JP4120801B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体燃料を用いた燃焼装置に係り、更に詳しくは、燃焼開始時や燃焼中における消費電力を削減しつつ安定した燃焼を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】
給湯器や暖房機等には、ランニングコスト低減のために、安価な灯油等の液体燃料を使用する燃焼装置が多用されている。中でも、比較的発熱量が小さい用途に使用される燃焼装置は、気化器によって液体燃料を気化し、この気化された燃料ガスを燃焼部に送って燃焼させる形式のものが多い。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−21332号公報
【0004】
例えば、特許文献1には、気化器で気化された燃料ガスと空気とを予混合して燃焼部へ供給して燃焼を行う燃焼装置(石油燃焼器)が開示されている。
この燃焼装置では、気化器における液体燃料の気化を促進させるために、気化器に気化ヒータを配した構成を採用しており、気化器を予熱して液体燃料の気化を促進させつつ燃焼運転が開始される。そして、燃焼時間が経過し火炎のヒートバックによって気化器の温度を高温に維持可能になると、気化ヒータへの通電電力を低減あるいは通電を遮断し、火炎による直接的なヒートバックによって気化器を加熱しつつ気化を行って燃焼を継続させる構成が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記した燃焼装置では、火炎による気化器へのヒートバックが充分ではなく、気化ヒータへの通電電力を低減したり通電を停止すると気化器における液体燃料の気化が不充分となり、安定した燃焼を行うことが困難であった。このため、燃焼状態に応じて気化ヒータへ大電力を供給する必要があり、ランニングコストの増加を招いていた。
【0006】
また、前記した燃焼装置では、燃焼部に供給される混合ガスを燃焼させる際に、燃焼部に直接的に二次空気を供給して有害ガスの発生を抑えた安定した燃焼を行わせる方式を採用することが多い。このため、燃焼開始時に気化器で気化されて燃焼部に供給される燃料ガスが、低温の二次空気で冷却されて再液化する不具合が生じ易く、気化が不充分となって安定した燃焼を行うことができなかった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて提案されるもので、火炎によって気化器や燃焼部を効率良く昇温させて安定した気化を行うことにより、燃焼開始時や燃焼中における消費電力を削減しつつ安定燃焼を行う燃焼装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部の少なくとも一部は燃焼部に露出し、当該燃焼部は、気化部に連通するガス流路を備えた平面状の炎孔ベースを有し、当該炎孔ベースに燃料ガスまたは混合ガスを噴出する複数の炎孔を備えた炎孔部材が装着され、平面図で見たときに前記気化部の左右に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔の個々の開口面積が大きく、また気化部の上下に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔同士の間隔が狭く、前記気化部に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積は、気化部から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて大きいことを特徴とする燃焼装置である。
【0009】
本発明によれば、気化部から離れた部位に比べて、気化部に近接した部位から噴出する混合ガス量が増加するので、気化部に近接した部位から噴出する火炎を他の部位から噴出する火炎に比べて増大させることができる。従って、火炎によって気化部を煽って効率良く温度上昇させることができ、燃焼中における気化ヒータの通電電力を低減あるいは通電を遮断しても、充分に気化した燃料ガスを気化部で生成することが可能となる。これにより、ランニングコストを低減しつつ安定燃焼を行わせることができる。
炎孔部材に設ける炎孔は、適宜の形状を採ることが可能であり、例えば、丸形状、四角形状あるいはスリット形状の開口による炎孔を採用することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部の少なくとも一部は燃焼部に露出し、当該燃焼部は、気化部に連通するガス流路を備えた平面状の炎孔ベースを有し、当該炎孔ベースには、前記ガス流路を介して気化部から供給される燃料ガスまたは混合ガスを噴出する複数の炎孔を備えた長尺の炎孔部材が配列され、平面図で見たときに前記気化部の左右に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔の個々の開口面積が大きく、また気化部の上下に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔同士の間隔が狭く、各炎孔部材は、前記気化部に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積が気化部から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて大きいことを特徴とする燃焼装置である。
【0011】
本発明によれば、長尺の炎孔部材を炎孔ベースに複数配列した構成を採用し、各炎孔部材の炎孔の単位面積当たりの開口面積を調節することにより、前記請求項1と同様の効果を奏することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部の少なくとも一部は燃焼部に露出し、当該燃焼部は、気化部に連通するガス流路を備えた平面状の炎孔ベースを有し、当該炎孔ベースには、前記ガス流路を介して気化部から供給される燃料ガスまたは混合ガスを噴出する複数の炎孔部材が配列され、各炎孔部材は、畝状に延びる炎孔列を有した長尺形状で、当該畝の両側縁から幅方向へ延びるスリット状の開口で形成される炎孔と、当該畝の幅方向全長に渡って延びるスリット状の開口で形成される炎孔とを長手方向へ向けて組み合わせて配列して形成され、平面図で見たときに前記気化部の左右に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔の個々の開口面積が大きく、また気化部の上下に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔同士の間隔が狭く、各炎孔部材は、前記気化部に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積が、前記気化部から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて大きいことを特徴とする燃焼装置である。
【0013】
本発明によれば、各炎孔の開口面積を調節することにより、気化部に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積を気化部から離れた部位に比べて増大させることができる。これにより、請求項1,2に記載の発明と同様に、充分に気化した燃料ガスを気化部で生成することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃焼装置において前記炎孔ベースは、炎孔から噴出する火炎による燃焼熱の一部を吸収する熱回収壁を前記炎孔部材を取り囲むように外側縁に沿って備え、前記炎孔部材は、前記熱回収壁に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積が、熱回収壁から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて大きい構成とされている。
【0015】
本発明によれば、熱回収壁から離れた部位に比べて、熱回収壁に近接した部位から噴出する混合ガス量が増加するので、熱回収壁に近接した部位から噴出する火炎を他の部位から噴出する火炎に比べて増大する。従って、火炎によって発生する熱の一部を熱回収壁を介して炎孔ベースに効率良く伝達させることができ、炎孔ベースを短時間に昇温させることが可能となる。これにより、気化部によって気化された燃料ガスの再液化を防止しつつ安定燃焼を行わせることが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、形状の異なる長尺の炎孔部材を有し、そのなかの一種の炎孔部材は、気化部の左右に配されており、畝状の炎孔部を持ち、炎孔部には形状の異なる3種類の炎孔が配列されており、一種の炎孔は炎孔部の幅方向全長に渡って延びるスリット状の開口であり、他の一種の炎孔は炎孔部の長手両側面から幅方向に対向して延びる一対のスリット状の開口であり、さらに他の炎孔は、前記炎孔よりも炎孔部の幅方向長さが短い一対のスリット状の開口であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃焼装置である。
【0017】
本発明によれば、炎孔ベースを短時間に昇温させることが可能となる。これにより、気化部によって気化された燃料ガスの再液化を防止しつつ安定燃焼を行わせることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃焼装置において、形状の異なる長尺の炎孔部材を有し、そのなかの一種の炎孔部材は、気化部の左右に配されており、隣接する炎孔の間隔が長手中央部に向かうに連れて増加していることを特徴とする構成とされている。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃焼装置において、形状の異なる長尺の炎孔部材を有し、そのなかの一種の炎孔部材は、炎孔ベースと略同一の長さを有する長尺の部材であり、上下から気化部を挟むように配され、前記炎孔部材には炎孔が多数配列され、長手中央部に設けられた炎孔は、他の部位に比べて隣接する炎孔の間隔が狭いことを特徴とする構成とされている。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項4乃至7のいずれか1項に記載の燃焼装置において、炎孔部材は、熱回収壁に近接した部位における炎孔の開口面積を、熱回収壁から離れた部位における炎孔の開口面積よりも大きくする構成とされている。
【0021】
炎孔の開口面積を大きくすることにより、気化部や熱回収壁に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積を増加させることができる。
また、炎孔同士の間隔を狭くすると共に炎孔の開口面積を大きくすることにより、気化部や熱回収壁に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積を一層増大させることができる。
【0022】
炎孔同士の間隔を狭くする場合、気化部や熱回収壁に近接した所定範囲における炎孔同士の間隔を他の部位に比べて狭くする構成や、気化部や熱回収壁に近接するに連れて炎孔同士の間隔を次第に狭くする構成を採ることができる。
また、炎孔の開口面積を大きくする場合、気化部や熱回収壁に近接した所定範囲における炎孔の開口面積を他の部位に比べて大きくする構成や、気化部や熱回収壁に近接するに連れて炎孔の開口面積を次第に大きくする構成を採ることができる。
【0023】
また、炎孔の開口面積を大きくする場合、炎孔部材の幅方向への炎孔の長さを増大する構成や、炎孔部材の長手方向への炎孔の幅を増大する構成、あるいは、これらの双方を増大する構成を採ることができる。
尚、炎孔部材において、単位面積当たりの炎孔の開口面積を増加させた部位を設ける場合は、他の部位において単位面積当たりの炎孔の開口面積を低減させて燃料ガスの排出量を調整することにより、燃焼量の全域に渡って安定燃焼を行わせることが可能である。
【0024】
前記本発明の燃焼装置において、炎孔ベースは、隣接して配列される炎孔部材同士の間から火炎の噴射方向へ向けて二次空気を供給する二次空気流路を備え、炎孔部材は、当該炎孔部材を炎孔ベースへ固定する固定部に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積が、固定部から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて小さい構成とすることができる。
【0025】
ここで、燃料ガスを燃焼させる際に所定量の二次空気を供給することにより、COなどの有害ガスの発生を低減しつつ安定した燃焼を行わせることが可能である。このためには、燃料ガスの噴射量、則ち、火炎の大きさに応じた量の二次空気を供給する必要がある。ところが、炎孔部材を固定するための固定部材が取り付けられる部位の近傍では二次空気流路を設けることができず、火炎に供給可能な二次空気量が低減する。
【0026】
前記構成によれば、炎孔部材を固定するための固定部に近接した部位における炎孔の開口面積の占める割合が少ない。従って、火炎に供給を要する二次空気量も少ない。これにより、火炎と二次空気量とのバランスを維持することができ、安定燃焼を行わせることが可能となる。
【0027】
また、前記本発明の燃焼装置において、炎孔部材は、幅方向へ延出する炎孔に対して逆方向へ傾斜して延出する保炎部を長手両側縁に沿って略全長に渡って備えた構成を採ることができる。保炎部を設けることにより、炎孔から噴出する火炎が二次空気で直接煽られることがなく、火飛びなどの発生を防止しつつ安定して二次空気を供給することができ、有害ガスの発生が抑制された安定燃焼を行うことが可能となる。
【0028】
また、本発明の燃焼装置において、気化部で生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ供給して下方へ向けて火炎を噴出する下方燃焼型を採ることができる。ここで、燃焼装置は、上方へ向けて火炎を噴出する上方燃焼型、または、下方へ向けて火炎を噴出する下方燃焼型として給湯装置などへ組み込まれることが多い。しかし、上方燃焼型の燃焼装置では、熱交換部へ移動した燃焼ガスがそのまま排気されるため、貯湯式給湯器などに適用した場合に、熱交換率が低下する嫌いがある。
【0029】
下方燃焼型を採用することにより、燃焼部で発生した熱が、上流側から供給される空気流によって下流の熱交換部側へ移動する。そして、熱交換部へ移動した燃焼ガスは空気流に押圧されつつ排気される。これにより、送風により火炎を下方へ向けて噴出するが、熱は下方から上方へ移動し易く、特に、燃焼開始初期には炎孔ベースが火炎で暖まり易い。これにより、炎孔ベースの温度を短時間に上昇することが可能となり、気化された燃料の再液化を防止しつつ、燃焼開始から短時間に安定した燃焼を実現可能となる。また、下方燃焼型の場合は、炎孔ベース自体についても、火炎による帰還熱による温度上昇や残熱による保温に適している。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明は、液体燃料を気化させて燃焼させる燃焼装置であり、燃焼部で発生する火炎の熱によって液体燃料を効率良く気化させることに特徴を有したものである。そこで、発明の要旨を説明するのに加えて、燃焼装置の全体構成を説明する。尚、以下の説明において上下の関係は、燃焼装置を給湯器等に設置した状態を基準とする。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係る燃焼装置1の断面図である。図2は、燃焼部に用いられる炎孔ベースを示す斜視図である。図3は、図2の炎孔ベース周辺の平面図である。図4は、気化器(気化部)周辺を示す斜視図である。図5は、燃焼装置1に採用する第1炎孔部材の斜視図、平面図および側面図である。図6は、燃焼装置1に採用する第2炎孔部材の平面図および部分拡大図である。図7は、燃焼装置1に採用する第3炎孔部材の平面図である。図8は、燃焼装置1に採用する補炎部材の平面図である。図9は、炎孔ベースへの炎孔部材および補炎部材の取付構造を示す斜視図である。図10は、炎孔ベースの火炎の発生状態を示す模式図である。図11は、炎孔部材の変形実施形態を示す平面図である。
【0032】
本実施例の燃焼装置1は、炎孔を下に向けて給湯器などに内蔵されるもので、下方へ向けて火炎を噴出する下方燃焼型(所謂、逆燃焼型)である。
燃焼装置1は、図1の様に、上から送風機2、駆動機械部3、空気量調節部4、混合部5及び燃焼部6が順次積み重ねられて構成される。混合部5及び燃焼部6の近傍には気化器(気化部)7が設けられ、空気量調節部4と気化器7の間には、流路形成部材13が配されて空気流路が形成されている。
【0033】
順次説明すると、送風機2は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング20の内部にファン21が回転可能に配されたもので、ハウジング20の中央部には、開口22が設けられている。
【0034】
駆動機械部3は箱体10を有し、その天板12の中央にモータ30が取り付けられている。モータ30は、両端部から回転軸30a,30bが突出しており、回転軸30a,30bは、燃焼装置1の略全長を上下へ向けて貫通している。上方側の回転軸30aは、ファン21に接続され、下方側の回転軸30bは、気化器7の回転部材74に接続されている。則ち、モータ30の回転駆動により、ファン21が回転駆動されて下方へ向けて送風(空気供給)を行うと共に、回転部材74が同時に回転駆動される。
送風機2のモータ30は、箱体10の外壁に固定された制御回路部(制御手段)9で生成された制御信号によって回転数制御が行われ、燃焼部6側への供給空気量を制御している。
【0035】
空気量調節部4は、円板状の移動側板状部材41と方形状の固定側板状部材42によって構成され、固定側板状部材42に対して移動側板状部材41が回転可能に取り付けられたものである。
移動側板状部材41は円板形であり、中央部に設けられた軸挿通孔の周囲には、放射状に開口が設けられている。また、移動側板状部材41の周縁部には、周縁部の一部を垂直に切り起こした係合部41aが設けられている。
【0036】
一方、固定側板状部材42は方形状であり、移動側板状部材41よりも大きい。固定側板状部材42の中央部に設けられた軸挿通孔の周囲にも、放射状に開口が設けられている。また、固定側板状部材42には、駆動片43を揺動自在に支持する支持部材42aが固定されている。この駆動片43の一端は、箱体10の外壁に固定されたステップモータ40の駆動軸40aに接続され、他端は移動側板状部材41の係合部41aへ係合している。
【0037】
移動側板状部材41は、固定側板状部材42の上にあり、中央の軸挿通孔を中心として相対的に回転可能である。そして、ステップモータ40を駆動すると、駆動軸40aに係合した駆動片43が揺動し、移動側板状部材41の係合部41aを接線方向へ向けて押圧する。その結果、移動側板状部材41が、固定側板状部材42の上で軸挿通孔を中心として相対的に回転する。
【0038】
則ち、空気量調節部4は、ステップモータ40を駆動して移動側板状部材41を回転させて、移動側板状部材41と固定側板状部材42の開口同士の重なり具合を変化させている。これにより、開口同士の重なり具合を変化させ開口面積を変動させて、開口を介して上下に移動する空気量を調節する機能を有する。
【0039】
この空気量調節部4により、送風機2から燃焼部6側に至る空気流路の開口面積を調節して、送風機2で発生した空気流の燃焼部6側への供給量を制御している。本実施形態では、空気量調節部4において移動側板状部材41を制御することにより、一次空気(気化器7へ直接供給する空気)および二次空気(後述する炎孔ベース周辺へ供給する空気)の双方の供給量を最適に調節する構成としている。
尚、ステップモータ40は制御回路部9で生成された制御信号によって駆動され、燃焼状態に応じた最適な開口面積が得られるように調整制御される。
【0040】
流路形成部材13は、図1の様に、薄板を円錐形に曲げて作られており、内部は空洞で上下に連通している。則ち、流路形成部材13は、上部と下部に開口を有し、両者は連通しており、上部の開口は、前記した固定側板状部材42の中心部へ当接し、下部の開口は、後述する一次空気導入筒15へ連通している。
【0041】
流路形成部材13の内側には、燃料パイプ(燃料供給管)14が固定されている。燃料パイプ14は、流路形成部材13の上部の開口から内部に入り、流路形成部材13および一次空気導入筒15を貫通して気化器7の回転部材74の内部に至るように取り付けられる。
【0042】
混合部5、燃焼部6及び気化器7は、図1、図2の様に、炎孔ベース60を中心として構成され、炎孔ベース60の中央部に気化器7が設けられている。そしてこれらの構成部品がハウジング11内に収納されている。
炎孔ベース60は、図2に示すように、アルミダイカストによって作られたもので、複雑な枠組と開口及び溝が設けられている。尚、図2では、炎孔ベース60の上部に上面板65を取り付けた状態で示している。
【0043】
炎孔ベース60の上面側は、図4の様に、主として燃料ガス及び二次空気の流路形成面として機能し、下面側は図2、図3、図9の様に、炎孔取付け面として機能する。
則ち、炎孔ベース60の上面側には、図4の様に、多数のループ状の垂直壁62で仕切られた溝63が設けられており、隣接する垂直壁62同士の間には、溝64が設けられている。そして、後述する気化器7で生成された燃料ガスは、上面壁61と垂直壁62との間を通り溝64から下方の炎孔へ向けて噴出して火炎を発生させる。
【0044】
炎孔ベース60の下面側には、図9の様に、上面側の溝63(図4参照)と連通して二次空気の供給路を形成するスリット状の二次空気開口67が配列されている。この二次空気開口67の配列された列同士の間には、燃料ガスの流路である溝64が配されている。後述するように、炎孔部材8(80)は、隣接する二次空気開口67同士の間に、溝64を覆うようにして炎孔ベース60の下面側に当接させて固定される。
【0045】
また、炎孔ベース60には、図2,図3に示すように、熱回収壁60aが設けられている。熱回収壁60aは、炎孔ベース60の外側縁に沿って下方へ向けて壁状に設けられている。この熱回収壁60aは、後述する炎孔部材8の炎孔から下方へ向けて噴出する火炎の熱を回収し炎孔ベース60へ伝達して昇温させる機能を有する。熱回収壁60aは金型を用いて炎孔ベース60と一体化してダイキャスト製法により製される。
【0046】
ここで、本実施形態では、形状の異なる第1炎孔部材80、第2炎孔部材90および第3炎孔部材91の3種類の長尺の炎孔部材8を炎孔ベース60に固定して燃焼部6を形成している。
則ち、燃焼部6を形成する炎孔ベース60は、図3の様に長方形であり、その中央に気化器7が設けられている。第1炎孔部材80は、図3において、気化器7の左右に7本ずつ配されるもので、炎孔ベース60の略(1/3.5)倍の長さを有する細長い部材である。
【0047】
第2炎孔部材90は、炎孔ベース60と略同一の長さを有する長尺の部材であり、図3において、上下から気化器7を挟むように炎孔ベース60の長手方向へ向けて1本ずつ配される。また、第3炎孔部材91は、第2炎孔部材90と略同一長を有する長尺の部材であり、図3において第2炎孔部材90の上下に隣接して炎孔ベース60の長手方向へ向けて1本ずつ配されている。
【0048】
第1炎孔部材80は、図5の様に、断面がコ字形を有する畝状の長尺の炎孔部81の周囲にフランジ部82を形成した上下左右対称の細長い部材であり、金属板をプレス成形して製される。フランジ部82の長手両端部および中央部の長手両側縁には、各々、半円状に切り欠いた6個の固定部82aが設けられている。また、図5(a)の様に、固定部82a同士の間の長手両側縁は幅方向へ切り欠かれて切り欠き部82bが形成されている。この切り欠き部82bを介して二次空気開口67から流出する二次空気が火炎に供給される。
【0049】
第1炎孔部材80の炎孔部81には、図5(a)の様に、形状の異なる3種類の炎孔83,84,85が配列されている。炎孔83は、炎孔部81の長手両側面から幅方向全長に渡って延びるスリット状の開口であり、炎孔部81の長手両端部に狭い間隔をおいて各々2本ずつ設けられている。炎孔84は、炎孔部81の長手両側面から幅方向に渡って対向して延びる一対のスリット状の開口であり、炎孔83の内側に炎孔部81の長手中央の方向へ間隔をおいて4対ずつ設けられている。また、炎孔85は、炎孔83よりも炎孔部81の幅方向へ短い一対のスリット状の開口であり、炎孔84の内側に炎孔部81の長手中央の方向へ間隔をおいて2対ずつ設けられている。
【0050】
これらの炎孔83〜85は、隣接する炎孔の間隔を少しずつ異ならせて配置されている。則ち、炎孔部81の長手両端部に2本ずつ配される炎孔83から内側に隣接して配される4対の炎孔84および2対の炎孔85にかけて、隣接する炎孔の間隔を炎孔部81の長手中央部に向かうに連れて増加させている。
本実施形態では、第1炎孔部材80を、長さ60mm、幅12.5mmの大きさとし、炎孔部81の長さ55mm、幅6mm、高さ2mmの形状に製している。また、炎孔83,84,85は各々幅が1mmであり、炎孔84の長さは略2mm、炎孔85の長さは略1.5mmである。尚、第1炎孔部材80および後述する第2、第3炎孔部材の外形および炎孔形状は、炎孔ベース60の大きさや燃焼量に応じて適宜に設定することが可能である。
【0051】
則ち、第1炎孔部材80は、長手両端部に近接するほど、炎孔83,84が狭い間隔で配置されて炎孔83,84の開口面積の占める割合(単位面積当たりの炎孔の開口面積)が増加し、長手中央部に近接するほど、炎孔84,85が広い間隔で配置されて炎孔84,85の開口面積の占める割合が減少する形状を有している。従って、第1炎孔部材80を図3の様に炎孔ベース60に固定すると、溝64を通じて供給される燃料ガスは第1炎孔部材80の長手両端部近傍から多く噴出し、長手中央部は長手両端部に比べて燃料ガスの噴出量が低減する構造とされている。
【0052】
また、後述するように、第1炎孔部材80の長手中央部の固定部82aには固定ねじ69が位置するので、二次空気の供給量が低減する。しかし、第1炎孔部材80では、長手中央部の固定部82aに近接する部位に、開口面積の少ない炎孔85を間隔をあけて配置して、噴出する燃料ガス量を低減させている。これにより、供給量の少ない二次空気とのバランスを保つ構造としている。
【0053】
第2炎孔部材90は、図6(a)の様に、第1炎孔部材80と基本的な構成は同一であるが、第1炎孔部材80の略3.5倍の長さを有する長尺の左右対称形状の部材である。尚、第1炎孔部材80と同一構成部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。第2炎孔部材90は、炎孔部81の長手両端部に炎孔83を各々1本ずつ配置し、更に、この炎孔83の内側に、対向する炎孔84を長手方向へ向けて多数配列した構造である。
【0054】
第2炎孔部材90ののフランジ部82の長手両側縁には、所定の間隔で固定部82aが設けられている。但し、気化器7に近接する長手中央部の一方の側縁には、フランジ部82を延出させて開口を設けた固定部82cが3カ所設けられている。また、図6(b)の様に、3カ所の固定部82cに近接する領域Hに位置する炎孔84は、他の部位に比べて隣接する炎孔84の間隔が狭くされている。
従って、第2炎孔部材90を、図3の様に炎孔ベース60に固定すると、燃料ガスは第2炎孔部材90の長手中央部、則ち、気化器7に近接した部位から多く噴出し、また、長手両端部においても、炎孔83によって噴出量が増大する構造とされている。
【0055】
第3炎孔部材91は、図7の様に、第2炎孔部材80と基本的な構成は同一の部材である。この第3炎孔部材91は、図3の様に、炎孔ベース60の幅方向の両端に長手方向に向けて固定される部材であり、長手両端部のフランジ部82を炎孔ベース60の形状に沿わせて湾曲させている。尚、第2炎孔部材90と同一構成要素には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
第3炎孔部材91は、炎孔部81の長手両端部に炎孔83を各々1本ずつ配置し、この炎孔83の内側に、炎孔84を全長に渡って同一間隔で多数配列した構造である。
【0056】
第3炎孔部材91のフランジ部82の一方の長手側縁には、所定の間隔で固定部82aが設けられている。また、フランジ部82の他方の長手側縁には、所定の間隔で固定部82cが設けられており、長手両端部のフランジ部82の湾曲部位には、固定部82dが設けられている。第3炎孔部材91を、図3の様に炎孔ベース60に固定すると、長手方向全長に渡って略均一量の燃料ガスが噴射され、長手両端部では、炎孔83によって燃料ガスの噴出量が増大する構造とされている。
【0057】
また、本実施形態では、図8に示す保炎部材86を採用している。尚、図8に示す保炎部材86のF部分を図9では斜視図で示している。保炎部材86は、炎孔ベース60に配列された炎孔部材8に被せて固定される部材であり、炎孔部材8から噴出する火炎へ供給される二次空気によって火炎が煽られることを防止して、安定した二次空気の供給を確保する機能を有する。
保炎部材86の外形は炎孔ベース60の熱回収壁60aに沿った形状であり、気化器7に相当する部位が切り欠かれている。この保炎部材86は、図3における炎孔ベース60の上下方向中央部から2分割された左右対称形状であり、気化器7を上下から挟むようにして炎孔ベース60に固定される。
【0058】
図8、図9から分かるように、保炎部材86は、炎孔部材8の炎孔部81の外形に合わせた溝状の複数の開口86aと、当該開口86aから離れる方向へ傾斜させて長手両側縁を切り起こして形成される保炎部86bと、隣接する保炎部86bの間に開口86aに沿って配列された複数の二次空気開口86cとを備えた部材である。
【0059】
炎孔部材8および保炎部材86は、図9のようにして炎孔ベース60に取付固定される。まず、炎孔部材8を炎孔ベース60の溝64を覆うようにして炎孔ベース60上に配列する。そして、配列した炎孔部材8の上から、保炎部材86の開口86aと炎孔部材8の炎孔部81を一致させるように保炎部材86を被せる。そして、固定ねじ69を保炎部材86の固定孔86dと炎孔部材8の固定部82aを介して炎孔ベース60の固定孔68へねじ込んで固定する。則ち、保炎部材86と炎孔部材8はねじ69によって炎孔ベース60へ共締め固定される。尚、図には示していないが、本実施形態では、炎孔ベース60の炎孔部材8が固定される部位全面に渡って予め網部材(不図示)を配し、その上から炎孔部材8および保炎部材86を配して固定している。この網部材により、燃料ガスや二次空気に含まれる塵埃が火炎側に流動することを防止している。
【0060】
炎孔部材8と保炎部材86は上記構造で炎孔ベース60へ固定されているので、溝64を介して供給される燃料ガスは炎孔部材8の炎孔83〜85から噴出して火炎が生じ、二次空気開口67を介して供給される二次空気は、保炎部材86の開口86aを介して火炎の両側に供給される。このとき、保炎部86bにより、二次空気が直接火炎を煽ることを防止しつつ火炎に均一に二次空気が供給され、完全燃焼を促進して有害ガスの排出を抑える。
【0061】
次に、気化器7は、図1、図4に示すように、気化室70と回転部材74によって構成される。気化室70は、底面部71と周部72を持つ円筒体であり、底面部71は閉塞し、上部は開口している。則ち、気化室70は窪んだ形状であり、底面部71及び周部72は閉塞していて気密・水密性を持ち、上部は開放されている。気化室70は、前記した様に底面部71及び周部72を持ち、あたかもコップの様な形状であり、炎孔ベース60の中央部分に取り付けられている。従って気化器7の一部たる気化室70の外壁部分は燃焼部に露出する。
【0062】
気化室70の底面部71内には、気化器ヒータ73が内蔵されている。この気化器ヒータ73に通電することにより底面部71が発熱し、さらにこの熱が気化室70の壁を伝導し、気化室70の内壁が全体的に加熱される機能を有する。これにより、回転部材74によって気化室70の内部へ飛散された液体燃料を気化し易くする機能を有している。
【0063】
また、図1,図3に示すように、気化器7と炎孔ベース60との間にはセラミック材で形成された断熱パッキンを挟んで取付固定されている。これにより、気化器ヒータ73による気化器7の温度上昇を短時間に行うことを可能にしている。更に、気化器7と炎孔ベース60との取り付け部分には、炎孔ベース60を補助的に予熱するための補助ヒータ75が取り付け固定されている。これにより、炎孔ベース60側の温度上昇の促進を図っている。
【0064】
回転部材74は、前記したモータ30の回転軸30bに取り付けられて一体的に回転するもので、円板の周縁を切り起こして多数の撹拌羽根74aを設けた形状である。
この回転部材74は、燃料パイプ14を介して供給(滴下)される液体燃料を回転による遠心力によって飛散させるもので、飛散した燃料は気化室70の内部で熱によって気化させて燃料ガスとなる。また、回転部材74は、気化された燃料ガスと送風機2から供給される一次空気とを撹拌して均一な混合ガスを生成する機能を併せ持っている。
則ち、回転部材74は、気化室70の内部で液体燃料を効率良く気化させるために、燃料パイプ14から滴下された液体燃料(本実施形態では石油を使用)を微粒子状にして飛散させると共に、気化した燃料ガスと一次空気とを撹拌させて均一に混合する働きを行うものである。
【0065】
制御回路部9は、燃焼装置1の燃焼に伴う制御を統括するもので、CPUを用いたデジタル回路で構成される。本実施形態の制御回路部9は、CPU、RAM、ROM、I/Oポート、および、アナログのセンサ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、あるいは、生成されたデジタル制御信号をアナログ制御信号に変換するD/A変換回路などを備え、各部に設けられたセンサの検知信号やスイッチの切換信号を参照しつつ、燃焼量に応じた制御信号をプログラム処理によって生成するものである。
【0066】
次に、前記構成を有する本実施形態の燃焼装置1の燃焼動作の概略を、図1〜図9を参照して説明する。
燃焼運転指令が制御回路部9に伝送されると、制御回路部9は気化器ヒータ73および補助ヒータ75へ通電を行って気化器7および炎孔ベース60の予熱を行う。予熱が完了すると、制御回路部9は、ステップモータ40を駆動して空気量調節部4の開度を所定値に制御し、モータ30を所定回転数で駆動する。そして、電磁ポンプ(不図示)を駆動して液体燃料(本実施形態では石油を使用)を燃料パイプ14を介して気化室70の内部に噴射する。
【0067】
気化室70の内部に噴射された液体燃料は、回転部材74で回転力を受けて気化室70の加熱された周部72へ飛散して気化され、送風機2から供給される空気と撹拌羽根74aで撹拌されて予混合された燃料ガス(混合ガス)が生成される。
生成された燃料ガスは、図4、図9の様に、気化室70から炎孔ベース60の上面に沿って上面壁61との間を流動し、溝64を通じて炎孔部材8(80,90,91)の炎孔83,84,85から噴出する。
【0068】
また、送風機2から空気量調節部4を介して上面板65に向けて空気が供給され、上面板65の開口から流入した空気は炎孔ベース60の溝63を介して二次空気開口67から二次空気として炎孔部材8の間へ噴出する。
そして、制御回路部9は、点火装置(不図示)によって燃料ガスへ点火して燃焼が開始される。
【0069】
ここで、本実施形態の燃焼装置1では、前記したように、第1炎孔部材80は長手両端部ほど噴出する燃料ガス量が多い。また、第2炎孔部材90は、長手中央部および長手両端部から噴出する燃料ガス量が多い。更に、第3炎孔部材91は、長手両端部から噴出する燃料ガス量が多い。
【0070】
従って、図10の様に、気化器7の左右に近接するA領域では、第1炎孔部材80による燃料ガスの噴射量が他の部位に比べて増加して火炎が増大する。同様に、図9において、気化器7の上下に隣接するC領域では、第2炎孔部材90による燃料ガスの噴射量が他の部位に比べて増加して火炎が増大する。また、炎孔ベース60の熱回収壁60aに近接するB,D,E領域では、第1炎孔部材80、第2炎孔部材90および第3炎孔部材91による燃料ガスの噴射量が他の部位に比べて増加して火炎が増大する。
【0071】
従って、燃焼が開始されると、A,C領域の火炎によって気化器7が効率良く加熱されると共に、B,D,E領域の火炎による熱を熱回収壁60aで回収して炎孔ベース60を短時間に昇温させることができる。
これにより、気化器7における液体燃料の気化を促進して充分気化させた燃料ガスを炎孔部材8へ供給することが可能となる。また、燃焼開始から短時間に炎孔ベース60を昇温することができ、気化器7から炎孔部材へ至る間に温度の低下によって燃料ガスが再液化するような不具合を除去することが可能となる。
【0072】
このように、本実施形態の燃焼装置1によれば、炎孔部材8に設ける炎孔の配列間隔や形状を調節することにより、燃料ガスの噴射量を部分的に増加させて気化器7や炎孔ベース60を効率良く昇温させることが可能となる。これにより、気化器7における気化を促進し、燃焼開始時における燃料ガスの再液化を防止して安定した燃焼を行うことができる。従って、燃焼中における気化器ヒータ73や補助ヒータ75への通電電力を削減あるいは停止することができ、安定燃焼を行いつつランニングコストを低減した燃焼装置を提供することが可能となる。
【0073】
ここで、前記実施形態で述べた第1炎孔部材80は、図5の様に、3種類の炎孔83〜85を設けた構成としたが、これ以外の構成を採ることも可能である。
例えば、第1炎孔部材80の長手中央部に開口面積の小さい炎孔85を設ける代わりに、図11(a)の様に、開口面積の大きい炎孔84を設けた第1炎孔部材87を用いることも可能である。
また、図11(b)の様に、炎孔84を全て等間隔で配置した第1炎孔部材88を用いることも可能である。
これらの第1炎孔部材87,88においても、長手両端部に位置する2本の炎孔83による燃料ガスの噴出量を増加させることができ、前記した第1炎孔部材80と同様の効果を奏することが可能である。
【0074】
また、前記実施形態では、第2炎孔部材90を、中央部の炎孔84を他の部位に比べて間隔を詰めて配列した構成としたが、この様な構成の他にも、中央部に向かうに連れて炎孔84の間隔を狭くする構成や、中央部の炎孔84の開口面積を増加させる様な構成を採ることも可能である。また、長手両端部に炎孔83を1本ずつ設けた構成としたが、複数本の炎孔83を設けても良い。
【0075】
また、前記実施形態では、第3炎孔部材91の長手両端部に炎孔83を1本ずつ設けた構成としたが、複数本の炎孔83を設けても良い。また、炎孔ベース60の熱回収壁60aに隣接する側の炎孔84を、対向する炎孔84に比べて開口面積を大きくする構成を採ることも可能である。
また本実施形態では、長尺状の炎孔部材を採用したが、平板状の炎孔部材を使用することもできる。
【0076】
【発明の効果】
請求項1から3に記載の発明によれば、火炎によって気化部を効率良く加熱して液体燃料を気化させることができ、気化器ヒータなどの通電電力を削減してランニングコストを低減しつつ安定した燃焼を行うことのできる燃焼装置を提供できる。
請求項4に記載の発明によれば、火炎によって炎孔ベースを短時間に昇温させることができ、燃料ガスの再液化などを防止し安定した燃焼を行うことのできる燃焼装置を提供できる。
請求項5から8の発明によれば、簡単な構造によって、気化部あるいは熱回収壁近傍の火炎を増大させることができ、請求項1から3に記載の燃焼装置を効果的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る燃焼装置の断面図である。
【図2】 図1に示す燃焼装置に採用する炎孔ベース周辺を示す斜視図である。
【図3】 図2に示す炎孔ベースを下方から見た平面図である。
【図4】 図2、図3に示す炎孔ベースに固定される気化器の周辺を示す斜視図である。
【図5】 (a)は図1の燃焼装置に採用する第1炎孔部材を示す斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の側面図である。
【図6】 (a)は図1の燃焼装置に採用する第2炎孔部材を示す平面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図7】 図1に示す燃焼装置に採用する第3炎孔部材を示す平面図である。
【図8】 図1の燃焼装置に採用する保炎部材を示す平面図である。
【図9】 図3の炎孔ベースに炎孔部材および保炎部材を取り付ける構造を示す斜視図である。
【図10】 図3の炎孔ベースにおいて、火炎の増大する部位を示す平面図である。
【図11】 (a),(b)は第1炎孔部材の変形実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
6 燃焼部
7 気化部(気化器)
8 炎孔部材
60 炎孔ベース
60a 熱回収壁
63 二次空気流路(溝)
69 固定部材(固定ねじ)
80 炎孔部材(第1炎孔部材)
83,84,85 炎孔
86 保炎部材(保炎板)
90 炎孔部材(第2炎孔部材)
91 炎孔部材(第3炎孔部材)
Claims (8)
- 液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部の少なくとも一部は燃焼部に露出し、当該燃焼部は、気化部に連通するガス流路を備えた平面状の炎孔ベースを有し、当該炎孔ベースに燃料ガスまたは混合ガスを噴出する複数の炎孔を備えた炎孔部材が装着され、平面図で見たときに前記気化部の左右に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔の個々の開口面積が大きく、また気化部の上下に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔同士の間隔が狭く、前記気化部に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積は、気化部から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて大きいことを特徴とする燃焼装置。
- 液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部の少なくとも一部は燃焼部に露出し、当該燃焼部は、気化部に連通するガス流路を備えた平面状の炎孔ベースを有し、当該炎孔ベースには、前記ガス流路を介して気化部から供給される燃料ガスまたは混合ガスを噴出する複数の炎孔を備えた長尺の炎孔部材が配列され、平面図で見たときに前記気化部の左右に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔の個々の開口面積が大きく、また気化部の上下に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔同士の間隔が狭く、各炎孔部材は、前記気化部に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積が気化部から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて大きいことを特徴とする燃焼装置。
- 液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部の少なくとも一部は燃焼部に露出し、当該燃焼部は、気化部に連通するガス流路を備えた平面状の炎孔ベースを有し、当該炎孔ベースには、前記ガス流路を介して気化部から供給される燃料ガスまたは混合ガスを噴出する複数の炎孔部材が配列され、各炎孔部材は、畝状に延びる炎孔列を有した長尺形状で、当該畝の両側縁から幅方向へ延びるスリット状の開口で形成される炎孔と、当該畝の幅方向全長に渡って延びるスリット状の開口で形成される炎孔とを長手方向へ向けて組み合わせて配列して形成され、平面図で見たときに前記気化部の左右に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔の個々の開口面積が大きく、また気化部の上下に近接する領域では、前記炎孔部材は炎孔同士の間隔が狭く、各炎孔部材は、前記気化部に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積が、前記気化部から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて大きいことを特徴とする燃焼装置。
- 前記炎孔ベースは、炎孔から噴出する火炎による燃焼熱の一部を吸収する熱回収壁を前記炎孔部材を取り囲むように外側縁に沿って備え、前記炎孔部材は、前記熱回収壁に近接した部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積が、熱回収壁から離れた部位における単位面積当たりの炎孔の開口面積に比べて大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃焼装置。
- 形状の異なる長尺の炎孔部材を有し、そのなかの一種の炎孔部材は、気化部の左右に配されており、畝状の炎孔部を持ち、炎孔部には形状の異なる3種類の炎孔が配列されており、一種の炎孔は炎孔部の幅方向全長に渡って延びるスリット状の開口であり、他の一種の炎孔は炎孔部の長手両側面から幅方向に対向して延びる一対のスリット状の開口であり、さらに他の炎孔は、前記炎孔よりも炎孔部の幅方向長さが短い一対のスリット状の開口であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃焼装置。
- 形状の異なる長尺の炎孔部材を有し、そのなかの一種の炎孔部材は、気化部の左右に配されており、隣接する炎孔の間隔が長手中央部に向かうに連れて増加していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃焼装置。
- 形状の異なる長尺の炎孔部材を有し、そのなかの一種の炎孔部材は、炎孔ベースと略同一の長さを有する長尺の部材であり、上下から気化部を挟むように配され、前記炎孔部材には炎孔が多数配列され、長手中央部に設けられた炎孔は、他の部位に比べて隣接する炎孔の間隔が狭いことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃焼装置。
- 前記炎孔部材は、前記熱回収壁に近接した部位における炎孔の開口面積を、熱回収壁から離れた部位における炎孔の開口面積よりも大きくすることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の燃焼装置。
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