JP2006047541A - 画像形成装置 - Google Patents

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明寛 井田
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孝幸 山下
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Abstract

【課題】 複数色の画像を形成する画像形成装置において、1色目からの一次転写性能の向上を図り、プロセススピードを速くしても十分な転写性能を確保できる。
【解決手段】 トナー像が形成担持される像担持体1と、この像担持体1に対向配置され且つ像担持体1上のトナー像を一時的に保持する中間転写体2と、この中間転写体2上に像担持体1上のトナー像を転写させる一次転写手段3と、中間転写体2上の転写トナー像を記録材4上に二次転写させる二次転写手段5とを備えた画像形成装置において、一次転写手段3による1色目のトナー像の転写開始前にて、1色目の転写率が2色目以降の目標転写率と同等以上の転写率が得られるよう中間転写体2へトナーと逆極性の帯電電荷を予め付与する電荷付与手段6を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に係り、特に、中間転写体を用いたカラー画像形成装置の改良に関する。
従来この種の画像形成装置として、例えば電子写真方式を採用した中間転写型画像形成装置を例に挙げると、感光体ドラム等の像担持体上に各色成分(例えばY(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック))トナー像を形成し、これを一時的に中間転写体上の同一箇所にて多重転写(一次転写)した後、この多重トナー像を記録材に一括転写(二次転写)するようにしたものがある。
ここで、この種の中間転写体としては、装置内でのレイアウトの自由度の高さや、占有面積の小ささから、ベルト状のものが多用されている。
このようなベルト状中間転写体(以下中間転写ベルトと称す)上に像担持体上のトナー像を一次転写する場合、例えば負帯電トナーを使用した場合を例に挙げると、常に1色目の一次転写工程では、転写前の中間転写ベルトのベルト電位が低いため、十分な転写性能(転写率、転写ラチチュード等)が得られない問題がある。これは、特に二次転写工程での二次転写バイアスにより、中間転写ベルトのベルト電位がマイナス側まで低下することにもよる。そのため、1色目の転写性能を確保するために、一次転写時に印加する転写バイアスとして高い電圧を加えたり、大きな転写電流を流すようにする必要がある。
しかしながら、このように転写バイアスを印加する際、印加電圧を高くしすぎると転写部材と中間転写ベルトとの間で放電が発生し、却って転写性能が低下する、すなわち、転写率が低下したり、転写ラチチュード(適正な転写条件の範囲)が狭くなる等の問題が起こる。また、像担持体上のトナーの飛び散り(ブラー)を生じる。そして、この転写性能の問題は中間転写ベルトのベルト速度(プロセススピード)が速くなるほど一層顕著になる。尚、2色目以降の一次転写工程では、それ以前に一次転写工程を経ているため、中間転写ベルトには既転写時の帯電電荷の蓄積があり、転写前にベルト電位が高くなっているため、印加電圧を高くしすぎる必要もなく、十分な転写性能を確保することができる。
このような1色目の一次転写での問題を解決するために、中間転写ベルトを張架する張架ロールをフロート化したり、張架ロールに電圧を印加して中間転写ベルトの電位を保持する方式等が提示されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開平3−186876号公報(実施例の説明、第2図) 特開平3−192279号公報(実施例、第1図) 特開2000−298408号公報(発明の実施の形態、図1)
しかしながら、上述の特許文献記載の方式では、確かに中間転写ベルトの帯電電荷の減衰を抑えることはできるが、例えば、張架ロールに電圧を印加して中間転写ベルトの電位を上げようとしても、中間転写ベルト裏面へ接触する張架ロールのみでは、中間転写ベルトに十分な電流を通電することができず、1色目の一次転写前に中間転写ベルトへの帯電電荷を増加させる十分な効果は得られない。また、二次転写以前に処理を行っても、二次転写による転写電界により中間転写ベルトの帯電電荷は大きく影響されるため、二次転写以降での中間転写ベルトへ効果的な帯電付与は行うことができない。そのため、1色目の一次転写時には十分な転写性能を確保できない。
本発明は、上述したような技術的課題を解決するためのものであり、複数色の画像を形成する画像形成装置において、1色目からの一次転写性能の向上を図り、プロセススピードを速くしても十分な転写性能を確保できる画像形成装置を提供しようとするものである。
すなわち、本発明は、図1に示すように、トナー像が形成担持される像担持体1と、この像担持体1に対向配置され且つ像担持体1上のトナー像を一時的に保持する中間転写体2と、この中間転写体2上に像担持体1上のトナー像を転写させる一次転写手段3と、中間転写体2上の転写トナー像を記録材4上に二次転写させる二次転写手段5とを備えた画像形成装置において、一次転写手段3による1色目のトナー像の転写開始前にて、1色目の転写率が2色目以降の目標転写率と同等以上の転写率が得られるよう中間転写体2へトナーと逆極性の帯電電荷を予め付与する電荷付与手段6を備えることを特徴とするものである。
このような技術的手段において、本発明は、複数サイクル方式(4サイクル等)、タンデム方式等を含み、また、像担持体1はドラム状、ベルト状いずれであってもよい。
また、中間転写体2は、ベルト状、ドラム状いずれであっても差し支えないが、レイアウトの自由度等の観点からベルト状が好ましい。更にベルト状にあっては、剛性ベルト、弾性ベルトいずれであっても差し支えないが、1色目の一次転写前に中間転写体2の帯電電荷を確保する観点から体積抵抗率の高い剛性ベルトの方が好ましい。
そして、この中間転写体2がベルト状の態様にあっては、ベルト状中間転写体2の体積抵抗率を1010Ω・m以上とすることで、中間転写体2の帯電電荷を十分に維持することが可能になる。
本発明における一次転写手段3は、像担持体1上のトナー像を中間転写体2に転写する帯電可能な態様であれば特に制限されず、例えば中間転写体2と接触して働く態様のロール部材等であってもよいし、コロトロン等の中間転写体2と離間して働く態様であっても差し支えない。また、二次転写手段5も一次転写手段3同様、ロール部材、コロトロン等いずれであっても差し支えない。
そして、本発明における電荷付与手段6は、中間転写体2に電荷を付与できるものであれば、接触、非接触を問わず、例えばロール部材、コロトロン等の態様が挙げられる。この電荷付与手段6により、1色目の一次転写が行われる前に、2色目以降の目標転写率と同等以上の転写率が得られるように、中間転写体2に予めトナーと逆極性の帯電電荷を付与することで、1色目の一次転写時に十分効果的な転写電界を付与することができ、転写性能(転写率、転写ラチチュード)を向上させることができる。ここで、「2色目以降の目標転写率と同等以上の転写率」とは、2色目以降の目標転写率以上であればよいが、転写率測定時の測定バラツキ程度は誤差として含むことを意味する。
また、2色目以降の目標転写率を90%以上とすることが好ましく、このことにより、忠実な色再現性や画質の安定性を一層得ることができる。
更に、電荷付与手段6は、一次転写手段3の1色目転写領域に至る前の転写前領域にて、中間転写体2と像担持体1との間に作用する電界が、像担持体1上のトナーが中間転写体2上へ不要転移しない許容範囲内に収まるようにすることが、画質劣化に繋がるトナーの飛び散り(ブラー)を抑える観点から好ましい。尚、電荷付与手段6による中間転写体2への電荷付与が大きすぎると、1色目の転写前領域にて像担持体1上のトナーが中間転写体2への不要なトナーの転移(転写前ブラー)を生じるようになる。尚、転写前ブラーは、目視又は画像評価装置等で評価して判断する。
更にまた、本発明においては、電荷付与手段6と1色目の一次転写手段3との間には、中間転写体2へ接触する他の接触部材を備えないようにすることが好ましく、このことにより、電荷付与手段6で帯電付与されたままの状態で1色目の一次転写が行われることとなり、一層安定した一次転写が実施できる。尚、接触部材があれば電荷付与手段6によって中間転写体2へ付与された電荷の減衰が生じ、一次転写条件が安定しないようになる。
また、中間転写体2がベルト部材の態様にあっては、電荷付与手段6は、ベルト部材の裏面側にベルト部材を張架若しくはベルト部材に接触する導電性部材と、この導電性部材とベルト部材を介して対向配置される電荷付与部材にて構成されることが好ましく、この場合、導電性部材と電荷付与部材とでベルト部材を挟み込むことができ、一層有効な電荷付与が可能になる。
更に、上述の導電性部材及び電荷付与部材は、共にロール部材で構成されることが好ましく、このとき、ロール部材によってニップ域が確実に形成され、電荷付与も有効に作用する。そして、ロール部材は、例えば複数サイクル方式の画像形成装置においては適宜リトラクトする構成が望ましい。尚、タンデム方式ではリトラクトしない態様であっても差し支えない。
また、本発明においては、電荷付与手段6としてコロナ帯電器(コロトロン、スコロトロン等)を使用することも可能で、例えばコロナ帯電器を中間転写体2の表面側に配置することで、電荷付与手段6のリトラクト動作を不要にすることもできる。
ここで、本発明における負帯電トナーを使用したときの電荷付与作用について、説明する。
図2(a)に示すように、中間転写体2上に多重転写されたトナーT’は、中間転写体2のプラスの帯電電荷によって保持され二次転写が行われる。このとき、二次転写バイアスとして電源8aが二次転写手段5に接続されているため、多重転写されたトナーT’は中間転写体2上の記録材(図示せず)に二次転写される。そして、この二次転写により、中間転写体2のプラスの帯電電荷は減少し、マイナス帯電まで至るようになる。
次に、図2(b)に示すように、このマイナス帯電された中間転写体2に電源8bを接続し、本願の電荷付与手段6による電荷付与バイアスを印加することで、中間転写体2にプラス電荷を注入することができ、中間転写体2はプラスの帯電電荷を有するようになる。
そして、図2(c)に示すように、プラスの帯電電荷が付与された中間転写体2上に像担持体1上の負帯電トナーT(トナー画像)を一次転写する際、電源8cによる一次転写バイアスが有効に作用し、十分な転写性能を確保することができるようになる。
また、このとき、電荷付与手段6によって中間転写体2へ供給される電荷付与バイアスは、一次転写手段3によって中間転写体2に印加される一次転写バイアスを用いるようにすれば、すなわち、図2(b)の電源8bを例えば抵抗分割を行い、(c)の電源8cとするようにすれば、電荷付与手段6として新たな電源を備えることもなく、コストアップを抑えることが可能になる。
本発明によれば、1色目の一次転写開始前に、2色目以降の目標転写率と同等以上の転写率が得られるように、中間転写体へトナーと逆極性の帯電電荷を予め付与する電荷付与手段を備えたので、1色目の一次転写工程から転写性能を向上させることができる。また、このことで、プロセススピードを速くしても広がった転写ラチチュードにより十分な一次転写率を確保することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図3は、本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、本実施の形態における画像形成装置は、トナー像を担持する感光体ドラム10と、この感光体ドラム10からトナー像を転写させるために前記感光体ドラム10に対向配置される中間転写ベルト20とを備え、4色のカラー画像を得るために中間転写ベルト20上に4回の多重転写を行う所謂4サイクル方式の中間転写型画像形成装置である。
本実施の形態において、感光体ドラム10は光の照射によって抵抗値が低下する感光層を備えたものであり、この感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電する帯電装置11と、帯電された感光体ドラム10上に各色成分(本例ではブラック(K)、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C))の静電潜像を書き込む露光装置12と、感光体ドラム10上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化するロータリ型現像装置13と、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するクリーニング装置14とが配設されている。
ここで、帯電装置11としては、例えば帯電ロールが用いられるが、コロトロン等の帯電器を用いてもよい。
また、露光装置12は感光体ドラム10上に光によって像を書き込めるものであればよく、本例では、例えばLEDを用いたプリントヘッドが用いられるが、これに限られるものではなく、レーザ光をポリゴンミラーでスキャンするスキャナ等適宜選定して差し支えない。
更に、ロータリ型現像装置13は各色成分トナーが収容された現像器13a〜13dを回転可能に搭載したものであり、例えば感光体ドラム10上で露光によって電位が低下した部分に各色成分トナーを付着させるものであれば適宜選定して差し支えなく、使用するトナーも形状、粒径等に特に制限はなく、感光体ドラム10上の静電潜像上に正確に載るものであればよい。尚、本例では、ロータリ型現像装置13が用いられているが、4台の現像器を感光体ドラム10に並設して用いるようにしてもよい。
更にまた、クリーニング装置14については、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式を採用したもの等適宜選定して差し支えない。但し、転写率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング装置14を使用しない態様もあり得る。
また、中間転写ベルト20は、6個の張架ロール21〜26に架け渡され、例えば張架ロール21を駆動ロールとして循環移動するようになっている。
ここで、中間転写ベルト20は、ポリイミド樹脂やポリカーボネート樹脂等の樹脂材を使用した剛性状ベルトや合成ゴム材を使用した弾性状ベルトを適宜選定して差し支えないが、色重ねのためのトナー像を中間転写ベルト20上に安定して保持する観点から、比較的高抵抗が得られる剛性状ベルトを使用することが好ましい。
そのため、本実施の形態における中間転写ベルト20としては、体積抵抗率を1010Ω・mとする厚さ90μmのポリイミドのベルト基材を使用している。
更に、本実施の形態において、中間転写ベルト20の感光体ドラム10に対向する部位には、中間転写ベルト20の裏側から一次転写装置としての一次転写ロール27が配設され、図示外の一次転写バイアスによって感光体ドラム10上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写されるようになっている。
更にまた、張架ロール21と対向する位置には、ブレード状のベルトクリーナ28が中間転写ベルト20に対し接離自在に配設され、クリーニング時に中間転写ベルト20上の残留トナーを清掃するようになっている。
また、記録材等のシートSは、二次転写ロール29と張架ロール26をバックアップロールとした二次転写装置に導かれた後、図示外の定着装置を経て図示外の排出トレイへ排出されるようになっている。
そして、特に本実施の形態においては、張架ロール21と一次転写ロール27との間には、中間転写ベルト20に帯電電荷を付与する電荷付与手段としてのロール対構成の電荷付与装置30が配設されている。
本実施の形態における電荷付与装置30は、中間転写ベルト20の表面側に配置された第1ロール31と、この第1ロール31と中間転写ベルト20を挟んで対向配置される第2ロール32とで構成され、共に中間転写ベルト20からリトラクトする機構を備えている。このリトラクト機構は、第1ロール31及び第2ロール32とが、一次転写ロール27によって1色目が転写される前に中間転写ベルト20に接触し、2色目以降の転写が行われる際には中間転写ベルト20からリトラクトするようになっている。尚、本実施の形態では、第1ロール31に電荷付与バイアスが印加され、第2ロール32は接地されている。
また、図4に示すように、本実施の形態における電荷付与装置30の電荷付与バイアスとしては、一次転写ロール27に印加される一次転写バイアスが利用されている。一次転写バイアスとしては、電源36が用いられており、この電源36は二つの直列接続された抵抗器37,38によって分圧(抵抗分割)されている。そして、電荷付与装置30の第1ロール31は、これらの抵抗器37,38の接続箇所(ノード)39に接続され、第2ロール32は接地されている。そのため、第1ロール31には、一次転写バイアスの分圧された電界(本実施の形態では+400V)が印加されるようになっている。このとき、電荷付与バイアスとしては、適正な一次転写条件にて、転写率が90%以上となるように選択されている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について、図3を中心に説明する。
本実施の形態において、感光体ドラム10上に各色成分トナー像が順次形成され、一次転写ロール27による一次転写を介して中間転写ベルト20上に各色トナー像が多重転写された後、この多重トナー像は二次転写装置(具体的には二次転写ロール29とバックアップロールとしての張架ロール26にて構成)にてシートS上に一括転写される。
ここで、本実施の形態における1色目の一次転写工程について詳述する。
図5(a)(b)は、負帯電トナーを使用したときの感光体ドラム10上のトナーT0が中間転写ベルト20上に転写される様子を示しているが、(a)は従来の方法によるものであり、(b)が本実施の形態による方法となっている。
図5(a)に示す従来の方法では、二次転写を終えた中間転写ベルト20は、マイナスに帯電しており、1色目の一次転写時の転写バイアスにより、中間転写ベルト20上にトナーT0の一部が転写される。このとき、転写バイアスは中間転写ベルト20の帯電によりトナーT0にかかる実効値が小さくなり、中間転写ベルト20上へ転写されるトナーT1は少なくなる(薄くなる)。尚、1色目の転写により、中間転写ベルト20はプラスに帯電するため、その後の2色目以降の一次転写では転写性能が確保された転写が可能になる。
一方、本実施の形態では、1色目の転写を行う前に、電荷付与装置30によって中間転写ベルト20に帯電電荷を付与し、図5(b)に示すように、中間転写ベルト20を事前にプラス帯電できるため、1色目の一次転写に際しても十分な転写性能が確保され、中間転写ベルト20上に転写されるトナーT1は厚くなる。したがって、1色目から十分なトナー層厚が実現できる。
このように、本実施の形態では、4色共に十分な転写性能で画像形成することができ、忠実な色再現性を確保することができる。
また、本実施の形態では、電荷付与装置30による電荷付与バイアスを+400Vとしているため、1色目の一次転写時に転写前ブラーの発生はないが、電荷付与バイアスが大きすぎる場合は、転写前ブラーの発生が問題となる。
図6は転写前ブラーを説明するもので、中間転写ベルト20が一次転写前に過度に帯電されている状態では、感光体ドラム10と一次転写ロール27とのニップ域Nの上流側で、感光体ドラム10上のトナーT0の一部が中間転写ベルト20上にて不要な転移トナーT0’となる。このことは、中間転写ベルト20が過度に帯電していると、一次転写バイアスによりニップ域Nにかかる前にトナーT0の転移電界(トナーT0が感光体ドラム10から中間転写ベルト20側へ転移する電界)を超え、中間転写ベルト20側へトナーの飛び散り(ブラー)を発生することを示している。そのため、電荷付与バイアスとしては、大きすぎても問題があることが理解される。尚、この転写前ブラーは、形成された画像の目視評価で問題ないレベルであれば支障はない。
したがって、本実施の形態によれば、1色目の一次転写前に電荷付与装置30による電荷付与バイアスを印加することができ、転写性能に優れ、転写前ブラーもない画質の安定した画像形成が可能になる。尚、電荷付与バイアスは、転写条件(一次転写バイアス、プロセススピード等)に左右されることは明らかである。
また、本実施の形態では、図4に示したように、一次転写バイアスと電荷付与バイアスとを同一の電源で対応することが可能で、電荷付与バイアスのために特に新規の電源を用意する必要もないため、余分なコスト上昇が抑えられる。
更に、本実施の形態では、電荷付与装置30として、第1ロール31と第2ロール32とが中間転写ベルト20に単に接触する態様を示したが、例えば第2ロール32が中間転写ベルト20を張架するようにしても差し支えない。このとき、第2ロール32の接地は、電荷付与時以外にはフロート等によって電気的に浮かすようにすることで、第2ロール32からの不要なリークを防ぐことが可能になる。尚、この場合、第1ロール31のみがリトラクト機構を備えるようにすればよい。
また、本実施の形態では、クリーニング手段としてブレード状のベルトクリーナ28(図3参照)を用いたが、例えばクリーニング手段としてクリーニングバイアスを印加したクリーニングブラシ等を使用し、中間転写ベルト20上の残留トナーに帯電付与を行って感光体ドラム10にて残留トナーを回収するようにした方式では、このようなクリーニングバイアスが本発明の電荷付与バイアスに相当する範囲であれば、このようなクリーニング手段を併用することも可能である。更に、このクリーニング手段を、クリーニング時と電荷付与時とでバイアスを切り替えるようにして用いるようにしても差し支えない。
◎実施の形態2
図7は、本発明が適用された画像形成装置の実施の形態2を示す。本実施の形態における画像形成装置はタンデム型カラー画像形成装置であり、4色(本実施の形態ではY(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック))の各色成分トナー像を形成する4つの画像形成ユニット40(具体的には40a〜40d)を並列に配設し、この画像形成ユニット40にて形成した各色成分トナー像を中間転写ベルト50上に順次一次転写ロール51(具体的には51a〜51d)にて一次転写させ、二次転写部位(具体的には後述する二次転写装置57)にて記録材としてのシートS上に中間転写ベルト50上の各色成分トナー像を二次転写させ、このシートSを図示外の定着器に導くようにしたものである。
各画像形成ユニット40は、感光体ドラム41(具体的には41a〜41d)を有しており、この感光体ドラム41の周囲には、感光体ドラム41を帯電する帯電ロール(図示せず)、感光体ドラム41上に静電潜像を書き込むレーザ露光器(図示せず)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム41上の静電潜像を可視像化する現像器(図示せず)、感光体ドラム41上の各色成分トナー像を中間転写ベルト50上に転写せしめる一次転写ロール51及び感光体ドラム41上の残留トナーを除去するクリーナ(図示せず)等が配設されている。
また、中間転写ベルト50は、体積抵抗率を1010Ω・mとするポリイミドのベルト基材で構成され、4個の張架ロール52〜55にて回動自在に張架されており、例えば張架ロール52を駆動ロールとして循環搬送するようになっている。
本実施の形態では、二次転写装置57は、中間転写ベルト50表面側の二次転写ロール56と、この二次転写ロール56と対向配置されるバックアップロール(本例では張架ロール55が兼用)とで構成されている。尚、符号58は、中間転写ベルト50上の残留トナーを清掃するベルトクリーナである。
そして、特に、本実施の形態では、最上流の画像形成ユニット40aとその上流側に位置する張架ロール52との間に、中間転写ベルト50への帯電電荷を付与する電荷付与装置60が配設されている。
本実施の形態における電荷付与装置60は、中間転写ベルト50表面側に接触配置され電荷付与バイアスを印加する図示外の電源に接続された第1ロール61と、この第1ロール61と中間転写ベルト50を介して対向配置され接地された第2ロール62とで構成されている。
また、本実施の形態では、負帯電トナーを使用していることから、中間転写ベルト50がこの電荷付与バイアスによりプラス帯電するようになっている。尚、本実施の形態における第1ロール61及び第2ロール62は、実施の形態1と異なり、中間転写ベルト50からリトラクトせず、常時接触した状態を保つようになっている。
そのため、本実施の形態においても、1色目の一次転写を行う前に中間転写ベルト50の帯電電荷を付与することができ、1色目からの転写性能が向上する。
したがって、4色共に十分な転写性能で画像形成することができ、忠実な色再現性を確保することができる。
◎比較例
本比較例は、電荷付与装置を備えていない、所謂従来の画像形成装置における1色目の一次転写工程における転写率と転写電流値との関係を評価確認したものである。ここでは、更に、中間転写ベルトのプロセススピード(ベルト速度)を変えたときについても評価した。
図8はその結果を示すもので、図中、実線はプロセススピード220mm/s、破線はプロセススピード340mm/sである。
このとき、転写率90%以上を確保できる転写電流値としては、220mm/sのときにはおよそ20〜38μA(転写ラチチュードが18μA)、340mm/sではおよそ35〜41μA(転写ラチチュードが6μA)であった。
このことは、従来の方式では、プロセススピードが速くなると、転写率90%を超える転写領域、すなわち、転写ラチチュードが大幅に狭くなり、更に、その領域も転写電流値が高くなる方向にシフトすることが判明した。
したがって、従来方式では、適正な転写条件がプロセススピードに大きく左右され、プロセススピードを速めると適正な転写領域幅(転写ラチチュード)が大幅に狭くなるものであった。
◎実施例1
本実施例は、本願に係る電荷付与装置を使用したときに、前述の比較例と同様に1色目の一次転写工程における転写率と転写電流値との関係を評価確認したものである。尚、本実施例では、転写電流値を通電したときの転写バイアスを分圧して、電荷付与手段の電荷付与バイアスとして使用したもので、具体的には400Vを印加した。
結果は、図9に示し、図8同様、実線はプロセススピード220mm/s、破線はプロセススピード340mm/sである。
この結果から、プロセススピード220mm/sのときは、比較例とほぼ同じ変化を示し、電荷付与装置の有無に対する有意差は特に顕著に現れないが、プロセススピード340mm/sのときには比較例と明確な有意差が現れた。すなわち、本実施例では、プロセススピード220mm/sのときの転写率90%以上を確保できる転写電流値はおよそ19〜39μA(転写ラチチュードが20μA)、プロセススピード340mm/sのときはおよそ21〜39μA(転写ラチチュードが18μA)となった。
したがって、本実施例では、プロセススピードを上げても転写ラチチュードは殆ど変化せず、転写電流値を変化させなくても十分な転写率が確保できることが確認された。このことは、本件発明による電荷付与手段による中間転写ベルトへの事前の帯電電荷付与効果が有効であることを示している。
以上の比較例及び実施例でのプロセススピード(ベルト速度)と転写ラチチュードとの関係をまとめると、図10の結果が得られた。但し、図10においては、プロセススピード280mm/sのデータも付加した。
この結果から、比較例ではプロセススピードを上げるに伴い、転写ラチチュードが漸減しているのに対し、実施例ではほぼ一定となっていることが確認され、本件の有効性が認識された。
尚、本実施例において、2色目以降の転写率も90%を超え、本実施例での忠実な色再現が可能であることが確認された。
◎実施例2
本実施例では、電荷付与バイアスを変えたときの1色目の転写率を評価した。このときのプロセススピードとしては、340mm/sで行い、電荷付与バイアスとして、300,400,500Vのときを評価した。
結果は、図11に示すように、転写率90%以上を確保できる転写電流値としては、300Vのときは90%まで至らず、400Vではおよそ21〜39μA(転写ラチチュードが18μA)、500Vではおよそ16〜38μA(転写ラチチュードが22μA)となり、500Vを印加する方が転写ラチチュードが広くなった。しかしながら、この500V印加では、転写電流値が0μAのときにも転写率が40%を超えるようになり、このことは、転写前ブラーが発生していることを示している。
以上の内容を踏まえ、本発明者らは更に詳細に電荷付与バイアスについて評価し、図12のような結果を得た。尚、プロセススピードは340mm/sとした。
同図において、電荷付与バイアスとして350〜450Vの範囲であれば、転写率、転写ラチチュード、転写前ブラー共になく、実用的に支障のない1色目の一次転写が可能であることを確認した。
また、本実施例のように、プロセススピードで転写条件が異なる主因を確認するために、中間転写ベルトの一次転写バイアスとして1kV,2kVの2種類を印加したときのベルト電位の変化を、オフラインで確認した。尚、ベルト電位の測定場所の問題から、正確な絶対値ではないが、ベルト電位の変化傾向が確認された。
結果は、図13に示すように、電源オンから矩形的にベルト電位が上昇するのではなく、中間転写ベルトが半導電性並びに絶縁性を兼ね備えているため、誘電的な性質を備えており、バイアス印加に際しても過渡応答的な挙動を示すものと判断される。
尚、例えば1kVの印加に対し、400V程度で飽和していることは、測定箇所の問題であり、実質的には1kVで飽和するものと判断してよい。
このように、中間転写ベルトの誘電的性質により、プロセススピードによって印加バイアス条件が大きく左右されることが理解される。
本発明に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。 本発明による負帯電トナーを使用したときの電荷付与作用を示す説明図であり、(a)は二次転写時、(b)は電荷付与時、(c)は一次転写時を示す。 本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。 実施の形態1の電源を示す説明図である。 一次転写時の作用を示す説明図であり、(a)は従来方式、(b)は本発明に係る方式を示す。 転写前ブラーを示す説明図である。 本発明が適用された画像形成装置の実施の形態2を示す説明図である。 比較例の結果を示す説明図である。 実施例1の結果を示す説明図である。 実施例1の転写ラチチュードの結果を示す説明図である。 実施例2の結果を示す説明図である。 実施例2の結果を示す表である。 ベルト電位の上昇カーブを示す説明図である。
符号の説明
1…像担持体,2…中間転写体,3…一次転写手段,4…記録材,5…二次転写手段,6…電荷付与手段

Claims (9)

  1. トナー像が形成担持される像担持体と、この像担持体に対向配置され且つ像担持体上のトナー像を一時的に保持する中間転写体と、この中間転写体上に像担持体上のトナー像を転写させる一次転写手段と、中間転写体上の転写トナー像を記録材上に二次転写させる二次転写手段とを備えた画像形成装置において、
    一次転写手段による1色目のトナー像の転写開始前にて、1色目の転写率が2色目以降の目標転写率と同等以上の転写率が得られるよう中間転写体へトナーと逆極性の帯電電荷を予め付与する電荷付与手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記目標転写率を90%以上とすることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1記載の画像形成装置において、
    電荷付与手段は、一次転写手段の1色目転写域に至る前の転写前領域にて、中間転写体と像担持体との間に作用する電界が像担持体上のトナーが中間転写体上へ不要転移しない許容範囲内に収まるようにするものであることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1記載の画像形成装置において、
    電荷付与手段は、1色目の一次転写手段との間に中間転写体へ接触する他の接触部材を有さずに配設されることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置において、
    中間転写体は、体積抵抗率を1010Ω・m以上とするベルト部材であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5記載の画像形成装置において、
    電荷付与手段は、ベルト部材の裏面側に張架若しくは接触する導電性部材と、この導電性部材とベルト部材を介して対向配置される電荷付与部材にて構成されることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6記載の画像形成装置において、
    前記導電性部材及び前記電荷付与部材とは、共にロール部材によって構成されることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1記載の画像形成装置において、
    電荷付与手段は、コロナ帯電器で構成されることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1記載の画像形成装置において、
    電荷付与手段によって中間転写体へ供給される電荷付与バイアスは、一次転写手段によって中間転写体に印加される一次転写バイアスを用いることを特徴とする画像形成装置。
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