JP2004254562A - ポリ−n−アセチルラクトサミン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】N−アセチルラクトサミンが繰り返し結合した構造を有するポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を効率よくかつ安価に製造する方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体を供与体基質兼受容体基質として用い、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることにより、該酵素の転移反応によって下記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を得る。前記エンド−β−ガラクトシダーゼとして、エシェリシア属由来のエンド−β−ガラクトシダーゼを用いることが好ましい。また、ウシ血清アルブミン共存下で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることが好ましく、その場合、ウシ血清アルブミンを30〜500μg/mL含有する緩衝液中で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることが好ましい。
【化1】
【化2】
【選択図】 なし
【解決手段】下記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体を供与体基質兼受容体基質として用い、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることにより、該酵素の転移反応によって下記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を得る。前記エンド−β−ガラクトシダーゼとして、エシェリシア属由来のエンド−β−ガラクトシダーゼを用いることが好ましい。また、ウシ血清アルブミン共存下で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることが好ましく、その場合、ウシ血清アルブミンを30〜500μg/mL含有する緩衝液中で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることが好ましい。
【化1】
【化2】
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、N−アセチルラクトサミンが繰り返し結合した構造を有するポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ−N−アセチルラクトサミンは、N−アセチルラクトサミン(D−ガラクトースとN−アセチルグルコサミンがβ−1,4グリコシド結合している二糖)が繰り返し結合した構造を有する糖鎖であり、糖タンパクや糖脂質等の複合糖鎖中に存在している。
【0003】
生体内において、ポリ−N−アセチルラクトサミンは、それが長い側鎖を持つことにより、様々な修飾を受けやすく、細胞表面の特徴的な糖鎖構造をとることが多い。現在までに、ポリ−N−アセチルラクトサミンは、分化抗原、血管新生、炎症反応等の様々な生理現象に関与していることが知られており、研究試薬としてだけでなく、医薬品や診断薬等への利用も期待されている。
【0004】
一般に、オリゴ糖を合成する方法としては、化学合成法と酵素合成法が知られており、ポリ−N−アセチルラクトサミンの製造方法として、例えば、下記非特許文献1には、N−アセチルラクトサミンの繰り返し構造を4つ有するオリゴ糖の化学合成法が開示されている。
【0005】
また、下記非特許文献2には、β−1,4ガラクトシルトランスフェラーゼ、及びβ−1,3 N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ等を用いたポリ−N−アセチルラクトサミンの酵素合成法が開示されている。
【0006】
【非特許文献1】
Jocelyne ALAIS and Alain VEYRIERES, Tetrahedron Letters, Vol.28, No.29, 1987, pp 3345−3348
【非特許文献2】
Sergio Di Virgilio, John Glushka, Kelley Moremen and Michael Pierce, Glycobiology, vol.9, no.4, 1999, pp.353−364
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1に記載されたような化学合成法では、反応に関与しない官能基の保護・脱保護等の多段階の反応工程及び複数回の精製工程が必要であり、工業的生産に適した合成方法とは言えなかった。
【0008】
一方、酵素合成法は、化学合成法に比べて簡便な方法であるが、使用する酵素が高価であったり、酵素を大量に入手することが困難であったり、収率が低いなどの問題があった。特に上記非特許文献2に記載された方法では、2種類の転移酵素を用いる必要があるため、工業的に利用するには問題があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、N−アセチルラクトサミンが繰り返し結合した構造を有するポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を効率よくかつ安価に製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、下記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体に、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることを特徴とする、下記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
本発明によれば、上記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体を供与体基質兼受容体基質として用い、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることにより、該酵素の転移反応によって上記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を効率よくかつ安価に得ることができる。
【0014】
本発明の製造方法においては、前記エンド−β−ガラクトシダーゼとして、エシェリシア(Esherichia)属由来のエンド−β−ガラクトシダーゼを用いることが好ましい。この態様によれば、転移反応が効率よく起こり、上記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を更に効率よく得ることができる。
【0015】
また、ウシ血清アルブミン共存下で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることが好ましく、その場合、ウシ血清アルブミンを30〜500μg/mL含有する緩衝液中で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることが好ましい。この態様によれば、緩衝液中でのエンド−β−ガラクトシダ−ゼを安定化させることができるので、トリサッカライド又はその誘導体を更に効率よく転移させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本明細書において、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン、GalはD−ガラクトース、Lacはラクトース、LacNAcはN−アセチルラクトサミン、pNPはp−ニトロフェノール又はp−ニトロフェニル基、GlcNAcβ−pNPはp−ニトロフェニルβ−N−アセチルグルコサミニド、GlcNAcβ−MUはメチルウンベリフェリルβ−N−アセチルグルコサミニド、LacNAcβ−pNPはp−ニトロフェニルβ−N−アセチルラクトサミニド、LacNAcβ−MUはメチルウンベリフェリルβ−N−アセチルラクトサミニドをそれぞれ表す。
【0017】
本発明において、基質として用いられるトリサッカライド又はその誘導体とは、下記式(1)に示されるように、LacNAc、LacNAcβ−pNP又はLacNAcβ−MUのGal残基にGlcNAcがβ−1,3結合した化合物を意味する。
【0018】
【化5】
【0019】
また、ポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体とは、下記式(2)に示されるように、構造中にGlcNAcβ1−3Galの繰り返し構造を少なくとも2つ以上有し、その還元末端側にGlcNAc、GlcNAcβ−pNP又はGlcNAcβ−MUがβ−1,4結合した化合物を意味し、好ましくは、構造中にGlcNAcβ1−3Galの繰り返し構造を2〜6つ有する化合物を意味する。したがって下記式(2)において、2≦n≦6であることが好ましい。
【0020】
【化6】
【0021】
以下、本発明の製造方法について更に詳しく説明する。
本発明において、ポリ−N−アセチルグルコサミン誘導体を製造する際に用いられる基質は、上記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体であるが、例えば、上記トリサッカライド誘導体は、その前駆物質となるLacNAcβ−pNPを合成し、次いで、受容体基質としてLacNAcβ−pNP、供与体基質としてUDP−GlcNAcを用い、β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼを作用させることにより得ることができる。
【0022】
すなわち、Lac(供与体基質)と、GlcNAcβ−pNP(受容体基質)を、好ましくはモル比で0.5〜3:0.5〜3となるようにリン酸−リン酸ナトリウム緩衝液、酢酸緩衝液、Tris−HCl緩衝液等の緩衝液(pH5.0〜8.0)とアセトニトリルの混合溶媒に溶解し、予め緩衝液(pH5.0〜8.0)に溶解したβ−D−ガラクトシダーゼを添加し、30〜50℃で2〜48時間反応を行う。β−D−ガラクトシダーゼの添加量は、基質(供与体基質+受容体基質)1molに対して100〜5,000Uが好ましい。なお、本発明において、β−D−ガラクトシダーゼ1Uとは、1分間に1μmolのp−ニトロフェニル−β−ガラクトピラノシドを加水分解する酵素量を意味する。
【0023】
そして、反応中は、反応液を経時的にサンプリングして、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する)で生成物のピークを確認後、酵素を失活させて未反応のGlcNAcβ−pNPを除去する。そして、例えば、予め25%(v/v)メタノールで平衡化した「トヨパールHW−40S」(商品名、東ソー株式会社製)等を用いたクロマトグラフィーにより、生成したLacNAcβ−pNPを単離する。なお、上記β−D−ガラクトシダーゼとしては、例えば、バチルス・サーキュランス(B. circulans、IFO13626)、ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)、ロドトルラ・ラクトサ(Rhodotorula lactosa)、ストレプトコッカス・ニューモニア(Streptcoccus pneumoniae)、ストレプトコッカス・sp.(Streptcoccus sp.)、ステリグマトマイセス・サーキュランス(Sterigmatomyces circulans)由来のものが好ましく用いられ、β−1,4−グリコシド結合に対する特異性が高い点からバチルス・サーキュランス(B. circulans)由来のものがより好ましく用いられる。バチルス・サーキュランス(B. circulans)由来のβ−D−ガラクトシダーゼは市販されており、例えば、商品名「ビオラクタ」(大和化成株式会社製)等を必要に応じて精製して用いることができる。
【0024】
次いで、受容体基質としてLacNAcβ−pNPとNaClを、カコジル酸バッファー(pH7.0)に溶かし、供与体基質としてUDP−GlcNAc、ATP、MnCl2、GlcNAc、10%(w/v)NaN3溶液を加えて完全に溶解させ、β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼを添加して、30〜50℃で2〜72時間反応を行う。β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼの添加量は、基質(受容体基質)1molに対して500〜10,000Uが好ましい。なお、本発明において、β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼ1Uとは、1時間に1mmolのGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを生成する酵素量を意味する。
【0025】
そして、反応中は、反応液を経時的にサンプリングして、HPLCで生成物のピークを確認後、酵素を失活させて、沈殿物を除去する。そして、例えば、予め25%(v/v)メタノールで平衡化した「トヨパールHW−40S」(商品名、東ソー株式会社製)等を用いたクロマトグラフィーにより、生成したGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを単離する。なお、本発明においては、上記β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼは、ウシ血清、ヒト血清由来のものが好ましく用いられ、酵素活性の点から、特にウシ胎児血清由来のものが好ましく用いられる。上記血清からβ−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼを精製する方法は、常法にしたがって行えばよく、例えば、硫安沈殿、アフィニティークロマトグラフィー、銅キレートクロマトグラフィー等を適宜組み合わせて行えばよい。また、市販されているウシ血清又はヒト血清由来のβ−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼを用いてもよい。
【0026】
本発明のポリ−N−アセチルラクトサミンの製造方法は、上記のようにして得られるトリサッカライド誘導体を供与体基質兼受容体基質として用い、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることにより、該酵素の転移反応を利用して上記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を得る方法であり、例えば、以下のようにして実施することができる。
【0027】
すなわち、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液等の緩衝液(pH4.0〜7.0)に溶解して、これにエンド−β−ガラクトシダーゼを添加して30〜50℃で1〜1,000時間反応を行う。反応中は、反応液を経時的にサンプリングして、HPLCで生成物のピークを確認後、酵素を失活させ、HPLC等により、目的のポリ−N−アセチルラクトサミンを単離する。本発明においては、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP 1molに対して、エンド−β−ガラクトシダーゼを0.3〜30U添加することが好ましい。また、反応中に、エンド−β−ガラクトシダーゼを適宜追加添加してもよい。
【0028】
上記エンド−β−ガラクトシダーゼとしては、エシェリシア(Esherichia)属由来のエンド−β−ガラクトシダーゼを用いることが好ましく、特にエシェリシア・フラウンディ(Esherichia freundii)由来のものが好ましく用いられる。なお、サイドモナスsp.由来のエンド−β−ガラクトシダーゼ(SIGMA社製)も用いることができる。
【0029】
エシェリシア・フラウンディ(Esherichia freundii)由来のエンド−β−ガラクトシダーゼは、エシェリシア・フラウンディ(Esherichia freundii、IFO21524)の培養濾液から、常法に従って精製して用いてもよく、例えば、生化学工業株式会社等から販売されている市販のものを用いてもよい。
【0030】
なお、本発明において、エンド−β−ガラクトシダーゼの活性は、図1に示す作用機序に基づいて、表1に示す試薬を用いて下記の方法により測定した際に、(LacNAc)2β−pNPから1分間に1μmolのGlcNAcβ−pNPを遊離させる酵素量を1Uと定義する。
【0031】
【表1】
【0032】
すなわち、5mM (LacNAc)2β−pNP溶液に、20mM酢酸緩衝液(pH5.8)及びβ−N−アセチルヘキソミニダーゼ25mUを加えて37℃で5分間置いた後、エンド−β−ガラクトシダーゼを加えて反応させて経時的に反応液から50μL採取し、等量の1M Na2CO3とよく混合して反応を停止させ、405nmにおける吸光度を測定して、遊離したpNP量を測定し、下記式により酵素量を算出する。
【0033】
【数1】
【0034】
上記β−N−アセチルヘキソミニダーゼは、例えば、アミコラトプシス・オリエンタルス(Amycolatopsis orientails、IFO12806)由来のものを用いることができる。アミコラトプシス・オリエンタルス(Amycolatopsis orientails)由来のβ−N−アセチルヘキソミニダーゼは、該微生物の培養上清の75%飽和硫酸アンモニウム沈殿画分を、例えば、GlcNAc−celulofine(商品名「セルロファイン」、生化学工業株式会社製)、商品名「セファデックスG−200」(アマシャムファルマシアバイオテク株式会社製)、商品名「DEAE−セファデックス」(アマシャムファルマシアバイオテク株式会社製)等を用いて精製することにより得ることができるが、市販のβ−N−アセチルヘキソミニダーゼを用いてもよい。なお、β−N−アセチルヘキソミニダーゼ1Uとは、1分間に1μmolのp−ニトロフェニル−β−D−N−アセチルグルコサミニドを加水分解する酵素量を意味する。
【0035】
また、本発明においては、前記GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPにエンド−β−ガラクトシダーゼを作用させる際に、反応液中にウシ血清アルブミン(以下、BSAと略記する)を添加しておくことが好ましい。反応液中におけるBSAの濃度は、30〜500μg/mLが好ましく、100〜300μg/mLがより好ましい。これによれば、後述する実施例に示されるように、基質(GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP)の水解が効率よく起こるので、目的のポリ−N−アセチルグルコサミンを効率よく得ることができる。この理由は、BSAを添加することによりエンド−β−ガラクトシダーゼの安定性が増したためであると考えられる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。まず、以下の例において用いたβ−D−ガラクトシダーゼ及びβ−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼの調製方法について説明する。
【0037】
・β−D−ガラクトシダーゼ
バチルス・サーキュランス(B. circulans)由来の粗酵素(商品名「ビオラクタ」、大和化成株式会社製)100mgを、60mMリン酸−リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)100mLに溶解し、予め同緩衝液で平衡化したGlcNAc−cellurofine(商品名「セルロファイン」、生化学工業株式会社製)アフィニティークロマトグラフィー(φ3.0×10cm)に供した。すなわち、非吸着部を同緩衝液(900mL)で洗浄してβ−D−ガラクトシダーゼ活性画分を回収し、その後、吸着部を0.1M酢酸、1M NaCl、1% GlcNAcを含む溶液(300ml)で溶出させた。回収したβ−D−ガラクトシダーゼ活性画分である非吸着部を「アミコンPM10ポリエーテルスルフォン」(商品名、Amicon社製)で限外濃縮し、凍結乾燥した。これを、β−D−ガラクトシダーゼ(部分精製)として用いた。
【0038】
・β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼ
冷凍されたウシ胎児血清(SIGMA社より購入)500mLを冷蔵庫の中で3日間かけてゆっくりと解凍した後、氷冷しながら80%飽和となるように硫酸アンモニウム(275g)を加え、1時間撹拌した後、4℃で1日静置した。上清をデカンテーションにより捨て、生じた沈殿を遠心分離(5,000×g、30分、4℃)で回収し、少量の50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解し、蒸留水中、4℃で一昼夜透析した後、凍結乾燥した。これをβ−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼ(粗酵素)として用いた。
【0039】
実施例1
(1)LacNAcβ−pNPの酵素合成
供与体基質としてLac(9.2g)、受容体基質としてGlcNAcβ−pNP(5.84g)をモル比で3:2で、0.1Mリン酸−リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、99mL)とアセトニトリル(100mL)の混合溶媒に溶解した。そこに、予め0.1Mリン酸−リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、1mL)に溶解させたバチルス・サーキュランス(B. circulans)由来のβ−D−ガラクトシダーゼ(120U)を添加し、40℃で5時間反応を行った。反応液は、下記条件でHPLCを用いて経時的に分析を行った。
【0040】
・HPLC分析条件
送液装置:「Hitachi Pump L−6000」(商品名、株式会社日立製作所製)
検出器:「Hitachi L−4000H UV Detector」(商品名、株式会社日立製作所製)
カラム:「TSK−G−Oligo−PW(φ7.8×300mm)」(商品名、東ソー株式会社製)
オートサンプラー:「Hitachi AS−2000 Autosampler」(商品名、株式会社日立製作所製)
データ処理:「Hitachi D−2500 Chromato Integrator」(商品名、株式会社日立製作所製)
検出波長:300nm
溶媒:H2O
流速:0.8mL/min
カラム温度:50℃
反応終了後、反応液を10分間煮沸して反応を停止させ、煮沸により生じた沈殿物をセライトで濾過した後、濾液をアセトニトリルが無くなるまで濃縮した。この濃縮した濾液をガラスフィルターに通して未反応のGlcNAcβ−pNPの結晶を除去した後、予め25%(v/v)メタノールで平衡化した「トヨパールHW−40S」(商品名、東ソー株式会社製)を用いたクロマトグラフィー(φ6×97cm、流速2.5mL/min)に供し、生成したLacNAcβ−pNPを単離回収した。
【0041】
(2)GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPの酵素合成
受容体基質としてLacNAcβ−pNP(200mg)とNaCl(41mg)を、150mMカコジル酸バッファー(pH7.0、17mL)に溶かし、供与体基質としてUDP−GlcNAc(231.5mg)、ATP(15.5mg)、MnCl2(56.5mg)、GlcNAc(37.5mg)、10%(w/v)NaN3溶液(700μL)を加えて完全に溶解させた。そこに、ウシ胎児血清由来β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼ(120mU)を添加して、40℃で36時間反応を行った。反応液は、下記条件でHPLCを用いて経時的に分析を行った。
【0042】
・HPLC分析条件
送液装置:「Hitachi Pump L−6000」(商品名、株式会社日立製作所製)
検出器:「Hitachi L−4000H UV Detector」(商品名、株式会社日立製作所製)
カラム:「Mightysil RP−18 GP(φ4.6×150mm)」(商品名、関東化学株式会社製)
オートサンプラー:「Hitachi AS−2000 Autosampler」(商品名、株式会社日立製作所製)
データ処理:「Hitachi D−2500 Chromato Integrator」(商品名、株式会社日立製作所製)
検出波長:300nm
溶媒:10%(v/v)メタノール
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
反応終了後、反応液を3倍希釈し、5分間煮沸して反応を停止させ、煮沸により生じた沈殿物を遠心分離により除去した後、上清を、予め25%(v/v)メタノールで平衡化した「トヨパールHW−40S」(商品名、東ソー株式会社製)を用いたクロマトグラフィー(φ4.4×80cm、流速1.5mL/min)に供し、生成したGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを単離回収した。
【0043】
(3)GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPの酵素合成
GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを酢酸緩衝液(pH5.8)に溶解して14mMに調製した基質溶液1,610μL(最終基質濃度11.9mM)に、▲1▼BSA溶液(1.37mg/mL)276μL、又は▲2▼酢酸緩衝液(pH5.8)276μLを加え、最後にエシェリシア・フラウンディ(E. freundii)由来エンド−β−ガラクトシダーゼ(生化学工業株式会社製)を含む酵素溶液(35.1mU/mL)を2μL(0.0702mU)加え、37℃で752時間反応させた。反応中、265時間目に前記酵素溶液2μL(0.0702mU)、434時間目に前記酵素溶液4μL(0.140mU)をそれぞれ追加添加した。なお、反応中は、経時変化を観察するために反応液を2μLずつ採取し、198μLの脱塩水を加えた後、100℃で5分間加熱して反応を停止させ、下記条件でHPLCを用いて経時的に分析を行った。
【0044】
・HPLC分析条件
送液装置:「SHIMADZU LC−10AD」(商品名、株式会社島津製作所製)
検出器:「SHIMADZU SPD−10A VP」(商品名、株式会社島津製作所製)
カラム:「Asahipak GS−220HQ(φ7.6×250mm)」(商品名、昭和電工株式会社製)
オートサンプラー:「SHIMADZU SIL10A」(商品名、株式会社島津製作所)
データ処理:「SHIMADZU CHROMATOPAC C−R7A」(商品名、株式会社島津製作所)
検出波長:300nm
溶媒:超純水
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
HPLC分析による反応液中の基質(GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP)の量の経時的な変化を図2に示す。図2から、BSAを添加しなかった系では、96時間後でも基質の約95%が水解を受けずに残存しているのに対して、BSAを添加した系では、4時間後には転移生成物と思われる3つピーク(Peak1、Peak2、Peak3)が現れ、その後消失し、96時間後には全ての基質が水解を受け、GlcNAcβ−pNPのみになっていることが分かる。
【0045】
また、生成した各ピークの転移生成物の生成量の経時的な変化を図3に示す。図3から、BSAを添加した系では、BSAを添加しなかった系に比べて、反応開始後早い時期に各ピークの転移生成物が現れており、また、その生成量も多いことが分かる。
【0046】
そして、上記3つのピークの転移生成物についてNMRで分析したところ、Peak1、2の転移生成物については構造決定には至らなかったが、Peak3は、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPであることが分かった。図4〜6にPeak3の1H、13C、HMBCスペクトル、表2にGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPの13Cケミカルシフトを示す。
【0047】
【表2】
【0048】
上記の結果と、エンド−β−ガラクトシダーゼの水解様式を考慮すると、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPは、図7に示すような機構で生成したものと考えられる。また、Peak1、2については、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPに、更にGlcNAcβ1−3Galがβ1−4結合で転移して伸長したものであるか、又は基質であるGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPの糖鎖末端側GlcNAc残基の3位又は6位のOH基にGlcNAcβ1−3Galが転移して生成した異性体であると考えられる。
【0049】
実施例2
GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP(16.0mg)、BSA(0.378mg)、エシェリシア・フラウンディ(E. freundii)由来エンド−β−ガラクトシダーゼ(140μU)を、20mM酢酸緩衝液(pH5.8)1.9mLに溶解して、37℃で720時間反応させた。反応中、エンド−β−ガラクトシダーゼを280時間目に70μU、450時間目に140μUそれぞれ追加添加した。なお、反応中は、実施例1と同様の条件でHPLCによる分析を行い、各ピークの転移生成物の生成量の経時的な変化を測定した。その結果を図8に示す。
【0050】
反応終了後、酵素を失活させ、上記と同様の条件でHPLCを行い、Peak3の転移生成物0.8mgを単離した(収率3.31%)。これをNMRで分析したところ、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPであった。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体を供与体基質兼受容体基質とし、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることにより、該酵素の転移反応によって上記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を効率よくかつ安価に得ることができる。
【0052】
本発明の製造方法によって得られるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体は、例えば、分化抗原、血管新生、炎症反応等の研究における試薬や、医薬品、診断薬、食品、化粧品、農薬等へ利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンド−β−ガラクトシダーゼの活性測定の原理を示す図である。
【図2】反応液中の基質(GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP)の量の経時的な変化を示す図である。
【図3】生成した各ピークの転移生成物の生成量の経時的な変化を示す図である。
【図4】Peak3の1Hスペクトルを示す図である。
【図5】Peak3の13Cスペクトルを示す図である。
【図6】Peak3のHMBCスペクトルを示す図である。
【図7】エンド−β−ガラクトシダーゼによるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の合成の作用機構を示す図である。
【図8】実施例2において、各ピークの転移生成物の生成量の経時的な変化を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、N−アセチルラクトサミンが繰り返し結合した構造を有するポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ−N−アセチルラクトサミンは、N−アセチルラクトサミン(D−ガラクトースとN−アセチルグルコサミンがβ−1,4グリコシド結合している二糖)が繰り返し結合した構造を有する糖鎖であり、糖タンパクや糖脂質等の複合糖鎖中に存在している。
【0003】
生体内において、ポリ−N−アセチルラクトサミンは、それが長い側鎖を持つことにより、様々な修飾を受けやすく、細胞表面の特徴的な糖鎖構造をとることが多い。現在までに、ポリ−N−アセチルラクトサミンは、分化抗原、血管新生、炎症反応等の様々な生理現象に関与していることが知られており、研究試薬としてだけでなく、医薬品や診断薬等への利用も期待されている。
【0004】
一般に、オリゴ糖を合成する方法としては、化学合成法と酵素合成法が知られており、ポリ−N−アセチルラクトサミンの製造方法として、例えば、下記非特許文献1には、N−アセチルラクトサミンの繰り返し構造を4つ有するオリゴ糖の化学合成法が開示されている。
【0005】
また、下記非特許文献2には、β−1,4ガラクトシルトランスフェラーゼ、及びβ−1,3 N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ等を用いたポリ−N−アセチルラクトサミンの酵素合成法が開示されている。
【0006】
【非特許文献1】
Jocelyne ALAIS and Alain VEYRIERES, Tetrahedron Letters, Vol.28, No.29, 1987, pp 3345−3348
【非特許文献2】
Sergio Di Virgilio, John Glushka, Kelley Moremen and Michael Pierce, Glycobiology, vol.9, no.4, 1999, pp.353−364
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1に記載されたような化学合成法では、反応に関与しない官能基の保護・脱保護等の多段階の反応工程及び複数回の精製工程が必要であり、工業的生産に適した合成方法とは言えなかった。
【0008】
一方、酵素合成法は、化学合成法に比べて簡便な方法であるが、使用する酵素が高価であったり、酵素を大量に入手することが困難であったり、収率が低いなどの問題があった。特に上記非特許文献2に記載された方法では、2種類の転移酵素を用いる必要があるため、工業的に利用するには問題があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、N−アセチルラクトサミンが繰り返し結合した構造を有するポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を効率よくかつ安価に製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、下記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体に、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることを特徴とする、下記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
本発明によれば、上記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体を供与体基質兼受容体基質として用い、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることにより、該酵素の転移反応によって上記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を効率よくかつ安価に得ることができる。
【0014】
本発明の製造方法においては、前記エンド−β−ガラクトシダーゼとして、エシェリシア(Esherichia)属由来のエンド−β−ガラクトシダーゼを用いることが好ましい。この態様によれば、転移反応が効率よく起こり、上記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を更に効率よく得ることができる。
【0015】
また、ウシ血清アルブミン共存下で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることが好ましく、その場合、ウシ血清アルブミンを30〜500μg/mL含有する緩衝液中で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることが好ましい。この態様によれば、緩衝液中でのエンド−β−ガラクトシダ−ゼを安定化させることができるので、トリサッカライド又はその誘導体を更に効率よく転移させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本明細書において、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン、GalはD−ガラクトース、Lacはラクトース、LacNAcはN−アセチルラクトサミン、pNPはp−ニトロフェノール又はp−ニトロフェニル基、GlcNAcβ−pNPはp−ニトロフェニルβ−N−アセチルグルコサミニド、GlcNAcβ−MUはメチルウンベリフェリルβ−N−アセチルグルコサミニド、LacNAcβ−pNPはp−ニトロフェニルβ−N−アセチルラクトサミニド、LacNAcβ−MUはメチルウンベリフェリルβ−N−アセチルラクトサミニドをそれぞれ表す。
【0017】
本発明において、基質として用いられるトリサッカライド又はその誘導体とは、下記式(1)に示されるように、LacNAc、LacNAcβ−pNP又はLacNAcβ−MUのGal残基にGlcNAcがβ−1,3結合した化合物を意味する。
【0018】
【化5】
【0019】
また、ポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体とは、下記式(2)に示されるように、構造中にGlcNAcβ1−3Galの繰り返し構造を少なくとも2つ以上有し、その還元末端側にGlcNAc、GlcNAcβ−pNP又はGlcNAcβ−MUがβ−1,4結合した化合物を意味し、好ましくは、構造中にGlcNAcβ1−3Galの繰り返し構造を2〜6つ有する化合物を意味する。したがって下記式(2)において、2≦n≦6であることが好ましい。
【0020】
【化6】
【0021】
以下、本発明の製造方法について更に詳しく説明する。
本発明において、ポリ−N−アセチルグルコサミン誘導体を製造する際に用いられる基質は、上記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体であるが、例えば、上記トリサッカライド誘導体は、その前駆物質となるLacNAcβ−pNPを合成し、次いで、受容体基質としてLacNAcβ−pNP、供与体基質としてUDP−GlcNAcを用い、β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼを作用させることにより得ることができる。
【0022】
すなわち、Lac(供与体基質)と、GlcNAcβ−pNP(受容体基質)を、好ましくはモル比で0.5〜3:0.5〜3となるようにリン酸−リン酸ナトリウム緩衝液、酢酸緩衝液、Tris−HCl緩衝液等の緩衝液(pH5.0〜8.0)とアセトニトリルの混合溶媒に溶解し、予め緩衝液(pH5.0〜8.0)に溶解したβ−D−ガラクトシダーゼを添加し、30〜50℃で2〜48時間反応を行う。β−D−ガラクトシダーゼの添加量は、基質(供与体基質+受容体基質)1molに対して100〜5,000Uが好ましい。なお、本発明において、β−D−ガラクトシダーゼ1Uとは、1分間に1μmolのp−ニトロフェニル−β−ガラクトピラノシドを加水分解する酵素量を意味する。
【0023】
そして、反応中は、反応液を経時的にサンプリングして、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する)で生成物のピークを確認後、酵素を失活させて未反応のGlcNAcβ−pNPを除去する。そして、例えば、予め25%(v/v)メタノールで平衡化した「トヨパールHW−40S」(商品名、東ソー株式会社製)等を用いたクロマトグラフィーにより、生成したLacNAcβ−pNPを単離する。なお、上記β−D−ガラクトシダーゼとしては、例えば、バチルス・サーキュランス(B. circulans、IFO13626)、ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)、ロドトルラ・ラクトサ(Rhodotorula lactosa)、ストレプトコッカス・ニューモニア(Streptcoccus pneumoniae)、ストレプトコッカス・sp.(Streptcoccus sp.)、ステリグマトマイセス・サーキュランス(Sterigmatomyces circulans)由来のものが好ましく用いられ、β−1,4−グリコシド結合に対する特異性が高い点からバチルス・サーキュランス(B. circulans)由来のものがより好ましく用いられる。バチルス・サーキュランス(B. circulans)由来のβ−D−ガラクトシダーゼは市販されており、例えば、商品名「ビオラクタ」(大和化成株式会社製)等を必要に応じて精製して用いることができる。
【0024】
次いで、受容体基質としてLacNAcβ−pNPとNaClを、カコジル酸バッファー(pH7.0)に溶かし、供与体基質としてUDP−GlcNAc、ATP、MnCl2、GlcNAc、10%(w/v)NaN3溶液を加えて完全に溶解させ、β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼを添加して、30〜50℃で2〜72時間反応を行う。β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼの添加量は、基質(受容体基質)1molに対して500〜10,000Uが好ましい。なお、本発明において、β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼ1Uとは、1時間に1mmolのGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを生成する酵素量を意味する。
【0025】
そして、反応中は、反応液を経時的にサンプリングして、HPLCで生成物のピークを確認後、酵素を失活させて、沈殿物を除去する。そして、例えば、予め25%(v/v)メタノールで平衡化した「トヨパールHW−40S」(商品名、東ソー株式会社製)等を用いたクロマトグラフィーにより、生成したGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを単離する。なお、本発明においては、上記β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼは、ウシ血清、ヒト血清由来のものが好ましく用いられ、酵素活性の点から、特にウシ胎児血清由来のものが好ましく用いられる。上記血清からβ−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼを精製する方法は、常法にしたがって行えばよく、例えば、硫安沈殿、アフィニティークロマトグラフィー、銅キレートクロマトグラフィー等を適宜組み合わせて行えばよい。また、市販されているウシ血清又はヒト血清由来のβ−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼを用いてもよい。
【0026】
本発明のポリ−N−アセチルラクトサミンの製造方法は、上記のようにして得られるトリサッカライド誘導体を供与体基質兼受容体基質として用い、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることにより、該酵素の転移反応を利用して上記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を得る方法であり、例えば、以下のようにして実施することができる。
【0027】
すなわち、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液等の緩衝液(pH4.0〜7.0)に溶解して、これにエンド−β−ガラクトシダーゼを添加して30〜50℃で1〜1,000時間反応を行う。反応中は、反応液を経時的にサンプリングして、HPLCで生成物のピークを確認後、酵素を失活させ、HPLC等により、目的のポリ−N−アセチルラクトサミンを単離する。本発明においては、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP 1molに対して、エンド−β−ガラクトシダーゼを0.3〜30U添加することが好ましい。また、反応中に、エンド−β−ガラクトシダーゼを適宜追加添加してもよい。
【0028】
上記エンド−β−ガラクトシダーゼとしては、エシェリシア(Esherichia)属由来のエンド−β−ガラクトシダーゼを用いることが好ましく、特にエシェリシア・フラウンディ(Esherichia freundii)由来のものが好ましく用いられる。なお、サイドモナスsp.由来のエンド−β−ガラクトシダーゼ(SIGMA社製)も用いることができる。
【0029】
エシェリシア・フラウンディ(Esherichia freundii)由来のエンド−β−ガラクトシダーゼは、エシェリシア・フラウンディ(Esherichia freundii、IFO21524)の培養濾液から、常法に従って精製して用いてもよく、例えば、生化学工業株式会社等から販売されている市販のものを用いてもよい。
【0030】
なお、本発明において、エンド−β−ガラクトシダーゼの活性は、図1に示す作用機序に基づいて、表1に示す試薬を用いて下記の方法により測定した際に、(LacNAc)2β−pNPから1分間に1μmolのGlcNAcβ−pNPを遊離させる酵素量を1Uと定義する。
【0031】
【表1】
【0032】
すなわち、5mM (LacNAc)2β−pNP溶液に、20mM酢酸緩衝液(pH5.8)及びβ−N−アセチルヘキソミニダーゼ25mUを加えて37℃で5分間置いた後、エンド−β−ガラクトシダーゼを加えて反応させて経時的に反応液から50μL採取し、等量の1M Na2CO3とよく混合して反応を停止させ、405nmにおける吸光度を測定して、遊離したpNP量を測定し、下記式により酵素量を算出する。
【0033】
【数1】
【0034】
上記β−N−アセチルヘキソミニダーゼは、例えば、アミコラトプシス・オリエンタルス(Amycolatopsis orientails、IFO12806)由来のものを用いることができる。アミコラトプシス・オリエンタルス(Amycolatopsis orientails)由来のβ−N−アセチルヘキソミニダーゼは、該微生物の培養上清の75%飽和硫酸アンモニウム沈殿画分を、例えば、GlcNAc−celulofine(商品名「セルロファイン」、生化学工業株式会社製)、商品名「セファデックスG−200」(アマシャムファルマシアバイオテク株式会社製)、商品名「DEAE−セファデックス」(アマシャムファルマシアバイオテク株式会社製)等を用いて精製することにより得ることができるが、市販のβ−N−アセチルヘキソミニダーゼを用いてもよい。なお、β−N−アセチルヘキソミニダーゼ1Uとは、1分間に1μmolのp−ニトロフェニル−β−D−N−アセチルグルコサミニドを加水分解する酵素量を意味する。
【0035】
また、本発明においては、前記GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPにエンド−β−ガラクトシダーゼを作用させる際に、反応液中にウシ血清アルブミン(以下、BSAと略記する)を添加しておくことが好ましい。反応液中におけるBSAの濃度は、30〜500μg/mLが好ましく、100〜300μg/mLがより好ましい。これによれば、後述する実施例に示されるように、基質(GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP)の水解が効率よく起こるので、目的のポリ−N−アセチルグルコサミンを効率よく得ることができる。この理由は、BSAを添加することによりエンド−β−ガラクトシダーゼの安定性が増したためであると考えられる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。まず、以下の例において用いたβ−D−ガラクトシダーゼ及びβ−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼの調製方法について説明する。
【0037】
・β−D−ガラクトシダーゼ
バチルス・サーキュランス(B. circulans)由来の粗酵素(商品名「ビオラクタ」、大和化成株式会社製)100mgを、60mMリン酸−リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)100mLに溶解し、予め同緩衝液で平衡化したGlcNAc−cellurofine(商品名「セルロファイン」、生化学工業株式会社製)アフィニティークロマトグラフィー(φ3.0×10cm)に供した。すなわち、非吸着部を同緩衝液(900mL)で洗浄してβ−D−ガラクトシダーゼ活性画分を回収し、その後、吸着部を0.1M酢酸、1M NaCl、1% GlcNAcを含む溶液(300ml)で溶出させた。回収したβ−D−ガラクトシダーゼ活性画分である非吸着部を「アミコンPM10ポリエーテルスルフォン」(商品名、Amicon社製)で限外濃縮し、凍結乾燥した。これを、β−D−ガラクトシダーゼ(部分精製)として用いた。
【0038】
・β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼ
冷凍されたウシ胎児血清(SIGMA社より購入)500mLを冷蔵庫の中で3日間かけてゆっくりと解凍した後、氷冷しながら80%飽和となるように硫酸アンモニウム(275g)を加え、1時間撹拌した後、4℃で1日静置した。上清をデカンテーションにより捨て、生じた沈殿を遠心分離(5,000×g、30分、4℃)で回収し、少量の50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解し、蒸留水中、4℃で一昼夜透析した後、凍結乾燥した。これをβ−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼ(粗酵素)として用いた。
【0039】
実施例1
(1)LacNAcβ−pNPの酵素合成
供与体基質としてLac(9.2g)、受容体基質としてGlcNAcβ−pNP(5.84g)をモル比で3:2で、0.1Mリン酸−リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、99mL)とアセトニトリル(100mL)の混合溶媒に溶解した。そこに、予め0.1Mリン酸−リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、1mL)に溶解させたバチルス・サーキュランス(B. circulans)由来のβ−D−ガラクトシダーゼ(120U)を添加し、40℃で5時間反応を行った。反応液は、下記条件でHPLCを用いて経時的に分析を行った。
【0040】
・HPLC分析条件
送液装置:「Hitachi Pump L−6000」(商品名、株式会社日立製作所製)
検出器:「Hitachi L−4000H UV Detector」(商品名、株式会社日立製作所製)
カラム:「TSK−G−Oligo−PW(φ7.8×300mm)」(商品名、東ソー株式会社製)
オートサンプラー:「Hitachi AS−2000 Autosampler」(商品名、株式会社日立製作所製)
データ処理:「Hitachi D−2500 Chromato Integrator」(商品名、株式会社日立製作所製)
検出波長:300nm
溶媒:H2O
流速:0.8mL/min
カラム温度:50℃
反応終了後、反応液を10分間煮沸して反応を停止させ、煮沸により生じた沈殿物をセライトで濾過した後、濾液をアセトニトリルが無くなるまで濃縮した。この濃縮した濾液をガラスフィルターに通して未反応のGlcNAcβ−pNPの結晶を除去した後、予め25%(v/v)メタノールで平衡化した「トヨパールHW−40S」(商品名、東ソー株式会社製)を用いたクロマトグラフィー(φ6×97cm、流速2.5mL/min)に供し、生成したLacNAcβ−pNPを単離回収した。
【0041】
(2)GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPの酵素合成
受容体基質としてLacNAcβ−pNP(200mg)とNaCl(41mg)を、150mMカコジル酸バッファー(pH7.0、17mL)に溶かし、供与体基質としてUDP−GlcNAc(231.5mg)、ATP(15.5mg)、MnCl2(56.5mg)、GlcNAc(37.5mg)、10%(w/v)NaN3溶液(700μL)を加えて完全に溶解させた。そこに、ウシ胎児血清由来β−1,3−GlcNAcトランスフェラーゼ(120mU)を添加して、40℃で36時間反応を行った。反応液は、下記条件でHPLCを用いて経時的に分析を行った。
【0042】
・HPLC分析条件
送液装置:「Hitachi Pump L−6000」(商品名、株式会社日立製作所製)
検出器:「Hitachi L−4000H UV Detector」(商品名、株式会社日立製作所製)
カラム:「Mightysil RP−18 GP(φ4.6×150mm)」(商品名、関東化学株式会社製)
オートサンプラー:「Hitachi AS−2000 Autosampler」(商品名、株式会社日立製作所製)
データ処理:「Hitachi D−2500 Chromato Integrator」(商品名、株式会社日立製作所製)
検出波長:300nm
溶媒:10%(v/v)メタノール
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
反応終了後、反応液を3倍希釈し、5分間煮沸して反応を停止させ、煮沸により生じた沈殿物を遠心分離により除去した後、上清を、予め25%(v/v)メタノールで平衡化した「トヨパールHW−40S」(商品名、東ソー株式会社製)を用いたクロマトグラフィー(φ4.4×80cm、流速1.5mL/min)に供し、生成したGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを単離回収した。
【0043】
(3)GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPの酵素合成
GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPを酢酸緩衝液(pH5.8)に溶解して14mMに調製した基質溶液1,610μL(最終基質濃度11.9mM)に、▲1▼BSA溶液(1.37mg/mL)276μL、又は▲2▼酢酸緩衝液(pH5.8)276μLを加え、最後にエシェリシア・フラウンディ(E. freundii)由来エンド−β−ガラクトシダーゼ(生化学工業株式会社製)を含む酵素溶液(35.1mU/mL)を2μL(0.0702mU)加え、37℃で752時間反応させた。反応中、265時間目に前記酵素溶液2μL(0.0702mU)、434時間目に前記酵素溶液4μL(0.140mU)をそれぞれ追加添加した。なお、反応中は、経時変化を観察するために反応液を2μLずつ採取し、198μLの脱塩水を加えた後、100℃で5分間加熱して反応を停止させ、下記条件でHPLCを用いて経時的に分析を行った。
【0044】
・HPLC分析条件
送液装置:「SHIMADZU LC−10AD」(商品名、株式会社島津製作所製)
検出器:「SHIMADZU SPD−10A VP」(商品名、株式会社島津製作所製)
カラム:「Asahipak GS−220HQ(φ7.6×250mm)」(商品名、昭和電工株式会社製)
オートサンプラー:「SHIMADZU SIL10A」(商品名、株式会社島津製作所)
データ処理:「SHIMADZU CHROMATOPAC C−R7A」(商品名、株式会社島津製作所)
検出波長:300nm
溶媒:超純水
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
HPLC分析による反応液中の基質(GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP)の量の経時的な変化を図2に示す。図2から、BSAを添加しなかった系では、96時間後でも基質の約95%が水解を受けずに残存しているのに対して、BSAを添加した系では、4時間後には転移生成物と思われる3つピーク(Peak1、Peak2、Peak3)が現れ、その後消失し、96時間後には全ての基質が水解を受け、GlcNAcβ−pNPのみになっていることが分かる。
【0045】
また、生成した各ピークの転移生成物の生成量の経時的な変化を図3に示す。図3から、BSAを添加した系では、BSAを添加しなかった系に比べて、反応開始後早い時期に各ピークの転移生成物が現れており、また、その生成量も多いことが分かる。
【0046】
そして、上記3つのピークの転移生成物についてNMRで分析したところ、Peak1、2の転移生成物については構造決定には至らなかったが、Peak3は、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPであることが分かった。図4〜6にPeak3の1H、13C、HMBCスペクトル、表2にGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPの13Cケミカルシフトを示す。
【0047】
【表2】
【0048】
上記の結果と、エンド−β−ガラクトシダーゼの水解様式を考慮すると、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPは、図7に示すような機構で生成したものと考えられる。また、Peak1、2については、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPに、更にGlcNAcβ1−3Galがβ1−4結合で転移して伸長したものであるか、又は基質であるGlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPの糖鎖末端側GlcNAc残基の3位又は6位のOH基にGlcNAcβ1−3Galが転移して生成した異性体であると考えられる。
【0049】
実施例2
GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP(16.0mg)、BSA(0.378mg)、エシェリシア・フラウンディ(E. freundii)由来エンド−β−ガラクトシダーゼ(140μU)を、20mM酢酸緩衝液(pH5.8)1.9mLに溶解して、37℃で720時間反応させた。反応中、エンド−β−ガラクトシダーゼを280時間目に70μU、450時間目に140μUそれぞれ追加添加した。なお、反応中は、実施例1と同様の条件でHPLCによる分析を行い、各ピークの転移生成物の生成量の経時的な変化を測定した。その結果を図8に示す。
【0050】
反応終了後、酵素を失活させ、上記と同様の条件でHPLCを行い、Peak3の転移生成物0.8mgを単離した(収率3.31%)。これをNMRで分析したところ、GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNPであった。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上記式(1)に示されるトリサッカライド又はその誘導体を供与体基質兼受容体基質とし、エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させることにより、該酵素の転移反応によって上記式(2)に示されるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体を効率よくかつ安価に得ることができる。
【0052】
本発明の製造方法によって得られるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体は、例えば、分化抗原、血管新生、炎症反応等の研究における試薬や、医薬品、診断薬、食品、化粧品、農薬等へ利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンド−β−ガラクトシダーゼの活性測定の原理を示す図である。
【図2】反応液中の基質(GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAcβ−pNP)の量の経時的な変化を示す図である。
【図3】生成した各ピークの転移生成物の生成量の経時的な変化を示す図である。
【図4】Peak3の1Hスペクトルを示す図である。
【図5】Peak3の13Cスペクトルを示す図である。
【図6】Peak3のHMBCスペクトルを示す図である。
【図7】エンド−β−ガラクトシダーゼによるポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の合成の作用機構を示す図である。
【図8】実施例2において、各ピークの転移生成物の生成量の経時的な変化を示す図である。
Claims (4)
- 前記エンド−β−ガラクトシダーゼとして、エシェリシア(Esherichia)属由来のエンド−β−ガラクトシダーゼを用いる、請求項1に記載のポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の製造方法。
- ウシ血清アルブミン共存下で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させる、請求項1又は2に記載のポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の製造方法。
- ウシ血清アルブミンを30〜500μg/mL含有する緩衝液中で、前記トリサッカライド又はその誘導体に前記エンド−β−ガラクトシダーゼを作用させる、請求項3に記載のポリ−N−アセチルラクトサミン誘導体の製造方法。
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CN108699549A (zh) * | 2015-12-29 | 2018-10-23 | 天野酶制品株式会社 | 新型β-半乳糖苷酶 |
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- 2003-02-25 JP JP2003047908A patent/JP2004254562A/ja active Pending
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