JP2004256824A - 低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物並びにプリプレグ - Google Patents

低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物並びにプリプレグ Download PDF

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Abstract

【課題】 ハンドレイアップ方式に比べ安全衛生上や煩わしさ、さらには硬化特性等の問題点を解消させることができる低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物並びにプリプレグを提供すること。
【解決手段】 下記A、B及びC成分を必須成分とすることを特徴とする低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
A;一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つエポキシ化合物
B;活性水素を有するアミン類化合物を吸着しており、その周囲全体または一部分を融点または軟化点が40〜100℃の有機高分子で被覆された包接化合物
C;B成分の包接化合物に対して、アミン類化合物の追い出し剤となりうる化合物
必須成分とすることを特徴とする低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
並びに上記エポキシ樹脂組成物を繊維に含浸している低温硬化型プリプレグ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、従来のハンドレイアップでおこなわれていた作業の煩わしさを著しく改良できるとともに、スポーツ・レジャーや土木建築等の幅広い分野に利用可能な低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物並びにプリプレグに関するものである。
従来から土木建築構造物、特にコンクリート構造物の補修または補強においては、鋼板接着工法やコンクリート増し打ち工法が広く採用されていた。しかしながら、最近では、施工性、安全性、工期の点で、織物や一軸方向に配列した繊維シート、または、あらかじめエポキシ樹脂が含浸されたプリプレグを構造物の表面に貼付け、補修・補強を行う工法が注目されるようになってきた。特許文献1では、樹脂含浸された長繊維プリプレグを用いて、補修または補強を行う方法が提案されているが、貼り付けた後に赤外線ランプや電気ヒーター等により高温で硬化させる必要がある。これに対して、特許文献2では、長繊維の炭素繊維シートを用い、ハンドレイアップ方式で常温硬化タイプのエポキシ樹脂を塗布して補修または補強する方法が提案されている。しかし、この方法は、ボイドがないように、繊維シート全体に均一に樹脂を含浸させることがかなり困難であり、非常に煩わしい作業を含んでいる。また、ハンドレイアップ方式をとることから、臭気が激しく、安全衛生上にも良いとは言えないものである。
これに対して、特許文献3では、あらかじめ繊維に70℃以上で硬化するエポキシ樹脂を含浸した長繊維プリプレグを用いるもの、さらには、特許文献4では、実質的に硬化剤を含まないエポキシ樹脂を含浸した長繊維を用いるもの等が提案されているが、常温で硬化させるために、プリプレグの表面にシンナーやMEKに溶かした常温硬化型エポキシ樹脂溶液、または、常温硬化タイプの硬化剤溶液を塗布するものであり、やはりハンドレイアップ方式の煩わしさや安全衛生上の問題を解決できるものではなく、また硬化不良になりやすい欠点がある。
特開平1−197532号公報 特開平3−224901号公報 特開平3−224966号公報 特開平5−39673号公報
本発明は、こうした現状に鑑み、繊維シートまたはプリプレグを用いた構造物の補修や補強において、従来のハンドレイアップ方式に比べ安全衛生上や煩わしさ、さらには硬化特性等の問題点を解消させることができる低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物並びにプリプレグを提供することを目的としたものである。
本発明者は上記課題を解決するため先ず、アミン等の常温硬化型硬化剤をカプセル化して加圧硬化型とすることを試みた。しかしそれは非常に困難であることが判明し、鋭意検討を重ねた結果、アミン等の常温硬化型硬化剤を直接カプセル化せずに包接化合物に吸着させ、該包接化合物に対して吸着能が高いアルコール等を組み合わせることで本発明を完成した。
即ち本発明は、下記A、B及びC成分を必須成分とすることを特徴とする低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物である。
A;一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つエポキシ化合物
B;活性水素を有するアミン類化合物を吸着しており、その周囲全体または一部分に融点または軟化点が40〜100℃の有機高分子で被覆された包接化合物
C;B成分の包接化合物に対して、アミン類化合物の追い出し剤となりうる化合物
さらに本発明は、上記記載の低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物を繊維に含浸していることを特徴とする低温硬化型プリプレグである。
かかる本発明によれば、従来の常温硬化型のエポキシ樹脂を用いるハンドレイアップ方式に比べ、貼付作業の煩わしさ、安全衛生性や硬化特性等の問題点を飛躍的に改善した低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物と低温硬化型プリプレグであり、産業上非常に有益なものである。
以下本発明を詳細に説明する。本発明においてA成分として用いられるエポキシ化合物は、一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つものであれば特に制限はなくどのようなものでも使用可能である。特に例示するならば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、その他脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などを適宜選択して1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、エスポキシSA−115、エスポキシSA−134、エスポキシSA−011、エスポキシSA−019、エスポキシSA−7020(以上、新日鐵化学(株)製)、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、アラルダイトGY−250、アラルダイトGY−260、アラルダイト6071(以上、日本チバガイギー(株)製)などの市販されているものが利用できる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、エスポキシSCN−701P、エスポキシSCN−702P、エスポキシSCN−703P、エスポキシSCN−704P(以上、新日鐵化学(株)製)、アラルダイトECN−1273、アラルダイトECN−1280(以上、日本チバガイギー(株)製)、あるいは住友化学工業(株)製のESCN−220シリーズなどの市販されているものが利用できる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、エスポキシSPN−638(新日鐵化学(株)製)、エピコート152、エピコート154(以上、油化シェルエポキシ(株)製)などの市販されているものが利用できる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピクロン830(大日本インキ化学工業(株)製)などの市販されているものが利用できる。
次に、B成分について説明する。まず、活性水素を有するアミン類化合物を吸着している包接化合物において、用いられるアミン類化合物としては、エポキシ化合物と常温で反応できる活性水素を有するアミン類化合物であり、さらに包接化合物に吸着できるものであればよい。例示すれば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン等の1級アミンやジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の2級アミン、そしてエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラメチレンブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メタキシレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン等のポリアミン、さらにはポリアミドポリアミンやアミンアダクト等の変成アミン等が挙げられる。
包接化合物としては、前記アミン類化合物を吸着できる多孔性粉体であれば特に制限はなく、例示すればゼオライト、モンモリロナイト、珪藻土、カオリン、雲母、活性炭等の無機物や多孔性ポリスチレン等の有機物があげられる。これらの中でも孔径の均一なゼオライト、すなわちモレキュラシーブスは特に好ましい。包接化合物の平均粒子径は、0.1〜20μmが好ましい。0.1μm未満の場合には、包接化合物が凝集し分散しにくく、逆に硬化不良を起こしやすく、一方、20μmを超える場合には、やはり繊維間に均一に分散されない可能性があり、硬化不良を生じてしまうからである。そして、包接化合物に前記アミン類化合物を吸着させる方法も特に制限しないが、例えば、包接化合物に熱処理等を行い活性化状態にして、直接アミン類化合物を吸着させる方法やアミン類化合物よりも吸着しにくい溶媒下でアミン類化合物を徐々に加える方法などが一般的である。後者の場合には、還流を併用すれば、より定量的に吸着させることができる。
次にB成分の包接化合物中のアミン類化合物の量は、5〜40重量%が好ましい。5%未満では硬化剤としての効果が小さく、未硬化状態になったり、または硬化が非常に遅くなりやすい。アミン類化合物はエポキシ化合物とほぼ定量的に反応することから、エポキシ化合物に対して一定量が必要である。そのため、5%未満では、反応に不必要で、さらには硬化物の物性に悪影響を及ぼす包接化合物の量が相対的に増加することから望ましくない。一方上限については、包接化合物の孔中に定量的に吸着される量が好ましい。しかし、場合によっては、孔中だけではなく包接化合物の表面に吸着される場合もある。その場合にはエポキシ化合物と即座に反応が進行し、保存安定性に問題が生じる。それゆえ、アミン類化合物の吸着量は40重量%を超えない方がよい。
次に、AおよびB成分の量であるが、A成分の総量100重量部に対して、B成分を10〜100重量部と配合するのが好ましい。B成分が10重量部未満の場合には、硬化剤としてのアミン類化合物量が不足することになり硬化不良になりやすいので好ましくない。100重量部を超える場合には、粉末状態の包接化合物が非常に多くなり、その分散が困難となるばかりか、複合材料の重量が増えることになるので好ましくない。
次に、B成分の包接化合物に対して、アミン類化合物の追い出し剤となりうるC成分の化合物としては、包接化合物の種類によっても異なるが、一般的にはOH基またはSH基を有する化合物であり、具体的には、アルコール類、水、チオール類が挙げられる。本発明では、これらの化合物が包接化合物中に吸着されたアミン類化合物の追い出し剤として働き、追い出されたアミン類化合物がA成分のエポキシ化合物と反応して常温で硬化するメカニズムである。それゆえ追い出し剤となりうるためには、包接化合物に対してアミン類化合物よりも吸着能力が高く、しかも包接化合物の孔径よりも小さいことが必要である。ここで、C成分中のアミン類化合物の追い出し剤となりうる化合物は、取扱いの面からアルコール類化合物が好ましく、その具体例としては、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、マルチトール、ソルビトール等があるが、これに限定されるものではない。
本発明は、前述したA、BおよびCの3成分を同時に配合して強化繊維に含有させても支障を生じさせないようにしたエポキシ樹脂組成物およびプリプレグに関するものである。即ち本発明では、上記した活性水素を有するアミン類化合物を吸着したB成分の包接化合物は、プリプレグの成形前にA、C成分と一緒に配合させても保存安定性を図れるように、その周囲全体または一部分に融点または軟化点が40〜100℃の有機高分子で被覆されている必要がある。この場合の本発明におけるプリプレグの硬化のメカニズムは、該プリプレグの成形時に、低温で短時間プリプレグを加熱することによって有機高分膜が除去又は破壊されて、C成分の追い出し剤により、B成分中のアミン類化合物が包接化合物から追い出され、それがA成分のエポキシ化合物と反応して硬化させるものである。それゆえ、プリプレグの保存安定性を確保するためには、硬化する直前まで、アミン類化合物を包接化合物中に固定しなければならない。本発明では、その固定を行うために、アミン類化合物の吸着した包接化合物の表面の全体または一部分、具体的には包接化合物の孔の部分に、融点または軟化点が40〜100℃の有機高分子で被覆する手段を用いるわけである。
ここで、被覆材として無機物でなく、有機高分子を用いる理由は、硬化時に、低温で短時間プリプレグを加熱することで、簡単に有機高分子膜を除去または破壊し、アミン類化合物を脱着させ、硬化反応を開始させることができるからである。用いる有機高分子化合物としては、融点または軟化点が40〜100℃であり、本発明のエポキシ樹脂組成物中で包接化合物を被覆できるものであれば、特に制限はないが、具体例としては、炭化水素や脂肪酸エステル等のワックス類が挙げられる。ここで、有機高分子の融点または軟化点が40℃未満の場合には、常温での保存安定性が悪くなるからである。また、100℃を越える場合には、危険性を伴うばかりか、加熱時間が長くなったり、加熱装置が大がかりになったりするからである。
有機高分子を被覆する方法としては、やはり特に限定はされないが、具体的には、相分離にもとづくコアセルベーション法におけるマイクロカプセル化が挙げられる。例えば、その一例としては、エチレンジアミン吸着モレキュラシーブス(ゼオライト)を分散させ、被覆すべき炭化水素系ワックスを溶かしたベンゼン溶液に、ワックス不溶溶剤、たとえばイソプロピルアルコールを徐々に添加することにより、モレキュラシーブスの表面に均一なワックスの被覆膜をつけることが可能である。この場合、添加する被覆材の種類や濃度、さらには添加する不溶性の溶剤を適宜選択することにより、被覆材の融点や軟化点、被覆材の厚みや量を調整することができる。ここで、被覆材の量としては、アミン類化合物吸着包接化合物100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましい。0.1重量部未満の場合には、アミン類化合物の固定効果が少なく、保存安定性が悪くなる。また、20重量部を越える場合には、硬化に不必要な成分が増えることになり、複合材料の物性が低下するからである。
本発明において用いられるA、BおよびC成分の配合量については、A成分の総量100重量部に対して、B成分を10〜100重量部、C成分を0.5〜20重量部配合するのが好ましい。B成分が10重量部未満の場合には、硬化剤としてのアミン類化合物量が不足し硬化不足になりやすいので好ましくない。100重量部を超える場合には、粉末状態の包接化合物が非常に多くなり分散が困難となるばかりか、複合材料の重量が増えることになるので好ましくない。また、C成分が0.5重量部未満の場合には、アミン類化合物の追い出し剤としての効果が小さく硬化不良となったり、または硬化速度が非常に遅くなるので好ましくない。一方、20重量部を越える場合には、硬化に不必要な成分が増えることになり、複合材料の物性を低下させることになるので好ましくない。
上記低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物を配合した繊維強化プリプレグの製造方法は、一般的な方法でよく、具体的には、ホットメルト法やソルベント法があるが、特に制限はされない。しかし特に、注意しなければならないことは、製造時にB成分の有機高分子膜を除去または破壊させないことである。もし、除去または破壊した場合には、アミン類化合物が包接化合物から脱着し、即座にアミン類化合物がエポキシ樹脂化合物と反応して、保存安定性が悪くなるからである。これらは、樹脂含浸時の温度および圧力、または溶剤を用いる場合にはその種類を適宜考慮することにより可能である。又強化繊維に含浸させるA、BおよびC成分からなる低温硬化型のエポキシ樹脂組成物の配合量としては、得られるプリプレグ中の20〜70重量%程度の範囲内であることが好ましい。
次に上述したエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグの成形時における常温硬化方法について説明する。繊維強化プリプレグの成形では、まずプリプレグを接着すべき表面に貼付、加圧して空気溜まりがないようにする必要がある。次に本発明では、低温で短時間プリプレグを加熱することによって包接化合物の有機高分膜が除去又は破壊されて、C成分の追い出し剤により、B成分中のアミン類化合物が包接化合物から追い出され、それがA成分のエポキシ化合物と反応して硬化するものである。この場合の加熱温度は、被覆した有機高分子の融点または軟化点以上(40〜100℃)が好ましい。
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお本発明の実施例と比較例における評価方法は下記の通りである
・保存安定性;15℃、1ヵ月放置後のプリプレグの触感評価
○・・・良好
△・・・やや良好(やや硬化気味であるが、使用に支障なし)
×・・・不良(硬化して使用不可能)
・貼付作業性;エポキシ系のプライマー処理を施したセメント表面に、プリプレグまたはシートを貼付けるときの作業性
・安全衛生性;貼付作業を行う時の臭気
・硬化特性;プリプレグまたはシートを貼りつけ、常温(25℃)で1週間放置したのち、アセトンに浸漬して硬化状態を評価
良好・・・変化がなく十分に硬化している。
不良・・・表面が膨潤または(一部)溶解して硬化不良である。
・硬化後の表面状態;硬化後に目視で観察したときの表面状態
○・・・良好、 △・・・やや良好、 ×・・・不良
実施例1
以下のA、BおよびC成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率43wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは、表1に示すように、保存安定性は良好であった。次に、前記プリプレグのポリエチレンフィルムを剥がし、離型紙の上から、ゆっくりと90℃程度に加熱した加圧ローラーを用いて、エポキシ系プライマー処理を行ったセメント表面にボイドを抜きながら貼付けた。冷却後、離型紙をはぎ取った。この作業については、特に煩わしくもなく、また臭気など特に安全衛生上についても問題はなかった。さらに1週間後には、特に加熱することもなく常温で硬化し、硬化特性、硬化後の表面状態は良好であった。
・A成分;エポキシ化合物(エピコート828とエピコート1001の7対3の混合物:油化シェルエポキシ(株)製)100重量部
・B成分;融点60℃のパラフィンワックス(日本石油(株))を5重量%被覆し、エチレンジアミンを15重量%吸着させたパウダー状のモレキュラシーブス5A(平均粒子径4μm、孔径5Å:ユニオン昭和(株)製)36重量部
・C成分;エチレングリコール2重量%
実施例2
以下のA、BおよびC成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたピッチ系炭素繊維(強度370kg/mm2、引張弾性率40t/mm2)に含浸し、炭素繊維目付100g/m2、樹脂含有率45wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグを実施例1と同様に評価したところ、表に示すように、保存安定性、貼付作業性、安全衛生上、硬化特性、硬化後の表面状態は良好であった。
・A成分;エポキシ化合物(エピコート828とエピコート1001の7対3の混合物:油化シェルエポキシ(株)製)100重量
・B成分;融点80℃のパラフィンワックス(日本石油(株))を7重量%被覆し、トリエチレンテトラミンを20重量%吸着させたパウダー状の珪藻土(クリスバールPW−20:平均粒子径約6μm、孔径30〜200Å:日鉄鉱業(株)製)50重量部
・C成分;グリセリン3重量%
比較例1
以下のAおよびB成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率48wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは、保存安定性は良好であった。このプリプレグを実施例3と同様に評価を行ったところ、表2に示すように、貼付作業性については、特に煩わしくもなく、また臭気など特に安全衛生上についても問題はなかった。しかし、3週間後においても常温では未硬化であった。
・A成分;エポキシ化合物(エピコート828とエピコート1001の7対3の混合物:油化シェルエポキシ(株)製)100重量部
・B成分;エチレンジアミンを15重量%吸着させたパウダー状のモレキュラシーブス5A(平均粒子径4μm、孔径5Å:ユニオン昭和(株)製)36重量部
比較例2
実施例1で用いたAおよびC成分、さらに以下のB成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率48wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは、表1に示すように、保存安定性が非常に悪く、1週間後には硬化していたことから、プリプレグをセメントに貼付けることはできなかった。
・A成分;100重量部
・B成分;エチレンジアミンを15重量%吸着させたパウダー状のモレキュラシーブス5A 36重量部
・C成分;エチレングリコール2重量部
比較例3
エポキシ系プライマー処理を行ったセメント表面に、以下のD成分を約0.5mm厚に刷毛を用いて、均一に塗布したのち、120℃硬化タイプのピッチ系炭素繊維プリプレグ(繊維:強度370kg/mm2、引張弾性率40t/mm2、炭素繊維目付100g/m2、樹脂含有率33wt%)を貼付けて、実施例1と同様の評価を行った。このプリプレグは、表1に示すように保存安定性がよく、貼付作業性は特に問題は生じなかったが、トルエンを用いていたことから、臭気が激しく安全衛生性については問題があった。この複合材料は、1週間後では、未硬化のところがかなりあり、表面はボイドも見られた。
・D成分;エポキシ化合物(エピコート828)とエチレンジアミンの100対7の混合物を80重量%含有するトルエン溶液
Figure 2004256824

Claims (2)

  1. 下記A、B及びC成分を必須成分とすることを特徴とする低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
    A;一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つエポキシ化合物
    B;活性水素を有するアミン類化合物を吸着しており、その周囲全体または一部分を融点または軟化点が40〜100℃の有機高分子で被覆された包接化合物
    C;B成分の包接化合物に対して、アミン類化合物の追い出し剤となりうる化合物
  2. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を繊維に含浸していることを特徴とする低温硬化型プリプレグ。

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