JPH09290A - 複合糖質の製造法 - Google Patents

複合糖質の製造法

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JPH09290A
JPH09290A JP17416095A JP17416095A JPH09290A JP H09290 A JPH09290 A JP H09290A JP 17416095 A JP17416095 A JP 17416095A JP 17416095 A JP17416095 A JP 17416095A JP H09290 A JPH09290 A JP H09290A
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sugar chain
reaction
donor
enzyme
endoglycosidase
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JP17416095A
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Katsuji Haneda
羽田勝二
Toshiyuki Inazu
稲津敏行
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Noguchi Institute
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Noguchi Institute
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 糖鎖の転移反応を利用して高収率で複合糖質
を製造する方法を提供する。 【構成】 酵素律速条件下にエンドグリコシダーゼによ
る糖質あるいは複合糖質(糖鎖供与体)からN−アセチ
ルグルコサミン(GlcNAc)残基を有する糖質ある
いは複合糖質(糖鎖受容体)への糖鎖の転移反応を行わ
せることを特徴とする複合糖質の製造方法。 【効果】 複合糖質を高収率に容易に製造でき、生理活
性をもつ複合糖質の製造に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵素の糖鎖転移反応を
利用して高収率で複合糖質を製造する方法に関する。本
発明は医薬分野に応用される。
【0002】
【従来の技術】糖質および複合糖質は生物の細胞、体液
等に存在し、細胞の基質認識や細胞−細胞間の認識等に
深く関わっている。また糖質は生体内物質の吸収分解等
の代謝の速度に関係している。これらの生理的機能に着
目して糖質を医薬として利用する試みが遺伝子組換技術
の発展とともになされている。例えば動物細胞等を用い
たエリスロポエチンやティシュープラスミノーゲンアク
チベーターの生産がその例であるが、糖鎖がついてもそ
れが機能の面からは必ずしも最適のものではないことも
多く、タンパク質、生理活性ペプチドあるいはセラミド
等に糖鎖を付けたりあるいは今ある糖鎖を別の糖鎖に換
えることにより、生理機能の強化や生理活性の改変に役
立つことが期待される。
【0003】糖鎖を酵素的に改変する方法としては、
1)転移酵素あるいはエキソグリコシダーゼによる方法
と、2)エンドグリコシダーゼによる方法が考えられ
る。
【0004】1)の方法としては、例えばD.H.ジョ
ジアッセ(D. H. Joziasse)ら[ヨーロピアン ジャー
ナル オブ バイオケミストリー(Eur. J. Bioche
m.)、 第191巻、第75〜83頁(1990)]の報
告があるが、糖鎖の非還元末端からの逐次反応である。
また、最近、M.シャスター(M. Schuster)ら[ジャ
ーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエテイ(J.
Amer. Chem. Soc.)、第116巻、第1135〜11
36頁(1994)]は数種のグリコシルトランスフェ
ラーゼを組み合わせた糖鎖の固相合成法を報告してい
る。
【0005】一方、2)のエンドグリコシダーゼを用い
た糖転移反応としては、R.B.トリムブル(R. B. Tr
imble)ら[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミ
ストリー(J. Biol. Chem.)、第261巻、第1200
0〜12005頁(1986)]のフラボバクテリウム
メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningoseptic
um)由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダー
ゼ(エンド−F)に関するもの、R.M.バーデールス
(R. M. Bardales)ら[ジャーナル オブ バイオロジ
カル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第264巻、
第19893〜19897頁(1989)]のディプロ
コッカス ニューモニエ(Diprococcuspneumoniae)由
来のエンド−α−N−アセチルガラクトサミニダーゼに
関するものがあり、前者はグリセロールが受容体に、ま
た後者はグリセロール、p−ニトロフェノール、セリ
ン、スレオニン等が受容体になるという報告である。そ
の後、竹川ら[特開平5−64594号(1993)]
およびK.タケガワ(K. Takegawa)ら[ジャーナル
オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Che
m.)、第270巻、第3094〜3099頁(199
5)]がアルスロバクタープロトホルミエ(Arthrobact
er protophormiae)由来のエンド−β−N−アセチルグ
ルコサミニダーゼ(エンド−A)による糖質への糖鎖転
移反応を、また、K.ヤマモト(K. Yamamoto) ら[バ
イオケミカル バイオフィジカル リサーチ コミュニ
ケーション(Biochem. Biophys. Res. Commun.)、第2
03巻、第244〜252頁(1994)]はムコール
ヒエマリス(Mucor hiemalis)由来のエンド−Mによ
る糖質への糖鎖転移反応を報告した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】糖質に糖鎖を新たに付
与したりあるいは他の糖鎖と入れ換えたりする、いわゆ
る糖鎖の改変(リモデリング)により複合糖質の生体内
での安定性や生物活性が天然の複合糖質に比べて増強さ
れたり天然にない生物機能が付加されれば医薬品に応用
した場合に有用である。また、複合糖質における糖鎖の
もつ生理的機能は今まで糖鎖改変の有効な手段がなかっ
たために、十分には解明されていないが、その役割の解
析のための重要な手段を提供する。
【0007】従来のエキソグリコシダーゼまたはグリコ
シルトランスフェラーゼを用いた糖鎖合成反応では糖残
基一つ一つについてその酵素反応を逐次的に行わねばな
らず、反応ステップが多く、大変煩雑である。また、エ
ンド−Fやエンド−α−N−アセチルガラクトサミニダ
ーゼを用いた糖鎖転移反応は糖質や複合糖質が糖鎖受容
体になるものではなかった。
【0008】一方、エンド−Aあるいはエンド−Mによ
る方法は糖質や複合糖質が転移反応の糖鎖受容体になる
点で新しい方法を提供するものであったが、エンド−A
は高マンノース型糖鎖のみが糖鎖供与体であり、またエ
ンド−Mは複合型糖鎖に作用したが、シアル酸のない糖
鎖に対してであり、シアル酸を有する複合型糖鎖に対す
る作用は知られていなかった。しかしながら、ここで最
大の問題点はこれらエンドグリコシダーゼによる糖鎖の
転移反応の反応収率が1〜2%、高々数%と著しく低
く、工業的に実施するには難があることであった。
【0009】本発明の目的は、エンドグリコシダーゼに
よる糖鎖転移反応の反応収率を向上させる方法を開発
し、該反応を利用して複合糖質を収率よく簡便に製造す
る工業的に実施可能な方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は複合糖質の製造法に関する。エンドグリコシダー
ゼの存在下、下記式(式1): X−GlcNAc−Y + Z → X−GlcNAc
−Z + Y (式1)(式中、Xは複合糖鎖、Gl
cNAcはN−アセチルグルコサミン、Yは糖質あるい
は複合糖質、ZはYとは異なる糖質あるいは複合糖質を
示す)で表される転移反応を行うことを特徴とする。
【0011】本発明者らはエンドグリコシダーゼによる
糖鎖転移反応の反応収率を高める方法を検討した結果、
与酵素量を減らし、糖鎖供与体と受容体の比率を一定範
囲にしつつ両基質の仕込濃度を高め、反応速度が与酵素
量に依存する酵素律速の条件で反応を行うことにより、
複合型糖鎖の場合にその反応収率(対糖鎖受容体、モル
収率)が20%を越えるなど、糖鎖の転移反応収率が著
しく向上することを見出し本発明を完成した。
【0012】本発明に用いるエンドグリコシダーゼとし
ては、例えばS.カドワキ(S. Kadowaki )ら[アグリ
カルチュラル アンド バイオロジカル ケミストリー
(Agr. Biol. Chem.)、第54巻、第97〜106頁
(1990)]により報告されたムコール ヒエマリス
(Mucor hiemalis)により生産されるエンド−β−N−
アセチルグルコサミニダーゼ(エンド−M)がある。該
酵素は下記式(式2): R−GlcNAc−GlcNAc−Asn−(ペプチドまたはタンパク質)( 式2) (式中Rは複合糖鎖を示す)のアスパラギン(Asn)
結合型糖鎖のキトビオース部分(GlcNAc−Glc
NAc)の間を加水分解する。その基質特異性について
は、K.ヤマモト(K. Yamamoto)ら[バイオサイエン
ス バイオテクノロジー アンド バイオケミストリー
(Biosci. Biotechnol. Biochem.)、第58巻、第72
〜77頁(1994)]に、高マンノース型のみならず
複合型糖鎖にも作用することが述べられている。
【0013】エンドグリコシダーゼの本来の機能は糖鎖
の加水分解反応である。即ち(式1)のZの代わりに水
が入り、下記式(式3): X−GlcNAc−Y + H2 O → X−GlcNAc−OH + H−Y (式3) の加水分解反応が転移反応とともに副反応として進行す
る。
【0014】また、(式1)で生成した転移反応生成物
X−GlcNAc−Zは(式3)の加水分解の基質とな
り再分解を受けるため、この分解を防ぐ必要がある。
【0015】転移反応を効率よく行わせるには(式3)
の反応を抑えて(式1)の反応を優先的に行わせること
が必要である。与酵素量を減らし、基質である糖鎖供与
体(X−GlcNAc−Y)と糖鎖受容体(Z)の仕込
濃度を、そのモル比を1近くにしつつ高濃度にすること
により反応の場(酵素の活性中心)における水の影響を
排して転移反応を効率よく進行させることが期待でき
る。また転移反応生成物の再分解の防止にも与酵素量の
制限の効果が期待できる。これらの考えに基づき本発明
を完成した。この発明により糖鎖供与体から糖鎖受容体
へ高収率で糖鎖を転移させることが可能となった。即
ち、本発明のポイントは次の3点である。
【0016】1.与酵素量を制限すること。糖鎖供与体
から受容体への糖鎖転移反応の速度が与酵素量に依存す
るように、即ち反応速度が酵素律速になるように酵素の
添加量を制限する。酵素に対して高濃度に基質が存在し
糖鎖転移反応が促進される。与酵素量の制限は糖鎖転移
反応生成物の再分解の防止にも効果がある。過剰の酵素
の添加は副反応が強く起き反応収率を下げる。余りに酵
素量が少ないと反応速度が遅く反応に時間がかかり過ぎ
る。例えばエンド−Mの場合、糖鎖供与体に対して50
0ユニット(U)/モル(供与体)以下、望ましくは8
0〜400U/モル(供与体)程度の酵素量、下記第2
項の基質濃度の時であれば2〜10mU/ml程度に加
えるのがよい。なおここで、酵素の1ユニット(U)
は、ヒトトランスフェリン由来のアシアロ複合型糖鎖の
ダンシル化(DNS)誘導体を加水分解して、37℃、
1分間に1マイクロモル(μmol)のN−アセチルグ
ルコサミニル−アスパラギンのDNS誘導体(GlcN
Ac−Asn−DNS)を生成させるに必要な酵素量で
ある。実施例1にその内容を示す。
【0017】2.糖鎖供与体と受容体の仕込濃度を著し
く高めること。従来の報告にあるような糖鎖供与体と受
容体の両基質濃度の薄いところでは反応収率が低く、与
酵素量を制限しつつ両基質を高濃度に仕込むことにより
反応収率は飛躍的に向上した。その濃度は、糖鎖供与体
が10mM以上望ましくは15〜75mM、また糖鎖受
容体は5mM以上望ましくは7.5〜35mM程度が至
適であった。実施例2にその内容を示す。
【0018】3.糖鎖供与体と受容体の量(モル)比を
一定範囲にすること。糖鎖供与体と受容体が1:1の反
応であり、その量比を1付近即ち糖鎖供与体/受容体の
比が2〜0.5にするのがよく、2〜1付近がより至適
であった。
【0019】基質に対する与酵素量を制限することとと
もに、糖鎖供与体と受容体の両基質濃度を高くする要件
を共に満たすことも重要である。与酵素量/糖鎖供与体
の値を基準内にしても基質濃度が薄ければ反応率は低
く、その例を実施例3に示す。
【0020】これらの要件を組み合わせることにより反
応が高収率で進行する。このような反応条件下では、高
マンノース型糖鎖およびアシアロ複合型糖鎖のみなら
ず、従来反応が知られていなかったシアロ複合型糖鎖に
おいても高い反応収率で転移反応が進行した。
【0021】本発明の糖鎖供与体としては、高マンノー
ス型、複合型、混成型いずれの糖鎖も用いられる。高マ
ンノース型糖鎖は例えば卵白アルブミン等から、またシ
アル酸を含有する複合型糖鎖は例えばヒトトランスフェ
リンや牛フェツイン等から調製され、シアリダーゼ処理
等によりシアル酸を外せばアシアロ複合型糖鎖が得られ
る。糖鎖供与体としては糖タンパク質をそのまま用いて
もよいが、プロナーゼ等のタンパク質加水分解酵素によ
りタンパク質部分をアスパラギン(Asn)残基にまで
小さくしたものがより適しており、通常この形で用い
る。
【0022】糖鎖受容体は糖質あるいは複合糖質であ
り、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基を
有する糖、糖ペプチドとその誘導体あるいは糖タンパク
質等が用いられる。複合糖質としては例えばリボヌクレ
アーゼ(RNase)等の糖タンパク質のエンドあるい
はエキソグリコシダーゼ処理により調製したGlcNA
c−Asn残基を有するタンパク質あるいはそのプロテ
アーゼで部分分解したペプチド断片であり、そのままあ
るいはダンシル(DNS)化誘導体等が用いられる。G
lcNAc−Asn−DNSもその一つである。Glc
NAc残基を有する化学合成したペプチドも用いること
が出来る。
【0023】用いるエンドグリコシダーゼとしては、エ
ンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(EC3.
2.1.96)であり、例えば、エンド−M等が用いら
れる。
【0024】本発明の反応は、基質の糖鎖供与体、糖鎖
受容体および酵素のエンドグリコシダーゼを緩衝溶液中
で混合することにより行われる。先述のごとく、糖鎖供
与体の濃度を10mM以上、望ましくは15〜75m
M、糖鎖受容体の濃度を5mM以上、望ましくは7.5
〜35mM、糖鎖供与体/受容体の量比(モル比)を2
〜0.5になるように加える。酵素量は500U/モル
(供与体)以下、望ましくは80〜400U/モル(供
与体)程度に制限し、例えば、エンド−Mの場合、2〜
10mU/ml程度の量で用いる。緩衝液としては、p
H5〜8程度、濃度25〜200mM、望ましくは50
〜100mMの適当な緩衝液が用いられる。エンド−M
の場合、通常pH5.5〜6.5、濃度50〜100m
Mの酢酸あるいはリン酸緩衝液中で反応が行われる。基
本的な反応液組成の一例は、糖鎖供与体25mM、糖鎖
受容体12.5mM、エンド−M 4mU/mlおよび
60mMリン酸緩衝液(pH6.25)である。
【0025】反応温度は通常、室温〜50℃程度、好ま
しくは30〜40℃で行われ、反応時間は1〜24時間
である。例えば、エンド−M酵素の場合、通常、37℃
で3〜18時間程度反応が行われる。
【0026】生成した複合糖質は公知の手段に従って反
応終了液から容易に分離精製することが出来る。例え
ば、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹
脂カラムクロマトグラフィー、レクチンカラムクロマト
グラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
等により反応終了液から反応生成物の複合糖質を分離
し、更に濃縮、脱塩、凍結乾燥等を行えばよい。
【0027】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0028】
【実施例1】糖鎖転移反応に及ぼす与酵素量の影響:
糖鎖供与体として、卵白アルブミンをプロナーゼ処理、
セファデックスG−25ゲルろ過、更にDowex50
イオン交換クロマトで分離精製して得た高マンノース型
糖鎖(Man)6−(GlcNAc)2−Asn、糖鎖受
容体としてGlcNAc−Asn−DNSを用いた。糖
鎖供与体(Man)6−(GlcNAc)2−Asnを2
5mM、糖鎖受容体GlcNAc−Asn−DNSを1
2.5mMの基質仕込濃度の反応系で、エンド−Mの与
酵素量を2〜16mU/mlの濃度、即ち糖鎖供与体に
対する与酵素量を80〜640U/モル(供与体)にと
り反応させた(37℃、3時間)。仕込糖鎖受容体量に
対する転移反応生成物(Man)6−(GlcNAc)2
−Asn−DNSの生成量のモル比(%)を転移反応収
率とした。与酵素量4mU/ml[160U/モル(供
与体)]の時の転移反応収率を基準(100)にした各
与酵素量における相対反応収率を図1に示す。
【0029】
【図1】反応収率が与酵素量で律速されるように、酵素
量を基質に対して制限量に与えたところで高い反応収率
が得られた。酵素の過剰添加条件では副反応が起き反応
収率は低下した。余りに与酵素量が少ないと反応速度が
遅く反応に時間がかかり過ぎた。与酵素量は500U/
モル(供与体)以下の酵素律速条件にするのがよく、8
0〜400U/モル(供与体)付近が至適であった。
【0030】
【実施例2】糖鎖転移反応に及ぼす糖鎖供与体と糖鎖受
容体の濃度の影響: 糖鎖供与体として、高マンノース
型糖鎖(Man)6−(GlcNAc)2−Asnを5〜
50mM、糖鎖受容体としてGlcNAc−Asn−D
NSを5〜50mMの濃度で用いた。酵素としてエンド
−M(4mU/ml)、緩衝液としてpH6.25リン
酸緩衝液(60mM)を用いて反応(37℃、18時
間)させた時の、糖鎖供与体と受容体の濃度の糖鎖転移
反応収率(糖鎖受容体の仕込濃度に対する転移反応生成
物のモル%)に及ぼす影響を調べた結果を表1に示す。
【0031】
【表1】 表1では各濃度における反応収率を、糖鎖供与体25m
M、受容体12.5mMの時の反応収率(7.9%)を
100とした相対値(%)として表示した。糖鎖供与体
および受容体の濃度の低いところでの反応収率は低く、
高濃度にすると高い反応収率が得られた。糖鎖供与体の
濃度が10mM以上、15〜75mM付近、また受容体
の濃度が5mM以上、7.5〜35mM付近の濃度が至
適であった。
【0032】
【実施例3】糖鎖転移反応に及ぼす与酵素量と基質濃度
の影響: 実施例1の基準の条件即ち、糖鎖供与体(M
an)6−(GlcNAc)2−Asn 25mM、糖鎖
受容体GlcNAc−Asn−DNS 12.5mM、
エンド−M 4mU/ml[160U/モル(供与
体)]、リン酸緩衝液 60mM(pH6.25)の反
応液全体を蒸留水で5倍に薄めて反応(反応37℃、6
時間)させた。与酵素量/糖鎖供与体の比は変わらず基
質濃度が1/5(供与体 5mM、受容体 2.5m
M)となる。この条件での相対反応収率は基準の条件の
反応収率に対し19%に過ぎなかった。
【0033】
【実施例4】高マンノース型糖鎖および複合型糖鎖の糖
鎖転移反応: 糖鎖供与体として、高マンノース型糖鎖
(Man)6−(GlcNAc)2−Asn(分子量16
51)、あるいはヒトトランスフェリンのプロナーゼ処
理、シアリダーゼ処理およびセファデックスG−25ゲ
ルろ過により調製したアシアロ複合型糖鎖(分子量17
56)を1μmol(終濃度25mM)、糖鎖受容体と
してGlcNAc−Asn−DNS(分子量571)を
500nmol(同12.5mM)、エンド−M を1
60μU(同4mU/ml)加え、60mMリン酸緩衝
液(pH6.25)40μl中で37℃、18時間反応
させた。加熱処理により反応停止後、反応液を蒸留水で
1mlに希釈し反応生成物をHPLCで分析した。(M
an)6−(GlcNAc)2−Asnからは7.9%、
アシアロ複合型糖鎖からは23.5%の反応収率(対糖
鎖受容体、モル比)でGlcNAc−Asn−DNSへ
の転移反応生成物が得られた。各反応生成物をHPLC
分取し、質量分析したところ、前者には分子量174
7、後者には分子量1991に相当するイオンピーク
(m/z)が認められ、各(Man)6−(GlcNA
c)2−Asn およびアシアロ複合型糖鎖からGlcN
Ac−Asn−DNSへの転移反応生成物、即ち各(M
an)6−(GlcNAc)2−Asn−DNSおよびア
シアロ複合型糖鎖−DNS誘導体であることが確認され
た。
【0034】
【発明の効果】本発明により、糖質あるいは複合糖質
(糖鎖供与体)の糖鎖を他の糖質あるいは複合糖質(糖
鎖受容体)に高収率で転移させることができ、複合糖質
を効率よく簡便に製造することが可能となった。本発明
は、医薬等への応用とともに複合糖質の糖鎖の果たして
いる生理的役割を解明するための研究手法を提供する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年11月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】糖鎖転移反応に及ぼす与酵素量の影響を示す。
糖鎖供与体として高マンノース型糖鎖、受容体としてG
lcNAc−Asn−DNSを用いた。横軸は酵素エン
ド−Mの与酵素量を、縦軸は反応収率を示す。各与酵素
量における反応収率を、糖鎖供与体に対する与酵素量が
160U/モルの時の反応収率を基準(100)として
それに対する相対値で示した。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酵素律速条件下にエンドグリコシダーゼに
    よる糖質あるいは複合糖質(糖鎖供与体)からN−アセ
    チルグルコサミン(GlcNAc)残基を有する糖質あ
    るいは複合糖質(糖鎖受容体)への糖鎖の転移反応を行
    わせることを特徴とする複合糖質の製造方法。
  2. 【請求項2】糖鎖供与体に対するエンドグリコシダーゼ
    の与酵素量を500ユニット(U)/モル(供与体)以
    下、望ましくは80〜400U/モル(供与体)にして
    反応を行う請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】糖鎖供与体を15〜75mMおよび糖鎖受
    容体を7.5〜35mMの濃度にして反応を行う請求項
    1に記載の方法。
  4. 【請求項4】糖鎖供与体を15〜75mMおよび糖鎖受
    容体を7.5〜35mMの濃度、糖鎖供与体に対するエ
    ンドグリコシダーゼの与酵素量を80〜400ユニット
    (U)/モル(供与体)にして反応を行う請求項1に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】エンドグリコシダーゼがエンド−β−N−
    アセチルグルコサミニダーゼ(EC3.2.1.96)
    である請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】エンドグリコシダーゼがムコール ヒエマ
    リス(Mucor hiemalis)の生産するエン
    ド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、エンド−M
    である請求項1に記載の方法。
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