JP2004262621A - 故障車両の移送台車 - Google Patents
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Abstract
【課題】故障車両を迅速且つ簡便に救援できる故障車両の移送台車を提供する。
【解決手段】移送台車1は、両方の脚部2の内側に故障車両3を導入可能な門形フレーム4と、門形フレーム4の両方の脚部2に各々設けられ門形フレーム4の全体を道床5上に走行自在に支持する4輪のキャスタ輪6と、門形フレーム4に設けられ故障車両3を道床5から持ち上げるリフト手段7と、門形フレーム4に昇降自在に設けられた昇降輪8と、キャスタ輪6の下方へ昇降輪8を押し出すジャッキ手段9とを備える。道床5は矢印Dで指した方向に下り勾配である。
【選択図】 図1
【解決手段】移送台車1は、両方の脚部2の内側に故障車両3を導入可能な門形フレーム4と、門形フレーム4の両方の脚部2に各々設けられ門形フレーム4の全体を道床5上に走行自在に支持する4輪のキャスタ輪6と、門形フレーム4に設けられ故障車両3を道床5から持ち上げるリフト手段7と、門形フレーム4に昇降自在に設けられた昇降輪8と、キャスタ輪6の下方へ昇降輪8を押し出すジャッキ手段9とを備える。道床5は矢印Dで指した方向に下り勾配である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、故障し走行不能となった無人走行車両(AGV)等を応急に移送するのに用いる故障車両の移送台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、故障し走行不能となった無人走行車両をその軌道外へ退避させ、又は無人走行車両を修理する工場へ搬送する等の救援を行う場合、無人走行車両の車台をフォークリフトで持ち上げつつ、同フォークリフトを走行させることにより、無人走行車両を移送するようにしている。専ら平坦な道床を走行する無人走行車両は、その一の車輪のみで駆動し他の車輪が回転自在な構造のものが多い。
【0003】
故障車両を牽引する技術、又は牽引ジャッキに係る技術は、下記の特許文献に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭54−17214号公報
【特許文献2】
特開2000−351600号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、無人走行車両の車台をフォークリフトで持ち上げる場合、無人走行車両の車台全体を道床から浮上させるのではなく、その駆動を担う一の車輪のみを道床から浮上させ他の車輪が道床に着地するような傾斜姿勢に車台を保ちつつ、フォークリフトを走行させる。これは、無人走行車両はその車台全体がフォークリフトのフォークに乗せられない程大きなサイズであることが多く、また、無人走行車両が故障して走行不能になった場合には、駆動を担う一の車輪のみがロックするためである。
【0006】
しかしながら、傾斜角度が概ね8°以上の急勾配の道床を走行する無人走行車両には、その駆動輪がスリップすることなく登坂に要する大きな駆動力を道床へ伝達できるように複数輪による駆動、特に、前後の両輪で駆動するものが適用される。このため、故障した際に前後の両輪がロックするので、これを移送するには、総ての車輪を道床から浮上させなければならず、上記のようなフォークリフトを用いた手法では対応が困難である。また、クレーン車等を用いて故障車両を移送することもできるが、作業が大掛かりになるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、故障車両を迅速且つ簡便に救援できる故障車両の移送台車及びその移送方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る故障車両の移送台車は、両脚部の内側に故障車両を導入可能な門形フレームと、該門形フレームの両脚部に設けられ前記門形フレームを道床に支持するキャスタ輪と、前記門形フレームに設けられ前記故障車両を前記道床から持ち上げるリフト手段と、前記門形フレームに昇降自在に設けられた昇降輪と、該昇降輪を前記キャスタ輪の下方へ押し出すジャッキ手段と、前記昇降輪を制動する制動装置とを備えるものである。
【0009】
更に、本発明に係る故障車両の移送台車は、前記制動装置が、前記門形フレームに搭載される蓄電池と、該蓄電池から供給される電力により摩擦を発生する電磁ブレーキとを備えるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車1は、両方の脚部2の内側に故障車両3を導入可能な門形フレーム4と、門形フレーム4の両方の脚部2に各々設けられ門形フレーム4の全体を道床5上に走行自在に支持する4輪のキャスタ輪6と、門形フレーム4に設けられ故障車両3を道床5から持ち上げるリフト手段7と、門形フレーム4に昇降自在に設けられた昇降輪8と、キャスタ輪6の下方へ昇降輪8を押し出すジャッキ手段9と、昇降輪8を制動する制動装置10とを備えるものである。
【0011】
故障車両3は、複数の車輪30で車台31を道床5上に支持し、車台31の下面と道床5との間に適当な隙間が得られるものであれば、その用途等に係わり無く移送台車1による移送が可能である。従って、故障車両3は図中に例示した仕様に限定されない。複数の車輪30は、駆動源と操舵機構とを一体に構成した駆動装置32によって駆動及び操舵される走行輪と、これに図中の矢印Wで指した車幅方向に重ねて表したキャスター輪とを含んでいる。駆動装置32は車台31の前後に一機ずつ設けられている。
【0012】
門形フレーム4は、型鋼又は鋼管等から成る3本の平行な横架材40を、車幅方向に延びる2本の補強材41で連結し、これら3本の横架材40の両端に、それぞれ両方の脚部2の上端を接合した構造体である。門形フレーム4には、自力で走行するための駆動装置は設けられていない。
【0013】
個々の脚部2は、2本の型鋼又は鋼管等から成る支柱である。これらは図中で1本に重なって表れている。一方(後方)の脚部2には、オペレータが搭乗するためのステップ20を設けている。ステップ20の下部には、昇降輪8及びジャッキ手段9を収納している。
【0014】
道床5は、矢印Dで指した方向に下り勾配となっている。以下、矢印Dで指した方向を下り方向と記す。総てのキャスタ輪6は、仮想縁Cで表した範囲を旋回できる。従って、オペレータ等が、他方(前方)の脚部2から下り方向へ突出したバーハンドル21を所望の方向へ手押しすれば、門形フレーム4は、道床5上を車幅方向、下り方向、又はこれらを斜めに横切る方向へ自由に滑走できる。
【0015】
昇降輪8は、図2に示すように、摩擦係数の比較的高いウレタンゴム等から成る踏部80を有し、そのホイールハブ81を制動装置10に接合している。制動装置10としては、電線11を通じて供給される電力により摩擦を発生する電磁ブレーキを適用するのが望ましい。電線11は、図1に示した門形フレーム4に搭載される蓄電池12に接続される。蓄電池12はステップ20の下部に収納しても良い。
【0016】
制動装置10の一例として、ブレーキステータ13に内装したコイル14によりライニング15を励磁し、このライニング15に、ブレーキアーマチュア16を吸引させて、ライニング15とブレーキアーマチュア16との間で摩擦を発生するものが挙げられる。ブレーキステータ13は、後述するスイングアーム90(図3)の適所に固定される。一方、ブレーキアーマチュア16は、アーマチュアハブ160を一体に形成し、これにスタッドボルト・ナット82を介してホイールハブ81に締結される。
【0017】
制動装置10と蓄電池12とを接続する電線11の途中に、図に表れていないON/OFFスイッチ及び可変抵抗を介在させるのが望ましい。このスイッチをオペレータが操作することで、昇降輪8の制動又はその解除が行える。また、この可変抵抗をオペレータが操作することで、上記のコイル14を流れる電流を増減し、制動装置10の制動(摩擦)力を調節できる。
【0018】
リフト手段7は、両方の脚部2の内側に相対向して配置され故障車両3の車台31の下方に進入可能な一対の昇降爪70と、これら複数の昇降爪70に接続した図に表れていない第1の油圧シリンダとを備えるものである。
【0019】
第1の油圧シリンダは、手動にて反復駆動するプランジャポンプ等から供給される油圧により、その作動ロッドを上方へ伸長できる。これに従って、一対の昇降爪70が上昇し、故障車両3の車台31が牽き上げられる。車台31を牽き上げる高さは、その総ての車輪30が道床5から数cm浮上すれば足りる。一対の昇降爪70を下降させる場合は、第1の油圧シリンダの戻り経路に設けた開閉弁(図示省略)を開放する。これにより、第1の油圧シリンダの作動ロッドは、故障車両3の荷重を受けて短縮する。
【0020】
ジャッキ手段9は、図3に示すように、昇降輪8のアクスル83をベアリング84を介して回転自在に保持するスイングアーム90と、スイングアーム90の長手方向の途中に作動ロッド91をピン接続した第2の油圧シリンダ92とを備えるものである。
【0021】
第2の油圧シリンダ92は、手動にて反復駆動するプランジャポンプ等から供給される油圧により、その作動ロッド91を下方へ伸長する。これに従って、スイングアーム90が相対的にキャスター輪6より下方へ数cm突出すると、その分、一方の脚部2に配置したキャスター輪6が、道床5から浮上する。前方の脚部2に配置したキャスター輪6は道床5に密接した状態を保ち続ける。昇降輪8を上昇させる場合は、第2の油圧シリンダ92の戻り経路に設けた開閉弁(図示省略)を開放する。これにより、作動ロッド91は、当該移送台車1の荷重を受けて短縮する。
【0022】
ジャッキ手段9の他の例として、ネジ式の機構を適用しても良い。即ち、第2の油圧シリンダ91に代えて、オペレータがステップ20の上方からハンドル操作で回転可能な送りネジを適用し、これに螺合するナットをスイングアーム90の適所に接続する。
【0023】
以上に述べたように、リフト手段7及びジャッキ手段9は、何れも電動機等の駆動源を具備せず、専らオペレータが手動で動作できるものであることが望ましい。これは、当該移送台車1は応急に使用するものであるため、それ以外の時に、移送台車1の維持に係る保守や整備を軽減することを企図している。更には、移送台車1の総重量を軽減することに加え、その製造コストをできる限り低減するためである。
【0024】
次に、本発明の実施の形態に係る故障車両3の移送方法について説明する。先ず、図4に示すように、道床5の途中に故障車両3が停止した場合、この故障車両3に対して道床5の勾配を遡る位置に、図中に仮想線で表したように移送台車1を準備する。この時点で、リフト手段7の昇降爪70を故障車両3の車台31の下面より低い位置に予め降下させる。
【0025】
そして、第1に、移送台車1を、道床5の勾配に従わせて下り方向へ滑走させる。この過程、移送台車1が過剰に加速しないように、移送台車1に対して道床5の勾配を更に遡る位置に、図に表していないワイヤウィンチを設置し、このワイヤーウィンチから徐々に繰り出されるワイヤロープ17の先端に、移送台車1を掛止めしても良い。また、移送台車1が故障車両3の軌道18に平行して真っ直ぐに滑走できるように、オペレータがバーハンドル21を適時に操舵することが望ましい。
【0026】
第2に、門形フレーム4の両方の脚部2の内側に、故障車両3を導入する。即ち、図中に実線で表したように、移送台車1をその門形フレーム4が故障車両3の真横に沿うように位置させると共に、移送台車1の全体を故障車両3へ向けて車幅方向に滑走させる。故障車両3が門形フレーム4の真下に進入したところで、移送台車1を停止させる。
【0027】
この状態で、図1に表したように、リフト手段7の昇降爪70が故障車両3の車台31の下方へ進入する。また、移送台車1は、その自重で道床5を滑走し続けようとするが、一方の脚部2又は一方の脚部2側に配置した昇降爪70の根元が故障車両3に突き当たるので、移送台車1は故障車両3によって位置決めされ静止する。
【0028】
第3に、昇降輪8に制動力を付与しつつ、昇降輪8を道床5に押し付ける。これは、制動装置10のコイル14に電流を流し、制動装置10に最大の制動(摩擦)力を発生させるのと同時に、ジャッキ手段9の作動ロッド91を下方へ伸長することにより行う。
【0029】
第4に、リフト手段7の一対の昇降爪70を上昇させて、故障車両3を道床5から持ち上げる。これにより、門形フレーム4の両方の脚部2の内側に、故障車両3を水平な姿勢で支持する。
【0030】
第5に、昇降輪8に付与した制動力を徐々に減少すれば、故障車両3と共に移送台車1の門形フレーム4が道床5の勾配に従って滑走する。移送台車1が故障車両3を伴って道床5を脱したところで作業は完了する。
【0031】
上記のように、制動装置10として電磁ブレーキを適用しているので、移送台車1が滑走する過程で、機械式の摩擦ブレーキのように、それを操作するペダル又はレバー等にオペレータが踏力又は握力を加え続けなくても、所望の制動力を維持できる。従って、一旦制動力を設定、言い換えれば、滑走する速度を一度だけ設定すれば、この後の作業をオペレータの操縦に頼らず続行できるという利点が有る。また、電磁ブレーキは、機械式の摩擦ブレーキに比べ小型で軽量であるという利点がある。
【0032】
尚、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良,修正,変形を加えた態様で実施できる。
【0033】
例えば、図5に示すように、門形フレーム4を、その両方の脚部2が車幅方向に並ぶ姿勢にして、上記第1の工程を実行しても良い。これにより、次の第2の工程で、移送台車1の全体を下り方向へ真っ直ぐに滑走させれば、門形フレーム4の内側に故障車両3を導入できるので、移送台車1の全体を故障車両3へ向けて車幅方向に滑走させる作業を省略できる。
【0034】
この実施形態においては、昇降輪8の向きは横架材40を横切る方向に沿わせる。また、門形フレーム4の内側に故障車両3を導入した状態で、故障車両3に対して移送台車1を位置決めするためのストッパ等を付加しても良い。また、移送台車1を勾配の無い平坦な道床で使用することもできる。この場合、オペレータが移送台車1を手押しすることにより滑走させる。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る故障車両の移送台車によれば、故障車両が複数輪により駆動する構造であっても、これを迅速且つ簡便に救援できる。しかも、当該移送台車は、勾配の有る道床ではその勾配に従って滑走するので、特に駆動装置を設ける必要がなく、製造コストを大幅に節減することができる。
【0036】
また、制動装置として電磁ブレーキを適用した場合、門形フレームが滑走する過程で、機械式の摩擦ブレーキのようにオペレータが操作し続けなくても、所望の制動力を維持できる。従って、故障車両の移送に係る作業を簡略化できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車の平面図及び側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車に適用した昇降輪及び制動装置の分解斜視図。
【図3】本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車に適用した昇降輪及びジャッキ手段の側面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車を用いた移送方法の説明図。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る故障車両の移送台車の平面図。
【符号の説明】
1:移送台車
2:脚部
3:故障車両
4:門形フレーム
5:道床
6:キャスタ輪
7:リフト手段
8:昇降輪
9:ジャッキ手段
10:制動装置(電磁ブレーキ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、故障し走行不能となった無人走行車両(AGV)等を応急に移送するのに用いる故障車両の移送台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、故障し走行不能となった無人走行車両をその軌道外へ退避させ、又は無人走行車両を修理する工場へ搬送する等の救援を行う場合、無人走行車両の車台をフォークリフトで持ち上げつつ、同フォークリフトを走行させることにより、無人走行車両を移送するようにしている。専ら平坦な道床を走行する無人走行車両は、その一の車輪のみで駆動し他の車輪が回転自在な構造のものが多い。
【0003】
故障車両を牽引する技術、又は牽引ジャッキに係る技術は、下記の特許文献に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭54−17214号公報
【特許文献2】
特開2000−351600号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、無人走行車両の車台をフォークリフトで持ち上げる場合、無人走行車両の車台全体を道床から浮上させるのではなく、その駆動を担う一の車輪のみを道床から浮上させ他の車輪が道床に着地するような傾斜姿勢に車台を保ちつつ、フォークリフトを走行させる。これは、無人走行車両はその車台全体がフォークリフトのフォークに乗せられない程大きなサイズであることが多く、また、無人走行車両が故障して走行不能になった場合には、駆動を担う一の車輪のみがロックするためである。
【0006】
しかしながら、傾斜角度が概ね8°以上の急勾配の道床を走行する無人走行車両には、その駆動輪がスリップすることなく登坂に要する大きな駆動力を道床へ伝達できるように複数輪による駆動、特に、前後の両輪で駆動するものが適用される。このため、故障した際に前後の両輪がロックするので、これを移送するには、総ての車輪を道床から浮上させなければならず、上記のようなフォークリフトを用いた手法では対応が困難である。また、クレーン車等を用いて故障車両を移送することもできるが、作業が大掛かりになるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、故障車両を迅速且つ簡便に救援できる故障車両の移送台車及びその移送方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る故障車両の移送台車は、両脚部の内側に故障車両を導入可能な門形フレームと、該門形フレームの両脚部に設けられ前記門形フレームを道床に支持するキャスタ輪と、前記門形フレームに設けられ前記故障車両を前記道床から持ち上げるリフト手段と、前記門形フレームに昇降自在に設けられた昇降輪と、該昇降輪を前記キャスタ輪の下方へ押し出すジャッキ手段と、前記昇降輪を制動する制動装置とを備えるものである。
【0009】
更に、本発明に係る故障車両の移送台車は、前記制動装置が、前記門形フレームに搭載される蓄電池と、該蓄電池から供給される電力により摩擦を発生する電磁ブレーキとを備えるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車1は、両方の脚部2の内側に故障車両3を導入可能な門形フレーム4と、門形フレーム4の両方の脚部2に各々設けられ門形フレーム4の全体を道床5上に走行自在に支持する4輪のキャスタ輪6と、門形フレーム4に設けられ故障車両3を道床5から持ち上げるリフト手段7と、門形フレーム4に昇降自在に設けられた昇降輪8と、キャスタ輪6の下方へ昇降輪8を押し出すジャッキ手段9と、昇降輪8を制動する制動装置10とを備えるものである。
【0011】
故障車両3は、複数の車輪30で車台31を道床5上に支持し、車台31の下面と道床5との間に適当な隙間が得られるものであれば、その用途等に係わり無く移送台車1による移送が可能である。従って、故障車両3は図中に例示した仕様に限定されない。複数の車輪30は、駆動源と操舵機構とを一体に構成した駆動装置32によって駆動及び操舵される走行輪と、これに図中の矢印Wで指した車幅方向に重ねて表したキャスター輪とを含んでいる。駆動装置32は車台31の前後に一機ずつ設けられている。
【0012】
門形フレーム4は、型鋼又は鋼管等から成る3本の平行な横架材40を、車幅方向に延びる2本の補強材41で連結し、これら3本の横架材40の両端に、それぞれ両方の脚部2の上端を接合した構造体である。門形フレーム4には、自力で走行するための駆動装置は設けられていない。
【0013】
個々の脚部2は、2本の型鋼又は鋼管等から成る支柱である。これらは図中で1本に重なって表れている。一方(後方)の脚部2には、オペレータが搭乗するためのステップ20を設けている。ステップ20の下部には、昇降輪8及びジャッキ手段9を収納している。
【0014】
道床5は、矢印Dで指した方向に下り勾配となっている。以下、矢印Dで指した方向を下り方向と記す。総てのキャスタ輪6は、仮想縁Cで表した範囲を旋回できる。従って、オペレータ等が、他方(前方)の脚部2から下り方向へ突出したバーハンドル21を所望の方向へ手押しすれば、門形フレーム4は、道床5上を車幅方向、下り方向、又はこれらを斜めに横切る方向へ自由に滑走できる。
【0015】
昇降輪8は、図2に示すように、摩擦係数の比較的高いウレタンゴム等から成る踏部80を有し、そのホイールハブ81を制動装置10に接合している。制動装置10としては、電線11を通じて供給される電力により摩擦を発生する電磁ブレーキを適用するのが望ましい。電線11は、図1に示した門形フレーム4に搭載される蓄電池12に接続される。蓄電池12はステップ20の下部に収納しても良い。
【0016】
制動装置10の一例として、ブレーキステータ13に内装したコイル14によりライニング15を励磁し、このライニング15に、ブレーキアーマチュア16を吸引させて、ライニング15とブレーキアーマチュア16との間で摩擦を発生するものが挙げられる。ブレーキステータ13は、後述するスイングアーム90(図3)の適所に固定される。一方、ブレーキアーマチュア16は、アーマチュアハブ160を一体に形成し、これにスタッドボルト・ナット82を介してホイールハブ81に締結される。
【0017】
制動装置10と蓄電池12とを接続する電線11の途中に、図に表れていないON/OFFスイッチ及び可変抵抗を介在させるのが望ましい。このスイッチをオペレータが操作することで、昇降輪8の制動又はその解除が行える。また、この可変抵抗をオペレータが操作することで、上記のコイル14を流れる電流を増減し、制動装置10の制動(摩擦)力を調節できる。
【0018】
リフト手段7は、両方の脚部2の内側に相対向して配置され故障車両3の車台31の下方に進入可能な一対の昇降爪70と、これら複数の昇降爪70に接続した図に表れていない第1の油圧シリンダとを備えるものである。
【0019】
第1の油圧シリンダは、手動にて反復駆動するプランジャポンプ等から供給される油圧により、その作動ロッドを上方へ伸長できる。これに従って、一対の昇降爪70が上昇し、故障車両3の車台31が牽き上げられる。車台31を牽き上げる高さは、その総ての車輪30が道床5から数cm浮上すれば足りる。一対の昇降爪70を下降させる場合は、第1の油圧シリンダの戻り経路に設けた開閉弁(図示省略)を開放する。これにより、第1の油圧シリンダの作動ロッドは、故障車両3の荷重を受けて短縮する。
【0020】
ジャッキ手段9は、図3に示すように、昇降輪8のアクスル83をベアリング84を介して回転自在に保持するスイングアーム90と、スイングアーム90の長手方向の途中に作動ロッド91をピン接続した第2の油圧シリンダ92とを備えるものである。
【0021】
第2の油圧シリンダ92は、手動にて反復駆動するプランジャポンプ等から供給される油圧により、その作動ロッド91を下方へ伸長する。これに従って、スイングアーム90が相対的にキャスター輪6より下方へ数cm突出すると、その分、一方の脚部2に配置したキャスター輪6が、道床5から浮上する。前方の脚部2に配置したキャスター輪6は道床5に密接した状態を保ち続ける。昇降輪8を上昇させる場合は、第2の油圧シリンダ92の戻り経路に設けた開閉弁(図示省略)を開放する。これにより、作動ロッド91は、当該移送台車1の荷重を受けて短縮する。
【0022】
ジャッキ手段9の他の例として、ネジ式の機構を適用しても良い。即ち、第2の油圧シリンダ91に代えて、オペレータがステップ20の上方からハンドル操作で回転可能な送りネジを適用し、これに螺合するナットをスイングアーム90の適所に接続する。
【0023】
以上に述べたように、リフト手段7及びジャッキ手段9は、何れも電動機等の駆動源を具備せず、専らオペレータが手動で動作できるものであることが望ましい。これは、当該移送台車1は応急に使用するものであるため、それ以外の時に、移送台車1の維持に係る保守や整備を軽減することを企図している。更には、移送台車1の総重量を軽減することに加え、その製造コストをできる限り低減するためである。
【0024】
次に、本発明の実施の形態に係る故障車両3の移送方法について説明する。先ず、図4に示すように、道床5の途中に故障車両3が停止した場合、この故障車両3に対して道床5の勾配を遡る位置に、図中に仮想線で表したように移送台車1を準備する。この時点で、リフト手段7の昇降爪70を故障車両3の車台31の下面より低い位置に予め降下させる。
【0025】
そして、第1に、移送台車1を、道床5の勾配に従わせて下り方向へ滑走させる。この過程、移送台車1が過剰に加速しないように、移送台車1に対して道床5の勾配を更に遡る位置に、図に表していないワイヤウィンチを設置し、このワイヤーウィンチから徐々に繰り出されるワイヤロープ17の先端に、移送台車1を掛止めしても良い。また、移送台車1が故障車両3の軌道18に平行して真っ直ぐに滑走できるように、オペレータがバーハンドル21を適時に操舵することが望ましい。
【0026】
第2に、門形フレーム4の両方の脚部2の内側に、故障車両3を導入する。即ち、図中に実線で表したように、移送台車1をその門形フレーム4が故障車両3の真横に沿うように位置させると共に、移送台車1の全体を故障車両3へ向けて車幅方向に滑走させる。故障車両3が門形フレーム4の真下に進入したところで、移送台車1を停止させる。
【0027】
この状態で、図1に表したように、リフト手段7の昇降爪70が故障車両3の車台31の下方へ進入する。また、移送台車1は、その自重で道床5を滑走し続けようとするが、一方の脚部2又は一方の脚部2側に配置した昇降爪70の根元が故障車両3に突き当たるので、移送台車1は故障車両3によって位置決めされ静止する。
【0028】
第3に、昇降輪8に制動力を付与しつつ、昇降輪8を道床5に押し付ける。これは、制動装置10のコイル14に電流を流し、制動装置10に最大の制動(摩擦)力を発生させるのと同時に、ジャッキ手段9の作動ロッド91を下方へ伸長することにより行う。
【0029】
第4に、リフト手段7の一対の昇降爪70を上昇させて、故障車両3を道床5から持ち上げる。これにより、門形フレーム4の両方の脚部2の内側に、故障車両3を水平な姿勢で支持する。
【0030】
第5に、昇降輪8に付与した制動力を徐々に減少すれば、故障車両3と共に移送台車1の門形フレーム4が道床5の勾配に従って滑走する。移送台車1が故障車両3を伴って道床5を脱したところで作業は完了する。
【0031】
上記のように、制動装置10として電磁ブレーキを適用しているので、移送台車1が滑走する過程で、機械式の摩擦ブレーキのように、それを操作するペダル又はレバー等にオペレータが踏力又は握力を加え続けなくても、所望の制動力を維持できる。従って、一旦制動力を設定、言い換えれば、滑走する速度を一度だけ設定すれば、この後の作業をオペレータの操縦に頼らず続行できるという利点が有る。また、電磁ブレーキは、機械式の摩擦ブレーキに比べ小型で軽量であるという利点がある。
【0032】
尚、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良,修正,変形を加えた態様で実施できる。
【0033】
例えば、図5に示すように、門形フレーム4を、その両方の脚部2が車幅方向に並ぶ姿勢にして、上記第1の工程を実行しても良い。これにより、次の第2の工程で、移送台車1の全体を下り方向へ真っ直ぐに滑走させれば、門形フレーム4の内側に故障車両3を導入できるので、移送台車1の全体を故障車両3へ向けて車幅方向に滑走させる作業を省略できる。
【0034】
この実施形態においては、昇降輪8の向きは横架材40を横切る方向に沿わせる。また、門形フレーム4の内側に故障車両3を導入した状態で、故障車両3に対して移送台車1を位置決めするためのストッパ等を付加しても良い。また、移送台車1を勾配の無い平坦な道床で使用することもできる。この場合、オペレータが移送台車1を手押しすることにより滑走させる。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る故障車両の移送台車によれば、故障車両が複数輪により駆動する構造であっても、これを迅速且つ簡便に救援できる。しかも、当該移送台車は、勾配の有る道床ではその勾配に従って滑走するので、特に駆動装置を設ける必要がなく、製造コストを大幅に節減することができる。
【0036】
また、制動装置として電磁ブレーキを適用した場合、門形フレームが滑走する過程で、機械式の摩擦ブレーキのようにオペレータが操作し続けなくても、所望の制動力を維持できる。従って、故障車両の移送に係る作業を簡略化できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車の平面図及び側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車に適用した昇降輪及び制動装置の分解斜視図。
【図3】本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車に適用した昇降輪及びジャッキ手段の側面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る故障車両の移送台車を用いた移送方法の説明図。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る故障車両の移送台車の平面図。
【符号の説明】
1:移送台車
2:脚部
3:故障車両
4:門形フレーム
5:道床
6:キャスタ輪
7:リフト手段
8:昇降輪
9:ジャッキ手段
10:制動装置(電磁ブレーキ)
Claims (2)
- 両脚部の内側に故障車両を導入可能な門形フレームと、該門形フレームの両脚部に設けられ前記門形フレームを道床に支持するキャスタ輪と、前記門形フレームに設けられ前記故障車両を前記道床から持ち上げるリフト手段と、前記門形フレームに昇降自在に設けられた昇降輪と、該昇降輪を前記キャスタ輪の下方へ押し出すジャッキ手段と、前記昇降輪を制動する制動装置とを備えることを特徴とする故障車両の移送台車。
- 前記制動装置が、前記門形フレームに搭載される蓄電池と、該蓄電池から供給される電力により摩擦を発生する電磁ブレーキとを備えることを特徴とする請求項1に記載の故障車両の移送台車。
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Publications (1)
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ID=33119901
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2003-03-03 JP JP2003056066A patent/JP2004262621A/ja not_active Withdrawn
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