照射すること
によって重合開始剤を使用しなくても重合、硬化し、そ
のため、重合開始剤に起因する硬化塗膜の黄変や臭気を
避けることができる。
【0063】さらに、活性エネルギー線照射で硬化した
後も、硬化塗膜中に存在するイソシアナト基が、環境雰
囲気中の湿気や硬化塗膜中の成分が有するヒドロキシ基
と反応し、ウレタン結合を形成してさらに硬化が進み、
柔軟で強靱な硬化塗膜を形成する。その結果、硬化収縮
に伴う残存内部応力が緩和され、基材との密着性が高ま
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 4/00 C09J 4/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一分子中にマレイミド基とイソシアナト
    基を有する化合物を含有することを特徴とする活性エネ
    ルギー線硬化性ワニス。
  2. 【請求項2】 前記一分子中にマレイミド基とイソシア
    ナト基を有する化合物がウレタン化合物である請求項1
    に記載の活性エネルギー線硬化性ワニス。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の活性エネルギー線硬化
    性ワニスを含有することを特徴とする活性エネルギー線
    硬化性塗料。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の活性エネルギー線硬化
    性ワニスを含有することを特徴とする活性エネルギー線
    硬化性インキ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の活性エネルギー線硬化
    性ワニスを含有することを特徴とする活性エネルギー線
    硬化性接着剤。
  6. 【請求項6】 基材上に、請求項1に記載の活性エネル
    ギー線硬化性ワニスを含有するが、重合開始剤を含有し
    ない活性エネルギー線硬化性組成物の塗膜層を設け、該
    塗膜層に活性エネルギー線を照射してこれを硬化させた
    後、該硬化塗膜層中に残存するイソシアナト基と、環境
    雰囲気中の湿気、もしくは該硬化塗膜層中に含有される
    成分が有するヒドロキシ基との反応によって、さらに後
    硬化させることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組
    成物塗膜の硬化方法。
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