JP2594396B2 - ポリイミド成形品 - Google Patents

ポリイミド成形品

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JP2594396B2 JP50136291A JP50136291A JP2594396B2 JP 2594396 B2 JP2594396 B2 JP 2594396B2 JP 50136291 A JP50136291 A JP 50136291A JP 50136291 A JP50136291 A JP 50136291A JP 2594396 B2 JP2594396 B2 JP 2594396B2
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正司 玉井
正博 太田
彰宏 山口
益巳 猿渡
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三井東圧化学株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は新規なポリイミドからなるポリイミド成形品
すなわちポリイミド繊維ならびにポリイミドフィルムに
関する。
背景技術 芳香族ポリイミドは有機ポリマーの中で最高級の耐熱
性に加え、優れた機械物性、耐溶剤性を有しており、例
えばビス(4−アミノフェニル)エーテルとピロメリッ
ト酸二無水物とからなるポリイミド(duPout,社製;商
標KAPTON,Vespel)は、それらの特徴を生かしてフィル
ムや成形物の形態で実用化されている。これらポリイミ
ドのうちでも芳香族ジアミンとピロメリット酸二無水物
とからなるポリピロメリットイミドはポリマー構造が直
鎖状であり高結晶性であるため高強度、高弾性率繊維素
材としての可能性を有しているにもかかわらずポリピロ
メリットイミドからなるポリイミド繊維の研究は、M.M.
Koton.Polym.Sci.USSR.21.2756(1980)に見られるにす
ぎない。しかも得られたポリイミド繊維のうち、比較的
高強度であるポリ(4,4′−ビフェニリレンピロメリッ
トイミド)繊維でもその強度は6.9g/dにすぎない。これ
は従来のポリピロメリットイミドが加工性に乏しいため
に溶融紡糸できず、またほとんどの薬品に不溶であり、
そのために乾式紡糸もできず、ポリイミドの前駆体であ
る不安定なポリアミド酸の形態で湿式紡糸して、ついで
熱水延伸後、熱環化させてポリイミド繊維を製造する湿
式紡糸法でしか繊維化することができなかったためであ
る。
また最近、神田ら〔繊学誌,40T−480(1980)〕は、
ポリピロメリットイミドの高結晶性を犠牲にして、ポリ
イミドの延伸性の向上をはかり、テトラカルボン酸二無
水物成分として酸無水物中にエーテル結合や、カルボニ
ル結合の屈曲性の基を導入したビス(3,4−ジカルボキ
シフェニル)エーテル無水物や3,3′,4,4′−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物を用い、またジアミン
成分として2−クロロベンジジンや2−クロロ−p−フ
ェニレンジアミンを用いた低結晶性のポリイミドによる
繊維化を検討して、強度19.7g/dのポリイミド繊維を製
造している。
しかしながら延伸性向上のために、結晶性を低下させ
る構造を導入しているので弾性率が1380g/dと低く、耐
熱性繊維としての総合的な性能は充分満足のゆくもので
はない。またポリマー構造上、さらに高弾性の期待でき
るベンジジンとピロメリット酸二無水物とからなる高結
晶性のポリピロメリットイミドから得られるポリイミド
繊維は強度7.7g/d、弾性率は880g/dと低いものであっ
た。これも従来のポリピロメリットイミドの加工性が劣
るため前駆重合体であるポリアミド酸を一部化学イミド
化した後に紡糸して、その後熱処理延伸しポリイミド繊
維化を行う乾湿式法でしか繊維化できなかったからであ
る。
これら問題点を解決するために、本発明者らはすで
に、ポリピロメリットイミドの高結晶性を損なうことな
くしかも溶融紡糸可能な、下記の式(II)で表される新
規なポリイミドを見出し(特開昭62−205124)、高強
度、高弾性率のポリイミド繊維を得ている(特開昭63−
211319)。
しかしながら、上記の式(II)で表されるポリイミド
は結晶融解温度(Tm)が388℃と高く、繊維化をはじめ
とする成形加工の際、400℃近くの高温において加工し
なければならないという成形加工上の問題点を有してい
た。すなわち、式(II)で表される繰返し構造単位を有
する高耐熱性結晶性ポリイミドについて、結晶性を損な
うことなく更に成形加工性を改善することが望まれてい
た。
一方、同様の理由により上記のビス(4−アミノフェ
ニル)エーテルとピロメリット酸二無水物とからなる従
来のポリイミドは溶融成形ができないため、フィルムに
成形加工する際は、前駆体であるポリアミド酸を流延
し、溶媒除去後、熱処理する、いわゆる溶液流延法でフ
ィルムが製造されている。そのため、生産性も悪く、コ
ストも高いという問題点を有していた。
近年、これらのポリイミドの成形加工性を向上する目
的で熱可塑性ポリイミドの研究が多く行われている。そ
の1つが下式(a)で表される非晶性のポリエーテルイ
ミドである。
このポリエーテルイミドはTgが215℃と低く、Tg以上
の温度で軟化し、変形させることはできるが、ハンダ耐
熱性がなく、また、溶媒の影響を受けやすいという欠点
を有している。また、例えば特開昭62−205124号公報に
開示されている式(II) で表される繰返し構造単位を有する新規な結晶性ポリイ
ミドが溶融成形可能であり、しかも高強度、高弾性率の
特性を合せもつ高耐熱性で耐薬品性に優れたものである
が、結晶性を有するためにTm以上の温度で溶融成形する
必要があり溶融押出しフィルム化に際して成形温度が40
0℃付近の高温が必要であるため、フィッシュアイ及び
ダイラインを併発しやすく、良好なフィルムを得るには
高度な成形加工技術を必要とするという問題点を有して
いた。
また、結晶化速度が制御できないため、延伸フィルム
を得る際に、延伸条件は非常に狭い範囲に限られたもの
であった。
本発明者らは前記の式(II)で表されるポリピロメリ
ットイミドの高結晶性を損なうことなく、結晶化速度の
みを制御する方法を開発したことにより(特願平01−09
0674)、成形加工性良好で溶融紡糸可能な新規ポリイミ
ドを見出し、本発明に至った。
発明の開示 本発明の目的は、成形加工性良好な高結晶性の新規な
ポリイミドからなる高強度、高弾性率の成形品すなわち
ポリイミド繊維ならびにポリイミドフィルムを提供する
ことにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討し
た結果、下記の式(I)で表されるポリイミドから、高
強度、高弾性率の成形品すなわちポリイミド繊維ならび
にポリイミドフィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明は下記の式(I) (式中、Q1およびQ2は脂肪族基、環式脂肪族基、単環式
芳香族基、縮合多環式芳香族基ならびに、芳香族基が直
接または架橋員により連結された非縮合環式芳香族基か
らなる群より選ばれた基であり、Q1は2価の基、Q2は4
価の基である) で表される繰返し構造単位を含有してなるポリイミドで
あって、その中の85モル%以上が、下記の式(II) で表される繰返し単位を、0.5〜15モル%が式(II)を
除く下記の式(III),(IV)および/または(V) (式(III)〜(V)において、R1およびR2は、脂肪族
基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
基ならびに芳香族基が直接または架橋員により連結され
た非縮合環式芳香族基からなる群より選ばれた基であ
り、R1は2価の基、R2は4価の基である) で表される繰返し構造単位を含有し、かつ上記の各々
の繰返し構造単位を有する各ポリイミドの分子末端が、
無水フタル酸または無水フタル酸を必須成分として含む
下記式 (式中Xは、直接結合、−O−,−S−,−SO−,−SO
2−,−CH2−,−CO−, であり、Yは直接結合、−O−,−S−,−SO−,−SO
2−,−CH2−,−CO−, を意味する) で表される少なくとも一種のジカルボン酸無水物で封止
されたポリイミドを溶融成形して得られることを特徴と
するポリイミド成形品すなわちポリイミド繊維ならびに
ポリイミドフィルムである。
発明を実施するための最良の形態 本発明におけるポリイミドは、下記の式(VI) で表される4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフ
ェニルと下記の式(VII) で表されるピロメリット酸二無水物を縮合させるに際し
て、下記一般式(VIII) H2N−R1−NH2 (VIII) (式中、R1は脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族
基、縮合多環式芳香族基、ならびに芳香族基が直接また
は架橋員により連結された非縮合環式芳香族基からなる
群より選ばれた2価の基を示す) で表されるジアミン化合物(ただし、式(VI)で示され
るジアミン化合物を除く)および/または下記一般式
(IX) (式中、R2は脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族
基、縮合多環式芳香族基、ならびに芳香族基が直接また
は架橋員により連結された非縮合環式芳香族基からなる
群より選ばれた4価の基を示す) で表されるテトラカルボン酸二無水物(ただし、式(VI
I)で示されるピロメリット酸二無水物を除く)の共存
下に縮合させて得られるポリイミドであり、上記の一般
式(VIII)で表されるジアミン化合物および/または一
般式(IX)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、主
原料である式(VI)で示される4,4′−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ビフェニルおよび/または式(VII)で
表されるピロメリット酸二無水物に対して1〜30モル%
の範囲であり、かつ一般式(VIII)で表されるジアミン
化合物および/または一般式(IX)で表されるテトラカ
ルボン酸二無水物の総モル数が使用される全モノマーの
モル数の0.5〜15モル%の範囲で共存させることによ
り、その量に応じて結晶化の速度のみを自由に制御しう
る高結晶性のポリイミドである。
かつまた本発明におけるポリイミドは上記の式(II)
で表わされるポリイミドと同様な耐熱性、結晶性および
熱可塑性を有している溶融紡糸あるいは溶融成形の可能
な高結晶性のポリイミドである。
本発明におけるポリイミドの主たる原料として使用さ
れる化合物は、上記の式(VI)で示される4,4′−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニルと式(VII)で表
されるピロメリット酸二無水物である。
また、本発明の方法で用いられる上記一般式(VIII)
で表されるジアミン化合物としては、式(VI)で表され
るジアミン化合物を除く次のような化合物、例えば、一
般式(VIII)において、R1が脂肪族基であり、好ましく
は炭素数2〜10の脂肪族基、特に好ましくはエチレンジ
アミン等:R1が環式脂肪族基であり、好ましくは式 (C,Dは炭素数0〜5の脂肪族基を表わし、C,Dは同一で
も異なっていてもよい)で表わされ、特に好ましくは1,
4−ジアミノシクロヘキサン等:R1が単環式芳香族基で
あり、好ましくは式 (A,Bは炭素数0〜5の脂肪族基を表わし、A,Bは同一で
も異なっていてもよい)で表わされ、特に好ましくはm
−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−
フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−
アミノベンジルアミン等:R1が縮合多環式芳香族基であ
り、好ましくは式 で表わされ、特に好ましくは2,6−ジアミノナフタレン
等:R1が直接連結された非縮合環式芳香族基であり、好
ましくは式 で表わされ、特に好ましくは4,4′−ジアミノビフェニ
ル等:R1が架橋員により連結された非縮合環式芳香族基
であり、式 (式中X1は、直接結合、−CH2−, −S−,−O−,−SO−,−SO2−,−CO−, であり、Y1は直接結合、 −S−,−O−,−SO−,−SO2−,−CO−, を意味する。) または 式 (式中Z1は、直接結合, −S−,−O−,−SO−,−SO2−,−CO−を意味す
る。)で表わされ、より好ましくはビス(3−アミノフ
ェニル)エーテル、(3−アミノフェニル)(4−アミ
ノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)エ
ーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3
−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィ
ド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3
−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニ
ル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−
アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェ
ニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノ
フェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スル
ホン、3,3′−ジアミノベゾフェノン、3,4′−ジアミノ
ベゾフェノン、4,4′−ジアミノベゾフェノン、3,3′−
ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニ
ルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、
1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]
エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3
−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−
アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシ
ド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ス
ルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−
アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼ
ン、4,4′−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベン
ゾイル]ジフェニルエーテル、4,4′−ビス[3−(3
−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテ
ル、4,4′−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチ
ルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4′−ビ
ス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フ
ェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4
−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホ
ン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノ
キシ}フェニル]ケトン等の化合物が例示され、これら
の化合物は単独または2種以上混合して用いられる。す
なわち、主原料として用いる式(VI)で示される4,4′
−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルを除くジア
ミン化合物を広く使用できる。これらの化合物の中で、
好ましくは、一般式(VIII)において、R1が架橋員によ
り連結された非縮合環式芳香族基であるジアミン化合物
を、さらに好ましくは架橋員が酸素である化合物、さら
に好ましくはビス(4−アミノフェニル)エーテルが多
用される。
好ましく使用される化合物を具体的に例示すれば、m
−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ビス
(3−アミノフェニル)エーテル、(3−アミノフェニ
ル)(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミ
ノフェニル)エーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等が
挙げられる。
また、本発明の方法で用いられる上記一般式(IX)で
表されるテトラカルボン酸二無水物としては、上記の式
(VII)で表されるピロメリット酸二無水物を除く化合
物、例えば、一般式(IX)において、R2が脂肪族基であ
り式 (式中nは0〜5を意味する。)で表わされ、より好ま
しくはエチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテト
ラカルボン酸二無水物:R2が環式脂肪族基であり式 (式中kおよびmは0〜3を意味し、k≠mの場合も含
む)で表わされ、より好ましくはシクロペンタンテトラ
カルボン酸二無水物等:R2が単環式芳香族基であり式 で表わされ、より好ましくは1,2,3,4−ベンゼンテトラ
カルボン酸二無水物等:R2が縮合多環式芳香族基であり
で表わされ、より好ましくは2,3,6,7−ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二
無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無
水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無
水物等:R2が芳香族基が直接連結された非縮合環式芳香
族基であり式 で表わされ、より好ましくは3,3′,4,4′−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物:R2が芳香族基が架橋員によ
り連結された非縮合環式芳香族基であり式 (式中X2は、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CH2
−,−CO−, または であり、Y2は−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CH2
−,−CO−, を意味する。) で表わされ、より好ましくは3,3′,4,4′−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水
物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無
水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二
無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン二無水物、2,2−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フロロプロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキ
シフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキ
シフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキ
シフェニル)エタン二無水物、4,4′−(p−フェニレ
ンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4′−(m−フェ
ニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物等の化合物が挙げ
られ、これらの化合物は単独または2個以上混合して用
いられる。すなわち、主原料として用いられる上記の式
(VII)で表されるピロメリット酸二無水物を除くテト
ラカルボン酸二無水物が広く使用できる。
これらの化合物の中で、好ましくは3,3′,4,4′−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4′−
(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が用い
られ、さらに好ましくは3,3′,4,4′−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物が多用される。
これらの上記一般式(VIII)で表されるジアミン化合
物および上記一般式(IX)で表されるテトラカルボン酸
二無水物は、本発明の方法において、副原料として反応
系に共存させる。これらの化合物は主原料と共存させて
反応させることによって、一般式(VI)で表される4,
4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルと一般
式(VIII)で表されるジアミン化合物とから構成される
ジアミン化合物類と、一般式(VII)で表されるピロメ
リット酸二無水物と一般式(IX)で表されるテトラカル
ボン酸二無水物とから構成されるテトラカルボン酸二無
水物類との間で数種のイミド繰返し構造単位を生成し、
これらが主原料である4,4′−ビス(3−アミノフェノ
キシ)ビフェニルとピロメリット酸二無水物とによる一
般式(II)で表される繰返し構造単位に複雑に導入され
て結合したポリイミドを生成しているものと考えられ
る。これらのポリイミド結合と構造については特定困難
であるが、副原料として使用するジアミン化合物および
/またはテトラカルボン酸二無水物の共存量を前記の範
囲内で変化させることによって、結晶化速度を自由に制
御して、本発明における成形加工性良好な、高結晶性の
ポリイミドが得られる。一般式(VIII)で表されるジア
ミン化合物と一般式(IX)で表されるテトラカルボン酸
二無水物は、いずれか一方を単独で使用しても、または
両種の化合物を適宜の割合で混合して使用してもよい
(以下、この意味の態様を示すために、「一般式(VII
I)で表されるジアミン化合物および/または一般式(I
X)で表されるテトラカルボン酸二無水物」と表示す
る。) 本発明の方法において、反応の副原料として使用され
る、一般式(VIII)で表されるジアミン化合物および/
または一般式(IX)で表されるテトラカルボン酸二無水
物の量は、主原料モノマーである一般式(VI)で表され
る4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルお
よび/または一般式(VII)で表されるピロメリット酸
二無水物に対して1〜30モル%の範囲であり、かつ副原
料として使用される一般式(VIII)で表されるジアミン
化合物および/または一般式(IX)で表されるテトラカ
ルボン酸二無水物の総モル数は使用される全モノマーの
モル数に対しては0.5〜15モル%の範囲である。
使用される全モノマーのモル数に対して使用される副
原料モノマーの総モル数が0.5モル%未満の場合は、一
般式(II)で表される繰返し構造単位を有してなるポリ
イミドの成形加工性改善の目的に合致しない。また、15
モル%を越えると一般式(II)で表される繰返し構造単
位を有してなるポリイミドの有する高結晶性を損なうこ
とになる。すなわち、副原料である添加モノマーの使用
量を主原料である4,4′−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ビフェニルおよび/またはピロメリット酸二無水物
に対して30モル%以下の範囲で、かつ副原料モノマーの
総モル数が全モノマーのモル数の0.5〜15モル%の範囲
で選択すれば、一定温度下において、希望する結晶化速
度で自由自在に高結晶性のポリイミドを得ることがで
き、成形加工性の改良および耐熱性の優れた成形加工物
が得られることを意味する。
本発明のポリイミドの製造方法は、まず、主原料であ
る4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルお
よびピロメリット酸二無水物と、副原料である上記の一
般式(VIII)で表されるジアミン化合物および/または
一般式(IX)で表されるテトラカルボン酸二無水物を反
応させて、ポリアミド酸を得る。
この反応の方法は、特に限定されるものではないが、
有機溶媒中で実施するのが好ましい。
この反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシア
セトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメ
チル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタ
ム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチ
ル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エ
タン、ビス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}エ
ーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−
ジオキサン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシ
ドジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチル
ホスホルアミド、フェノール、m−クレゾール、クレゾ
ール酸、p−クレゾール、o−クレゾール、p−クロロ
フェノール、アニソールなどが挙げられる。また、これ
らの有機溶媒は単独または2種以上混合して用いても差
し支えない。
反応温度は、通常200℃以下、好ましくは50℃以下で
ある。反応圧力は特に限定されず、常圧でも充分実施で
きる。反応時間は溶媒の種類および反応温度により異な
り、通常は4〜24時間程度である。
このような反応により、下記の式(X)の繰返し単位
を有するポリアミド酸であって、 (式中Q1およびQ2は脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳
香族基、縮合多環式芳香族基ならびに芳香族が直接また
は架橋員により連結された非縮合環式芳香族基からなる
群より選ばれた基であり、Q1は2価の基、Q2は4価の基
である) その中の85モル%以上が、下記式の(XI) で表される繰返し単位を、また0.5〜15モル%が式(X
I)を除く下記式(XII),(XIII)および/または(XI
V)で表される繰返し構造単位を有するポリアミド酸が
得られる。
(式(XI)〜(XIV)において、R1およびR2は脂肪族
基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
基ならびに芳香族基が直接または架橋員により連結され
た非縮合環式芳香族基からなる群より選ばれた基であ
り、R1は2価の基、R2は4価の基である) さらに、得られたポリアミド酸を100〜400℃に加熱し
てイミド化するか、または無水酢酸などのイミド化剤を
用いて、化学イミド化することにより、ポリアミド酸に
対応する繰返し単位を有するポリイミドが得られる。
また、主原料である4,4′−ビス(3−アミノフェノ
キシ)ビフェニルおよびピロメリット酸二無水物と、副
原料である上記の一般式(VIII)で表されるジアミン化
合物および/または一般式(IX)で表されるテトラカル
ボン酸二無水物とを、有機溶媒中に懸濁または溶解させ
た後、加熱し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の
生成と、同時にイミド化を行うことにより、ポリイミド
を得ることも可能である。
さらに上記の反応の実施に際して、無水フタル酸をさ
らに添加、共存させて反応させることもできる。
この場合、無水フタル酸は主原料および副原料として
使用される全ジアミン化合物の1モルに対して0.001〜
1.0モルの範囲であり、0.001モル未満では高温時の耐熱
性が得られず、成形加工時に分子量が増大しゲル化物な
どを発生する原因となり、1.0モルを越えると機械的特
性が低下する。さらに好ましい使用量は0.001〜0.5モル
の範囲である。
無水フタル酸を添加して反応させる方法としては、 (イ)ピロメリット酸二無水物と、4,4′−ビス(3−
アミノフェノキシ)ビフェニル、ならびに上記の一般式
(VIII)で表されるジアミン化合物および/または一般
式(IX)で表されるテトラカルボン酸二無水物を反応さ
せた後に、無水フタル酸を添加して反応を続ける方法、 (ロ)4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニ
ル、および上記の一般式(VIII)で表されるジアミン化
合物に無水フタル酸を加えて反応させた後、ピロメリッ
ト酸二無水物、および一般式(IX)で表されるテトラカ
ルボン酸二無水物を使用する場合は、これを添加しさら
に反応を続ける方法、 (ハ)ピロメリット酸二無水物と、4,4′−ビス(3−
アミノフェノキシ)ビフェニル、無水フタル酸、ならび
に一般式(VIII)で表されるジアミン化合物および/ま
たは一般式(IX)で表されるテトラカルボン酸二無水物
を同時に添加し反応させる方法などいずれの方法をとっ
ても差し支えない。
また、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェ
ニルとピロメリット酸二無水物、ならびに一般式(VII
I)で表されるジアミン化合物および/または一般式(I
X)で表されるテトラカルボン酸二無水物、無水フタル
酸とを有機溶媒中に懸濁または溶解させた後、加熱し、
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の生成と、同時に
イミド化を行うことにより、ポリイミドを得ることも可
能である。
さらに、無水フタル酸を共存させて反応させる系にお
いて、この無水フタル酸はその一部をポリイミドの良好
な物性を損なわない範囲で、他のジカルボン酸無水物で
代替して使用しても何ら差し支えない。
一部代替して用いることのできるジカルボン酸無水物
としては、式 (式中Xは、直接結合、−O−,−S−,−SO−,−SO
2−,−CH2−,−CO−, であり、Yは直接結合、−O−,−S−,−SO2−,−C
H2−,−CO−, を意味する)で表される化合物で、例えば、2,3−ベン
ゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノン
ジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェ
ニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェ
ニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン無水
物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカル
ボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカル
ボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカル
ボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナ
フタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカル
ボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、
1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラ
センジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボ
ン酸無水物等が挙げられる。
すなわち、従来公知の手法を用いて上記の式(I)の
繰返し単位を有するポリイミドを得ることができる。
かくして得られたポリイミドを360℃から430℃で溶融
し、押出し繊維化する。その後200〜450℃、好ましくは
200〜350℃において2〜4倍に熱延伸することにより高
強度、高弾性率のポリイミド繊維を得ることができる。
また、ポリイミドの前駆体である上記式(X)で表さ
れるポリアミド酸を有機溶媒に溶解した溶液を用いて、
湿式紡糸法によりポリアミド酸繊維を製造し、次いで熱
処理してイミドに環化させるか、または必要に応じてさ
らに熱延伸することによってもポリイミド繊維が得られ
る。さらにはまたポリアミド酸繊維を化学的手段によっ
てイミドに環化させ、ついで熱延伸を行うことによって
も、もちろんポリイミド繊維を得ることは可能である。
たとえば濃度約20%のポリアミド酸のN−メチルピロ
リドン溶液をN−メチルピロリドンと水の混合溶液から
なる凝固浴中へ、吐出量0.1〜5.0ml/分で吐出し、紡糸
速度1〜20m/分で巻き取り、ついで10〜90℃の水中で1
〜3倍に延伸することによりポリアミド酸繊維を得るこ
とができる。
かくして得られたポリアミド酸繊維を200〜450℃にお
いて熱処理してイミドに環化させることによりポリイミ
ド繊維を得ることができる。また湿式紡糸法により得ら
れたポリアミド酸繊維を、無水酢酸などの脱水環化剤お
よびピリジン、トリエチルアミンなどのイミド化触媒と
からなる混合溶液に浸漬し、化学的手法によりあらかじ
めイミド化し、次いでイミド化剤を抽出した後、真空乾
燥し、さらに200〜350℃で1.01〜3.0倍に熱延伸するこ
とにより、高強度、高弾性のポリイミド繊維を得ること
ができる。
すなわち、本発明におけるポリイミド繊維は、溶融紡
糸法においても、またポリイミドの前駆体であるポリア
ミド酸の段階で湿式紡糸法により繊維化しその後、熱的
にまたは化学的にイミド化する方法においても製造する
ことが可能である。
一方ポリイミドフィルムを製造する場合は得られたポ
リイミドをスクリュー式、ピストン式、ギアポンプ式な
どの押出機によりスリット状ノズルを通して押し出され
この時のポリマー温度は300〜450℃、好ましくは350〜4
30℃が適当であり、この範囲未満では溶融が不均一にな
ったり、粘度の温度依存性が大きくなるなどの不都合が
多く、またこの範囲を越えるとポリマーの熱分解が懸念
され、フィルムの外観も著しく損なうので好ましくな
い。
スリット状ノズルより押し出されたフィルム溶融体
は、100〜280℃の表面温度を有するキャスティングロー
ル上で冷却され、平板性の良好なフィルムを得ることが
できる。
得られた無定形フィルムをさらに200〜300℃の範囲で
1.5〜3.5倍に延伸し、次いで250℃以上融点以下の温度
で熱固定することにより高強度、高弾性のポリイミドフ
ィルムを得ることができる。
実施例 以下、本発明を実施例および比較例により、更に詳し
く説明する。なお実施例および比較例中の物性は、以下
の様な手法により測定した。
i)ガラス転移温度(Tg),結晶化温度(Tc), 結晶溶解温度(Tm): DSC((株)島津製作所製DT−40シリーズ,DSC−41M)に
より測定した。
ii)結晶化度:SPEX6700/Freezer−Millを用いて冷凍粉
砕した後、XRD(理学電機(株)製RAD−RVCシリーズ、
X線回折装置)により測定した。
実施例1 撹拌機、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を備
えた容器に4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフ
ェニル1.9872kg(5.4モル)、4,4′−ジアミノジフェニ
ルエーテル0.12kg(0.6モル)、ピロメリット酸二無水
物1.2426kg(5.7モル)、無水フタル酸0.0888kg(0.6モ
ル)、およびクレゾール酸13.4kgを装入し、窒素雰囲気
下において撹拌しながら145℃まで加熱昇温した。この
間約200ccの水の留出が確認された。さらに145℃で4時
間反応を行った。その後、室温まで冷却し、約7kgのメ
チルエチルケトンを装入後、濾別して黄色のポリイミド
粉を得た。このポリイミド粉をメチルエチルケトンで洗
浄した後、180℃で24時間減圧乾燥して3.1kg(収率98
%)のポリイミド粉を得た。
このようにして得られたポリイミド粉を400℃に設定
した加熱筒を持つスクリュータイプ押出機(スクリュー
直径25mm、L/D=24)にて直径3mmの丸孔1ケを有するノ
ズルより押出しを行い、自然放冷にて直径2mm、長さ3mm
のポリイミドペレットを得た。このポリイミドペレット
のTgは259℃であり、Tc,Tmは観測されなかった。また結
晶化度は0%であった。
次に、このペレットを360℃に設定された加熱筒を持
つスクリュータイプ押出機(スクリュー直径10mm、L/D
=20,ノズル前に10μmフィルター設置)にて直径0.8mm
の丸孔を有するノズルよりスクリュー回転数一定にて押
出しを行い、紡糸の引取り速度を調節することにより、
直径100μmのポリイミド単糸を得た。得られたポリイ
ミド単糸をを240℃に設定された加熱炉で延伸倍率2.5、
延伸速度60倍/分(1分間で長さ60倍に延伸)で一段延
伸糸とした後、300℃に設定された加熱炉中で60分間、
無緊張下で熱処理を行い熱処理延伸糸を得た。
得られたポリイミド繊維の引張強度は26.8g/d,弾性率
は2100g/d,引張伸度は3.0%であった。(JIS−L−1813
(1981年)に拠る、以下同様) また、このポリイミド繊維を冷凍粉砕機XRDにより結
晶化度を測定したところ、25.5%の結晶化度を有してい
た。(以下同様)結果を表1に示す。
実施例2 実施例1と同様な反応装置に、4,4′−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ビフェニル2.208kg(6モル)、ピロ
メリット酸二無水物1.1183kg(5.13モル)、3,3′,4,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.1676kg
(0.57モル)、無水フタル酸0.0888kg(0.6モル)、お
よびクレゾール酸13.4kgを装入し、実施例1と同様な方
法により、黄色のポリイミド粉3.3kg(収率98%)を得
た。このようにして得られたポリイミド粉を400℃に設
定された加熱筒を持つスクリュータイプ押出機(スクリ
ュー直径25mm、L/D=24)にて直径3mmの丸孔1ケを有す
るノズルより押出しを行い、自然放冷にて直径2mm、長
さ3mmのポリイミドペレットを得た。このポリイミドペ
レットのTgは255℃であり、Tc,Tmは観測されなかった。
次に、このペレットを360℃に設定された加熱筒を持
つスクリュータイプ押出機(スクリュー直径10mm、L/D
=20,ノズル前に10μmフィルター設置)にて直径0.8mm
の丸孔を有するノズルよりスクリュー回転数一定にて押
し出しを行い、紡糸の引き取り速度を調節することによ
り、直径100μmのポリイミド単糸を得た。得られたポ
リイミド単糸を240℃に設定された加熱炉で延伸倍率2.
5、延伸速度60倍/分で一段延伸糸とした後、300℃に設
定された加熱炉中で60分間、無緊張下で熱処理を行い熱
処理延伸糸を得た。
得られたポリイミド繊維の引張強度は25.5g/d,弾性率
は2000g/d,引張伸度は3.1%、結晶化は25.0%であっ
た。結果を表2に示す。
実施例3−6 実施例1の4,4′−ジアミノジフェニルエーテルを表
1に示す他のジアミン化合物に変えた以外は全く実施例
1と同様にしてポリイミド粉を得た。これらのポリイミ
ド粉を用いて実施例1の手法に従いポリイミド繊維を製
造した。このポリイミド繊維の引張強度、弾性率、引張
伸び率および結晶化度を実施例1の結果と合せて表1に
示す。
実施例7−9 実施例2の3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物を表2に示す他のテトラカルボン酸二無水物
に変えた以外は全く実施例2と同様にしてポリイミド粉
を得た。これらのポリイミド粉を用いて実施例2の手法
に従いポリイミド繊維を製造した。このポリイミド繊維
の引張強度、引張弾性率、引張伸び率および結晶化度を
実施例2の結果と合せて表2に示す。
実施例10−18 実施例1と同様な方法により、実施例1−9のポリイ
ミドペレットを得た。これらのペレットをそれぞれ180
℃で24時間乾燥し、50mm押出機に供給し、360〜380℃の
範囲で加熱溶融し、幅500mmのダイ(間隙0.5mm)から押
出した。この溶融体を220℃の表面温度を有するキャス
テングロールに密着させ、冷却して、厚さ約100μmの
フィルムの各種を得た。得られたフィルムの引張強度、
引張弾性率、引張伸度を表3に示す。さらに、これらの
フィルムは、結晶化度0%であった(XRD測定によ
る)。
実施例19−27 実施例10−18によって得られたフィルムを、100mm四
方に切り、バッチ式2軸延伸機(岩本製作所製BIX−703
400℃型)にセットし、265〜275℃の範囲の温度で15分
間加熱し、同じ温度で10mm/secの引張速度で直交する2
方向に同時に2.0×2.0倍に延伸した。さらにフィルムを
装置にセットしたまま、300℃まで昇温し、300℃で60分
間熱処理し、厚さ約25μmの延伸フィルムを得た。得ら
れたフィルムの引張強度、引張弾性率、引張伸度を表4
に示す。又、これらの結晶化度を表4に示す。
比較例1 実施例1と同様な反応装置に、4,4′−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ビフェニル2.208kg(6モル)、ピロ
メリット酸二無水物1.2426kg(5.7モル)、無水フタル
酸0.0888kg(0.6モル)、およびクレゾール酸13.4kgを
装入し、実施例1と同様な方法により、黄色のポリイミ
ド粉3.27kg(収率98.5%)を得た。
得られたポリイミド粉を用いて実施例1と同様にして
ペレット化を行い直径2mm、長さ3mmのポリイミドペレッ
トを得た。このポリイミドペレットのTgは260℃でありT
cは312℃、Tmは388℃であった。
次に、このペレットを用い、実施例1と同様に360℃
で繊維化を試みたところ、押出機の定格トルク能力を越
え、押し出し不可能であった。そこで、押し出し温度を
400℃に変更し、以下実施例1と同様にして直径100μm
のポリイミド単糸を得た。
得られたポリイミド単糸を240℃に設定された加熱炉
で延伸倍率2.5、延伸速度60倍/分で一段延伸糸とした
後、300℃に設定された加熱炉中で60分間無緊張下で熱
処理を行い、熱処理延伸糸を得た。
このポリイミド繊維の引張強度は24.4g/d,弾性率は21
00g/d、伸度は3.2%、結晶化度は25.1%であった。
比較例2 実施例1と全く同様な反応装置に4,4′−ビス(3−
アミノフェノキシ)ビフェニル1.325kg(3.6モル)、4.
4′−ジアミノジフェニルエーテル0.480kg(2.4モ
ル)、ピロメリット酸二無水物1.2426kg(5.7モル)、
無水フタル酸0.0888kg(0.6モル)およびクレゾール酸1
3.4kgを装入し、実施例1と同様な方法により、ポリイ
ミド粉2.89kg(収率99.0%)を得た。得られたポリイミ
ド粉を用いて実施例1と全く同様な条件で押出しペレッ
ト化を試みたところ、押出機の定格トルク能力を越え押
出し不可能であったため、420℃の温度でペレット化お
よび繊維化して、熱処理延伸糸を得た。
得られたポリイミド繊維の引張強度は15.5g/d,弾性率
は1500g/d,引張伸度は4.1%であり、結晶化度は5.3%と
実施例に比べて劣るものであった。
比較例3 比較例1で用いたポリイミドペレットを実施例10と同
様な方法でフィルム化を試みた。しかしながら、360℃
では押出しできず、押出温度(成形温度範囲)を実施例
10〜18と同じ方法で判定すると、395℃〜418℃と実施例
に比べ大幅に狭かった。得られたフィルムの引張強度は
13.5kg/mm2、引張弾性率は270kg/mm2、引張伸度は100%
であった。
さらに、このフィルムを実施例19と同様な方法で同時
2軸延伸を行い、引張強度25.7kg/mm2、引張弾性率455k
g/mm2、引張伸度33%、結晶化度24%の延伸フィルムを
得た。
比較例4 比較例2で用いたポリイミドペレットを用いて、実施
例10と同様な方法でフィルム化を試みた。しかし、360
〜380℃の成形温度では押出しが困難であった。成形温
度を徐々に上昇させ、420〜430℃において押出しが可能
となった。430℃以上では、発泡現象が起こり、フィル
ムとはならなかった。420〜430℃の温度で押出して得ら
れたフィルム(押出しフィルムとする)を用いて実施例
19と同様な方法で同時2軸延伸を試みたが、延伸倍率は
1.5倍が限界であった(延伸フィルム)。押出しフィル
ム及び延伸フィルムの物性を表5に示す。
延伸フィルムの引張強度が実施例に比べ低く、かつ結
晶化度も低かった。
本発明により、成形加工性良好な新規なポリイミドか
らなる高強度、高弾性率、高結晶性の成形品すなわちポ
リイミド繊維ならびにポリイミドフィルムが提供され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−209924(JP,A) 特開 平2−178017(JP,A) 特開 昭61−143435(JP,A) 特開 平2−234911(JP,A) 特開 昭63−211319(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本質的に、下記の式(I) (式中、Q1およびQ2は脂肪族基、環式脂肪族基、単環式
    芳香族基、縮合多環式芳香族基ならびに、芳香族基が直
    接または架橋員により連結された非縮合環式芳香族基か
    らなる群より選ばれた基であり、Q1は2価の基、Q2は4
    価の基である) で表される繰返し構造単位を含有してなるポリイミドで
    あって、その中の85モル%以上が、下記の式(II) で表される繰返し構造単位を、0.5〜15モル%が下記の
    式(III),(IV)および/または(V) (式(III)〜(V)において、R1およびR2は、脂肪族
    基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
    基ならびに芳香族基が直接または架橋員により連結され
    た非縮合環式芳香族基からなる群より選ばれた基であ
    り、R1は2価の基、R2は4価の基である) で表される繰返し構造単位を含有し、かつ上記の各々の
    繰返し構造単位を有する各ポリイミドの分子末端が、無
    水フタル酸または無水フタル酸を必須成分として含む下
    記式 (式中Xは、直接結合、−O−,−S−,−SO−,−SO
    2−,−CH2−,−CO−, であり、Yは直接結合、−O−,−S−,−SO−,−SO
    2−,−CH2−,−CO−, を意味する) で表される少なくとも一種のジカルボン酸無水物で封止
    されたポリイミドを溶融成形して得られることを特徴と
    するポリイミド成形品。
  2. 【請求項2】成形品が、請求項1記載のポリイミドから
    なるポリイミド繊維。
  3. 【請求項3】成形品が、請求項1記載のポリイミドから
    なるポリイミドフィルム。
  4. 【請求項4】請求項1記載の成形品が、当該ポリイミド
    を360ないし430℃で溶融して押出し、繊維化した後200
    〜450℃において2〜4倍に熱延伸することにより得ら
    れるポリイミド繊維。
  5. 【請求項5】請求項1記載の成形品が、当該ポリイミド
    を300ないし450℃で溶融押出しにより得られるポリイミ
    ドフィルムを200ないし300℃の温度で1.5〜3.5倍に延伸
    し、ついで250℃以上融点以下の温度で熱固定すること
    により得られるポリイミドフィルム。
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JP2012505973A (ja) * 2008-10-17 2012-03-08 ソルベイ・アドバンスト・ポリマーズ・エルエルシー 高Tgを有するポリマーから得られる繊維またはフォイル、ならびにそれらの製造方法

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