JP2004256106A - 車輪駆動用車軸ユニット - Google Patents

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Yasumasa Mizukoshi
康允 水越
Hideo Ouchi
英男 大内
Takeo Okuma
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Abstract

【課題】 小型且つ軽量で、しかも優れた耐久性及び信頼性を有する構造を実現する。
【解決手段】 ハブ6aのスプライン孔28と、駆動軸部材29のスプライン軸30とを係合させる。スプライン孔28の内周面に形成した外側係止溝13と、スプライン軸30の外周面に形成した内側係止溝14とに、止め輪35を掛け渡し、このスプライン軸30の抜け止めを図る。
【選択図】 図1

Description

この発明に係る車輪駆動用車軸ユニットは、等速ジョイントとハブユニットとを分解可能に一体化した、所謂第四世代のハブユニットと呼ばれるもので、独立懸架式サスペンションに支持された駆動輪{FF車(前置エンジン前輪駆動車)の前輪、FR車(前置エンジン後輪駆動車)及びRR車(後置エンジン後輪駆動車)の後輪、4WD車(四輪駆動車)の全輪}を、懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、上記駆動輪を回転駆動する為に利用する。
車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、外輪と内輪とを転動体を介して回転自在に組み合わせた車軸ユニットが、各種使用されている。又、独立懸架式サスペンションに駆動輪を支持すると共に、この駆動輪を回転駆動する為の車輪駆動用車軸ユニットは、等速ジョイントと組み合わせて、デファレンシャルギヤと駆動輪との相対変位や車輪に付与された舵角に拘らず、駆動軸の回転を上記車輪に対して円滑に(等速性を確保して)伝達する必要がある。この様な等速ジョイントと組み合わせて、しかも比較的小型且つ軽量に構成できる、所謂第四世代のハブユニットと呼ばれる車輪駆動用車軸ユニットとして従来から、特許文献1、或は特許文献2に記載されたものが知られている。
図36は、このうちの特許文献1に記載された従来構造の第1例を示している。車両への組み付け状態で、懸架装置に支持した状態で回転しない外輪1は、外周面にこの懸架装置に支持する為の、外向フランジ状の取付部2を、内周面に複列の外輪軌道3、3を、それぞれ有する。上記外輪1の内側には、第一素子4と第二素子5とを組み合わせて成るハブ6を配置している。このうちの第一素子4は、外周面の一端寄り(図36の左端寄り)部分に車輪を支持する為の取付フランジ7を、同じく他端寄り(図36の右端寄り)部分に内輪軌道8を、それぞれ設けた円筒状に形成している。これに対して、上記第二素子5は、一端部(図36の左端部)を、上記第一素子4を外嵌固定する為の円筒部9とし、他端部(図36の右端部)を、ツェッパ型の等速ジョイント10の外輪となるハウジング部11とし、中間部外周面に内輪軌道8を設けている。そして、上記各外輪軌道3、3と上記各内輪軌道8、8との間にそれぞれ複数個ずつの転動体12、12を設ける事により、上記外輪1の内側に上記ハブ6を、回転自在に支持している。
又、上記第一素子4の内周面と上記第二素子5の外周面との互いに整合する位置には、それぞれ外側係止溝13及び内側係止溝14を形成すると共に、止め輪15を、これら両係止溝13、14に掛け渡す状態で設ける事により、上記第一素子4が上記第二素子5から抜け出るのを防止している。更に、上記第二素子5の一端面(図36の左端面)外周縁部と、上記第一素子4の内周面に形成した段部16の内周縁部との間に溶接17を施して、上記第一、第二素子4、5同士を結合固定している。
更に、上記外輪1の両端開口部と上記ハブ6の中間部外周面との間には、ステンレス鋼板等の金属製で略円筒状のカバー18、18と、ゴムその他のエラストマー等の弾性材製で円環状のシールリング19、19とを設けている。又、上記第二素子5の中間部内側には、この第二素子5の内側を塞ぐ隔板部20を設けている。これらカバー18、18、シールリング19、19及び隔板部20は、上記複数の転動体12、12を設置した部分或は前記等速ジョイント10部分と外部とを遮断し、当該部分に存在するグリースが外部に漏出するのを防止すると共に、この部分に雨水、塵芥等の異物が侵入する事を防止する。
又、上記等速ジョイント10は、前記ハウジング部11と、内輪21と、保持器22と、複数個の玉23とから成る。このうちの内輪21は、エンジンによりトランスミッションを介して回転駆動される、図示しない駆動軸の先端部に固定される。この内輪21の外周面には、この内輪21の中心軸に対し直交する仮想平面で切断した場合に於ける断面形状が円弧形である内側係合溝24を6本、円周方向に亙り等間隔に、それぞれ円周方向に対し直角方向に形成している。又、上記ハウジング部11の内周面で上記内側係合溝24と対向する位置には、やはり円弧形の断面形状を有する外側係合溝25を6本、円周方向に対し直角方向に形成している。又、上記保持器22は、断面円弧状で全体を円環状に形成しており、上記内輪21の外周面とハウジング部11の内周面との間に挟持している。この保持器22の円周方向6個所位置で、上記内側、外側両係合溝24、25に整合する位置には、それぞれポケット26を形成し、これら各ポケット26の内側にそれぞれ1個ずつ、合計6個の上記玉23を保持している。これら各玉23は、それぞれ上記各ポケット26に保持された状態で、上記内側、外側両係合溝24、25に沿い転動自在である。
上述の様に構成する車輪駆動用車軸ユニットを車両に組み付ける際には、取付部2により外輪1を懸架装置に支持し、取付フランジ7により駆動輪を第一素子4に固定する。又、エンジンによりトランスミッションを介して回転駆動される、図示しない駆動軸の先端部を、等速ジョイント10を構成する内輪21の内側にスプライン係合させる。自動車の走行時には、上記内輪21の回転を、複数の玉23を介して第二素子5を含むハブ6に伝達し、上記駆動輪を回転駆動する。
又、図37は、前記特許文献2に記載された、従来構造の第2例を示している。この従来構造の第2例の場合、懸架装置を構成するナックル40に内嵌固定した状態で使用時に回転しない外輪1の内周面に、複列の外輪軌道3、3を設けている。ハブ6aの外周面の一端寄り(図37の左端寄り)部分には車輪を支持する為の取付フランジ7を、同じく他端寄り(図37の右端寄り)部分には、1対の内輪50、50を介して複列の内輪軌道8、8を、それぞれ設けている。これら両内輪50、50は、上記ハブ6aの他端部を直径方向外方に折り曲げて成るかしめ部27により、このハブ6aの本体部分に支持固定している。又、上記各外輪軌道3、3と上記各内輪軌道8、8との間には、それぞれ複数個ずつの転動体12、12を設けて、上記外輪1の内側に上記ハブ6aを、回転自在に支持している。
又、このハブ6aの中心部には、スプライン孔28を設けている。更に、この様なハブ6aと駆動軸部材29とを組み合わせて、車輪駆動用車軸ユニットを構成している。この駆動軸部材29の一端部には、上記スプライン孔28と係合するスプライン軸30を設けている。又、上記駆動軸部材29の他端部は、等速ジョイントの外輪となるハウジング部11としている。この様な駆動軸部材29と上記ハブ6aとは、上記スプライン孔28に上記スプライン軸30を挿入した状態に組み合わせ、上記両部材29、6aと凹凸係合した弾性材製の結合部材31により、分離防止を図っている。尚、この結合部材31には、磁性材製或は永久磁石製のエンコーダ32、32を添設して、上記両部材29、6aの回転速度検出を可能にしている。
又、図38は、特許文献3に記載された、従来構造の第3例を示している。この従来構造の第3例の場合には、車軸92の端部で車軸管93の端部から露出する部分に、ハブ6bをスプライン係合させている。又、このハブ6bは固定の外輪1aの内側に、複列に配置した転動体により、回転自在に支持している。更に、上記車軸92の先端部で上記ハブ6bから突出した部分に形成した係合溝94に、欠円環状の止め輪15aを係止して、上記車軸92から上記ハブ6bが抜け出る事を防止している。
又、図39は、特許文献4に記載された、従来構造の第4例を示している。この従来構造の第4例の場合には、ナックル40に固定した外輪1bの内側にハブ6cを、複列に配置した転動体により回転自在に支持している。そして、このハブ6cの中心部に形成したスプライン孔28に、スプライン軸30をスプライン係合させている。又、このスプライン軸30の基端部(図39の右端部)には、等速ジョイントの外輪となるハウジング部11を設けている。これに対して、上記スプライン軸30の先端面(図39の左端面)には、このスプライン軸30を上記スプライン孔28に引き込む為の工具を係止する、係止部95を形成している。そして、上記スプライン軸30の外周面先端寄り部分に形成した係止溝に係止した止め輪15bにより、このスプライン軸30から上記ハブ6cが抜け出る事を防止している。この状態で、上記ハブ6cと上記ハウジング部11との間で、弾性リング96を弾性的に圧縮して、上記スプライン軸30に対する上記ハブ6cのがたつき防止を図っている。
更に、図40は、特許文献5に記載された、従来構造の第5例を示している。この従来構造の第5例の場合も、ナックル40に固定した外輪1cの内側にハブ6dを、複列に配置した転動体により回転自在に支持している。この為にハブ6dに外嵌した内輪50は、このハブ6dに係止した止め輪97により、軸方向移動を阻止している。又、等速ジョイントを構成し、上記ハブ6dの内端部(図40の右端部)とスプライン係合したスリーブ98の先端部(図40の左端部)が上記止め輪97に被さって、この止め輪97が上記ハブ6dから外れない様にしている。又、上記ハブ6dの内端部外周面と上記スリーブ98の内周面との間には止め輪15cを掛け渡して、このスリーブ98から上記ハブ6dが抜け出るのを防止している。更に、このスリーブ98の先端部外周面には歯車状の凹凸部99を形成して、この部分がエンコーダとして機能する様にしている。そして、上記外輪1cにシールリング100を介して支持した回転速度検出センサ101を、上記凹凸部99に対向させて、上記スリーブ98及びハブ6dの回転速度を検出自在としている。
図36に示した従来構造の第1例の場合、ハブ6を構成する第一、第二素子4、5同士の間での回転力伝達を、溶接17部分で行なう必要がある。即ち、車輪を支持する第一素子4と、駆動軸に連結する第二素子5との間では、駆動の為の大きなトルクを伝達する必要があるが、これら両素子4、5同士は、互いの円筒面同士で嵌合している為、嵌合面で大きなトルクを伝達する事はできない。従って、上記溶接17部分で大きなトルクを伝達する必要があり、この溶接17部分の強度を十分に大きくすべく、この溶接17を全周肉盛溶接にする必要がある。ところが、この溶接17を全周肉盛溶接とした場合には、溶接時の熱で第一素子4の外周面に形成した内輪軌道8部分の形状が歪んだり、この内輪軌道8部分の硬度が低下したりして、この内輪軌道8を含む転がり軸受ユニットの耐久性を十分に確保できなくなる。
又、図37に示した従来構造の第2例の場合には、ハブ6aと駆動軸部材29との分離防止を、弾性材製の結合部材31により行なっている為、分離防止の機能が不確実であると考えられる。即ち、自動車の急旋回時等には、車輪から上記ハブ6aに加わる大きなスラスト荷重に基づき、このハブ6aを上記駆動軸部材29から引き抜く方向の大きな力が加わる。この様な大きな力にも拘らず、上記結合部材31により上記ハブ6aと駆動軸部材29との分離防止を確実に図る事は難しく、十分な信頼性を確保できないものと考えられる。
又、図38に示した従来構造の第3例は、非独立懸架式サスペンションである、所謂半浮動式の構造に関するものである。この様な構造の場合には、スプライン係合部と外部空間とを、車軸管93と外輪1aとの結合部で遮断できる。従って、スプライン係合部を外部空間から遮断する為、車軸とハブの間に密封装置を設ける必要はない。この様な従来構造の第3例は、独立懸架式サスペンションに支持された駆動輪を懸架装置に対して回転自在に支持する事を前提としている本発明とは、基本構造が全く異なる。
又、図39に示した従来構造の第4例の場合には、スプライン係合部を外部から遮断する為の部材が設けられていない。この為、スプライン係合部に、塵芥を含んだ雨水等の異物が入り込む事が避けられない。図39に示した構造の様に、弾性リング96によりスプライン軸30に対するハブ6cのがたつき防止を図る構造の場合、軸方向荷重により上記弾性リング96が変形し、上記スプライン係合部が摺動運動をする為、このスプライン係合部に異物が入り込むと、このスプライン係合部の摩耗が進み、耐久性が損なわれる為、好ましくない。
更に、図40に示した従来構造の第5例の場合には、スプライン係合部を、外輪1cの内端開口部よりも更に内方に突出した部分に設けている為、車輪駆動用車軸ユニット全体の軸方向寸法が嵩み、小型且つ軽量な構造を実現できない。
特開平7−317754号公報 米国特許第5674011号明細書 実用新案登録第2573325号公報 米国特許第4881842号明細書 米国特許第5492417号明細書
本発明の車輪駆動用車軸ユニットは、上述の様な不都合を何れも解消すべく発明したものである。
本発明の車輪駆動用車軸ユニットは、何れも、前述の図37に示した従来構造の第2例の車輪駆動用車軸ユニットと同様に、内周面に外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面の一端寄り部分に車輪を支持する為の取付フランジを、同じく他端寄り部分に直接又は内輪を介して内輪軌道を、中心部にスプライン孔を、それぞれ設けたハブと、このスプライン孔と係合するスプライン軸を一端部に設けると共に、他端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とした駆動軸部材と、上記外輪軌道と上記内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の転動体とを備える。
特に、本発明の車輪駆動用車軸ユニットのうち、請求項1に記載したものは、上記スプライン軸の外周面に全周に亙って形成した内側係合部と、この内側係合部に整合する位置で上記ハブの内周面に全周に亙って形成した外側係合部と、弾性材により形成した止め輪とを備える。そして、この止め輪を上記内側係合部と外側係合部とに掛け渡す事により、上記ハブと駆動軸部材との軸方向に亙る位置決めを図ると共に、これらハブと駆動軸部材との間で弾性材製のシール部材を弾性的に挟持する事により、上記スプライン孔とスプライン軸とのスプライン係合部を密封している。
又、請求項13に記載したものは、上記スプライン軸の端面に形成した孔の内周面に全周に亙って形成した外側係合部と、この外側係合部に整合する位置で上記ハブとは別体の結合軸部材の外周面に全周に亙って形成した内側係合部と、弾性材により形成した止め輪とを備える。そして、上記結合部材の一部と駆動軸部材の一部とで、上記ハブの一部を軸方向両側から挟持した状態で、上記止め輪を上記外側係合部と内側係合部とに掛け渡す事により、上記ハブと上記結合軸部材及び駆動軸部材との軸方向に亙る位置決めを図ると共に、これらハブと駆動軸部材との間で弾性材製のシール部材を弾性的に挟持する事により、上記スプライン孔とスプライン軸とのスプライン係合部を密封している。
更に、請求項15に記載したものは、上記ハブとは別体の結合部材の一部を上記駆動軸部材の端部に取り付けている。そして、この結合部材の一部と上記駆動軸部材の一部とにより、上記ハブと上記結合部材及び駆動軸部材との軸方向に亙る位置決めを図ると共に、これらハブと駆動軸部材との間で弾性材製のシール部材を弾性的に挟持する事により、上記スプライン孔とスプライン軸とのスプライン係合部を密封している。
上述の様に構成する本発明の車輪駆動用車軸ユニットの場合には、駆動軸部材とハブとの間のトルク伝達は、スプライン軸とスプライン孔との係合に基づいて行なう。従って、これら駆動軸部材とハブとの間のトルク伝達を確実に行なわせるべく、全周肉盛溶接等、熱歪み等の原因となる加工を施す必要がなくなり、内輪軌道を含む転がり軸受ユニット各部の耐久性確保を図れる。
特に、本発明の場合、上記駆動軸部材とハブとの分離防止は、内側、外側両係合部と止め輪と(請求項13に記載した発明の場合には更に結合軸部材と)の係合(請求項15に記載した発明の場合には、結合部材と駆動軸部材及びハブとの係合)により図れる。上記止め輪は、金属等、十分な強度を有する材料により造れる為、上記分離防止を確実にできて、車輪駆動用車軸ユニットの信頼性確保を図れる。
又、本発明の構造は、ナットによる締結、或は溶接による結合とは異なり、スプライン係合部に軸方向に亙る摺動運動が生じるが、ハブと駆動軸部材との間で弾性材製のシール部材を弾性的に挟持する事により、スプライン結合部を外部空間から遮断するので、このスプライン係合部への異物の進入防止を図って、このスプライン係合部の摩耗を防止できる、この結果、このスプライン係合部を含む、上記車輪駆動用車軸ユニットの耐久性の向上を図れる。
この為、小型且つ軽量で、しかも優れた耐久性及び信頼性を有する車輪用転がり軸受ユニットを実現して、自動車の乗り心地及び動力性能、燃費性能の向上に寄与できる。又、運転時に構成部材同士が衝突する事を防止できて、異音並びに振動、更にはフレッチング摩耗が発生するのを防止し、車輪駆動用車軸ユニットを組み込んだ自動車の快適性向上と、車輪駆動用車軸ユニット自体のより一層の耐久性向上とを図れる。
図1〜2は、請求項1、2に対応する、本発明の実施例1を示している。懸架装置に支持した状態で回転しない外輪1は、外周面にこの懸架装置に支持する為の取付部2を、内周面に複列の外輪軌道3、3を、それぞれ有する。上記外輪1の内径側にハブ6aを、この外輪1と同心に配置している。又、このハブ6aの外周面で上記各外輪軌道3、3に対向する部分に、それぞれ内輪軌道8、8を、直接又は別体の内輪50を介して設けている。この内輪50は、上記ハブ6aの本体部分の内端(車両への組み付け状態でこの車両の幅方向中央寄りとなる端部で、図1の右端部)に形成した段部33に外嵌すると共に、上記本体部分の内端で上記内輪50の内端面よりも突出した部分を直径方向外方にかしめ広げる事で形成したかしめ部27により、上記本体部分に対し固定している。
そして、上記各外輪軌道3、3と上記各内輪軌道8、8との間に、それぞれ複数個ずつの転動体12、12を転動自在に設ける事により、上記外輪1の内側に上記ハブ6aを、回転自在に支持している。又、上記外輪1の両端部内周面と、上記ハブ6aの本体部分の中間部外周面及び上記内輪50の内端部外周面との間に、それぞれシールリング19、19を設けて、上記各転動体12、12を設置した部分と外部空間とを遮断している。又、上記ハブ6aの外端開口部にキャップ34を嵌合固定して、この外端開口部を塞ぎ、外端部側から、後述するスプライン係合部に雨水等の異物が侵入するのを防止している。又、上記ハブ6aの外端(車両への組み付け状態でこの車両の幅方向外寄りとなる端で、図1の左端=請求項に記載した一端)部外周面に、このハブ6aに車輪を支持固定する為の取付フランジ7を、このハブ6aと一体に設けている。
又、このハブ6aの中心部に、スプライン孔28を設けている。更に、この様なハブ6aと駆動軸部材29とを組み合わせて、車輪用転がり軸受ユニットを構成している。又、この駆動軸部材29の一端部である外端部に、上記スプライン孔28と係合するスプライン軸30を設けている。又、上記駆動軸部材29の他端部である内端部は、等速ジョイントの外輪となるハウジング部11としている。
特に、本発明の車輪駆動用車軸ユニットに於いては、上記スプライン軸30の外端寄りの外周面に全周に亙って、請求項に記載した内側係合部に相当する、内側係止溝14を形成している。又、上記スプライン孔28の外端寄り中間部内周面で、この内側係止溝14に整合する位置に、請求項に記載した外側係合部に相当する外側係止溝13を、全周に亙り形成している。そして、これら内側、外側両係止溝14、13に、図2に示す様な欠円環状の止め輪35を、これら両係止溝14、13に掛け渡す状態で装着している。
上記止め輪35は、ばね鋼、ステンレスばね鋼等の弾性金属製の線材を略C字形の欠円環状に形成する事により、直径を弾性的に拡縮自在としている。この様な止め輪35の自由状態での外径D35は、上記スプライン孔28の最大内接円(スプライン孔28の歯先円)の直径R28以上としている。又、上記内側係止溝14の溝底の直径R14及び上記外側係止溝13の溝底の直径R13は、上記止め輪35が上記内側、外側両係止溝14、13に掛け渡される様に規制している。即ち、上記内側係止溝14の溝底の直径R14は、上記スプライン孔28の最大内接円の直径R28から、上記止め輪35を構成する線材の直径d35の2倍を引いた値以下(R14≦R28−2d35)としている。この様な規制は、上記止め輪35を上記内側係止溝14の底部にまで押し込んだ状態で、上記スプライン軸30をこの止め輪35ごと上記スプライン孔28内に挿入自在とする為に必要である。又、上記外側係止溝13の溝底の直径R13は、上記スプライン軸30の最大外接円(スプライン軸30の歯先円)の直径D30に、上記止め輪35を構成する線材の直径d35の2倍を足した値未満(R13<D30+2d35)としている。この様な規制は、上記止め輪35の直径が弾性的に広がった状態で、この止め輪35の内周縁部と上記内側係止溝14とを係合させる為に必要である。従って、好ましくは、上記止め輪35の外周縁と上記外側係止溝13の溝底とが当接した状態で、上記止め輪35が上記スプライン孔28とスプライン軸30との係合部の直径方向中央位置に存在する様に、上記外側係止溝13の溝底の直径R13を規制する。
上記内側、外側両係止溝14、13及び止め輪35の寸法を上述の様に規制する為、この止め輪35を内側係止溝14部分に装着した状態で、上記スプライン軸30を上記スプライン孔28に挿入すれば、前記ハブ6aと前記駆動軸部材29とを不離に結合できる。即ち、これらハブ6aと駆動軸部材29とを結合する際には、上記止め輪35を内側係止溝14部分に装着した状態で上記スプライン軸30を上記スプライン孔28に、内側から外側に、図1の右から左に挿入する。この挿入作業により上記止め輪35は、前記かしめ部27の内周面並びに上記スプライン孔28の内端部に隣接して設けた円すい凹面状のガイド面36に案内されつつ、外径を弾性的に縮め、上記スプライン孔28内に押し込まれる。そして、上記内側係止溝14と上記外側係止溝13とが整合した状態で、上記止め輪35の直径が、この止め輪35の外周縁と上記外側係止溝13の底面とが当接する状態にまで、弾性的に広がる。そして、この様に止め輪35の直径が弾性的に広がった状態では、この止め輪35が上記内側、外側両係止溝14、13同士の間に掛け渡された状態になって、上記スプライン軸30が上記スプライン孔28から抜け出る事を防止し、上記ハブ6aと上記駆動軸部材29とを不離に結合する。尚、上記ハブ6aの軸方向に対する上記ガイド面36の傾斜角度は、上記止め輪35がこのガイド面36部分を円滑に通過できる様にすべく、30度以下にするのが好ましい。又、好ましくは、上記スプライン軸30と上記スプライン孔28との係合部に、増ちょう剤がウレア化合物、基油が合成油で、優れた耐熱性能を有するウレア系のグリースを塗布する事により、潤滑剤を介在させて、これらスプライン軸30とスプライン孔28との係合部を潤滑する。
尚、上記内側、外側両係止溝14、13の幅Wは、上記止め輪35を構成する線材の直径d35以上にする必要があるが、これら幅Wと直径d35との差は、極力小さくする。この理由は、上記内側、外側両係止溝14、13と止め輪35とによる結合部のがたつきを抑える為である。又、上記ハブ6aと上記駆動軸部材29との結合強度を向上させる為、上述の様な内側、外側両係止溝14、13と止め輪35とによる結合部を、軸方向2個所位置に設ける事もできる。但し、この場合には、挿入方向先端側(図1の左端側)に位置する内側、外側両係止溝14、13の幅及び止め輪35を構成する線材の直径を、挿入方向後端側(図1の右端側)に位置する内側、外側両係止溝の幅及び止め輪を構成する線材の直径よりも大きくする。この理由は、先端側の係合部を構成する止め輪と基端側の係合部を構成する外側係止溝とが係合し、それ以上上記スプライン軸30を上記スプライン孔28に差し込めなくなる事を防止する為である。
又、本実施例の場合には、前記駆動軸部材29の中間部外周面で上記スプライン軸30と前記ハウジング部11との間部分と、上記ハブ6aの内端部内周面との間に、請求項に記載したシール部材である、断面X字形のシールリング37を設けている。ゴムの如きエラストマー等の弾性材により円環状に造った、このシールリング37は、前記キャップ34と共に、上記スプライン軸30と上記スプライン孔28とのスプライン係合部をほぼ完全に密封してこのスプライン係合部に塵芥を含む雨水等の異物が入り込む事を防止して、このスプライン係合部が錆び付いたり、或はこの係合部の摩耗が促進されるのを防止する。又、上記ハブ6aの内端部に形成した前記かしめ部27と、上記駆動軸部材29のハウジング部11の外端面との間には、隙間38を介在させている。従って、本実施例の車輪駆動用車軸ユニットの運転時には、トルク負荷時の弾性変形に基づく、円周方向の相対的運動が発生しても、上記かしめ部27と上記ハウジング部11の外端面とが擦れ合う事がなく、擦れ合いに基づく異音が発生する事もない。更に、上記ハウジング部11の内端部外周面には、図示しない防塵用ブーツの外端部を係止する為の係止溝39を形成している。
上述の様に構成し組み立てる、本発明の車輪駆動用車軸ユニットの場合には、上記駆動軸部材29とハブ6aとの間のトルク伝達は、上記スプライン軸30とスプライン孔28との係合に基づいて行なう。従って、上記駆動軸部材29とハブ6aとの間のトルク伝達を確実に行なわせるべく、全周肉盛溶接等、熱歪み等の原因となる加工を施す必要がなくなり、上記ハブ6aの本体部分の中間部外周面に形成した内輪軌道8を含む転がり軸受ユニット各部の耐久性確保を図れる。又、上記駆動軸部材29とハブ6aとの分離防止は、内側、外側両係止溝14、13と止め輪35との係合により図れる。欠円環状に形成したこの止め輪35は、ばね鋼、ステンレスのばね鋼等、十分な強度を有する金属材料により造れる為、上記分離防止を確実にできて、車輪駆動用車軸ユニットの信頼性確保を図れる。更に、上記駆動軸部材29とハブ6aとの間にシールリング37を設け、前記キャップ34と共に、上記スプライン軸30とスプライン孔28とのスプライン係合部を外部空間から遮断し、しかも、このスプライン係合部に潤滑剤であるグリースを塗布介在させているので、このスプライン係合部に、フレッチング等により著しい摩耗が発生する事を防止できる。
次に、図3〜5は、請求項1、2、8、9、11に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合、内側係止溝14と外側係止溝13との間に掛け渡した止め輪35aは、この止め輪35aにばね性を持たせる為、ばね鋼(SK5等の工具鋼を含む)製の板材をプレスにより打ち抜き成形する事で造っている。又、この様な止め輪35aは、断面矩形で全体を略C字形(欠円環状)に形成すると共に、全体を焼入れ硬化している。更に、本実施例の場合、この止め輪35aの軸方向両側面に、ゴム又は合成樹脂等の弾性材により構成した1対の緩衝部材52、52を、全周に亙り添着している。これにより、上記内側、外側両係止溝14、13の軸方向両内側面と上記止め輪35aとの結合部に存在する遊びに基づいて、ハブ6aと駆動軸部材29とが軸方向に亙り相対変位した場合にも、これら内側、外側両係止溝14、13の軸方向両内側面と止め輪35aの軸方向両側面とが直接ぶつかる事を防止し、これら両面に加わる衝撃を緩和する様にしている。この結果、上記内側、外側両係止溝14、13と上記止め輪35aとの耐久性を確保すると共に、これら各部分が直接ぶつかる事による耳障りな金属音の発生を防止できる。又、上記緩衝部材52、52を添着する事により、上記止め輪35aがフレッチング摩耗するのを防止する効果も得られる。
尚、上記止め輪35aの軸方向両側面のうち、少なくとも組み付け状態で外側となる側の面(図3〜4の左側面)に添着する緩衝部材52の外径寸法は、この止め輪35aの外径寸法よりも少し小さくする。具体的には、図4に示す様に、スプライン軸30の先端部をスプライン孔28の内側に挿入する際、上記止め輪35aの外側面に添着した緩衝部材52の外周縁が、このスプライン孔28の内端縁に設けたガイド面36と当接しない程度に小さくする。この理由は、このガイド面36と上記緩衝部材52との当接部に働く摩擦力の方が、このガイド面36と上記止め輪35aとの当接部に働く摩擦力よりも大きい為である。言い換えれば、この様な大きな摩擦力が働く事を防止して、上記スプライン軸30の先端部を上記スプライン孔28の内側に挿入し易くする為である。尚、上記双方の緩衝部材52、52の外径寸法を上述の様に規制しておけば、上記内側係止溝14に対する上記止め輪35aの装着方向に注意を払う必要がなくなる為、組み付け作業の容易化を図れる。
又、本実施例の場合、上記スプライン軸30を上記スプライン孔28に挿通する際に、前記内側係止溝14に装着した止め輪35aの外径側部分が、前記外側係止溝13内に進入した場合(止め輪35aが、内側、外側両係止溝14、13に掛け渡された場合)に、上記スプライン軸30の先端部が上記スプライン孔28の外端縁から僅かに突出する様に、これらスプライン軸30とスプライン孔28との軸方向寸法を規制している。従って、上記止め輪35aが上記内側、外側両係止溝14、13に掛け渡されたか否かの判断を容易にできて、組み付けミスの発生を防止できる。
又、本実施例の場合、上記スプライン軸30の先端面中央部に凹孔53を形成し、更にこの凹孔53の中間部内周面に、全周に亙り係合溝54を形成している。そして、上記スプライン軸30を上記スプライン孔28内に挿通する際に、引っ張り工具の先端部を上記係合溝54に係合させる事により、このスプライン軸30を上記スプライン孔28の外端開口側から引っ張れる様にしている。尚、図示は省略したが、上記スプライン軸30と上記スプライン孔28とのスプライン係合部の円周方向に亙る遊びを少なくする為に、このスプライン軸30の外周面に形成した雄スプラインは、軸方向に亙り僅かに捩れた状態で形成している。従って、上記スプライン軸30を上記スプライン孔28内に挿通する際には、これらスプライン軸30の外周面とスプライン孔28の内周面との間に、軸方向に亙る大きな摩擦力が作用する。但し、本実施例の場合には、先端部を上記係合溝54に係合させた引っ張り工具により上記スプライン軸30を引っ張れるので、このスプライン軸30の挿通作業を容易に行なえる。又、本実施例の場合には、上記引っ張り工具の先端部を係合させる為の係合溝54を上記スプライン軸30の先端面に形成した凹孔53の内周面に形成している為、前述の図39に示した、従来構造の第4例の様に、駆動軸部材29の重量並びに軸方向寸法が嵩む事はない。尚、上記凹孔53を形成した事に伴い、上記スプライン軸30の先端部の強度は多少低下するが、この先端部には大きなトルクが負荷されない為、実用上問題となる事はない。
又、本実施例の場合、上記スプライン孔28の円周方向複数個所で、少なくともこのスプライン孔28の外端縁から、上記外側係止溝13を跨ぐこのスプライン孔28の外端寄り部までの部分に、図5に示す様に、このスプライン孔28の内周面に形成した雌スプライン溝よりも深い深溝55、55を、それぞれ軸方向(図3の左右方向、図5の表裏方向)に亙り形成している。そして、上記スプライン軸30を上記スプライン孔28内から抜き出す際には、このスプライン孔28の外端部から上記各深溝55、55内に差し込んだ複数本のピンにより、上記止め輪35aを縮径させて、この止め輪35aと上記外側係止溝13との係合を外せる様にしている。尚、図示の例では、上記各深溝55、55の溝幅を狭くし、これら各深溝55、55が、上記スプライン孔28とスプライン軸30とのスプライン係合部の係合状態に影響を及ぼさない様にしている。但し、上記各深溝55、55の溝幅を、2〜3本のスプライン溝を跨ぐ程度に広くする事も可能である。この様に、上記各深溝55、55の溝幅を広くすれば、これら各深溝55、55を、鍛造加工により形成する事も可能である。この様な場合、これら各深溝55、55の形成部分では、スプライン係合する歯数が減るが、これら各深溝55、55は、スプライン係合部の軸方向一部にのみ形成すれば足りる。従って、スプライン係合部の全長に亙ってスプライン係合する歯数が減る事はなく、スプライン係合部で伝達可能なトルクの減少は軽微で、実用上問題とはならない。
更に、本実施例の場合、上記スプライン軸30及びスプライン孔28が存在する空間の外端開口部を塞ぐキャップ34aを、ハブ6aの本体部分の軸方向中間部で上記スプライン軸30の先端面に近接対向する部分に固定している。本実施例の場合、このキャップ34aは、全体を合成樹脂により造っており、円筒部56とこの円筒部56の外端開口を塞ぐ円板部57とを備えた有底円筒状に形成している。このキャップ34aを上記ハブ6aの中間部に装着する際には、上記円筒部56の内端部外周面に全周に亙り形成した係合突部58を、このハブ6aの中間部内周面に全周に亙り形成した係合溝59に係合させた状態で、この円筒部56をこのハブ6aの中間部に内嵌固定する。これと共に、上記円筒部56の外端部外周面に形成した外向フランジ状の鍔部60を、上記ハブ6aの外端寄り部内周面に形成した段差面61に突き当てる。又、上記円筒部56の外周面に全周に亙り形成した凹溝62内には、Oリング63を装着する事により、この円筒部56の外周面と上記ハブ6aの中間部内周面との間をシールしている。
上述の様に本実施例の場合には、キャップ34aを上記ハブ6aの中間部で上記スプライン軸30の先端面に近接対向する部分に固定する事により、このキャップ34aとシールリング37との間部分で上記スプライン軸30及びスプライン孔28が存在する空間の容積を小さくできる。この空間には、これらスプライン軸30とスプライン孔28との錆び付きや摩耗を防止すると共に、これら錆び付きや摩耗に起因する異音の発生等を防止する為に、グリースを封入するが、本実施例の様に上記空間の容積を小さくする事により、グリースの封入量を少なくして、コストの低減を図れる。尚、上述の様に装着したキャップ34aは、上記段差面61と上記鍔部60の内側面との間に挿入した特殊工具の先端部を、この鍔部60の内側面に引っ掛ける事により、上記ハブ6aの中間部から容易に取り外せる様にしている。この為、上記鍔部60の内側面外周縁部分に面取り部64を形成する事により、上記特殊工具の先端部を上記段差面61と鍔部60の内側面との間に挿入し易くしている。その他の構成及び作用は前述した実施例1の場合と同様である。尚、上記特殊工具の先端部を上記鍔部60の内側面側に確実に挿入できる様にする為、この鍔部60を、大径部と小径部とを有する2段の鍔とし、このうちの小径部の内側面を上記段差面に突き当て、大径部の内側面と上記段差面61との間に隙間を介在させる事もできる。
次に、図6は、請求項1、2、3、11に対応する、本発明の実施の形態の実施例3を示している。本実施例の場合、スプライン軸30の先端面中央部に設けた凹孔53の内周面に、係合溝であるねじ溝65を形成している。そして、上記スプライン軸30をスプライン孔28内に挿通する際、このねじ溝65に、引っ張り部材の先端部に形成した雄ねじ部を螺合させる様にしている。又、本実施例の場合、ハブ6aは、S53C〜S55C(JIS G4051)等の機械構造用炭素鋼の如き炭素鋼製の素材により造っている。そして、この様なハブ6aの一部周面で図6に斜格子で示した部分、即ち、このハブ6aの中間部外周面で、取付フランジ7の内側面基端寄り部分から内輪50を外嵌した段部33の内半部までの連続した部分、及びこのハブ6aの内周面で上記スプライン孔28を形成した部分に、高周波焼き入れ等による焼き入れ硬化層を形成して、当該部分の耐久性を向上させている。特に、本実施例の場合、上記スプライン孔28部分に焼き入れ硬化層を形成している為、内側、外側両係止溝14、13と止め輪35との係合部に存在する遊びに基づいて、上記スプライン軸30とスプライン孔28との係合部に、軸方向に亙る若干のがたつきが生じた場合にも、このスプライン孔28の軸方向に亙る微小振動によるフレッチング摩耗を防止し、このスプライン孔28を含むスプライン係合部の耐久性を十分に確保できる。その他の構成及び作用は、前述した実施例1並びに上述した実施例2の場合と同様である。
次に、図7は、請求項1、2、4、5、9に対応する、本発明の実施例4を示している。本実施例の場合には、外輪1の外周面を単なる円筒形とし、懸架装置への取付時にこの外輪1を、ナックル40(図37、39、40参照)に設けた取付孔に内嵌固定する様にしている。又、ハブ6aの外周面に複列の内輪軌道8、8を設けるべく、このハブ6aの本体部分に、それぞれの外周面にこの内輪軌道8、8を設けた、1対の内輪50、50を外嵌し、かしめ部27により固定している。
又、このかしめ部27の端面を、駆動軸部材29を構成する、ハウジング部11の外端面に、当接若しくは近接させている。そして、このハウジング部11の外端面に形成した保持溝41に保持したOリング42を上記かしめ部27の端面に弾性的に当接させて、このかしめ部27と上記ハウジング部11との間をシールしている。本実施例の場合には、上記かしめ部27の端面を駆動軸部材29のハウジング部11の外端面に当接若しくは近接させる事により、スプライン軸30がスプライン孔28に対して、図7に示した状態よりも左方に変位する事を阻止している。これに伴って本実施例の場合には、ハブ6aの内周面に設ける外側係合部を、上記スプライン孔28の外端縁部に形成した段部43としている。車輪駆動用車軸ユニットの組み立て時にこの段部43には、上記スプライン軸30の外周面に形成した内側係止溝14に係止した止め輪35が係合し、このスプライン軸30が上記スプライン孔28から抜け出る事を防止する。尚、本実施例の場合には、上記駆動軸部材29を上記ハブ6aに組み付けた状態で、上記Oリング42に予圧が付加される構造になっている。この為、上記スプライン軸30とスプライン孔28との軸方向に亙るがたつきを防止して、軸方向の微小振動によるフレッチング摩耗を防止できる。
更に、本実施例の場合も、前述した実施例2の場合と同様、上記ハブ6aの本体部分の中間部にキャップ34を、上記スプライン軸30の端面に近接対向させた状態で嵌合固定して、この中間部を塞いでいる。但し、本実施例のキャップ34は、前述した実施例1及び上述した実施例3のキャップ34と同様、金属板製としている。この様に構成する本実施例の場合も、このキャップ34と上記Oリング42との間部分で上記スプライン軸30及びスプライン孔28が存在する空間の容積を小さくして、この空間に封入するグリースの量を少なくできる為、コストの低減を図れる。その他の構成及び作用は、上述した実施例1〜3の場合と同様である。
次に、図8は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施例5を示している。本実施例の場合には、駆動軸部材29の中間部、即ち、ハウジング部11の外端部にエンコーダ部44を備えた芯金69を外嵌固定して、この駆動軸部材29の回転速度を検出自在としている。この芯金69は、SUS430の如きステンレス鋼板等の、耐蝕性を有する磁性金属板を折り曲げ形成する事により、円筒部45と円輪部46とを有する断面L字形で、全体を円環状に形成している。この様な芯金69は、上記円筒部45を上記ハウジング部11の外端部に締り嵌めで外嵌する事により、上記駆動軸部材29に固定している。又、上記円筒部45には、それぞれが軸方向(図8の左右方向)に長いスリット状の透孔47を、円周方向に亙って等間隔に多数形成している。従って、上記円筒部45の外周面の磁気特性は、円周方向に亙って交互に、且つ等間隔で変化している。即ち、本実施例の場合、この円筒部45の外周面を、上記エンコーダ部44としている。車両への組み付け状態で上記円筒部45の外周面であるエンコーダ部44には、懸架装置等の固定部分に支持したセンサ48の検知部を近接対向させて、車輪と同期して回転する、上記駆動軸部材29の回転速度を検出自在とする。
又、上記円輪部46は、上記ハウジング部11の外端面に当接させている。そして、この円輪部46の外側面に接着、焼き付け等により添着した、円環状の弾性板(弾性材)49を、この円輪部46と共に、上記ハウジング部11の外端面とハブ6aの内端部に設けたかしめ部27の端面との間で、弾性的に圧縮した状態で挟持している。この為に本実施例の場合には、上記円輪部46及び弾性板49により、スプライン軸30がスプライン孔28に対して、図8に示した状態よりも左方に変位する事を阻止する。又、上記弾性板49が、上記ハウジング部11の外端面と上記かしめ部27の端面との間をシールする。従って本実施例の場合には、前述した実施例1〜3のシールリング37や上述した実施例4の様なOリング42が不要になるだけでなく、これらシールリング37やOリング42を装着する為、各部に所定の加工を施す必要もなくなる。尚、上記弾性板49は、上記円筒部45の外周面にかからない様にして、この円筒部45の外周面に設けたエンコーダ部44と上記センサ48の検知部とを十分に近接できる様にしている。
尚、上記弾性板49の内径寸法を前記芯金69の円輪部46の内径寸法よりも小さくし、この円輪部46よりも直径方向内方(図8の下方)に突出した上記弾性板49の内径寄り部分の内側面(図8の右側面)を、上記芯金69の内側面と同一平面上に位置させ、この突出部分で、上記弾性板49が上記ハウジング部11の外端面に直接当接する様にする事もできる。この様な構造にすれば、上記弾性板49が上記円輪部46よりも直径方向内方に突出した部分で、上記ハブ6aの内端部と上記ハウジング部11の外端面の間で、直接圧縮された状態で挟持される。この為、上記芯金69の円筒部45と上記ハウジング部11との嵌合面からスプライン係合部への、雨水等の異物の侵入を、このハウジング部11の外端面と上記弾性板49との当接部で、確実に防止できる。
又、上記弾性板49の軸方向に亙る撓み量(弾性圧縮量)は、製作に必要な各部の寸法許容差等を考慮して、良好な密封性能が得られる様に設計する。例えば乗用車用の車輪駆動用車軸ユニットの場合には、最小撓み0.2〜0.6mm、最大撓み1.3〜1.7mm程度となる。運転時にはインボード側(車両の幅方向中央側)に使われるトリポード・ジョイントの軸方向の摺動抵抗に基づくスラスト荷重が、上記弾性板49に負荷される。従って、その時の弾性板49の撓み量も考慮しなければならない。長期間の使用に耐えられる、十分な耐久性を得る為には、想定される最大の撓み量を受けた時にも、弾性板の圧縮歪みが30%以下(好ましくは20%以下)に抑えられる様に設計すべきである。この様に設計するには、乗用車用の車輪駆動用車軸ユニットの場合、上記ハブ6aの内端部と上記芯金69との間に設ける上記弾性板49の厚さは、4〜6mm程度は必要である。従って、スペース上の問題がなければ、この厚さを6〜9mm程度とする様な、余裕のある設計をする事が好ましい。
又、大きな接触面圧を受ける、上記弾性板49の表面と相手面との接触状態が滑り接触になると、この弾性板49の表面が早期に疲労する。従って、等速ジョイントに負荷されるトルクが逆方向になっても(駆動状態から非駆動状態でエンジンブレーキを伴う惰性走行状態に変化しても)、上記弾性板49と前記ハブ6a内端部との接触部に、円周方向に亙る摺動が発生する事なく、この弾性板49を構成するゴムの剪断歪みにより吸収できる様に設計する事が好ましい。前述の様な厚さ(4〜6mm、スペースが許せば6〜9mm)があれば、この様な設計が可能である。
更に、上記弾性板49の歪み量は、車輪駆動用車軸ユニットの運転時に、常時変化する。この様に非常に過酷な使用条件に拘らず、長期間使用する上記弾性板49の耐久性を得る為、この弾性板49の材料として、ニトリルゴムよりは若干高価になるが、ハイトレル或はアニテル等の、熱可塑性ポリエーテルエラストマー材を使用するのが好ましい。その他の構成及び作用は、前述した実施例1〜4と同様である。
次に、図9は、やはり請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施例6を示している。上述した実施例5の場合には、弾性板49に、スプライン軸30がスプライン孔28に対して、図8に示した状態よりも左方に変位する事を阻止する機能の他、円輪部46とかしめ部27との間をシールする機能も合わせ持たせている。これら両機能のうち、変位を阻止する機能を充実させる為には、上記弾性板49の剛性を高くする必要があり、シールする機能を充実させる為には、この弾性板49の剛性を或る程度低くする必要がある。本実施例の場合には、この様な事情を考慮して、弾性板49aの外周縁部に、比較的薄肉で剛性が低く、撓み易いシールリップ51を設けている。そして、このシールリップ51の先端縁を上記かしめ部27の端面に、全周に亙り当接させて、上記円輪部46とかしめ部27との間をシールしている。一方、上記弾性板49aの本体部分は剛性を高くし、図8に示したスプライン軸30がスプライン孔28に対して、図8に示した状態よりも左方に変位する事を有効に阻止する様にしている。
次に、図10〜11は、請求項1、2、4、5、9に対応する、本発明の実施例7を示している。本実施例の場合、ハウジング部11の外端部に外嵌固定する芯金69aを、ばね鋼(SK5等の工具鋼を含む)製の板材にプレス加工及び折り曲げ加工を施すと共に、全体を焼き入れ硬化する事により造っている。本実施例の場合、この芯金69aを構成する円輪部46の内径側部分に、内径側に向かう程軸方向外方に傾斜する傾斜部66を形成する事により、この円輪部46よりも内径側の部分を軸方向外方に突出させている。更に、図11に示す様に、上記円輪部46よりも内径側部分の内周縁部に複数の切り欠き67、67を、円周方向に亙り等間隔で形成する事により、これら各切り欠き67、67同士の間部分に複数の舌片90、90を形成して、上記傾斜部66を含む上記円輪部46よりも内径側部分に十分な弾性を持たせている。そして、この様に形成した円輪部46よりも内径側部分の先端部、即ち、上記各舌片90、90の先端部を、かしめ部27の端面に弾性的に突き当てる事により、スプライン軸30がスプライン孔28に対して、図10に示した状態よりも左方に変位する事を阻止している。これにより、これらスプライン軸30とスプライン孔28との軸方向に亙るがたつきを防止している。尚、この状態で、上記各舌片90、90には、図示しない変速機側(図10の右側)に組み込まれるやはり図示しないトリポード型等速ジョイントの軸方向摺動抵抗(数10kgf )以上の予圧荷重を付加している。これにより、運転時に、等速ジョイントにスラスト方向(図10の左右方向)に亙る荷重が付加された場合にも、上記スプライン軸30と上記スプライン孔28との係合部が軸方向に摺動しない様にして、この係合部に摩耗が発生する事を防止している。
尚、組立て時に上記各舌片90、90に過大な荷重が付加された場合、例えば、これら各舌片90、90がハブ6aと駆動軸部材29との間に挟まれて平坦になるまで撓まされた場合でも、これら各舌片90、90の内部に発生する応力が許容応力を越えない様に設計して、これら各舌片90、90が破損等しない様にしている。即ち、これら各舌片90、90の内部に発生する応力は、これら各舌片90、90が平坦に撓まされるまでの変位量が大きい程大きくなるので、この様に平坦になるまで撓まされ時の変位量が2〜3mm以下の値に抑えられる様に、各部の寸法を決めている。
又、上記円輪部46の外側面には、ゴムの如きエラストマー等の弾性材により全体を円筒状に形成したシールリップ68の内端部を、接着若しくは焼き付け等により結合固定している。これと共に、このシールリップ68の先端縁である外端縁を、内輪50の内端面に全周に亙り弾性的に当接させる事により、ハウジング部11の外端面と上記かしめ部27の端面との間をシールしている。尚、本実施例の場合、車輪用転がり軸受ユニットの運転時に、上記円輪部46の内径側部分の弾力に抗して、上記スプライン軸30が上記スプライン孔28に対し、図10に示した状態よりも左方に変位した場合でも、上記内輪50の内端面に対する上記シールリップ68の外端縁の当接位置及び当接圧が変化しない様に、このシールリップ68の先端寄り部分を曲がった形状とすると共に、この先端寄り部分に適切な弾性を持たせている。その他の構成及び作用は、前述の図7〜8に示した実施例4〜5の場合と同様である。
次に、図12は、やはり請求項1、2、4、5、9に対応する、本発明の実施例8を示している。本実施例の場合、ハウジング部11の外端部に外嵌固定する芯金69bを構成する円筒部45に、透孔47(図10参照)を形成していない。更に、本実施例の場合、この芯金69bを構成する円輪部46よりも内径側部分の内周縁に、切り欠き67、67(図10〜11参照)を形成せず、この円輪部46よりも内径側部分をダイヤフラム状の皿ばね部91としている。又、本実施例の場合、この円輪部46の外側面に結合したシールリップ68の外径側部分に、このシールリップ68を構成する弾性材の一部により円筒状に形成した覆い部70を設けている。この覆い部70の先端縁は、全周に亙り内輪50の内端部に形成した小径段部71の外径側部分にまで延出させる事により、上記シールリップ68によるシール部を覆っている。この為、本実施例の場合には、上記シールリップ68に雨水等の異物が直接かかる事を防止して、このシールリップ68によるシール機能を充実させている。
又、本実施例の場合、上記円輪部46よりも内径側部分に形成した皿ばね部91の外側面に、上記シールリップ68を構成する弾性材の一部を添着する事により、この皿ばね部91の外側面を、かしめ部27の端面に直接当接させない様にしている。この理由は、上記皿ばね部91の外側面とかしめ部27の端面との当接部にフレッチング摩耗が発生する事を防止する為である。尚、本実施例の場合、上記芯金69bを構成する円筒部45の内端縁に、外向フランジ状の鍔部72を形成している。そして、上記芯金69bを上記ハウジング部11の外端部に圧入する際に、上記シールリップ68を潰す事なく、この鍔部72の外側面に圧入治具の先端部を突き当てる様にしている。その他の構成及び作用は、上述した実施例7と同様である。
次に、図13は、やはり請求項1、2、4、5、9に対応する、本発明の実施例9を示している。本実施例の場合、ハウジング部11の外端部に支持した芯金69cを構成する円輪部46の内周縁部分に段部73を形成する事により、この円輪部46よりも内径側部分の外側面の一部で、シールリップ68及び覆い部70の基端縁を結合する部分を、内輪50の内端面に近付けている。そして、この様に円輪部46の外側面の一部を内輪50の内端面に近付けた分だけ、上記シールリップ68及び覆い部70を構成する弾性材の量を少なくして、これらシールリップ68及び覆い部70の低廉化を図っている。その他の構成及び作用は、上述した実施例8の場合と同様である。
次に、図14は、やはり請求項1、2、4、5、9に対応する、本発明の実施例10を示している。本実施例の場合、シールリップ68aを支持する芯金69dの円筒部45を、内輪50の内端部に形成した小径段部71に外嵌固定している。これと共に、この芯金69dを構成する皿ばね部91の内側面を、上記シールリップ68aを構成する弾性材の一部を介して、ハウジング部11の外端面に弾性的に突き当てている。又、シールリップ68aの先端縁は、全周に亙りハウジング部11の外周面外端寄り円すい状傾斜面部分に当接させている。尚、本実施例の場合、自由状態に於ける上記シールリップ68aの先端縁の直径寸法を、上記ハウジング部11の外端面の直径寸法よりも、少しだけ大きくしている。この理由は、スプライン軸30をスプライン孔28内に挿通する際に、上記シールリップ68aの先端縁が上記ハウジング部11の外端面にぶつかって、このシールリップ68aがめくれる事を防止する為である。
ところで、上記芯金69dの円筒部45を外嵌固定する部分である、上記内輪50の内端部に形成した小径段部71は、この内輪50の内端面にハブ6aの内端部をかしめ付ける際に、若干変形する場合がある。この為、本実施例の場合には、この様に小径段部71が変形して、この小径段部71の直径等が変化した場合でも、この小径段部71に対する上記円筒部45の嵌合強度の適正化を図ると共に、この嵌合部に於けるシール性を確保すべく、この円筒部45の内周面に、全周に亙りゴム等の弾性材74を添着している。その他の構成及び作用は、上述した実施例9の場合と同様である。
次に、図15は、やはり請求項1、2、4、5、9に対応する、本発明の実施例11を示している。本実施例の場合、シールリップ68bの基端縁を、芯金69dを構成する皿ばね部91の内周縁部分に添着すると共に、このシールリップ68bの先端縁を、駆動軸部材29の中間部で、スプライン軸30の外周面とハウジング部11の外端面との連続部に存在する曲面部に弾性的に当接させている。又、上記円輪部46の内径側部分に設けた傾斜部66の内側面に覆い部70aの基端縁を結合すると共に、この覆い部70aの先端縁をハウジング部11の外端部外径側部分に延出させる事により、上記シールリップ68bによるシール部を全周に亙り覆っている。更に、本実施例の場合、上記シールリップ68bと覆い部70aとの間部分に存在し、内側面を上記ハウジング部11の外端面に当接させる弾性材の厚さ寸法を大きくして、この厚さ寸法を大きくした部分を弾性板部75としている。本実施例の場合、この様な弾性板部75を設ける事により、スプライン軸30がスプライン孔28に対して、図15に示した状態よりも左方に変位する事を阻止する機能を充実させている。その他の構成及び作用は、上述した実施例10の場合と同様である。
次に、図16は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施例12を示している。本実施例の場合、複数個の転動体12、12を設置した空間の軸方向内端開口部を塞ぐシールリング19aの内側面に、センサ48と共に回転速度検出装置を構成するエンコーダ76を支持固定している。即ち、本実施例の場合には、上記シールリング19aとして組み合わせシールリングを採用しており、上記エンコーダ76は、この組み合わせシールリングを構成する、内輪50の内端部に外嵌固定したスリンガ77の内側面に添着固定している。このエンコーダ76は、フェライトの粉末を混入したゴム磁石等の永久磁石により全体を円輪状に形成したもので、軸方向(図16の左右方向)に亙り着磁している。着磁方向は、円周方向に亙り交互に、且つ等間隔で変化させている。従って、上記エンコーダ76の内側面には、S極とN極とが交互に、且つ等間隔で配置されている。本実施例の場合も、車両への組み付け状態で上記エンコーダ76の内側面に、懸架装置等の固定部分に支持したセンサ48の検知部を近接対向させて、車輪と同期して回転する駆動軸部材29の回転速度を検出自在としている。
又、本実施例の場合、ハウジング部11の外端部に外嵌固定した芯金69eに結合するシールリップ68cは、断面略U字形で全体を円環状に形成して成り、互いに略平行な1対の円輪部78a、78bと、これら各円輪部78a、78bの内周縁同士を連続させる連続部79と、これら各円輪部78a、78bのうちの外側の円輪部78aの外周縁から軸方向外方に折れ曲がった突条部80とを備える。この様なシールリップ68cは、内側の円輪部78bの外周寄り部分を、上記芯金69eを構成する円輪部46の外側面内周寄り部分及びこの円輪部46の内周縁部分に、接着、焼き付け等により結合固定すると共に、上記突条部80の先端縁をかしめ部27の端面に、全周に亙り弾性的に当接させている。更に、この状態で、上記内側の円輪部78bの内側面の一部を、上記ハウジング部11の外端面に全周に亙り弾性的に当接させて、上記芯金69eと上記ハウジング部11の外端部との嵌合固定部をシールしている。尚、自由状態に於ける上記シールリップ68cの軸方向(図16の左右方向)に亙る寸法は、上記ハウジング部11の外端面と上記かしめ部27の端面との軸方向に亙る間隔よりも十分に大きくしている。
この様に構成する本実施例の場合、上記シールリップ68cは断面略U字形に形成している為、外側の円輪部78aの外周縁に形成した突条部80の先端縁を、軸方向に亙り大きく変位させる事ができる。この為、内側、外側両係止溝14、13と止め輪35との結合部に存在する遊びに基づき、上記ハウジング部11の外端面と上記かしめ部27の端面との軸方向に亙る間隔が比較的大きく(例えば1mm程度)変化した場合でも、上記突条部80の先端縁を追従させて、上記かしめ部27の端面に対するこの突条部80の先端縁の当接圧を十分に確保できる。又、上記シールリップ68cを断面略U字形に形成している為、このシールリップ68cの中間部が変形する事に対する抵抗を、上記突条部80の先端縁と上記かしめ部27の端面との当接部に働く摩擦抵抗よりも小さくでき、この当接部が運転中に摺動する事を防止できる。この為、上記シールリップ68cによるシール性能を安定させる事ができる。
尚、本実施例の場合、上記芯金69eの円筒部45を上記ハウジング部11の外端部に圧入する際には、この芯金69eの円輪部46の外側面のうち、上記シールリップ68cの円輪部78bを添着していない外径側部分に治具を押し当てる様にしている。言い換えれば、上記円輪部46の外側面外径側部分に上記治具の押し当て部を確保すべく、この円輪部46の外径寸法を、上記シールリップ68cを構成する内側の円輪部78bの外径寸法よりも十分に大きくしている。その他の構成及び作用は、前述した実施例1、3の場合と同様である。
次に、図17は、やはり請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施例13を示している。本実施例の場合、シールリップ68cを構成する突条部80の先端縁を、全周に亙り内輪50の内端面に当接させている。この様に本実施例の場合には、かしめ部27の端面よりも組み付け後の位置精度及び形状精度の高い内輪50の内端面に上記突条部80の先端縁を当接させる事により、上記シールリップ68cによるシール性能をより安定させる様にしている。又、本実施例の場合、ハウジング部11の外端部に外嵌固定した芯金69fを構成する円筒部45の内端縁に、圧入治具押し当て用の鍔部72を形成している。この為、本実施例の場合には、上記芯金69fを構成する円輪部46の外側面外径側部分に、上述した実施例12の様な圧入治具の押し当て部を広く確保していない。その他の構成及び作用は、上述した実施例12の場合と同様である。
次に、図18は、やはり請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施例14を示している。本実施例の場合、シールリップ68dを支持する芯金69gを断面クランク形に形成すると共に、最外径側に設けた円筒部45を、内輪50の内端部に形成した小径段部71に外嵌固定している。この円筒部45を小径段部71に外嵌固定する事としたのは、この円筒部45がセンサ48の先端部と干渉するのを避ける為である。一方、上記芯金69gに支持するシールリップ68dは、外側の円輪部78aの外径側部分を、この芯金69gの内周縁部に結合すると共に、内側の円輪部78bの外周縁に設けた突条部80の先端縁を、全周に亙りハウジング部11の外端面に当接させている。又、本実施例の場合、上記円筒部45の内周面に、上記シールリップ68dを構成する弾性材の一部を添着している。これにより、上記小径段部71がかしめ部27を形成する際に変形した場合にも、この小径段部71に対する上記円筒部45の嵌合強度を適正にできる様にすると共に、この円筒部45の嵌合部のシール性を確保できる様にしている。その他の構成及び作用は、前述した実施例12と同様である。
次に、図19〜20は、請求項1、2に対応する、本発明の実施例15を示している。本実施例の場合、ハウジング部11の外端部に外嵌固定した芯金69eに支持する、シール部材であるシールリップ68eを、断面略へ字形で全体を略円筒状に構成している。この様なシールリップ68eは、基端部である内端部を上記芯金69eを構成する円筒部45の外周面及び円輪部46の外周縁部分に添着すると共に、先端部内周面に全周に亙り形成した係止突部81を、内輪50の小径段部71に全周に亙り形成した係止凹溝82に係合させている。尚、上記係止突部81の高さ寸法は、上記係止凹溝82の深さ寸法よりも大きくすると共に、自由状態に於けるこの係止突部81の内周縁の直径を、上記係止凹溝82の底面の直径寸法よりも小さくしている。従って、上述の様に係止突部81を係止凹溝82に係合させた状態で、この係止突部81の内周縁はこの係止凹溝82の底面に、全周に亙り弾性的に当接する。言い換えれば、上記係止凹溝82の底面に上記シールリップ68eの先端部を外嵌した状態となる。そして、この状態で、ハブ6aと駆動軸部材29との間を密閉している。
上記係止突部81を上記係止凹溝82に係合させる際には、上記芯金69eを上記ハウジング部11の外端部に外嵌固定した状態で、スプライン軸30をスプライン孔28内に、図19の右から左に挿入する。この挿入作業により上記シールリップ68eの先端部に形成した係止突部81は、上記小径段部71の内端縁に設けた円すい凸面状の面取り部83に案内されつつ、内径を弾性的に広げられ、この小径段部71の外周面に乗り上がった後、再び内径を縮めて上記係止凹溝82内に進入する。又、この様に構成する本実施例の場合、内側、外側両係止溝14、13と止め輪35との係合部に存在する遊びに基づき、上記ハウジング部11と上記小径段部71の外周面に形成した係止凹溝82部分とが軸方向に亙り相対変位した場合でも、上記シールリップ68eの中間部に形成した屈曲部84が曲がる事により、このシールリップ68eの先端部に形成した係止突部81を上記係止凹溝82に追従させる事ができる。この為、この係止突部81の内周縁と係止凹溝82の底面との当接部で摺動が発生せず、摩耗等の原因によりシール性能が劣化する事を防止できる。
尚、本実施例の場合、上記芯金69eを構成する円輪部46の内径寸法は、自由状態に於ける上記シールリップ68eの先端部に設けた係止突部81の内径寸法よりも十分に小さくしている。これにより上記芯金69eを上記ハウジング部11の外端部に圧入固定する際に、上記シールリップ68eの先端部がこの芯金69eを構成する円輪部46の外側面に突き当てる圧入治具の邪魔になる事を防止している。その他の構成及び作用は、前述した実施例12と同様である。
次に、図21は、請求項1、2に対応する、本発明の実施例16を示している。本実施例の場合、内輪50は、ハブ6aの内端部に係止した止め輪85により、このハブ6aの内端部に抑え付けている。即ち、このハブ6aの内端部外周面に、全周に亙り係止凹溝86を形成しており、この係止凹溝86内に上記止め輪85を係止している。この止め輪85は、それぞれが半円弧状である、1対の止め輪素子により構成している。この様な止め輪85は、各転動体12、12に適正な予圧を付与すべく、上記内輪50を上記ハブ6aに対して軸方向外方に押圧しつつ、その内周縁部を上記係止凹溝86に係合させている。尚、上記内輪50を軸方向外方に押圧している力を解除した状態でも上記各転動体12、12に適正な予圧を付与したままにすべく、上記止め輪85として、適切な厚さ寸法を有するものを選択使用する。その他の構成及び作用は、上述した実施例15の場合と同様である。
次に、図22は、やはり請求項1、2に対応する、本発明の実施例17を示している。本実施例の場合、シールリップ68fを支持する芯金69hを、ハブ6aの内端部に支持固定している。そして、この芯金69hの一部を、内輪50をハブ6aの内端部に抑え付ける為の止め輪85の周囲に配置している。これにより本実施例の場合には、上記止め輪85を構成する1対の止め輪素子が直径方向外方に変位して、上記ハブ6aの外周面内端寄り部に形成した係止凹溝86から不用意に抜け落ちる事を防止している。即ち、上記芯金69hは、断面クランク形で全体を円環状に形成しており、上記ハブ6aの内端部に外嵌固定する為の小径円筒部87と、この小径円筒部87の外端縁から直径方向外方に折れ曲がった円輪部88と、この円輪部88の外周縁から軸方向外方に折れ曲がった大径円筒部89とを備える。そして、このうちの円輪部88の外側面を上記止め輪85の内側面に当接若しくは近接対向させると共に、上記大径円筒部89の内周面を上記止め輪85の外周面に、当接若しくは近接対向させている。
又、上記シールリップ68fは、基端部である外端部を上記大径円筒部89の外周面及び円輪部88の外周縁部分に結合すると共に、先端部である内端部の内周面に設けた係止突部81の内周縁を、ハウジング部11の外端部外周面に全周に亙り形成した係止凹溝82aの底面に当接させている。尚、本実施例の場合も、上記ハウジング部11の外端縁部には、上記シールリップ68fの先端部に設けた係止突部81を上記係止凹溝82a内に係止する際の案内面となる、面取り部83aを形成している。その他の構成及び作用は、上述した実施例16と同様である。
次に、図23は、請求項1、2、4、9に対応する、本発明の実施例18を示している。本実施例の場合、ハブ6eは、ハブ本体102と1対の内輪50、50とナット103とから構成している。即ち、これら1対の内輪50、50を上記ハブ本体102に外嵌した状態で、このハブ本体102の内端部に形成した雄ねじ部に上記ナット103を螺合し更に緊締して、上記ハブ6eを構成している。尚、このナット103と内側の内輪50との間には、ワッシャ104を挟持している。又、外輪1はナックル40に形成した支持孔105の内側に内嵌し、この支持孔105の一端開口部内周面に形成した鍔部106と、この支持孔105の他端部内周面に係止した止め輪107との間で、軸方向両側から挟持している。その他の構成及び作用は、前述の図7に示した実施例4の場合と同様である。尚、上記1対の内輪50、50のうち、外側の内輪50は、上記ハブ本体102と一体としても良い。
次に、図24〜25は、請求項1、2、4、5、6、9、12に対応する、本発明の実施例19を示している。本実施例の場合も、スプライン軸30の外端寄りの中間部外周面に全周に亙って、請求項に記載した内側係合部に相当する、内側係止溝14を形成している。又、ハブ6aの中心部に形成したスプライン孔28の外端開口部の周囲で、この内側係止溝14に整合する位置に、請求項に記載した外側係合部に相当する段部108を、全周に亙り形成している。そして、これら内側係止溝14と段部108との間に、図25にその一部を示す様な、円環状の止め輪109を、これら内側係止溝14と段部108との間に掛け渡す状態で装着している。
上記止め輪109は、SK5の如きばね鋼、ステンレスばね鋼等の弾性金属板により、全体を円環状に形成すると共に、軸方向(図24の左右方向)に亙る厚さ寸法を弾性的に収縮自在としている。即ち、上記止め輪109は、外周側部分に円環部110を、全周に亙って設け、この円環部110の内周縁部に多数の弾性舌片111、111を、直径方向内方及び軸方向に突出する状態で形成している。この様な止め輪109を構成する、上記多数の弾性舌片111、111の先端縁(内周側端縁)の内接円の直径は、上記止め輪109の自由状態で、上記スプライン軸30の外接円の直径よりも小さくしている。この様な止め輪109は、上記多数の弾性舌片111、111の先端部(内周側端部)をこの止め輪109の直径方向外方に弾性変形させつつ、上記スプライン軸30の外端部に外嵌する。そして、上記多数の弾性舌片111、111が上記内側係止溝14に整合した状態で、これら各弾性舌片111、111の先端部を直径方向内方に向け弾性的に復元させ、これら各弾性舌片111、111の先端部と上記内側係止溝14とを係合させる。又、この状態で上記円環部110を、上記段部108に突き当てている。
勿論、上記各弾性舌片111、111が、上記スプライン軸30の外周面に形成したスプライン溝を通じて、上記内側係止溝14から外れない様に、この内側係止溝14の溝底径(内側係止溝14の溝底径を、雄スプラインの溝底径よりも小さくする)や上記各弾性舌片111、111の先端部の幅(この幅をスプライン溝の幅よりも大きくする)等を規制する。尚、上記各弾性舌片111、111と内側係止溝14とを係合させる作業を容易に行なえる様にすべく、上記円環部110を欠円環状にしても良い。又、上記スプライン軸30の先端部で、上記止め輪109が係合している内側係止溝14よりも先端寄り部分には、スプライン溝を形成せず、このスプライン溝の溝底の径よりも小径の円筒面にする事もできる。この場合、勿論上記内側係止溝14の底部の径は、上記円筒面の外径よりも小さくする。尚、本実施例の場合、上記止め輪109は、上記スプライン軸30をスプライン孔28内に挿通した後に取り付ける。前述の図1に示した実施例1の様に、止め輪35をスプライン軸30に予め装着した状態で、このスプライン軸30をスプライン孔28に挿入する事はできない。
更に、上記スプライン軸30を設けた駆動軸部材29の内端部に設けたハウジング部11の外端面と、前記ハブ6aの内端面との間に、芯金69iと弾性板49とから成るシール部材112を配置している。このシール部材112を構成する芯金69iは、SPCCの如き炭素鋼板等の金属板を、断面L字形で全体を円環状に形成して成り、外周縁部に形成した円筒部45を上記ハウジング部11の外端部に締り嵌めで外嵌する事により、このハウジング部11の外端部に固定している。又、上記弾性板49は、ゴム、ビニル等のエラストマーを円環状に形成したもので、上記芯金69iを構成する円輪部46の外側面に、焼き付け、接着等により、全周に亙り添着している。
この様なシール部材112の弾性板49は、上記止め輪109を前記内側係止溝14と段部108とに掛け渡した状態で、上記ハウジング部11の外端面とハブ6aの内端面に存在するかしめ部27との間で弾性的に挟持される。この様に、上記止め輪109の弾力に基づいて上記弾性板49を挟持する弾性力は、運転時に上記スプライン軸30に加わるスラスト荷重よりも少し大きく、例えば100kgf 程度に設定する。本実施例の車輪支持用車軸ユニットは、上述の様に、上記止め輪109を上記内側係止溝14と段部108とに、軸方向に圧縮した状態で掛け渡す事により、上記弾性板49を上記ハウジング部11の外端面と上記かしめ部27との間で弾性的に挟持すると共に、上記ハブ6aと駆動軸部材29との軸方向に亙る位置決めを図っている。
上述の様に構成する、本実施例の車輪駆動用車軸ユニットの場合には、上記止め輪109を軸方向に亙る弾性を有するものとし、この止め輪109を内側係止溝14と段部108との間に掛け渡した状態で、弾性板49を上記ハブ6aの他端面に存在するかしめ部27と上記ハウジング部11の外端面との間で弾性的に挟持している。この為、運転中に生じる振動に拘らず、各部で部材同士の衝突に基づく異音が発生する事がない。又、自動車の運転中には、デファレンシャルギヤ側に設けたトリポード型の等速ジョイント(図示せず)部分で発生するスラスト荷重が、図示しない駆動シャフトを介して上記駆動軸部材29に加わる。このスラスト荷重の方向は、上記トリポード型の等速ジョイントの作動状態で方向が変化する為、或る瞬間には、上記駆動軸部材29を上記ハブ6aから引き抜く方向の力が加わる。この場合でも、上記止め輪109の弾力に基づいて上記弾性板49を挟持する力を、例えば100kgf 程度と、運転時に上記トリポード型等速ジョイントの運転に伴って前記スプライン軸30に加わるスラスト荷重よりも大きく設定しているので、上記駆動軸部材29と上記ハブ6aとが、軸方向に変位する事はない。従って、上記かしめ部27と上記弾性板49とが離隔する事はなく、この弾性板49による、上記駆動軸部材29と上記ハブ6aとの間のシール性は、上記運転時に加わるスラスト荷重に拘らず、確保できる。
次に、図26〜27は、やはり請求項1、2、4、5、6、9、12に対応する、本発明の実施例20を示している。本実施例の場合には、駆動軸部材29を構成するスプライン軸30の外周面の内側係止溝14と、ハブ6aの内周面の段部108との間に掛け渡す止め輪109aとして、欠円環状の波板ばねを使用している。上述した実施例19に使用する止め輪109と同様の弾性金属板により形成した、上記止め輪109aは、内径を弾性的に広げつつ、上記内側係止溝14と段部108との間に掛け渡している。その他の構成及び作用は、上述した実施例19と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
次に、図28は、請求項1、2、4、5、9、10、12に対応する、本発明の実施例21を示している。本実施例の場合には、駆動軸部材29を構成するスプライン軸30の先端部に、円柱部113を形成している。この円柱部113の外径は、このスプライン軸30に形成したスプライン溝の溝底の内接円の直径よりも小さい。この様な円柱部113の軸方向中間部に、全周に亙って、請求項に記載した内側係合部に相当する、内側係止溝14を形成している。又、上記スプライン孔28の外端開口部の周囲で、この内側係止溝14に整合する位置に、請求項に記載した外側係合部に相当する段部108を、全周に亙り形成している。そして、これら内側係止溝14と段部108との間に、欠円環状の止め輪15dと円環状の間座114とを、これら内側係止溝14と段部108とに掛け渡す状態で装着している。
上記止め輪15dは、SK5の如きばね鋼、ステンレスのばね鋼等の弾性金属板で、全体を欠円環状に形成する事により、直径を弾性的に拡縮自在としている。又、上記止め輪15dの自由状態での内径は、上記円柱部113の外径よりも小さくしている。又、上記間座114の内径は、上記円柱部113の外径よりも少しだけ大きくし、この間座114の外径は、上記スプライン孔28の内径よりも十分に大きくしている。
更に、ハウジング部11の外端面と、ハブ6aの内端面との間に、前述の図24〜25に示した実施例19の場合と同様に、芯金69iと弾性板49とから成るシール部材112を配置している。この様なシール部材112を構成する弾性板49は、上記止め輪15d及び間座114を上記内側係止溝14と段部108とに掛け渡した状態で、上記ハウジング部11の外端面とハブ6aの内端面に存在するかしめ部27との間に、弾性的に圧縮された(予圧を付与された)状態で挟持される。本実施例の車輪駆動用車軸ユニットは、上述の様に、上記止め輪15dを間座114と共に上記内側係止溝14と段部108との間に、軸方向に圧縮した状態で掛け渡す事により、上記弾性板49を上記ハウジング部11の外端面と上記かしめ部27との間で弾性的に挟持すると共に、上記ハブ6aと前記駆動軸部材29との軸方向に亙る位置決めを図っている。
上述の様に構成する、本実施例の車輪駆動用車軸ユニットの場合には、上記止め輪15dと段部108との間に上記間座114を設けている為、これら止め輪15dと段部108とが狭い面積で当接する事を防止できる。この結果、運転時に上記駆動軸部材29とハブ6aとの間に加わるスラスト荷重に拘らず、上記止め輪15dや段部108にフレッチング摩耗が発生する事を防止できる。即ち、上記止め輪15dは、上記内側係止溝14と係合させる際に弾性的に拡径する必要上、あまり幅広に造れず、上記止め輪15dの外径は限られたものとなる。又、スプライン孔28の開口周縁の直径は、この開口部に存在する面取り部に基づき、或る程度大きい。この為、上記内側係止溝14と段部108との間に止め輪15dのみを設けた場合には、これら段部108と止め輪15dとの当接面積が狭くなり、当接部の面圧が高くなって、当接部にフレッチング摩耗が発生し易くなる。これに対して本実施例の車輪駆動用車軸ユニットの場合には、上記間座114を設け、この間座114の両面と上記段部108及び止め輪15dとの当接面積を確保する事で、当接部の面圧を低くし、当接部にフレッチング摩耗が発生するのを防止できる。尚、上記弾性板49に付与する弾性力(予圧)は、前述の図24〜25に示した実施例19、或は図26〜27に示した実施例20と同様の理由により、運転時に前記スプライン軸30に加わるスラスト荷重よりも少し大きく、例えば100kgf 程度に設定する事が好ましい。その他の構成及び作用は、上記実施例19〜20の場合とほぼ同様である。
次に、図29は、請求項1、2、4、5、7、10に対応する、本発明の実施例22を示している。本実施例の場合には、間座114と段部108との間に、ゴム、ビニル等のエラストマーにより造った弾性リング115を、これら間座114と段部108との間で弾性的に圧縮した状態で挟持している。図示の例では、上記弾性リング115を、上記間座114の内側面に、焼き付け若しくは接着して、この間座114と一体に取り扱える様にしている。この様な本実施例の場合には、ハブ6aの中心孔に、この中心孔の外端開口部から進入する、雨水等の異物を、上記弾性リング115が上記間座114と段部108との間をシールする為、上述した実施例21でハブ6aに嵌着していたキャップ34(図28参照)を省略している。その他の構成及び作用は、上述した実施例21と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
次に、図30は、やはり請求項1、2、4、5、7、10に対応する、本発明の実施例23を示している。本実施例の場合には、ハブ6aの内端部に形成したかしめ部27の外径を、このハブ6aを構成する本体部分の内端部に外嵌固定した内輪50の外径との関係で、前述した実施例21及び上述した実施例22の場合よりも小さくしている。従って、本実施例の場合には、上記ハブ6aを構成する上記内輪50の内端面外径側半部が、上記かしめ部27の外周縁の周囲に露出している。そして、本実施例の場合には、上記ハブ6aの内端面外径側半部とハウジング部11の外端面との間に、シール部材112を設けている。この様な構造を有する本実施例の場合、このシール部材112の端面を、平坦な内輪50の端面に突き当てているので、このシール部材112に均一な歪みが発生する。この結果、このシール部材112が支承可能なスラスト荷重を大きくできる。その他の構成及び作用は、上述した実施例22の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。尚、シール部材112をハブ6aを構成する内輪50の内端面外径側半部とハウジング部11の外端面との間に設ける構造は、前述の図28に示した実施例21の構造で実施する事もできる。
次に、図31〜32は、請求項1、2、4、5、12に対応する、本発明の実施例24を示している。本実施例の場合には、スプライン軸30とスプライン孔28とのスプライン係合部が存在する空間の外端開口部を、第一素子116と第二素子117とを組み合わせて成るキャップ34bにより塞いでいる。このうちの第一素子116は、金属板を絞り加工等する事により有底円筒状に形成しており、嵌合固定部である円筒部118と、この円筒部118の外端開口部を塞ぐ底板部119とを備える。又、このうちの円筒部118の中間部外周面には、上記金属板を180度折り返す様に座屈変形させる事により、外向フランジ状の鍔部120を形成している。一方、上記第二素子117は、合成樹脂により有底筒状に形成しており、外周面の形状がハブ6aの外端寄り部内周面の形状と整合或はほぼ整合自在な筒状部121と、この筒状部121の内端開口を塞ぐ状態で設けられた、塞ぎ板部である底板部122とを備える。このうちの筒状部121は、大径円筒部123と、小径円筒部124と、これら大径円筒部123の内端縁と小径円筒部124の外端縁とを連続させる連続部125とを備える。又、上記底板部122は、このうちの小径円筒部124の内端開口を塞ぐ状態で設けている。
そして、この様な第一、第二両素子116、117同士を最中合わせに組み合わせる事により、上記キャップ34bを構成している。即ち、これら第一、第二両素子116、117同士を組み合わせる際には、図32に詳示する様に、この第一素子116を構成する円筒部118の内半部を、上記第二素子117を構成する大径円筒部123の外端寄り部外周面に全周に亙り形成した係止凹溝126に係合させる。これと共に、この大径円筒部123の外端部外周面に全周に亙り形成した係止凸部127を、上記鍔部120を形成した事に伴って上記円筒部118の中間部内周面に形成されたV字溝128に係合させる。尚、この様に組み合わせた状態で、上記円筒部118の内半部と上記係止凹溝126との係合部、並びに上記係止凸部127と上記V字溝128との係合部が十分にシールされる様に、各部の形状及び寸法を規制している。
上記ハブ6aの外端開口部を密閉すべく、上述の様なキャップ34bをこのハブ6aの外端開口部に取り付ける際には、上記第二素子117をこのハブ6aの外端寄り部内径側に挿入すると共に、上記第一素子116を構成する円筒部118の内半部を、上記ハブ6aの外端部に設けた位置決め円筒部129の外端部に、締り嵌めにより内嵌固定する。これと共に、上記鍔部120を上記位置決め円筒部129の外端面に突き当てる。尚、この位置決め円筒部129は、図示しない駆動輪を取付フランジ7に取り付ける際に、上記ハブ6aの外端部に対するこの駆動輪の位置決めを図る為のものであり、この駆動輪を上記取付フランジ7に取り付ける際には、この駆動輪(のホイール)の中心部に形成した円孔内にこの位置決め円筒部129を挿通する。
又、この様にキャップ34bをハブ6aの外端開口部に取り付けた状態で、上記第二素子117を構成する筒状部121の外周面は、上記ハブ6aの外端寄り部内周面と、全面に亙りほぼ当接若しくは近接する。即ち、上記位置決め円筒部129の内周面に上記大径円筒部123の外周面が、上記ハブ6aの中間部内周面に形成した小径部130の内周面に上記小径円筒部124の外周面が、上記位置決め円筒部129の内周面と上記小径部130の内周面との間部分に存在する傾斜部131及び段部132に上記連続部125の外面が、それぞれほぼ当接する。これと共に、上記第二素子117を構成する底板部122が、スプライン軸30とスプライン孔28とのスプライン係合部が存在する空間の外端開口部をぼほ塞ぐ状態で、このスプライン軸30の先端面と近接対向する。
上述の様に本実施例の場合には、キャップ34bを構成する塞ぎ板部である底板部122を、嵌合固定部である円筒部118よりも軸方向内方に設ける事により、この底板部122をスプライン軸30の先端面と近接対向させている。この為、このスプライン軸30とスプライン孔28とのスプライン係合部が存在する空間の容積を小さくして、この空間内に封入するグリースの量を少なくできる。尚、本実施例の場合、この空間内に封入したグリースが、上記底板部122よりも軸方向外端側の部分、即ち、第二素子117を構成する筒状部121の外周面とハブ6aの外端寄り部内周面との間部分に進入する可能性がある。但し、これら両周面の間部分の軸方向外端部に存在する第一、第二両素子116、117同士の結合部、並びに上記円筒部118と位置決め円筒部129との嵌合部は、十分なシール性を有する。この為、上記両周面の間部分にグリースが進入した場合でも、このグリースが上記係合部並びに嵌合部を通じて外部に漏洩する事はない。又、本実施例の場合には、上記嵌合固定部である円筒部118を、ハブ6aの外端開口部である、上記位置決め円筒部129の外端部に内嵌固定している。この為、この円筒部118を上記ハブ6aに対して内嵌固定する作業を容易に行なえる。尚、本実施例に組み込む、芯金69bを含むシール部材の構造は、前述の図12に示した実施例8の場合と同様である。
次に、図33は、やはり請求項1、2、4、5、12に対応する、本発明の実施例25を示している。本実施例の場合、キャップ34cを構成する第一素子116aは、アルミニウム合金をダイキャスト成形する事により造っている。更に、このダイキャスト成形により、上記第一素子116aを構成する底板部119の外側面に、意匠を向上する為の造形133を施している。一方、上記キャップ34cを構成する合成樹脂製の第二素子117aは、ブロー成形により上記第一素子116aと一体的に結合している。従って、この第二素子117aを構成する大径円筒部123の外端縁は、上記第一素子116aを構成する円筒部118の内端縁に、全周に亙り接着している。尚、この円筒部118の先端部に、透孔若しくは凹孔を形成する事により、第一、第二の素子116a、117a同士の結合強度を向上させる事もできる。又、上述の様なブロー成形を行なう為、上記第一素子116aを構成する底板部119の中央部には、この第一素子116aと上記第二素子117aとの間部分に空気を吹き込む為の吹き込み口134を形成している。この吹き込み口134は、上記キャップ34cの完成後に塞いでおく。尚、本実施例の場合、上記第二素子117aを構成する筒状部121の外周面の形状を、ハブ6aの外端寄り部内周面の形状に合わせる為、この筒状部121には小径円筒部124(図31参照)を形成していない。その他の構成及び作用は、上述した実施例24の場合と同様である。
次に、図34は、請求項13〜14に対応する、本発明の実施例26を示している。本実施例の場合、駆動軸部材29を構成するスプライン軸30の先端面中央部に、請求項に記載した孔に相当する、円形の凹孔135を形成している。そして、この凹孔135の内周面に全周に亙って、請求項に記載した外側係合部に相当する、外側係止溝136を形成している。又、上記凹孔135内には、ハブ6aとは別体である、結合軸部材137の一部を挿入している。この結合軸部材137は、上記凹孔135内にがたつきなく挿入自在な円柱部138と、この円柱部138の外端部に形成した、外向フランジ状の抑え鍔部139とから成る。上記円柱部138の外周面で、この抑え鍔部139をスプライン孔28の開口周縁部に形成した段部108に当接させた状態で、上記外側係止溝136に整合する位置には、請求項に記載した内側係合部である内側係止溝140を、全周に亙って形成している。そして、この内側係止溝140と上記外側係止溝136との間に、弾性材製の止め輪35を、これら内側係止溝140と上記外側係止溝136とに掛け渡す状態で装着している。
この様に、上記結合軸部材137を上記スプライン軸30の先端部に、上記止め輪35を介して結合した状態で、上記ハブ6aの一部を、上記抑え鍔部139と、上記駆動軸部材29の基端部に設けたハウジング部11との間で、弾性材製のシール部材である、Oリング42を弾性的に圧縮した状態で挟持する。又、上記ハブ6aの外端開口部は、キャップ34により密封している。この構成により、このハブ6aと上記結合軸部材137及び駆動軸部材29との軸方向に亙る位置決めを図ると共に、スプライン孔28と上記スプライン軸30とのスプライン係合部を密封している。その他の部分の構成及び作用は、前述の図7に示した実施例4の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
次に、図35は、請求項15〜17に対応する、本発明の実施例27を示している。本実施例の場合、駆動軸部材29を構成するスプライン軸30の先端面中心部に、ねじ孔141を形成している。そして、このねじ孔141に螺合し更に緊締したボルト142により、結合部材である、円輪状の抑え板143を、上記駆動軸部材29の先端部に結合固定している。そして、この抑え板143と、ハウジング部11の外端面の保持溝41に保持したOリング42との間で、ハブ6aを軸方向に亙り、弾性的に挟持している。
尚、本実施例の場合には、上記ハウジング部11の外端部外周面に、鍔部144を形成している。スプライン軸30をスプライン孔28に挿入する際には、上記ハウジング部11の外周面をロボットのアームが握り、上記ハウジング部11を図35の右から左に押し込む。この際に上記鍔部144が、ロボットアームの握りが、上記ハウジング部11から外れない様にする為のストッパーとして機能する。この様に、ロボットアームを用いて、上記スプライン軸30とスプライン孔28とをスプライン係合する構造にすれば、前述の図3に示した実施例2の様な、スプライン軸30先端面中央部の凹孔53に、引っ張り工具を係合する為の係合溝54を形成する等の加工は不要になる。又、この様な構造を採用すれば、ロボットによる自動組立化が可能になる。その他の部分の構成及び作用は、前述の図34に示した実施例26の場合と同様であるから同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
本発明の実施例1を示す半部断面図。 止め輪を図1の側方から見た図。 本発明の実施例2を示す半部断面図。 止め輪の挿入状態を示す部分拡大図。 スプライン孔の一部を図3の左側から見た部分端面図。 本発明の実施例3を示す半部断面図。 同実施例4を示す半部断面図。 同実施例5を示す半部断面図。 同実施例6を示す、エンコーダ及び弾性板の部分断面図。 同実施例7を示す半部断面図。 芯金及びシールリップの一部を図10の左側から見た図。 本発明の実施例8を示す半部断面図。 同実施例9を示す半部断面図。 同実施例10を示す半部断面図。 同実施例11を示す半部断面図。 同実施例12を示す半部断面図。 同実施例13を示す半部断面図。 同実施例14を示す半部断面図。 同実施例15を示す半部断面図。 図19のA部拡大図。 本発明の実施例16を示す半部断面図。 同実施例17を示す半部断面図。 同実施例18を示す半部断面図。 同実施例19を示す半部断面図。 止め輪の部分拡大斜視図。 本発明の実施例20を示す半部断面図。 止め輪の部分拡大斜視図。 本発明の実施例21を示す半部断面図。 同実施例22を示す半部断面図。 同実施例23を示す半部断面図。 同実施例24を示す半部断面図。 図31のB部拡大図。 本発明の実施例25を示す半部断面図。 同実施例26を示す半部断面図。 同実施例27を示す半部断面図。 従来構造の第1例を示す部分断面図。 同第2例を示す半部断面図。 同第3例を示す断面図。 同第4例を示す断面図。 同第5例を示す断面図。
符号の説明
1、1a、1b、1c 外輪
2 取付部
3 外輪軌道
4 第一素子
5 第二素子
6、6a〜6f ハブ
7 取付フランジ
8 内輪軌道
9 円筒部
10 等速ジョイント
11 ハウジング部
12 転動体
13 外側係止溝
14 内側係止溝
15、15a、15b、15c、15d 止め輪
16 段部
17 溶接
18 カバー
19、19a シールリング
20 隔板部
21 内輪
22 保持部
23 玉
24 内側係合溝
25 外側係合溝
26 ポケット
27 かしめ部
28 スプライン孔
29 駆動軸部材
30 スプライン軸
31 結合部材
32 エンコーダ
33 段部
34、34a、34b、34c キャップ
35、35a 止め輪
36 ガイド面
37 シールリング
38 隙間
39 係止溝
40 ナックル
41 保持溝
42 Oリング
43 段部
44 エンコーダ部
45 円筒部
46 円輪部
47 透孔
48 センサ
49、49a 弾性板(弾性材)
50 内輪
51 シールリップ
52 緩衝部材
53 凹孔
54 係合溝
55 深溝
56 円筒部
57 円板部
58 係合突部
59 係合溝
60 鍔部
61 段差面
62 凹溝
63 Oリング
64 面取り部
65 ねじ溝
66 傾斜部
67 切り欠き
68、68a〜69f シールリップ
69、69a〜69i 芯金
70、70a 覆い部
71 小径段部
72 鍔部
73 段部
74 弾性材
75 弾性板部
76 エンコ−ダ
77 スリンガ
78a、78b 円輪部
79 連続部
80 突条部
81 係止突部
82、82a 係止凹溝
83、83a 面取り部
84 屈曲部
85 止め輪
86 係止凹溝
87 小径円筒部
88 円輪部
89 大径円筒部
90 舌片
91 皿ばね部
92 車軸
93 車軸管
94 係合溝
95 係止部
96 弾性リング
97 止め輪
98 スリーブ
99 凹凸部
100 シールリング
101 回転速度検出センサ
102、102a ハブ本体
103 ナット
104 ワッシャ
105 支持孔
106 鍔部
107 止め輪
108 段部
109、109a 止め輪
110 円環部
111 弾性舌片
112 シール部材
113 円柱部
114 間座
115 弾性リング
116、116a 第一素子
117、117a 第二素子
118 円筒部
119 底板部
120 鍔部
121 筒状部
122 底板部
123 大径円筒部
124 小径円筒部
125 連続部
126 係止凹溝
127 係止凸部
128 V字溝
129 位置決め円筒部
130 小径部
131 傾斜部
132 段部
133 造形
134 吹き込み口
135 凹孔
136 外側係止溝
137 結合軸部材
138 円柱部
139 抑え鍔部
140 内側係止溝
141 ねじ孔
142 ボルト
143 抑え板
144 鍔部

Claims (17)

  1. 内周面に外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面の一端寄り部分に車輪を支持する為の取付フランジを、同じく他端寄り部分に直接又は内輪を介して内輪軌道を、中心部にスプライン孔を、それぞれ設けたハブと、このスプライン孔と係合するスプライン軸を一端部に設けると共に、他端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とした駆動軸部材と、上記外輪軌道と上記内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の転動体とを備えた車輪駆動用車軸ユニットに於いて、上記スプライン軸の外周面に全周に亙って形成した内側係合部と、この内側係合部に整合する位置で上記ハブの内周面に全周に亙って形成した外側係合部と、弾性材により形成した止め輪とを備え、この止め輪を上記内側係合部と外側係合部とに掛け渡す事により、上記ハブと駆動軸部材との軸方向に亙る位置決めを図ると共に、これらハブと駆動軸部材との間で弾性材製のシール部材を弾性的に挟持する事により、上記スプライン孔とスプライン軸とのスプライン係合部を密封している事を特徴とする車輪駆動用車軸ユニット。
  2. スプライン係合部に潤滑剤を介在させている、請求項1に記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  3. スプライン孔の内周面が焼き入れ硬化されている、請求項1〜2の何れかに記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  4. ハブと駆動軸部材との間に設けた部材と止め輪とによって、このハブ又は駆動軸部材を、軸方向に亙り弾性的に挟持している、請求項1〜3の何れかに記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  5. ハブと駆動軸部材との間に設けた部材がシール部材であり、このシール部材を構成するエラストマー材又はこのエラストマー材を添設している芯金が有する弾性により、止め輪との間でハブ又は駆動軸部材を軸方向に亙り弾性的に挟持している、請求項4に記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  6. 止め輪が軸方向に亙る弾性を有しており、この止め輪と、ハブと駆動軸部材との間に設けた部材とによって、このハブ又は駆動軸部材を、軸方向に亙り弾性的に挟持している、請求項4に記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  7. シール部材及び止め輪以外の部材により、ハブ又は駆動軸部材を軸方向に亙り弾性的に挟持する為の弾力を得ている、請求項4に記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  8. スプライン孔の一端の円周方向複数個所に、止め輪を取り外す為の凹溝が形成されており、これら複数の凹溝の外接円の直径は、上記スプライン孔の溝底円の直径よりも大きい、請求項1〜7の何れかに記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  9. ハブの内径側の軸方向中間部で、スプライン軸の端面に近接対向する部分に、このハブの内径側を塞ぐキャップが設けられている、請求項1〜8の何れかに記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  10. ハブの内周面に形成した段部と駆動軸部材の外周面に係止した止め輪との間に間座を挟持している、請求項1〜9の何れかに記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  11. スプライン軸の先端面に凹孔が形成されており、この凹孔の内周面に、このスプライン軸をスプライン孔内に引き込む為の引っ張り工具を係合自在な係合溝を形成している、請求項1〜10の何れかに記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  12. スプライン係合部が存在する空間の一端開口部を塞ぐキャップが、ハブの一端寄り部分に内嵌固定する為の嵌合固定部と、上記スプライン係合部が存在する空間の一端開口部を塞ぐ為の塞ぎ板部とを有し、この塞ぎ板部を、上記嵌合固定部よりも、上記ハブの軸方向他端側に配置している、請求項1〜11の何れかに記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  13. 内周面に外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面の一端寄り部分に車輪を支持する為の取付フランジを、同じく他端寄り部分に直接又は内輪を介して内輪軌道を、中心部にスプライン孔を、それぞれ設けたハブと、このスプライン孔と係合するスプライン軸を一端部に設けると共に、他端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とした駆動軸部材と、上記外輪軌道と上記内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の転動体とを備えた、車輪を駆動する為の車輪駆動用車軸ユニットに於いて、上記スプライン軸の端面に形成した孔の内周面に全周に亙って形成した外側係合部と、この外側係合部に整合する位置で上記ハブとは別体の結合軸部材の外周面に全周に亙って形成した内側係合部と、弾性材により形成した止め輪とを備え、上記結合軸部材の一部と駆動軸部材の一部とで、上記ハブの一部を軸方向両側から挟持した状態で、上記止め輪を上記外側係合部と内側係合部とに掛け渡す事により、上記ハブと上記結合軸部材及び駆動軸部材との軸方向に亙る位置決めを図ると共に、これらハブと駆動軸部材との間で弾性材製のシール部材を弾性的に挟持する事により、上記スプライン孔とスプライン軸とのスプライン係合部を密封している事を特徴とする車輪駆動用車軸ユニット。
  14. スプライン係合部に潤滑剤を介在させている、請求項13に記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  15. 内周面に外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面の一端寄り部分に車輪を支持する為の取付フランジを、同じく他端寄り部分に直接又は内輪を介して内輪軌道を、中心部にスプライン孔を、それぞれ設けたハブと、このスプライン孔と係合するスプライン軸を一端部に設けると共に、他端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とした駆動軸部材と、上記外輪軌道と上記内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の転動体とを備えた車輪駆動用車軸ユニットに於いて、上記ハブとは別体の結合部材の一部を上記駆動軸部材の端部に取り付け、この結合部材の一部と上記駆動軸部材の一部とにより、上記ハブと上記結合部材及び駆動軸部材との軸方向に亙る位置決めを図ると共に、これらハブと駆動軸部材との間で弾性材製のシール部材を弾性的に挟持する事により、上記スプライン孔とスプライン軸とのスプライン係合部を密封している事を特徴とする車輪駆動用車軸ユニット。
  16. スプライン係合部に潤滑剤を介在させている、請求項15に記載した車輪駆動用車軸ユニット。
  17. 駆動軸部材のハウジング部の外周面に鍔部を形成した、請求項15に記載した車輪駆動用車軸ユニット。
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