JP2004263748A - 電動ディスクブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】電動ディスクブレーキにおいて、フェイル時に制動を解除する。
【解決手段】電動モータ9のロータ17の回転を差動減速機構10によって減速してボールランプ機構12の回転ディスク27を駆動し、皿ばね38のばね力に抗して直動ディスク30を前進させて、ブレーキパッド5,6をディスクロータ2に押圧して制動力を発生させる。制動時に断線等のフェイルによって電動モータ9の駆動力が消失すると、ボールランプ機構12、差動減速機構10及び電動モータ9による回転ディスク27についての回転抵抗力によって生じる直動ディスク30の直動に対する抵抗力に抗して、皿ばね38のばね力が直動ディスク30を後退させることにより、確実に制動を解除することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電動モータ等の回転アクチュエータの回転運動を直線運動に変換してブレーキパッドをディスクロータに押圧することによって制動力を発生させる電動ディスクブレーキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動モータのロータの回転運動をボールねじ機構、ボールランプ機構等の回転−直線運動変換機構を用いてピストンの直線運動に変換し、ピストンによってブレーキパッドをディスクロータに押圧させることにより、制動力を発生させるようにした電動ディスクブレーキが知られている。電動ディスクブレーキは、運転者のブレーキペダル踏力(または変位量)をセンサによって検出し、コントローラによって、この検出値に基づいて電動モータの回転を制御することより、所望の制動力を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような電動ディスクブレーキにおいては、制動中に断線等のフェイル発生により電動モータが停止すると、回転−直線運動変換機構等の内部抵抗等によってブレーキパッドがディスクロータに押付けられたままとなり、制動がロックされて解除できなくなることがある。この場合、車両の移動が困難になる等の問題を生じる。
【0004】
このため、フェイル時に制動ロックを解除すべく、例えば特許文献1には、電動モータのロータに戻し力(回転力)を付与するばね手段を設けたもの、特許文献2には、電動モータの減速機構にフェイル時にブレーキパッドを戻すための補助モータを設けたもの、また、特許文献3には、フェイル時には、ロック機構を解除し、回転−直線運動変換機構全体を後退させてブレーキパッドを戻すようにしたものが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
国際公開00−60255号パンフレット
【特許文献2】
特表2000−507333号公報
【特許文献3】
特表2000−506348号公報
【0006】
しかしながら、これらの特許文献1乃至3に記載されたものは、いずれも構造が複雑であり、スペース上の制約および製造コストの面で問題を有している。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でフェイル時には確実に制動ロックを解除することができる電動ディスクブレーキを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、回転部材の回転運動と直動部材の直線運動とを相互に変換可能な変換機構と、前記回転部材を駆動する回転アクチュエータとを備え、前記直動部材によってブレーキパッドをディスクロータに押圧して制動力を発生させる電動ディスクブレーキであって、
前記直動部材を前記ディスクロータから離れる方向へ付勢する付勢手段が設けられており、該付勢手段の付勢力は、前記回転アクチュエータの非駆動時において、前記変換機構の前記直動部材の移動に対して作用する前記回転部材についての回転抵抗力よりも大きいことを特徴とする。
このように構成したことにより、制動状態において、回転アクチュエータの駆動力が消失されると、付勢手段の付勢力によって、直動部材が回転部材についての回転抵抗力に抗して移動して、制動が解除される。
請求項2の発明に係る電動ディスクブレーキは、上記請求項1の構成において、前記ブレーキパッドの摩耗に応じて該ブレーキパッドと前記直動部材との位置を調整可能なパッド摩耗補償機構が設けられ、前記付勢手段は前記直動部材を直接付勢するものであることを特徴とする。
このように構成したことにより、ブレーキパッドの摩耗に応じて、パッド摩耗補償機構によってブレーキパッドと直動部材との位置が調整され、直動部材と回転部材との相対位置が変化しないので、直動部材に対する付勢手段の付勢力が一定に維持される。
また、請求項3の発明に係る電動ディスクブレーキは、上記請求項1又は2の構成において、前記変換機構は、ボールランプ機構であり、該ボールランプ機構の傾斜溝は、前記直動部材の移動方向の垂直面に対して、前記ブレーキパッドへの押圧力の大きい範囲における傾斜よりも、押圧力の小さい範囲での傾斜が大きくなっていることを特徴とする。
このように構成したことにより、ブレーキパッドへの押圧力の大きい範囲では、傾斜溝の傾斜が小さいのでボールランプ機構による倍力比が大きくなり、押圧力の小さい範囲では、傾斜溝の傾斜が大きいので、ボールランプ機構の直動部材に作用する反力による回転部材の戻しトルクが大きくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る電動ディスクブレーキ1は、車輪(図示せず)とともに回転するディスクロータ2の一側(通常は車体に対して内側)にキャリパ本体3が配置されており、キャリパ本体3には、略C字形に形成されてディスクロータ2を跨いで反対側へ延びる爪部4がボルト(図示せず)によって一体的に結合されている。ディスクロータ2の両側、すなわち、ディスクロータ2とキャリパ本体3との間およびディスクロータ2と爪部4の先端部との間に、それぞれブレーキパッド5,6が設けられている。ブレーキパッド5,6は、車体側に固定されるキャリヤ7によってディスクロータ2の軸方向に沿って移動可能に支持されて、制動トルクをキャリヤ7で受けるようになっている。また、キャリパ本体3には、スライドピン(図示せず)が取付けられており、このスライドピンがキャリア2に摺動可能に挿通されて、キャリパ本体3がディスクロータ2の軸方向に沿って移動可能に案内されている。
【0010】
キャリパ本体3には、電動モータ9(回転アクチュエータ)と、電動モータ9の回転を減速する差動減速機構10と、差動減速機構10によって減速された電動モータ9の回転運動を直線運動に変換して、ブレーキパッド5に当接するピストン11を進退動させるボールランプ機構12(変換機構)と、ブレーキパッド5,6の磨耗に応じてピストン11の位置を調整するパッド磨耗補償機構13とが設けられている。
【0011】
電動モータ9は、キャリパ本体3に固定されたステータ14と、キャリパ本体3に軸受15,16によって回転可能に支持された中空のロータ17とを備え、コネクタ18を介して接続されたコントローラ(図示せず)からの駆動電流によって回転し、ロータ17に装着されたレゾルバ19によって、その回転位置が検出され、所望の角度だけ回転させることができる。
【0012】
差動減速機構10は、電動モータ9のロータ17に、中空の偏心軸20が一体に形成され、偏心軸20の外周に、円筒状の外歯車部材21が軸受22を介して回転可能に取付けられている。外歯車部材21には、軸方向両側に入力側外歯23および出力側外歯24が形成されている。キャリパ本体3には、外歯車部材21の入力側外歯23に噛合う内歯を有する固定リングギヤ25がボルト26によって固定されている。また、出力側外歯24は、ボールランプ機構12の回転ディスク27(後述)に一体に形成されたリングギヤ28の内歯に噛合わされている。
【0013】
これにより、ロータ17の回転が偏心軸20及び軸受22によって外歯車部材21に偏心回転として伝達され、固定リングギヤ25に入力側外歯23が噛合わされた外歯部材21が公転しながら自転して、この外歯部材21の出力側外歯24にリングギヤ28が噛合わされた回転ディスク27が所定の減速比をもって回転する。
【0014】
差動減速機構10の減速比Nは、外歯車部材21の入力側外歯23の歯数Z1、固定リングギヤ25の内歯の歯数Z2、出力側外歯24の歯数Z3、リングギヤ28の内歯の歯数Z4とすると、N=1−(Z2×Z3)/(Z1×Z4)となる。
【0015】
ボールランプ機構12は、キャリパ本体3に軸受29(アキシャル軸受)によって回転可能に支持されて軸方向に固定された回転ディスク27(回転部材)と、軸方向に移動可能かつ回転可能に支持された直動ディスク30(直動部材)とが互いに対向させて配置し、回転ディスク27及び直動ディスク30の互いの対向面にそれぞれ形成された周方向のボール溝31,32(傾斜溝)間に転動体であるボール33(鋼球)を装入したものである。そして、回転ディスク27が回転すると、ボール33が傾斜したボール溝31,32内を転動することにより、回転ディスク27の回転角度に応じて直動ディスク30が軸方向に移動する。直動ディスク30には、ピストン11に固定された調整ねじ部材34が螺合されており、直動ディスク30と調整ねじ部材34とを相対回転させることにより、ピストン11をブレーキパッド5に対して進退動させてパッドクリアランスを調整することができる。
【0016】
回転ディスク27には、電動モータ9の偏心軸20に挿入される円筒部35が一体に形成されており、また、直動ディスク30には、回転ディスク27の円筒部35を貫通して電動モータ9のロータ17内に挿入される円筒部36が一体に形成されている。キャリパ本体3には、ロータ17、回転ディスク27及び直動ディスク30の軸心に沿って延びる支持ロッド37がナット37Aによって取付けられている。この支持ロッド37に形成された鍔部と直動ディスク30の円筒部36の先端部との間に、積層された複数の皿ばね38(付勢手段)が介装されており、皿ばね38のばね力(付勢力)によって直動ディスク30が回転ディスク27側、すなわち、ディスクロータ2から離れる方向へ常時付勢されている。
【0017】
ボールランプ機構12は、回転ディスク27の回転及び直動ディスク30の直線運動を相互に変換可能なものであり、回転ディスク27を回転させることにより、直動ディスク30を直動させることができ、また、反対に直動ディスク30を直動させることにより、回転ディスク27を回転させられるようにボール溝31,32の傾斜角度が設定されている。そして、皿ばね38のばね力は、電動モータ9の駆動力が消失された状態において、回転ディスク27についての回転抵抗力、すなわち、ボールランプ機構12、差動減速機構10及び電動モータ9の回転抵抗力によって生じる直動ディスク30の移動(直動)に対する抵抗力よりも大きく、電動モータ9によって回転ディスク27を回転させて、直動ディスク30を皿ばね38のばね力に抗して移動させた後、電動モータ9の駆動力が消失されると、ボールランプ機構12及び差動減速機構10及び電動モータ9の回転抵抗力に抗して、回転ディスク27を逆回転させて直動ディスク30を原位置まで戻せる大きさに設定されている。
【0018】
パッド摩耗補償機構13は、直動ディスク30の円筒部36の外周に嵌合されたスプリングホルダ39及びリミッタ40と、これらの間を回転方向に所定のセット荷重をもって弾性的に結合するコイルスプリング41(捩りばね)と有している。スプリングホルダ39は、ピン42によって円筒部36に固定されている、リミッタ40は、回転ディスク27の円筒部35との間でパッドクリアランスに相当する一定範囲の相対回転が可能なように、所定の遊びをもって円筒部35の先端部に係合されている。そして、回転ディスク27の回転がコイルスプリング41を介して直動ディスク30に伝達されることにより、ブレーキパッド5,6に磨耗が生じたとき、直動ディスク30が回転ディスク27と共に回転して、調整ねじ部材34を前進させ、パッドクリアランスを一定に調整する。
【0019】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
制動時には、コントローラは、運転者のブレーキペダル踏力(または変位量)をブレーキぺダルセンサによって検出し、この検出値に基づいて、ドライバ回路によって各車輪の電動ディスクブレーキ1の電動モータ9に駆動電流を出力して、ロータ17を所定のトルクで所定の回転角だけ回転させる。ロータ17の回転は、差動減速機構10によって所定の減速比で減速され、ボールランプ機構12によって直線運動に変換されて、ピストン11を前進させる。ピストン11によって、一方のブレーキパッド5がディスクロータ2に押圧され、その反力によってキャリパ本体3がキャリヤ7のスライドピンに沿って移動して、爪部4が他方のブレーキパッド6をディスクロータ2に押圧する。これにより、制動力が発生する。また、制動解除時には、電動モータ9を逆回転させて、ピストン11を後退させ、ブレーキパッド5,6をディスクロータ2から離間させて制動解除する。
【0020】
次に、パッド摩耗補償機構13の作動について説明する。
ブレーキパッド5,6の摩耗がない場合は、制動初期において、電動モータ9のロータ17の回転によって回転ディスク27がパッドクリアランスに相当するリミッタ40との遊びの分だけ直動ディスク30に対して回転することにより、直動ディスク30がパッドクリアランス分だけ前進して、ブレーキパッド5,6がディスクロータ2に接触する。更に回転ディスク27が回転すると、ブレーキパッド5,6がディスクロータ2に押圧される際の反力によって、調整ねじ部材34と直動ディスク30との間のねじ部の摩擦抵抗が増大してスプリングホルダ39とリミッタ40との間のコイルスプリング41のセット荷重よりも大きくなり、直動ディスク30の回転が阻止される。これにより、コイルスプリング41が撓んで回転ディスク27と直動ディスク30とが相対回転することによって、直動ディスク30が前進してブレーキパッド5,6をディスクロータ2に押圧する。
【0021】
ブレーキパッドに摩耗が生じた場合は、、制動初期において、電動モータ9のロータ17の回転によって回転ディスク27がパッドクリアランスに相当するリミッタ40との遊びの分だけ直動ディスク30に対して回転しても、ブレーキパッド5,6は、摩耗があるため、ディスクロータ2に接触しない。この状態では、調整ねじ部材34と直動ディスク30との間のねじ部の摩擦抵抗は、スプリングホルダ39とリミッタ40との間のコイルスプリング41のセット荷重より小さいので、回転ディスク27が更に回転すると、その回転力がコイルスプリング41を介して直動ディスク30を回転させ、調整ねじ部材34を前進させてブレーキパッド5,6がディスクロータ2に接触するまでパッド磨耗分の隙間をつめる。ブレーキパッド5,6がディスクロータ2に接触した後は、上記のように、調整ねじ部材34と直動ディスク30との間のねじ部の摩擦抵抗が増大して直動ディスク30の回転が阻止され、回転ディスク27と直動ディスク30との間に相対回転が生じて、直動ディスク30が前進してブレーキパッド5,6をディスクロータ2に押圧する。
【0022】
このようにして、ブレーキパッド5,6の摩耗に応じて調整ねじ部材34を前進させることができ、パッドクリアランスを常に一定に調整することができる。
【0023】
次に、制動中に断線等のフェイル発生によって電動モータ9の駆動力が消失された場合について説明する。
制動中に断線等のフェイル発生によって電動モータ9の駆動力が消失した場合、制動時の直動ディスク30の移動によって圧縮された皿ばね38のばね力は、回転ディスク27をボールランプ機構12、差動減速機構10及び電動モータ9の回転抵抗力に抗して回転させながら、直動ディスク30を原位置まで後退させる。これにより、ブレーキパッド5,6をディスクロータ2から離間させることができ、制動を解除することができる。
【0024】
このようにして、制動中に断線等のフェイルが発生した場合には、制動を確実に解除することができるので、車両を容易に移動、退避させることができる。皿ばね38のばね力を利用して、簡単な機械的構造によって確実に制動を解除することができるので、別途、動力源を必要とせず、信頼性が高く、低コストであり、また、小型化が可能である。また、パッド摩耗補償機構13によってブレーキパッド5,6の摩耗に応じてブレーキパッド5と直動ディスク30と位置を調整することにより、ブレーキパッド5,6の摩耗にかかわらず、ボールランプ機構12のストロークを一定に維持することができるので、ブレーキパッド5,6の摩耗によって皿ばね38のばね力が過度に増大することがなく、安定した作動を得ることができる。これにより、倍力比を大きくするために設けられた差動減速機構10によって制動解除時の抵抗力が大きくなっている場合でも、フェイル時には確実に制動を解除することができ、差動減速機構10による制動ロックの問題を解消することができる。
【0025】
次に、ボールランプ機構12のボール溝31,32の傾斜について図2乃至図4を参照して説明する。
ボールランプ機構12においては、制動状態において回転ディスク27に作用している電動モータ9の駆動力を解除すると、ブレーキパッド5,6から直動ディスク30に作用する反力によって回転ディスク27を原位置側へ戻そうとする戻しトルクが発生する。一方、回転ディスク27には、回転ディスク27自体、差動減速機構10及び電動モータ9等の回転抵抗力が作用している。そして、回転ディスク27は、上記戻しトルクが、回転抵抗力よりも大きいとき、原位置側へ回転し、回転抵抗力と釣合ったところで停止することになる。
【0026】
ここで、回転ディスク27の戻しトルクT0は、ブレーキパッド5,6のディスクロータ2への押圧力F(ディスクロータ2からの反力)、ボール溝31,32のリードL(回転ディスク27の一回転あたりの直動ディスク30の直動距離)、ボールランプ機構12、差動減速機構10及び電動モータ9の逆効率η´(直線運動から回転運動への変換時の機械効率)とすると、
T0=F×L/2π・η´
で表すことができ、回転ディスク27についての回転抵抗トルクT1は、押圧力Fを変数とする関数K(F)、ボールランプ機構12、差動減速機構10及び電動モータ9の無負荷時の回転抵抗トルクK0とすると、
T1=K(F)+K0
で表すことができる。
【0027】
図2に示すように、ボール溝31,32のリードLを小さくした場合(L=L1)と、大きくした場合(L=L2)の戻しトルクT0と押圧力Fとの関係及び回転抵抗トルクT1と押圧力Fとの関係を図4に示す。図4において、線分▲1▼はリードL=L1(一定)の場合のボールランプ機構12の戻しトルクT0、線分▲2▼はリードL=L2(一定)の場合のボールランプ機構12の戻しトルクT0、曲線▲3▼は回転ディスク27についての回転抵抗トルクT1、曲線▲4▼は後述するようにリードLとしてL1とL2とを組合わせた場合のボールランプ機構12の戻しトルクT0を示す。
【0028】
図4から分かるように、押圧力F=F1のとき、電動モータ9の駆動力が消失されると、リードLが小さい場合(L=L1)には、戻しトルクT0が回転抵抗トルクT1よりも大きい領域では、回転ディスク27が原位置側へ戻され、押圧力FがF=F2となったとき、戻しトルクT0と回転抵抗トルクT1とが釣合って回転ディスク27が停止する。また、リードLが大きい場合(L=l2)には、戻しトルクT0が回転抵抗トルクT1よりも大きい領域では、回転ディスク27が原位置側へ戻され、押圧力FがF=F3となったとき、戻しトルクT0と回転抵抗トルクT1とが釣合って回転ディスク27が停止する。このように、リードLを大きくすることにより、押圧力Fに対する戻しトルクT0の割合が大きくなり、戻しトルクT0が回転抵抗トルクT1よりも大きくなる領域を広くすることができ、戻しトルクT0による回転ディスク27の戻り量を大きくすることができる。
【0029】
一方、ブレーキパッド5,6のディスクロータ2への押圧力Fは、電動モータ9の駆動トルクT、差動減速機構10及びボールランプ機構12の正効率η(回転運動から直線運動への変換時の機械効率)、差動減速機構の減速比nとすると、
F=T×2πηn/L
で表すことができる。そして、リードLを大きくすると、倍力比が小さくなり、電動モータ9に必要な駆動トルクTが大きくなるという問題を生じる。
【0030】
そこで、図3に示すように、ボール溝31,32のリードLを2段階とし、大きな押圧力Fを必要としない非制動側の領域、すなわち、ブレーキパッド5への押圧力の小さい範囲では、ボール溝31,32の傾斜を大きくしてリードLを大きくし(L=L2)、大きな押圧力Fを必要とする制動側の領域、すなわち、ブレーキパッド5への押圧力の大きい範囲では、ボール溝31,32の傾斜を小さくしてリードLを小さくする(L=L1)ことにより、制動時には、小さなリードL1によって倍力比を大きくして充分な制動力を得ることができ、また、電動モータ9の駆動力が消失された場合には、戻しトルクT0を大きくして戻り量を大きくすることができる。この場合、図4中に曲線▲4▼で示すように、押圧力Fの大きい領域では、リードL1による戻しトルクT0が発生し、押圧力Fの小さい領域では、リードL2による戻しトルクT0が発生することにより、押圧力FがF=F3となるまで回転ディスク27を戻すことができる。
【0031】
これにより、皿ばね38の負担を軽減してばね力を小さくすることができるので、制動時に必要な電動モータ9の駆動トルクを低減することができ、省電力化を図ることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明に係る電動ディスクブレーキによれば、制動状態において、回転アクチュエータの駆動力が消失されると、付勢手段の付勢力によって、直動部材が回転部材についての回転抵抗力に抗して移動して、制動を確実に解除することができる。
請求項2の発明に係る電動ディスクブレーキによれば、更に、ブレーキパッドの摩耗に応じて、パッド摩耗補償機構によってブレーキパッドと直動部材との位置が調整され、直動部材と回転部材との相対位置が変化しないので、直動部材に対する付勢手段の付勢力が一定に維持されて、安定した作動を得ることができる。
また、請求項3の発明に係る電動ディスクブレーキによれば、更に、ブレーキパッドへの押圧力の大きい範囲では、傾斜溝の傾斜が小さいのでボールランプ機構による倍力比が大きくなり、押圧力の小さい範囲では、傾斜溝の傾斜が大きいので、ボールランプ機構の直動部材に作用する反力による回転部材の戻しトルクが大きくなる。その結果、充分な制動力を得ると共に、フェイル時には確実に制動を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動ディスクブレーキの縦断面図である。
【図2】図1の装置において、一定のリードを有するボールランプ機構のボール溝を拡大して示す図である。
【図3】図1の装置において、2段階のリードを有するボールランプ機構のボール溝を拡大して示す図である。
【図4】図1の装置において、回転ディスクの戻しトルク及び回転抵抗トルクとブレーキパッドの押圧力との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 電動ディスクブレーキ
2 ディスクロータ
5,6 ブレーキパッド
9 電動モータ(回転アクチュエータ)
12 ボールランプ機構(変換機構)
13 パッド摩耗補償機構
27 回転ディスク(回転部材)
30 直動ディスク(直動部材)
31,32 ボール溝(傾斜溝)
38 皿ばね(付勢手段)

Claims (3)

  1. 回転部材の回転運動と直動部材の直線運動とを相互に変換可能な変換機構と、前記回転部材を駆動する回転アクチュエータとを備え、前記直動部材によってブレーキパッドをディスクロータに押圧して制動力を発生させる電動ディスクブレーキであって、
    前記直動部材を前記ディスクロータから離れる方向へ付勢する付勢手段が設けられており、該付勢手段の付勢力は、前記回転アクチュエータの非駆動時において、前記変換機構の前記直動部材の移動に対して作用する前記回転部材についての回転抵抗力よりも大きいことを特徴とする電動ディスクブレーキ。
  2. 前記ブレーキパッドの摩耗に応じて該ブレーキパッドと前記直動部材との位置を調整可能なパッド摩耗補償機構が設けられ、前記付勢手段は前記直動部材を直接付勢するものであることを特徴とする請求項1に記載の電動ディスクブレーキ。
  3. 前記変換機構は、ボールランプ機構であり、該ボールランプ機構の傾斜溝は、前記直動部材の移動方向の垂直面に対して、前記ブレーキパッドへの押圧力の大きい範囲における傾斜よりも、押圧力の小さい範囲での傾斜が大きくなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動ディスクブレーキ。
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