JP3634840B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中間転写体を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、レーザビームプリンタ等の画像形成装置において、カラーのニーズが高まっている。カラーの画像形成方式としては、昇華型、熱転写型、インクジェット方式、電子写真方式等が知られているが、画像形成速度の点では電子写真方式が最も優れているといわれている。
【0003】
近年、この電子写真方式の中でも中間転写方式が主流を占めつつある。このものは、転写材を選ばないこと、カラーレジストレーションに優れている(色ズレが少ない)こと等の利点がある。
【0004】
中間転写方式の電子写真装置では、図1に示すように、ドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)3上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各単色のトナー像を順次にドラム型の中間転写体2上に1次転写して重ね合わせ、最後に4色が重ねられたフルカラー画像を一括して転写材上に2次転写する。
【0005】
この方式は、中間転写体2に転写材を巻き付ける必要がないため、封筒や厚紙に対応することができ汎用性が高いことや、転写材の厚みによってカラーレジストレーションが変化することがないため高画質が得られるというメリットがある。
【0006】
中間転写方式において転写材上に転写されないで中間転写体2表面に残った2次転写残トナーは、一般的にはファーブラシ等のクリーニング部材で回収され、次の画像形成に備えられる。しかしながら、ファーブラシ等で中間転写体表面を摺察するとトナー融着が発生したり、表面を傷つけたりするため画像が劣化したり、装置寿命が短縮されたりするという問題点が生じる。
【0007】
これらの問題を防止するために、中間転写体表面に接触配置されて、2次転写残トナーを帯電させる帯電手段(以下「ICLローラ」という)10によって転写残トナーのトリボを変化させ、次画像の1次転写と同時に2次転写残トナーを感光ドラム3に静電的に回収する技術が開発されている(以下「ICL方式」という)。
【0008】
具体的には、2次転写残トナーの帯電手段として帯電ローラを用い、転写残トナーのトリボを、現像部で帯電されるトナートリボの逆極性に帯電させて、感光ドラム3から中間転写体2へのトナー像の1次転写時に、同時に、中間転写体2から感光ドラム3に2次転写残トナーを転移させて回収を行うものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術によると、ICLローラ10や2次転写前帯電器にACバイアスを重畳した場合には、これによって中間転写体2に流れるAC電流が1次転写高圧電源に流入し、この高圧電源を変動させるという問題が生じていた。具体的には高圧電源のインピーダンスにAC電流が流れることによってAC電圧が発生し、1次転写電圧に重畳されることで中間転写体2のクリーニングに悪影響を及ぼしたり、極端な場合には1次転写部でトナーがジャンピングしてしまい画像飛び散りが発生したりしていた。
【0010】
そこで、本発明は、ACバイアスを重畳することに起因する中間転写体のクリーニング不良や1次転写不良を防止することのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、表面にトナー像が形成される像担持体と、前記トナー像が転写される中間転写体と、該中間転写体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、前記中間転写体上の転写残トナーを帯電させて前記像担持体に静電的に回収させるトナー帯電手段と、該トナー帯電手段にAC成分を含むバイアスを印加する電源と、前記中間転写体を接地するとともに該中間転写体と接地との間に配設した2000pF以上のコンデンサと、を備える、ことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る本発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記コンデンサが、50000pF以下である、ことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、まず本発明の基礎となる技術を説明し、その後本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
〈基礎となる技術1〉
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す縦断面図である。同図に示す画像形成装置は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という)3を使用し、また、中間転写体として2層構成のドラム型の転写ドラム2を使用している。
【0015】
図1の画像形成装置をさらに具体的に説明する。画像形成装置は、中間転写体2として、直径186mmの固体(なお、「固体」は、ベルト等のものとは異なり形状が一定であるという意味で使用)の転写ドラムを使用しており、最大通紙サイズA3、プロセススピード110mm/sec 、イメージ露光、反転現像方式のフルカラー電子写真方式の画像形成装置(レーザビームプリンタ)である。
【0016】
フルカラー画像を形成するためには、矢印R3方向に回転駆動される感光ドラム3上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のトナー像を順次に形成し、それぞれの色のトナー像を順次に中間転写体2表面に転写して4色分のトナー像を中間転写体2表面で重ね合わせる。この転写は、感光ドラム3と中間転写体2との間に形成された1次転写ニップ部N1を介して行われる。なお、この感光ドラム3から中間転写体2へのトナー像の転写を1次転写といい、中間転写体2が4回転することで中間転写体2表面に4色分のトナー像が重ねるようにして1次転写される。
【0017】
次に、中間転写体2上の4色分のトナー像を紙等の転写材P上に一括転写する。この転写は、中間転写体2と後述の転写ユニット1との間に形成された2次転写ニップ部N2を介して行われる転写であり、2次転写という。
【0018】
転写手段としての転写ユニット1は、2本のローラ11、12に転写ベルト13を張り渡したユニットを使用し、転写材Pの搬送方向についての上流側の転写ローラ11によって転写ベルト13を中間転写体2を当接させてトナーの2次転写を行い、同時に転写ベルト13に転写材Pを吸着させることによって中間転写体2からの分離を行う。もう一方のローラは駆動ローラ12であり、2次転写ニップ部N2における中間転写体2の周速と転写ベルト13の周速とが等しくなるようにユニットを駆動する。また、転写ユニット1は、駆動ローラ12側を中心として、転写ローラ11側が矢印R1方向に揺動自在に支持されており、中間転写体2に対して転写ベルト13を接離させることができるように構成されている。
【0019】
転写材P上に2次転写されたトナー像は、転写材Pの搬送方向についての2次転写ニップ部N2の下流側に配設された定着器としての熱定着ローラユニット(不図示)によって転写材P表面に定着される。トナー像定着後の転写材Pは、画像形成装置本体(不図示)に排出される。
【0020】
次に、各部材、各ユニット等について詳述する。
【0021】
感光ドラム3は、直径64mmの負帯電性のOPC(有機光半導体)ドラムであり、まずその表面を1次帯電器としての帯電ローラ4にて均一帯電する。帯電ローラ4に印加されるバイアスは、DC成分とAC成分とが重畳されたバイアスであり、DC成分は−600V、またAC成分は2000Vpp、1000Hz、正弦波である。これによって感光ドラム3表面は、周囲の環境にかかわらず、約−600Vに帯電される。
【0022】
次に、感光ドラム3表面をレーザ露光装置で露光する。本基礎となる技術では波長760nmの赤外レーザダイオード5とポリゴンスキャナ6とを組み合わせ、他にレンズ、ミラー(いずれも不図示)を有する露光装置を使用し、イメージ露光を行う。
【0023】
次に、レーザ露光によって形成された静電潜像を現像器によってトナー現像する。本基礎となる技術の画像形成装置では、Y、M、C、Bkの4色のトナーを用いたが、具体的には図1に示すような固定式の黒現像器7と回転式の色現像ユニット8を用いている。
【0024】
黒現像器7は、磁性一成分トナーを用いたジャンピング現像方式を採用している。固定マグネットロール71を内包する直径16mmの導電性非磁性の現像スリーブ72に粒径6μmのトナーを弾性ブレード73でコーティングし、現像スリーブ72に印加したDC成分−350V、AC成分1600Vpp、周波数2000Hzの矩形波によって、感光ドラム3との間でジャンピングさせて反転現像する。
【0025】
色現像ユニット8は、3個のイエロー、マゼンタ、シアンの各色の現像器81、82、83を回転ロータリ8aに組み込み、現像に供される色のトナーの現像器を、回転ロータリ8aを回転させることによって感光ドラム3に対向する現像位置に配置して現像を行う。各色の現像器81、82、83は非磁性一成分トナーを用いたジャンピング現像方式で現像を行う。トナーは、内部にワックスを含んだコア/シェル構造の粒径6μmの重合トナーであり、塗布ローラ(不図示)によって現像スリーブ(不図示)にコートされ、弾性ブレード(不図示)で層厚を規制されて現像位置に送られ、黒現像器7の場合と同じバイアス条件で現像される。
【0026】
1次転写は中間転写体2に電圧を印加することで行われ、感光ドラム3上の1次転写残トナーはウレタン製のクリーニングブレード91を有するクリーニングユニット9によって掻き取られる。なお、本基礎となる技術のプリンタでは中間転写体2上の2次転写残トナーを、帯電ローラであるICLローラ(トナー帯電手段)10で再帯電して感光ドラム3に転移させる(回収する)プロセスを採用しているため、感光ドラム3に回収された2次転写残トナーも同様にしてクリーニングブレード91によってかきとられる。
【0027】
ICLローラ10は弾性層からなる単層構成であり、EPDMゴムにカーボンを分散させて抵抗値を調整した直径20mmのソリッドローラである。
【0028】
単色プリントの場合は1次転写を行った後、トナー像はそのまま中間転写体2上を2次転写ニップ部N2にまで搬送され、2次転写を受ける。
【0029】
フルカラープリントの場合は、中間転写体2は4回転してYMCKのそれぞれのトナーを重ねて1次転写する。
【0030】
単色プリントの場合は1次転写バイアスは+100Vとする。フルカラープリントを行う場合、図2に示すように、中間転写体2上に既に1色目のトナーT1があるところにさらに2色目のトナーT2を重ねて1次転写しようとすると、前のトナー電位によって実質的に、転写コントラストが減少するため、これを補うために転写バイアスを高くする必要がある。一方、1次転写バイアスが高すぎると感光ドラム3と中間転写体2との間で放電が発生し、画像劣化や中間転写体2上のトナートリボが変化するため、あまり高すぎる値をとることはできない。また、本基礎となる技術の画像形成装置では1次転写と同時に中間転写体2のクリーニングも行っているため、多色画像形成(以下「多色プリント」という)時の4回転目は次画像の1回転目になっており、同じバイアス値になっていなければならない。
【0031】
これらの事情を鑑みて、多色プリント時の1次転写バイアスはY、M、C、Bkの各回転毎に順次100V、500V、500V、100Vと設定した。
【0032】
本基礎となる技術では、2次転写効率を向上させるために中間転写体2上のトナーに対して、図1中の中間転写体2の右方に配置した2次転写前コロナ帯電器15によってコロナ帯電を行う。同図中のコロナ帯電器15はコロトロンタイプのものであり、コロナワイヤ15aにDC成分として−100μAの電流を流し、コロナワイヤ15aの汚れ防止のために7kVpp、500Hzの正弦波を重畳する。シールド電位は接地とする。コロナ帯電によって中間転写体2上のトナーのトリボは黒トナーで−10μC/gから−20μC/g程度にまで負の電荷が上昇する。
【0033】
2次転写時は、転写材Pが給紙部(不図示)から供給され、離接可能な転写ベルト13は中間転写体2に当接する。2次転写バイアスは+20μAの定電流制御を行っており、転写ベルト13から転写材Pに電荷が供給されて中間転写体2上のトナー像は転写材Pに2次転写される。
【0034】
転写ユニット1は、転写ローラ11、駆動ローラ12、転写ベルト13によって構成され、転写ローラ、駆動ローラはともに直径14mmの芯金に体積抵抗値が105Ω・cmの導電ゴム層を形成して直径20mmとしたローラである。転写ローラ11は芯金が給電バネを介して高圧電源に接続されており、転写ベルト13に従動して回転する。駆動ローラ12は芯金端部にギアが取り付けられており、画像形成装置本体のギヤ列と噛み合うことによって駆動される。
【0035】
転写ベルト13はシームレスの2層構成ゴムベルトであり、基層13aはカーボンを分散させて体積抵抗値を107Ω・cmに調整された厚み300μmのウレタンゴムである。表層13bは、転写材Pを吸着する必要があり、また小サイズの転写材Pが通紙された場合に、非通紙部に転写電流が過大に流れ込むことを防止するために高抵抗である必要があり、さらにトナーで汚れにくいような材料を選択する必要がある。
【0036】
このような特性を満足するために本基礎となる技術では表層13bの材料としてフッ素系の樹脂塗料を用いた。具体的にはPVDF、又はPVDFやPTFEと他のオレフィン系の樹脂とを共重合させた樹脂を基層13a上に塗工したものを用いた。
【0037】
具体的には円心成型法で表層13bを60μmの厚みで成型し、架橋を行った後ウレタン導電基層13aを厚み300μmで成型して転写ベルト13とした。
【0038】
なお、本基礎となる技術で用いた転写ベルト13は内径65mmのシームレスベルトであり、5%伸張させてローラ11、12間に張り渡してある。
【0039】
次に、中間転写体2について説明する。初めに中間転写体2として基体(アルミドラム)21上に肉厚5mmの弾性層(導電ゴム層)22を形成して実抵抗値を5×106Ω・cmとして単層構成の中間転写体2を用いて画像評価を行った。
【0040】
なお、中間転写体2の抵抗値は、中間転写体2に金属ローラを当接させて30cm×幅5mmの接触ニップを形成し、110mm/sec の周速で回転させて1000Vの電圧を印加したときに流れる電流値から換算した値を実抵抗値として用いるものとする。
【0041】
評価画像として、マゼンタトナーとシアントナーを重ね合わせたブルー色のもみ画像を出力した。
【0042】
まず、マゼンタトナーは1次転写電圧+500Vで感光ドラム3から中間転写体2上に1次転写され、次にこのトナー像の上にシアントナーを同じ+500Vの電圧で1次転写する。この時点で画像形成装置の動作を停止させ、中間転写体2上に形成されたトナー像を観察したところ、2色目のシアントナーのひどい飛び散りが発生していることを確認した。一方、1色目のマゼンタトナーでは飛び散りは発生していない。
【0043】
これは図2に示すように、あらかじめ中間転写体2上に転写されたマゼンタトナーT1はトリボを持っているため、これによって発生する電位でシアントナーT2が飛び散ったものである。中間転写体2上のマゼンタトナーT1のトナー電位を測定したところ−100V程度の電位が観測された。1次転写ニップN1内では感光ドラム3と中間転写体2とは加圧されて接触しているため飛び散りは発生していないが、1次転写ニップ部N1から外れたところでは表面側のシアントナーT2はトナーT2相互の斥力によって、中間転写体上に飛び散る。
【0044】
この飛び散りを防止するためには、多層構成で高静電容量の中間転写体2を用いて、トナーと中間転写体2との間に働く静電気力を高めることが効果的である。表層のトナーには、下層のトナーとの間に働く斥力と中間転写体2との間の静電容量とトナー自身の電荷によって働くクーロン力(引力)が作用しており、中間転写体上2の静電容量を大きくすることで飛び散りを抑制することが可能である。
【0045】
静電容量を大きくするため本基礎となる技術では、中間転写体2を2層構成とし、弾性層抵抗を低く取り、表層を高抵抗の材料で薄層形成した。
【0046】
比較例として弾性層抵抗の実抵抗を二水準変化させ、表層を形成する材料の体積抵抗、膜厚を変化させて中間転写体2の試作を行い画像評価を行なった。
【0047】
結果を以下の表に示す。〇×評価は飛び散りに関するものである。
【0048】
【0049】
なお、中間転写体2の静電容量は中間転写体2と金属板を接触させて30cm×5mmのニップを形成し、静止状態でLCRメータで測定した値を用いた。LCRメータは1Vで、1000Hzの条件で測定を行っている。
【0050】
本基礎となる技術では、飛び散りの改善程度を評価するため〇、△、×の評価を指標を用いたが、実用上は△レベル程度の飛び散りでも問題にならない。
【0051】
以上の結果から、飛び散りを改善するためには中間転写体2の静電容量が200pF以上であることが望ましく、これは単位面積当たりの静電容量に換算すると13pF/cm2以上ということになる。
【0052】
また、この値を実現する手段としては中間転写体2の弾性層22の実抵抗が106Ω以下、弾性層22の外側を覆う表層を有するときは、その表層の材料の体積固有抵抗が1012Ω・cm以上、膜厚が30μm以下であることが望ましいということがわかった。
【0053】
以上述べたような中間転写体2を用いることによって、1次転写ニップ部N1で発生する2色目以降のトナーの飛び散りを防止することができるようになった。
【0054】
〈基礎となる技術2〉
本基礎となる技術2では、ICLローラ10から中間転写体2に直接流れ込むDC電流を制限することによって中間転写体2のクリーニング性を向上させることを目的とする。
【0055】
基礎となる技術1で述べたように、本発明では中間転写体2上の2次転写残トナーを、ICLローラ10でプラスに帯電し、そして次の色のトナー像の1次転写と同時に感光ドラム3に回収する方法をとっている。
【0056】
ICLローラ10で中間転写体2上の2次転写残トナーを帯電させるメカニズムは、放電によるものである。電圧を印加されたICLローラ10と中間転写体2との間の放電(微少)ギャップではパッシェンの法則に従って放電が励起される。一般的にこのような放電に基づく帯電手段としては感光ドラム3の帯電ローラが良く知られているが、この場合は帯電ローラから供給されるDC電流はすべて感光ドラム3の帯電電流になる。
【0057】
しかし、上述の方法では、中間転写体2、ICLローラ10ともに中抵抗部材であるため、ICLローラ10に供給されるDC電流がすべて帯電に寄与されるわけでなく、ほとんどはオーミックに直接流れる注入電流である。
【0058】
このためICL電流を定電流制御とすると、環境変動や製造ばらつきによって部材の抵抗値が変動した場合、直接注入電流とトナー帯電に寄与する電流との比が変わってしまい、ICLローラ10通過後のトナートリボが安定しないという問題点があった。
【0059】
このような問題点を解決するため本基礎となる技術2では、直接注入電流に寄与するICLローラ10と中間転写体2との接触ニップN3を制限し、望ましくは5〜500μmの放電ギャップを保って保持することによってトナーの帯電性を確保することを目的とする。
【0060】
ICLローラ10と中間転写体2を非接触にすると、図3に示すように実質的な放電ニップは増加する。これはパッシェンの法則により5μm以下の放電ギャップでは放電が発生しにくいことに基づくものであり、両者が接触していると接触ニップN3では放電が起きず接触ニップ両端の狭い領域でしかないトナー帯電が行われないためである。両者が接触する場合、図3の左図に示すように、ニップ幅が大きいと実質的な放電領域は狭く、また、図3の中央の図に示すように、ニップ幅が小さいと放電領域は大きくなる。そして、さらに、両者が非接触の場合には右図に示すように、実質的な放電領域は、前述のように拡大される。実用的なバイアスをICLローラ10に印加した場合、トナー帯電が可能な放電ギャップは500μm以下と考えられ、この範囲に放電ギャップを維持することが望ましい。
【0061】
本基礎となる技術では、図3の右図に示すように、ICLローラ10端部にスペーサとしてギャップコロ(突当コロ)16を設け、このギャップコロ16を中間転写体2表面に当接させることによって200μmの放電ギャップを保つ構成とした。
【0062】
このような構成のICLローラ10と、従来の接触タイプのICLローラを用いて実験を行った。ICLローラ10に印加するバイアスは、DC成分として定電流制御を行い、AC成分は2kHz、3kVppの矩形波を重畳した。以下は定電流制御値と、ICLローラ10通過前後のトナートリボの変化量(単位は、μC/g)を示したものである。
【0063】
【0064】
このように、放電ギャップを設けた方が同じ定電流値でもトナートリボの変化量は大きく、帯電が良好に行えることがわかった。
【0065】
この現象は、特にICLローラ10にACバイアスを重畳した場合に顕著になる。
【0066】
DCバイアスのみで放電は一方向にしか起こらず帯電量は小さいが、ACを重畳するとトナーに対しては中間転写体2とICLローラ10の双方から放電が起こるため、放電ギャップを大きくすることでより帯電性が向上する。
【0067】
なお、図3の左図と中央の図とを比較すると、非接触としないまでも、コロ等によって接触ニップを制限する(ニップ幅を小さくする)ことによって放電領域が広がることは明白であり、本基礎となる技術ではICLローラ10と中間転写体2間の距離を放電ギャップが確保できるような目的の値に保つことを主眼においている。
【0068】
以上述べたように、本基礎となる技術ではICLローラ10と中間転写体2との接触ニップを制限することによって注入電流を抑制し、更に実質的な放電ギャップを稼ぐことによって良好な転写残トナーの帯電が行えるようになった。
【0069】
〈基礎となる技術3〉
本基礎となる技術3では中間転写体2の厚みの大きな部分を占める表層22の実抵抗を106Ω・cm以下とすることで、ICLローラ10に印加するAC電圧を効果的にトナーに印加することを目的とする。
【0070】
中間転写体2には固体ドラム状の中間転写ドラムやベルト状の中間転写ベルト等の形状が考えられるが、感光ドラム3や転写材Pとのニップを形成するためにこれらには弾性が要求される。中間転写ドラムの場合は基礎となる技術1に示したように基体(アルミシリンダ)21上に厚み5mm程度の弾性層(導電ゴム層)22を設け、この上に15μm程度の表層(抵抗層)をコーティングする。
【0071】
また、中間転写ベルトではカラーレジストレーションを合わせるため、ベルトが伸びないような強度が必要とされ、さらにベルトの蛇行、座屈、寄りを防止するために、ある程度の厚みも必要となる。
【0072】
このようなドラム、ベルトでは、厚みのほとんどを基層や弾性層が占めることになり、抵抗値に対しては支配的な役割を果たすことになる。
【0073】
しかし、ICL方式を用いる場合には、ICLローラ10にAC電圧を印加することが中間転写体2のクリーニングに有効であることがわかっている。AC電圧はICLローラ10の芯金と中間転写体2の基準電位に対して印加されるが、実際にAC電界を形成したいのはICLローラ10と中間転写体2表面との間の放電ギャップである。
【0074】
そこで、本基礎となる技術では中間転写体2に分圧されるACバイアスを最小にするために、中間転写体2の弾性層22の抵抗、及びICLローラ10の抵抗を106Ω以下とすることを目的とする。
【0075】
これらの抵抗が異なる中間転写体2、ICLローラ10を用いて実験を行った例を以下に示す。
【0076】
中間転写体2として、基礎となる技術1で弾性層22の抵抗を106Ω、107Ωの2水準として試作したものを使用した。また、ICLローラ10として実抵抗106Ω、107Ωの弾性層の上に、それぞれ体積抵抗値1014Ω・cmのウレタン樹脂を70μmコーティングしたものを試作して実験を行った。
【0077】
ICLローラ10の弾性層の実抵抗は中間転写体2の抵抗値測定と同様に、金属ローラに総圧1kgでICLローラ10を当接させ、1kVの電圧を印加して100mm/sec の周速で回転させたときに流れる電流値から換算した値で定義する。
【0078】
ICLローラ10にはDC成分として+1000V、AC成分として2kHz、3kVppの矩形波を重畳してICLローラ10の芯金に印加した。この条件で文字画像をプリントし、プリント中に画像形成装置を停止させて転写残トナーのICLローラ10通過前後のトリボ変化を測定し、同時に転写残トナーのようすを観察した。
【0079】
ICLローラ弾性層抵抗 106Ω 107Ω
中間転写体弾性層抵抗
106Ω 30μC/g 18μC/g
107Ω 18μC/g 5μC/g
【0080】
ICLローラ10通過前後のトリボの変化量は上述のとおりであり、弾性層の抵抗を低くしてAC電界をかけたほうがICLローラ10の帯電能が高くなることが判る。
【0081】
また、ICLローラ10通過前後のトナーのようすを観察したときの概念図を図4(a)、(b)に示す。
【0082】
弾性層抵抗106Ωの中間転写体2、ICLローラ10を用いた場合は、図4(a)に示すようにICLローラ10通過前では2次転写されなかった転写残トナーは文字画像がそのまま読めるが、ICLローラ10通過後はAC電界でトナーが攪乱されて、中間転写体2上の転写残トナーは一様なかぶりとなって観察された。
【0083】
一方、図4(b)の弾性層抵抗が107Ωの場合にはICLローラ10通過後のトナー像はあまり飛び散らず、AC電界が放電ギャップに形成されていないことが判った。
【0084】
以上述べたように、本基礎となる技術では中間転写体2の弾性層22、及びトナー帯電手段としてのICLローラ10の弾性層の実抵抗を106Ω以下とすることによって、トナーを攪乱しながら帯電することにより、より効果的な転写同時クリーニングが可能になった。
【0085】
〈実施の形態1〉
本実施の形態では、中間転写体2の回りにACバイアスを重畳されるような部材を有し、かつICL方式を用いた電子写真装置において、中間転写体2と接地の間にコンデンサを設けることを特徴とする。
【0086】
基礎となる技術1で用いた中間転写方式の画像形成装置では、中間転写体2上でプロセス処理を行うステーションとして感光ドラム3、2次転写前コロナ帯電器15、転写ベルト(2次転写部材)13、ICLローラ10等がある。
【0087】
このような部材から中間転写体2に流れ込む電流はすべて、中間転写体2に電圧を与えている電源に流れ込む。中間転写体2バイアスは、1次転写を行うために印加されている電圧であり、電圧が変化すると1次転写効率が低下することがある。しかし、一般的な高圧電源であれば数十μA程度の2次転写電流、ICL電流が流れ込むことによってバイアスが変動することは少ない。
【0088】
しかしながら、これらの部材にAC電流を流し、さらに転写同時にクリーニングを行うICL方式を採用している場合には状況が異なってくる。
【0089】
上述の基礎となる技術3で述べたように中間転写体2、ICLローラ10の弾性層抵抗を低くしたり、2色目飛び散りを改善したりするために、中間転写体2の静電容量を大きくすると、ICLローラ10に流れるAC電流は非常に大きな値になる。基礎となる技術2で述べたように中間転写体2とICLローラ10間に放電ギャップを設けることはICLローラ10から中間転写体2に流れ込むDC成分の直接注入電流を抑制することには有効であるが、静電容量を介して流れるAC電流に対してはそれほど有効ではない。
【0090】
例として基礎となる技術1で用いた画像形成装置においてICLローラ10から中間転写体2に流れ込むAC電流は1500μAにも達する。この他にも2次転写前帯電のコロナ帯電器15にワイヤ汚れ防止のためのAC電圧を印加した場合には、これによるAC電流も中間転写体2に流れ込む。
【0091】
これらの電流は中間転写体2に印加される1次転写バイアスの高圧電源を経由してアースに逃げる。高圧電源内部にはトランスや抵抗体があるためAC電流はこれらのインピーダンス成分を通過する際にAC電圧を発生し、このため中間転写体2に印加される電圧にAC電圧が重畳されることになる。
【0092】
一般的な高圧DC電源には出力端の間に1000pF程度のコンデンサが設けられており(高圧電源と並列に挿入される)、ある程度のAC電流は逃すことができるが、このような一般的な電源を用いた場合、本実施の形態の構成では1次転写バイアスに重畳されるAC電圧の振幅は500Vにも達する。この状態でプリントを行ったところ中間転写体2のクリーニング不良が発生した。これは、中間転写体2をクリーニング可能な1次転写バイアスの範囲を、重畳されたACバイアスのピークが超えてしまったことが原因である。
【0093】
このような状況を防止するために、本実施の形態では中間転写体2とアースとの間に少なくとも2000pF以上50000pF以下の値のコンデンサ20を設けることを特徴とする。
【0094】
1次高圧電源に初めから設けられていた1000pFのコンデンサでは、バイアスに重畳されるAC電圧の振幅は500Vであったが、これを2000pFにすることで200V、また5000pFにすることでほぼ無視できる振幅に減少させることができた。一方、50000pFのコンデンサを用いたところ、1次転写バイアスの立ち上がりが1sec 程度遅くなってしまい、これ以上の値を用いると画像先端の転写不良が発生してしまい好ましくなかった。
【0095】
本実施の形態の主旨は、ICLローラ10やコロナ帯電器から流れ込むAC電流で中間転写体2の電圧が変動することを防止することであるので、コンデンサ20を挿入する位置としては高圧電源の中に設ける手法の他に、中間転写体2の基体(ドラムシリンダ)21や弾性層22に直接端子を接触させてこれをコンデンサを介して接地する方法等を用いることも可能である。
【0096】
以上述べたように、本実施の形態では中間転写体2の周囲にACバイアスを印加されたICLローラ10、コロナ帯電器15を有する装置において、中間転写体2をコンデンサ20を介して接地することで1次転写不良、中間転写体2のクリーニング不良を防止することができるようになった。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、高圧電源と並列に2000pF以上のコンデンサを挿入することにより、中間転写体の周囲に配置したプロセス部材に流れるAC電流が1次転写高圧電源に流れ込んで1次転写バイアスが変動し、中間転写体のクリーニング不良が発生したり、画像劣化が発生したりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】中間転写体上の1色目のトナーに2色目のトナーを重ねたときに2色目のトナーが飛び散るようすを示す概念図。
【図3】ICLローラ10と中間転写体2との間での放電領域を表す概念図。
【図4】(a)、(b)は、ICLローラ前後の2次転写残トナーの像を表す概念図。
【符号の説明】
1 転写ユニット
2 中間転写体(転写ドラム)
3 像担持体(感光ドラム)
4 帯電ローラ
7 黒現像器
8 色現像ユニット
9 クリーニングユニット
10 トナー帯電手段(ICLローラ)
13 転写ベルト
15 2次転写前コロナ帯電器
16 スペーサ(突当コロ)
20 コンデンサ
21 基体
22 弾性層
Claims (2)
- 表面にトナー像が形成される像担持体と、前記トナー像が転写される中間転写体と、該中間転写体上のトナー像を転写材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
前記中間転写体上の転写残トナーを帯電させて前記像担持体に静電的に回収させるトナー帯電手段と、
該トナー帯電手段にAC成分を含むバイアスを印加する電源と、
前記中間転写体を接地するとともに該中間転写体と接地との間に配設した2000pF以上のコンデンサと、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記コンデンサが、50000pF以下である、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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