JP2004256670A - 芳香族ポリアミド組成物、その成形体およびその製造方法 - Google Patents

芳香族ポリアミド組成物、その成形体およびその製造方法 Download PDF

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Susumu Honda
勧 本多
Rei Nishio
玲 西尾
Hideaki Nitta
英昭 新田
Satoshi Omori
智 大森
Shunichi Matsumura
俊一 松村
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Abstract

【課題】耐熱性、機械的物性および熱寸法安定性等に優れた芳香族ポリアミド組成物、それからなる成形体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族ポリアミド100重量部と主たる成分がパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカー0.1〜20重量部とから構成されることを特徴とする芳香族ポリアミド組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド組成物、それからなる成形体およびポリアミド組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、機械的物性、熱寸法安定性、耐熱性に優れた剛直系ポリイミドウィスカーを補強成分として均一に含有することで物性が改善された芳香族ポリアミド、それからなる成形体およびポリアミド組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリアミドはその高い耐熱性や機械的物性から幅広く開発がなされている。とりわけ全芳香族ポリアミドは剛直構造から特に高い耐熱性や機械的物性を発揮することが期待され、繊維・フィルム等への工業的利用が広く進められている。一方で、そのような芳香族ポリアミドの物性をさらに向上することにより、優れた高機能材料の開発も切望されている。
【0003】
近年高機能化の一つの手法として複合材料が注目されている。そのためプラスチック材と補強剤として、カーボンファイバーなどの高強度高弾性の繊維とを組み合わせたFRPなどの複合材料の開発も盛んに行われるようになり、広く実用に供されている。
【0004】
これらの複合材の強度は、マトリックスとなるプラスチック、および補強材として用いた繊維自身の強度のほかに、繊維とマトリックス樹脂との界面接着性に大きく影響されることが知られている。また、繊維強化プリフォームへのマトリックス樹脂の含浸性の良不良も、製造の観点のみならず製品の強度に影響してくこのような事情から、材料として高強度、高弾性を示す繊維または樹脂を用いても、必ずしも強度に優れた複合材を得ることができるとはかぎらない。
【0005】
上記の問題を解決する方法として、繊維長をコントロールすることができる有機高分子ウィスカーが知られている。ウィスカーは一般にアスペクト比(軸比)が10以上の短繊維であり、一次元的な補強効果しか示さないグラファイト、アラミド繊維とは異なり、そのアスペクト比を調製することで長さ100μm以上、太さ5μm以下の均一な短繊維に成形可能で、そのため被強化素材を二次元的かつ等方的に強化することができる。さらに、高分子ウィスカーは、従来のチタン酸バリウム等の無機系ウィスカーと比べて軽比重であり、高い比強度を発現することができる。従来高分子ウィスカーとして、ポリ(オキシメチレン)や特定のエポキシ、ポリエステル、ポリウレタン系樹脂が報告されているが、これらは低融点であり、強化剤として耐熱性に課題があった。
【0006】
上記の問題を解決する耐熱性高分子ウィスカーとして、ポリ(p−オキシベンゾイル)、ポリ(2−オキシ−6−ナフトイル)、ポリ(p−メルカプトベンゾイル)の高分子ウィスカーが報告されている。(特許文献1〜4参照)これら高分子ウィスカーの製造方法としては、対応するモノマーを高沸点パラフィン溶媒中、希薄条件下に高温溶液重合することで溶液からウィスカー結晶として析出、単離する方法である。
【0007】
一方、耐熱性高分子の一つとしてポリイミドが知られており、その高い耐熱性や機械的物性から幅広く開発が成されている。とりわけ全芳香族ポリイミドはその剛直構造から特に高い耐熱性や機械的物性を発揮することが期待されている。そのような芳香族ポリイミドウィスカーの製造方法としては、モノマー成分である酸とアミンからなる塩をウィスカー結晶化しておき、これを結晶状態で重合する方法が知られている。(特許文献5参照)
しかし、従来技術においては、ポリパラフェニレンピロメリットイミドのような機械的物性に優れた剛直ポリイミドの場合、酸とアミンからなる塩の水への溶解性が低いため、ウィスカー結晶化を行うことは困難であり、ポリイミドウィスカーを形成することは困難である。またポリイミドウィスカーを補強剤として用いた複合材料については知られておらず、これまでポリイミドウィスカーを補強剤として用いて、物性が向上した複合体については知られていない。
【0008】
【特許文献1】
特開昭61−285217号公報 頁1〜4
【0009】
【特許文献2】
特開昭61−136516号公報 頁1〜2
【0010】
【特許文献3】
特開昭61−276819号公報 頁1〜5
【0011】
【特許文献4】
特開平6−80781号公報 頁1〜2
【0012】
【特許文献5】
特開平5−32498号公報 頁2
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり耐熱性、機械的物性および熱寸法安定性等に優れた芳香族ポリアミド組成物、それからなる成形体およびその製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、補強成分としてポリパラフェニレンピロメリットイミドを主成分とする剛直ポリイミドウィスカーを用いることで、耐熱性、機械的物性および熱寸法安定性にすぐれた均一な芳香族ポリアミド組成物およびそれからなる成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0015】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1. 芳香族ポリアミド100重量部と主たる成分が下記式(1)
【0016】
【化2】
Figure 2004256670
【0017】
で示されるパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカー0.1〜20重量部とから構成されることを特徴とする芳香族ポリアミド組成物。
2. ポリイミドウィスカーが上記式(1)で示されるパラフェニレンピロメリットミド100%からなる上記1記載の芳香族ポリアミド組成物。
3. 芳香族ポリアミド溶液とポリイミドウィスカー分散溶液を均一に混合した後、混合溶媒の溶媒を除去することで得られる上記1または2記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
4. 上記に記載の芳香族ポリアミド組成物から得られる繊維状成形体。
5. 上記に記載の芳香族ポリアミド組成物から得られるフィルム状成形体。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における芳香族ポリアミド組成物は、芳香族ポリアミドと下記式(1)
【0019】
【化3】
Figure 2004256670
【0020】
で示されるパラフェニレンピロメリットイミドを主成分とする芳香族ポリイミドウィスカーとから構成され、かつ芳香族ポリイミドウィスカーの割合が0.1〜20重量%である。芳香族ポリイミドウィスカーの割合が0.1重量%未満の場合、補強材としての効果が小さく好ましくない。
【0021】
また本発明における芳香族ポリアミド組成物がポリイミドウィスカー0.1〜20重量部と少量であっても芳香族ポリアミドの物性、とくに機械物性および熱寸法安定性をさらに向上させる特徴を有する。
【0022】
本発明におけるポリイミドウィスカーの化学式としては化学式(1)の重合単位を全体の55モル%〜100モル%有するポリイミドである。55モル%以下であればその直線性結晶性が損なわれ、ウィスカーを形成するのが困難となる。パラフエニレンピロメリットイミドは、非常に高い理論弾性率を有する構造であるため、化学式(1)の重合単位を多く含有するほど結晶性が向上し、ウィスカーを形成しやすくなることが期待されるからである。化学式(1)の重合単位の含有量としては、好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは55%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上であり、もっとも好ましくは100%である。
【0023】
酸無水物成分としては化学式(2)
【0024】
【化4】
Figure 2004256670
【0025】
(式中Rは少なくとも4価の有機基を表す)
で示される酸無水物の中から選択され、およびジアミン成分としては化学式(3)
【0026】
【化5】
Figure 2004256670
【0027】
(式中R脂肪族もしくは芳香族一般)
で示されるジアミンの中から選択される。
【0028】
パラフェニレンピロメリットミド100%からなるポリイミドはピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンから得ることができる。パラフェニレンピロメリットミド以外の成分を含むポリイミドの場合、ピロメリット酸二無水物以外の酸無水物の具体例としては1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、等が挙げられるがこれに限るものではない。
【0029】
またパラフェニレンピロメリットミド以外の成分を含むポリイミドの場合、p−フェニレンジアミン以外のジアミンの具体例としてはm−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、2,7−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノアントラセン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ(m−キシレン)、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノトルエンベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)アミンビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミンビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミンビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、1,1−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
【0030】
これらは単独で用いてもよいが複数用いてもよい。
【0031】
本発明におけるポリイミドウィスカーは、TEMで観察した際の短軸の長さである径dが
0.5nm < d < 50nm
である。0.5nmより大きなウィスカー径とすることが弾性率発現のためには好ましい。これはポリイミド分子が完全に分子分散しているのではなく、部分凝集してウィスカーの構造を形成していることを示している。また50nmより小さなウィスカー径とすることで、成形品の表面性を損なわないため好ましい。ウィスカー径の範囲としては1nm〜40nmがさらに好ましく、2nm〜35nmがより好ましい。
【0032】
また本発明のポリイミドウィスカーの長さはdの5倍以上である。5倍以上とすることが補強効果の点で好ましい。本発明のポリイミドウィスカーの製造方法では、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が濃度0.05〜30重量%の状態で酸無水物を用いてイミド化する。
【0033】
以下、本発明のポリイミドウィスカーの製造方法を詳述する。
【0034】
ポリアミド酸の重合体は、溶液中ジアミンと酸との反応から得られる。
ポリアミド酸の重合に際しては酸成分として主たる成分すなわち55モル%以上をピロメリット酸二無水物として用いる。55モル%以下の場合、目的とする高弾性率を発揮するポリイミドフィラーを得ることが困難である。その他の酸成分としては先述のとおりである。ジアミン成分としては、50%モル以上のパラフェニレンジアミンを用いる。50モル%未満の場合、目的とする高弾性率を発揮するポリイミドフィラーを得ることが困難である。好ましくは55%モル以上のパラフェニレンジアミンを用いる。その他のジアミン成分として先述のとおりである。
【0035】
またポリアミド酸を重合する際の溶媒としてはポリアミック酸を分解することなく良好に溶解するものであれば何でもよく、具体例としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系の非プロトン性極性溶媒、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア、1,3−ジプロピルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチルスルホン、などの非プロトン性極性溶媒、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン,4−ピコリン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,6−ルチジン、などの複素芳香族化合物、クレゾール類、エチレングリコール、テトラメチレングリコールなどのジオール類などが挙げられる。
【0036】
なおこれらの溶媒は四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機ハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、ベンゾニトリル、キシレン、ソルベントナフサ、およびジオキサンのような他の溶媒と混合して使用することもできる。
【0037】
この発明におけるポリアミド酸を得るためには前記の有機溶媒中、ジアミンの使用量を、酸無水物のモル数に対する比を制御することによりその分子量をコントロールすることが可能となる。好ましいモルバランスとしては酸無水物成分1モルに対して、ジアミン成分0.6〜1.4モルである。0.6モル以下もしくは1.4以下の場合モルバランスが大きく崩れておりであれば分子量が低すぎて繊維状態を形成しにくく好ましくない。
【0038】
このポリマーにおいてポリマーの末端を封止するために、ポリイミドの重合に対して1官能性基として作用する化合物を使用することが好ましい。酸成分としては、炭素数8〜20の酸無水物の構造を1つだけ有する酸無水物、例えば、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物およびその置換体、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物およびその置換体などを例示することができる。アミン成分としては炭素数1〜20のアミノ基を1つだけ有する化合物、例えば、メチルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、アミノジフェニル、アミノナフタレンおよびその置換体が挙げられる。
【0039】
重合時の濃度としては、0.05〜30重量%が好ましい。重合時の濃度が0.05重量%以下の場合には、溶媒除去に多くのコストがかかったり、生産性が低くなるために好ましくない。30重量%以下とすることで重合時の急激な発熱を抑制させることが可能となるため好ましい。重合時の濃度としては0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がさらに好ましい。
【0040】
また重合反応温度としては−10℃〜50℃が好ましく、さらに好ましくは−10〜30℃である。低温で反応させることにより、加水分解による分子量の低下、また末端封鎖の不完全を抑制することが可能となるが、温度が低すぎる場合にはモノマーの溶解度、特に酸無水物の溶解性が高くないため、反応が進行しない場合があり好ましくない。
【0041】
こうして得られたポリアミド酸溶液に脱水縮合剤を添加することで溶液中イミド化を行う。
【0042】
この時縮合剤としては、無水酢酸、無水安息香酸、トリフルオロ酢酸二無水物といった酸無水物;ホスゲン、塩化チオニル、塩化トシル、塩化ニコチル等の塩化物;三塩化リン、亜リン酸トリフェニル、ジエチルリン酸シアニドのようなリン化合物;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなN,N’−2置換カルボジイミドといった縮合剤上げることができる。脱水縮合剤の使用量は、ポリアミド酸を十分にイミド化する量であればよい。アミド酸結合1モルに対して、0.8モル〜50モルであり、好ましくは、0.9モル〜30モルであり、さらに好ましくは、1モルから10モルである。
【0043】
また脱水縮合反応に際してアミン触媒を用いてもよい。アミン触媒としてはまたさらに縮合反応の進行を容易にするために、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミンといった三級脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、1,8−ビス(N,Nージメチルアミノ)ナフタレンの如き芳香族アミン、ピリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、N,Nージメチルアミノピリジンの如き複素環式化合物が反応促進剤として挙げられる。例えばトリエチレンジアミンアミン、N,Nージメチルアミノピリジンを用いた場合溶液中でのイミド化を早くすることが可能である。触媒の添加量としては特に規定するものではないが脱水縮合剤に対して0.005モル等量%〜100モル等量%である。
【0044】
脱水縮合反応時のポリアミド酸濃度としては0.05〜30重量%であることが好ましい。反応時の濃度が0.05重量%以下の場合には、生産性が低くなるために好ましくない。30重量%以下とすることで分子鎖の絡まりを抑制し、繊維状ポリイミドウィスカーを作成することが可能となる。反応時の濃度としては0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がさらに好ましい。
【0045】
脱水縮合剤とポリアミド酸の反応温度としては十分に反応が進行する温度範囲であればよく特に規定するものではないが概ね−10〜220℃である。またこの際十分に分散させることが好ましい。分散方法としては特に規定するものではないが高速攪拌・超音波処理・高せん断の分散設備などを利用してもよい。こうして樹脂の耐熱性や弾性率といった諸物性向上に有効なポリイミドウィスカーが得られる。
【0046】
このようにして得られるポリイミドウィスカーは遠心分離して取り出すことができる。これをそのままフィラーとして添加したり、再度他の溶媒に分散して成形に供することもできるが、反応によって得た分散溶液をそのまま成形用溶液として用いることができる。再度分散させる際に用いる溶媒としては、ポリイミドウィスカーを分散するものであれば特に限定はされないが、上記ポリアミド酸の重合に使用される溶媒の他に、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物、硫酸、ポリリン酸、メタンスルホン酸等も使用することができる。
【0047】
本発明における芳香族ポリアミドは、溶液中でのジカルボン酸ジクロライドとジアミンとの低温溶液重合、界面重合から得ることができる。具体的に本発明において使用される芳香族ジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン、2−クロルp−フェニレンジアミン、2,5−ジクロルp−フェニレンジアミン、2,6−ジクロルp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン等を挙げることがこれらに限定されるものではない。
【0048】
中でもジアミン成分として、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンおよび3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
【0049】
また、具体的に本発明において使用されるジカルボン酸クロライド成分としては、例えばイソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドなど挙げられる。芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸クロライドともこれらに限定されるものではない。中でもジカルボン酸クロライド成分として、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドが好ましい。
【0050】
また芳香族ポリアミドを重合する際の溶媒としては具体的にN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム等の有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物等があげられる。これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されることはない。該溶媒は脱水されていることが望ましい。
【0051】
この場合、溶解性を挙げるために重合前、途中、終了時に一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩として例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
【0052】
本発明における芳香族ポリアミド溶液のポリマー濃度は0.1〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%が好ましい。
【0053】
また、芳香族ポリアミドを製造する際、これらのジアミン成分と酸クロライド成分は、ジアミン成分対酸クロライド成分のモル比として好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05で、用いることが好ましい。
【0054】
この芳香族ポリアミドの末端は封止されることもできる。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、例えばフタル酸クロライドおよびその置換体、アミン成分としてはアニリンおよびその置換体が挙げられる。
【0055】
一般に用いられる酸クロライドとジアミンの反応においては生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩を併用できる。
【0056】
反応の終了後、必要に応じて塩基性の無機化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し中和反応する。
【0057】
反応条件は特別な制限を必要としない。酸クロライドとジアミンとの反応は、一般に急速であり、反応温度は例えば−25℃〜100℃好ましくは−10℃〜80℃である。
【0058】
このようにして得られる芳香族ポリアミドはアルコール、水といった非溶媒に投入して、沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。これを再度他の溶媒に溶解して成形に供することもできるが、重合反応によって得た溶液をそのまま成形用溶液として用いることができる。
【0059】
本発明において、芳香族ポリアミド組成物の製造方法として特に限定はされないが、芳香族ポリアミド溶液とポリイミドウィスカー分散溶液の状態でブレンドすることが良好にポリイミドウィスカーが分散するため好ましい。例えば芳香族ポリアミド溶液とポリイミドウィスカー分散溶液を溶液ブレンドし、所望の形に成形し、溶媒を除去することによって得られる。
【0060】
工程(1)において、得られる芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーのブレンド溶液は均一な混合溶液として得られる。また、芳香族ポリアミド溶液とポリイミドウィスカー分散溶液のブレンド溶液に使用される溶媒としては、上記の芳香族ポリアミドおよびポリイミドウィスカーの作製溶媒、溶解および分散させることができる溶媒を使用することができ、これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されることはない。成形上、芳香族ポリアミド溶液とポリイミドウィスカー分散溶液に使用される溶媒は同一であることが好ましい。
【0061】
また、ブレンド溶液中における芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーの割合としては、芳香族ポリアミド100重量部に対してポリイミドウィスカーは芳香族ポリイミドに換算して0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0062】
またブレンド溶液のポリマー濃度、すなわち芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーの合計の濃度は0.1〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%が好ましい。
【0063】
工程(2)、(3)において工程(1)により得られたブレンド溶液を用いて、湿式法もしくは乾式法により繊維・フィルムに成形し、溶媒を除去することにより、本発明の芳香族ポリアミド組成物およびそれからなる成形体を製造することができる。また、得られた成形体を延伸または、熱処理することによりさらに物性が向上する。
【0064】
【発明の効果】
本発明における芳香族ポリアミド組成物は、補強剤である剛直ポリイミドウィスカーが芳香族ポリアミドマトリクス中に均一に分散していることにより、補強成分が少量でも高機能材料である芳香族ポリアミドの物性、とくに機械物性および熱寸法安定性をさらに向上させることを可能とした。
【0065】
【実施例】
以下、実施例により本発明方法をさらに詳しく具体的に説明する。ただしこれらの実施例は本発明の範囲が限定されるものではない。
【0066】
強伸度測定は50mm×10mmのサンプルを用い、引張り速度5mm/minで行いオリエンテックUCT−1Tによって測定を行ったものである。TEM(Transmission Electron Microscopy)は日立製作所 H−800を用いて測定した。またTEM写真から繊維状フィラーの径をはかりその平均を平均径として算出した。赤外吸収スペクトル:ニコーレジャパン製のIR Magna−750を用いてKBr錠サンプルを作成し測定した。熱膨張係数の測定は、TAインストルメント製TA2940を用いて50〜200℃の範囲で測定し、セカンドスキャンの値を熱膨張係数として用いた。
【0067】
[実施例1]
1)芳香族ポリアミドの重合
温度計・撹拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)400mLを入れ、パラフェニレンジアミン(PPD)(4.715g 0.0872×0.5mol)と3、4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−DAPE)(8.7302g 0.0872×0.5mol)を添加し、溶解するまで室温で攪拌した。溶解した後、上記溶液を0℃まで冷却し、テレフタル酸ジクロライド(17.7042g 0.0872mol)を一度に添加し、室温で30分攪拌、70℃まで昇温後、1時間攪拌した。次に水酸化カルシウム(6.4616g0.0872mol)を添加し、激しく攪拌し、バス温度を90℃まで昇温後、1時間攪拌して反応を終了し、最終的なポリマー濃度は6重量%の芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0068】
2)ポリイミドウィスカーの調整
温度計・撹拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)600mLを入れ、さらにパラフェニルジアミン0.21gを加えて完全に溶解した後、氷浴下0℃まで冷却した。この冷却したジアミン溶液に無水ピロメリット酸二無水物0.41gと無水フタル酸0.057gを添加し反応せしめた。氷浴下その後8時間反応させた。こうして得られたポリアミド酸溶液にトリエチレンジアミン0.043gを添加し完全に溶解させた後、60℃まで加熱し無水酢酸1mlとNMP40mLからなる溶液を高速攪拌下滴下した。この後10時間10℃で加熱することで目的とするポリイミドウィスカーが得られた。TEM写真で観察した結果その平均径が20nmであった。またこの溶液から再沈殿で取り出したウィスカーをアセトンで洗浄した後減圧下80℃で乾燥したサンプルのIRを測定を実施したところ、イミドに特有な1780cm−1のピークと720cm−1のピークが観察された。
【0069】
3)芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカー分散溶液の混合
上記得られた芳香族ポリアミド溶液200gとポリイミドウィスカー分散溶液120gを窒素雰囲気下で混合し、均一になるまで30℃で攪拌を行い芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーの混合溶液を調整した。
【0070】
4)芳香族ポリアミド組成物の成形体
芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーの混合溶液を口金0.3mm、吐出温度30℃で50℃の30wt%NMP水溶液に吐出して得られた凝固糸を水洗、120℃で乾燥した後、500℃で最大延伸倍率の0.8倍で延伸することで芳香族ポリアミド組成物からなる繊維を得た。得られた繊維のデニルは5.9、引張強度は19.5g/d、引張弾性率は69.9GPaであった。
【0071】
[実施例2]
実施例1で得られた芳香族ポリアミド溶液200gとポリイミドウィスカー分散溶液240gを窒素雰囲気下で混合し、均一になるまで30℃で攪拌を行った後、蒸留により120gのNMPを留去し、芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーの混合溶液を調整した。得られた混合溶液を実施例1と同様に紡糸することにより、芳香族ポリアミド組成物からなる繊維を得た。得られた繊維のデニルは7.7、引張強度は23.4g/d、引張弾性率は70.4GPaであった。
【0072】
[比較例1]
実施例1で重合した芳香族ポリアミド溶液をNMPで希釈して、4wt%ドープを調製した。得られたドープを用いて実施例1と同様の条件で紡糸することで芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維のデニルは3.9、機械的強度は18.5g/d、引張弾性率は64.3GPaであった。
【0073】
このように芳香族ポリアミドマトリクス中に補強成分として剛直ポリイミドウィスカーを均一分散させることで、補強成分が少量でも、機械的物性の向上が達成された。
【0074】
[実施例3]
実施例2で用いた芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーからなる混合溶液を、ドクターブレード400μを用いて、ガラス基板上にキャストした後、80℃1時間、130℃1時間乾燥させた。得られた乾燥フィルムを氷水に浸漬し、剥離させ、金枠に固定し、80℃1時間、130℃1時間乾燥後、350℃で10分熱処理することで芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは10μm、熱膨張係数は20.9ppmであった。
【0075】
[実施例4]
実施例1得られた芳香族ポリアミド溶液200gとポリイミドウィスカー分散溶液600gを窒素雰囲気下で混合し、均一になるまで30℃で攪拌を行った後、蒸留により480gのNMPを留去し、芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーの混合溶液を調整した。得られた混合溶液を、ドクターブレード400μを用いて、ガラス基板上にキャストした後、80℃1時間、130℃1時間乾燥させた。得られた乾燥フィルムを氷水に浸漬し、剥離させ、金枠に固定し、80℃1時間、130℃1時間乾燥後、350℃で10分熱処理することで芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは10μm、熱膨張係数は17.6ppmであった。
【0076】
[比較例2]
実施例1で重合した芳香族ポリアミド溶液をNMPで希釈して、4wt%ドープを調製した。得られたドープを、ドクターブレード400μを用いて、ガラス基板上にキャストした後、80℃1時間、130℃1時間乾燥させた。得られた乾燥フィルムを氷水に浸漬し、剥離させ、金枠に固定し、80℃1時間、130℃1時間乾燥後、350℃で10分熱処理することで、芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは10μm、熱膨張係数は22.0ppmであった。
【0077】
[実施例5]
実施例1で作製したポリイミドウィスカー溶液100gをアイスバスで冷却し、固有粘度1.35dl/gのポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)10gを冷却下添加し、分散させた後、熱をかけてポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)を溶解し、芳香族ポリアミドとポリイミドウィスカーの混合溶液を調整した。得られた混合溶液を、ドクターブレード400μを用いて、ガラス基板上にキャストした後、80℃1時間、130℃1時間乾燥させた。得られた乾燥フィルムを氷水に浸漬し、剥離させ、金枠に固定し、80℃1時間、130℃1時間乾燥後、350℃で10分熱処理することで芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは30μm、熱膨張係数は21.1ppmであった。
【0078】
[比較例3]
NMP100gをアイスバスで冷却し、固有粘度1.35dl/gのポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)10gを冷却下添加し、分散させた後、熱をかけてポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)を溶解し、芳香族ポリアミド溶液を調整した。得られた混合溶液を、ドクターブレード400μを用いて、ガラス基板上にキャストした後、80℃1時間、130℃1時間乾燥させた。得られた乾燥フィルムを氷水に浸漬し、剥離させ、金枠に固定し、80℃1時間、130℃1時間乾燥後、350℃で10分熱処理することで芳香族ポリアミド組成物からなるフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは30μm、熱膨張係数は47.9ppmであった。
【0079】
実施例3と4と比較例2および実施例5と比較例3を比較して明らかなように、芳香族ポリアミドマトリクスに補強成分として、剛直ポリイミドウィスカーを均一に分散することで、少量でも熱寸法安定性が飛躍的に向上することがわかった。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリアミド100重量部と主たる成分が下記式(1)
    Figure 2004256670
    で示されるパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが0.5nm < d < 50nm
    であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカー0.1〜20重量部とから構成されることを特徴とする芳香族ポリアミド組成物。
  2. ポリイミドウィスカーが上記式(1)で示されるパラフェニレンピロメリットミド100%からなる請求項1記載の芳香族ポリアミド組成物。
  3. 芳香族ポリアミド溶液とポリイミドウィスカー分散溶液を均一に混合した後、混合溶媒の溶媒を除去することで得られる請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド組成物の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド組成物から得られる繊維状成形体。
  5. 請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド組成物から得られるフィルム状成形体。
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