JP2004263330A - ぼかし柄立毛布帛およびその製造方法 - Google Patents

ぼかし柄立毛布帛およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】任意の模様および色彩を採用することができ、ぼかし効果が高く、良好なソフト感および嵩高感を有し、なおかつコスト的に有利であるぼかし柄立毛布帛およびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維25〜75重量%で構成される立毛を有する立毛布帛において、該収縮性繊維の一部は繊維の先端部分と根元部分で異なる色を有していることを特徴とするぼかし柄立毛布帛。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ぼかし柄立毛布帛およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、立毛布帛の模様についてはいかに鮮明にするかということに対して、様々な検討がなされ、多くの製品が開発されてきている。しかし、近年では消費者の好みの多様化が顕著となり、鮮明な模様とは反対のぼかしたように見える模様(以下、ぼかし柄という)を有する立毛布帛も求められるようになってきている。
【0003】
ぼかし柄を有する立毛布帛の例は多くはないが、特許文献1には、立毛布帛の基布に模様を付与することで、該模様が立毛によってぼかされて見えるようにするものが開示されている。しかし、この場合には、地糸に染色条件の異なる繊維を経糸と緯糸に用い、経糸または緯糸に印捺を施すためパイル糸と印捺されない地糸に付着する染料が多く、特にパイルの長い生地の場合、印捺後の洗浄時に多量の染料を排出することになり染料コストや廃液の問題を生じる。
【0004】
別の例として、特許文献2には、立毛布帛の基布側から立毛の根元部分だけを模様状に染色したものが開示されている。しかし、この場合には、立毛布帛の基布側から染料を均一に浸透させることが非常に困難であり、濃淡斑を生じやすいという問題がある。
【0005】
また、特許文献3には、カチオン染料可染性ポリエステルからなる捲縮フィラメントが第1のパイル面を形成し、非捲縮フィラメントが第1のパイル面よりパイル高さの高い第2のパイル面を形成してなる立毛布帛をカチオン染料と分散染料とを併用して染色してなる霜降り調の外観を付与した立毛布帛が開示されている。しかし、カチオン染料可染性繊維は分散染料でも染色されるため、該繊維は分散染料とカチオン染料の混じった色相になり任意の色相で収縮性繊維と非収縮性繊維を染め分けることが非常に困難である。このため、花柄などの特定の模様のぼかし柄を付与することはできないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−296180号公報
【0007】
【特許文献2】
実用新案登録第3089128号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2001−271255号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上述したような問題を克服すべく、鋭意検討を進めた結果、立毛布帛の立毛を非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能な収縮性繊維から構成し、該収縮性繊維を模様状に染色することによって、該模様が非収縮性繊維によってぼかされることを見出し、さらに様々な検討を重ねて、本発明に到達した。本発明の目的は、任意の色彩のぼかし柄を有する立毛布帛およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)少なくとも非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維25〜75重量%で構成される立毛を有する立毛布帛において、該収縮性繊維の一部は繊維の先端部分と根元部分で異なる色を有していることを特徴とするぼかし柄立毛布帛。
【0011】
(2)繊維の先端部分と根元部分で異なる色を有している収縮性繊維が繊維の先端部分を着色されたものであることを特徴とする上記(1)に記載のぼかし柄立毛布帛。
【0012】
(3)非収縮性繊維および/または収縮性繊維の少なくとも根元部分が着色されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のぼかし柄立毛布帛。
【0013】
(4)収縮性繊維が酸性染料可染性アクリル繊維であり且つ非収縮性繊維がカチオン染料可染性アクリル繊維であるか、または、収縮性繊維がカチオン染料可染性アクリル繊維であり且つ非収縮性繊維が酸性染料可染性アクリル繊維であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のぼかし柄立毛布帛。
【0014】
(5)少なくとも非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維25〜75重量%で構成される立毛を有する立毛布帛の収縮性繊維の一部の先端部分を、該収縮性繊維のみを染色可能である染料で着色することを特徴とするぼかし柄立毛布帛の製造方法。
【0015】
(6)少なくとも非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維25〜75重量%で構成される立毛を有する立毛布帛の収縮性繊維の一部の先端部分を、該収縮性繊維に付着している染料のみを脱色可能である抜染剤で脱色することを特徴とするぼかし柄立毛布帛の製造方法。
【0016】
(7)収縮性繊維が酸性染料可染性アクリル繊維であり且つ非収縮性繊維がカチオン染料可染性アクリル繊維であるか、または、収縮性繊維がカチオン染料可染性アクリル繊維であり且つ非収縮性繊維が酸性染料可染性アクリル繊維であることを特徴とする(5)または(6)に記載のぼかし柄立毛布帛の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の立毛布帛は、基布と立毛とから構成されるものである。ここでいう基布とは、フェルト、不織布などのほか、立毛を形成する繊維と同時に編み込まれる地糸も含む。該基布としては、通常の立毛布帛に使用されるものであればよく、特に限定されないが、コストや耐久性の点からポリエステル繊維を使用することが好ましい。
【0018】
また、上記立毛は少なくとも非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維25〜75重量%で構成されており、さらに該収縮性繊維の一部は繊維の先端部分と根元部分で異なる色を有しているものである。
【0019】
ここで、本発明において、「根元部分」という語は、立毛を構成する繊維の基布側の部分を示す用語として、また、「先端部分」という語は立毛を構成する繊維の基布側とは反対側の部分を示す用語として用いる。
【0020】
かかる構成が満たされていれば、これらの種類の繊維のほかに、例えば収縮率が20%未満の収縮性繊維が混在していても構わないことは言うまでもない。いずれにせよかかる構成を満たす立毛を採用したものは、任意の色彩および形状のぼかし柄を有する立毛布帛となるのである。
【0021】
すなわち、かかる構成の立毛を有する立毛布帛全体を見ると、先端部分と根元部分で異なる色を有している収縮性繊維の部分が模様として認識されるのであるが、収縮性繊維は収縮により非収縮性繊維よりも短くなっているため、該模様は非収縮性繊維の中に埋もれた状態となっており、視覚的にぼかされたように見えるのである。
【0022】
ここで、収縮性繊維が非収縮性繊維と同じ種類の染料で染色されるものであったならば、収縮性繊維のみに模様を付与しようとしても、非収縮性繊維にも模様が付与されてしまうことを避けられない。つまり、該非収縮性繊維は該収縮性繊維による模様と同形同色の模様を構成してしまうことになるので、全体として模様は埋もれた状態とならず、ぼかし柄は得られない。従って、上述のように、収縮性繊維は非収縮性繊維とは異なる種類の染料で染色可能なものでなければならない。
【0023】
また、非収縮性繊維とは異なる種類の染料で染色可能である収縮性繊維は、その収縮率としては20%以上であることが必要であり、25%以上であればより好ましい。該収縮率が20%未満であれば、非収縮性繊維と収縮後の収縮性繊維の繊維長差が小さくなるため、十分なぼかし効果が得られない。なお、本発明における収縮率は、後述する方法により測定した、98℃の水中での収縮率を指す。
【0024】
さらに、上述のような、非収縮性繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維の立毛に占める割合としては25〜75重量%であることが必要であり、40〜60重量%であればより好ましい。該割合が25重量%未満の場合には、ぼかし柄は得られるものの立毛布帛としてはボリューム感に乏しいものとなるので、望ましくない。また、該割合が75%を超える場合には、相対的に非収縮性繊維の割合が少なくなってしまうため、十分なぼかし効果が得られず、また、立毛布帛としてもソフトな風合いの乏しいものとなってしまい、望ましくない。
【0025】
また、上述したように、非収縮性繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維の一部は繊維の先端部分と根元部分で異なる色を有するものであるが、この例としては、先端部分と根元部分が異なる色で着色されたものの他に先端部分のみが着色されたものや根元部分のみが着色されたものなどが挙げられる。なお、繊維の先端部分と根元部分で異なる色を有する収縮性繊維以外の収縮性繊維については着色されていないかあるいは単色に着色されているのが一般的である。
【0026】
また、非収縮性繊維については、ぼかし効果を損ねない限り、どのように着色されていてもよい。例えば、単色に着色されたもの、先端部分と根元部分が異なる色で着色されたもの、先端部分のみが着色されたもの、根元部分のみが着色されたもの、および全く着色されていないものなどが挙げられる。特に、少なくとも先端部分が着色されている非収縮性繊維が、先端部分と根元部分で異なる色を有する収縮性繊維で構成されるぼかし柄から若干ずれて重なる該ぼかし柄と同形状の柄を構成している場合などには立体的に見えるぼかし柄になり得る。
【0027】
本発明の非収縮性繊維に使用できる繊維としては、特に制限はなく、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、羊毛繊維、木綿繊維などが挙げられるが、染色性の面から、カチオン染料可染性アクリル繊維や酸性染料可染性アクリル繊維などのアクリル繊維が好ましい。また、本発明の非収縮性繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維に使用できる繊維としても、特に制限はなく、非収縮性繊維と同様、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維などが挙げられ、染色性の面から、カチオン染料可染性アクリル繊維や酸性染料可染性アクリル繊維などのアクリル繊維が好ましい。
【0028】
ただし、上述したように本発明の非収縮性繊維と収縮性繊維は互いに異なる染料で着色されるものでなければならない。従って、立毛の構成としては、非収縮性繊維をカチオン染料可染性アクリル繊維、収縮性繊維を酸性染料可染性アクリル繊維とする構成や非収縮性繊維を酸性染料可染性アクリル繊維、収縮性繊維をカチオン染料可染性アクリル繊維とする構成などが好ましい。
【0029】
本発明のぼかし柄立毛布帛は一般的には次のような工程で製造される。まず、非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維を混綿し、通常の紡績工程により紡績糸とする(第1工程)。次に、該紡績糸を染色するとともに収縮性繊維を収縮させ(第2工程)、地糸とともに丸編みボア編み機で立毛布帛原反に編成する(第3工程)。続いて、フラットスクリーン捺染機やローラー捺染機等などを使用して該立毛布帛原反の収縮性繊維の先端部分を着色または脱色することにより模様を付与し、蒸熱処理で付与した模様を固定させ、柔軟処理を施す(第4工程)。最後に、毛割、ポリッシング、シャーリングなどの通常のボア仕上げ加工を行う(第5工程)ことによって、本発明のぼかし柄立毛布帛が得られる。
【0030】
また、別の方法として上記方法の第2工程および第3工程をそれぞれ紡績糸を地糸とともにダブルラッセル編み機で立毛布帛原反に編成する(第2’工程)、該立毛布帛を染色すると同時に収縮を発現させる(第3’工程)という工程に置き換えた方法を採用することもできる。
【0031】
ここで、第2工程および第3’工程における染色は繊維全体を着色する、いわゆる「地染め」である(以下、繊維全体を着色することを地染めとも言う)が、本発明においては互いに異なる種類の染料で染色可能な非収縮性繊維と収縮性繊維を使用しているため、両繊維を同色に着色できるのはもちろん、染料の種類を使い分けることで、異色に着色したり、どちらか一方だけを着色したりすることも容易に行うことができる。また、地染めは、混綿前や立毛布帛原反編成後に実施することも可能である。なお、地染めが不要な場合には、第2工程または第3’工程における染色を省き収縮性繊維の収縮のみ行うか、あるいはこれらの工程そのものを省いて第4工程で収縮性繊維の収縮を行えばよい。
【0032】
上述の地染めに使用する染料としては、通常の繊維用染料であればよく、酸性染料、直接染料、カチオン染料、反応染料、分散染料、ナフトール染料、バット染料、硫化染料などから使用する繊維に合わせて適宜選択すればよい。
【0033】
上記第4工程において、収縮性繊維の先端部分を着色する方法としては、印捺や着色抜染などを採用することができる。前者では収縮性繊維のみを染色可能な染料および糊剤からなる印捺糊を使用し、後者では収縮性繊維のみを染色可能な染料、糊剤および抜染剤からなる印捺糊を使用する。また、収縮性繊維の先端部分を脱色する方法としては、抜染を採用することができ、糊剤および抜染剤からなる抜染糊を使用して実施する。なお、着色抜染や抜染などの抜染剤を使用する方法の場合、これらの方法を実施する前の工程において収縮性繊維が抜染剤で脱色可能な染料で地染めされることは言うまでもない。
【0034】
また、第4工程においては、収縮性繊維だけでなく、非収縮性繊維にも非収縮性繊維を染色可能な染料で模様を付与してもよく、上述した模様の付与方法に準じて模様を付与することができる。特に、非収縮性繊維に模様を付与する場合に、収縮性繊維に付与した模様とは若干ずれて重なる位置に該模様と同形状の模様を付与することで、立体的に見えるぼかし柄とすることができる。
【0035】
模様の付与に使用する染料としては、上述の地染めの場合と同様の染料が使用でき、模様の付与の対象となる繊維を染色可能な染料を適宜選択すればよく、印捺糊の糊剤としてはアルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ローカストビーンガム、加工でんぷんポリビニルアルコールなどを使用することができる。また、抜染剤としては、ハイドロサルファイト(Na)、ロンガリットC(NaHSO・CHO・HO)、ロンガリットZ(ZnSO・CHO・HO)、デクロリン(Zn(HSO・CHO))、塩化第一錫(SnCl・2HO)などを使用することができる。
【0036】
【実施例】
以下、代表的な実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例に記載の%は、特にことわりのない限り重量パーセントである。
【0037】
<収縮性繊維の収縮率の測定>
収縮性繊維の収縮率は、JIS L−1015に記載の測定方法に準じた荷重をかけて測定した。
収縮率(%)=(A−B)/A×100
A:処理前の繊維長 B:熱水処理後の繊維長
【0038】
<ぼかし柄・ソフト感・嵩高感の評価>
下記実施例2に記載の紡績糸を用い、ポリエステル糸を地糸に使用して、丸編みボア編み機で目付け650g/mの基準用立毛布帛を編成した。この基準用立毛布帛のパイル面に糊剤としてキプロガムA(日澱化学(株)製)にカチオン染料Aizen Cathilon Yellow K−3RLH(保土ケ谷化学工業(株)製)を含有させた印捺糊で印捺した立毛布帛を5級とし、地糸側に糊剤としてキプロガムA(日澱化学(株)製)に酸性染料Telon Blue FRW(Dystar製)を含有させた印捺糊で印捺した立毛布帛を1級として模様の鮮明性を5段階で評価し、3級以下をぼかし効果ありとした。ソフト感および嵩高感については、基準用立毛布帛と同等以上を○とし、やや劣るものを△、劣るものを×として評価を行い、△以上を良好とした。
【0039】
<実施例1>
非収縮性ポリエステル繊維70重量%と収縮率25%の収縮性ナイロン繊維30重量%を混綿し、梳毛紡績の常法に従いメートル番手2/32の紡績糸を得た。該紡績糸および基布としてポリエステルを使用して、丸編みボア編み機で目付け650g/mの立毛布帛原反を編成した。次いでスクリーン捺染機を用い、糊剤キプロガムA(日澱化学(株)製)に酸性染料Telon Blue FRW(Dystar製)を含有させ、B型粘度計で測定した粘度が1000cpsとなるように調製した印捺糊で該立毛布帛原反に模様を印捺し、80℃で3分乾燥させた後、100℃で30分蒸熱処理を行った。続いて、通常の方法で余分な染料の除去、柔軟処理、ボア仕上げを行うことで、非収縮性繊維が着色されておらず、印捺部分の収縮性繊維が先端部分のみを着色されている立毛布帛を得た。
【0040】
<実施例2>
非収縮性カチオン染料可染性アクリル繊維K691−3.3TV64(東洋紡績(株)製)60重量%と収縮率28%の収縮性酸性染料可染性アクリル繊維H67−3.3TV64(東洋紡績(株)製)40重量%を混綿し、梳毛紡績の常法に従いメートル番手2/32の紡績糸を得た。該紡績糸を酸性染料Telon Blue FRW(Dystar製)で地染めを行った後、ポリエステル糸を地糸に使用して、丸編みボア編み機で目付け650g/mの立毛布帛原反を編成した。次いでスクリーン捺染機を用い、糊剤キプロガムA(日澱化学(株)製)に酸性染料Telon Red GW(Dystar製)を含有させ、B型粘度計で測定した粘度が1000cpsとなるように調製したで該立毛布帛原反に模様を印捺し、80℃で3分間乾燥させた後、100℃で30分蒸熱処理を行った。続いて、通常の方法で余分な染料の除去、柔軟処理、ボア仕上げを行うことで、非収縮性繊維が着色されておらず、印捺部分の収縮性繊維が先端部分と根元部分を異なる色で着色されている立毛布帛を得た。
【0041】
<実施例3>
実施例2において、紡績糸の地染めを酸性染料の代わりにカチオン染料Aizen Cathilon Yellow K−3RLH(保土ケ谷化学工業(株)製)で実施するほかは同様にして、非収縮性繊維が着色されており、印捺部分の収縮性繊維が先端部分のみを着色されている立毛布帛を得た。
【0042】
<実施例4>
実施例2において、紡績糸の地染めを酸性染料Telon Yellow GW(Dystar製)と、カチオン染料Aizen Cathilon Red CD−FGLH(保土谷化学工業(株)製)で実施するほかは同様にして、非収縮性繊維が着色されており、印捺部分の収縮性繊維が先端部分と根元部分を異なる色で着色されている立毛布帛を得た。
【0043】
<実施例5>
実施例4の立毛布帛原反に、スクリーン捺染機を用い、糊剤キプロガムA(日澱化学(株)製)に酸性染料Telon Blue FRW(Dystar製)および抜染剤として塩化第一錫を含有させ、B型粘度計で測定した粘度が1000cpsとなるように調製した印捺糊で該立毛布帛原反に模様を印捺し、80℃で3分乾燥させた後、100℃で30分蒸熱処理を行った。続いて、通常の方法で余分な染料および抜染剤の除去、柔軟処理、ボア仕上げを行うことで、抜染・印捺部分の非収縮性繊維が先端部分を脱色されており、収縮性繊維が先端部分と根元部分を異なる色で着色されている立毛布帛を得た。
【0044】
<実施例6>
実施例2において、各繊維の使用割合を非収縮性カチオン染料可染性アクリル繊維K691−3.3TV64(東洋紡績(株)製)70重量%と収縮率28%の収縮性酸性染料可染性アクリル繊維H67−3.3TV64(東洋紡績(株)製)30重量%とするほかは同様にして、非収縮性繊維が着色されておらず、印捺部分の収縮性繊維が先端部分と根元部分を異なる色で着色されている立毛布帛を得た。
【0045】
<実施例7>
非収縮性酸性染料可染性アクリル繊維H180−3.3TV64(東洋紡績(株)製)30重量%と収縮率28%の収縮性カチオン染料可染性アクリル繊維K89−3.3TV64(東洋紡績(株)製)70重量%を混綿し、梳毛紡績の常法に従いメートル番手2/32の紡績糸を得た。該紡績糸および地糸としてポリエステル糸を使用して、丸編みボア編み機で目付け650g/mの立毛布帛原反を編成した。次いでスクリーン捺染機を用い、糊剤キプロガムA(日澱化学(株)製)にカチオン染料Aizen Cathilon Blue BRLH(保土谷化学工業(株)製)を含有させ、B型粘度計で測定した粘度が1000cpsとなるように調製した印捺糊で該立毛布帛原反に模様を印捺し、続いて糊剤キプロガムA(日澱化学(株)製)に酸性染料Telon Red GW(Dystar製)を含有させ、B型粘度計で測定した粘度が1000cpsとなるように調製した印捺糊で、カチオン染料で印捺した模様と同形状の模様を該模様の位置から若干ずれて重なる位置に印捺し、80℃で3分乾燥させた後、100℃で30分蒸熱処理を行った。さらに、通常の方法で余分な染料の除去、柔軟処理、ボア仕上げを行うことで、酸性染料で印捺した部分の非収縮性繊維およびカチオン染料で印捺した部分の収縮性繊維が先端部分のみを着色されている立毛布帛を得た。
【0046】
<実施例8>
実施例7の紡績糸をカチオン染料Aizen Cathilon Blue BRLH(保土谷化学工業(株)製)で地染めし、ポリエステルを地糸に使用して、丸編みボア編み機目付け650g/mの立毛布帛原反を編成した。次いでスクリーン捺染機を用い、糊剤キプロガムA(日澱化学(株)製)に抜染剤として塩化第一錫を含有させ、B型粘度計で測定した粘度が1000cpsとなるように調製した抜染糊で該立毛布帛原反に模様を印捺し、80℃で3分乾燥させた後、100℃で30分蒸熱処理を行った。さらに、通常の方法で余分な抜染剤の除去、柔軟処理、ボア仕上げを行うことで、非収縮性繊維が着色されておらず、抜染部分の収縮性繊維が先端部分を脱色されている立毛布帛を得た。
【0047】
<実施例9>
実施例8において、抜染剤の代わりに酸性染料Telon Blue FRW(Dystar製)と抜染剤塩化第一錫の混合物を使用するほかは同様にして、抜染・印捺部分の非収縮性繊維が先端部分のみ着色されており、収縮性繊維が先端部分を脱色されている立毛布帛を得た。
【0048】
<実施例10>
実施例8において、紡績糸の地染めをカチオン染料Aizen Cathilon Red CD−FGLH(保土谷化学工業(株)製)と酸性染料Telon Blue FRW(Dystar製)で実施するほかは同様にして、非収縮性繊維が着色されており、抜染部分の収縮性繊維が先端部分を脱色されている立毛布帛を得た。
【0049】
<比較例1>
実施例8において、収縮性カチオン染料可染性アクリル繊維K89−3.3TV64(東洋紡績(株)製)の代わりに収縮率18%の収縮性カチオン染料可染性アクリル繊維K80−3.3TV64(東洋紡績(株)製)を使用するほかは同様にして、非収縮性繊維が着色されておらず、印捺部分の収縮性繊維が先端部分と根元部分を異なる色で着色されている立毛布帛を得た。
【0050】
<比較例2>
実施例2において、各繊維の使用割合を非収縮性カチオン染料可染性アクリル繊維K691−3.3TV64(東洋紡績(株)製)80重量%、収縮率28%の収縮性酸性染料可染性アクリル繊維H67−3.3TV64(東洋紡績(株)製)20重量%とするほかは同様にして、非収縮性繊維が着色されておらず、印捺部分の収縮性繊維が先端部分と根元部分を異なる色で着色されている立毛布帛を得た。
【0051】
<比較例3>
実施例7において、各繊維の使用割合を非収縮性酸性染料可染性アクリル繊維H180−3.3TV64(東洋紡績(株)製)20重量%、収縮率28%の収縮性カチオン染料可染性アクリル繊維K89−3.3TV64(東洋紡績(株)製)80重量%とするほかは同様にして、酸性染料で印捺した部分の非収縮性繊維およびカチオン染料で印捺した部分の収縮性繊維が先端部分のみを着色されている立毛布帛を得た。
【0052】
実施例1〜10および比較例1〜3で得られた立毛布帛について、ぼかし柄、ソフト感および嵩高感を評価した結果を表1に示す。実施例1〜10で得られた立毛布帛についてはいずれもぼかし効果が得られ、ソフト感および嵩高感については、通常の立毛布帛として使用に耐えうるものであった。特に実施例7で得られた立毛布帛についてはぼかし効果に加えて立体効果も得られた。
【0053】
これに対して、比較例1で得られた立毛布帛は、収縮性繊維の収縮率が低すぎるために、模様が鮮明であり通常の印捺された立毛布帛とほとんどかわらないものとなり、さらに嵩高感も乏しいものとなった。また、比較例2で得られた立毛布帛は、収縮性繊維の割合が少なすぎるために、模様のぼかし効果は得られるが嵩高感の乏しいものとなった。さらに、比較例3で得られた立毛布帛は、収縮性繊維の割合が多すぎるために、模様が鮮明になったばかりでなく、ソフト感が損なわれるものであった。
【0054】
【表1】
Figure 2004263330
【0055】
【発明の効果】
本発明のぼかし柄立毛布帛およびその製造方法は、立毛の構成として互いに異なる種類の染料で染色可能な非収縮性繊維と収縮性繊維を採用することで、これまでにない多彩なぼかし効果を実現させるものである。

Claims (7)

  1. 少なくとも非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維25〜75重量%で構成される立毛を有する立毛布帛において、該収縮性繊維の一部は繊維の先端部分と根元部分で異なる色を有していることを特徴とするぼかし柄立毛布帛。
  2. 先端部分と根元部分で異なる色を有している収縮性繊維が繊維の先端部分を着色されたものであることを特徴とする請求項1に記載のぼかし柄立毛布帛。
  3. 非収縮性繊維および/または収縮性繊維の少なくとも根元部分が着色されていることを特徴とする請求項1または2に記載のぼかし柄立毛布帛。
  4. 収縮性繊維が酸性染料可染性アクリル繊維であり且つ非収縮性繊維がカチオン染料可染性アクリル繊維であるか、または、収縮性繊維がカチオン染料可染性アクリル繊維であり且つ非収縮性繊維が酸性染料可染性アクリル繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のぼかし柄立毛布帛。
  5. 少なくとも非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維25〜75重量%で構成される立毛を有する立毛布帛の収縮性繊維の一部の先端部分を、該収縮性繊維のみを染色可能である染料で着色することを特徴とするぼかし柄立毛布帛の製造方法。
  6. 少なくとも非収縮性繊維および該繊維とは異なる種類の染料で染色可能であり且つ収縮率が20%以上の収縮性繊維25〜75重量%で構成される立毛を有する立毛布帛の収縮性繊維の一部の先端部分を、該収縮性繊維に付着している染料のみを脱色可能である抜染剤で脱色することを特徴とするぼかし柄立毛布帛の製造方法。
  7. 収縮性繊維が酸性染料可染性アクリル繊維であり且つ非収縮性繊維がカチオン染料可染性アクリル繊維であるか、または、収縮性繊維がカチオン染料可染性アクリル繊維であり且つ非収縮性繊維が酸性染料可染性アクリル繊維であることを特徴とする請求項5または6に記載のぼかし柄立毛布帛の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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