JP3964481B2 - 陽極アルミニウム材用艶消しアニオン型電着塗料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なアニオン型電着塗料に係わる。
【0002】
【従来の技術】
現在、アルミサッシ等の被塗物にはワンコ−トで仕上がり性の良い艶有り又は艶消しアニオン電着塗料が塗装されている。
【0003】
艶有りアニオン型電着塗料としては、アクリルメラミン系水分散型電着塗料が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸と他のアクリル系不飽和単量体を共重合して得られるポリカルボン酸樹脂をアミンで中和して得られる水分散性樹脂に架橋剤としてメラミンを配合してなるものが使用されている。
【0004】
また、艶消しアニオン型電着塗料としては、上記した他のアクリル系不飽和単量体としてアルコキシシリル基含有アクリル系不飽和単量体が使用されている。
このようなアクリル系電着塗料は耐蝕性、耐候性等の性能が優れることから一般の家屋やビル等のアルミサッシ建材等に塗装されている。
【0005】
しかしながら、このようなアクリルメラミン系電着塗料で形成された塗膜は段ボ−ル等の梱包材料で包装する際に、また、梱包されたアルミニウムサッシ建材の輸送中に塗膜と梱包材料とが擦れて塗膜に傷が付き、商品の価値が低下するといった問題点があった。また、梱包が全く施されていないものや、梱包が部分的に行われているものにおいても、建材の間に砂、埃などが入り込み塗膜同士が擦れ塗膜に擦り傷が付き、商品の価値が低下するといった問題点があった。
【0006】
アクリルメラミン系電着塗膜の擦り傷を改善する方法として、アクリル樹脂のガラス転移温度を高くして塗膜の硬度を上げることが考えられるが、塗膜が脆くなり加工性が悪くなり改善することは不可能であった。また、フッソオイルなどの潤滑剤も配合されているが配合量が少ないと耐擦り傷性の効果が小さく、一方、配合量を多くするとシ−ラ−との付着性が低下するといった問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来からの艶有り又は艶消しアニオン型電着塗膜の耐擦り傷性、シ−ラ−との付着性を改善したアニオン型電着塗料の開発を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特にポリエ−テル変性シリコ−ンオイルを含有してなるアニオン型電着塗料を使用することにより、上記した問題点のない塗料が提供できることを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、アルコキシシリル基を側鎖に有する共重合体を基体樹脂とし、このものにメラミン樹脂架橋剤を配合してなる艶消しアニオン型電着塗料中に
下記した一般式1
【化3】
(式中、POAはポリアルキレンオキシド残基、xは2〜100の整数を示す。)
及び/又は下記した一般式2
【化4】
(式中、POA及びxは上記と同様の意味を示す。また、yは1〜50の整数を示す。)で示される水酸基当量300〜8000の水酸基含有ポリエーテル変性シリコ−ンオイルを該アニオン型電着塗料の樹脂固形分100重量部当たり、0.01〜5重量部含有してなるシーリング材との付着性に優れた電着塗膜を形成することを特徴とする陽極アルミニウム材用艶消しアニオン型電着塗料に係わる。
【0010】
本発明において、ポリエ−テル変性シリコ−ンオイル(C)を含まないアニオン型電着塗料としては、従来から公知のものを使用することができるが、特に水分散性ビニル共重合体(A)及び架橋剤(B)を硬化樹脂成分とする塗料が好ましい。
【0011】
使用する共重合体(A)は、酸価約10〜200、好ましくは約15〜100、水酸基価約30〜300、好ましくは約40〜200の水分散性ビニル系共重合体である。また、このものの重量平均分子量は約1万〜20万の範囲が好ましい。酸価が約10未満になると水分散性が低下するので塗料の貯蔵安定性が悪くなる、一方、約200を越えると塗膜の耐モルタル性等の性能が劣るので好ましくない。また、水酸基価が約30未満になると硬化性が低下し、一方、約300を越えると反応しない水酸基が塗膜中に多く残るので塗膜の耐久性が悪くなるので好ましくない。重量平均分子量が約1万を下回ると塗料の貯蔵安定性や耐候性、耐モルタル性等の塗膜性能が悪くなり、一方、約20万を上回ると塗膜の平滑性等が悪くなるので好ましくない。
【0012】
水分散性ビニル系共重合体(A)は、例えば、水酸基含有ビニル系モノマ−、エチレン性不飽和カルボン酸、アルコキシシリル基含有ビニル系モノマー及び必要に応じてその他の不飽和モノマ−をラジカル共重合反応させてなる共重合体等を使用することができる。
【0014】
これらのモノマ−成分としては、下記のものを挙げることができる。
【0015】
(1)水酸基含有ビニル系モノマ−類:例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、(ポリ)エチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、(ポリ)プロピレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシブチルビニルエ−テル、(メタ)アリルアルコ−ル、及び上記した水酸基含有ビニル系モノマ−類とβ−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウリロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトン等のラクトン類化合物との反応物等、商品名としては、プラクセルFM1(ダイセル化学社製、商品名、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル類)、プラクセルFM2(同左)、プラクセルFM3(同左)、プラクセルFA−1(同左)、プラクセルFA2(同左)、プラクセルFA3(同左)等、
(2)エチレン性不飽和カルボン酸類:例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、プラクセルFM1A(以下、ダイセル化学社製、カプロラクトン変性カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマ−、商品名)、プラクセルFM4A、プラクセルFM10A等、
(3)アルコキシシリル基含有ビニル系モノマ−類:例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等、
(4)その他の不飽和モノマ−類:例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のC1〜18のアルキル又はシクロアルキルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマ−類、(メタ)アクリル酸アミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体類、(メタ)アクリロニトリル化合物類等
これらのモノマ−の配合割合において、上記水酸基含有モノマ−類は、共重合体(A)の水酸基価が約30〜300の範囲に入るように配合すればよいが、上記モノマ−類の総モノマ−量換算で水酸基含有モノマ−類が約3〜40重量%、好ましくは約5〜30重量%の範囲である。
【0016】
また、上記エチレン性不飽和カルボン酸は、共重合体(A)の酸価が約10〜200の範囲に入るように配合すればよいが、上記モノマ−類の総モノマ−量に対してエチレン性不飽和カルボン酸が約3〜30重量%、好ましくは約4〜20重量%の範囲である。
【0017】
上記したようにアルコキシシリル基含有ビニル系モノマ−類は艶消し塗膜が要求される場合に使用される。該モノマ−類の配合量は上記モノマ−類の総モノマ−量に対して約0.1〜20重量%、好ましくは約0.2〜15重量%の範囲である。
【0018】
その他の不飽和モノマ−類としては、(メタ)アクリル酸のC1 〜C18のアルキル又はシクロアルキルエステル類及びスチレンなどの芳香族ビニルモノマ−類を使用することが好ましい。該モノマ−類の配合量は上記モノマ−類の総モノマ−量に対して約37〜95重量%、好ましくは約60〜91重量%の範囲である。
【0019】
ラジカル共重合反応させる方法としては、従来から公知の溶液重合方法等で行うことができる。
【0020】
使用する架橋剤(B)は水分散性ビニル系共重合体(A)の水酸基と反応して硬化塗膜を形成するものである。架橋剤(B)としては、従来から公知のメラミン樹脂を使用することができる。
【0021】
メラミン樹脂架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂のメチロ−ル基の一部もしくは全部が、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、オクチルアルコ−ル、2−エチルヘキシルアルコ−ル等の1種もしくは2種以上のアルコ−ルで変性されたものを使用することができる。メラミン樹脂は1核体〜多(約5)核体のものが50重量%以上を占めるものが好ましい。また、メラミン樹脂中にはイミノ基、メチロ−ル基等の官能基を含んでいても構わない。また、艶消し電着塗料としては、C3 以上のアルコ−ル、特にC4 〜 18の1価アルコ−ルで変性されたエ−テル基がトリアジン環一核体当たり平均した約2.0個以上、好ましくは2.0〜5.0個含有することが好ましい。
【0023】
水分散性ビニル系共重合体(A)及び架橋剤(B)成分の配合割合は両者の総合計量換算で、水分散性ビニル系共重合体(A)が40〜85重量%、好ましくは50〜80重量%の範囲であり、架橋剤(B)は15〜60重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲である。水分散性ビニル系共重合体(A)の配合割合が40重量%を下回り、そして架橋剤(B)が60重量%を上回ると耐候性、耐モルタル性、加工性等の塗膜性能が悪くなり、一方、共重合体(A)の配合割合が85重量%を上回り、そして架橋剤(B)が15重量%を下回ると耐候性、加工性等の塗膜性能が悪くなるので好ましくない。
【0024】
本発明塗料で使用するポリエ−テル変性シリコ−ンオイル(C)としては、ジメチルポリシロキサンを主鎖とし、その主鎖の(両)末端もしくは側鎖の一部にポリアルキレンオキシドなどのポリエ−テルで変性した水酸基含有シリコ−ンオイルである。該シリコ−ンオイルの粘度は、約50〜10000cSt、好ましくは約50〜5000cStが良い。また、該シリコ−ンオイルの水酸基当量は約300〜8000、好ましくは500〜5000が良い。該ポリエ−テル変性シリコ−ンオイルを配合することにより、耐擦り傷性が向上するとともに、施工後のサッシに対するシ−リング剤の付着性が良くなるといった利点がある。
【0025】
上記主鎖の(両)末端をポリエ−テルで変性したシリコ−ンオイルとしては、下記一般式
【0026】
【化1】
【0027】
(式中、POAはポリアルキレンオキシド残基、xは2〜100の整数を示す。)
該POAとしては、例えば、−(CH2 O)n −H(ポリメチレンオキシド残基)、−(C2 H4 O)n −H(ポリエチレンオキシド残基)、−(C3 H6 O)n −H(ポリプロピレンオキシド残基)、−(C4 H8 O)n −H(ポリブチレンオキシド残基)などを挙げることができる。上記式において、nは2以上の整数、特に3〜100の整数が好ましい。
【0028】
該ポリエ−テル変性シリコ−ンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社製の商品名として、例えば、SF8427(水酸基当量1200、320cSt)、BY16−005(水酸基当量700、50cSt)、BY16−007(水酸基当量2500、180cSt)などを挙げることができる。
【0029】
上記側鎖の一部をポリエ−テルで変性したシリコ−ンオイルとしては、
下記一般式
【0030】
【化2】
【0031】
(式中、POA及びxは上記と同様の意味を示す。また、yは1〜50の整数を示す。)
該ポリエ−テル変性シリコ−ンオイルとしては、例えば、東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社製の商品名として、例えば、SF8428(水酸基当量1600、130cSt)、SH3771(水酸基当量800、320cSt)、BY16−036(水酸基当量1400、630cSt)、BY16−027(水酸基当量1800、990cSt)を挙げることができる。
【0032】
ポリエ−テル変性シリコ−ンオイル(C)の配合割合は、上記アニオン型電着塗料の樹脂固形分100重量部当たり、約0.01〜5重量部、特に約0.05〜2重量部が好ましい。約0.01重量部未満になると耐擦り傷性や耐シ−リング適性などが低下する、一方、約5重量部を越えると、塗膜にヌメリを生じたり、艶消し塗膜の仕上がり外観などが低下したり、製品コストが高くなったりするので好ましくない。
【0033】
本発明塗料には必要に応じて顔料、染料、硬化触媒、流動性調整剤等を配合することができる。
【0034】
本発明塗料は、例えば、水分散性ビニル共重合体(A)のカルボキシル基に対して0.3〜0.5当量になるように中和剤(例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン等)を配合し、次いで架橋剤(B)、及びポリエ−テル変性シリコ−ンオイル(C)を配合分散し、続いて水分散を行った後、塗料のPHを7.0以上に調整することにより製造できる。
【0035】
本発明塗料は、特に着色もしくは無着色陽極酸化アルミニウム材を使用するアルミニウム建材分野に適用することが好ましい。
【0036】
本発明塗料は、艶消し塗料として使用することが好ましい。
【0037】
本発明塗料の塗装方法は、例えば、本発明塗料をアニオン型電着塗料浴(例えば、固形分約5〜20重量%、好ましくは約6〜12重量%)とし、この浴中にアルミニウム材を浸漬した後、乾燥膜厚が約5〜30ミクロンになるようにアニオン電着塗装を行い、次いで必要に応じて水洗(水道水、透過水等)後、焼付け(例えば、約160〜200℃で約20〜40分間)ることにより行うことができる。
【0038】
【実施例】
本発明について、実施例を掲げて詳細に説明する。本発明は提供した実施例に限定されるものではない。
【0040】
共重合体(b)の製造例
反応容器中にイソプロピルアルコ−ルを70gを仕込み80℃に保持した中へスチレン10g、メチルメタクリレ−ト30g、n−ブチルアクリレ−ト3g、エチルアクリレ−ト30g、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト19g、アクリル酸5g、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン3g、及びアゾビスジメチルバレロニトリル1gの混合物を3時間かけて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル1gを添加し、80℃で1時間保持して反応を行い共重合体(b)ワニスを製造した。該共重合体は、重量平均分子量約5万、酸価39、水酸基価92であった。
【0043】
実施例1
上記共重合体(b)70g(固形分量)に共重合体(b)のカルボキシル基に対して0.4当量のトリエチルアミンを配合した後、混合分散し、次いでこのものに、メラミン樹脂(ニカラックMX−430、三和ケミカル株式会社製、商品名、メラミン核1個当たり、メチル基約3個、ブチル基約3個で、また、一核体の量は約57%)を51.4g(樹脂/メラミン=70/30固形分重量比)、及びBY16−005(東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社製、商品名)を0.3g配合し、混合分散した後、攪拌を行いながら脱イオン水を徐々に滴下し、更にPHが7.0になるようにトリエチルアミンを添加して固形分10重量%の艶有り電着塗料を製造した。
【0044】
実施例2
実施例1において、BY16−005に代えてSH3771(東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社製、商品名)を使用した以外は実施例1と同様にして電着塗料を製造した。
【0045】
比較例1
実施例1において、BY16−005を配合しないもの以外は実施例1と同様にして製造した。
【0046】
比較例2
実施例1において、BY16−005を6g配合した以外は実施例1と同様にして製造した。
【0047】
上記した実施例及び比較例で得られた電着塗料を電着浴とし、このものに被塗物(皮膜厚約10ミクロンの陽極酸化アルミニウム材、大きさは150×70×0.5mm)を浸漬し、乾燥膜厚が約10ミクロンになるように電着塗装を行い、次いで塗装物を浴槽から引き上げた後、水洗を行い、続いて160℃で30分間焼付けて実施例及び比較例のクリヤ−塗膜を被覆した。
【0048】
表1に結果をまとめて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
塗料貯蔵安定性:塗料を試験管(高さ20cm、容量20cc)に充填し、20℃で7日間静置した後、容器の底に沈殿した残渣の高さを調べた。◎は残渣が0.5mm以下で良好、○は残渣が0.6〜5mmでほぼ良好、△は残渣が6〜10mmでやや不良、×は11mm以上で不良のもの。
【0051】
鏡面反射率:JIS K−5400の60度鏡面反射率を測定した。
【0052】
平滑性:塗膜表面(ユズ肌、凹凸等)を目視で評価した。◎は良好、○はほぼ良好、△はやや不良、×は不良のもの。
【0054】
艶消し塗膜外観:塗膜表面の仕上り外観(光沢ムラなど)を肉眼で調べた。◎は良好、○はほぼ良好、△はやや不良、×は不良のもの。
【0055】
鉛筆引掻き試験:JIS K−5400 8.4.2(手かき法)に準じて擦り傷を調べた。
【0056】
フィッシャ−硬度試験:フィッシャ−スコ−プH−100V(フィッシャ−社製)を使用して試験した。測定条件は次ぎの通りである。測定荷重4mN〜256mN(0.5sec Hold)、荷重パタ−ンはロ−デング法、測定温度20℃ 結果はビッカ−ズ圧子に荷重P(N)=4mNをかけた時のくぼみの深さt(mm)から得られる硬度HU=P/(26.4×t2 )を求めた。数値が大きい方が硬度が高く、特に150以上が好ましい。
【0057】
摩擦抵抗試験:表面性測定機(タイプ ヘイドン14D、新東科学株式会社製)を使用してボ−ル圧子(直径10mmSUS製)に垂直荷重1000gをかけ、移動速度1000mm/minの時の塗膜表面の動摩擦係数を求めた。数値が小さい方が摩擦が小さく、特に0.2未満が好ましい。
【0058】
段ボ−ルラビング試験:ラビングテスタ−(学振式染色物摩擦堅牢度試験機、DAIEI KAGAKU SEIKI MFG.Co.Ltd社製)を使用して20×20mmの段ボ−ル圧子(両面段ボ−ル2種CS−2、JIS Z 1516)に垂直荷重をかけ20サイクル塗膜表面を擦(ラビング)った。◎は塗膜に全く擦り傷が認められないもの、○はほぼ良好なもの、△はやや不良、×は不良のもの。
【0059】
連続荷重式引掻強度試験:スクラッチ レジスタント テスタ− (連続荷重式引掻強度試験機、トライボギア、タイプ18L型、新東科学株式会社製)を使用して引掻針(ダイアモンド製先端0.05mmR(90°))に垂直荷重0〜100gをかけ移動速度600mm/minで移動距離100mmとした時の耐荷重(塗膜が傷つかずに耐えられる荷重量)を測定した。数値が大きいほど耐傷性が良く、特に100以上が好ましい。
【0060】
エリクセン試験:素地に達するように塗膜にゴバン目を100個作り、ゴバン目を作った塗板の裏側からエリクセン試験機により5mm押出した後の塗膜の外観を観察した。◎は塗膜に異常が全く認められないもの、○は塗膜の1箇所に異常がみとめられたもの、△は塗膜の2〜5箇所に異常がみとめられたもの、×は塗膜の6箇所以上に異常がみとめられたもの。
【0061】
耐酸性:5重量%の塩酸水溶液(20℃)に72時間浸漬後の塗膜外観を調べた。◎は全く異常がなく良好、○はほぼ良好、△はブリスタ−が発生したもの、×はブリスタ−が多く発生したもの。
【0062】
耐アルカリ性:1重量%の苛性ソ−ダ−水溶液(20℃)に72時間浸漬後の塗膜外観を調べた。◎は全く異常がなく良好、○はほぼ良好、△はブリスタ−が発生したもの、×はブリスタ−が多く発生したもの。
【0063】
シ−リング適性:シ−リング材A(ハマタイトSC500“プライマ−NO.40”横浜ゴム株式会社製、商品名、ポリサルファイド樹脂系)及びシ−リング材B(SH792“プライマ−D−2”東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社製、商品名、シリコン樹脂系)をJIS A5758に基づいて試験板を作成し、水浸漬(20℃で7日間)後、引張り接着性試験を行った。評価はシ−リング材A及びBの種類に応じて行った。
【0064】
シ−リング材A;○(最大引張り応力が3.0Kgf/cm2 以上及び最大荷重時の伸び率が500%以上、かつ界面破壊(AF)が10%以内のもの)、△(最大引張り応力が3.0Kgf/cm2 以上及び最大荷重時の伸び率が500%以上、かつ凝集破壊と界面破壊(AF)とが混在しAFが10%以上のもの)、×(最大引張り応力が3.0Kgf/cm2 未満及び最大荷重時の伸び率が500%未満、もしくは界面破壊(AF)が100%のもの)
シ−リング材B;○(最大引張り応力が4.0Kgf/cm2 以上及び最大荷重時の伸び率が700%以上、かつ界面破壊(AF)が10%以内のもの)、△(最大引張り応力が4.0Kgf/cm2 以上及び最大荷重時の伸び率が700%以上、かつ凝集破壊と界面破壊(AF)とが混在しAFが10%以上のもの)、×(最大引張り応力が4.0Kgf/cm2 未満及び最大荷重時の伸び率が700%未満、もしくは界面破壊(AF)が100%のもの)。
【0065】
【発明の効果】
本発明塗料によると、特に、ポリエ−テル変性シリコ−ンオイルは親水部(ポリエ−テル部)と疎水部(ジメチルシリコ−ン部)を有する化合物であることから電着塗料の基体樹脂である水酸基及びカルボキシル基を含有する水分散性ビニル系樹脂と相溶性が優れるので塗料貯蔵安定性が良いこと、塗膜を形成させた際に疎水部が塗膜表面に出やすくなるので耐擦り傷性が良くなること、及びポリエ−テル変性シリコ−ンオイル中の水酸基と架橋剤とが架橋して該成分が塗膜中に固定化されるので耐擦り傷性などの長期保持性などの性能が優れるといった効果がある。
Claims (1)
- アルコキシシリル基を側鎖に有する共重合体を基体樹脂とし、このものにメラミン樹脂架橋剤を配合してなる艶消しアニオン型電着塗料中に
下記した一般式1
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