JP3732871B2 - 複合糖質の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、酵素の糖鎖転移反応を利用したシアロ糖鎖を持つ複合糖質の製造方法に関する。医薬分野に応用される。
【0002】
【従来の技術】
糖質および複合糖質は生物の細胞、体液等に存在し、細胞の基質認識や細胞−細胞間の認識等に深く関わっている。中でもシアル酸を含む複合糖質即ちシアロ複合糖質は細胞の認識機能に最も深く関わっている。また糖質は生体内物質の吸収分解等の代謝の速度に関係しており、例えばエリスロポエチンの場合、糖鎖末端のシアル酸をはずすと生体内での活性が速やかに消失することが知られ、シアロ複合糖質は生理的に特に重要な役割を果たしている。これらの生理的機能に着目して糖質を医薬として利用する試みが遺伝子組換技術の発展とともになされている。例えば動物細胞等を用いたエリスロポエチンやティシュープラスミノーゲンアクチベーターの生産がその例である。糖鎖がついてもそれが機能の面からは必ずしも最適のものではないことも多く、タンパク質、生理活性ペプチドあるいはセラミド等に糖鎖を付けたりあるいは今ある糖鎖を別の糖鎖に換えることにより、生理機能の強化や生理活性の改変に役立つことが期待される。
【0003】
糖鎖を酵素的に改変する方法としては、1)転移酵素あるいはエキソグリコシダーゼによる方法と、2)エンドグリコシダーゼによる方法が考えられる。
【0004】
1)の方法としては、例えばD.H.ジョジアッセ(D. H. Joziasse)ら[ヨーロピアン ジャーナル オブ バイオケミストリー(Eur. J. Biochem.)、 第191巻、第75〜83頁(1990)]があるが、これは糖鎖の非還元末端からの逐次反応である。また、最近、M.シャスター(M. Schuster)ら[ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエテイ(J. Amer. Chem. Soc.)、第116巻、第1135〜1136頁(1994)]は数種のグリコシルトランスフェラーゼを組み合わせた糖鎖の固相合成法を報告している。
【0005】
一方、2)のエンドグリコシダーゼを用いた糖転移反応としては、R.B.トリムブル(R. B. Trimble)ら[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第261巻、第12000〜12005頁(1986)]のフラボバクテリウム メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(エンド−F)に関するもの、R.M.バーデールス(R. M. Bardales)ら[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第264巻、第19893〜19897頁(1989)]のディプロコッカス ニューモニエ(Diprococcus pneumoniae)由来のエンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼに関するものがあり、前者はグリセロールが受容体に、また後者はグリセロール、p−ニトロフェノール、セリン、スレオニン等が受容体になるという報告である。その後、竹川ら[特開平5−64594号(1993)]がアルスロバクター プロトホルミエ(Arthrobacter protophormiae)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(エンド−A)による糖質への糖鎖転移反応を、また、K.ヤマモト(K. Yamamoto) ら[バイオケミカル バイオフィジカル リサーチ コミュニケーション(Biochem. Biophys. Res. Commun.)、第203巻、第244〜252頁(1994)]はムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)由来のエンド−Mによる糖質への糖鎖転移反応を報告した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
糖質に糖鎖を新たに付与したりあるいは他の糖鎖と入れ換えたりする、いわゆる糖鎖の改変(リモデリング)により複合糖質の生体内での安定性や生物活性が天然の複合糖質に比べて増強されたり天然にない生物機能が付加されれば医薬品に応用した場合に有用である。また、複合糖質における糖鎖のもつ生理的機能は今まで糖鎖改変の有効な手段がなかったために、十分には解明されていないが、その役割の解析のための重要な手段を提供する。
【0007】
従来のエキソグリコシダーゼまたはグリコシルトランスフェラーゼを用いた糖鎖合成反応は糖残基一つ一つについてその酵素反応を逐次的に行わねばならず、反応ステップが多く、大変煩雑である。また、エンド−Fやエンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼを用いた糖転移反応は糖質や複合糖質が糖鎖受容体になるものではなかった。
【0008】
一方、エンド−Aあるいはエンド−Mによる方法は糖質や複合糖質が転移反応の糖鎖受容体になる点で新しい方法を提供するものであった。しかしながら、エンド−Aは高マンノース型糖鎖のみが糖鎖供与体となり複合型糖鎖には作用しなかった。また、エンド−Mは複合型糖鎖に作用するがシアル酸のない複合型糖鎖に対してであり、シアル酸を有する複合型糖鎖の転移活性を示すエンドグリコシダーゼは全く知られていなかった。
【0009】
シアル酸の付いたいわゆるシアロ複合型糖鎖は、シアル酸がカルボキシル基に起因する負電荷を持つ酸性糖であること、また通常複合糖鎖の非還元末端残基に存在することから、生理活性や吸収代謝等の点で特に重要な役割を果たしている。しかしながら、シアロ複合型糖鎖を合成することは極めて困難であり、その方法として考えられたことの一つはシアル酸を含有する複合型糖鎖からシアル酸を一度酵素的に外した後にエンドグリコシダーゼによる糖鎖転移反応を行い、次いでシアル酸転移酵素により再びシアル酸をつけ直すという煩雑なもので実用的ではなかった。また、もう一つの問題点はいずれのエンドグリコシダーゼによる酵素反応も反応収率が低いことであった。
【0010】
本発明の目的は、シアル酸を含有する複合型糖鎖からなる複合糖質を糖鎖供与体として、エンドグリコシダーゼを用いてシアル酸を外すことなく直接にシアロ糖鎖を糖鎖受容体に転移させることにあり、該反応を利用してシアロ複合糖質の簡便な製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明はシアル酸を含有する複合糖質の製造法に関する。エンドグリコシダーゼの存在下、下記式(式1)
X−GlcNAc−Y + Z → X−GlcNAc−Z + Y (式1)
(式中、Xはシアル酸を含む複合型糖鎖、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン、Yは糖質あるいは複合糖質、ZはYとは異なる糖質あるいは複合糖質を示す)で表される転移反応を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明者らは、シアル酸を含有する複合型糖鎖のシアル酸を外すことなく一段階の反応で糖鎖の転移を行い、新しい複合糖質を合成する方法を鋭意検討したところ、この反応を行うことの出来るエンドグリコシダーゼを見出し、糖鎖転移反応を高収率で行う条件を見出すことにより、シアロ糖質を効率よく製造する本発明を完成した。
【0013】
本発明は、シアロ糖質に作用しシアロ糖鎖の転移反応能を持つエンドグリコシダーゼを用いて、糖質あるいは複合糖質の糖鎖を改変することを特徴とするシアロ複合糖質の製造方法である。
【0014】
本発明に用いるエンドグリコシダーゼとしては、例えばS.カドワキ(S. Kadowaki )ら[アグリカルチュラル アンド バイオロジカル ケミストリー(Agr. Biol. Chem.)、第54巻、第97〜106頁(1990)]により報告されたムコール ヒエマリス(Mucor hiemalis)により生産されるエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(EC3.2.1.96)、エンド−Mがあり、該酵素は下記式(式2)
R−GlcNAc−GlcNAc−Asn−(ペプチド) (式2)
(式中Rは複合糖鎖を示す)のアスパラギン(Asn)結合型糖鎖のキトビオース(GlcNAc−GlcNAc)部分の間を加水分解する。その基質特異性については、K.ヤマモト(K. Yamamoto)ら[バイオサイエンス バイオテクノロジー アンド バイオケミストリー(Biosci. Biotechnol. Biochem.)、第58巻、第72〜77頁(1994)]に、高マンノース型のみならず複合型糖鎖も加水分解することが述べられている。
【0015】
(式2)のR−GlcNAc部分が水の水酸基(この時、加水分解)でなく、糖鎖受容体の水酸基に移れば糖鎖の転移反応が成立する。酵素エンド−Mは高マンノース型糖鎖の転移反応を行うとともに、ヒトトランスフェリンから調製したシアル酸のないアシアロ複合型糖鎖の転移反応を行うことが定性的に述べられている。
【0016】
しかしながら、酸性糖のシアル酸を有するシアロ糖鎖に対するエンド−M酵素の反応性(加水分解活性)は弱く、シアロ複合糖質から糖鎖受容体へ直接にシアロ糖鎖を転移させることが可能かどうかは全く知られていなかった。
【0017】
本発明者らは、酵素反応に通常用いられるような基質濃度の薄い条件下ではエンドグリコシダーゼによる糖転移反応の反応収率は低いが、与酵素量を制限し、糖鎖供与体および受容体の基質濃度を著しく高めることにより転移反応が飛躍的に進行することを見出した。このような酵素律速の反応条件下で反応させるとシアロ複合糖質からのシアロ糖鎖の転移反応が十分に起きることを見出し、本発明を完成した。
【0018】
本発明の転移反応において、糖鎖供与体としてはシアル酸を含有する複合糖質が用いられる。例えば、ヒトトランスフェリンや牛フェツイン等のシアロ複合糖質であり、そのまま用いてもよいが、プロナーゼ等のタンパク質加水分解酵素によりタンパク質部分をアスパラギン(Asn)残基のみにまで小さくしたシアロ糖質がより適している。
【0019】
糖鎖受容体は糖質あるいは複合糖質であり、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基を有する糖、糖ペプチドとその誘導体あるいは糖タンパク質等が用いられる。複合糖質としては、例えばリボヌクレアーゼ(RNase)等の糖タンパク質のエンドあるいはエキソグリコシダーゼ処理により調製したGlcNAc−Asn残基を有するタンパク質あるいはそのペプチド断片とともに、化学合成したGlcNAc残基を有するペプチドも用いられる。
【0020】
GlcNAc−Asn残基を有するペプチド(GlcNAc−Asn−ペプチド)およびその誘導体は、例えばT.イナヅ(T. Inazu)ら[ペプチド ケミストリー 1993(Peptide Chemistry 1993)、第101〜104頁(1994)]の方法により固相合成法により合成される。誘導体はN末端アミノ酸のαアミノ基の9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)誘導体[GlcNAc−Asn−(ペプチド)−Fmoc]、第3ブチルオキシカルボニル(BOC)誘導体[GlcNAc−Asn−(ペプチド)−BOC]あるいはダンシル化(DNS)誘導体[GlcNAc−Asn−(ペプチド)−DNS]等である。保護基を付けたまま(この時は転移反応後に常法により保護基を外す)、あるいは遊離型で糖鎖受容体として反応に供する。
【0021】
用いるエンドグリコシダーゼとしては、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(EC3.2.1.96)であり、シアル糖鎖の転移活性を有するものが使われる。例えば、エンド−M等が用いられる。
【0022】
本発明の反応は、基質の糖鎖供与体であるシアロ複合糖質、糖鎖受容体および酵素のエンドグリコシダーゼを緩衝溶液中で混合することにより行われる。この時、基質である糖鎖供与体と糖鎖受容体の仕込濃度をともに高濃度にすることが重要で、糖鎖供与体/受容体の量比(モル比)を一定範囲にすることも考慮すべき点である。糖鎖供与体の濃度は10mM以上、望ましくは15〜75mM、また糖鎖受容体の濃度は5mM以上、望ましくは7.5〜35mM程度にするのが良い。また糖鎖供与体/受容体の量比(モル比)は2〜0.5程度の一定範囲にするのが良い。糖鎖受容体の溶解度が低い場合には受容体の濃度が2.5mM程度の条件もとられる。
【0023】
一方、酵素の添加量を制限して反応速度が酵素量に比例するような、与酵素量が律速要因になる条件下で反応を行うことにより副反応を抑えて高い収率が得られる。例えば、エンド−Mの場合、糖鎖供与体に対して80〜250ユニット(U)/モル(供与体)程度の量、即ち上記の基質濃度条件の時に与酵素量を2〜5mU/ml程度にするのが良い。ここで、酵素の1ユニット(U)は、ヒトトランスフェリン由来のアシアロ複合型糖鎖のDNS化誘導体を加水分解して37℃、1分間に1マイクロモル(μmol)のGlcNAc−Asn−DNSを生成させるに必要な酵素量である。
【0024】
緩衝液としては、pH5〜8程度の適当な緩衝液が用いられる。エンド−Mの場合、通常pH5.5〜6.5の酢酸あるいはリン酸緩衝液中で反応が行われる。
【0025】
反応温度は通常、室温〜50℃程度、好ましくは30〜40℃で行われ、反応時間は1〜24時間程度である。エンド−M酵素の場合、通常、温度37℃で6〜18時間程度反応が行われる。
【0026】
生成したシアロ糖質あるいはシアロ複合糖質は公知の手段に従って反応終了液から容易に分離精製することが出来る。例えば、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィー、レクチンカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により反応終了液から反応生成物のシアロ糖質あるいはシアロ複合糖質を分離し、更に濃縮、脱塩、凍結乾燥等を行えばよい。
【0027】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
【実施例1】
ヒトトランスフェリン由来シアロ糖鎖のGlcNAc−Asn−DNSへの転移反応: 糖鎖供与体としてのヒトトランスフェリン由来シアロ糖質(以下TF−SGPと略する)は、ヒトトランスフェリン(生化学工業)をプロナーゼ処理とセファデックスG−25ゲルろ過を繰り返してAsn残基のみを有するシアロ糖ペプチド(分子量2338)を調製した。糖鎖受容体はダンシル(DNS)化したGlcNAc−Asn(GlcNAc−Asn−DNS)(分子量571)を用いた。TF−SGP 1μmol(2.24mg)とGlcNAc−Asn−DNS 500nmol(0.285mg)を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.25)24μlに溶解し、エンド−M 160μUを含む酵素溶液16μlを加え、37℃で6〜18時間反応した。加熱処理により反応を停止後反応液を蒸留水で1mlに希釈して、反応生成物をHPLCで分析した。転移反応生成物が反応6時間で8.2%、反応18時間で13.0%(各、対仕込糖鎖受容体、モル比)の収率で得られた。反応生成物をHPLC分取により単離し、質量分析の結果、m/z[M−H]2572にシグナルが観測され、トランスフェリン由来のシアル酸が2個ついた(ジシアロ)2本鎖複合型糖鎖がGlcNAc−Asn−DNSに転移した化合物(分子量2573)であることが確認された。これをシアリダーゼで処理するとアシアロ体の化合物(分子量1991)が得られた。
【0029】
【実施例2】
ヒトトランスフェリン由来シアロ糖鎖のGlcNAc−Asn−Fmocへの転移反応: 糖鎖受容体としてGlcNAc−AsnのFmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)誘導体(GlcNAc−Asn−Fmoc)(分子量562)を合成して用いた。合成はT.イナヅらの先の文献記載と同様に行った。TF−SGP 1μmol(2.24mg)とGlcNAc−Asn−Fmoc 400nmol(0.224mg)を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.25)24μlに溶解し、エンド−M 160μUを含む酵素溶液16μlを加え、37℃で6時間反応した。反応停止後反応液を蒸留水で1mlに希釈して、反応生成物をHPLCで分析した。転移反応生成物が4.5%の収率で得られた。反応生成物をHPLC分取により単離し、質量分析の結果、m/z[M−H]2564にシグナルが観測され、ジシアロ2本鎖複合型糖鎖がGlcNAc−Asn−Fmocに転移した化合物(分子量2564)であることが確認された。これをシアリダーゼで処理するとアシアロ体の化合物(分子量1982)が得られた。
【0030】
【実施例3】
ヒトトランスフェリン由来シアロ糖鎖のペプチドへの転移反応: 糖鎖受容体として、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)のβ鎖の部分ペプチドhCG(β12−16)のAsn残基にGlcNAcを付け、N末端αアミノ基をFmocで保護したペプチド、[Ile−Asn(GlcNAc)−Ala−Thr−Leu−Fmoc](分子量960)(Ileはイソロイシン、Alaはアラニン、Thrはスレオニン、Leuはロイシンを示す)を先のT.イナヅらの方法により合成して用いた。糖鎖供与体TF−SGPとともに実施例1と同様の反応条件下で3時間反応させたところ、ジシアロ2本鎖複合型糖鎖がhCG(β12−16)−Fmocに転移した化合物(分子量2963)の生成が認められた。
【0031】
【実施例4】
ヒトトランスフェリン由来シアロ糖鎖のペプチドへの転移反応: 実施例3の糖鎖受容体のペプチド、[Ile−Asn(GlcNAc)−Ala−Thr−Leu−Fmoc]の保護基Fmocを予め外した後に実施例3と同様の条件下で反応させたところ、ジシアロ2本鎖複合型糖鎖がhCG(β12−16)に転移した化合物(分子量2737)の生成が認められた。
【0032】
【実施例5】
ヒトトランスフェリン由来シアロ糖鎖の糖タンパク質への転移反応: 糖タンパク質としては牛リボヌクレアーゼ−B(シグマ)を用い、K.ヤマモト(K. Yamamoto )ら[ジャーナル オブ ファーメンテーション テクノロジー(J. Ferment. Technol.)、第64巻、第397〜403頁(1986)]に記載の方法に従って糖鎖を外し、GlcNAc−Asn−(タンパク質)の状態の糖タンパク質を調製し、糖鎖受容体として用いた。糖鎖供与体としてTF−SGP 1μmol、受容体糖タンパク質8mgを用い実施例3と同様に反応させたところ、ジシアロ2本鎖複合型糖鎖がリボヌクレアーゼ−Bのペプチドに転移した化合物の生成が認められた。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、シアル酸を含有する糖鎖からなる複合糖質(糖鎖供与体)のシアロ糖鎖を他の糖質あるいは複合糖質(糖鎖受容体)に転移させてシアロ複合糖質を容易に合成することが可能となった。糖鎖受容体としては天然の複合糖質のみならず、GlcNAc残基を持つ生理活性ペプチドを合成して用いることにより望み通りのシアロ複合糖ペプチドを合成できる。複合糖質の中でも、シアロ糖鎖は生理的に最も重要な役割を果たしており、本発明は、医薬への応用とともにシアロ糖鎖の果たしている生理的役割を解明するための研究手法を提供する。

Claims (3)

  1. ムコール ヒエマリス (Mucor hiemalis) 由来のエンド - β -N- アセチルグルコサミニダーゼ (EC3.2.1.96) (エンド -M と称す)の存在下、シアル酸を含有する糖鎖からなる複合糖質(糖鎖供与体)の糖鎖をN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基を有する糖質あるいは複合糖質(糖鎖受容体)に転移させることによりシアロ複合糖質を製造する方法。
  2. 酵素律速条件下で反応を行う請求項1に記載の方法。
  3. 糖鎖供与体を10mM以上の濃度および糖鎖受容体を5mM以上の濃度に加えて反応を行う請求項1または2に記載の方法。
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