JP2004257353A - 自動車のエンジン出力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標エンジントルク設定の自由度を確保しつつ、アクセル全閉時に目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルクになることを保証する。
【解決手段】アクセル開度に対してスロットル開度制御用の任意の第1目標エンジントルク(性能要求トルク)を算出すると共に、アクセル開度に比例してスロットル開度が変化するようにスロットル開度制御用の第2目標エンジントルク(エンジン特性トルク)を算出する。アクセル開度が所定のしきい値以上の領域では、前記第1目標エンジントルクを最終目標エンジントルクとする。アクセル開度が前記しきい値未満の領域では、前記しきい値に対するアクセル開度の割合により、前記第1目標エンジントルクと前記第2目標エンジントルクとを内分して、最終目標エンジントルクとする。
【選択図】 図5
【解決手段】アクセル開度に対してスロットル開度制御用の任意の第1目標エンジントルク(性能要求トルク)を算出すると共に、アクセル開度に比例してスロットル開度が変化するようにスロットル開度制御用の第2目標エンジントルク(エンジン特性トルク)を算出する。アクセル開度が所定のしきい値以上の領域では、前記第1目標エンジントルクを最終目標エンジントルクとする。アクセル開度が前記しきい値未満の領域では、前記しきい値に対するアクセル開度の割合により、前記第1目標エンジントルクと前記第2目標エンジントルクとを内分して、最終目標エンジントルクとする。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のエンジン出力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子制御スロットルや電子制御ディーゼル燃料噴射等のエンジンの出力トルクを自在に制御できる技術が広まってきており、これによりドライバーの要求操作(アクセル操作)に対して様々な方法で目標エンジントルク(エンジントルク指令値)を算出する技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、アクセル開度と車速とからマップ等で定義された目標駆動力を算出し、該目標駆動力から各時点での変速機のギヤ比とトルクコンバータのトルク増幅比とを用いて目標エンジントルクを算出する構成としている。
【0004】
算出された目標エンジントルクは、エンジン自体の出力特性(スロットル開度とエンジントルクの関係)に基づいて目標スロットル開度に換算され、スロットル開度を制御することで目標エンジントルクが実現されることになる。
【0005】
尚、電子制御スロットルの場合は、スロットル開度がエンジントルク制御パラメータとなるが、電子制御ディーゼル燃料噴射の場合は、燃料噴射量がエンジントルク制御パラメータとなる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−120472号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジン自体の出力特性(スロットル開度とエンジントルクの関係)は、周知のようにエンジン回転数とスロットル開度に応じて出力トルクは略一意に定まる。すなわち、スロットルを全閉にした時の出力トルクは、エンジン回転数に応じて略一意に定まる特性がある。
【0008】
一方で、前述のような目標エンジントルク算出方法は、動力性能や運転性の要求から所望の目標エンジントルクを求めることを目的としているため、エンジン自体の出力特性(スロットル開度とエンジントルクの関係)にとらわれずに構成されるため、算出された目標エンジントルクが、アクセルを全閉にしてもスロットル全閉相当のトルク値となる保証がなくなってしまうことが問題となる。
【0009】
すなわち、アクセル全閉時の目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値より大きいと、アクセルを全閉にしてもスロットルは全閉にならずに開いた状態となり、アクセル全閉時に所望される減速感が得られなかったり、燃費のためのアクセルオフ時燃料カットやその後の燃料リカバーを実行すると、スロットルを閉じてなく空気を吸った状態での燃料カット、燃料リカバーとなるため、エンジントルクの段差が大きく、運転しずらくなる不具合となる。
【0010】
逆に、アクセル全閉時の目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値より小さいと、アクセル全閉時にスロットルは全閉となるものの、アクセルを踏んでいっても目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値を上回るまでは、スロットルは開かず、エンジントルクも増えない不感帯を生ずることになり、これも運転性上の不具合となる。
【0011】
要するに、任意の目標エンジントルクを算出するような構成でも、アクセル全閉時に目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値になることが重要である。
【0012】
これを実現する簡単な方法としては、アクセル全閉の判定により目標エンジントルクをスロットル全閉相当のトルク値に切り替えることが考えられるが、元々のアクセル全閉時の目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値より大きい場合には、アクセルが全閉か否かで最終的な目標エンジントルクが段差的に変化するため、アクセルオフ状態からほんの僅か踏むだけでエンジントルクが急増して運転しづらさが残り、アクセル全閉時の目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値より小さい場合の不感帯は解消されないことになる。
【0013】
また、目標エンジントルクを算出する部分をエンジン自体の出力特性を考慮した構成とすることも考えられるが、目標エンジントルクは所望の性能を得るためにエンジン自体の特性にとらわれずに自在な制御構成・チューニングとしたいところが、これを考慮することで複雑な制御構成となったり、性能に制約を与えてしまうことになる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、アクセル開度に対してエンジントルク制御パラメータ制御用の任意の第1目標エンジントルクを算出する手段と、アクセル開度に比例してエンジントルク制御パラメータが変化するようにエンジントルク制御パラメータ制御用の第2目標エンジントルクを算出する手段とを備える。そして、アクセル開度が所定のしきい値以上の領域では、前記第1目標エンジントルクを最終目標エンジントルクとするが、アクセル開度が前記しきい値未満の領域では、アクセル開度が小さくなるに従って、前記しきい値での前記第1目標エンジントルクから、前記第2目標エンジントルクを加味した値へ、最終目標エンジントルクを連続的に変化させる構成とする。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的平易な構成で、アクセル全閉に合わせてエンジントルク制御パラメータ(スロットル開度、燃料噴射量など)を確実に0(全閉相当)に制御でき、アクセル操作によるトルク段差やトルク不感帯等の運転性不具合を回避できる。
【0016】
また、本来作り込みたい目標性能(第1目標エンジントルク)は、エンジン自体の出力特性を考慮しないで済むため、要求性能に応じた自在な制御構成やチューニングとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、ここでは、電子制御スロットルのガソリンエンジンを前提とし、エンジントルク制御パラメータはスロットル開度とするが、電子制御燃料噴射装置付きのディーゼルエンジンでは、エンジントルク制御パラメータを燃料噴射量とすれば容易に転用できる。
【0018】
図1は本発明の第1実施形態を示すエンジンコントロールユニット(ECU)の構成図である。
第1目標エンジントルク算出手段1は、アクセルペダルセンサ10により検出されるアクセル開度と、他の走行情報(例えば車速、エンジン回転数、ギヤ位置等)を入力し、任意の第1目標エンジントルク(性能要求トルク)tTE1を算出する。これは、少なくともアクセル開度を入力値の1つとし、アクセル開度に比例してスロットル開度が変化せず、任意の味付けをもってスロットル開度が変化するように、スロットル開度制御用の第1目標エンジントルクtTE1を算出するものである。具体的には、前記特許文献1に示されているような駆動力制御での目標エンジントルク算出方法を挙げることができるが、これに限るものではない。
【0019】
第2目標エンジントルク算出手段2は、アクセルペダルセンサ10により検出されるアクセル開度と、エンジン回転数とを入力し、トルクマップを参照するなどして、第2目標エンジントルク(エンジン特性トルク)tTE2を算出する。これは、アクセル開度に比例してスロットル開度が変化するように、スロットル開度制御用の第2目標エンジントルクtTE2を算出するものである。言い換えれば、アクセル開度=スロットル開度として、スロットル開度に対する実際のエンジン出力特性相当のトルク値を算出するものである。
【0020】
最終目標エンジントルク算出手段3は、第1目標エンジントルクtTE1と、第2目標エンジントルクtTE2と、後述する内分率算出手段4からの第1内分率A及び第2内分率B(=1−A)とに基づいて、最終目標エンジントルクtTEを次式により算出する。
【0021】
tTE=tTE1×A+tTE2×B
算出された最終目標エンジントルクtTEは、エンジントルク制御に用いられる。例えば、このtTEと、エンジン回転数とから、マップ参照などによって、目標スロットル開度に変換され、電子制御スロットルの制御に用いられる。
【0022】
内分率算出手段4には、アクセルペダルセンサ10により検出されるアクセル開度APOが入力されると共に、所定のしきい値(車両を加速させる側と減速させる側とのしきい値)SLが入力される。
【0023】
第1実施形態(図1)では、このしきい値SLを予め定めた固定値(5)とするが、第2実施形態(図2)では、エンジン回転数に応じたしきい値SLを記憶させたテーブル6を用い、エンジン回転数に応じたテーブル値としている。また、第3実施形態(図3)では、車速に応じたしきい値SLを記憶させたテーブル7を用い、車速に応じたテーブル値としている。
【0024】
内分率算出手段4は、しきい値SLに対するアクセル開度APOの割合(APO/SL)を求め、これを100%(実際には1)と比較して、小さい方(min値)を第1内分率Aとし、第2内分率Bは、1−Aとする(次式参照)。
【0025】
A=min(1,APO/SL)
B=1−A
以上をフローチャートにより記載すれば、図4のごとくとなる。
【0026】
S1で第1目標エンジントルクtTE1を算出し、S2で第2目標エンジントルクtTE2する。
S3でアクセル開度APOに対するしきい値SLを設定する。しきい値SLは固定値、又はエンジン回転数や車速に応じたテーブル値とする。
【0027】
S4で第1内分率A=min(1,APO/SL)を算出し、S5で第2内分率B=1−Aを算出する。
S6で第1目標エンジントルクtTE1と第2目標エンジントルクtTE2とを第1内分率A及び第2内分率Bで内分して、最終目標エンジントルクtTE=tTE1×A+tTE2×Bを算出する。
【0028】
尚、ここでは、アクセル開度APOがしきい値SL以上であっても、内分しているが、この場合の第1目標エンジントルクtTE1の内分率(第1内分率A)はmin演算の結果100%となるので、最終目標エンジントルクtTEは、第1目標エンジントルクtTE1となる。従って、アクセル開度APOがしきい値SL以上の領域では、第1目標エンジントルクtTE1を最終目標エンジントルクtTEとし、アクセル開度APOがしきい値SL未満の領域では、しきい値SLに対するアクセル開度APOの割合(APO/SL)により、第1目標エンジントルクtTE1と第2目標エンジントルクtTE2とを内分して、最終目標エンジントルクtTEとしているのである。
【0029】
次に図5を参照して作用を説明する。
第1実施形態(図1)の場合、アクセル開度に対するしきい値は固定値であるが、この場合のしきい値は、例えば1/8や1/16等の低開度に設定する。
【0030】
しきい値以上にアクセルを踏んだ場合は、第1内分率=100%、第2内分率=0%となるため、最終目標エンジントルクは100%第1目標エンジントルクとなり、第1目標エンジントルクの目的とする所望の性能が100%得られることになる。
【0031】
アクセル開度をしきい値以下にすると、アクセル開度=しきい値では、第1内分率=100%、第2内分率=0%、しきい値に対して半分のアクセル開度とすると、第1内分率=50%、第2内分率=50%、アクセル全閉とすると、第1内分率=0%、第2内分率=100%となり、最終目標エンジントルクはアクセル開度=しきい値を境に、アクセル戻し量に応じて徐々に第1目標エンジントルクから第2目標エンジントルクに移り替わることになり、アクセル全閉では100%第2目標エンジントルクとなる。
【0032】
アクセル全閉時の第2目標エンジントルクはスロットル全閉時のエンジン自体のトルクとなるため、これによって制御される電子制御スロットルは全閉に制御されることになる。
【0033】
また、この全閉相当へはアクセル戻し量で徐々に切り替わり、かつアクセル全閉でちょうど全閉相当となるため、切り替え開始時の違和感や全閉付近でのトルク段差や不感帯などの違和感を生じることもない。
【0034】
更に、所望の性能は、車両を加速させる側(=アクセルを所定以上踏んでいる領域)で作り込む場合が多いが、これらの性能に対しては100%達成することができる。また、アクセル全閉時には第2目標エンジントルクによりスロットル全閉相当に制御されることが保証されるため、第1目標エンジントルク算出手段はエンジン自体の出力特性(=第2目標エンジントルク)を考慮する必要はなくなるため、所望の性能を達成する目的のみで自在にロジック構成したり、チューニングすることが可能となる。
【0035】
尚、前記しきい値は、車両を加速させる側と減速させる側とのしきい値であり、第1実施形態(図1)ではアクセル開度固定点としており、これでもおよその特性は代表できるが、実際には車両の駆動輪での出力と走行抵抗とのバランスであったり、エンジンの出力自体もアクセル開度一定でもエンジン回転数で変わったりするため、アクセル開度固定点だと、あるエンジン回転数やある車速ではしきい値のアクセル開度でまだ加速側の領域である場合もあり、このような場合には加速側の領域でも少しながらエンジン自体の出力特性(=第2目標エンジントルク)が反映されてしまうので、これを除くためには、第1実施形態(図2)や第3実施形態(図3)のように、アクセル開度しきい値をエンジン回転数や車速に応じたテーブル値設定とすれば、加速側の領域において第1目標エンジントルクをより活用することができる。
【0036】
また、加速側の領域での第2目標エンジントルクの影響を除くために固定設定のアクセル開度しきい値を極めて小さく設定(1/32等)することも考えられるが、こうすると切り替わりの領域が狭いため、第1目標エンジントルクと第2目標エンジントルクとの値が大きく異なると、全閉近傍でアクセル操作によるトルク変化率が急に変化したり、逆転したりの違和感を生じることになるので望ましくない。
【0037】
また、以上では、しきい値の設定を加速させる側と減速させる側という要件で説明したが、車両の性格や商品性等で、他の要件でしきい値の定義を決めて、それに応じたしきい値算出方法を適用してもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すECUの構成図
【図2】本発明の第2実施形態を示すECUの構成図
【図3】本発明の第3実施形態を示すECUの構成図
【図4】制御フローチャート
【図5】アクセル開度と最終目標エンジントルクとの関係を示す図
【符号の説明】
1 第1目標エンジントルク算出手段
2 第2目標エンジントルク算出手段
3 最終目標エンジントルク算出手段
4 内分率算出手段
5 しきい値(固定値)
6 しきい値テーブル
7 しきい値テーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のエンジン出力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子制御スロットルや電子制御ディーゼル燃料噴射等のエンジンの出力トルクを自在に制御できる技術が広まってきており、これによりドライバーの要求操作(アクセル操作)に対して様々な方法で目標エンジントルク(エンジントルク指令値)を算出する技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、アクセル開度と車速とからマップ等で定義された目標駆動力を算出し、該目標駆動力から各時点での変速機のギヤ比とトルクコンバータのトルク増幅比とを用いて目標エンジントルクを算出する構成としている。
【0004】
算出された目標エンジントルクは、エンジン自体の出力特性(スロットル開度とエンジントルクの関係)に基づいて目標スロットル開度に換算され、スロットル開度を制御することで目標エンジントルクが実現されることになる。
【0005】
尚、電子制御スロットルの場合は、スロットル開度がエンジントルク制御パラメータとなるが、電子制御ディーゼル燃料噴射の場合は、燃料噴射量がエンジントルク制御パラメータとなる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−120472号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジン自体の出力特性(スロットル開度とエンジントルクの関係)は、周知のようにエンジン回転数とスロットル開度に応じて出力トルクは略一意に定まる。すなわち、スロットルを全閉にした時の出力トルクは、エンジン回転数に応じて略一意に定まる特性がある。
【0008】
一方で、前述のような目標エンジントルク算出方法は、動力性能や運転性の要求から所望の目標エンジントルクを求めることを目的としているため、エンジン自体の出力特性(スロットル開度とエンジントルクの関係)にとらわれずに構成されるため、算出された目標エンジントルクが、アクセルを全閉にしてもスロットル全閉相当のトルク値となる保証がなくなってしまうことが問題となる。
【0009】
すなわち、アクセル全閉時の目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値より大きいと、アクセルを全閉にしてもスロットルは全閉にならずに開いた状態となり、アクセル全閉時に所望される減速感が得られなかったり、燃費のためのアクセルオフ時燃料カットやその後の燃料リカバーを実行すると、スロットルを閉じてなく空気を吸った状態での燃料カット、燃料リカバーとなるため、エンジントルクの段差が大きく、運転しずらくなる不具合となる。
【0010】
逆に、アクセル全閉時の目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値より小さいと、アクセル全閉時にスロットルは全閉となるものの、アクセルを踏んでいっても目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値を上回るまでは、スロットルは開かず、エンジントルクも増えない不感帯を生ずることになり、これも運転性上の不具合となる。
【0011】
要するに、任意の目標エンジントルクを算出するような構成でも、アクセル全閉時に目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値になることが重要である。
【0012】
これを実現する簡単な方法としては、アクセル全閉の判定により目標エンジントルクをスロットル全閉相当のトルク値に切り替えることが考えられるが、元々のアクセル全閉時の目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値より大きい場合には、アクセルが全閉か否かで最終的な目標エンジントルクが段差的に変化するため、アクセルオフ状態からほんの僅か踏むだけでエンジントルクが急増して運転しづらさが残り、アクセル全閉時の目標エンジントルクがスロットル全閉相当のトルク値より小さい場合の不感帯は解消されないことになる。
【0013】
また、目標エンジントルクを算出する部分をエンジン自体の出力特性を考慮した構成とすることも考えられるが、目標エンジントルクは所望の性能を得るためにエンジン自体の特性にとらわれずに自在な制御構成・チューニングとしたいところが、これを考慮することで複雑な制御構成となったり、性能に制約を与えてしまうことになる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、アクセル開度に対してエンジントルク制御パラメータ制御用の任意の第1目標エンジントルクを算出する手段と、アクセル開度に比例してエンジントルク制御パラメータが変化するようにエンジントルク制御パラメータ制御用の第2目標エンジントルクを算出する手段とを備える。そして、アクセル開度が所定のしきい値以上の領域では、前記第1目標エンジントルクを最終目標エンジントルクとするが、アクセル開度が前記しきい値未満の領域では、アクセル開度が小さくなるに従って、前記しきい値での前記第1目標エンジントルクから、前記第2目標エンジントルクを加味した値へ、最終目標エンジントルクを連続的に変化させる構成とする。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的平易な構成で、アクセル全閉に合わせてエンジントルク制御パラメータ(スロットル開度、燃料噴射量など)を確実に0(全閉相当)に制御でき、アクセル操作によるトルク段差やトルク不感帯等の運転性不具合を回避できる。
【0016】
また、本来作り込みたい目標性能(第1目標エンジントルク)は、エンジン自体の出力特性を考慮しないで済むため、要求性能に応じた自在な制御構成やチューニングとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、ここでは、電子制御スロットルのガソリンエンジンを前提とし、エンジントルク制御パラメータはスロットル開度とするが、電子制御燃料噴射装置付きのディーゼルエンジンでは、エンジントルク制御パラメータを燃料噴射量とすれば容易に転用できる。
【0018】
図1は本発明の第1実施形態を示すエンジンコントロールユニット(ECU)の構成図である。
第1目標エンジントルク算出手段1は、アクセルペダルセンサ10により検出されるアクセル開度と、他の走行情報(例えば車速、エンジン回転数、ギヤ位置等)を入力し、任意の第1目標エンジントルク(性能要求トルク)tTE1を算出する。これは、少なくともアクセル開度を入力値の1つとし、アクセル開度に比例してスロットル開度が変化せず、任意の味付けをもってスロットル開度が変化するように、スロットル開度制御用の第1目標エンジントルクtTE1を算出するものである。具体的には、前記特許文献1に示されているような駆動力制御での目標エンジントルク算出方法を挙げることができるが、これに限るものではない。
【0019】
第2目標エンジントルク算出手段2は、アクセルペダルセンサ10により検出されるアクセル開度と、エンジン回転数とを入力し、トルクマップを参照するなどして、第2目標エンジントルク(エンジン特性トルク)tTE2を算出する。これは、アクセル開度に比例してスロットル開度が変化するように、スロットル開度制御用の第2目標エンジントルクtTE2を算出するものである。言い換えれば、アクセル開度=スロットル開度として、スロットル開度に対する実際のエンジン出力特性相当のトルク値を算出するものである。
【0020】
最終目標エンジントルク算出手段3は、第1目標エンジントルクtTE1と、第2目標エンジントルクtTE2と、後述する内分率算出手段4からの第1内分率A及び第2内分率B(=1−A)とに基づいて、最終目標エンジントルクtTEを次式により算出する。
【0021】
tTE=tTE1×A+tTE2×B
算出された最終目標エンジントルクtTEは、エンジントルク制御に用いられる。例えば、このtTEと、エンジン回転数とから、マップ参照などによって、目標スロットル開度に変換され、電子制御スロットルの制御に用いられる。
【0022】
内分率算出手段4には、アクセルペダルセンサ10により検出されるアクセル開度APOが入力されると共に、所定のしきい値(車両を加速させる側と減速させる側とのしきい値)SLが入力される。
【0023】
第1実施形態(図1)では、このしきい値SLを予め定めた固定値(5)とするが、第2実施形態(図2)では、エンジン回転数に応じたしきい値SLを記憶させたテーブル6を用い、エンジン回転数に応じたテーブル値としている。また、第3実施形態(図3)では、車速に応じたしきい値SLを記憶させたテーブル7を用い、車速に応じたテーブル値としている。
【0024】
内分率算出手段4は、しきい値SLに対するアクセル開度APOの割合(APO/SL)を求め、これを100%(実際には1)と比較して、小さい方(min値)を第1内分率Aとし、第2内分率Bは、1−Aとする(次式参照)。
【0025】
A=min(1,APO/SL)
B=1−A
以上をフローチャートにより記載すれば、図4のごとくとなる。
【0026】
S1で第1目標エンジントルクtTE1を算出し、S2で第2目標エンジントルクtTE2する。
S3でアクセル開度APOに対するしきい値SLを設定する。しきい値SLは固定値、又はエンジン回転数や車速に応じたテーブル値とする。
【0027】
S4で第1内分率A=min(1,APO/SL)を算出し、S5で第2内分率B=1−Aを算出する。
S6で第1目標エンジントルクtTE1と第2目標エンジントルクtTE2とを第1内分率A及び第2内分率Bで内分して、最終目標エンジントルクtTE=tTE1×A+tTE2×Bを算出する。
【0028】
尚、ここでは、アクセル開度APOがしきい値SL以上であっても、内分しているが、この場合の第1目標エンジントルクtTE1の内分率(第1内分率A)はmin演算の結果100%となるので、最終目標エンジントルクtTEは、第1目標エンジントルクtTE1となる。従って、アクセル開度APOがしきい値SL以上の領域では、第1目標エンジントルクtTE1を最終目標エンジントルクtTEとし、アクセル開度APOがしきい値SL未満の領域では、しきい値SLに対するアクセル開度APOの割合(APO/SL)により、第1目標エンジントルクtTE1と第2目標エンジントルクtTE2とを内分して、最終目標エンジントルクtTEとしているのである。
【0029】
次に図5を参照して作用を説明する。
第1実施形態(図1)の場合、アクセル開度に対するしきい値は固定値であるが、この場合のしきい値は、例えば1/8や1/16等の低開度に設定する。
【0030】
しきい値以上にアクセルを踏んだ場合は、第1内分率=100%、第2内分率=0%となるため、最終目標エンジントルクは100%第1目標エンジントルクとなり、第1目標エンジントルクの目的とする所望の性能が100%得られることになる。
【0031】
アクセル開度をしきい値以下にすると、アクセル開度=しきい値では、第1内分率=100%、第2内分率=0%、しきい値に対して半分のアクセル開度とすると、第1内分率=50%、第2内分率=50%、アクセル全閉とすると、第1内分率=0%、第2内分率=100%となり、最終目標エンジントルクはアクセル開度=しきい値を境に、アクセル戻し量に応じて徐々に第1目標エンジントルクから第2目標エンジントルクに移り替わることになり、アクセル全閉では100%第2目標エンジントルクとなる。
【0032】
アクセル全閉時の第2目標エンジントルクはスロットル全閉時のエンジン自体のトルクとなるため、これによって制御される電子制御スロットルは全閉に制御されることになる。
【0033】
また、この全閉相当へはアクセル戻し量で徐々に切り替わり、かつアクセル全閉でちょうど全閉相当となるため、切り替え開始時の違和感や全閉付近でのトルク段差や不感帯などの違和感を生じることもない。
【0034】
更に、所望の性能は、車両を加速させる側(=アクセルを所定以上踏んでいる領域)で作り込む場合が多いが、これらの性能に対しては100%達成することができる。また、アクセル全閉時には第2目標エンジントルクによりスロットル全閉相当に制御されることが保証されるため、第1目標エンジントルク算出手段はエンジン自体の出力特性(=第2目標エンジントルク)を考慮する必要はなくなるため、所望の性能を達成する目的のみで自在にロジック構成したり、チューニングすることが可能となる。
【0035】
尚、前記しきい値は、車両を加速させる側と減速させる側とのしきい値であり、第1実施形態(図1)ではアクセル開度固定点としており、これでもおよその特性は代表できるが、実際には車両の駆動輪での出力と走行抵抗とのバランスであったり、エンジンの出力自体もアクセル開度一定でもエンジン回転数で変わったりするため、アクセル開度固定点だと、あるエンジン回転数やある車速ではしきい値のアクセル開度でまだ加速側の領域である場合もあり、このような場合には加速側の領域でも少しながらエンジン自体の出力特性(=第2目標エンジントルク)が反映されてしまうので、これを除くためには、第1実施形態(図2)や第3実施形態(図3)のように、アクセル開度しきい値をエンジン回転数や車速に応じたテーブル値設定とすれば、加速側の領域において第1目標エンジントルクをより活用することができる。
【0036】
また、加速側の領域での第2目標エンジントルクの影響を除くために固定設定のアクセル開度しきい値を極めて小さく設定(1/32等)することも考えられるが、こうすると切り替わりの領域が狭いため、第1目標エンジントルクと第2目標エンジントルクとの値が大きく異なると、全閉近傍でアクセル操作によるトルク変化率が急に変化したり、逆転したりの違和感を生じることになるので望ましくない。
【0037】
また、以上では、しきい値の設定を加速させる側と減速させる側という要件で説明したが、車両の性格や商品性等で、他の要件でしきい値の定義を決めて、それに応じたしきい値算出方法を適用してもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すECUの構成図
【図2】本発明の第2実施形態を示すECUの構成図
【図3】本発明の第3実施形態を示すECUの構成図
【図4】制御フローチャート
【図5】アクセル開度と最終目標エンジントルクとの関係を示す図
【符号の説明】
1 第1目標エンジントルク算出手段
2 第2目標エンジントルク算出手段
3 最終目標エンジントルク算出手段
4 内分率算出手段
5 しきい値(固定値)
6 しきい値テーブル
7 しきい値テーブル
Claims (5)
- アクセル開度に対してエンジントルク制御パラメータ制御用の任意の第1目標エンジントルクを算出する手段と、
アクセル開度に比例してエンジントルク制御パラメータが変化するようにエンジントルク制御パラメータ制御用の第2目標エンジントルクを算出する手段と、
アクセル開度が所定のしきい値以上の領域では、前記第1目標エンジントルクを最終目標エンジントルクとし、アクセル開度が前記しきい値未満の領域では、アクセル開度が小さくなるに従って、前記しきい値での前記第1目標エンジントルクから、前記第2目標エンジントルクを加味した値へ、最終目標エンジントルクを連続的に変化させる最終目標エンジントルク算出手段と、
を含んで構成される自動車のエンジン出力制御装置。 - 前記最終目標エンジントルク算出手段は、アクセル開度が前記しきい値未満の領域では、前記しきい値に対するアクセル開度の割合により、前記第1目標エンジントルクと前記第2目標エンジントルクとを内分して、最終目標エンジントルクとすることを特徴とする請求項1記載の自動車のエンジン出力制御装置。
- 前記しきい値は固定値であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動車のエンジン出力制御装置。
- 前記しきい値はエンジン回転数に応じたテーブル値であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動車のエンジン出力制御装置。
- 前記しきい値は車速に応じたテーブル値であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動車のエンジン出力制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003051282A JP2004257353A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 自動車のエンジン出力制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003051282A JP2004257353A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 自動車のエンジン出力制御装置 |
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JP2004257353A true JP2004257353A (ja) | 2004-09-16 |
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ID=33116463
Family Applications (1)
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JP2003051282A Pending JP2004257353A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 自動車のエンジン出力制御装置 |
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JP (1) | JP2004257353A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7444983B2 (en) | 2005-12-27 | 2008-11-04 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control device and control method for air amount regulating mechanism |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003051282A patent/JP2004257353A/ja active Pending
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