JP2006118844A - 液体燃料燃焼装置 - Google Patents

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弥八 大隅
Takashi Kuwako
高志 桑子
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Abstract

【課題】 燃焼盤の炎孔から燃焼室内に形成される火炎の温度を冷却することにより、NOxの低減化を達成する液体燃料燃焼装置を提供すること。
【解決手段】 気化筒31と飛散リング32との間の隙間Sから燃焼室11内に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒31を加熱して液体燃料を気化し、当該気化した燃料を前記燃焼盤16に形成された炎孔29から噴出させて気化燃焼を行うバーナー10であって、前記飛散リング32回りに送気間隙Pを形成するように設けられた送気案内リング50には、燃焼室11内に供給される空気を火炎による高温度領域に向かわせる環状の起立片58が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は灯油等の液体燃料を気化して燃焼を行う液体燃料燃焼装置に係り、更に詳しくは、燃焼によって生成されるNOx(窒素酸化物)の低減化を図ることのできる液体燃料燃焼装置に関する。
従来より、給湯機等に用いられる液体燃料燃焼装置としては、例えば、特許文献1に記載された液体燃料燃焼装置が知られている。同装置は、灯油等の燃料を燃焼させる燃焼室と、この燃焼室の略中央に配置された気化筒と、当該気化筒の下端部回りに配置された飛散リングと、この飛散リングの周囲に配置されて前記燃焼室への送気間隙を形成する送気案内リングとを備えて構成されている。この液体燃料燃焼装置は、飛散リングから燃焼室内に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼による燃焼熱で気化筒を加熱して気化筒内に供給される液体燃料を気化して混合気とし、当該混合気を前記燃焼室を形成する燃焼盤の側壁に形成された多数の炎孔から噴出させて気化燃焼を行う構成となっている。
ところで、灯油等の液体燃料を燃焼させる場合、その燃焼反応において、空気中の窒素成分が高温において酸素と結合してNOxが生成されるが、一般的には、高温度領域での燃焼ガスの滞留時間が長いほどNOxの生成量が多くなるものと理解されている。従って、NOxの生成量を低下させるためには、燃焼室内における高温度領域を冷却することが一つの対策として考えられる。
特開2003−90515号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載された液体燃料燃焼装置にあっても、送気間隙の外周側に部分的に設けられた起立片を配置しているものの、当該起立片は火炎のリフト或いは吹き消しを防止しようとするものであってNOxの低減化を意図したものではない為、燃焼室内に形成される火炎の高温度領域となる先端側領域を冷却する作用を奏するものとはなっていない。
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、燃焼盤の炎孔から燃焼室内に形成される火炎によって生ずる高温度領域を冷却することにより、NOxの低減化を達成することのできる液体燃料燃焼装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、燃焼室を形成する有底容器状の燃焼盤と、前記燃焼室内に配置された気化筒回りに設けられて液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、前記燃焼盤の底壁上に設けられて前記飛散リングとの間に送気間隙を形成する送気案内リングと、前記送気間隙に空気を供給する送風通路とを備え、前記気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室内に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することで当該気化筒内に供給される液体燃料を気化し、当該気化した燃料を前記燃焼盤に形成された炎孔から噴出させて気化燃焼を行う液体燃料燃焼装置において、
前記送気間隙から前記燃焼室内に供給される空気を前記燃焼室内における火炎の高温度領域に向かわせるガイド部材を設ける、という構成を採っている。
本発明において、前記ガイド部材は、前記送気間隙の外側を囲むように閉ループ状に延びる環状の起立片により構成することができる。
また、前記起立片は、前記飛散リングの外周縁位置と略同一若しくはこれよりも燃焼室の開放部側に位置する高さ若しくは長さに設定することが好ましい。
更に、前記送気案内リングは、前記送気間隙と前記ガイド部材との間に送気孔を備えた構成を採用することができる。
また、本発明は、燃焼室を形成する有底容器状の燃焼盤と、前記燃焼室内に配置された気化筒回りに設けられて液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、前記燃焼盤の底壁上に設けられて前記飛散リングとの間に送気間隙を形成する送気案内リングと、この送気案内リングの外周側に着火部が位置する着火手段と、前記送気間隙に空気を供給する送風通路とを備え、前記気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室内に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することで当該気化筒内に供給される液体燃料を気化し、当該気化した燃料を前記燃焼盤に形成された炎孔から噴出させて気化燃焼を行う液体燃料燃焼装置において、
前記送気間隙の外周側であって前記着火部よりも内側に、前記送気間隙から前記燃焼室内に供給される空気を前記燃焼室内における火炎の高温度領域に向かわせるガイド部材が設けられ、当該ガイド部材の前記着火部近傍における一部領域は、前記燃焼室内に飛散される液体燃料の流れを阻害しない開放部として形成され、
前記送気案内リングは、前記送気間隙と前記ガイド部材との間に送気孔を備えているとともに、前記開放部に対応する領域を送気孔不存在領域とする、という構成を採用することができる。また、この構成においても、起立片は、前記飛散リングの外周縁位置と略同一若しくはこれよりも燃焼室の開放部側に位置する高さ若しくは長さに設定することが好ましい。
更に、前記液体燃料燃焼装置は、前記燃焼盤の単位面積当たりの炎孔の数若しくは開口面積を、前記燃焼室の底部側よりも開放部側に大きく設定する構成を採ることが好ましい。
なお、本明細書において、「噴霧燃焼」とは液体燃料を着火することによって行われる燃焼について用いられ、また、「気化燃焼」とは、噴霧燃焼の燃焼熱で気化した液体燃料を空気と混合することにより得られる混合気を着火することによって行われる燃焼について用いられる。
本発明によれば、ガイド部材を設けた構成を採用することで、燃焼室内の高温度領域、すなわち火炎の先端側領域を冷却することが可能となり、これによってNOxの生成量を抑制することができる。
また、環状の起立片によって火炎の先端側に空気を向かわせるガイド部材を構成したことで、ガイド部材の構成を簡易なものとすることができる他、燃焼室内の高温度領域を一様に冷却することができる。しかも、起立片は、送気間隙から火炎の基部に向かう空気の流れを遮ることもできるため、火炎の吹き消しをも防止することとなる。
更に、前記送気案内リングに前記送気間隙とは別途となる送気孔を設けることで、冷却用の空気の供給量を十分に確保することができ、ガイド部材を設けた構成と相俟ってNOxの生成量の更なる抑制を図ることができる。
また、ガイド部材を構成する起立片に開放部を設けるとともに、送気案内リングに送気孔不存在領域を形成した場合には、送気案内リングの外周側に着火部を位置させる構成としても、着火部に向かう液体燃料の流れを阻害することが無くなると共に、空気流による着火時の吹き消えをも防止することができ、噴霧燃焼を安定して開始させることが可能となる。
更に、前記燃焼盤に形成された炎孔の数等を燃焼室開放部側と底部側とで相対的なものとした構成により、それ自体で火炎の放熱効率を高めることができる他、送気案内リングから燃焼室内に供給される空気との相互作用による冷却効果を一層効率的なものとすることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1には、第1実施形態に係る液体燃料燃焼装置としてのバーナーの概略平面図が示されている。この図において、バーナー10は、図中左側を前方として位置する平面視略円筒状をなす燃焼室11を含む前部構成体12と、この前部構成体12の後方(図1中右方)に位置するとともに内部に外気を取り込んで前記燃焼室11に空気を供給する送風ファン13を含む後部構成体14とを備えて構成されている。
前部構成体12は、前方に開放する燃焼室外筒15と、この燃焼室外筒15の内側に設けられた有底略円筒状の燃焼盤16と、当該燃焼盤16の内側略中央に位置するとともに、灯油等の液体燃料を気化して空気との混合気を形成する混合気形成手段18と、当該混合気形成手段18の後部側に設けられるとともに、燃焼室11内に空気を導入する空気導入部19とを備えて構成されている。なお、燃焼盤16と混合気形成手段18との間に形成される空間が燃焼室11となっている。
前記燃焼室外筒15は、略鉛直面内に位置する底壁15Aと、この底壁15Aの外周から前方に向けられた略円筒状の側壁15Bとからなる。底壁15Aには、略中央領域に第1中央貫通穴21が形成されているとともに、この第1中央貫通穴21の周方向に沿う複数箇所、本実施形態では周方向略60度間隔位置に第1中央貫通穴21よりも小径の第1外側貫通穴22が形成されている。
前記燃焼盤16は、燃焼室外筒15の内方に空間を形成するように配置されており、当該空間によって前記混合気形成手段18で形成された混合気を通過させるガス室24が形成されている。また、燃焼盤16は、略鉛直面内に位置して前記燃焼盤15の底壁15Aと略平行に位置する底壁16Aと、この底壁16Aの外周から前方に向けられるとともに、前端に向かうに従って次第に大径化された側壁16Bとにより構成されている。底壁16Aの中央部には、前記第1中央貫通穴21と第1外側貫通穴22の各前方に第2中央貫通穴26と第2外側貫通穴27がそれぞれ形成されている。また、側壁16Bには、前記ガス室24からの混合気を燃焼室11内に噴出可能とする多数の炎孔29が形成されている。なお、ここでは図示省略しているが、側壁16Bの前方には熱交換機が配置される。
前記混合気形成手段18は、後部が開放する略釣鐘型の気化筒31と、この気化筒31の後端部との間に微細な隙間Sを形成するように取り付けられるとともに、外周縁側に切り起こし片32Aが形成された飛散リング32と、前記第1中央貫通穴21の形成縁領域に支持されるとともに、前端側が気化筒31の頂部31A側に開放する一方、後端側が後部構成体14側に開放する略円筒状の送風筒33と、この送風筒33の前方に位置する燃料拡散体35と、当該燃焼拡散体35に向かって液体燃料を供給する燃料供給管36とにより構成されている。
前記燃料拡散体35は、後端側が前端側に対して次第に細くなるように緩やかに湾曲した略コーン形状のブロックにより構成されている。この燃料拡散体35は、その前端に気化筒31の頂壁31Aを載せた状態に組み合わされる。頂壁31Aの前面には座金37が配置され、燃料拡散体35の中心に形成された貫通穴35A内を延びる回転軸40が前記座金37を貫通し、回転軸40の前端側に形成された図示しない雄ねじ部にナット部材41が締着されている。ここで、回転軸40は、図示しない保持部材を介して後部構成体14内に保持されたモータMと、前記送風ファン13に連結されており、これにより、モータMの回転によって燃料拡散体35は気化筒31及び送風ファン13と一体に回転し、燃料拡散体35の外周面に供給された液体燃料が、噴霧燃焼時において、前記隙間Sから燃焼室11内に飛散される。この一方、気化燃焼時には、気化筒31が加熱されることによって気化して送風筒33からの空気と混合された後に前記ガス室24内に供給されることとなる。なお、送風ファン13は、前記回転軸40と同軸上にある構成に限らず、別途の送風ファンを用いて下部構成体14内に空気供給を行うように構成してもよい。
前記燃焼室11内に空気を送り込むための空気導入部19は、前記第1及び第2外側貫通穴22,27間を連結する送風通路としての送気筒49と、この送気筒49の前端開放側及び飛散リング32間に設けられて当該飛散リング32との間に送気間隙Pを形成する送気案内リング50とにより構成されている。この空気導入部19は、前記送風ファン13の回転によって後部構成体14内に取り込まれた空気が送気筒49を通って送気間隙Pから燃焼室11内に供給可能となっている。
前記送気案内リング50は、図2及び図3に示されるように、燃焼盤16の底壁16Aに固定される平坦リング状のベース部52と、このベース部52の内周縁から起立する中間部53を介して連設されて次第に縮径する形状を備えた傾斜部54と、当該傾斜部54の内周縁から前記ベース部52と略平行となる平坦面部55と、この平坦面部55の前面に固定された送気間隙形成片56とにより構成されている。また、送気間隙形成片56の外周を囲む位置にはガイド部材としての環状の起立片58が配置されている。ここで、送気間隙形成片56は、断面形状が略L字状に設けられており、その長片側56Aが前記平坦面部55に固定されている一方、短辺側56Bが飛散リング32の回りに位置して送気間隙Pを形成するように設けられている。なお、送気間隙形成片56は、その短辺側56Bが飛散リング32の外周縁位置よりも若干後方に位置する程度、すなわち、飛散リング32の外周縁位置よりも低くなる高さ若しくは長さに設定されている。
前記起立片58は、断面形状が略L字状に設けられており、その短辺側58Aが前記ベース部52に固定され、空気のガイドとして機能する長片側58Bは、送気間隙形成片56の短辺側56Bを囲むように燃焼室11内に設けられている。この起立片58の高さ若しくは長さは、飛散リング32の外周縁(前端縁)位置と略同一若しくはこれよりも燃焼室11の開放部側に位置するように設定され、これにより、送気間隙Pから燃焼室11内に供給される空気が、前記炎孔29から燃焼室11内に形成される火炎の先端部領域に吹き付けられるようになっている。
次に、前記バーナー10の燃焼動作について図4をも参照しながら説明する。
先ず、図示しないスイッチを投入すると、モータMが回転するとともに、燃料供給管36を通じて液体燃料が気化筒31内の燃料拡散体35の外周面に吐出される。同時に、モータMの回転で送風ファン13と気化筒31が回転することとなる。燃料拡散体35の外周面に供給された液体燃料は気化筒31の周壁31B内周面を伝って後方に流れ、当該気化筒31と飛散リング32との間の微細な隙間Sから燃焼室11内に飛散される。この飛散された液体燃料は、燃焼室11内に延びるイグナイター等の点火装置(図示省略)の火花によって着火され、噴霧燃焼が開始する。
噴霧燃焼が開始されると、その燃焼熱によって気化筒31が加熱され、気化筒31内に供給された液体燃料が気化する。そして、当該気化した燃料は、気化筒31の内部に供給された空気と混合して混合気となり、当該混合気がガス室24を通って燃焼盤16の各炎孔29から燃焼室11内に噴出され、既に発生している噴霧燃焼の火炎によって気化燃焼が行われ、図4に示されるように、炎孔29から燃焼室11内に火炎が形成される。
送風ファン13の回転によって取り込まれた空気は、送気筒49を通って送気案内リング50内にも流れ、送気間隙形成片56と飛散リング32との間の送気間隙Pを通じて燃焼室11内に供給される。この際、起立片58は、送気間隙形成片56の前端位置よりも前方に位置し、しかも、飛散リング32の外周縁位置と略同一若しくはこれよりも前方に位置する高さ若しくは長さに設けられているため、送気間隙Pから流れる空気の向きを前方向きに変更させ、高温度領域となっている火炎の先端側領域(図4中点線領域)に向けられることとなる。この際、起立片58は環状であるため、燃焼盤16の側壁16Bにおける炎孔29から燃焼室11内に形成されている全ての火炎の先端側領域に略均一に吹き付けられることとなり、部分的に高温度領域が残るような不都合は生じない。
従って、このような第1の実施形態によれば、起立片58の存在によって送気間隙Pから燃焼室11内に供給される空気が火炎の先端側領域に向かって供給されるため、燃焼室11内における高温度領域を効率良く冷却でき、NOxの生成量を低減することができる、という効果を得る。
次に、本発明の前記以外の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
[第2実施形態]
図5ないし図9には、本発明の第2実施形態が示されている。この第2実施形態では、図5に示されるように、燃焼盤16の側壁16Bに形成された炎孔29の単位面積当たりの数を、底部側(図6中右側)よりも開放部側(同左側)に多く設けた構成、気化筒31の頂壁31A側から燃焼室11内に空気、燃料を供給できるようにした構成、送気間隙Pと起立片58との間からも空気を燃焼室11内に供給できるようにした構成を採用した点に特徴を有する。
これを更に詳述すると、前記燃焼盤16は、図6に示されるように、当該燃焼盤16の単位面積当たりの炎孔29の数が、底部側(同図中右側)よりも開放側(同左側)が多くなるように形成され、これにより、燃焼室11内における高温度領域が開放側近傍となるようにして放熱効果が高められるようになっている。
なお、第2実施形態では、各炎孔29の開口面積を相互に略同一としたものであるが、良好な火炎を形成できる限りにおいて、開放側の炎孔面積を底部側の炎孔面積よりも大きく形成することもでき、この場合には、燃焼盤側壁16Bの略全域において、炎孔29相互間の間隔を略等しくしてもよい。勿論、これらの組み合わせの採用も妨げない。
前記気化筒31は、図7に示されるように、頂壁31と周壁31Bの上部に、気化筒31の内外に連通する穴31C及び31Dを備えた形状に設けられている。これらの穴31C、31Dは、所定間隔毎にそれぞれ周方向に沿って形成され、これにより、各穴31C、31Dから燃料が噴出し、気化筒31の前部外周領域で拡散燃焼状態が形成されることとなる。ここで、「拡散燃焼」とは、燃料と空気を別々にある流速で噴出させ、拡散混合させながら燃料と空気の境界で燃焼させるものをいう。
穴31C、31Dからは、気化する前の燃料が気化筒31から燃焼室11内に噴出することにより、気化筒31付近は拡散燃焼となり、これにより、気化筒31から燃料が噴出する分、前記ガス室24に向かう燃料は相対的に少なくなり、ガス室24内の混合気は、空気リッチとなって燃焼室11での燃焼が希薄燃焼となる。
前記燃料拡散体35は、支持軸40回りにおいて、当該支持軸40と略平行に延びる貫通孔35Aが形成されている。これら貫通孔35Aは、周方向略90度間隔毎に形成されており、各貫通孔35Aの前端側には、座金37との間にクリアランスCが形成され、前記貫通孔35AとクリアランスCを通って空気が燃焼室11内に供給できるようになっている。
前記送気案内リング50は、前記送気間隙Pと前記起立片58との間に位置する傾斜部54に多数の送気孔54Aが形成されている(図8参照)。これらの送気孔54Aは、それぞれ略同一の開口面積を有しているとともに、略等間隔毎に送気案内リング50の全周に複数設けられており、これにより、送気筒49から燃焼室11内に供給される空気量を多くし、これを火炎の先端側領域に向けて冷却効率が高められるようになっている。
以上の第2実施形態では、燃焼室11内では、開放側が底部側に比べて炎孔29の数が多くなり、燃焼時における高温度領域は、第1実施形態に比べて開放側となって放熱し易い燃焼となる。また、燃焼室11の底部側における各火炎の間は、開放側に比べて相対的に大きくなる隙間となるため、起立片58の内周側における送気間隙Pと、送気孔54Aから燃焼室11内に供給される空気が前方に向けて流れ易くなり、前記放熱し易い状態と相俟って高温度領域の効率的な冷却が促進されることとなる。
また、気化筒31に形成された穴31C、31Dから液体燃料が噴出して気化筒回りで拡散燃焼が行われる一方、ガス室24に送られる混合気を空気リッチとして炎孔29から噴出する混合気が燃料希薄状態となる状態で燃焼が行われることとなる。この点、一般に、理論空気量付近で比較した場合、拡散燃焼は混合気を燃焼させる予混合燃焼に比べてNOxの生成量は少ないものとされ、予混合燃焼では、空気過剰率を高く設定して燃料希薄側で燃焼させることでNOxの生成量を低減できると理解されている。従って、気化筒31の前部回りで拡散燃焼を行うことによりNOxの生成量が抑制される一方、ガス室24内に送られる混合気を燃料希薄状態として燃焼させることになるので、この点からも、NOxの生成量を抑制でき、前記炎孔29を前述のように設定した構成と、送気孔54Aを送気間隙Pの回りに形成した構成と相俟って、総合的にNOxの生成量を抑制することが可能となる。
[第3実施形態]
図10ないし図12には、本発明の第3実施形態が示されている。この第3実施形態は、前記第2実施形態の変形的態様を示すものであり、燃焼室外筒15を形成する底壁15Aと燃焼盤16を形成する底壁16Aを貫通する位置に、着火手段70が配置された場合の送気案内リング50とガイド部材としての起立片58の一部形状を変更した点に特徴を有する。すなわち、着火手段70の着火部71が、飛散リング32の外周側であって、且つ、送気案内リング50の外周側に位置する構成とした場合には、送気間隙Pから燃焼室11内に噴霧される液体燃料の放射方向への流れは、起立片58に遮られる傾向をもたらす。そのため、起立片58は、図11に示されるように、着火部71の側方近傍領域が開放部72として形成され、送気案内リング50において、傾斜部54の開放部72に対応する領域が送気孔不存在領域74として形成されている。
前記開放部72の開放角度α(図11参照)は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、約25度に設定されており、開放部72を形成する起立片58の第1の端72Aと第2の端72Bは、第2の端72Aが着火部71に相対的に接近した位置に設けられている。これは、気化筒31の回転方向を反時計方向(図11中矢印方向)としたときに、飛散される液体燃料が、気化筒31の回転によって前記矢印方向に沿う略接線方向よりに向かって噴霧されることに対応させるためである。
このような第3実施形態の構成によれば、送気間隙Pの液体燃料の噴出は、開放部72の存在によって遮られることなく着火部71に向かうこととなる。この際、送気案内リング50の送気孔不存在領域74によって、前方(燃焼室11側)に向く空気流が生じなくなるため、着火部71に向かう液体燃料を後方から前方に向かって煽ってしまったり、着火時の吹き消え等を防止することができる。そのため、噴霧された液体燃料に確実な着火を行うことができ、安定した噴霧燃焼を実現することができる。
なお、その他の構成、作用及び効果は前記第2実施形態と同様である。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態におけるガイド部材としての起立片58は、燃焼室11内に供給される空気の流れを高温度領域に向けることができる構成であればその他の形状を備えたものであってもよい。また、バーナー10は、略円筒状の燃焼盤16を用いて燃焼室11を略円筒状としたが、平面視で楕円、多角形となる燃焼室11としてもよい。
また、本発明は、第1実施形態ないし第3実施形態における構成を選択的若しくは合一的に組み合わせることができる。要するに、本発明は、燃焼室11内における高温度領域をなくす構成としてNOxの低減を図ることができ、また、着火手段の着火部位置に応じて噴霧燃焼を円滑に行うことができる構成であれば種々の設計変更を行うことができる。
更に、バーナー10は、開放部が横向きとなる横置き型とすることに限定されず、開放部を上方とする縦置き型にすることでもよい。
第1実施形態に係るバーナーの概略端面図。 前記バーナーの要部拡大端面図。 送気案内リングの分解斜視図。 第1実施形態の作用を説明するための概略端面図。 第2実施形態に係るバーナーの概略端面図。 第2実施形態に係る気化筒の前部拡大端面図。 第2実施形態に係る燃焼盤側壁の一部概略斜視図。 第2実施形態に係る送気案内リングと起立片の分解斜視図。 第2実施形態に係るバーナーの作用を説明するための概略端面図。 第3実施形態に係るバーナーの概略端面図。 図10の縮小左側面図。 第3実施形態に係る送気案内リングと起立片の分解斜視図。
符号の説明
10…バーナー(液体燃料燃焼装置)、11…燃焼室、16…燃焼盤、16A…底壁、16B…側壁、29 炎孔、31…気化筒、32…飛散リング、35…燃料拡散体、49…送気筒、49…送気筒(送風通路)、50…送気案内リング、54A…送気孔、58…起立片(ガイド部材)、P…送気間隙、S…隙間 70…着火手段、71…着火部、72…開放部、74…送気孔不存在領域

Claims (6)

  1. 燃焼室を形成する有底容器状の燃焼盤と、前記燃焼室内に配置された気化筒回りに設けられて液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、前記燃焼盤の底壁上に設けられて前記飛散リングとの間に送気間隙を形成する送気案内リングと、前記送気間隙に空気を供給する送風通路とを備え、前記気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室内に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することで当該気化筒内に供給される液体燃料を気化し、当該気化した燃料を前記燃焼盤に形成された炎孔から噴出させて気化燃焼を行う液体燃料燃焼装置において、
    前記送気間隙から前記燃焼室内に供給される空気を前記燃焼室内における火炎の高温度領域に向かわせるガイド部材を設けたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
  2. 燃焼室を形成する有底容器状の燃焼盤と、前記燃焼室内に配置された気化筒回りに設けられて液体燃料を燃焼室内に飛散させる飛散リングと、前記燃焼盤の底壁上に設けられて前記飛散リングとの間に送気間隙を形成する送気案内リングと、この送気案内リングの外周側に着火部が位置する着火手段と、前記送気間隙に空気を供給する送風通路とを備え、前記気化筒と飛散リングとの間の隙間から燃焼室内に飛散された液体燃料を着火して噴霧燃焼を行い、この噴霧燃焼の燃焼熱で気化筒を加熱することで当該気化筒内に供給される液体燃料を気化し、当該気化した燃料を前記燃焼盤に形成された炎孔から噴出させて気化燃焼を行う液体燃料燃焼装置において、
    前記送気間隙の外周側であって前記着火部よりも内側に、前記送気間隙から前記燃焼室内に供給される空気を前記燃焼室内における火炎の高温度領域に向かわせるガイド部材が設けられ、当該ガイド部材の前記着火部近傍における一部領域は、前記燃焼室内に飛散される液体燃料の流れを阻害しない開放部として形成され、
    前記送気案内リングは、前記送気間隙と前記ガイド部材との間に送気孔を備えているとともに、前記開放部に対応する領域を送気孔不存在領域としたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
  3. 前記ガイド部材は、前記送気間隙の外側を囲む環状の起立片により構成されていることを特徴とする請求項1記載の液体燃料燃焼装置。
  4. 前記起立片は、前記飛散リングの外周縁位置と略同一若しくはこれよりも燃焼室の開放部側に位置する高さ若しくは長さに設定されていることを特徴とする請求項3記載の液体燃料燃焼装置。
  5. 前記送気案内リングは、前記送気間隙と前記ガイド部材との間に送気孔を備えていることを特徴とする請求項1又は3記載の液体燃料燃焼装置。
  6. 前記燃焼盤の単位面積当たりの炎孔の数若しくは開口面積を、前記燃焼室の底部側よりも開放部側に大きく設定したことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の液体燃料燃焼装置。
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