JP2004258154A - 液体現像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】現像ローラー1上に塗布された液体現像剤に、現像部に入る前に、液体現像剤中の固形成分の帯電電荷と同極性のバイアス電圧を印加するためのバイアスブレード電極2を備えるように構成する。現像ローラー1上に塗布された液体現像剤を固形分層と液体分層に2層化するためにバイアスブレード電極2によりバイアス電圧を印加した時に液体現像剤中に流れる電流をIbとすると、現像部において、感光体上の静電潜像非画像部の電位により現像ローラー1上の液体現像剤中に流れる電流Id2よりも電流Ibが大きくなるようにバイアスブレード電極2に印加するバイアス電圧を制御する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液体現像電子写真装置の現像装置に関し、現像剤担持体(現像ローラー等)上の液体現像剤の固形成分を現像ローラー表面に凝集させ、その上にキャリア成分の層を形成することで、現像処理においてカブリ等のない高画質な現像を行える液体現像装置を実現するに当たり、当該液体現像剤の層を形成するために現像ローラー上の液体現像剤に印加するバイアス電圧を最適制御することで、液体現像剤の種類や環境条件に左右されずに高画質な現像を行える液体現像装置を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
キャリアである液体成分中に固形成分であるトナーを均一に分散させた液体現像剤を現像液として使用する図6に示すような液体現像電子写真装置では、画像支持体としての感光体51を帯電装置54により帯電し、これに露光装置53により帯電した感光体表面に印刷画像を光学露光することで静電潜像を形成する。現像装置60では、現像剤として液体現像剤を用い、現像ローラー61に液体現像剤を薄く塗布し、これを感光体51に接するように構成し、感光体表面に形成された静電潜像の電界力により、現像ローラー61上の液体現像剤の固形成分(トナー)を静電潜像に付着させる。
【0003】
こうして形成された感光体51上のトナー画像は、中間転写体52に転写される。トナー画像を転写した感光体は、除電装置55により除電され、次の画像形成が行われる。中間転写体52に転写されたトナー画像は、さらに中間転写体52から印刷媒体56に転写、定着される。
【0004】
このような印刷処理において、感光体51上に形成された静電潜像の画像部分の現像を行う液体現像装置は、図7に示すような構成となっている。
【0005】
現像に使用される液体現像剤は、表面に微細な窪みを有する現像剤供給ローラー62(アニロックスローラー)により現像ローラー61の表面に薄く塗布され、この塗布された液体現像剤が、現像ローラーが回転しながら感光体の表面に接触するように構成されていることで、感光体表面に形成された静電潜像上に当接される。
【0006】
このとき、感光体表面に形成されている静電潜像の電界力により、液体現像剤中の固形成分(トナー成分)が静電潜像の画像部分に泳動して付着することにより、感光体表面にトナー画像が形成される。
【0007】
しかし、図9(a)に示すように、現像ローラー上に塗布された液体現像剤中の固形成分は、キャリアである液体成分中に均一に分散した状態であり、感光体表面に現像ローラーにより当接されるとき、機械的に固形成分が非画像部に付着してしまいカブリ等の発生の原因となっていた。
【0008】
これを防ぐために、図9(b)に示すように、現像ローラー上に塗布された液体現像剤を、感光体に接触させる前に、液体現像剤中の固形成分の帯電電荷と同極性のバイアス電圧を印加した電極等により、電圧を印加することで、現像ローラー表面に液体現像剤の固形成分を凝集させ、その上層にキャリア成分である液体成分の層を形成させ、この2層状態になった液体現像剤を感光体に接触させることで、感光体表面に機械的に接触する層が固形成分を含まないキャリア成分の層とすることができ、感光体表面に形成された静電潜像の非画像部に液体現像剤の固形成分が付着することを防ぐ方法が考案されている。(例えば、特許文献1を参照。)
【0009】
この方法による液体現像装置の構成の例を図8に示す。
【0010】
しかし、このような液体現像剤を2層化することでカブリ等を防ぐ液体現像装置を常に最良の効果を発揮するようにバイアス電圧の印加を制御するのは困難であり、従来は、現像に使用する液体現像剤の固形成分の濃度が変化したり、印刷装置が使用される場所により温度などの環境条件が変わったりすることで、うまく2層に分離することができず、カブリ等の画像劣化が発生してしまうことがあった。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−324876号公報
【発明が解決しようとする課題】
前記のごとく、従来の技術では次のような問題点がある。
【0012】
現像剤として液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置の現像処理(感光体表面に形成された静電潜像に液体現像剤中の固形成分(トナー)を付着させ、トナー画像を形成する処理)において、液体現像剤中の固形成分が機械的に感光体表面に形成された静電潜像非画像部に付着してしまうことがあった。
【0013】
これを防ぐため、現像ローラー上に塗布された液体現像剤にバイアス電圧を印加し、固形成分と液体成分の2層に分離して感光体に転写することで、機械的に液体現像剤中の固形成分が感光体表面に形成された静電潜像非画像部に付着することを防止する液体現像装置が考案されている。
【0014】
しかし、このような液体現像装置においては、使用される液体現像剤が変わることで、液体現像剤中の固形成分の帯電量などの特性が違うものとなることや、印刷中に液体現像剤の固形成分濃度が変化したり、装置が使用される周囲の温度などの環境条件が変化したりすることなどにより、液体現像剤を2層に分離するのに必要な現像処理前に印加すべきバイアス条件が変化してしまうことがあり、確実に2層化を行うことができず、カブリ等の発生を防止できない場合があった。
【0015】
この発明の課題は、現像ローラー上に塗布された液体現像剤を、固形成分と液体成分に2層化して感光体に転写することで、カブリ等の発生を防止する液体現像装置において、使用される液体現像剤の特性の変化や、固形成分の濃度の変化、環境条件の違い等に左右されず、確実に現像ローラー上の液体現像剤を固形成分と液体成分の2層に分離し、カブリ等の発生を防止することができる液体現像装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記の問題点を解決するために、この発明では次に示す手段を取った。
【0017】
現像ローラー上に塗布された液体現像剤に、現像部(現像ローラーが感光体と接触する部分)に入る前に、液体現像剤中の固形成分の帯電電荷と同極性のバイアス電圧を印加するためのバイアスブレード電極を備えるように構成する。
【0018】
現像ローラー上に塗布された液体現像剤を固形分層と液体分層に2層化するためにバイアスブレード電極によりバイアス電圧を印加した時に液体現像剤中に流れる電流をIbとすると、現像部(現像ローラが感光体と接触する部分)において、感光体上に形成された静電潜像の非画像部の電位により現像ローラー上の液体現像剤中に流れる電流Id2がこのIbよりも小さくなるように、すなわちIb>Id2となるようにバイアスブレード電極に印加するバイアス電圧を制御する。
【0019】
このとき、静電潜像の非画像部電位と現像ローラーの電位の電位差により流れる電流Id2に対して、現像ローラーの電位とバイアスブレード電極の電位との電位差により流れる電流Ibを5倍以上の電流値となるようにバイアスブレード電極のバイアス電圧を印加するよう制御しても良い。
【0020】
このときのバイアスブレード電極へ加えるバイアス電圧の制御方法として、電流Ibを基にして、定電流制御を行うように構成しても良い。
【0021】
また、工場出荷等の初期状態で、液体現像剤の濃度や環境条件を基準となる条件とした時に電流Ibが電流Id2よりも大きくなる(望ましくは10倍程度の電流値)ように定電流制御によりバイアスブレード電極に印加する電圧を決め、その電圧値を不揮発性メモリ等の電圧値記憶装置に記憶させ、以後の印刷においてはこの電圧値をバイアスブレード電極のバイアス電圧として使用するように構成しても良い。
【0022】
このバイアスブレード電極により印加するバイアス電圧が放電開始電圧以下になるように、バイアスブレード電極の現像ローラーとの対向部分の面積を構成するようにしても良い。
【0023】
バイアスブレード電極により印加するバイアス電圧を、電流Id2より電流Ibが大きくなるように制御して印加したとき、現像ローラーの電位と、感光体上に形成された静電潜像の非画像部の電位との電位差が、感光体上に形成された静電潜像の画像部の電位と、現像ローラーの電位との電位差よりも小さくなるように、現像ローラーの電位を制御するように構成しても良い。
【0024】
感光体上でイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナーの重ね合わせを行うことで、カラー画像を印刷する場合、各色ごとの液体現像装置の現像ローラーの電位を上記の現像ローラー電位条件を満たすように構成しても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
この発明は、次に示す実施の形態を取った。
【0026】
表面に多数の微細な窪みを有するアニロックスローラーなど現像剤供給ローラーにより現像ローラー表面に液体現像剤を塗布し、現像ローラー表面に液体現像剤の薄層を形成する。
【0027】
現像ローラー上に形成された液体現像剤の薄層が、現像部(現像ローラーが感光体と接触する部分)において感光体表面上に形成した静電潜像に接触する前に、液体現像剤の固形成分層と液体現像剤のキャリアである液体成分層の2層に分離させるため、固形成分の帯電電荷と同極性のバイアス電圧を印加する手段であるバイアスブレード電極を備えるように構成する。
【0028】
これにより、現像ローラー上に塗布された液体現像剤が、現像ローラーが回転し、感光体と接触する現像部において感光体表面に液体現像剤の表層が接触するとき、その表層に液体現像剤の固形成分が存在しない状態とするためのバイアス電圧を印加することができる。
【0029】
現像ローラー上に塗布された液体現像剤にバイアスブレード電極により液体現像剤中の固形成分の帯電電荷と同極性のバイアス電圧を印加すると、液体現像剤中の固形成分が現像ローラー側に液体成分中を泳動し、現像ローラー表面に凝集することになる。このとき、帯電した固形成分が移動することで発生する電流を電流Ibとする。
【0030】
現像ローラー上に塗布された液体現像剤は、その後、感光体上に形成された静電潜像に電界力によりその固形成分であるトナーを付着させるため、現像部(現像ローラーが感光体と接触する部分)において感光体表面と接触するように構成しているが、感光体表面上に形成された静電潜像非画像部の電位と現像ローラー電位との電位差により、液体現像剤中の帯電した固形成分が現像ローラー側に泳動する。このとき発生する電流をId2とすると、前記電流Ibが当該電流Id2よりも大きくなるようにバイアスブレード電極に印加するバイアス電圧を制御するように構成する。
【0031】
これにより、使用する液体現像剤を変更したり、印刷中に液体現像剤の固形分濃度が変化したり、印刷装置の周囲の温度が変化したりすることなどにより、液体現像剤を固形成分と液体成分の2層に分離するのに必要なバイアスブレード電極に印加するバイアス条件が変化した場合でも、必要な電圧値を確保することができ、確実に液体現像剤の2層化が行えるようになる。
【0032】
静電潜像の非画像部電位と現像ローラーの電位の電位差により流れる電流Id2に対して、現像ローラーの電位とバイアスブレード電極の電位との電位差により流れる電流Ibを5倍以上の電流値となるようにバイアスブレード電極のバイアス電圧を印加するよう制御しても良い。
【0033】
これにより、2層化した現像ローラー上の液体現像剤の表層部に形成された液体分層にほとんど固形成分が存在しない状態とすることができ、確実にカブリ等の発生を防ぐことができるようになる。
【0034】
このときのバイアスブレード電極へ加えるバイアス電圧の制御方法として、電流Ibを基にして、定電流制御を行うように構成しても良い。
【0035】
これにより、電流Ibと電流Id2の関係が上記条件を満たすようにバイアスブレード電極に印加する電圧値を制御することを容易に実現できる。
【0036】
また、工場出荷等の初期状態で、液体現像剤の濃度や環境条件を基準となる条件とした時に電流Ibが電流Id2よりも大きくなる(望ましくは10倍程度の電流値)ように定電流制御によりバイアスブレード電極に印加する電圧を決め、その電圧値を不揮発性メモリ等の電圧値記憶装置に記憶させ、以後の印刷においてはこの電圧値をバイアスブレード電極のバイアス電圧として使用するように構成しても良い。
【0037】
これにより、使用状況により、液体現像剤中の固形成分の濃度が高くなったような場合、必要な電流値は固形成分の帯電電荷量と固形成分の濃度の積で決まるため、定電流制御では、液体現像剤中の固形成分が移動するのに必要な電流が不足して、液体現像剤を2層化するのに必要な電圧が確保できなくなるのを防ぐことができるようになる。
【0038】
このバイアスブレード電極により印加するバイアス電圧が放電開始電圧以下になるように、バイアスブレード電極の現像ローラーとの対向部分の面積を構成するようにしても良い。
【0039】
バイアスブレード電極によりバイアス電圧を印加したときに流れる電流Ibは、バイアスブレード電極と現像ローラー表面が対向する面の面積に比例することになり、この面積をあまり小さくすると、必要な電流値を確保するためにバイアス電圧を高くする必要があるが、あまりに高いバイアス電圧ではバイアスブレード電極と現像ローラー表面間で放電が発生する。
【0040】
そこで、上記のように、バイアス電圧を設定するに際し、放電が起こるほど高電圧とならないようにバイアスブレード電極と現像ローラー表面との対向部分の面積を決めるようにする。
【0041】
バイアスブレード電極により印加するバイアス電圧を、電流Id2より電流Ibが大きくなるように制御して印加したとき、現像ローラーの電位と、感光体上に形成された静電潜像の非画像部の電位との電位差が、感光体上に形成された静電潜像の画像部の電位と、現像ローラーの電位との電位差よりも小さくなるように、現像ローラーの電位を制御するように構成しても良い。
【0042】
これにより、感光体表面の帯電電位を下げることができ、感光体帯電時に発生するオゾン等の量を軽減することや、これにより生成される放電生成物による感光体表面の劣化を抑え感光体の長寿命化を図ることができる。
【0043】
また、感光体上で各色トナーの重ね合わせを行うカラー画像の印刷時には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色ごとの液体現像装置の現像ローラーの電位を上記の現像ローラーの電位条件を満たすように構成しても良い。
【0044】
これにより、感光体の静電潜像に色を重ねていく過程において、一色のトナー画像を形成した後の、次の色の静電潜像の現像時に感光体の非画像部の帯電電位により、前の色のトナー(固形成分)が現像ローラー側に移動してしまうことを防ぐことができ、複数色の感光体上での重ね合わせでも高画質な現像を行えるようになる。
【0045】
【実施例】
この発明による代表的な実施例を説明する。なお、以下において、同じ箇所は同一の符号を付してあり、詳細な説明を省略することがある。
【0046】
本装置は、液体現像電子写真装置の感光体表面に形成された静電潜像に、液体現像剤中の固形成分(トナー)を静電潜像の画像部に電界力により付着させてトナー画像を形成する液体現像装置である。
【0047】
図1は本発明の実施例の全体構成を示す。
【0048】
図に示すように、現像ローラー1の表面に液体現像剤を薄く塗布する現像剤供給ローラー3を備える。この現像剤供給ローラー3には、表面に多数の微細な窪みを有するアニロックスローラーなどが使用され、現像ローラー1上に均一な液体現像剤の薄層を形成するように現像剤の塗布が行われる。
【0049】
この現像剤供給ローラー3により現像ローラー1上に液体現像剤が塗布された時点での液体現像剤中の固形成分(トナー)の状態は、図9(a)に示すように、液体現像剤のキャリアである液体成分の中に均一に分散した状態となっている。
【0050】
現像ローラー1上に塗布された液体現像剤は、現像ローラー1が回転し感光体4に接触する部分である現像部に入る前にバイアスブレード電極2により、バイアス電圧が印加されるように構成されている。
【0051】
このバイアスブレード電極2は、導電性樹脂材でできた薄いブレード状の電極であり、適度な弾性を有しており、図1に示すように、現像ローラー1の表面に弱い力で当接するように構成されている。
【0052】
このバイアスブレード電極2により、液体現像剤中の固形成分(トナー)の帯電電荷と同極性のバイアス電圧を印加することにより、図9(b)に示すように、固形成分(トナー)を現像ローラー1の表面側に凝集させ、その上層にキャリアである液体成分の層が形成されることで2層化した状態とする。
【0053】
このとき、帯電した固形成分(トナー)がキャリアである液体成分中を泳動することにより電流Ibが流れるが、この電流値が、感光体上に形成された静電潜像を現像するときに、静電潜像の非画像部と現像ローラーの電位との電位差により固形成分(トナー)がキャリアである液体成分中を泳動することにより流れる電流Id2と比較して、電流Ibの方が電流Id2よりも大きくなるように、バイアスブレード電極2へのバイアス電圧値を制御するように構成している。
【0054】
図2に、上記条件を満たしたバイアス電圧を印加した状態で、ベタ画像とベタ白とを交互に印刷したときの電流Ib、電流Id2および静電潜像画像部の電位と現像ローラー電位との電位差により流れる電流Id1の関係を、現像バイアス電源から現像ローラー側へ流入する電流を正として表した場合の波形を示す。
【0055】
このような電流値の関係を保つようにバイアスブレード電極2により印加するバイアス電圧を制御することで、液体現像剤の特性や、環境条件の変化などにより、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離するのに必要なバイアス電圧の変化にも対応することができ、確実に液体現像剤の2層化を実現できるようにしている。
【0056】
なお、この電流値Ibの電流値を、電流Id2の5倍以上にすることで、2層化したときの、上層の液体成分中に含まれる固形成分(トナー)の存在を少なくすることができ、10倍以上にすることで、ほぼ完全に固形成分が上層の液体成分中に存在しないようにすることができ、カブリの発生を完全に除去することができる。
【0057】
以上のような電流値の条件を満たして、バイアスブレード電極2により印加するバイアス電圧を制御するため、バイアス電圧を定電流制御により制御するように構成しても良い。
【0058】
バイアスブレード電極2により印加するバイアス電圧は、上記の通りそのバイアス電圧により液体現像剤中に流れる電流により条件設定されるものであるので、定電流制御によりこれを容易に実現することが可能となる。
【0059】
また、工場出荷などの初期状態に置いて、液体現像剤の濃度や環境条件等をあらかじめ基準となるような所定の条件に設定しておき、この条件下で定電流制御により上記電流条件を満たすようにバイアスブレード電極2に印加されるバイアス電圧を制御し、このときのバイアス電圧値を不揮発性メモリ等の電圧値記憶装置に記憶し、以降の印刷においては、この電圧値記憶装置に記憶された電圧値を用いて定電圧制御によりバイアスブレード電極2に印加するバイアス電圧を制御するようにしても良い。
【0060】
これは、バイアスブレード電極2により印加するバイアス電圧により液体現像剤中を流れる電流は、液体現像剤の帯電電荷量と液体現像剤中の固形成分の濃度により変化するものであるため、定電流制御のみでバイアス電圧を制御すると、印刷に使用される液体現像剤の濃度が変化し、濃い液体現像剤を使用した場合に、必要な電流値に達した時点のバイアス電圧値が、完全に液体成分層と固形成分層の2層に分離するのに必要な電圧値に達しない場合があるため、これを防ぐためである。
【0061】
図3(a)に示すようにバイアスブレード電極2の現像ローラー1上の液体現像剤にバイアス電圧を印加するための対向部分の面積を、バイアス電圧が放電開始電圧以下になるように構成している。
【0062】
バイアス電圧の印加により液体現像剤中を流れる電流の電流量は、電圧が印加される部分の面積に比例する。この面積は、図3(b)に示すバイアスブレード電極2のブレードのローラー接触長と図3(a)に示すブレードの対向幅の積により決まり、ブレードのローラー接触長は印刷媒体のサイズ(A4、A3等)により決まるものであるので、ブレードの対向幅により調節することができる。
【0063】
これまでに説明した条件を満たす電流Ibを流す場合、バイアスブレード電極2の現像ローラー1との対向部分の面積により必要となるバイアス電圧が変わってくるが、この面積をあまり小さくすると、必要なバイアス電圧が高電圧となり、バイアスブレード電極2と現像ローラー1との間で放電が起きてしまう。
【0064】
このような放電が起きると、現像ローラー上の液体現像剤に均質でない部分が生じ、トナー画像の形成に悪影響を及ぼし、画質劣化の原因となる。
【0065】
そこで、このような放電が起きないような十分な面積となるようにバイアスブレード電極2の対向幅を持たせるように構成している。
【0066】
以上のようなバイアスブレード電極2による液体現像剤へのバイアス電圧印加による液体現像剤の2層化分離処理を施したとき、感光体表面に形成された静電潜像の非画像部の電位と、液体現像装置の現像ローラーの電位との電位差よりも、感光体表面に形成された静電潜像の画像部の電位と、液体現像剤の現像ローラーの電位との電位差の方が大きくなるように、現像ローラー電位を制御するように構成している。
【0067】
このように構成することで、感光体表面に静電潜像を形成するときの電位を下げることができ、感光体の帯電時に発生するオゾン等の発生を軽減し、これらによる放電生成物の付着による感光体の寿命の短命化を防ぐことができる。
【0068】
また、カラー画像の印刷において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックという4色のトナー画像を感光体4上で重ね合わせてカラー画像を形成する場合、図4に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像装置により、各色ごとに帯電装置5及び露光装置6により、帯電、露光処理することで静電潜像を形成し、これに現像ローラー1により液体現像剤中の固形成分(トナー)を付着させるプロセスを繰り返すことで、感光体上にカラー画像を形成する。
【0069】
このとき、例えば、図5(a)に示すように、イエローの静電潜像の現像が終わり、イエローのトナーが感光体の画像部に付着した状態で、次の色であるマゼンタの現像がされると、図5(b)に示すように、イエローの静電潜像では画像部であった部分が、マゼンタの静電潜像では非画像部になる場合があり、このような非画像部に付着しているイエローのトナーは、感光体表面のマゼンタ用の静電潜像の非画像部の電位と、現像ローラーの電位との電位差により、現像ローラー側に泳動することがあり、混色が発生してしまう。
【0070】
本装置では、上記の通り、現像前に現像ローラー上の液体現像剤にバイアス電圧を印加し、液体現像剤を2層化しておくことで、感光体表面に形成された静電潜像非画像部の電位と、現像ローラー電位との電位差を小さくすることができるので、このようなカラー画像の形成における、各色トナーの重ね合わせにおいても、前の色のトナーがこの電位差により現像ローラー表面に付着し、混色が発生するのを防ぐことができる。
【0071】
【発明の効果】
この発明により、以下に示すような効果が期待できる。
【0072】
印刷に使用する現像剤として、キャリア成分である液体成分中に固形成分であるトナーを分散させた液体現像剤を使用した液体現像電子写真装置において、感光体表面に静電潜像を形成した後、これに電界力により液体現像剤の固形成分であるトナーを付着させ、トナー画像を形成する場合、液体現像剤中の固形成分が機械的に静電潜像非画像部に付着してしまいカブリが発生する場合がある。
【0073】
これを防ぐため、現像ローラー表面に塗布された液体現像剤に感光体表面の静電潜像に接触する前にバイアス電圧を印加し、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離させて現像を行う方法が考案されている。
【0074】
しかし、この2層化に必要なバイアス電圧は、印刷に使用される液体現像剤の特性や環境条件により変化するため、確実に2層に分離させて現像を行うことができず、カブリ等の画質劣化が発生する場合があった。
【0075】
本発明により、この液体現像剤を2層に分離させるときに印加するバイアス電圧を最適制御することで、印刷により途中で液体現像剤の濃度が変化したり、環境条件が変化したりした場合でも、的確にバイアス電圧を追従させることができ、確実に液体現像剤を2層に分離させることで、カブリ等の発生を抑制することができるようになる。
【0076】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成図である。
【図2】電流Ibと電流Id2、Id1の関係説明図である。
【図3】バイアスブレード電極の現像ローラー対向部分の面積調整説明図である。
【図4】カラー画像の感光体上での重ね合わせ説明図である。
【図5】色の重ね合わせ時の混色の発生説明図である。
【図6】従来の液体現像電子写真装置の構成図である。
【図7】液体現像電子写真装置の液体現像装置の構成図である。
【図8】現像剤へのバイアス電圧印加手段を有した液体現像装置の構成図である。
【図9】液体現像剤中の固形成分の非画像部への機械的付着発生の説明図である。
【符号の説明】
1:現像ローラー
2:バイアスブレード電極
3:現像剤供給ローラー
4:感光体
5:帯電装置
6:露光装置
Claims (7)
- 印刷に使用する現像剤として、液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置の画像支持体上に形成された静電潜像の現像処理に際し、現像剤担持体上に塗布された液体現像剤にバイアス電圧を印加することで、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離した後に、画像支持体上に形成された静電潜像に液体現像剤中の固形成分を付着させる液体現像装置において、
液体現像剤の帯電電荷と同極性のバイアス電圧を、印加する電圧値を可変制御できる電極により印加することで、現像剤担持体の表面に液体現像剤の固形成分を凝集させ、その上層に液体現像剤のキャリア成分の層を形成させる現像剤分離電圧印加手段を備え、
当該現像剤分離電圧印加手段により印加される電圧によって、現像剤担持体上の現像剤層中に流れる電流Ibが、その後の現像部(現像剤担持体と画像支持体の接触部分)において現像剤担持体の電位と画像支持体の静電潜像非画像部の電位との電位差により、液体現像剤中を流れる電流Id2よりも大きくなるようにバイアス電圧設定された、
ことを特徴とする液体現像装置。 - 印刷に使用する現像剤として、液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置の画像支持体上に形成された静電潜像の現像処理に際し、現像剤担持体上に塗布された液体現像剤にバイアス電圧を印加することで、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離した後に、画像支持体上に形成された静電潜像に液体現像剤中の固形成分を付着させる液体現像装置において、
前記現像剤分離電圧印加手段により印加される電圧によって、現像剤担持体上の現像剤層中に流れる電流Ibが、その後の現像部において、現像剤担持体の電位と画像支持体の静電潜像非画像部の電位との電位差により、液体現像剤中を流れる電流Id2の5倍以上の電流となるようにバイアス電圧設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の液体現像装置。 - 印刷に使用する現像剤として、液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置の画像支持体上に形成された静電潜像の現像処理に際し、現像剤担持体上に塗布された液体現像剤にバイアス電圧を印加することで、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離した後に、画像支持体上に形成された静電潜像に液体現像剤中の固形成分を付着させる液体現像装置において、
前記現像剤分離電圧印加手段により印加するバイアス電圧を放電開始電圧以下に抑えるように、現像剤電圧印加手段の現像剤担持体との対向部分の面積を設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の液体現像装置。 - 印刷に使用する現像剤として、液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置の画像支持体上に形成された静電潜像の現像処理に際し、現像剤担持体上に塗布された液体現像剤にバイアス電圧を印加することで、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離した後に、画像支持体上に形成された静電潜像に液体現像剤中の固形成分を付着させる液体現像装置において、
画像支持体上の静電潜像の非画像部電位と現像剤担持体の電位との電位差が、現像剤担持体の電位と画像支持体上の静電潜像の画像部電位との電位差よりも小さくなるように現像剤担持体の電位を設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の液体現像装置。 - 印刷に使用する現像剤として、液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置の画像支持体上に形成された静電潜像の現像処理に際し、現像剤担持体上に塗布された液体現像剤にバイアス電圧を印加することで、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離した後に、画像支持体上に形成された静電潜像に液体現像剤中の固形成分を付着させる液体現像装置において、
カラー画像を形成するため、画像支持体上でイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の液体現像剤中の固形成分を重ね合わせる際、前記現像剤担持体の電位条件を満たすように現像剤担持体電位を制御して各色ごとに現像を行う、
ことを特徴とする請求項4記載の液体現像装置。 - 印刷に使用する現像剤として、液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置の画像支持体上に形成された静電潜像の現像処理に際し、現像剤担持体上に塗布された液体現像剤にバイアス電圧を印加することで、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離した後に、画像支持体上に形成された静電潜像に液体現像剤中の固形成分を付着させる液体現像装置において、
前記現像剤分離電圧印加手段に印加する電圧を定電流制御により制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の液体現像装置。 - 印刷に使用する現像剤として、液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置の画像支持体上に形成された静電潜像の現像処理に際し、現像剤担持体上に塗布された液体現像剤にバイアス電圧を印加することで、液体現像剤を液体成分層と固形成分層の2層に分離した後に、画像支持体上に形成された静電潜像に液体現像剤中の固形成分を付着させる液体現像装置において、
所定の初期条件において、前記現像剤分離電圧印加手段に印加するバイアス電圧を定電流制御し、当該定電流制御により現像剤分離電圧印加手段に印可したバイアスの電圧値を電圧値記憶手段に保持し、その後の印刷においては、当該電圧値記憶手段に保持した電圧値で定電圧制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の液体現像装置。
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JP2010526338A (ja) * | 2007-04-30 | 2010-07-29 | ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. | 現像監視方法およびシステム |
WO2018101485A1 (ja) * | 2016-12-01 | 2018-06-07 | キヤノン株式会社 | 画像形成装置 |
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- 2003-02-25 JP JP2003046863A patent/JP2004258154A/ja active Pending
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