JP2004263883A - 液体燃料燃焼装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃焼盤のコーナー領域の熱負荷を低減して製品寿命の長期化を期待することができる液体燃料燃焼装置を提供すること。
【解決手段】平面視で多角形の燃焼室11を形成する燃焼盤16の内側に配置された気化筒39の下部に飛散リング40が設けられ、この飛散リング40との間に送気間隙Pを形成する送気案内リング50が配置されている。燃焼盤16の側壁16B下部に設けられて炎孔29からの火炎を押さえ付ける保炎部材70はコーナー領域Cには設けられていない。この一方、送気案内リング50若しくはその近傍には、燃焼盤16のコーナー領域Cに向かう空気流Aを発生する空気流路が形成され、コーナー領域Cに空気が積極的に供給できるようになっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液体燃料燃焼装置に係り、更に詳しくは、燃焼盤のコーナー領域の熱負荷を低減することができ、また、燃焼盤の底壁の温度低下を抑制することのできる液体燃料燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
給湯機等に用いられる液体燃料燃焼装置としては、特許文献1に示されるように、平面視で略円形をなす燃焼室を形成する燃焼盤の下部に燃焼促進体と称する保炎部材を設けた構成が知られている。この保炎部材は、気化筒の下部外周側か噴出する空気によって、燃焼盤の周壁に形成された炎孔(ガス噴出口)から燃焼室内に形成される火炎のリフトを防止する作用を奏するようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特公平1−25857号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記液体燃料燃焼装置にあっては、燃焼盤が平面視で略円形となっているため、平面視で多角形状をなす燃焼盤を用いた液体燃料燃焼装置に保炎部材をそのまま適用できないという不都合がある。すなわち、平面視で多角形状をなす燃焼盤の場合には、燃焼盤側壁の炎孔より燃焼室内側に形成される火炎同士が干渉し易くなるという固有の構造となっている。そのため、火炎同士の干渉によって一つの大きな火炎の塊が形成され、全体的に火炎長さが短くなってコーナー領域の内側近傍に火炎が集中し易くなり、当該コーナー領域の熱負荷が増大して機器寿命を低下させるという不都合を招来する。つまり、コーナー領域に保炎部材を設けた構成では、気化筒下部から送られる前述の空気流が燃焼盤の下部において遮られてしまうこととなり、これにより、火炎の塊に起因した局所的な過熱をもたらすこととなる。
【0005】
ところで、公知の保炎部材は、燃焼盤における側壁の下縁に沿って配置されており、当該保炎部材は、横方向に延びる板状体の上部領域に形成された保炎部と、各保炎部間の通気部とを備えた構成となっている。そのため、保炎部よりも下方に位置する燃焼盤側壁の炎孔から燃焼室内に形成される火炎には保炎効果が及ばないものとなる。従って、保炎部よりも下方に位置する炎孔から燃焼室内に形成される火炎は燃焼盤の側壁から離れてリフトし易いものとなり、大きくリフトした場合には燃焼盤底壁近傍に炎が存在しなくなって、当該底壁を期待する温度まで上昇させることができなくなり、これに伴って底壁内面と対面する燃焼室外筒の底壁も期待する温度まで上昇させることができない。これにより、燃焼室外筒の底壁、若しくは燃焼盤の底壁と燃焼室外筒の底壁の両方で気化ガスの再凝縮を生じさせてしまうという不都合を招来する。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、このような種々の不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、燃焼盤のコーナー領域に空気が行き届くようにして当該コーナー領域における熱負荷を低減することのできる液体燃料燃焼装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、前記コーナー領域に向かう空気の流量を積極的に確保して当該領域の熱負荷を一層低減することのできる液体燃料燃焼装置を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、燃焼盤における底壁の温度低下を抑制して気化ガスの再凝縮を防止することのできる液体燃料燃焼装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、平面視で多角形の燃焼室を形成する燃焼盤と、前記燃焼室内に配置された気化筒の下部に設けられて液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、当該飛散リングとの間に送気間隙を形成するように配置された送気案内リングと、この送気案内リングの下面側に空気を供給する送風通路とを備え、前記気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することで当該気化筒内に供給される液体燃料を気化し、当該気化した燃料を前記燃焼盤の側壁に形成された炎孔から噴出させて気化燃焼を行う液体燃料燃焼装置において、
前記燃焼盤のコーナー部を除く下部領域に保炎部材が設けられる、という構成を採っている。このような構成によれば、前記送気間隙から燃焼室内に供給される冷却用の空気によってコーナー領域を除く燃焼盤下部の炎孔から燃焼室内に形成される火炎が煽られてリフト状態になることが防止され、安定した燃焼状態を維持することができる。つまり、保炎部材によって送気間隙からの空気が直接火炎に当たることを抑制するとともに、火炎の先端を保炎部材で押さえ付けることで火炎が燃焼盤から離れてしまうことを防止することができる。この一方、前記コーナー領域では、保炎部材が存在していないので、コーナー領域に向かう空気流を阻害することがない。また、火炎を保炎部材で押さえ付けないので、火炎と燃焼盤との距離が近づきすぎることがない。これらにより、平面視多角形状の燃焼盤の場合に固有のコーナー領域における過熱を防止することができる。
【0010】
本発明において、前記保炎部材は、複数の保炎部と、これら保炎部間に形成された通気部とを備えて構成することが好ましい。このような通気部を設けることによって安定した火炎を形成することができる。
【0011】
また、前記保炎部材は、前記側壁の下縁近傍に位置する炎孔から燃焼室内に形成される火炎を前記底壁近傍に保持できる保炎部を備える構成を採用するとよい。このような保炎部を設けた場合には、前記下縁近傍の炎孔による火炎が底壁近傍に位置することとなって底壁側の温度低下を抑制しつつ期待する底壁温度を得ることが可能となる。従って、底壁側の温度低下に起因した気化ガスの再凝縮を防止することができる。
【0012】
更に、前記保炎部材は、上部の保炎部と下部の保炎部とを備え、下部の保炎部は、当該下部の保炎部に対応する炎孔から燃焼室内に形成される火炎を底壁に近づける向きに設けられたものも採用することができる。この際、下部の保炎部は、前記側壁の下縁に沿って略等間隔をおいて配置するとよい。これにより、底壁側が部分的に温度上昇することなく、広い範囲に亘って温度上昇するようになり、前記再凝縮を一層効果的に防止することができる。
【0013】
また、前記側壁と保炎部材との間に位置決め部材を設けることが好ましい。このような構成を採用した場合には、保炎部と炎孔との相対位置が一定となる状態で組み立てできるようになり、組み立て誤差も回避可能となる。位置決め部材としては、側壁と保炎部材の何れか一方に凸部を設けておく一方、何れか他方に、当該凸部を受容し得る穴、切欠若しくは凹部を例示することができる。
【0014】
更に、前記送気案内リング若しくはその近傍に、前記燃焼盤のコーナー領域に向かう空気流量を相対的に多くする空気流路が形成される、という構成を採るとよい。このような空気流路により、燃焼盤のコーナー領域に向かう空気流量を十分に確保して積極的にコーナー領域に空気を導入することができ、前記保炎部材と相互に作用しつつコーナー領域の温度上昇を抑制して当該コーナー領域の熱負荷を低減することができる。
【0015】
なお、本明細書において、「噴霧燃焼」とは、液体燃料を着火することによって行われる燃焼を意味し、「気化燃焼」とは、気化した液体燃焼を空気と混合することにより得られる混合気を着火することによって行われる燃焼を意味する。
【0016】
また、本明細書において、「コーナー領域」とは、燃焼盤側壁の延出方向が変わる境界領域、より具体的には、前述した火炎同士の干渉により大きな火炎の塊が形成されて過熱を生じ易い領域について用いられる。このコーナー領域は、図1等において符号Cで示されている。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0018】
[第1実施例]
図1には、第1実施例に係る液体燃料燃焼装置としてのバーナーの概略平面図が示され、図2には、図1に対して部品を一部取り外した状態のバーナーの概略平面図が示されている。また、図3には、図1のa−a線矢視概略端面図が示され、図4には、図3の一部拡大図が示されている。これらの図において、バーナー10は、平面視で略正方形となる燃焼室11を含む上部構成体12と、この上部構成体12を下方から支持するとともに、上部が開放する有底容器状をなす燃焼用空気箱13(図3,図4参照)と、この燃焼用空気箱13内の燃焼用空気室13Aに空気を供給する送風機14とを備えて構成されている。
【0019】
前記上部構成体12は、図4に示されるように、外側に位置する有底略角筒状の燃焼室外筒15と、この燃焼室外筒15の内側に設けられた有底略角筒状の燃焼盤16と、当該燃焼盤16の内側略中央に位置するとともに、灯油等の液体燃料を気化して空気との混合気を形成する混合気形成手段18と、当該混合気形成手段18の下部側に設けられるとともに、燃焼室11内に前記燃焼用空気室13Aからの空気を導入する空気導入部19とを備えて構成されている。なお、本実施例では、燃焼盤16と混合気形成手段18との間に形成される空間が前記燃焼室11となっている。
【0020】
前記燃焼室外筒15は、平面視で略正方形の外形を有する底壁15Aと、この底壁15Aの外周から上方に起立する四辺の側壁15Bとからなる。底壁15Aには、略中央領域に第1中央貫通穴21が形成されているとともに、この第1中央貫通穴21の周方向に沿う複数箇所、本実施例では周方向略90度間隔位置に第1中央貫通穴21よりも小径の第1外側貫通穴22が形成されている。
【0021】
前記燃焼盤16は、燃焼室外筒15の内方に隙間を隔てて配置されており、当該隙間によって前記混合気形成手段18で形成された混合気を通過させるガス室24が形成されている。また、燃焼盤16は、平面視で略正方形の外形を有する底壁16Aと、この底壁16Aの外周から上方に起立する四辺の側壁16Bとにより構成され、各側壁16Bの延出方向が変わる四箇所の屈曲部分が燃焼盤16のコーナー領域C(図1及び図2参照)とされている。底壁16Aの中央部には、前記第1中央貫通穴21と第1外側貫通穴22の各上方に第2中央貫通穴26と第2外側貫通穴27がそれぞれ形成されている。また、側壁16Bには、前記ガス室24からの混合気を燃焼室11内に噴出可能とする多数の炎孔29が形成されているとともに、当該側壁16Bの上部に筒状部材33が設けられている。この筒状部材33は、内外二重壁構造とされ、その間が空気室35として構成されている。この空気室35は、送風機14(図3参照)からの空気を一部バイパスさせる空気連通路34の一端(上端)が連通されており、空気室35の上部に形成された送気孔37から空気を上方に噴出することで、筒状部材33の上方に設けられる図示しない熱交換体の壁面の結露等を防止するようになっている。
【0022】
前記混合気形成手段18は、図4に示されるように、下部が開放する釣鐘型の気化筒39と、この気化筒39の下端との間に微細な隙間S1を隔てて配置される飛散リング40と、前記第1中央貫通穴21の形成縁領域に支持されるとともに、上端側が気化筒39側に開放する一方、下端側が燃焼用空気室13A側に開放する略円筒状の送風筒41と、この送風筒41の上方に位置する燃料拡散体42と、この燃焼拡散体42に液体燃料を供給する燃料供給管44とにより構成されている。
【0023】
前記燃料拡散体42は、上下両側が開放する略円筒状の側部42Aと、この側部42Aの上端に連なる外向きのフランジ部42Bと、側部42Aの下端側に連なるとともに、反転フック状に設けられて燃料供給管44からの液体燃料を受け取り可能な受け部42Cと、フランジ部42Bの上面側に微小な隙間S2を隔てて固定される頂部42Dとからなる。気化筒39及び燃料拡散体42は、その中央部に位置する共通の回転軸46によって支持されており、当該回転軸46を出力軸とするモータ47の駆動によって一体回転可能に設けられている。この際、燃料拡散体42の受け部42Cに供給された液体燃料は、回転に伴う遠心力によって、前記隙間S2から気化筒39の内壁39B上部に向かって噴出するようになっている。
【0024】
前記燃焼室11内に空気を送り込むための空気導入部19は、前記第1及び第2外側貫通穴22,27間を連結する送気筒49と、この送気筒49の上端開放側と飛散リング40との間に設けられて当該飛散リング40との間に送気間隙Pを形成可能な送気案内リング50とにより構成されている。この空気導入部19は、前記送風機14から燃焼用空気室13Aを通過した空気が送気筒49によって形成される送風通路49Aを通って送気間隙Pから燃焼室11内に供給可能となっている。
【0025】
前記送気案内リング50は、図2及び図5ないし図7に示されるように、燃焼盤16の底壁16AにねじB(図2参照)等によって固定されるベース部材52と、このベース部材52の上端側に設けられる起立部材53とからなる。
【0026】
ベース部材52は、燃焼盤16の底壁16Aに接地するリング片状の基部55と、この基部55の内周縁から上方に向けられて周方向に延びる側壁部56と、この側壁部56の上端から内方に向けられて前記基部55と略平行に位置するリング片状の上部57とにより構成されている。基部55の内側には、前記各第2外側貫通穴27が位置するようになっており、上部57によって送風通路49Aから上昇する空気の流れをやや内向きに変えることができるようになっている。
【0027】
前記起立部材53は、前記上部57に固定されるリング片状の起立片支持部59と、この起立片支持部59の外周縁から上方に向けられて周方向に延びる起立片60とにより構成されている。起立片支持部59は、その内周縁位置が上部57の内周縁位置と略同一に設定される一方、上部57の外周縁位置よりも内側に位置する大きさに設定されており、軸線が上部57と略同一となる位置で当該上部57に固定されている。起立片60の上端と飛散リング40の外縁との間に形成された送気間隙Pは、前記上部57でやや内向きに変えられた送風通路49Aからの空気を燃焼室11内に噴出可能に設けられている。また、コーナー領域Cに相対する起立片60の一定領域には、上側が略凹状に開放する切欠部60Aが形成され、コーナー領域Cに相対する起立片60の領域は、他の起立片60の領域よりも起立高さが低くなって、コーナー領域Cに向かう空気流Aの量が相対的に多く確保されるようになっている(図1参照)。ここにおいて、前記切欠部60Aが、前記空気流Aを発生する空気流路Wとして作用する。
【0028】
前記燃焼盤16において、その側壁16Bの下部には、炎孔29から燃焼室11内に形成される火炎のリフトを防止するための保炎部材70が設けられている。この保炎部材70は、図8及び図9に示されるように、横方向に長い板片状をなす本体部71と、この本体部71の図8中上縁に一体に連なるとともに、当該本体部71の長手方向に沿って複数設けられた片状の保炎部72と、これら保炎部72の間に形成された通気部73とにより構成されている。保炎部72は、面位置が本体部71の面位置に対して燃焼室11の内方に若干傾斜するとともに、それ自体が略水平面内で捻られた形状に設けられている。ここで、保炎部材70は、側壁16Bの下部位置において、本体部71が炎孔29を閉塞しない位置に取り付けられ、且つ、本体部71の直近上方にある炎孔29が保炎部72によって閉塞されないようになっている。なお、特に限定されるものではないが、本実施例における保炎部材70は、耐熱性を備え、且つ、高温強度の高い材質、例えば、SUS310S等が用いられている。
【0029】
前記保炎部材70は、図1及び図2に示されるように、燃焼盤16の側壁長さよりも短い長さとされており、これにより、保炎部材70を側壁16Bに取り付けたときに、コーナー領域Cに保炎部材70が存在しないようになっている。保炎部材70の取り付け高さ位置は、特に限定されるものではなく、送気間隙Pからの空気流Aによって影響を受け易い位置にある炎孔29を対象として当該炎孔29の対向位置に保炎部72が位置するように決定すればよい。また、場合によっては、各側壁16Bにおける保炎部材70の数も複数とすることが可能である。
【0030】
なお、前記送風機14は、ここでは詳細構造を省略するが、図示しないモータの駆動によってファンF(図3参照)が回転し、燃焼用空気箱13の内部に形成された燃焼用空気室13Aに直接送り込めるようになっている。なお、送風機14としては、軸流式、遠心式、斜流式、或いは横流式のもの等を採用することができる。また、本実施例においては、ファンF及び気化筒39を別個のモータで回転させる構造となっているが、共通のモータによってファンF及び気化筒39を回転させてもよい。
【0031】
次に、前記バーナー10の燃焼動作について図4を参照しながら説明する。
【0032】
先ず、図示しないスイッチを投入すると、送風機14とモータ47が同時に作動する。送風機14が作動することにより、当該送風機14から燃焼用空気室13Aを経由した空気が、送風筒41の内部を通って気化筒39内に供給されるとともに、前記送風通路49A及び送気間隙Pを通って燃焼室11内に供給される。一方、モータ47が作動することにより、気化筒39及び燃料拡散体42が同時に回転する。そして、燃料供給管44から燃料拡散体42の受け部42Cに灯油等の液体燃料が供給される。この液体燃料は、燃料拡散体42の回転によって燃料拡散体42に形成された微細な隙間S2から気化筒39の内壁39Bに向かって噴出され、更に、気化筒39と飛散リング40との間に形成された隙間S1から燃焼室11内に飛散される。この飛散された液体燃料は、燃焼室11内に延びるイグナイター等の点火装置(図示省略)の火花によって着火され、噴霧燃焼が開始する。
【0033】
噴霧燃焼が開始されると、その燃焼熱によって気化筒39が加熱され、気化筒39の内壁39Bに噴出された液体燃料が気化する。そして、当該気化した燃料は、気化筒39の内部に供給された空気と混合して混合気となり、当該混合気がガス室24を通って燃焼盤16の各炎孔29から燃焼室11内に噴出され、気化燃焼が行われる。この際、保炎部材70は、炎孔29からの火炎を保炎部72が押さえ付けるように作用するため、空気流Aで煽られてリフト状態になるようなことはない。
【0034】
また、コーナー領域Cに相対する起立片60に切欠部60A(図7参照)が形成されているため、当該切欠部60Aを通じてコーナー領域Cに向かう空気流Aが他の領域に対して相対的に多く発生することになる。この一方、コーナー領域Cには保炎部材70が存在しないので、空気流Aの流れが遮られるようなことはなく、相互に干渉し合う火炎の塊が煽られてリフト状態となる。
【0035】
従って、このような第1実施例によれば、コーナー領域Cに保炎部材70を設けない構成と、コーナー領域Cに対して空気を積極的に供給可能な空気流路Wを設けた構成が相互に作用する関係となり、空気流路Wによって相対的に多く発生する空気流Aにより、コーナー領域Cの温度上昇を抑制して当該コーナー領域Cの熱負荷を低減できるという効果を得る。
【0036】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について、図10ないし図12を参照しながら説明する。なお、以下において、第1実施例と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いて説明を省略する。
【0037】
この第2実施例は、前記第1実施例における保炎部材70の変形的態様に関する。これを更に詳述すると、保炎部材70は、本体部71の上部側に設けられた上部の保炎部72及び通気部73の他に、本体部71の下部側に設けられた下部の保炎部75とにより構成されている。下部の保炎部75は、本体部71の下端縁から上部側に向かう部分的な切り起こしによって形成された舌片状をなし、その先端縁位置が切り起こした根元の高さ位置よりも底壁16A側に位置する傾斜姿勢となっている。また、下部の保炎部75は、特に限定されるものではないが、上部の保炎部72よりも少ない総数、本実施例では六個設けられている。これら下部の保炎部75は、本体部71の長手方向に沿って相互に略等間隔を隔てて配置されており、下部の保炎部75の切り起こしによって形成される空間部77に対応する位置には、燃焼盤16における側壁16Bの下縁に沿って略等間隔を隔てて形成された最下位の炎孔29がそれぞれ位置するようになっている。ここで、保炎部材70は、図11(A)に示されるように、左右両側に位置する下部の保炎部75,75よりも一つ内側にそれぞれ位置する下部の保炎部75,75の隣接位置には、半円弧状の切欠部78,78が形成されており、これらの切欠部78,78内に、燃焼盤16における側壁16Bの下部に形成された凸部79,79がそれぞれ受容されるようになっている。ここにおいて、前記切欠部78及び凸部79により位置決め部材が構成される。その他の構成は、前記第1実施例と略同一となっている。
【0038】
このような第2実施例では、前記上部の保炎部72は、第1実施例と同様に作用する。この一方、下部の保炎部75は、炎孔29から燃焼室11内に形成される火炎よりも上方に位置して当該火炎を炎孔29の近傍に保ち、且つ、底壁16Aに近づけるように作用する。換言すれば、最下位の炎孔29からの火炎を上方より押さえ付けるようになる。従って、底壁16A及び当該底壁16Aの下方に位置する燃焼室外筒15の底壁15Aの温度低下を抑制でき、当該温度低下に起因した前記各底壁16A、15A上での気化ガスの再凝縮を防止することが可能となる。また、第2実施例では、前述した位置決め部材を設けているため、側壁16Bに対する保炎部材70の取り付け位置が容易に決定されることとなり、保炎部材70を側壁16Bに取り付けた状態で、炎孔29との相対位置も正確に保つことができ、保炎部材70を設けたことの効果を確実ならしめることとなる。
【0039】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、位置、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、位置などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0040】
例えば、前記実施例では、平面視で略正方形状をなす燃焼室11を備えたバーナー10について説明したが、本発明はこれに限らず、平面視において略長方形状等の他の多角形状燃焼室を備えたバーナーについても適用可能である。
【0041】
また、コーナー領域Cに対し、相対的に空気流Aの量を多くするための手段として、送気案内リング50の起立片60に凹状の空気流路Wを形成した場合を図示、説明したが、起立片60の面内に穴を形成したり、起立片60若しくはこれの近傍にトンネル状の通路を形成してもよい。要するに、本発明は、保炎部材70が存在しない燃焼盤16のコーナー領域Cに対し、当該領域以外の領域よりも空気流Aの量を多く確保してコーナー領域Cの熱負荷を低減できる構成であれば種々の設計変更が許容される。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コーナー領域に保炎部材を設けていないことにより、コーナー領域に生じる火炎の塊が送気間隙からの空気流によって煽られてリフトする結果、平面視多角形状とした燃焼盤の場合に固有の問題となるコーナー領域における過熱を効果的に防止することができる。
【0043】
また、下部の保炎部を設けた構成により、底壁上に気化ガスの再凝縮を防止することが可能となる。しかも、保炎部材に位置決め部を設けたことにより、当該保炎部材の取り付け位置が精度よく定められる結果、炎孔との相対位置も正確に保つことができる。
【0044】
更に、燃焼盤のコーナー領域に向かう空気流量を相対的に多くする空気流路を形成した構成では、燃焼盤のコーナー領域に向かう空気流量を十分に確保して積極的にコーナー領域に空気を導入することができ、この点からも、コーナー領域に生じ得る熱負荷の低減を一層促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係るバーナーの概略平面図。
【図2】図1に対して気化筒及び飛散リングを外した状態のバーナーの概略平面図。
【図3】図1のa−a線矢視概略端面図。
【図4】図3の一部拡大図。
【図5】送気案内リングの概略斜視図。
【図6】送気案内リングの概略正面図。
【図7】送気案内リングを含むバーナー要部の概略端面図。
【図8】(A)は保炎部材の正面図、(B)は(A)のb−b線拡大断面図。
【図9】(A)は保炎部材の概略斜視図、(B)は(A)のc部拡大図。略端面図。
【図10】第2実施例に係る図4と同様の端面図。
【図11】(A)は第2実施例に係る保炎部材の正面図、(B)は(A)のd−d線拡大断面図。
【図12】(A)は第2実施例に係る保炎部材の概略斜視図、(B)は(A)のe部拡大図。
【符号の説明】
10…バーナー(液体燃料燃焼装置)、11…燃焼室、16…燃焼盤、16A…側壁、16B…側壁、29…炎孔、39…気化筒、40…飛散リング、50…送気案内リング、70…保炎部材、72…保炎部、73…通気部、75…下部の保炎部、78…切欠部(位置決め部材)、79…凸部(位置決め部材)、A…空気流、C…コーナー領域、P…送気間隙、S1…隙間

Claims (7)

  1. 平面視で多角形の燃焼室を形成する燃焼盤と、前記燃焼室内に配置された気化筒の下部に設けられて液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、当該飛散リングとの間に送気間隙を形成するように配置された送気案内リングと、この送気案内リングの下面側に空気を供給する送風通路とを備え、前記気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することで当該気化筒内に供給される液体燃料を気化し、当該気化した燃料を前記燃焼盤の側壁に形成された炎孔から噴出させて気化燃焼を行う液体燃料燃焼装置において、
    前記燃焼盤のコーナー部を除く下部領域に保炎部材を設けたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
  2. 前記保炎部材は、複数の保炎部と、これら保炎部間に形成された通気部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の液体燃料燃焼装置。
  3. 前記保炎部材は、前記側壁の下縁近傍に位置する炎孔から燃焼室内に形成される火炎を前記底壁近傍に保持できる保炎部を備えていることを特徴とする請求項1記載の液体燃料燃焼装置。
  4. 前記保炎部材は、上部の保炎部と下部の保炎部とを備え、下部の保炎部は、当該下部の保炎部に対応する炎孔から燃焼室内に形成される火炎が前記底壁に近づける向きに設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体燃料燃焼装置。
  5. 前記下部の保炎部は、前記側壁の下縁に沿って略等間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項4記載の液体燃料燃焼装置。
  6. 前記側壁と保炎部材との間に位置決め部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の液体燃料燃焼装置。
  7. 前記送気案内リング若しくはその近傍に、前記燃焼盤のコーナー領域に向かう空気流量を相対的に多くする空気流路が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の液体燃料燃焼装置。
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