JPH10273500A - 複合糖ペプチド及びその製造法 - Google Patents
複合糖ペプチド及びその製造法Info
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- JPH10273500A JPH10273500A JP9063814A JP6381497A JPH10273500A JP H10273500 A JPH10273500 A JP H10273500A JP 9063814 A JP9063814 A JP 9063814A JP 6381497 A JP6381497 A JP 6381497A JP H10273500 A JPH10273500 A JP H10273500A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】下記式(1)または(2)
[式中、R1は、高マンノース型糖鎖を示す。Acmは
システイン(Cys)のSHのアセトアミドメチル保護
基を示す。]で示される、高マンノース型糖鎖を有する
カルシトニン部分ペプチド誘導体。 【効果】高マンノース型糖鎖を持つカルシトニン部分ペ
プチド誘導体は、高マンノース型糖鎖を持つカルシトニ
ン誘導体の原料として利用できる。エンド−Aを用いる
ことにより、高マンノース型糖鎖を持つカルシトニン誘
導体を、高い反応収率で製造できる。
システイン(Cys)のSHのアセトアミドメチル保護
基を示す。]で示される、高マンノース型糖鎖を有する
カルシトニン部分ペプチド誘導体。 【効果】高マンノース型糖鎖を持つカルシトニン部分ペ
プチド誘導体は、高マンノース型糖鎖を持つカルシトニ
ン誘導体の原料として利用できる。エンド−Aを用いる
ことにより、高マンノース型糖鎖を持つカルシトニン誘
導体を、高い反応収率で製造できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生理活性な新規複
合糖ペプチド、およびその製造法に関する。より具体的
には、糖鎖を有するカルシトニン誘導体とその製造法に
関する。本発明は医薬に応用される。
合糖ペプチド、およびその製造法に関する。より具体的
には、糖鎖を有するカルシトニン誘導体とその製造法に
関する。本発明は医薬に応用される。
【0002】
【従来の技術】32残基のアミノ酸からなるペプチドホ
ルモンであるカルシトニン(CTと略す。)は哺乳動物
のカルシウム調節ホルモンとして機能し、骨吸収を抑制
することから、ヒト、ブタ、サケ、ウナギのカルシトニ
ンもしくはその誘導体が骨粗しょう症等の治療薬として
使用されている。
ルモンであるカルシトニン(CTと略す。)は哺乳動物
のカルシウム調節ホルモンとして機能し、骨吸収を抑制
することから、ヒト、ブタ、サケ、ウナギのカルシトニ
ンもしくはその誘導体が骨粗しょう症等の治療薬として
使用されている。
【0003】糖質および複合糖質は生物の細胞、体液等
に存在し、細胞の基質認識や細胞−細胞間の認識等に深
く関わっている。エリスロポエチンやティシュープラス
ミノーゲンアクチベーター等のタンパク質あるいはヒト
絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)等のペプチドホルモ
ンには糖鎖を持つものが知られ、それら糖鎖は基質認識
と共に生体内物質の吸収分解等の代謝の速度に関係して
いる。これら糖タンパク質あるいは糖ペプチドでは糖鎖
が通常N結合型糖鎖として、ペプチド鎖のアスパラギン
(Asn)にN−アセチルグルコサミン(GlcNA
c)を介して結合している。
に存在し、細胞の基質認識や細胞−細胞間の認識等に深
く関わっている。エリスロポエチンやティシュープラス
ミノーゲンアクチベーター等のタンパク質あるいはヒト
絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)等のペプチドホルモ
ンには糖鎖を持つものが知られ、それら糖鎖は基質認識
と共に生体内物質の吸収分解等の代謝の速度に関係して
いる。これら糖タンパク質あるいは糖ペプチドでは糖鎖
が通常N結合型糖鎖として、ペプチド鎖のアスパラギン
(Asn)にN−アセチルグルコサミン(GlcNA
c)を介して結合している。
【0004】生理活性ペプチドを医薬として用いる場
合、体液中の分解酵素による分解等により、その有効性
が著しく損なわれることが多い。カルシトニンも血液中
で分解され易い。血液中での安定性を高める方法として
糖鎖を付与することが有効と期待されるが、カルシトニ
ンに糖鎖を付けることは、合成法および酵素法ともに報
告はない。一般にペプチドに糖鎖を付けるには、まず糖
鎖を化学的に合成することが困難であるので、天然の糖
鎖をエンドグリコシダーゼ等の酵素により転移付加させ
る方法が考えられる。
合、体液中の分解酵素による分解等により、その有効性
が著しく損なわれることが多い。カルシトニンも血液中
で分解され易い。血液中での安定性を高める方法として
糖鎖を付与することが有効と期待されるが、カルシトニ
ンに糖鎖を付けることは、合成法および酵素法ともに報
告はない。一般にペプチドに糖鎖を付けるには、まず糖
鎖を化学的に合成することが困難であるので、天然の糖
鎖をエンドグリコシダーゼ等の酵素により転移付加させ
る方法が考えられる。
【0005】エンドグリコシダーゼを用いた糖鎖転移反
応としては、竹川ら[特開平5−64594号(199
3)]、K.タケガワ(K. Takegawa)ら[ジャーナル
オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Che
m.)、第270巻、第3094〜3099頁(199
5)]、およびL-X.ウォング(Lai-Xi Wang)ら[テ
トラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、第
37巻、第1975〜1978頁(1996)]がアル
スロバクター プロトホルミエ(Arthrobacter protoph
ormiae)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニ
ダーゼ(エンド−Aと呼ばれる。)によるペプチドへの
糖鎖転移反応を、また、K.ヤマモト(K.Yamamoto)ら
[バイオケミカル バイオフィジカル リサーチ コミ
ュニケーション(Biochem. Biophys. Res. Commun.)、
第203巻、第244〜252頁(1994)]、栃倉
ら[特開平7−59587号(1995)]、および
K.ハネダ(K. Haneda)ら[カーボハイドレート リ
サーチ(Carbohydrate Reserch)、第292巻、第61
〜70頁(1996)]はムコール ヒエマリス(Muco
r hiemalis)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサ
ミニダーゼ(エンド−Mと呼ばれる。)によるペプチド
への糖鎖転移反応を報告している。
応としては、竹川ら[特開平5−64594号(199
3)]、K.タケガワ(K. Takegawa)ら[ジャーナル
オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Che
m.)、第270巻、第3094〜3099頁(199
5)]、およびL-X.ウォング(Lai-Xi Wang)ら[テ
トラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)、第
37巻、第1975〜1978頁(1996)]がアル
スロバクター プロトホルミエ(Arthrobacter protoph
ormiae)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニ
ダーゼ(エンド−Aと呼ばれる。)によるペプチドへの
糖鎖転移反応を、また、K.ヤマモト(K.Yamamoto)ら
[バイオケミカル バイオフィジカル リサーチ コミ
ュニケーション(Biochem. Biophys. Res. Commun.)、
第203巻、第244〜252頁(1994)]、栃倉
ら[特開平7−59587号(1995)]、および
K.ハネダ(K. Haneda)ら[カーボハイドレート リ
サーチ(Carbohydrate Reserch)、第292巻、第61
〜70頁(1996)]はムコール ヒエマリス(Muco
r hiemalis)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサ
ミニダーゼ(エンド−Mと呼ばれる。)によるペプチド
への糖鎖転移反応を報告している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】生理活性ペプチドは酵
素による分解を受け易いために目的臓器に到達しなかっ
たり、半減期が短くすぐに有効濃度以下になってしまう
ことが多く、医薬として用いる場合に大きな問題とな
る。カルシトニンの場合にも血液中で酵素分解を受け易
く、壊変を受け難くすることが必要である。カルシトニ
ンに糖鎖を付与した糖ペプチドにすることにより、安定
化の目的を達することができ、更に吸収代謝の改善ある
いは投与経路の変更等の効果が期待できる。
素による分解を受け易いために目的臓器に到達しなかっ
たり、半減期が短くすぐに有効濃度以下になってしまう
ことが多く、医薬として用いる場合に大きな問題とな
る。カルシトニンの場合にも血液中で酵素分解を受け易
く、壊変を受け難くすることが必要である。カルシトニ
ンに糖鎖を付与した糖ペプチドにすることにより、安定
化の目的を達することができ、更に吸収代謝の改善ある
いは投与経路の変更等の効果が期待できる。
【0007】すでに、課題を解決する方法として、ムコ
ール ヒエマリス(Mucor hiemalis)由来のエンド−β
−N−アセチルグルコサミニダーゼ(エンド−M)を作
用させて、各種糖鎖を有するウナギカルシトニン誘導体
及びその製造法が発明されている(特願平8−3247
55)。この発明においては、エンド−Mを用いるた
め、シアロ及びアシアロ複合糖鎖さらには高マンノース
型糖鎖といった各種の糖鎖が転移できる利点をもってい
る。しかし、その反応収率が4ー8%と低いという新た
な課題が残されている。つまり、実用的な製法の開発を
めざした、数10%の高反応収率が望まれている。
ール ヒエマリス(Mucor hiemalis)由来のエンド−β
−N−アセチルグルコサミニダーゼ(エンド−M)を作
用させて、各種糖鎖を有するウナギカルシトニン誘導体
及びその製造法が発明されている(特願平8−3247
55)。この発明においては、エンド−Mを用いるた
め、シアロ及びアシアロ複合糖鎖さらには高マンノース
型糖鎖といった各種の糖鎖が転移できる利点をもってい
る。しかし、その反応収率が4ー8%と低いという新た
な課題が残されている。つまり、実用的な製法の開発を
めざした、数10%の高反応収率が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】カルシトニン(CT)の
Asn残基にGlcNAcを結合した糖ペプチドを化学
的に合成し、アルスロバクター プロトホルミエ(Arth
robacter protophormiae)由来のエンド−β−N−アセ
チルグルコサミニダーゼ(エンド−A)による糖鎖転移
反応を用いる酵素法により、Asnに結合したGlcN
Ac残基に糖鎖を転移させて新しい複合糖ペプチドを合
成できる。即ち、本発明の目的はこのような方法により
合成されたカルシトニンの糖鎖誘導体を提供するもので
ある。
Asn残基にGlcNAcを結合した糖ペプチドを化学
的に合成し、アルスロバクター プロトホルミエ(Arth
robacter protophormiae)由来のエンド−β−N−アセ
チルグルコサミニダーゼ(エンド−A)による糖鎖転移
反応を用いる酵素法により、Asnに結合したGlcN
Ac残基に糖鎖を転移させて新しい複合糖ペプチドを合
成できる。即ち、本発明の目的はこのような方法により
合成されたカルシトニンの糖鎖誘導体を提供するもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、アルスロバクター プ
ロトホルミエ(Arthrobacter protophormiae)由来のエ
ンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(EC3.
2.1.96)(エンド−Aと呼ばれる。)の存在下、
複合糖質の糖鎖を、下記式(化3)または(化4)
ロトホルミエ(Arthrobacter protophormiae)由来のエ
ンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(EC3.
2.1.96)(エンド−Aと呼ばれる。)の存在下、
複合糖質の糖鎖を、下記式(化3)または(化4)
【化3】
【化4】[式中、R2はOHあるいはLys−Leu−
Ser−Gln−Glu−Leu−His−Lys−L
eu−Gln−Thr−Tyr−Pro−Arg−Th
r−Asp−Val−Gly−Ala−Gly−Thr
−Pro−NH2からなるペプチド残基をしめす。Ac
mはシステイン(Cys)のSHのアセトアミドメチル
保護基を示す。]で示されるN−アセチルグルコサミン
(GlcNAc)残基を有する合成ペプチドに転移させ
ることにより、下記式(化5)または(化6)
Ser−Gln−Glu−Leu−His−Lys−L
eu−Gln−Thr−Tyr−Pro−Arg−Th
r−Asp−Val−Gly−Ala−Gly−Thr
−Pro−NH2からなるペプチド残基をしめす。Ac
mはシステイン(Cys)のSHのアセトアミドメチル
保護基を示す。]で示されるN−アセチルグルコサミン
(GlcNAc)残基を有する合成ペプチドに転移させ
ることにより、下記式(化5)または(化6)
【化5】
【化6】(式中、R1は高マンノース型糖鎖を示し、例
えば(Man)6(GlcNAc)1 からなる糖鎖であ
る。但し、ManはD−マンノース、GlcNAcはN
−アセチル−D−グルコサミンを示す。R2およびAc
mは(化3)に示したと同じ内容を意味する。)に示さ
れる高マンノース型糖鎖を有するカルシトニン誘導体を
製造する方法を提供する。さらに本発明は、下記式(化
1)または(化2)
えば(Man)6(GlcNAc)1 からなる糖鎖であ
る。但し、ManはD−マンノース、GlcNAcはN
−アセチル−D−グルコサミンを示す。R2およびAc
mは(化3)に示したと同じ内容を意味する。)に示さ
れる高マンノース型糖鎖を有するカルシトニン誘導体を
製造する方法を提供する。さらに本発明は、下記式(化
1)または(化2)
【化1】
【化2】[式中、R1およびAcmは、(化5)に示し
たと同じ内容を意味する。]に示される、高マンノース
型糖鎖を有するカルシトニン部分ペプチド誘導体及び、
上記の製造方法(エンド−Aを用いる方法)により製造
される、(化5)または(化6)からなる。
たと同じ内容を意味する。]に示される、高マンノース
型糖鎖を有するカルシトニン部分ペプチド誘導体及び、
上記の製造方法(エンド−Aを用いる方法)により製造
される、(化5)または(化6)からなる。
【0010】(化3)または(化4)に示すGlcNA
c残基を有するカルシトニン誘導体の合成は如何なる方
法によってもよいが、例えばT.イナヅ(T. Inazu)ら
[ペプチド ケミストリー 1995(Peptide Chemis
try 1995 )、第61〜64頁(1996)]の報告し
た方法に準じて固相合成法により合成される。
c残基を有するカルシトニン誘導体の合成は如何なる方
法によってもよいが、例えばT.イナヅ(T. Inazu)ら
[ペプチド ケミストリー 1995(Peptide Chemis
try 1995 )、第61〜64頁(1996)]の報告し
た方法に準じて固相合成法により合成される。
【0011】GlcNAc残基を有する式(化3)で示
される32残基のペプチド[Asn(GlcNA
c)3]CTの合成を例にとると、例えば9−フルオレ
ニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基等によりN
末端αアミノ基を保護したアスパラギン酸とGlcNA
cのアジドからFmoc−Asn−GlcNAc誘導体
を合成してFmoc−Asnの代わりに用い、またSH
基をアセトアミドメチル(Acm)基で保護したCys
を用いて、Fmocストラテジーに従って縮合にジメチ
ルホスフィン酸混合酸無水物法を用いるペプチドの固相
合成を展開する。樹脂から切り出し、アミノ末端にFm
ocが付きAsnにGlcNAc残基が結合したペプチ
ドが合成される。保護基を外して式(化3)に示す合成
中間体が得られる。さらに常法によりCysのSHのア
セトアミドメチル保護基をはずしジスルフィド結合をさ
せることにより、式(化4)に示す目的のペプチド[A
sn(GlcNAc)3]CTが得られる。
される32残基のペプチド[Asn(GlcNA
c)3]CTの合成を例にとると、例えば9−フルオレ
ニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基等によりN
末端αアミノ基を保護したアスパラギン酸とGlcNA
cのアジドからFmoc−Asn−GlcNAc誘導体
を合成してFmoc−Asnの代わりに用い、またSH
基をアセトアミドメチル(Acm)基で保護したCys
を用いて、Fmocストラテジーに従って縮合にジメチ
ルホスフィン酸混合酸無水物法を用いるペプチドの固相
合成を展開する。樹脂から切り出し、アミノ末端にFm
ocが付きAsnにGlcNAc残基が結合したペプチ
ドが合成される。保護基を外して式(化3)に示す合成
中間体が得られる。さらに常法によりCysのSHのア
セトアミドメチル保護基をはずしジスルフィド結合をさ
せることにより、式(化4)に示す目的のペプチド[A
sn(GlcNAc)3]CTが得られる。
【0012】αアミノ基を第3ブチルオキシカルボニル
(Boc)基、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル
(Npys)基あるいはベンジルオキシカルボニル
(Z)基で保護したアミノ酸を用いる合成法に依った場
合には各々に対応するN末端アミノ基を保護したペプチ
ドが合成され、保護基を外すと遊離型のペプチドが得ら
れる。
(Boc)基、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル
(Npys)基あるいはベンジルオキシカルボニル
(Z)基で保護したアミノ酸を用いる合成法に依った場
合には各々に対応するN末端アミノ基を保護したペプチ
ドが合成され、保護基を外すと遊離型のペプチドが得ら
れる。
【0013】GlcNAc残基を有する式(化4)で示
される10残基のペプチド[Asn(GlcNA
c)3]CT(1−10)の合成の場合も、上記[As
n(GlcNAc)3]CTと同様に、保護基を付けて
固相合成を行った後、保護基を外して式(化3)に示す
合成中間体を作り、さらにジスルフィド結合させること
により合成できる。
される10残基のペプチド[Asn(GlcNA
c)3]CT(1−10)の合成の場合も、上記[As
n(GlcNAc)3]CTと同様に、保護基を付けて
固相合成を行った後、保護基を外して式(化3)に示す
合成中間体を作り、さらにジスルフィド結合させること
により合成できる。
【0014】本発明に用いる糖鎖転移酵素は、高マンノ
ース型糖鎖を特異的に転移するといわれている、アルス
ロバクター プロトホルミエ(Arthrobacter protophor
mie)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ
ーゼ(EC3.2.1.96)(エンド−A)が用いら
れる。該酵素は下記式(式1): R−GlcNAc−GlcNAc−Asn (式1) (式中Rは高マンノース型糖鎖を示す)のアスパラギン
(Asn)結合型糖鎖のアセチルキトビオース部分(G
lcNAc−GlcNAc)の間を加水分解するが、こ
の時に糖鎖受容体である(化3)または(化4)に示す
GlcNAc残基を有するペプチドを存在させると、受
容体に糖鎖(R−GlcNAc)部分が転移し、(化
5)または(化6)に示す目的物質が合成される。
ース型糖鎖を特異的に転移するといわれている、アルス
ロバクター プロトホルミエ(Arthrobacter protophor
mie)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ
ーゼ(EC3.2.1.96)(エンド−A)が用いら
れる。該酵素は下記式(式1): R−GlcNAc−GlcNAc−Asn (式1) (式中Rは高マンノース型糖鎖を示す)のアスパラギン
(Asn)結合型糖鎖のアセチルキトビオース部分(G
lcNAc−GlcNAc)の間を加水分解するが、こ
の時に糖鎖受容体である(化3)または(化4)に示す
GlcNAc残基を有するペプチドを存在させると、受
容体に糖鎖(R−GlcNAc)部分が転移し、(化
5)または(化6)に示す目的物質が合成される。
【0015】反応収率としては、下記に示す最適な条件
を選ぶことにより、課題となっていた数10%を達成す
ることができる。これは、すでに発明されているエンド
−M酵素を用いる方法(特願平8−324755)の最
適条件での反応率(数%)と比較して、実用上はるかに
有利といえる。
を選ぶことにより、課題となっていた数10%を達成す
ることができる。これは、すでに発明されているエンド
−M酵素を用いる方法(特願平8−324755)の最
適条件での反応率(数%)と比較して、実用上はるかに
有利といえる。
【0016】酵素反応に際しては、(化3)および(化
4)に示されるように、カルシトニン構成アミノ酸が1
0個または32個連なったもの、Acmが付加したもの
または付加しないもの共に、反応に供することができ
る。
4)に示されるように、カルシトニン構成アミノ酸が1
0個または32個連なったもの、Acmが付加したもの
または付加しないもの共に、反応に供することができ
る。
【0017】(化1)および(化2)に示される、高マ
ンノース型糖鎖を有するカルシトニン部分ペプチド誘導
体は、これにさらにカルシトニンの11番目から32番
目のアミノ酸から成るペプチド[CT(11−32)と
略す。]を合成的に付加することにより、高マンノース
型糖鎖を有するカルシトニンに誘導することができる。
この部分ペプチド誘導体の10番目のアミノ酸がグリシ
ンであるため、CT(11−32)を合成的に付加して
いく際、ラセミ体となる問題は起こらない。これが、
(化1)および(化2)に示される、1から10番目ま
でのアミノ酸から成るカルシトニン部分ペプチド誘導体
の利用価値の高い点である。
ンノース型糖鎖を有するカルシトニン部分ペプチド誘導
体は、これにさらにカルシトニンの11番目から32番
目のアミノ酸から成るペプチド[CT(11−32)と
略す。]を合成的に付加することにより、高マンノース
型糖鎖を有するカルシトニンに誘導することができる。
この部分ペプチド誘導体の10番目のアミノ酸がグリシ
ンであるため、CT(11−32)を合成的に付加して
いく際、ラセミ体となる問題は起こらない。これが、
(化1)および(化2)に示される、1から10番目ま
でのアミノ酸から成るカルシトニン部分ペプチド誘導体
の利用価値の高い点である。
【0018】また、Acmが付加したものは、常法によ
りCysについたこの保護基をはずしジスルフィド結合
させることにより、ペプチド部分が環化した本来の、高
マンノース型糖鎖を有するカルシトニンに誘導すること
ができる。
りCysについたこの保護基をはずしジスルフィド結合
させることにより、ペプチド部分が環化した本来の、高
マンノース型糖鎖を有するカルシトニンに誘導すること
ができる。
【0019】糖鎖供与体としては高マンノース型糖鎖を
持つ糖質を用いることにより、(化5)または(化6)
に示す目的物質を得ることが出来る。
持つ糖質を用いることにより、(化5)または(化6)
に示す目的物質を得ることが出来る。
【0020】高マンノース型糖鎖は、例えば卵白アルブ
ミン等からプロナーゼ等のプロテアーゼ処理とセファデ
ックスG−25によるゲルろ過を繰り返した後にDow
ex50イオン交換樹脂により精製して調製される。酵
素的あるいは化学的に修飾された糖鎖、あるいは化学合
成された糖鎖も用いることができる。高マンノース型糖
鎖の種類としては、(Man)n(GlcNAc)2As
n(n=5−9)があげられる。通常(Man)6(G
lcNAc)2Asnが用いられる。
ミン等からプロナーゼ等のプロテアーゼ処理とセファデ
ックスG−25によるゲルろ過を繰り返した後にDow
ex50イオン交換樹脂により精製して調製される。酵
素的あるいは化学的に修飾された糖鎖、あるいは化学合
成された糖鎖も用いることができる。高マンノース型糖
鎖の種類としては、(Man)n(GlcNAc)2As
n(n=5−9)があげられる。通常(Man)6(G
lcNAc)2Asnが用いられる。
【0021】本発明の反応は、基質の糖鎖供与体、糖鎖
受容体および酵素のエンド−Aを緩衝溶液中で混合する
ことにより行われる。糖鎖供与体の濃度を2mM以上、
望ましくは8〜30mM、糖鎖受容体の濃度を2.5m
M以上、望ましくは5〜25mMになるように加える。
添加する糖鎖供与体と受容体とは互いに関係しているの
で最適な濃度を選ぶことが重要である。酵素量は100
0〜20000U/モル(供与体)の量で用いる。緩衝
液としては、pH5〜8程度、濃度10〜200mM、
望ましくは20〜50mMの適当な緩衝液が用いられ
る。通常pH5.5〜6.5、濃度20〜50mMの酢
酸あるいはリン酸緩衝液中で反応が行われる。反応温度
は通常、10〜50℃程度、好ましくは30〜40℃で
行われ、反応時間は10分〜3時間である。
受容体および酵素のエンド−Aを緩衝溶液中で混合する
ことにより行われる。糖鎖供与体の濃度を2mM以上、
望ましくは8〜30mM、糖鎖受容体の濃度を2.5m
M以上、望ましくは5〜25mMになるように加える。
添加する糖鎖供与体と受容体とは互いに関係しているの
で最適な濃度を選ぶことが重要である。酵素量は100
0〜20000U/モル(供与体)の量で用いる。緩衝
液としては、pH5〜8程度、濃度10〜200mM、
望ましくは20〜50mMの適当な緩衝液が用いられ
る。通常pH5.5〜6.5、濃度20〜50mMの酢
酸あるいはリン酸緩衝液中で反応が行われる。反応温度
は通常、10〜50℃程度、好ましくは30〜40℃で
行われ、反応時間は10分〜3時間である。
【0022】酵素反応(転移反応)を促進させるため
に、反応液中に水溶性の有機溶媒、例えばアセトン、ジ
オキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド等を添加することが有効である。添加濃度は
1〜50%、望ましくは5〜40%である。有機溶媒添
加した際に、基質(糖鎖供与体と受容体)が晶析し、反
応がいかないことがある。よって、添加濃度について
は、基質である糖鎖供与体と受容体との溶解度が関係す
るため特に注意して決めねばならない。適度な濃度の有
機溶媒の添加を行うと、驚くべきことに、無添加の場合
に比べて反応収率は数%から数10%に改善できる。有
機溶媒を使った例として、アセトンの添加濃度と反応率
との関係が、実施例(実施例5)をもって示される。こ
の添加効果は、酵素本来の加水分解反応を抑えて、転移
反応を行わせることができるためと考えられる。なお、
本特許で述べる反応率とは、添加した受容体に対する生
成物のモル収率を示している。
に、反応液中に水溶性の有機溶媒、例えばアセトン、ジ
オキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド等を添加することが有効である。添加濃度は
1〜50%、望ましくは5〜40%である。有機溶媒添
加した際に、基質(糖鎖供与体と受容体)が晶析し、反
応がいかないことがある。よって、添加濃度について
は、基質である糖鎖供与体と受容体との溶解度が関係す
るため特に注意して決めねばならない。適度な濃度の有
機溶媒の添加を行うと、驚くべきことに、無添加の場合
に比べて反応収率は数%から数10%に改善できる。有
機溶媒を使った例として、アセトンの添加濃度と反応率
との関係が、実施例(実施例5)をもって示される。こ
の添加効果は、酵素本来の加水分解反応を抑えて、転移
反応を行わせることができるためと考えられる。なお、
本特許で述べる反応率とは、添加した受容体に対する生
成物のモル収率を示している。
【0023】酵素反応液中の反応生成物の分析は通常、
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行われ
る。例えば、C18の逆相系(ODS)カラムを用い、
0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含む水−アセ
トニトリル系溶媒で展開し、210nmの紫外末端吸収
により検出される。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行われ
る。例えば、C18の逆相系(ODS)カラムを用い、
0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含む水−アセ
トニトリル系溶媒で展開し、210nmの紫外末端吸収
により検出される。
【0024】生成した複合糖ペプチドは公知の手段に従
って反応終了液から容易に分離精製することが出来る。
例えば、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、イオン交
換樹脂カラムクロマトグラフィー、レクチンカラムクロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)等により反応終了液から反応生成物の複合糖ペプチ
ドを分離し、更に濃縮、脱塩、凍結乾燥等を行えばよ
い。
って反応終了液から容易に分離精製することが出来る。
例えば、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、イオン交
換樹脂カラムクロマトグラフィー、レクチンカラムクロ
マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)等により反応終了液から反応生成物の複合糖ペプチ
ドを分離し、更に濃縮、脱塩、凍結乾燥等を行えばよ
い。
【0025】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0026】
【実施例1】 [Asn{(GlcNAc)2(Man)6}3]CTの
合成:高マンノース型糖鎖[(Man)6(GlcNA
c)2−Asn]1.0μmol(最終濃度20mM)
と、H−Cys−Ser−Asn(GlcNAc)−L
eu−Ser−Thr−Cys−Val−Leu−Gl
y−Lys−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu
−His−Lys−Leu−Gln−Thr−Tyr−
Pro−Arg−Thr−Asp−Val−Gly−A
la−Gly−Thr−Pro−NH2(ただし、Cy
sとCysはS−S結合をしている。以下、[Asn
(GlcNAc)3]CTと略。)0.35μmol
(最終濃度7mM)を15%アセトンを含む25mM酢
酸アンモニウム緩衝液(pH6.0)50μlに溶解
し、エンド−A2.50mUを加え、37℃で90分反
応させた。0.2%のトリフルオロ酢酸水溶液を50μ
l添加することにより反応を止め反応生成物をHPLC
[Inertsil ODS−2カラム(4.6x15
0mm)、0.1%TFA/30〜35%(40分)ア
セトニトリル水溶液、1.0ml/分]で210nmの
紫外吸収により分析したところ、15.8分に目的物が
溶出した。その結果、反応収率は[Asn(GlcNA
c)3]CT(つまり、受容体)に対して34.0%で
あった。
合成:高マンノース型糖鎖[(Man)6(GlcNA
c)2−Asn]1.0μmol(最終濃度20mM)
と、H−Cys−Ser−Asn(GlcNAc)−L
eu−Ser−Thr−Cys−Val−Leu−Gl
y−Lys−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu
−His−Lys−Leu−Gln−Thr−Tyr−
Pro−Arg−Thr−Asp−Val−Gly−A
la−Gly−Thr−Pro−NH2(ただし、Cy
sとCysはS−S結合をしている。以下、[Asn
(GlcNAc)3]CTと略。)0.35μmol
(最終濃度7mM)を15%アセトンを含む25mM酢
酸アンモニウム緩衝液(pH6.0)50μlに溶解
し、エンド−A2.50mUを加え、37℃で90分反
応させた。0.2%のトリフルオロ酢酸水溶液を50μ
l添加することにより反応を止め反応生成物をHPLC
[Inertsil ODS−2カラム(4.6x15
0mm)、0.1%TFA/30〜35%(40分)ア
セトニトリル水溶液、1.0ml/分]で210nmの
紫外吸収により分析したところ、15.8分に目的物が
溶出した。その結果、反応収率は[Asn(GlcNA
c)3]CT(つまり、受容体)に対して34.0%で
あった。
【0027】反応生成物に対するHPLCのピークを分
取により単離し、質量分析にかけた。MALDI TO
FMS分析で、m/z[M+H]+4796.0にピー
クがみられ、高マンノース型糖鎖の転移した目的物、
[Asn{(GlcNAc)2(Man)6}3]CT
(分子量4794.1)であることが確認された。
取により単離し、質量分析にかけた。MALDI TO
FMS分析で、m/z[M+H]+4796.0にピー
クがみられ、高マンノース型糖鎖の転移した目的物、
[Asn{(GlcNAc)2(Man)6}3]CT
(分子量4794.1)であることが確認された。
【0028】
【実施例2】 [Cys(Acm)1,7,Asn{(GlcNAc)
2(Man)6}3]CTの合成:高マンノース型糖鎖
[(Man)6(GlcNAc)2−Asn]0.05μ
mol(最終濃度10mM)と、H−Cys(Acm)
−Ser−Asn(GlcNAc)−Leu−Ser−
Thr−Cys(Acm)−Val−Leu−Gly−
Lys−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu−H
is−Lys−Leu−Gln−Thr−Tyr−Pr
o−Arg−Thr−Asp−Val−Gly−Ala
−Gly−Thr−Pro−NH2(以下、[Cys
(Acm)1,7,Asn(GlcNAc)3]CTと略
す。)0.05μmol(最終濃度10mM)を20%
アセトンを含む25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH
6.0)5μlに溶解し、エンド−A0.50mUを加
え、37℃で60分反応させた。3分間煮沸することに
より反応を止め反応生成物をHPLC[Inertsi
lODS−2カラム(4.6x150mm)、0.1%
TFA/28〜31%(30分)アセトニトリル水溶
液、1.0ml/分]で210nmの紫外吸収により分
析したところ、18.4分に目的物が溶出した。その結
果、反応収率は19.3%であった。
2(Man)6}3]CTの合成:高マンノース型糖鎖
[(Man)6(GlcNAc)2−Asn]0.05μ
mol(最終濃度10mM)と、H−Cys(Acm)
−Ser−Asn(GlcNAc)−Leu−Ser−
Thr−Cys(Acm)−Val−Leu−Gly−
Lys−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu−H
is−Lys−Leu−Gln−Thr−Tyr−Pr
o−Arg−Thr−Asp−Val−Gly−Ala
−Gly−Thr−Pro−NH2(以下、[Cys
(Acm)1,7,Asn(GlcNAc)3]CTと略
す。)0.05μmol(最終濃度10mM)を20%
アセトンを含む25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH
6.0)5μlに溶解し、エンド−A0.50mUを加
え、37℃で60分反応させた。3分間煮沸することに
より反応を止め反応生成物をHPLC[Inertsi
lODS−2カラム(4.6x150mm)、0.1%
TFA/28〜31%(30分)アセトニトリル水溶
液、1.0ml/分]で210nmの紫外吸収により分
析したところ、18.4分に目的物が溶出した。その結
果、反応収率は19.3%であった。
【0029】反応生成物に対するHPLCのピークを分
取により単離し、質量分析にかけた。MALDI TO
FMS分析で、m/z[M+H]+4939.7にピー
クがみられ、高マンノース型糖鎖の転移した目的物、
[Cys(Acm)1,7,Asn{(GlcNAc)
2(Man)6}3]CT(分子量4938.3)である
ことが確認された。
取により単離し、質量分析にかけた。MALDI TO
FMS分析で、m/z[M+H]+4939.7にピー
クがみられ、高マンノース型糖鎖の転移した目的物、
[Cys(Acm)1,7,Asn{(GlcNAc)
2(Man)6}3]CT(分子量4938.3)である
ことが確認された。
【0030】
【実施例3】 [Cys(Acm)1,7,Asn{(GlcNAc)
2(Man)6}3]CT(1−10)の合成:高マンノ
ース型糖鎖[(Man)6(GlcNAc)2−Asn]
0.05μmol(最終濃度10mM)と、H−Cys
(Acm)−Ser−Asn(GlcNAc)−Leu
−Ser−Thr−Cys(Acm)−Val−Leu
−Gly−OH(以下、[Cys(Acm)1,7,As
n(GlcNAc)3]CT(1−10)と略す。)
0.05μmol(最終濃度10mM)を35%アセト
ンを含む25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.
0)5μlに溶解し、エンド−A0.25mUを加え、
37℃で20分反応させた。3分間煮沸することにより
反応を止め反応生成物をHPLC[Inertsil
ODS−2カラム(4.6x150mm)、0.1%T
FA/17%アセトニトリル水溶液、1.0ml/分]
で210nmの紫外吸収により分析したところ、19.
7分に目的物が溶出した。その結果、反応収率は12.
2%であった。
2(Man)6}3]CT(1−10)の合成:高マンノ
ース型糖鎖[(Man)6(GlcNAc)2−Asn]
0.05μmol(最終濃度10mM)と、H−Cys
(Acm)−Ser−Asn(GlcNAc)−Leu
−Ser−Thr−Cys(Acm)−Val−Leu
−Gly−OH(以下、[Cys(Acm)1,7,As
n(GlcNAc)3]CT(1−10)と略す。)
0.05μmol(最終濃度10mM)を35%アセト
ンを含む25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.
0)5μlに溶解し、エンド−A0.25mUを加え、
37℃で20分反応させた。3分間煮沸することにより
反応を止め反応生成物をHPLC[Inertsil
ODS−2カラム(4.6x150mm)、0.1%T
FA/17%アセトニトリル水溶液、1.0ml/分]
で210nmの紫外吸収により分析したところ、19.
7分に目的物が溶出した。その結果、反応収率は12.
2%であった。
【0031】反応生成物に対するHPLCのピークを分
取により単離し、質量分析にかけた。MALDI TO
FMS分析で、m/z[M+Na]+2542.0にピ
ークがみられ、高マンノース型糖鎖の転移した目的物、
[Cys(Acm)1,7,Asn{(GlcNAc)
2(Man)6}3]CT(1−10)(分子量251
7.6)であることが確認された。
取により単離し、質量分析にかけた。MALDI TO
FMS分析で、m/z[M+Na]+2542.0にピ
ークがみられ、高マンノース型糖鎖の転移した目的物、
[Cys(Acm)1,7,Asn{(GlcNAc)
2(Man)6}3]CT(1−10)(分子量251
7.6)であることが確認された。
【0032】
【実施例4】 [Asn{(GlcNAc)2(Man)6}3]CT
(1−10)の合成:高マンノース型糖鎖[(Man)
6(GlcNAc)2−Asn]0.05μmol(最終
濃度10mM)と、H−Cys−Ser−Asn(Gl
cNAc)−Leu−Ser−Thr−Cys−Val
−Leu−Gly−OH(ただし、CysとCysはS
−S結合をしている。以下、[Asn(GlcNAc)
3]CT(1−10)と略す。)0.05μmol(最
終濃度10mM)を35%アセトンを含む25mM酢酸
アンモニウム緩衝液(pH6.0)5μlに溶解し、エ
ンド−A0.25mUを加え、37℃で20分反応させ
た。3分間煮沸することにより反応を止め反応生成物を
HPLC[Inertsil ODS−2カラム(4.
6x150mm)、0.1%TFA/20%アセトニト
リル水溶液、1.0ml/分]で210nmの紫外吸収
により分析したところ、20.8分に目的物が溶出し
た。その結果、反応収率は1.1%であった。
(1−10)の合成:高マンノース型糖鎖[(Man)
6(GlcNAc)2−Asn]0.05μmol(最終
濃度10mM)と、H−Cys−Ser−Asn(Gl
cNAc)−Leu−Ser−Thr−Cys−Val
−Leu−Gly−OH(ただし、CysとCysはS
−S結合をしている。以下、[Asn(GlcNAc)
3]CT(1−10)と略す。)0.05μmol(最
終濃度10mM)を35%アセトンを含む25mM酢酸
アンモニウム緩衝液(pH6.0)5μlに溶解し、エ
ンド−A0.25mUを加え、37℃で20分反応させ
た。3分間煮沸することにより反応を止め反応生成物を
HPLC[Inertsil ODS−2カラム(4.
6x150mm)、0.1%TFA/20%アセトニト
リル水溶液、1.0ml/分]で210nmの紫外吸収
により分析したところ、20.8分に目的物が溶出し
た。その結果、反応収率は1.1%であった。
【0033】反応生成物に対するHPLCのピークを分
取により単離し、質量分析にかけた。MALDI TO
FMS分析で、m/z[M+Na]+2395.0にピ
ークがみられ、高マンノース型糖鎖の転移した目的物、
[Asn{(GlcNAc)2(Man)6}3]CT
(1−10)(分子量2373.7)であることが確認
された。
取により単離し、質量分析にかけた。MALDI TO
FMS分析で、m/z[M+Na]+2395.0にピ
ークがみられ、高マンノース型糖鎖の転移した目的物、
[Asn{(GlcNAc)2(Man)6}3]CT
(1−10)(分子量2373.7)であることが確認
された。
【0034】
【実施例5】 [Asn{(GlcNAc)2(Man)6}3]CTの
合成におけるアセトンの効果:高マンノース型糖鎖
[(Man)6(GlcNAc)2−Asn]0.40μ
mol(最終濃度20mM)と、[Asn(GlcNA
c)3]CT 0.14μmol(最終濃度7mM)
を、アセトン0、10、15、20、および25%を含
む25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.0)20
μlに溶解し、エンド−A1.0mUを加え、37℃で
90分反応させた。3分間煮沸することにより反応を止
め反応生成物を、実施例1と同様にして分析した。
合成におけるアセトンの効果:高マンノース型糖鎖
[(Man)6(GlcNAc)2−Asn]0.40μ
mol(最終濃度20mM)と、[Asn(GlcNA
c)3]CT 0.14μmol(最終濃度7mM)
を、アセトン0、10、15、20、および25%を含
む25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.0)20
μlに溶解し、エンド−A1.0mUを加え、37℃で
90分反応させた。3分間煮沸することにより反応を止
め反応生成物を、実施例1と同様にして分析した。
【0035】その結果、反応生成物の濃度(反応収率)
はそれぞれ、0.209mM(2.99%)、2.06
mM(29.4%)、2.38mM(34.0%),
1.88mM(26.9%)、および0.752mM
(10.7%)であった。有機溶媒(アセトン)を添加
することにより反応収率を大きく改善することができ
た。
はそれぞれ、0.209mM(2.99%)、2.06
mM(29.4%)、2.38mM(34.0%),
1.88mM(26.9%)、および0.752mM
(10.7%)であった。有機溶媒(アセトン)を添加
することにより反応収率を大きく改善することができ
た。
【0036】
【発明の効果】本発明で示した、高マンノース型糖鎖を
有するカルシトニン部分ペプチド誘導体は、高マンノー
ス型糖鎖を有するカルシトニン誘導体の原料として利用
できる。本発明により、糖鎖転移反応を行わせて高マン
ノース型糖鎖を有するカルシトニン誘導体を生成するこ
とができる。この際酵素としてエンド−Aを用いるた
め、高マンノース型糖鎖を有するカルシトニン誘導体の
生成反応率は、従来の数%を数10%で行うことができ
る。このため、目的物の分離精製も容易となり、実用的
に有利な生産方法を提供できる。該カルシトニン誘導体
は血液中での酵素分解等に対して安定化や薬理作用の改
善に寄与し、医薬として用いる場合に有効である。
有するカルシトニン部分ペプチド誘導体は、高マンノー
ス型糖鎖を有するカルシトニン誘導体の原料として利用
できる。本発明により、糖鎖転移反応を行わせて高マン
ノース型糖鎖を有するカルシトニン誘導体を生成するこ
とができる。この際酵素としてエンド−Aを用いるた
め、高マンノース型糖鎖を有するカルシトニン誘導体の
生成反応率は、従来の数%を数10%で行うことができ
る。このため、目的物の分離精製も容易となり、実用的
に有利な生産方法を提供できる。該カルシトニン誘導体
は血液中での酵素分解等に対して安定化や薬理作用の改
善に寄与し、医薬として用いる場合に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内
Claims (6)
- 【請求項1】下記式(化1)または(化2) 【化1】 【化2】 [式中、R1は、高マンノース型糖鎖を示す。Acmは
システイン(Cys)のSHのアセトアミドメチル保護
基を示す。]で示される、高マンノース型糖鎖を有する
カルシトニン部分ペプチド誘導体。 - 【請求項2】式(化1)中のR1に示される高マンノー
ス型糖鎖が(Man)6(GlcNAc)1からなる糖鎖
である請求項1に記載の物質。 - 【請求項3】アルスロバクター プロトホルミエ(Arth
robacter protophormiae)由来のエンド−β−N−アセ
チルグルコサミニダーゼ(EC3.2.1.96)(エ
ンド−Aと呼ばれる。)の存在下、複合糖質の糖鎖を、
下記式(化3)または(化4) 【化3】 【化4】 [式中、R2はOHあるいはLys−Leu−Ser−
Gln−Glu−Leu−His−Lys−Leu−G
ln−Thr−Tyr−Pro−Arg−Thr−As
p−Val−Gly−Ala−Gly−Thr−Pro
−NH2からなるペプチド残基をしめす。Acmは(化
1)に示したと同じ内容を意味する。]で示されるN−
アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基を有する合
成ペプチドに転移させることにより、下記式(化5)ま
たは(化6) 【化5】 【化6】 [式中、R1およびAcmは(化1)に示したと同じ内
容を、R2は(化3)に示したと同じ内容をそれぞれ意
味する。]に示される高マンノース型糖鎖を有するカル
シトニン誘導体を製造する方法。 - 【請求項4】式(化5)または(化6)中のR1に示さ
れる高マンノース型糖鎖が(Man)6(GlcNA
c)1からなる糖鎖である請求項3に記載の方法。 - 【請求項5】酵素反応系に有機溶媒を添加して反応を行
う請求項3に記載の方法。 - 【請求項6】請求項3の方法により製造される、(化
5)または(化6)に示される物質。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9063814A JPH10273500A (ja) | 1997-03-03 | 1997-03-03 | 複合糖ペプチド及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9063814A JPH10273500A (ja) | 1997-03-03 | 1997-03-03 | 複合糖ペプチド及びその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10273500A true JPH10273500A (ja) | 1998-10-13 |
Family
ID=13240223
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9063814A Pending JPH10273500A (ja) | 1997-03-03 | 1997-03-03 | 複合糖ペプチド及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10273500A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014156409A (ja) * | 2013-02-14 | 2014-08-28 | Kanazawa Univ | N型糖タンパク質の製造方法 |
JP2015015964A (ja) * | 2000-08-18 | 2015-01-29 | シャイア ヒューマン ジェネティック セラピーズ インコーポレイテッド | 高マンノースタンパク質および高マンノースタンパク質の製造方法 |
US9623090B2 (en) | 2012-03-02 | 2017-04-18 | Shire Human Genetic Therapies, Inc. | Compositions and methods for treating type III gaucher disease |
US9694057B2 (en) | 2006-02-07 | 2017-07-04 | Shire Huma Genetic Therapies, Inc. | Stabilized compositions of proteins having a free thiol moiety |
US11571466B2 (en) | 2009-07-28 | 2023-02-07 | Takeda Pharmaceutical Company Limited | Compositions and methods for treating Gaucher disease |
-
1997
- 1997-03-03 JP JP9063814A patent/JPH10273500A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015015964A (ja) * | 2000-08-18 | 2015-01-29 | シャイア ヒューマン ジェネティック セラピーズ インコーポレイテッド | 高マンノースタンパク質および高マンノースタンパク質の製造方法 |
US10041137B2 (en) | 2000-08-18 | 2018-08-07 | Shire Human Genetic Therapies, Inc. | High mannose proteins and methods of making high mannose proteins |
US9694057B2 (en) | 2006-02-07 | 2017-07-04 | Shire Huma Genetic Therapies, Inc. | Stabilized compositions of proteins having a free thiol moiety |
US11571466B2 (en) | 2009-07-28 | 2023-02-07 | Takeda Pharmaceutical Company Limited | Compositions and methods for treating Gaucher disease |
US9623090B2 (en) | 2012-03-02 | 2017-04-18 | Shire Human Genetic Therapies, Inc. | Compositions and methods for treating type III gaucher disease |
JP2014156409A (ja) * | 2013-02-14 | 2014-08-28 | Kanazawa Univ | N型糖タンパク質の製造方法 |
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