JP2004264555A - カメラ用フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】組立作業を極めて容易にすることができ、光軸方向の厚さを比較的薄くすることができ、しかも、後枠に対して前枠をスムーズに回転することができ、前枠が不用意に落下することを防止すること。
【解決手段】カメラ用フィルターを組み立てる際には、前枠1と後枠2とを相互に近付けて、前枠1の永久磁石5を後枠2の永久磁石6に吸着する。この時、前枠1の凸部8は、後枠2の切欠き部9を通過させて後枠2の環状凹溝7に導く。この状態においては、前枠1は、磁気吸着力のみにより後枠2に取り付いている。次いで、前枠1を回転させると、前枠1は、その凸部8が後枠2の環状凹溝7に回転可能に係合している状態になる。そのため、前枠1は、後枠2に対して自由に回転することができると共に、後枠2から不用意に落下することがない。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラのレンズに着脱自在に装着する後枠に、偏光フィルター等のフィルターを保持した前枠を回転可能に組み合わせたカメラ用フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ用フィルター、特に、偏光フィルターは、カメラのレンズの先端に取付け、カメラのレンズに対して、偏光フィルターを回転させて使用するものであり、所定の撮影効果を得ることができ、カメラ用フィルターの中でも、使用頻度が比較的高いフィルターである。
【0003】
この偏光フィルターは、偏光フィルターを保持して固定する前枠と、カメラのレンズに螺合により着脱自在に装着する後枠とからなる。前枠は、後枠に対して、回転可能に組合せてある。
【0004】
従来の偏光フィルターにおいては、前枠と後枠との対向面に夫々形成した環状周溝内に、抜け止め用ワッシャーが介装してあり、これにより、前枠が後枠に対して回転可能に組み合わせてある。
【0005】
また、特許文献1及び特許文献2においては、前枠と後枠との対向面に、夫々、一対の永久磁石が設けてあり、これら一対の永久磁石の磁気吸着力により、前枠が後枠に係止してある。
【0006】
【特許文献1】
実開昭58−98624号公報
【特許文献2】
実開平7−1434号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、抜け止め用ワッシャーを用いる従来の偏光フィルターにあっては、前枠と後枠の環状周溝に介装する抜止め用ワッシャーには、大きさと組み立て方法に制約があり、組立作業が煩雑であるといったことがある。
【0008】
また、偏光フィルターにおいては、前枠は、光軸を中心に回転する構造にする必要があり、フィルター枠(前枠と後枠)の光軸方向の厚さは、他の種類のフィルターより比較的厚く、前枠がカメラのレンズに入射する有効な光線を遮ることがあり、写真に不要なケラレが生じる虞れがある。
【0009】
一方、特許文献1及び2に開示した永久磁石を用いる偏光フィルターにおいては、フィルター枠の薄肉化の面で優れている。しかし、前枠と後枠の一対の永久磁石が互いに吸着しているため、カメラレンズに固定した後枠に対して、前枠を回転する際、回転操作をスムーズに行えないといったことがある。また、振動等によって、前枠が不用意に落下するといった虞れもある。
【0010】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、製造コストの高騰を招来することなく、組立作業を極めて容易にすることができ、光軸方向の厚さを比較的薄くすることができ、しかも、後枠に対して前枠をスムーズに回転することができ、前枠が不用意に落下することもないカメラ用フィルターを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係るカメラ用フィルターは、カメラのレンズに着脱自在に装着する後枠に、光学部材を保持した前枠を回転可能に組み合わせたカメラ用フィルターにおいて、
前記前枠と前記後枠との対向面に、夫々、少なくとも一対の磁気吸着体が設けてあり、
前記後枠に、光軸に略垂直な方向の内方に向けて開口した環状凹溝が形成してあると共に、前記前枠に、光軸に略垂直な方向の外方に向けて突出して当該環状凹溝に回転可能に係合する少なくとも1個の凸部が形成してあり、
前記後枠には、前記後枠に前記前枠を装着する際、前記前枠の凸部を通過させて前記環状凹溝に導く少なくとも1個の切欠き部が形成してあり、該切欠き部で前記磁気吸着体が対向することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係るカメラ用フィルターは、請求項1において、前記一対の磁気吸着体のうち一方は、永久磁石であり、他方は、永久磁石又は磁性体であることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3に係るカメラ用フィルターは、請求項1又は2において、前記一対の磁気吸着体は、3対設けてあり、
前記前枠の凸部と前記後枠の切欠き部とは、夫々、3個設けてあることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るカメラ用フィルターを図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るカメラ用偏光フィルターの分解斜視図である。図2は、図1に示した偏光フィルターを組合せた状態の断面図である。
【0016】
図3は、図2の拡大断面図であって、前枠の永久磁石と後枠の永久磁石が吸着している状態を示す。
【0017】
図4は、図1に示した偏光フィルターを組合せた状態の拡大断面図であって、前枠を後枠に対して回転させて、前枠の凸部が後枠の環状凹溝に係合している状態を示す。
【0018】
図5(a)は、前枠の永久磁石と後枠の永久磁石が吸着している状態を示す図であり、(b)は、(a)の状態に対して、前枠と後枠を180度相対回転させた状態を示す図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、カメラ用偏光フィルターは、前枠1と、後枠2と、前枠1の内周面に固定した偏光フィルター3とからなる。
【0020】
前枠1は、偏光フィルター3を保持している小径筒部1aと、これより径の大きい中径筒部1bと、これより径が大きく、撮影時に撮影者が前枠1を回転操作する際の操作部となる大径筒部1cとからなる。
【0021】
後枠2は、小径筒部2aと、これより径が大きく、外周面にカメラの撮影レンズ(図示略)に装着するためのネジ部4が形成してある中径筒部2bと、これより径が大きく、カメラの撮影レンズ(図示略)への装着時に撮影者が螺合の操作をする大径筒部2cとからなる。
【0022】
図3に示すように、本実施の形態では、前枠1の中径筒部1bの背面側には、永久磁石5が設けてあり、これに対向するように、後枠2の中径筒部2bの前面側には、永久磁石6が設けてある。
【0023】
これら永久磁石5,6は、フィルム状の永久磁石であって、その厚みは、比較的薄いものである。また、これら永久磁石5,6の2個ともに永久磁石である必要がなく、いずれか一方が鉄等の磁性体であってもよい。少なくとも磁気吸着力により、前枠1と後枠2が結合できればよい。
【0024】
また、本例では、これら一対の永久磁石5,6は、それぞれ、3個ずつ設けてあり、周方向には、図1及び図5(a)に示すように、120度間隔であって、周方向に均等に配している。永久磁石5,6の個数は、後述するように、これに限定されるものではなく、少なくとも1対備えていればよい。
【0025】
図3及び図4に示すように、後枠2の大径筒部2cには、光軸に略垂直な方向の内方に向けて開口した環状凹溝7が形成してある。この環状凹溝7は、後枠2の全周にわたって形成してある。
【0026】
一方、前枠1の中径筒部1bの外周面には、光軸に略垂直な方向の外方に向けて突出して環状凹溝7に回転可能に係合する凸部8が形成してある。
【0027】
また、後枠2の大径筒部2cには、環状凹溝7に隣接して、後枠2に前枠1を装着する際、前枠1の凸部8を通過させて環状凹溝7に導く切欠き部9が形成してある。
【0028】
本例では、凸部8と、切欠き部9とは、それぞれ、3個ずつ設けてあり、周方向には、図1及び図5(a)に示すように、120度間隔であって、周方向に均等に配してあり、一対の永久磁石5,6とは、光軸廻りの同じ角度の位置に配置してある。但し、凸部8及び切欠き部9は、必ずしも、一対の永久磁石5,6と、光軸廻りの同じ角度の位置に配置する必要はない。また、凸部8及び切欠き部9の個数は、後述するように、これに限定されるものではなく、少なくとも1個備えていればよい。
【0029】
以上のように構成したカメラ用偏光フィルターを組み立てる際には、前枠1と後枠2とを相互に近付けて、図3に示すように、前枠1の永久磁石5を後枠2の永久磁石6に吸着する。この時、前枠1の凸部8は、後枠2の切欠き部9を通過させて後枠2の環状凹溝7に導く。この状態においては、前枠1は、磁気吸着力のみにより後枠2に取り付いている。
【0030】
次いで、前枠1を回転させると、図4に示すように、前枠1は、その凸部8が後枠2の環状凹溝7に回転可能に係合している状態になる。そのため、前枠1は、後枠2に対して自由に回転することができると共に、後枠2から不用意に落下することがない。
【0031】
また、従来の抜止め用ワッシャーを用いずに、一対の永久磁石5,6を用いていることから、光軸方向の厚さを比較的薄くすることができる。これにより、カメラのレンズ(図示略)に入射する有効な光線のケラレを減少することができる。
【0032】
さらに、上記のように、組合せに際しては、従来の抜止め用ワッシャーを用いる必要がなく、磁気吸着力により極めて容易に組み立てることができ、製造コストの高騰を招来するといったことがない。
【0033】
上記のように、本実施の形態では、前枠1を後枠2に対して取り付けまたは取り外しを簡単に行うことができる。また、取り付け直後は、両枠が永久磁石5,6で吸着されているため、容易に落下することはなく、また、その状態から、前枠1の凸部8を光軸を中心に回転させ、図4に示すように、後枠2の環状凹溝7内に組み込まれることで、前枠1が後枠2に対して落下することを完全に防ぐことができる。
【0034】
また、従来のように、前枠1と後枠2を回転可能に組み合わせるための抜止め用ワッシャーを必要としないため、前枠1と後枠2を組み合わせ易くするために必要な枠の形状、例えば面取り等や抜止め用ワッシャーの厚さを考慮してそのワッシャーを介装するためのスペース、例えば環状凹溝等を設ける肉厚寸法の制約を省くことができる。
【0035】
従って、前枠1または後枠2の光軸方向の厚さを従来の偏光フィルターより薄くすることができ、カメラのレンズ(図示略)に入射する有効な光線のケラレを減少させることができる。
【0036】
さらに、実際撮影時に、本実施の形態に係る偏光フィルター1を使用する時は、前枠1をカメラのレンズ(図示略)の先端部に固定されている後枠2に対して回転させ、偏光効果があらわれた回転角度において、前枠1をそのままの状態にしておきながら、撮影に取り掛かることになる。
【0037】
この回転する際に、図5(a)のような前枠1と後枠2が前枠1の永久磁石5と後枠2の永久磁石6により吸着された状態で、前枠1を後枠2に対して回転せる時は、永久磁石5,6の吸着力に逆らって回転させると、前枠1の永久磁石5と後枠2の永久磁石6の吸着面積がゼロになり、その状態から続けて回転させていくと、回転操作がスムーズに行えるように永久磁石5,6を配置している。この前枠1の永久磁石5と後枠2の永久磁石6が吸着されているかいないかは、手の感覚で感じ取れるものでもある。
【0038】
さらに、撮影時に、前枠1を後枠2に対して回転させた時、丁度前枠1の回転角度が後枠2に対して、図5(a)のような前枠1と後枠2を取り付ける際の前枠1の永久磁石5と後枠2の永久磁石6が吸着している状態の角度位置にあるときは、そのまま撮影を続行すると、振動や衝撃等の外力が加わった場合、前枠1が外力の影響で落下する可能性がある。
【0039】
ここで、偏光フィルターには、前枠1に固設されている偏光フィルター3が180度回転しても、元の状態と同じ偏光効果を発揮する特徴がある。そのため、上述したように図5(a)のような前枠1が落下する恐れのある角度に位置した場合つまり回転操作が急に重くなった時は、図5(b)に示す状態のように、図5(a)の状態から前枠1を後枠2に対して180度回転させて使用すれば、元の状態と同じ偏光効果を確保しつつ、且つ、落下を防ぎながら使用することができる。
【0040】
以上に説明したように、本実施の形態に係るカメラ用偏光フィルターによれば、偏光フィルター3を固設するための前枠1とカメラのレンズ(図示略)先端部に螺合するためのネジ部4を後端側に有する後枠2からなる偏光フィルター枠において、従来これら前枠と後枠とを回転可能に組み合わせるために抜止め用ワッシャーを使用していたが、前枠1と後枠2に永久磁石5,6を使用することで、抜止め用ワッシャーの大きさや組み込み易さを考慮した肉厚寸法の制約を省くことができ、前枠1または後枠2の光軸方向に対する厚さを薄くすることができる。
【0041】
また、前枠1には、凸部8を、後枠2には、環状凹溝7と切欠き部8を設け、前枠1と後枠2とを回転可能に組み合わさるような形状にし、さらには、永久磁石5,6を、前枠1がスムーズに回転できると共に振動や衝撃による外力に対する落下を防止するように配置にしたので、従来の偏光フィルターの回転操作性や組み立て性等を同等に保ちつつも、よりコンパクトな形状であり、従来問題であったフィルター枠によるカメラのレンズ(図示略)に入射する有効な光線の遮断を減少し、より美しい仕上がりの写真を撮影することができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。例えば、各部の形状、構造等を、適宜変形、変更することは自由であり、種々の変形例が考えられる。
【0043】
具体的には、上述した実施の形態では、永久磁石5,6の配置を円周等分等間隔に3個配置している例を用いたが、必要且つ充分な吸着力、また、スムーズな回転操作が得られれば、これに限定されないことは言うまでもない。
【0044】
また、前枠1の凸部8と後枠2の切欠き部9においても、実施の形態では、円周等分等間隔に3個に配置した場合を例示したが、落下しにくい配置、落下に耐える強度を持てば、これに限定されることもない。
【0045】
さらに、フィルターは、偏光フィルターに限定されず、クロスフィルター等のように、他のフィルターであってもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、前枠と後枠とを組み合わせる際には、前枠の一方の磁気吸着体を後枠の他方の磁気吸着体に吸着する。この時、前枠の凸部は、後枠の切欠き部を通過させて後枠の環状凹溝に導く。この状態においては、前枠は、磁気吸着力のみにより後枠に取り付いている。
【0047】
次いで、前枠を回転させると、前枠は、その凸部が後枠の環状凹溝に係合している状態になる。そのため、前枠は、後枠に対して自由に回転することができると共に、後枠から不用意に落下することがない。
【0048】
また、従来の抜止め用ワッシャーを用いずに、一対の磁気吸着体を用いていることから、光軸方向の厚さを比較的薄くすることができる。これにより、カメラのレンズに入射する有効な光線のケラレを減少することができる。
【0049】
さらに、上記のように、組合せに際しては、従来の抜止め用ワッシャーを用いる必要がなく、磁気吸着力により極めて容易に組み立てることができ、製造コストの高騰を招来するといったことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るカメラ用偏光フィルターの分解斜視図である。
【図2】図1に示した偏光フィルターを組合せた状態の断面図である。
【図3】図2の拡大断面図であって、前枠の永久磁石と後枠の永久磁石が吸着している状態を示す。
【図4】図1に示した偏光フィルターを組合せた状態の拡大断面図であって、前枠を後枠に対して回転させて、前枠の凸部が後枠の環状凹溝に係合している状態を示す。
【図5】(a)は、前枠の永久磁石と後枠の永久磁石が吸着している状態を示す図であり、(b)は、(a)の状態に対して、前枠と後枠を180度相対回転させた状態を示す図である。
【符号の説明】
1 前枠
1a 小径筒部
1b 中径筒部
1c 大径筒部
2 後枠
2a 小径筒部
2b 中径筒部
2c 大径筒部
3 偏光フィルター(フィルター)
4 ネジ部
5,6 永久磁石(磁気吸着体)
7 環状凹溝
8 凸部
9 切欠き部

Claims (3)

  1. カメラのレンズに着脱自在に装着する後枠に、光学部材を保持した前枠を回転可能に組み合わせたカメラ用フィルターにおいて、
    前記前枠と前記後枠との対向面に、夫々、少なくとも一対の磁気吸着体が設けてあり、
    前記後枠に、光軸に略垂直な方向の内方に向けて開口した環状凹溝が形成してあると共に、前記前枠に、光軸に略垂直な方向の外方に向けて突出して当該環状凹溝に回転可能に係合する少なくとも1個の凸部が形成してあり、
    前記後枠には、前記後枠に前記前枠を装着する際、前記前枠の凸部を通過させて前記環状凹溝に導く少なくとも1個の切欠き部が形成してあり、該切欠き部で前記磁気吸着体が対向することを特徴とするカメラ用フィルター。
  2. 前記一対の磁気吸着体のうち一方は、永久磁石であり、他方は、永久磁石又は磁性体であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用フィルター。
  3. 前記一対の磁気吸着体は、3対設けてあり、
    前記前枠の凸部と前記後枠の切欠き部とは、夫々、3個設けてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用フィルター。
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