JP5014299B2 - 耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜 - Google Patents

耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜 Download PDF

Info

Publication number
JP5014299B2
JP5014299B2 JP2008252240A JP2008252240A JP5014299B2 JP 5014299 B2 JP5014299 B2 JP 5014299B2 JP 2008252240 A JP2008252240 A JP 2008252240A JP 2008252240 A JP2008252240 A JP 2008252240A JP 5014299 B2 JP5014299 B2 JP 5014299B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
parts
weight
water
coating film
electrodeposition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008252240A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010083933A (ja
Inventor
幸弘 述金
Original Assignee
ハニー化成株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ハニー化成株式会社 filed Critical ハニー化成株式会社
Priority to JP2008252240A priority Critical patent/JP5014299B2/ja
Publication of JP2010083933A publication Critical patent/JP2010083933A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5014299B2 publication Critical patent/JP5014299B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、熱に弱いめっき基材に対し、良好な耐傷つき性を付与する紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物、及び、それを用いて得られる塗膜に関するものである。
これまでめっきの耐食性向上に電着塗料が用いられてきたが、一般的なめっき上の電着塗料は熱硬化型であるため、熱変形に弱いプラスチックめっきや熱変色しやすい金属等の上には使用できなかった。
そこで、その対策として熱硬化型ではなく紫外線硬化型電着塗料が考えられ、その提案は古くからなされてきている(特許文献1〜7)。
水溶性又は水分散性の重合性不飽和樹脂を含む成分と非水溶性光重合開始剤を主成分としてからなるアニオン電着性光硬化性組成物が提案されている(特許文献1)。これらの組成物は、光硬化性組成物を複雑な形状の被塗物に均一に塗布する効果はあるが、アニオン型であるので電着時に被塗物の溶出が起こり、めっき素材の変色を起こすため、基材が限定される問題があった。
カチオン型としては、水溶性又は水分散性樹脂のバインダーの一部にエポキシ化ポリブタジエンを使用した紫外線硬化型カチオン電着性組成物が提案されている(特許文献2)。これらの組成物では、塗膜の黄変が起こるため、めっき上の塗装のようにめっき感を活かすために塗膜の透明性が要求される用途に使用はできない。
紫外線硬化電着塗料として、電着フォトレジスト、例えば、カチオン性の水溶性又は水分散性の(メタ)アクリル樹脂、多官能(メタ)アクリル樹脂、光重合開始剤等からなる組成物が提案されている(例えば特許文献3)。これらの電着フォトレジストは、エッチング、めっきマスク、プリント配線板の微細加工用途に使用されており、最終的な塗膜としては残存しない。そのため組成物をめっき素材上に適用しようとした場合、紫外線照射時の硬化塗膜性能として基材への密着性や耐候性に劣り、また、経時での塗膜黄変、剥離が発生するため耐食性の要求されるめっき素材上には使用できない。
メッキ素材用にカチオン電着性を有する平均分子量2000〜30000の樹脂と分子中に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートを使用する方法(特許文献4)が開示されている。しかしながら、これらの組成物では、所定の性能を得るのに非常に多くの光照射量が必要であり、そのためめっき基材が紫外線硬化ランプ光源から発せられる赤外光を吸収し、ABS樹脂のような耐熱温度の低い基材では熱変形を起こすという問題があった。
上記組成物で耐熱性の低いめっき基材を熱変形させないためには、高感度化(光照射量を下げる)が必要であるが、光重合開始剤として、アルコール系溶剤が存在すると水層に移行しやすいものを使用しているため、光重合開始剤の量を必要以上に増やさないといけなく、光重合開始剤を増やすと基材との密着性低下や、塗膜中に残存して塗膜の経時劣化を促進する原因となるため問題があった。
また、電着塗料は、通常のスプレー塗料のごとく使い切りではなく、使用した量の塗料固形分を補給し、連続して使用するために経時安定性が特に重要であるが、これらの組成物では硬化剤の加水分解が起こるため電着塗料の経時安定性が悪く、電着塗料液を定期的に全量更新することが必要であった。
水層への光重合開始剤の移行性を改良する方法として、水酸基を有する光重合開始剤、
水酸基を有するメタアクリロイルエステル、及び、アルカノールアミンとトリイソシアネートの反応物からなる、水分散性光重合開始剤を使用する方法(特許文献5)も考えられるが、水分散性光重合開始剤自体がカチオン電着性を有するので、基体樹脂との電着析出性に差異が生じるため、安定した塗膜性能が得がたく、水分散性光重合開始剤の合成も煩雑である。
また感度を上げる方法として、側鎖に不飽和結合を導入する方法が提案されている(特許文献6)。この方法では、一分子中に不飽和結合と水酸基を有する化合物とジイソシアネートの反応から合成された一分子中に不飽和基とイソシアネート基を有する化合物に基体樹脂の水酸基を反応させるが、反応工程が複雑であり、また、イソシアネートエチルアクリレートのごとき一分子中に不飽和基とイソシアネート基を有する化合物を使用しても良いが、製造コストが上昇し、電着塗料として使用する場合は、側鎖の不飽和基が硬化剤と反応して凝集物を生じ、塗料の経時安定性が良好でなかった。
上記問題を解決する方法として、付加開裂型連鎖移動剤を使用し、主鎖末端の一部に不飽和基を導入したアクリル樹脂と他官能アクリレート、及び、アルコール系溶剤3%を含む水100gに対する25℃での溶解量が0.02g未満、且つ、200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である光重合開始剤を使用する方法が提案されている(特許文献7)。この方法では、液安定性が良好、高感度で且つ、良好な塗膜性能が得られる。しかし塗膜硬度として鉛筆硬度3H(塗膜剥離)の塗膜であるにもかかわらず、爪で引っ掻くと傷がつくという問題があった。傷つき性の改善のために光重合開始剤の量や硬化剤量を増量すると塗膜硬度が高くなり、傷つき性は良化するが、紫外線硬化による応力ひずみが増大し基材との付着性が低下するといった問題があった。
以上のように、液経時安定性が良好であり、高感度で、且つ、耐傷つき性、表面硬化性、付着性が良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物は未だなかった。
特開昭52−21526号公報 特開昭60−76572号公報 特開2003−330188号公報 特許3192197号公報 特開2007−138134号公報 特開2004−10779号公報 特願2007−248430号
本発明は、前記したような従来技術における問題を解決し、液経時安定性が良好であり、高感度で、且つ、耐傷つき性、表面硬化性、付着性が良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明者は、特定の水溶性又は水分散性ビニル系共重合体、一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物、特定の光重合開始剤、さらに、樹脂変性ポリジメチルシロキサンを含有することを特徴とする紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物を用いて、電着塗装を行なうことで克服できることを見出し、本願発明にいたった。
すなわち本発明は、
(A) 以下の(a)〜(c)成分を用いて共重合することにより得られる、一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体 50〜80重量部、
(a)置換基として3級アミノアルキル基を有する共重合性ビニル系単量体 4〜15重量部
(b)(a)以外の共重合性ビニル系単量体 85〜96重量部
(c)付加開裂型連鎖移動剤 共重合性ビニル系単量体(a)と(b)の合計100重量部に対し、0.05〜20重量部
(B) 一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物 20〜50重量部、
(C) アルコール系溶剤を3%含む水100gに対する25℃での溶解量が0.02g未満、且つ、200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である光重合開始剤 (A)と(B)の合計100重量部に対して、0.1〜8重量部
(D) 樹脂変性ポリジメチルシロキサンを(A)と(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部
を含有することを特徴とする耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物、を要旨とするものである。
本発明は以上説明したように構成されているから、本発明の紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物を使用することで、照射光量が低くなるためプラスチックめっき基材の変形がなく、経時で安定した塗膜性能が得られ、また、当該電着塗料用組成物を用いて形成された電着塗膜は、良好な耐傷つき性、表面硬化性、付着性を有しており、産業上極めて有用である。
本発明の構成と作用を説明する。本発明においては、一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体(A)、一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物(B)、アルコール系溶剤を3%含む水100gに対する25℃での溶解量が0.02g未満、且つ、200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である光重合開始剤(C)、樹脂変性ポリジメチルシロキサン(D)の各成分は、耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物を得るための必須構成成分である。
(A)成分の水溶性又は水分散性のビニル系共重合体を構成する、置換基として3級アミノアルキル基を有する共重合性ビニル系単量体(a)としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリル系カチオン電着塗料に一般的に使用されるものを用いられるがこれらに限定されない。なかでもジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートを用いるのが望ましい。
また本発明において置換基としてアミノアルキル基を有する共重合性ビニル系単量体は、これまでのアクリルカチオン電着における水分散性や電気泳動性の効果だけでなく、置換基のアミノアルキル基に紫外線硬化時の酸素による硬化障害の原因となるパーオキシラジカルが連鎖移動することで、パーオキシラジカルを失活させ、且つ、重合開始する効果があり、塗膜表面の硬化性を向上させる。
(A)成分の一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体を構成する、その他のビニル系単量体(b)としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、ノルマルヘキシルアク
リレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、ノルマルヘプチルアクリレート、ノルマルヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノルマルラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等の炭素数約20までのアルキル基を有する同様な共重合性ビニルエステルやシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの側鎖に脂環式炭化水素基を有する共重合性ビニルエステル系単量体、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等の水酸基含有単量体、及び、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族基を有するビニル系単量体が使用できる。さらにアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、N−イソブトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類やアクリロニトリル、酢酸ビニル等を使用することも出来る。
(A)成分の一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体を構成する付加開裂型連鎖移動剤(c)は、開始剤により発生した開始ラジカルや成長ラジカルが付加開裂型連鎖移動剤に付加反応することでω末端が開裂し、新たに、ラジカルを生成して、その生成ラジカルが重合開始するタイプの連鎖移動剤であり、その開裂の際にポリマー末端に不飽和結合を形成することで、マクロモノマーの合成に利用される。
本発明における付加開裂型連鎖移動剤の効果としては、水溶性、または、水分散性ビニル系共重合体の一部の主鎖末端に不飽和結合を導入できる。そのため一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物との相溶性がきわめて優れ、一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物をコアとしたコアシェル型エマルジョンを形成するので、一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物の加水分解が抑制されるため液安定性が良好である。また紫外線硬化時には、マクロモノマーとして、架橋ネットワークに組み込まれることで、硬化収縮を低減して、めっき基材との密着性を向上させる効果もある。
具体的には、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(αメチルスチレンダイマー)、α−ブロモメチルアクリル酸メチル、α−ベンジルオキシメチルアクリル酸エチル、α−ベンジルオキシメチルスチレン等があげられるが、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが好ましい。
(A)成分の一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体を重合する際に使用される溶剤は、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル等のセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類が望ましい。
(A)成分の一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体を重合する際に使用される重合開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等の過酸化物等が使用できる。
さらに(B)成分の一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオール誘導体の多官能(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールトリアリレート、ペンタエリスリトールテトラアリレート、トリメチロールプロパントリアリレート等の多官能アリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、市販品としてはアロニックスM−7100、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060(いずれも東亞合成(株)製)、EO変性多官能アクリレート、PO変性多官能アクリレートなどのポリエーテル(メタ)アクリレート類、市販品としてはEBERCRYL12、EBERCRYL40(いずれもダイセル・サイテック(株)製)、アロニックスM−310、アロニックスM−350、アロニックスM−360、アロニックスM−370(いずれも東亞合成(株)製)、ネオマーTA−401、TA−505、EA−301(いずれも三洋化成工業(株)製)、NKエステルATMPT−3EO、NKエステルATMPT−9EO、NKエステルATM−4E、NKエステルATM−4P、NKエステルTMPT−9EO(いずれも新中村化学工業(株)製)、ウレタンアクリレート、デンドリティックアクリレート等が用いることが出来るがこれらに限定されない。また、上記の一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物としては、ポリエーテル(メタ)アクリレートをその全部、または、一部使用することが望ましい。
その理由は、親水性基であるポリエーテル基を有するアクリレートを使用することにより、他のアクリレートを使用した場合に比べ、電着塗装時の陰極ガスにより発生する塗膜欠陥であるピンホールを低減することができ、そのために塗装外観が良好になる効果が得られるためである。
本発明における一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体(A)のアルキルアミノ基を中和するのに用いることのできる酸としては、ギ酸、酢酸、乳酸等が挙げられる。酸は、(A)成分中の3級アルキルアミノ基に対して、モル比が0.3〜0.9となるように添加すればよい。
次に、(C)成分のアルコール系溶剤を3%含む水100gに対する25℃での溶解量が0.02g未満、且つ、200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である光重合開始剤について詳細を示す。
通常の塗布型水系紫外線硬化塗膜においては特に問題とはならないが、紫外線硬化型電着塗料では、光重合開始剤の塗膜中への共進性が非常に重要な要件である。これまで、疎水性や非水溶性の光重合開始剤を使用すれば電着塗料に使用できると特許等の文献に多数示されているが、今回本願発明者らは、実際のところアルコール系溶剤を使用している場合、水に溶けない光重合開始剤もアルコール系溶剤を介し、水中に溶け出していることを見出した。アルコール系溶剤(イソプロピルアルコール1g、プロピレングリコールモノメチルエーテル2g)に光重合開始剤を溶かし、脱イオン水で総量を100gにしたときに、液が完全に透明な場合を溶解していると判断した。その主な結果を表1に示す。
Figure 0005014299
イソプロピルアルコールやプロピレングリコールモノメチルエーテルは、水溶性又は水分散性のビニル系共重合体を合成する際に一般的に使用されるが、水に容易に溶解するために、水溶性または水分散性のビニル系共重合体を中和し、乳化転相した後に、樹脂中に存在するものも水層に移行する傾向にある。
その際に、アルコール系溶剤を3%含む水100gに対する25℃での溶解量が0.0
2g以上の光重合開始剤は、例えば、電着塗料が固形分10%に対し、1%光重合開始剤を使用している場合、塗膜中に存在する光重合開始剤の20%以上が水層に移行する可能性があることを示している。
その結果、水層に移行する量が多くなり、電着時に塗料樹脂とともに析出する光重合開始剤の量が低下することに加え、塗膜表面のムラをなくす目的で電着後に析出塗膜表面の不安定層を除去する水洗工程においても、塗膜表面に存在する光重合開始剤が水洗水中に溶解するために塗膜の硬化性がさらに低くなる。
しかしながら、アルコール系溶剤を3%含む水100gに対する25℃での溶解量が0.02g以上の光重合開始剤を使用しても良好な表面硬化性が出ない場合がある。
そこで、さらに鋭意研究した結果、理論的な機構は解明していないが、分光光度計にて測定した200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である光重合開始剤(C)を使用することで良好な表面硬化性が得られることを見出した。
本発明に使用できるアルコール系溶剤を3%含む水100gに対する25℃での溶解量が0.02g未満、且つ、200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である光重合開始剤(C)として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン、2−(4−メチル)ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノンなどのα−アミノケトン類、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、オリゴ 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名:EsacureKIP150、EsacureONE等Lamberti社製)等の分子量300以上のα−ヒドロキシケトン類、2,4−ジエチルチオキサントン、高分子チオキサントン(商品名:GENOPOL TX、RAHN社製)等のチオキサントン類、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルフォニル]プロパン−1−オン等のケトスルフォン類が使用できる。
なかでも、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン、2−(4−メチル)ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノンなどのα−アミノケトン類、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、オリゴ 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名:EsacureKIP150、EsacureONE等Lamberti社製)等の分子量300以上のα−ヒドロキシケトン類、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルフォニル]プロパン−1−オン等のケトスルフォン類が好ましい。
上記の光重合開始剤においては、1種、または、2種以上組み合わせて使用することができる。また、黄変しない程度にアミン等の光増感剤を併用することもできる。
本発明に使用できる樹脂変性ポリジメチルシロキサンとしては、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン、ポリエステル変性ジメチルシロキサン等がある。
各々市販品の一例としては、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンは、SF8427、BY16−004、SH3748、SH3749、SH8400、SH8410(東レ・ダウコーニング(株))、BYK−300、BYK−306、BYK−307、BYK−3
30、BYK−333、BYK−337、BYK−344、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3510(ビッグケミー(株)製)、ポリエステル変性ジメチルシロキサンは、BYK−310、BYK−315、BYK−UV3570(ビッグケミー(株)製)等があげられるがこれらに限定されない。
その他の有機変性したポリジメチルシロキサン、例えば、両末端をメタクリレート基で変性したポリジメチルシロキサンでは、本発明における一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体(A)との相溶性が悪いために塗膜表面に濃化して、逆に紫外線硬化阻害し、塗膜表面に粘着性がでたり、拭き取りで容易に除去される。また、ポリジメチルシロキサン自体疎水性が強いために電着塗装時の陰極ガスを抱き込み、塗膜にピンホールが出来やすく、紫外線硬化であるためにレベリング効果も期待できないため仕上がり外観が悪くなりやすい問題もある。そのため、親水性基で変性したポリジメチルシロキサンが好ましいが、電着塗装であるのでイオン性を示す官能基であるアミノ基、カルボキシル基を有しているものは使用できない。
このような技術的背景から、本発明で使用する樹脂変性ポリジメチルシロキサンとしては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが望ましく、さらに望ましいのは、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが望ましい。上記の樹脂変性ポリジメチルシロキサンにおいては、1種、または、2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明における一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性、または、水分散性ビニル系共重合体(A)により得られた電着塗膜は、プラスチックめっき基材への優れた密着性を有し、置換基としてアミノアルキル基を有する共重合性ビニル系単量体(a)4〜15重量部、好ましくは6〜12重量部、(a)以外の共重合性ビニル系単量体(b)が85〜96重量部、好ましくは88〜94重量部、共重合性ビニル系単量体(a)と(b)の合計100重量部に対し、付加開裂型連鎖移動剤(c)0.05〜20重量部、好ましくは0.5重量部〜5重量部を重合し作製した一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性、または、水分散性ビニル系共重合体により得られた電着樹脂組成物は、水分散性が特に良好であり、それにより得られた電着塗膜は、塗膜性能に優れている。
本発明の一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体(A)の構成である置換基としてアミノアルキル基を有する共重合性ビニル系単量体(a)が4重量部未満である電着樹脂組成物は液安定性が悪く、15重量部を超えると得られた塗膜の耐水性、耐薬品性が悪く、また、増感作用が大きくなるため黄変、基材との密着性が悪くなる。
共重合性ビニル系単量体(a)と(b)の合計100重量部に対し、付加開裂型連鎖移動剤(c)が0.05重量部未満であると液安定性が低下し、また硬化収縮が大きくなるので基材との密着性が悪くなり、20重量部を超えると未反応の付加開裂型連鎖移動剤が残存して硬化不足を生じる。
本発明の一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体(A)50〜80重量部、好ましくは、60〜75重量部、一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物(B)20〜50重量部、好ましくは、25〜40重量部で用いる。水溶性又は水分散性ビニル系共重合体(A)の割合が50重量部未満では、十分な水分散性が得られず液安定性が悪く沈降を生じやすくなり、80重量部を超えると十分な塗膜性能が得られない。
一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物(B)の割合が、20重量部未満では、十分な塗膜性能が得られず(耐薬品性、塗膜硬度)、50重量部以上では、十分な水分散性が得られず、また、製造コストも上昇する。
さらに(A)と(B)の合計100重量部に対して、アルコール系溶剤を3%含む水100gに対する25℃での溶解量が0.02g未満、且つ、200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である光重合開始剤(C)は、0.1〜8重量部、好ましくは、0.5〜5重量部で使用し、0.1重量部未満では、十分な塗膜性能(耐溶剤性、耐薬品性、塗膜硬度等)が得られず、8重量部を超えると硬化塗膜のめっき基材との密着性の低下、黄変、さらに製造コストが上昇する。
さらに(A)と(B)の合計100重量部に対して、樹脂変性ポリジメチルシロキサン(D)を0.01〜5重量部、好ましくは、0.1〜2重量部で使用し、0.01重量部未満では十分な耐傷つき性が得られず、5重量部を超えると仕上がり外観が悪くなり、製造コストが上昇する。
本発明により構成される紫外線硬化型カチオン電着樹脂組成物を用いた電着条件としては、通電工程において印加される電圧は10〜400V、好ましくは40〜150Vであり、通電時間は0.3分〜5分、好ましくは1〜4分である。電圧が高いほど通電時間は短く、電圧が低ければ通電時間を長くする。印加電圧は通電と同時に設定電圧をかけるハードスタート、あるいは徐々に設定電圧まで電圧を上げていくソフトスタートのいずれでもかまわない。
電着塗装された被塗装物は、水洗され、次いで60℃で10分間程度加熱し、塗装膜中の水分を乾燥したのちに紫外線硬化装置を用い、積算光量200mJ/cm〜2,000mJ/cmを照射して硬化塗膜を得る。
以下に本発明の実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の部は、特に断りのない限り重量部である。
製造例1
攪拌装置、還流冷却器および窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコにイソプロパノール10.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル10.0部を仕込み、90℃に昇温した。別にイソプロパノール5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル13部、ジエチルアミノエチルメタクリレート10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部、スチレン10部、n−ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート50部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1部の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。滴下終了後、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル0.4部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を、30分毎に3回添加したのちに、さらに90℃で90分反応を続けた。それにより得られた共重合体は、アミン価29.4mgKOH/g−resinの一部の主鎖末端に不飽和基を有する水分散性ビニル共重合体(固形分72.5%)であった。
製造例2
攪拌装置、還流冷却器および窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコにイソプロパノール10.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル10.0部を仕込み、90℃に昇温した。別にイソプロパノール5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル13部、ジエチルアミノエチルメタクリレート10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部、スチレン10部、n−ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート50部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。滴下終了後、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル0.4部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を、30分毎に3回添加したのちに、さらに90℃で90分反応を続けた。
それにより得られた共重合体は、アミン価29.6mgKOH/g−resinの水分
散性ビニル共重合体(固形分72.3%)であった。
[実施例1]
製造例1で得られたビニル系共重合体96.6部とペンタエリスリトールテトラアクリレート30部を混合し、乳酸1.8部を混合し、さらに2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名:Irgacure127、チバスペシャルティケミカルズ社製)2部、及び、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンBYK−306(ビッグケミー社製)1部を添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を211.9部加えて転相乳化を行ない、電着塗料用原液を得た。別の容器に脱イオン水を665.9部仕込み、攪拌しながら前記電着塗料用原液333.3部を投入し、次に乳酸を0.8部添加し電着塗料を得た。
[実施例2]
ペンタエリスリトールテトラアクリレートを使う代わりにアロニックスM−350(東亞合成社製)を使う以外は、実施例1と同様な方法で電着塗料を作製した。
[実施例3]
ペンタエリスリトールテトラアクリレート30部を使う代わりにペンタエリスリトールテトラアクリレート10部、アロニックスM−350(東亞合成社製)20部を使う以外は、実施例1と同様な方法で電着塗料を作製した。
[実施例4]
ペンタエリスリトールテトラアクリレート30部を使う代わりにペンタエリスリトールテトラアクリレート20部、アロニックスM−350(東亞合成社製)10部を使う以外は、実施例1と同様な方法で電着塗料を作製した。
[実施例5]
ポリエーテル変性ジメチルシロキサンBYK−306(ビッグケミー社製)を使う代わりにポリエーテル変性ジメチルシロキサンBYK−307(ビッグケミー社製)を使う以外は、実施例1と同様な方法で電着塗料を作製した。
[実施例6]
ポリエーテル変性ジメチルシロキサンBYK−306(ビッグケミー社製)を使う代わりにポリエステル変性ジメチルシロキサンBYK−310(ビッグケミー社製)を使う以外は、実施例1と同様な方法で電着塗料を作製した。
[比較例1]
製造例1で得られたビニル系共重合体96.8部とペンタエリスリトールテトラアクリレート30部を混合し、乳酸1.9部を混合し、さらに2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名:Irgacure127、チバスペシャルティケミカルズ社製)2部を添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を209.6部加えて転相乳化を行ない、電着塗料用原液を得た。別の容器に脱イオン水を665.9部仕込み、攪拌しながら前記電着塗料用原液333.3部を投入し、次に乳酸を0.8部添加し電着塗料を得た。
[比較例2]
製造例2で得られたビニル系共重合体96.6部とペンタエリスリトールテトラアクリレート30部を混合し、乳酸1.9部を混合し、さらに2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名:Irgacure127、チバスペシャルティケミカルズ社製)2部、及び、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンBYK−306(ビッグケミー社
製)1部を添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を211.8部加えて転相乳化を行ない、電着塗料用原液を得た。別の容器に脱イオン水を665.9部仕込み、攪拌しながら前記電着塗料用原液333.3部を投入し、次に乳酸を0.8部添加し電着塗料を得た。
[比較例3]
2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名:Irgacure127、チバスペシャルティケミカルズ社製)を使う代わりに1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Irgacure184、チバスペシャルティケミカルズ社製)を使う以外は、実施例1と同様な方法で電着塗料を作製した。
[比較例4]
製造例1で得られたビニル系共重合体96.8部とペンタエリスリトールテトラアクリレート30部を混合し、乳酸1.9部を混合し、さらに2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名:Irgacure127、チバスペシャルティケミカルズ社製)2部、及び、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンBYK−306(ビッグケミー社製)0.005部を添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を209.6部加えて転相乳化を行ない、電着塗料用原液を得た。別の容器に脱イオン水を665.9部仕込み、攪拌しながら前記電着塗料用原液333.3部を投入し、次に乳酸を0.8部添加し電着塗料を得た。
[比較例5]
ポリエーテル変性ジメチルシロキサンBYK−306(ビッグケミー社製)を使う代わりに両末端メタクリロイル基変性ポリジメチルシロキサン サイラプレーンFM−7721(チッソ社製)を使う以外は、実施例1と同様な方法で電着塗料を作製した。
前記実施例1〜6および比較例1〜5の電着塗料用原液および電着塗料液の成分を総括して表2に示す。
Figure 0005014299
樹脂組成物の評価 実施例1〜6、比較例1〜5で調整した電着塗料液を使用し、常法に従って陰極にニッケルめっき液を用いてめっきを施したABS樹脂板(5cm×10cm)を、陽極にSUS304板を用いて、10μmの塗膜厚が得られる条件で電着塗装を
実施した。次いで電着塗装されたニッケルめっき処理したABS樹脂板を取り出して充分に水洗したのち、60℃の温度で10分間乾燥して、水分、溶剤分を乾燥し、高圧水銀灯にて積算光量1,000mJ/cmを照射して塗膜を硬化させた。ニッケルめっき処理されたABS樹脂板上に形成された電着塗膜の特性は表3に示すとおりであった。
Figure 0005014299
実施例において、一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体を使用しているため、硬化剤との相溶性が向上するため液安定性が良好であり、一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体がマクロモノマーとしても機能し、硬化反応時に硬化収縮を低減することで付着性も良好になる。また、分光光度計にて測定した200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である光重合開始剤を使用しているので優れた表面硬化性を有する。有機変性ジメチルシロキサンが傷つき性を向上させている。
評価方法
(1)肌感 目視判定で◎:良好 ○:やや不足 ×:不足をそれぞれ示す。
(2)塗膜外観(ピンホールの有無) 目視判定で◎:なし ○:少しある ×:多い
(3)鉛筆硬度(傷つき) JIS K 5600−5−4に従って試験し、傷つきが発生した鉛筆硬度で評価。
(4)耐傷つき性(爪):爪で塗膜を10回擦った際の傷つきで評価、◎:10回以上擦っても傷なし、○:10回擦ると傷つく、×:10回未満で傷つく
(5)付着性:JIS K 5600−5−6 に従って評価、◎:100/100で塗膜剥離なし、○:100/100でクロスカット交点での塗膜剥離が15%未満、×:100/100以下でクロスカット交点での塗膜剥離が15%以上。
(6)表面硬化性:脱脂綿にエタノールを染み込ませ、1kgの荷重で100回往復した後の塗膜厚残存率で評価:◎:90%以上、○:90〜80%、×:80%未満
(7)液経時安定性 液調整した後1ヶ月遮光容器中にて保存後、再電着した時の電着塗膜外観(ピンホールの有無)で評価。◎:なし、○:少しある、×:多い。
本発明の紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物を使用することで照射光量が低くなるためプラスチックめっき基材の変形がない、または、熱変色しやすい金属等での変色がなく、経時で安定した塗膜性能が得られ、また、当該電着塗料用組成物を用いて形成された電着塗膜は、良好な耐傷つき性、表面硬化性、付着性を有しており、産業上極めて有用である。

Claims (4)

  1. (A) 以下の(a)〜(c)成分を用いて共重合することにより得られる、一部の主鎖末端に不飽和基を有する水溶性又は水分散性ビニル系共重合体 50〜80重量部、
    (a)置換基として3級アミノアルキル基を有する共重合性ビニル系単量体 4〜15重量部
    (b)(a)以外の共重合性ビニル系単量体 85〜96重量部
    (c)2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンである付加開裂型連鎖移動剤を共重合性ビニル系単量体(a)と(b)の合計100重量部に対し、0.05〜20重量部
    (B) 一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物 20〜50重量部、
    (C) アルコール系溶剤を3%含む水100gに対する25℃での溶解量が0.02g未満、且つ、200nm〜400nmにおける極大吸収のモル吸光係数εが10,000L/mol・cm以上である2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン、及び、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルフォニル]プロパン−1−オンから選ばれる1種又は2種以上の光重合開始剤を(A)と(B)の合計100重量部に対して、0.1〜8重量部
    (D) 樹脂変性ポリジメチルシロキサンを(A)と(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部
    を含有することを特徴とする紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物。
  2. 一分子中に3個以上の不飽和基を有する化合物(B)の全部、または、一部がポリエーテル(メタ)アクリレートである請求項に記載された紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物。
  3. 樹脂変性ポリジメチルシロキサン(D)が、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンである請求項1又は2に記載された紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物を紫外線硬化して得られることを特徴とする塗膜。
JP2008252240A 2008-09-30 2008-09-30 耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜 Active JP5014299B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008252240A JP5014299B2 (ja) 2008-09-30 2008-09-30 耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008252240A JP5014299B2 (ja) 2008-09-30 2008-09-30 耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010083933A JP2010083933A (ja) 2010-04-15
JP5014299B2 true JP5014299B2 (ja) 2012-08-29

Family

ID=42248216

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008252240A Active JP5014299B2 (ja) 2008-09-30 2008-09-30 耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5014299B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105936755A (zh) * 2016-05-26 2016-09-14 广西梧州龙鱼漆业有限公司 防潮乳胶漆

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5465696B2 (ja) * 2011-06-01 2014-04-09 株式会社オートネットワーク技術研究所 紫外線硬化性組成物及びこれを用いた硬化物
CN103339153B (zh) * 2011-01-27 2015-04-29 株式会社自动网络技术研究所 链转移剂、感光性组合物、感光性组合物的固化物及感光性组合物的固化方法
JP5789221B2 (ja) * 2012-05-16 2015-10-07 株式会社オートネットワーク技術研究所 感光性熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形物
JP6255695B2 (ja) 2012-10-05 2018-01-10 株式会社リコー 非水系光重合性組成物、インクジェットインク、及びインクカートリッジ
CN105968920A (zh) * 2016-05-26 2016-09-28 广西梧州龙鱼漆业有限公司 防潮乳胶漆制备方法
CN109609954B (zh) * 2018-12-17 2020-10-09 东莞市章盈五金塑胶制品有限公司 一种手机金属标牌的高精度制作工艺
JP6832908B2 (ja) * 2018-12-18 2021-02-24 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 カチオン電着塗料組成物及び硬化電着塗膜の形成方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3192197B2 (ja) * 1992-03-23 2001-07-23 株式会社シミズ めっき素材用紫外線硬化型カチオン電着塗料組成物
JPH072954A (ja) * 1993-06-18 1995-01-06 Nippon Oil & Fats Co Ltd グラフト共重合体の製造方法
JP3964481B2 (ja) * 1996-10-01 2007-08-22 関西ペイント株式会社 陽極アルミニウム材用艶消しアニオン型電着塗料
EP1036829B1 (en) * 1999-03-18 2007-06-13 Shimizu Co., Ltd. Ultraviolet curable coating compositions for cationic electrodeposition applicable to metallic materials and electrically conductive plastic materials
JP5111726B2 (ja) * 2004-11-16 2013-01-09 昭和電工株式会社 共重合体エマルジョンおよび塗料用組成物
JP4408924B2 (ja) * 2007-09-26 2010-02-03 ハニー化成株式会社 紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105936755A (zh) * 2016-05-26 2016-09-14 广西梧州龙鱼漆业有限公司 防潮乳胶漆

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010083933A (ja) 2010-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5014299B2 (ja) 耐傷つき性良好な紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜
JP5606817B2 (ja) 活性放射線硬化型インクジェット用インク組成物、印刷物、印刷物成形体、及び印刷物の製造方法
JP5290951B2 (ja) 塗料用水性樹脂組成物
KR101432689B1 (ko) 활성 에너지선 경화형 수성 수지 조성물, 활성 에너지선 경화형 도료, 경화 도막의 형성 방법 및 물품
JP6924260B2 (ja) 光硬化性インク組成物、及び、画像形成方法
WO2004074327A1 (ja) 水性樹脂分散体の製造方法
JPWO2015045200A1 (ja) 光硬化性樹脂組成物及びその硬化膜
JP4408924B2 (ja) 紫外線硬化型カチオン電着塗料用組成物及びその塗膜
WO2018139658A1 (ja) 活性光線硬化型インク組成物及びインクジェット記録方法
JP5689614B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性インクジェットインク組成物および印刷物
CN110366584B (zh) 光固化性油墨组合物及图像形成方法
JP6863291B2 (ja) 硬化型組成物
JP5943227B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の製造方法
JP7363778B2 (ja) 活性光線硬化型インク、インクセット、画像形成物、および画像形成方法
JP6907706B2 (ja) 硬化型組成物
JP6239915B2 (ja) 金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物およびその塗料組成物を用いた物品
JP6343883B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物
WO2020174783A1 (ja) ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法及び画像記録物
JP2005139405A (ja) 硬化用組成物
JP2005290209A (ja) 硬化用組成物
JP5379354B2 (ja) 塗料用樹脂組成物の製造方法及び該塗料用樹脂組成物を含有する塗料
JP2011084687A (ja) 硬化性樹脂組成物、フィルムおよび成型方法
JP2016056354A (ja) 熱硬化型水性樹脂組成物
JP4145170B2 (ja) ポリビニルアセタール化合物及びその製造方法
WO2021182021A1 (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びその硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120418

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120605

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120605

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150615

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5014299

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250